反射reflex

最終更新日:2002年05月10日 船戸和弥のホームページ

哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)(p385)から引用

 外界の作用によって感覚器が刺激されると、興奮が知覚神経をへて運動神経に伝わり、効果器(筋肉や腺)に達し、意識とは無関係に反応を起こすこと。常に決まったかたちで、自動的・機械的に、そして瞬間的に迅速に行われる(十分の数秒以下)。光の反射 reflexionになぞらえた名称で、生体を機械に見立てたデカルトの思想によっている。しかし、光の反射とはまったく異なる複雑な現象である。一般の動物ではふつう、知覚神経と運動神経のあいだに数個の神経細胞が介在し、それらが神経中枢の一定の部位に集合して<反射中枢>をつくり、複雑な興奮伝達・切換を行っている。反射はふつう、動物の生存に適合した性質のものである。四肢の皮膚を針でつつくと、その肢の屈筋が収縮して刺激から逃げようとする反射が起こる。その反射中枢は脊髄にある。これは単独の単純な反射であるが、体の姿勢を保つ場合には、四肢の屈筋と伸筋が調整された反射を同時に起こす。これは、個別反射が組み合わされ統合された反射で、その中枢は延髄にある。反射は順次に上位の中枢によって統合が行われ、外囲の複雑な事態に適合した反応が起こる。また消化管では各種の反応がつぎつぎに連続的に起こって、各部の運動や消化液の分泌が秩序だった順序で行われる。神経系の働きは、意識現象をのぞけば、ほとんどすべて反射であって、人間も姿勢の保持、運動、内蔵の活動などを、意識することなしに、合目的的に遂行している。反射は生得的なものであるが、生後、経験によって改変された反射を条件反射といい、その中枢は大脳に形成される。動物の本能行動は反射が特定の刺激に対する比較的局所的な反応であるのとは異なっており、その発動のメカニズムについては諸説があるが、パブロフは無数の反射と条件反射の連動であるとしている。→条件反射