物理的観念論physical idealism (407)

最終更新日:2002年05月10日 船戸和弥のホームページ

哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)から引用:括弧内は参照頁。

 19世紀から20世紀にかけて、当時の物理学上のめざましい変革的諸発見の意義を正しく評価できず、認識論上で一連の観念論的結論をみちびきだしたのにたいし、レーニンが《唯物論と経験論批判》でこうした傾向を呼んだ名称。物理学的観念論者らは、新たに発見された放射能や電子などから、<物質は消滅した>とか、あるいは運動を記述する記号としての方程式だけが残る、と主張した。レーニンは、上記の著書で、この場合<消滅した>のは物質についての古い認識の限界にすぎず、むしろこれらの諸発見は物質について、いっそうふかく認識が進んだことを意味するものだと説明した。また、方程式が残るのではなくて、これは外界の抽象の結果えられるもので、単に人間の思考の産物とするわけにはいかないことを明らかにした。