止揚aufheben (215)

最終更新日: 2002年05月09日 船戸和弥のホームページ

哲学事典(森 宏一編集、青木書店 1981増補版)から引用:括弧内は参照頁。

 揚棄ともいう。ヘーゲルの弁証法で用いられる語。このドイツ語の意味としては<高める><保存する>および<否定する>といういくつをいいあらわすが、ふつういは<否定する>という意味に遣われた(たとえばカントの用い方)。ヘーゲルはこれらの意味を採用して、弁証法上の発展において古い質が否定されて新しい質に移りゆくとき、古い質にあるものがすべて否定されてしまうのではなくて、そのうちの積極的なものは新しい質のうちに保存されるようになるという、否定と保存との二面が、そこにあるのを示すのに用いる。マルクス・エンゲルスが弁証法を唯物論の立場でとらえている場合にも、この語を使っていることがある。→否定の否定の法則。