イデオロギー Ideologie

最終更新日:2002年05月09日 船戸和弥のホームページ

哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)(p15-16)から引用

 観念形態とも言われる。元来は、フランス革命につづいてあらわれた観念学(ideologie, その代表者はデスティシュ・ド・トラシ)に由来するが、今日ではマルクス主義の用法で解されている。これによると、社会的意識において対照的に明確に形をとってあらわれたもの、宗教・哲学・芸術・道徳、また政治・法律・経済上の諸見解をいう。イデオロギーは、究極的には、社会の経済的諸関係、すなわち土台から規定され、これを観念上に反映した上部構造である。したがって階級社会のイデオロギーは、土台の生産関係を反映して階級性をおび、一様ではなく対立的なものとしてあらわれ、階級闘争の一貫としてイデオロギー闘争が不可避的になる。この対立では、物質的生産の手段を所有する支配階級のイデオロギーが支配的であるのがつねである。しかし、社会の革命的変革とともに従来支配してきた古いイデオロギーの諸形態は、あるいは急速に、あるいは徐々に崩壊する。このさい、土台にもっとも直接につながる政治・法制などの諸体系は急速に崩壊するがこれらより距離をおいている道徳や芸術のイデオロギーの崩壊は緩慢である。イデオロギーの成立・発展は、土台からの規定をうけるが、ここにみられるところからもわかるように、土台にたいして相対的な独立性をもっており、それは過去のその領域で成果を受けついだり否定したりすることによって成りたち、このようなその領域での発展関係をもちながら、その時々の社会的経済諸関係、土台からの規定をうけるのである。そして上部構造としてはこのように生じてくるイデオロギーは、これらがいったん発生すれば、土台に対して作用しかえし、土台を強化するのに役だちもするし、またそれらの変革を促進する働きもする。それは、精神活動を通じて行動する人間を動かす働きをするからである。なお、イデオロギーが社会的な客観的事態に規定されたその反映であることをみずに、この精神の産物に独立的な地位をあたえる見解は、虚偽な、思いちがいをした意識だとし、こうした意識のもとに考えられた観念の組織を、とくにイデオロギーと名づける場合も、マルクス主義の創始者達の用語にみられる。