精神科学Geisteswissenschaften (255)

最終更新日:2002年05月09日 船戸和弥のホームページ

哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)から引用:括弧内は参照頁。

 科学分類の一種であり、自然に関する科学、自然科学にたいして精神にかんする科学として精神科学をたてる。それは観念論哲学の立場からの科学分類法であり、精神活動の活動を、物質的生活すなわち現実の社会生活から規定されているのではなく、むしろこれのほうが精神活動によって規定されていると見るところに生じる。この分類を説いた代表的哲学者は、ドイツのヴント、ディルタイらである。ヴントによると精神科学は、、1)現象論的科学として精神過程を研究する心理学、およびこれに関連する科学、2)組織論的科学として、精神的所産の研究である法律学、経済学などの特殊科学、3)発生論的科学として、上記二つの科学の結合といえる歴史学とされる。ディルタイによると、精神科学の成立は意識的事実にもとづくもので、この事実はたんに表象だけでなく意志や感情を合わせもつ全体的人間のもので、この人間の立場にとっては外的世界もこの意識的事実として内面化されるのであって、自然科学があつかうように自然をただ<説明>するにつきるのではなく、意識的事実なるものを<追体験>し<了解>して、<記述する>ことによってなりたつという。この追体験・了解にかんする研究が、かれのいう心理学的であり、これをもとにして歴史的・社会的な所産を、人間の精神生活の表現と見て、それらを対象とする科学が精神科学といわれる。