歴史主義historism (520)

最終更新日:2002年05月09日 船戸和弥のホームページ

哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)から引用:括弧内は参照頁。

 これは、いうまでもなく歴史的意識が発展することによって生じてきた。事物、現象を、その発生と発展において、これらを規定する具体的条件において認識することを原理とするもの。それは、諸現象を歴史発展の産物として扱うものである。すなわち、諸現象が生じてきた根拠、発展の基礎、現在の状態にたっした経路をたずねる。それは、このような歴史的過程において、それの本質・質的特徴をきめる性質や結合の仕方を映しだしているものをとらえることをめざす。こうして、この立場は、事物の変化の不可逆的で継起的な性質を前提にしているものであり。つまり、くり返しではなく、新たなものの出現の実態をとらえようとするのである。したがって、弁証法的方法の本質的な扱い方をなすものであって、マルクス主義はこの立場にたって、社会現象を明らかにするものである。しかし歴史主義には、このような積極的な面とともに、歴史的主義によって相対主義をとなえる立場もある。それは、歴史現象は各時代に特有なものをそのあるがままにとらえることこそが、歴史的現象に忠実なことであり、これとはちがって、そこに時代の継起にしたがって発展があり進歩があるとか、ないしは退歩があるとというのは、かえって歴史の各時代の特有なものの認識をそこなうものであるとする。ディルタイなどが自然科学と区別して精神科学を提唱したのには、こういう意味の相対主義としての歴史主義がある。また、歴史主義は、この立場と関連することであるが、自然主義に対するものとして、たんに人間の歴史を精神的所産として、自然の発展とは切りはなし観念論的に説明していうとする試みとしてもあらわれる。