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脳血管内治療に用いる各種デバイス

くも膜下出血と脳血管内手術

最終更新日: 14/05/01

くも膜下出血(破裂脳動脈瘤)と脳血管内手術(コイル塞栓術)

くも膜下出血とその治療方法について

1)くも膜下出血とは

 脳の表面には“くも膜”という薄い膜があります“くも膜”の下、つまりくも膜と脳の間に出血を起こした状態を“くも膜下出血”と呼びます。原因は脳動脈にできた瘤つまり動脈瘤(どうみゃくりゅう)の破裂によるものが大部分です.男性より女性に多く,40歳以降に多くみられ,年齢とともに増加します.家系内に動脈瘤やくも膜下出血の方がいるときは発生頻度が高く,また高血圧,喫煙,過度の飲酒は動脈瘤破裂の可能性を数倍高くするという報告もあります.その他,血管奇形や外傷などもくも膜下出血の原因となります.死亡率が高く,手術により救命できても後遺症を残す場合も多く,現在でも、怖い病気といえます.(社)日本脳神経外科学会HP 脳神経外科疾患情報ページより改変

2)動脈瘤の好発部位

前交通動脈瘤、中大脳動脈瘤、内頚動脈瘤、脳底動脈瘤、椎骨動脈瘤

3)症状

①「頭を殴られたような」突然の激しい頭痛

②意識が朦朧(もうろう)とする、意識を失う、意識障害

③嘔気嘔吐、血圧上昇

④物が二重に見えることもある(動眼神経麻痺)

4)再出血、再破裂の予防のための手術について

a.経過観察(未治療)。再出血すれば、症状が重篤になる可能性があります。

b.脳血管内手術(コイル塞栓術)。血管内治療と呼ばれる新しい治療法ですが,まだ治療できる施設が少ないのが現状です.開頭手術の困難な深い部位の動脈瘤でも治療可能ですが,動脈瘤の形がくびれていないとうまくコイルをつめることができないので,すべての動脈瘤に行えるわけではありません.近年、クリッピングに比べて成績が良いという報告がなされ,治療例が増えてきています.

c.開頭手術(クリッピング手術)。全身麻酔で、外科的に開頭を行い手術用の顕微鏡を用いて脳をうまく分けて,動脈瘤まで到達します.破裂した動脈瘤の根元を専用のクリップではさみ,血液が流入しないようにします.動脈瘤が脳表に近いあるいは小さい場合は手術しやすいのですが、奥深いあるいはサイズが大きい場合には困難となります.

5)脳動脈瘤に対する脳血管内手術(コイル塞栓術)について

 脳動脈瘤に対する血管内手術(コイル塞栓術)とは、破れやすい動脈瘤の中にプラチナ(白金)でできた髪の毛のような柔らかいコイルを入れてゆき、動脈瘤に中をコイルでいっぱいにして血液が動脈瘤の中に入らないようにする方法です。全身麻酔で、通常、足の付け根から直径2~3mm程度の管(ガイディングカテーテル)を血管内へ入れ、これを動脈瘤のある血管の近位へ進めます(シースイントロデューサーシースレスガイディングガイディングカテーテル)。肘の血管からカテーテルを入れることもあります。このガイディングカテーテルの内腔へ、マイクロカテーテルという非常に細いチューブをマイクロガイドワイヤー(ガイドワイヤー~微細血管~)を用いて脳血管を通して動脈瘤へ挿入します。次にマイクロカテーテルへプラチナコイルを注意深く挿入してゆきます。コイルがうまく動脈瘤に収まらない場合には、動脈瘤近傍で風船付きカテーテル(リモデリング用バルーンカテーテル)をふくらませたり、動脈瘤用のステント(頭蓋内ステント)で支えたりしてコイルを動脈瘤内へ留置します。マイクロカテーテルやコイルの操作は非常に微妙で患者様が動くと危険ですので通常全身麻酔をかけて行います。手術中にマイクロカテーテルやコイルに血栓が付くと脳梗塞の原因になることがあるのでヘパリンという血液を固まりにくくする薬が使われます。

6)どのような患者さんに行われるか?

 開頭手術より血管内手術の方が安全に行われると考えられる場合、全身状態が悪く開頭手術ができない場合、患者様が開頭手術より血管内手術を希望する場合。

7)どのような合併症があるか

 合併症のおこる頻度は3~5%です。血管壁やカテーテル、コイルに付いた血栓がはがれて血管を閉塞すると脳梗塞のおこることがあります。また、コイルなどで動脈瘤より外の血管が詰まっても脳梗塞の起こるおそれがあります。手術中に再破裂をきたすこともあります。これらの合併症が原因で麻痺や言語障害などの神経症状や意識障害が残る可能性もあります。また、ヘパリンという薬を使うために穿刺部に血腫ができたり他の場所に出血することも稀にあります。

8)手術(塞栓術)の後はどうか

手術(塞栓術)後24時間は厳重な観察が必要です。患者様によって違いますが、ヘパリンという血液を固まりにくくする薬を点滴したり抗血小板剤という薬の投与が必要なこともあります。手術後期間が経つとコイルが動脈瘤の中に押し込まれて動脈瘤の再発、増大をきたすことがあるので定期的な検査を受ける必要があります。

合併症

 ①上下肢の運動麻痺、知覚障害(病側と反対側、正中の場合両側)

 ②失語

 ③くも膜下出血、意識障害

 ④感染症(肺炎、尿路感染症、創部感染)

 ⑤ストレス性潰瘍

 ⑥血管解離

平成  年  月  日

東京歯科大学市川総合病院 脳神経外科

医師               _


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東京歯科大学市川総合病院
脳神経外科 片山正輝