近代主義modernism (102-3)

最終更新日:2002年05月10日 船戸和弥のホームページ

哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)から引用:括弧内は参照頁。

 言語<モダニズム>をそのまま使いもする。これは社会思想・芸術運動・宗教の神学思想のうちにあらわれているが、ともに同じ社会的―歴史的状況、すなわち資本主義の発展、とくにその帝国主義段階の資本主義を現実的に克服する社会主義の思想と運動に対立して、たんに封建的残存物を除去することを主張し、自由主義、個人主義の開花を要求するにとどまって、結局、資本主義の延命に帰着する思想。わが国でとりわけ第2次世界大戦後にいちじるしく唱えられたもの。2)芸術運動。ふつうモダニズムといわれる主張とその運動で、19世紀末におこり旧習固守のアカデミズムに反対することであらわれたが、それはまたリアリズムの立場をも否定し、主観主義の立場にたって主観の印象や理念を拠りどころにする印象主義、抽象主義、シュール・リアリズムなどのかたちをとる。わが国で1930年代に文学上の<新感覚派>の提唱があったが、これもその一変種であり、また絵画・音楽にもあらわれ、技術上の退廃現象といえる。3)ローマ・カトリック教会の神学に、フランスのル・ロア(Edouard Le Roy, 1870~1954), ロアジー(Alfred F. Loisy, 1857~1940)などに代表され、真宗教はもっぱら人間の内心生活に発し、外面からたとえば天啓や教理宣言などで伝達される物でないとし、時代と経験を考慮に入れる立場。教会はもちろんこれをみとろめることはできず抑圧した。プロテスタントの側にもこうした傾向のあらわれがあり、これは<宗教史学派>といわれる。社会のきわだって変化に応じて、宗教の存在を維持しようとするこころみといえる。