一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/14

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Ossa; Systema skeletale(骨、骨格系)Bones

Ossa cranii(頭蓋骨、ズガイコツ)Bones of cranium とうがいこつ、ずがいこつ [A02.1.01.001] Feneis: 008 01

 頭蓋は15種23個の骨、すなわち10種16個の頭蓋骨および5種7個の顔面骨とにより形成されている。頭蓋骨は中枢神経系および感覚器に接する部分を形成する骨格で後頭骨(1個)、蝶形骨(1個)、側頭骨(1対2個)、頭頂骨(1対2個)、前頭骨(1個)、篩骨(1個)、下鼻甲介(1対2個)、涙骨(1対2個)、鼻骨(1対2個)、及び鋤骨(1個)である。頭蓋を構成する骨の分類には諸学者による見解の相違があり、後頭骨、蝶形骨、側頭骨、頭頂骨、前頭骨の5種7個を脳頭蓋とし、他の10種16個を顔面骨とする意見もある。

Os parietale(頭頂骨)Parietal bone とうちょうこつ [A02.1.02.001] Feneis: 016 24

 頭頂骨は正中線で合して頭頂をつくる1対の頭蓋冠の大部分を形成するほぼ四角形の偏平骨で、4縁、4角、2面を有する。4縁のうち後方で後頭鱗接する部分を後頭縁といい人中縫合をなし、下方で側頭鱗に接する部分を鱗縁といい輪状縫合をなす。4角のうち後上角の後頭角は鈍角、後下角の乳突角は鋭角、前上角の前頭角はほぼ直角、前下角の蝶形骨角は鋭角をなす。外面は頭頂面ともよばれ凸面をなし、中央部でとくに膨隆した部分を頭頂結節という。頭頂結節は胎児および若年頭蓋で著明である。また左右両側の頭頂結節間の距離が頭蓋の幅の最も広いところ、すなわち最大脳頭蓋幅径として知られている。頭頂結節の下方に上下2本の弓状の線が認められるが、上の線を上側頭線といい側頭筋膜の着く所である。下の線を下側頭線といい側頭筋の着くところである。矢状縫合の後方部に頭頂孔という小孔があり、ここを頭頂導出静脈が通る。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などが認められ、骨の上縁に沿って幅の広い矢状溝があり、他側の頭頂骨の同名溝と合して完全な上矢状洞溝となる。この近くには多数の小窩があり、クモ膜顆粒をいれる。また乳突角の部分にはS状洞溝の上部の一部が認められる。

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Facies interna(頭頂骨の内面)Internal surface of parietal bone とうちょうこつのないめん [A02.1.02.002] Feneis: 016 25

 頭頂骨の内面は全般にくぼんでおり、脳表面の凹凸に応じて脳隆起、指圧痕および動静脈孔をもとめる。

Sulcus sinus sigmoidei(S状洞溝)Groove for sigmoid sinus えすじょうどうこう [A02.1.02.003] Feneis: 016 26

 S状洞溝は頚静脈孔へ入るまでのS状静脈洞をいれる溝。この溝の上方は後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづき、乳突孔の内孔はこの溝に開く。

Sulcus sinus sagittalis superioris(上矢状洞溝)Groove for superior sagittal sinus じょうしじょうどうこう [A02.1.02.004]

 頭頂骨の内面の上縁には対側の頭頂骨とつくる矢状縫合に一致して広く浅い上矢状洞溝があり、後頭鱗の内面にある同名の溝のつづきである。

Sulcus arteriae meningeae mediae(中硬膜動脈溝)Groove for middle meningeal artery ちゅうこうまくどうみゃくこう [A02.1.02.005]

 中硬膜動脈の前枝と後枝に対する溝が明らかである。

Sulci arteriosi(動脈溝)Grooves for arteries どうみゃくこう [A02.1.02.006]

 中硬膜動脈溝と同義語である。

Facies externa(頭頂骨の外面)External surface of parietal bone とうちょうこつのがいめん [A02.1.02.007] Feneis: 016 27

 頭頂骨の外面は全般に凸面を呈する。

Linea temporalis superior(頭頂骨の上側頭線)Superior temporal line of parietal bone とうちょうこつのじょうそくとうせん [A02.1.02.008] Feneis: 016 28

 頭頂結節の下に弓状をえがく上側頭線がある。側頭筋膜がつく。

Linea temporalis inferior(頭頂骨の下側頭線)Inferior temporal line of parietal bone とうちょうこつのかそくとうせん [A02.1.02.009] Feneis: 016 29

 頭頂結節の下方に上下2本の弓状の線が認められるが、下の線を下側頭線といい側頭筋の着くところである。

Tuber parietale; Eminentia parietalis(頭頂結節、頭頂隆起)Parietal tuber とうちょうけっせつ、とうちょうりゅうき [A02.1.02.010] Feneis: 016 30

 頭頂骨の外面の中央で頭頂結節はとくにとくに高くなる。

Margo occipitalis(頭頂骨の後頭縁)Occipital border of parietal bone とうちょうこつのこうとうえん [A02.1.02.011] Feneis: 016 31

 頭頂骨の後方の後頭縁は後頭骨に接し、ラムダ[状]縫合をつくる。

Margo squamosus(頭頂骨の鱗縁)Squamosal border of parietal bone とうちょうこつのりんえん [A02.1.02.012] Feneis: 016 32

 頭頂骨の下方の鱗縁は3部にわかれ、前部は蝶形骨大翼に、後部は側頭骨乳突部に接するが、最も長い中部は側頭鱗の上縁によって下外方から被われる。

Margo sagittalis(頭頂骨の矢状縁)Sagittal border of parietal bone とうちょうこつのしじょうえん [A02.1.02.013] Feneis: 016 33

 頭頂骨の上方の矢状縁は対側の頭頂骨に接し、矢状縫合をつくる。

Margo frontalis(頭頂骨の前頭縁)Frontal border of parietal bone とうちょうこつのぜんとうえん [A02.1.02.014] Feneis: 016 34

 頭頂骨の前頭縁は前頭骨に接し、冠状縫合をつくる。

Angulus frontalis(頭頂骨の前頭角)Frontal angle of parietal bone とうちょうこつのぜんとうかく [A02.1.02.015] Feneis: 016 35

 前上方の前頭角は直角になっている。

Angulus occipitalis(頭頂骨の後頭角)Occipital angle of parietal bone とうちょうこつのこうとうかく [A02.1.02.016] Feneis: 016 36

 後上方の後頭角は鈍角になっている。

Angulus sphenoidalis(頭頂骨の蝶形骨角)Sphenoidal angle of parietal bone とうちょうこつのちょうけいこつかく [A02.1.02.017] Feneis: 016 37

 前下方の蝶形骨角は鋭角になっている。

Angulus mastoideus(頭頂骨の乳突角)Mastoid angle of parietal bone とうちょうこつのにゅうとつかく [A02.1.02.018] Feneis: 016 38

 後下方の乳突角はやや円くなっている。

Foramen parietale(頭頂孔)Parietal foramen とうちょうこう [A02.1.02.019] Feneis: 016 39

 頭頂骨の上縁の後方部に近く頭頂孔(頭頂導出静脈が通る)があるが、頭頂孔の大きさは個人差が大きい。

Os frontale(前頭骨)Frontal bone ぜんとうこつ [A02.1.03.001] Feneis: 018 01

 前頭骨は頭蓋冠の前部を形成する単一の骨であるが、これは左右両半部からの1対2個の骨が正中線上での融合により1個になったものである。ほぼ垂直位を前頭鱗と水平位をなす眼窩部と両側眼窩部間にある鼻部とによりなる。前頭鱗には内面、外面、側頭面の3面がある。外面は前頭面とも呼ばれ前方に向かって膨隆し、最も突出した部分を前頭結節という。その下方にある弓状の隆起を眉弓の間には平坦な部分があり、ここが眼窩部との境界である。眼窩上縁の内側半部には2個の切痕または孔があるが、内側のものを前頭切痕(まれに前頭孔)、外側のものを眼窩上孔(まれに眼窩上切痕)という。眼窩上縁は外下方に突出して頬骨突起となり、頬骨の前頭突起と結合する。また頬骨突起の上縁から側頭線が後上方へ走る。側頭線の後下方の面を側頭面という。内面は大脳面ともよばれ凹面をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝などがある。上部中央には上矢状洞溝があるが、これは頭頂骨の同名溝の延長部である。この溝は前下方にいくにしたがい先細りとなり、下方では前頭稜という隆起に移行する。その最下端部は篩骨の鶏冠との間に盲孔を形成する。盲孔の底は閉塞されている場合が多いが、開口されている場合は鼻腔に通じる導出動脈が通る。前頭鱗の眉間ないし眉弓の内部にある空洞を前頭洞といい、前頭洞中隔により左右両部に分けられている。前頭洞の開口部を前頭洞口といい、これから篩骨漏斗を経て鼻腔の中鼻道に通じている。鱗部の後上部の大部分は頭頂骨に接し、これを頭頂縁という。眼窩部は眼窩上壁をなす部分で、ほぼ三角形であり、両側眼窩部の間には前後に細長い篩骨切痕がある。上面は大脳面で軽い凸面をなし、指圧痕、脳隆起がとくに著明である。下面は眼窩面で凹面をなし、その外側に涙腺窩があり、涙腺を容する。また前内側部には小さな陥凹があり、これを滑車窩といい、ここに滑車棘という小突起をみることがある。前縁は既述の眼窩上縁であり、後縁は蝶形骨縁で鋸歯状をなし、蝶形骨の大翼および小翼と接する。内側縁は篩骨切痕を囲み、篩骨蜂巣に対応する大小の窩を有する。鼻部はおよび上顎骨の前頭突起に接する。鼻骨縁の中央部から下方に突出する小突起を鼻棘という。左右の前頭骨が融合しない正中線上に縫合が残存しているものがあり、これを前頭縫合遺残という。

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Squama frontalis(前頭骨の前頭鱗)Squamous part of frontal bone ぜんとうこつのぜんとうりん [A02.1.03.002] Feneis: 018 02

 前頭骨の前頭鱗は額の骨格をつくり、殆ど垂直に立つ鱗状の部で、その外面はふくれ高まり、内面はくぼむ。これに外面、側頭面および内面の3面がある。

Facies externa(前頭骨の外面)External surface of frontal bone ぜんとうこつのがいめん [A02.1.03.003] Feneis: 018 03

 前頭骨の外面は前に向かって全般につよくふくれ上がる。

Tuber frontale; Eminentia frontalis(前頭結節)Frontal tuber ぜんとうけっせつ [A02.1.03.004] Feneis: 018 04

 前頭骨の外面のほぼ中高で正中線の両側に前頭結節が隆起する。

Arcus superciliaris(眉弓)Superciliary arch びきゅう [A02.1.03.005] Feneis: 018 05

 前頭結節の下には左右それぞれ凹面を下にむけた弓状の眉弓が高まる。

Glabella(眉間、グラベラ)Glabella みけん、ぐらべら [A02.1.03.006] Feneis: 018 06

 両側の眉弓の間の平らな部は眉間である。

(Sutura frontalis persistens; Sutura metopica)((前頭縫合))(Frontal suture) ぜんとうほうごう [A02.1.03.007] Feneis: 054 11

 5~6歳で癒合する前頭骨左右半部間の縫合。成人でも眉間縫合として残ることがある。

Margo supraorbitalis(眼窩上縁)Supra-orbital margin がんかじょうえん [A02.1.03.008] Feneis: 018 07

 眉弓の下には眼窩上縁(その内側面および眉弓から前頭筋が起こり、さらにその内方から皺眉筋が出る)があり、眼窩に対する境となる。眼窩上縁の外側部は強く突出して頬骨と結合する頬骨突起となる。

Incisura supraorbitalis /foramen supraorbitale(眼窩上切痕または孔)Supra-orbital notch/foramen がんかじょうせっこんまたはこう [A02.1.03.009] Feneis: 018 08

 眼窩縁の内側部に2個の切痕または孔を認める。その外側のものを眼窩上孔(または眼窩上切痕)という。、眼窩上動脈および眼窩上神経外側枝の出口。三叉神経枝の圧痛点。

Incisura frontalis/foramen frontale(前頭切痕、前頭孔)Frontal notch/foramen ぜんとうせっこん、ぜんとうこう [A02.1.03.010] Feneis: 018 09

 眼窩縁の内側部に2個の切痕または孔を認める。その内側のものを前頭切痕(または前頭孔)という。滑車上動脈および眼窩上神経内側枝の出口。

Facies temporalis(前頭骨の側頭面)Temporal surface of frontal bone ぜんとうこつのそくとうめん [A02.1.03.011] Feneis: 018 10

 側頭線より後下方の面を側頭面といい、側頭窩壁の前上部をつくる。

Margo parietalis(前頭骨の頭頂縁)Parietal margin of frontal bone ぜんとうこつのとうちょうえん [A02.1.03.012] Feneis: 018 11

 後方に向いた、頭頂骨への連結縁。

Linea temporalis(前頭骨の側頭線)Temporal line of frontal bone ぜんとうこつのそくとうせん [A02.1.03.013] Feneis: 018 12

 頬骨突起の後縁は稜状に高い線となって上後方に向かって延び、側頭線となる。

Processus zygomaticus(前頭骨の頬骨突起)Zygomatic process of frontal bone ぜんとうこつのきょうこつとっき [A02.1.03.014] Feneis: 018 13

 眼窩の外側にあり、頬骨と結合する突起。

Facies interna(前頭骨の内面)Internal surface of frontal bone ぜんとうこつのないめん [A02.1.03.015] Feneis: 018 14

 前頭骨の内面は後方を向くくぼんだ面で、脳の前端を容れるところとなる。軽度の脳隆起、指圧痕、樹枝状の中硬膜動脈溝などを見る。

Crista frontalis(前頭稜)Frontal crest ぜんとうりょう [A02.1.03.016] Feneis: 018 15

 前頭骨の上矢状洞溝は頭頂骨の同名溝の延長部であり、前下方にいくにしたがい先細りとなり、下方では前頭稜という隆起に移行する。

Sulcus sinus sagittalis superioris(上矢状洞溝)Groove for superior sagittal sinus じょうしじょうどうこう [A02.1.03.017] Feneis: 018 16

 前頭骨の正中線にある上矢状洞溝は頭頂骨間を走る同名の溝のつづきで、下方に至るにしたがって狭少となる。上矢状静脈洞をいれる。

Foramen caecum(前頭骨の盲孔)Foramen caecum of frontal bone ぜんとうこつのもうこう [A02.1.03.018] Feneis: 018 17

 前頭稜の下端に深い盲孔がある。通常盲端で終る管。貫通しているときは、付加的な導出静脈が通る。

Pars nasalis(前頭骨の鼻部)Nasal part of frontal bone ぜんとうこつのびぶ [A02.1.03.019] Feneis: 018 18

 前頭骨の鼻部は篩骨切痕の前方、眉間の下方にある狭い部を指す。

Spina nasalis(前頭骨の鼻棘)Nasal spine of frontal bone ぜんとうこつのびきょく [A02.1.03.020] Feneis: 018 19

 鼻骨縁の中央から1本の長い鼻棘が下方に突出する。鼻棘の前方は鼻骨、両側は上顎骨前頭突起、後方は篩骨垂直板が連結するところである。

Margo nasalis(前頭骨の鼻骨縁)Nasal margin of frontal bone ぜんとうこつのびこつえん [A02.1.03.021] Feneis: 018 20

 前頭骨の鼻部の大部分が鋸歯状で著しく粗な鼻骨縁となる。

Pars orbitalis(前頭骨の眼窩部)Orbital part of frontal bone ぜんとうこつのがんかぶ [A02.1.03.022] Feneis: 018 21

 前頭骨の眼窩部は左右にあって眼窩上壁の大部分をつくる薄い骨板である。両側の間に馬蹄形の大きい篩骨切痕があって、ここには篩骨の篩板がはまる。眼窩部の上面は前頭鱗内面のつづきで大脳をのせるが、全体としてふくれ上がり、脳隆起および指圧痕がとくに著しい。

Facies orbitalis(前頭骨の眼窩面)Orbital surface of frontal bone ぜんとうこつのがんかめん [A02.1.03.023] Feneis: 018 22

 前頭骨の眼窩部の下面は眼窩に面する眼窩面でくぼんでおり、その前外側の隅に涙腺窩があって涙腺をいれる。

(Spina trochlearis)((滑車棘))(Trochlear spine) かっしゃきょく [A02.1.03.024] Feneis: 018 23

 前頭骨の滑車窩に小さい滑車棘をまれに見る(上斜筋の腱の方向を転ずる滑車が着く)。

Fovea trochlearis(滑車窩)Trochlear fovea かっしゃか [A02.1.03.025] Feneis: 018 24

 前頭骨の眼窩面の前内側の隅には小さい滑車窩がある。

Fossa glandulae lacrimalis(涙腺窩)Fossa for lacrimal gland るいせんか [A02.1.03.026] Feneis: 018 26

 外側眼窩角にある凹みに涙腺窩があって涙腺をいれる。

Margo sphenoidalis(前頭骨の蝶形骨縁)Sphenoidal margin of frontal bone ぜんとうこつちょうけいこつえん [A02.1.03.027] Feneis:

 眼窩部の後縁は蝶形骨縁で鋸歯状をなし、蝶形骨の大翼および小翼と接する。

Incisura ethmoidalis(篩骨切痕)Ethmoidal notch しこつせっこん [A02.1.03.028] Feneis: 018 27

 前頭骨の眼窩部の左右の両側の間に馬蹄形の大きい篩骨切痕があって、ここに篩骨の篩板がはまる。

Sinus frontalis(前頭洞)Frontal sinus ぜんとうどう [A02.1.03.029] Feneis: 018 28

 前頭洞は眉間の辺りにある副鼻腔で、篩骨漏斗に開口する。

Apertura sinus frontalis(前頭洞口)Opening of frontal sinus ぜんとうどうこう [A02.1.03.030] Feneis: 018 29

 上顎骨前頭突起が着く部の後側に大きい深い前頭洞口があり、ここから前頭鱗内に前頭洞がひろがる。

Septum sinuum frontalium(前頭洞中隔)Septum of frontal sinuses ぜんとうどうちゅうかく [A02.1.03.031] Feneis: 018 30

 前頭洞は一般に前頭洞中隔によって左右に分けられ、おおむね三角形状にひろがるが、その形や広さには個人差が大きい。ときには片側または両側が欠けることがある。

Os occipitale(後頭骨)Occipital bone こうとうこつ [A02.1.04.001] Feneis: 008 02

 脳頭蓋の後下部にある単一の骨で、頭蓋の脊柱上端に連なる部をつくる。前方は蝶形骨体、外方は側頭骨の岩様部、上方は頭頂骨と接するその形はほぼ舟状で、内面はくぼみ、外面はふくれる。後頭骨は胎生期後半には4つの部分に分離している。前端に近く大きな大後頭孔があって、それより前方の底部、両側の外側部、後方の後頭鱗の3部に分けられる。これらの4部が癒合して単一の骨になるのは生後3~4年たってからであるが、各部の名前だけは成人の骨にも残されている。

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Foramen magnum(大後頭孔、大孔)Foramen magnum だいこうとうこう、だいこう [A02.1.04.002] Feneis: 008 03

 大後頭孔(大孔)は大きさや形に変化があるが、一般に前後に長い卵円形である。大後頭孔は頭蓋腔と脊柱管とを結ぶ孔で、したがって脳の脊髄につづく部である延髄下部が副神経脊髄根、椎骨動脈、静脈叢などととみにこれを通る。

Basion(バジオン、基底点)Basion ばじおん、きていてん [A02.1.04.003] Feneis: 008 04

 頭蓋骨計測点。正中矢状断面における大後頭孔前縁の中点。

Opisthion(オピスチオン、後頭点)Opisthion おぴすちおん、こうとうてん [A02.1.04.004] Feneis: 008 05

 大後頭孔の後縁の中央点。

Pars basilaris(後頭骨の底部)Basilar part of occipital bone こうとうこつのていぶ [A02.1.04.005] Feneis: 008 06

 後頭骨の底部は大後頭孔前縁の前方にある長方形の板状部で、内頭蓋底と外頭蓋底の斜台の下半分を作る。両側縁は側頭骨の錐体と軟骨結合している。

Clivus(斜台)Clivus しゃだい [A02.1.04.006] Feneis: 030 05

 後頭骨の底部の上面は蝶形骨の鞍背から大後頭孔に至る斜台の下半分にあたり、滑らかですこしくぼんだ斜面となる。

Tuberculum pharyngeum(咽頭結節)Pharyngeal tubercle いんとうけつせつ [A02.1.04.007] Feneis: 008 08

 後頭骨の底部の下面は筋の付着部となるため全般に粗で、その中央に小さい咽頭結節がある。咽頭結節は咽頭後壁の咽頭縫線が着く所である。その両側には上咽頭収縮筋、そのさらに側方には頭長筋、前頭直筋が着く。

Sulcus sinus petrosi inferioris(下錐体洞溝)Groove for inferior petrosal sinus かすいたいどうこう [A02.1.04.008] Feneis: 008 07

 後頭骨の底面の上面の側縁には、下錐体静脈洞をいれる下錐体洞溝がある。

Pars lateralis(後頭骨の外側部)Lateral part of occipital bone こうとうこつのがいそくぶ [A02.1.04.009] Feneis: 008 09

 後頭骨の外側部は大後頭孔の両側にある部分で、下面に後頭顆がある。そのやや外側の前縁には頚静脈切痕という切れ込みがあり、これは頚静脈孔の壁の下半を作る(壁の上半は側頭骨の同名の切痕)。この頚静脈孔は後頭骨および側頭骨から出る小さい[頚静脈]孔内突起によって前後の2部に分かれる。前部は小さく、舌咽神経、迷走神経、副神経、および下錐体静脈洞がここを通る。後部は大きく、内頚静脈の通路である。頚静脈切痕の後方の骨部は外側方に突出して頚静脈突起となり、その肥厚した外側縁は側頭骨の岩様部と軟骨性に結合する。外側部の下面には大後頭孔の前半の両側にあたり、後頭顆が突出する。その表面は滑らかで、少し外方に傾斜した楕円形の凸面で、その長軸は前内側から後外側に向かう。後頭窩は環椎の上関節窩に対する関節頭をつくる。横溝(外側部と底部が別個に形成され、癒着した部にあたる)によって前後に2分されることもある。また、正中面に対する角度には個人差が大きい。後頭窩の基底部を後内方から前外方に斜に舌下神経管が貫く。後頭顆の後には顆窩があり、顆導出静脈が通る顆管がここに開く。顆管の太さは個人差がはなはだしく、同一個体でも両側のものの差が著しいことが少なくない。外側部の上面には後頭窩の上に相当して頚静脈結節があり、それが大後頭孔に向かう面の基部に舌下神経管の内口が開く。頚静脈突起は上面ではとくに突隆し、それを後から内前方へS状洞溝の末端がめぐって頚静脈切痕の後縁に達している。顆管の内口が明瞭に見られるときは、この屈曲点よりやや前方に位置することが被い。

Squama occipitalis(後頭骨の後頭鱗)Squamous part of occipital bone こうとうこつこうとうりん [A02.1.04.010] Feneis: 008 10

 後頭鱗は大後頭孔の後方にある広い扁平な骨部で、頭蓋冠の後頭の部分と頭蓋底の後部を作る。その縁は不正三角形の広大な鱗状部である。その鋸歯状で大部分はラムダ縫合をもって頭頂骨と接するが、下方では側頭骨とも接する。後頭骨はその大半が軟骨性骨化によって生ずるが、後頭鱗のうち下項線から上方の部分だけは線維性骨窩によって生ずる膜性骨である。しかも後者は数個との骨化中心から出来るので、それら相互の癒合の様子次第で小さい2~4個の、または大きい1個の頭頂間骨(インカ骨)が独立する変異が生ずる。

Margo mastoideus(後頭鱗の乳突縁)Mastoid border of occipital bone こうとうりんのにゅうとつえん [A02.1.04.011] Feneis: 008 11

 後頭鱗が側頭骨岩様部の後頭縁と接するところところ乳突縁という。

Margo lambdoideus(後頭鱗のラムダ状縁、後頭鱗のラムダ縁)Lambdoid border of occipital bone こうとうりんのらむだじょうえん、こうとうりんのらむだえん [A02.1.04.012] Feneis: 008 12

 頭頂骨の後頭縁と接するところところラムダ状縁という。

(Os interparietale)((頭頂間骨))(Interparietal bone) とうちょうかんこつ [A02.1.04.013] Feneis: 008 13

 後頭鱗上部の後頭面にあたる部が独立の骨となっていることがありこれを頭頂間骨という。南米ペルーのインカ族に多いためインカ骨(Os Incae)ともいう。

Condylus occipitalis(後頭顆)Occipital condyle こうとうか [A02.1.04.014] Feneis: 008 14

 大後頭孔の両側部は外側部といい下面に後頭顆という関節面を有する高まりがあり、これは第1頚椎の状関越かと関節する。

Canalis condylaris(顆管)Condylar canal かかん [A02.1.04.015] Feneis: 008 15

 顆窩には顆導出静脈を通す顆管が開口する。導出静脈とは、頭蓋腔の内部と外部の静脈を連絡する静脈で、頭蓋骨の骨組織中を走るもの。

Canalis nervi hypoglossi(舌下神経管)Hypoglossal canal ぜっかしんけいかん [A02.1.04.016] Feneis: 008 16

 後頭顆の上方には後内方から前外方に舌下神経の通路である舌下神経管が走る。

Fossa condylaris(顆窩)Condylar fossa かか [A02.1.04.017] Feneis: 008 17

 後頭顆の後方に顆窩という凹みがある。

Tuberculum jugulare(頚静脈結節)Jugular tubercle けいじょうみゃくけっせつ [A02.1.04.018] Feneis: 008 18

 舌下神経管を覆う後頭骨内側面の小隆起を頚静脈結節という。

Incisura jugularis(後頭骨の頚静脈切痕)Jugular notch of occipital bone こうとうこつのけいじょうみゃくせっこん [A02.1.04.019] Feneis: 008 19

 後頭骨の外側部の前部に頚静脈切痕があり、側頭骨岩様部の頚静脈切痕と合して頚静脈孔をつくる。

Processus jugularis(頚静脈突起)Jugular process けいじょうみゃくとっき [A02.1.04.020] Feneis: 008 20

 頚静脈切痕の後部から外側に頚静脈突起が出る。

Processus intrajugularis(頚静脈孔内突起、孔内突起)Intrajugular process けいじょうみゃくこうないとっき、こうないとっき [A02.1.04.021] Feneis: 008 21

 頚静脈孔は後頭骨および側頭骨からでる頚静脈孔内突起により前後の2部に分かたれており、前部は小さく、ここを通るものは、舌咽神経、迷走神経、副神経、下錐体静脈洞で、後部は大きく内頚静脈が通る。

Protuberantia occipitalis externa(外後頭隆起)External occipital protuberance がいこうとうりゅうき [A02.1.04.022] Feneis: 008 22

 凸面をなす後頭鱗の外面のほぼ中央に外後頭隆起がある。

(Crista occipitalis externa)((外後頭稜))(External occipital crest) がいこうとうりょう [A02.1.04.023] Feneis: 008 24

 外後頭隆起から下方へのびて大後頭孔までいたる隆起線を外後頭稜という。

Linea nuchalis suprema(最上項線)Highest nuchal line さいじょうこうせん [A02.1.04.024] Feneis: 008 25

 両側より内方へ向かい外後頭隆起の所で外後頭稜に達する線を最上項線という。僧帽筋が付着する。

Linea nuchalis superior(上項線)Superior nuchal line じょうこうせん [A02.1.04.025] Feneis: 008 26

 最上項線の直下に外後頭隆起の高さにある横走する上項線がある。上項線は外後頭隆起の直下で外後頭稜に達するが、この到達した点がイニオンである。頭半棘筋が付着する。

Linea nuchalis inferior(下項線)Inferior nuchal line かこうせん [A02.1.04.026] Feneis: 008 27

 下項線は上項線と大後頭孔の間にあり上項線よりかなり下方にある横走する隆起線である。

Planum occipitale(後頭平面)Occipital plane こうとうへいめん [A02.1.04.027]

 脳頭蓋の後極の面を後頭平面という。

Eminentia cruciformis(十字隆起)Cruciform eminence じゅうじりゅうき [A02.1.04.028] Feneis: 008 28

 後頭鱗の内面は後方に凹み、その中央つまり内後頭隆起を中心で十字形に交わる十字隆起によって4分されている(左右の大脳後頭窩、左右の小脳後頭窩)。

Protuberantia occipitalis interna(内後頭隆起)Internal occipital protuberance ないこうとうりゅうき [A02.1.04.029] Feneis: 008 29

 十字隆起の光点はとくに突出して内後頭隆起となる。

(Crista occipitalis interna)((内後頭稜))(Internal occipital crest) ないこうとうりょう [A02.1.04.030] Feneis: 008 30

 十字隆起のうち、内後頭隆起から下に向かい大後頭孔の後縁に達する高まりを内後頭稜と呼ぶ。下矢状静脈洞を容れる溝になる場合がある。

Sulcus sinus transversi(横洞溝)Groove for transverse sinus おうどうこう [A02.1.04.031] Feneis: 008 32

 横静脈洞をいれる溝。内後頭隆起からはじまり、ほぼ水平に外方に向かって横走し、側頭骨乳突部内面でS状洞溝に移行し頚静脈孔に開口する。またS状洞溝の初部からは上錐体洞溝が、その終部からは下垂体洞溝が分かれる。

Sulcus sinus sigmoidei(S状洞溝)Groove for sigmoid sinus えすじょうどうこう [A02.1.04.032] Feneis: 008 33

 S状洞溝は頚静脈孔へ入るまでのS状静脈洞をいれる溝。この溝の上方は後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづき、乳突孔の内孔はこの溝に開く。

Sulcus sinus occipitalis(後頭洞溝)Groove for occipital sinus こうとうどうこう [A02.1.04.033]

 後頭静脈洞を容れる溝。

Sulcus sinus marginalis(辺縁洞溝)Groove for marginal sinus へんえんどうこう [A02.1.04.034]

(Processus paramastoideus)((乳突傍突起))Paramastoid process にゅうとつぼうとっき [A02.1.04.035] Feneis: 008 34

 後頭窩の後側にある顆窩の外側、すなわち頚静脈突起の下面の粗な隆起は外側頭直筋の付着部であるが、これが特に突出して乳突傍突起をつくることがあり、時には大きくなって環椎横突起と関節する。

Fossa cerebralis(後頭骨の大脳窩)Cerebral fossa こうとうこつのだいのうか [A02.1.04.036]

 大脳の後頭葉のための凹みでINAでは大脳後頭窩と呼ばれていた。

Fossa cerebellaris(後頭骨の小脳窩)Cerebellar fossa こうとうこつのしょうのうか [A02.1.04.037]

 小脳のための凹みでINAでは小脳後頭窩と呼ばれていた。

Os sphenoidale(蝶形骨)Sphenoid ちょうけいこつ [A02.1.05.001] Feneis: 010 01

 蝶形骨は頭蓋底のほぼ中央部にあり、上面観は羽を広げた蝶のように、また前方から見るとコウモリのように見える複雑な形の無対性骨である。蝶形骨は発生学的には四つの部分、すなわち体、大翼、小翼および翼状突起に4部に分けられる。これはらは生後1年以内に癒合して単一の骨となる。蝶形骨は9種の周囲の骨と相接しており、それらは後頭骨、側頭骨、頭頂骨、前頭骨、篩骨、鋤骨、上顎骨、口蓋骨、頬骨である。Sphenoidaleはクサビ(sphen)に似た(eidos)という意味で、蝶とは無関係。これは多くの骨の間にクサビのようにはまりこんだ骨だからである。日本名も以前は楔状骨であり、更に古くは胡蝶骨と呼ばれたこともある。楔状骨の名は現在では足根骨の一つに占有されている。

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Corpus(体、蝶形骨体)Body of sphenoid たい、ちょうけいこつたい [A02.1.05.002] Feneis: 010 02

 蝶形骨体は蝶形骨の中央部にあり立方体をなしている。上面中央部には鞍状を呈したトルコ鞍があり、その中央に横位楕円形の下垂体窩がある。トルコ鞍の後方には鞍背という上方に突出した骨板があり、その両側外側端の突起を後床突起という。鞍背の後部は台形をなして後頭骨の底部とともに斜台を形成する。下垂体窩の前には体の前部との境界線である鞍結節とよべる横走する稜があり、その両側端にある中床突起は発育が弱く明瞭なものは少ない。鞍結節の前には細い横走する[視神経]交叉溝があり、その両外側は視神経管につづく。交叉溝の前部は蝶形骨隆起とよばれているが、これは隆起ではなく滑らかな平面である。体の前部は小翼と後部は大翼と結合している。下錐体窩の外側と大翼の根部との間には、内側頚動脈溝という前後に走る溝があり、外側に蝶形骨小舌という突起状の骨板がある。体の下面は鼻腔、咽頭腔の上壁をなし、中央に蝶形骨吻が前下方に突出し鋤骨翼にはさまれる。体の前面中央部には蝶形骨稜という上下に走る稜線があり、篩骨の垂直板と相接する。蝶形骨稜の両側でがいおうに蝶形骨甲介が認められる。これはバルタン小骨ともよばれ、発生学的には篩骨の一部であったものが8~12歳に蝶形骨体と癒合したものでとくに若年頭蓋で著明である。体の内面は空洞状をなし蝶形骨洞とよばれ、その正中部には蝶形骨洞中隔があり、洞を左右に分けている。その前面には蝶形骨洞口という開口部が両側にあり蝶篩陥凹に通じている。

Jugum sphenoidale(蝶形骨隆起)Jugum sphenoidale ちょうけいこつりゅうき [A02.1.05.003] Feneis: 010 03

 視神経交叉溝の前方は左右の小翼の間にある滑らか平面となる。これを蝶形骨隆起といい、その前縁は篩骨の篩板と結合する。

Limbus sphenoidalis(蝶形骨の縁)Limbus of sphenoid ちょうけいこつのえん [A02.1.05.004]

 蝶形骨隆起の後部の境界および視神経交叉溝の前部の境界を形成する蝶形骨(骨)を形づくる蝶形骨体の不定に隆起した稜。

Sulcus prechiasmaticus(前視神経交叉溝、前交叉溝、前視交叉溝)Prechiasmatic sulcus ししんけいこうさこう、ぜんこうさこう、ぜんしこうさこう [A02.1.05.005] Feneis: 010 04

 鞍結節の前方には浅い[視神経]交叉溝が横に走り、その外側は視神経管に続く。

Sella turcica(トルコ鞍)Sella turcica とるこぐら [A02.1.05.006] Feneis: 010 05

 蝶形骨の中央には、トルコ風の馬の鞍に似ているのでトルコ鞍と呼ばれる特異な構造物がある。この骨のくぼみには、重要な内分泌腺の一つである下垂体が入る。

Tuberculum sellae(鞍結節)Tuberculum sellae あんけつせつ [A02.1.05.007] Feneis: 010 06

 下垂体窩の前には蝶形骨体の前部との境界線である鞍結節と呼ばれる横走する稜がある。

(Processus clinoideus medius)((中床突起))(Middle clinoid process) ちゅうしょうとっき [A02.1.05.008] Feneis: 010 07

 鞍結節の外側端が明瞭な突出となるとき、これを中床突起と呼ぶ。

Fossa hypophysialis(下垂体窩)Hypophysial fossa かすいたいか [A02.1.05.009] Feneis: 010 08

 トルコ鞍の中央の円い凹みは下垂体を容れる下垂体窩である。

Dorsum sellae(鞍背)Dorsum sellae あんぱい [A02.1.05.010] Feneis: 010 09

 トルコ鞍の後の境界は著しく隆起した鞍背がつくる。

Processus clinoideus posterior(後床突起)Posterior clinoid process こうしょうとっき [A02.1.05.011] Feneis: 010 10

 鞍背の外側端がつくる小さい突起を後床突起という。

Sulcus caroticus(頚動脈溝)Carotid sulcus けいどうみゃくこう [A02.1.05.012] Feneis: 010 11

 蝶形骨大翼の根の起こる部より上方は上面に移行する斜面で、ここを前後に広い頚動脈溝が走る。

Lingula sphenoidalis(蝶形骨小舌)Sphenoidal lingula ちょうけいこつしょうぜつ [A02.1.05.013] Feneis: 010 12

 頚動脈溝の外側境界となる稜状の隆起は、後縁から後方に突出して、小さな蝶形骨小舌をつくる。

Crista sphenoidalis(蝶形骨稜)Sphenoidal crest ちょうけいこつりょう [A02.1.05.014] Feneis: 010 13

 蝶形骨体の前面中央部には蝶形骨稜という上下に走る稜線があり、篩骨の垂直板と相接する。

Rostrum sphenoidale(蝶形骨吻)Sphenoidal rostrum ちょうけいこつふん [A02.1.05.015] Feneis: 010 14

 蝶形骨稜の下端は体下面前部の正中線から前下方に突出する蝶形骨吻となる。前下方に突出し鋤骨翼にはさまれ連結する。

Sinus sphenoidalis(蝶形骨洞)Sphenoidal sinus ちょうけいこつどう [A02.1.05.016] Feneis: 010 15

 蝶形骨体の内部は殆ど蝶形骨洞でしめられ、空洞である。その大きさは不定で、ときには体の後に結合する後頭骨の底部にも進入している。蝶形骨洞は蝶形骨体部の頭蓋底部に位置する副鼻腔である。思春期以降に発達し、成人にて含気化が顕著になるが、含気の程度にバリエーションがあり、視神経管周囲・視神経が隣接しており、(内頚動脈が走行している)頚動脈隆起・視神経管の骨性隆起、その間に視神経管頚動脈裂optico-carotid recessとよばれる陥凹が蝶形骨内面より観察される。

Septum sinuum sphenoidale(蝶形骨洞中隔)Septum of sphenoidal sinuses ちょうけいこつどうちゅうかく [A02.1.05.017] Feneis: 010 16

 蝶形骨洞中隔は蝶形骨体前面に突出して蝶形骨稜をつくる。蝶形骨洞は蝶形骨洞中隔で左右に仕切られる。

Apertura sinus sphenoidalis(蝶形骨洞口)Opening/s of sphenoidal sinus ちょうけいこつどうこう [A02.1.05.018] Feneis: 010 17

 左右の蝶形骨洞は蝶形骨体の前面の蝶形洞口で外部に開く。

Concha sphenoidalis(蝶形骨甲介)Sphenoidal concha ちょうけいこつこうかい [A02.1.05.019] Feneis: 010 18

 蝶形骨洞口の下部は体下面につづく弯曲した薄い骨板で被われ、これを蝶形骨甲介(ベルタン小骨)という。これは鼻殻軟骨の後部から発生し、本来は篩骨の一部である。

Ala minor(蝶形骨の小翼)Lesser wing of sphenoid ちょうけいこつのしょうよく [A02.1.05.020] Feneis: 010 19

 蝶形骨体の前端の両側から左右に向かって翼状に延びるほぼ三角形の部分で、その先は細くとがっている。小翼の前縁は前頭骨の眼窩部と縫合するため鋸歯状で、その正中の小部分は篩骨の篩板に接する。前根と後根の2根を有し、この両根の間に視神経管がある。前縁は鋸歯状をなすことが多く、前頭骨の眼窩部と結合する。後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。上面は平坦で頭蓋底のうちで指圧痕、脳隆起などきわめて少ない部分である。また前頭蓋窩の後部を形成し、内側では蝶形骨隆起に移行する。下面は大翼眼窩面との間に上眼窩裂を形成している。

Canalis opticus(視神経管、視神経孔)Optic canal ししんけいかん、ししんけいこう [A02.1.05.021] Feneis: 010 20

 視神経孔Optic foramenともよばれる。小翼の蝶形骨体寄りの根部は視神経管が貫通し、この管の外側には前床突起が延びだしている。視神経および眼動脈が通る。

Processus clinoideus anterior(前床突起)Anterior clinoid process ぜんしょうとっき [A02.1.05.022] Feneis: 010 21

 蝶形骨小翼の後縁は遊離縁をなし、その内側端に視神経管の後外側から後内側に向かう前床突起がある。

Fissura orbitalis superior(上眼窩裂)Superior orbital fissure じょうがんかれつ [A02.1.05.023] Feneis: 010 22

 蝶形骨小翼の下面は大翼との間にある長三角形のすきまが上眼窩裂である。動眼神経、滑車神経、外転神経、三叉神経の眼神経、上眼静脈が通る。

Ala major(蝶形骨の大翼)Greater wing of sphenoid ちょうけいこつのだいよく [A02.1.05.024] Feneis: 010 23

 蝶形骨の大翼は蝶形骨体後部の外側から前外側方へ翼状にひろがる部分である。3面および3縁を有する。上面は大脳面といわれ、凹面をなして中頭蓋窩の一部をなし、指圧痕、脳隆起、動脈溝、静脈溝が認め等えっる。この面で大翼と体の結合部近くに前内側から後外側に向かって三つの孔、すなわち正円孔、卵円孔、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔が並ぶ。正円孔は上顎神経、卵円孔は下顎神経、棘孔は中硬膜動脈および下顎神経硬膜枝の通路である。外側面は上・下の2部から成る。上部は側頭面といわれ大きく側頭窩の底をなすが、側頭加療より下内方部は側頭下面といわれ小さく側頭下窩の上壁の大部分をなす。内側面の大部分は眼窩面といわれ、ほぼ菱形をなし眼窩外側壁の形成にあずかる。その下方には上顎面があり、翼状突起に前面とともに翼口蓋窩に面し、ここに正円孔が開口する。なお眼窩面と上顎面の境は下眼窩裂の後縁をなす。上縁は前方で前頭骨と結合する短い前頭縁と、後方で頭頂骨と結合する短い前頭縁といわれ、また下部は遊離縁で下眼窩裂の上縁の一部をなしている。後縁の外側部は側頭骨鱗部と結合し鱗縁といわれ、その内側部は側頭骨錐体との間に蝶錐体裂をつくる。この裂の外側部に斜走する耳管溝がある。後縁の最後端は角をなし、そこから蝶形骨棘という小突起を出す。なお後縁と側頭骨岩様部との間に蝶錐体裂があるが、その外側部に斜走する耳管溝があり、ここに耳管軟骨をいれている。耳管孔は翼状突起根部の舟状窩につづいている。

Facies cerebralis(蝶形骨大翼の大脳面)Cerebral surface of sphenoid ちょうけいこつだいよくのだいのうめん [A02.1.05.025] Feneis: 010 24

 蝶形骨大翼の上面の深くくぼんだ大脳面は中頭蓋窩の一部となり、脳隆起、指圧痕、動脈溝、静脈溝などをみる。

Facies temporalis(蝶形骨大翼の側頭面)Temporal surface of sphenoid ちょうけいこつだいよくのそくとうめん [A02.1.05.026] Feneis: 010 25

 蝶形骨大翼の外方を向く面は側頭面で、その大部分は頭蓋の側面において側頭窩の底となる。

Facies infratemporalis(蝶形骨大翼の側頭下面)Infratemporal surface of sphenoid ちょうけいこつだいよくのそくとうかめん [A02.1.05.027]

 蝶形骨大翼の側頭下稜より下方は側頭下窩の上壁の大部分が側頭下面になり、ここに卵円孔と棘孔が開く。

Crista infratemporalis(蝶形骨大翼の側頭下稜)Infratemporal crest of sphenoid ちょうけいこつだいよくのそくとうかりょう [A02.1.05.028] Feneis: 010 32

 蝶形骨大翼の垂直部をなす側頭面と水平部の下部との間にある骨隆起が側頭下稜がある。

Facies maxillaris(蝶形骨大翼の上顎面)Maxillary surface of sphenoid ちょうけいこつだいよくのじょうがくめん [A02.1.05.029] Feneis: 010 26

 蝶形骨大翼の眼窩面の下方は明瞭な線を境として狭い上顎面につづく。

Facies orbitalis(蝶形骨大翼の眼窩面)Orbital surface of sphenoid ちょうけいこつだいよくのがんかめん [A02.1.05.030] Feneis: 010 27

 蝶形骨大翼の前内側を向く面の大部分は菱形の平滑な眼窩面でしめられる。

Margo zygomaticus(蝶形骨大翼の頬骨縁)Zygomatic margin of sphenoid ちょうけいこつだいよくのきょうこつえん [A02.1.05.031] Feneis: 010 28

 蝶形骨大翼の前縁は側頭面と眼窩面の間を下る鋭い縁で、その上部は前頭縁の一部として前頭骨の頬骨突起と結合し、以下の大部分は頬骨と結合する頬骨縁である。

Margo frontalis(蝶形骨大翼の前頭縁)Frontal margin of sphenoid ちょうけいこつだいよくのぜんとうえん [A02.1.05.032] Feneis: 010 29

 蝶形骨大翼の頭頂縁より前方大部分は前頭骨と結合する前頭縁である。頭頂縁と前頭縁の間には大翼上縁では明瞭な境界をつけられない。前頭縁より内側は内下方に下降する薄く鋭い縁(眼窩面の後壁)となる。このことは蝶形骨小翼との間にできる上眼窩裂の下縁である。

Margo parietalis(蝶形骨大翼の頭頂縁)Parietal margin of sphenoid ちょうけいこつだいよくのとうちょうえん [A02.1.05.033] Feneis: 010 30

 蝶形骨大翼の側頭面の後方小部分にあたる部は頭頂骨と結合する頭頂縁である。

Margo squamosus(蝶形骨大翼の鱗縁)Squamosal margin of sphenoid ちょうけいこつだいよくのりんえん [A02.1.05.034] Feneis: 010 31

 蝶形骨大翼の外側縁は前上から後下に向かう曲線で、側頭骨鱗部の前下部と結合する鱗縁である。

Foramen rotundum(蝶形骨大翼の正円孔)Foramen rotundum ちょうけいこつだいよくのせいえんこう [A02.1.05.035] Feneis: 010 33

 蝶形骨大翼が蝶形骨体から出る根部を貫く3孔が前内方から後外方にならぶ。最前のものは正円孔で、前方に向かって翼口蓋窩に開く。中の最も大きい卵円孔と最後の棘孔はともに頭蓋底下面に開く。正円孔は上顎神経が通る。

Foramen ovale(蝶形骨大翼の卵円孔)Foramen ovale of sphenoid bone ちょうけいこつだいよくのらんえんこう [A02.1.05.036] Feneis: 010 34

 卵円孔は大翼の後内側端に位置し、三叉神経の下顎神経の通路の開口で、棘孔の内前方にある。海綿静脈洞と翼突静脈叢を連絡することがある。

(Foramen venosum)((蝶形骨大翼の静脈孔))(Sphenoidal emissary foramen) ちょうけいこつだいよくのじょうみゃくこう [A02.1.05.037] Feneis: 010 35

 卵円孔の前内側に別に静脈孔(導出静脈の通る蝶形導出静脈溝)をみることがある。

Foramen spinosum(蝶形骨大翼の棘孔)Foramen spinosum ちょうけいこつだいよくのきょくこう [A02.1.05.038] Feneis: 010 36

 中硬膜動脈の通路の開口で、卵円孔の外後方にある。

(Foramen petrosum)(蝶形骨大翼の錐体孔)Foramen petrosum ちょうけいこつだいよくのすいたいこう [A02.1.05.039] Feneis: 010 37

 卵円孔と棘孔の間に時に開口する小錐体神経を通す孔が錐体孔である。

Spina ossiss sphenoidalis(蝶形骨棘)Spine of sphenoid bone ちょうけいこつきょく [A02.1.05.040] Feneis: 010 38

 蝶形骨の大翼の外側縁と後縁と合する部の下面からは下方に向かう鋭い蝶形骨棘がでる。蝶形骨棘には蝶下顎靱帯、翼棘突靱帯がつき、口蓋帆張筋の上部が起こる。

Sulcus tubae auditivae; Sulcus tubae auditoriae(耳管溝)Sulcus of auditory tube じかんこう [A02.1.05.041] Feneis: 010 39

 蝶形骨の大翼の後縁は側頭骨の岩様部(錐体)に対向して蝶錐体裂をつくるところで、厚く、直線的である。その外側部は斜めに走る浅い耳管溝となり、その内側端は翼状突起根部の舟状窩の上方につづいている。

Processus pterygoideus(蝶形骨の翼状突起)Pterygoid process of sphenoid ちょうけいこつのよくじょうとっき [A02.1.05.042] Feneis: 012 01

 翼状突起は蝶形骨体と蝶形骨大翼との間の下面から下方に向かい、頭蓋底面に対してほぼ直角に出る突起で、内外両側板からなり、その前面は口蓋骨垂直板および上顎体後部に接する。翼状突起の根部は前後に走る翼突管で貫かれる。

Lamina lateralis(蝶形骨の翼状突起の外側板、蝶形骨の外側板)Lateral plate of sphenoid ちょうけいこつのよくじょうとっきのがいそくばん、ちょうけいこつのがいそくばん [A02.1.05.043] Feneis: 012 02

 蝶形骨の翼状突起の外側板は内側板にくらべて広く、やや短く、矢状面に対して斜めに位置する(その外面からは外側翼突筋が起こる)。外側翼突筋の下頭が起始する。内外両側板は前縁で連結し、その前面を縦に走る浅い翼口蓋溝は翼状突起が上顎体および口蓋骨垂直板と合してつくる翼口蓋窩の後壁をつくる。また、内外両側板は後方に開いた翼突窩をつくる(ここから内側翼突筋が起こる)。しかし、内側板と外側板とはその下部では離れて翼突切痕をはさむ。ここには口蓋骨の錐体突起がはまりこんでこれを補う。外側板の後縁は鋭く、その上部から小さい翼棘突起を出すことが多い。

Lamina medialis(蝶形骨の翼状突起の内側板、蝶形骨の内側板)Medial plate of sphenoid ちょうけいこつのよくじょうとっきのないそくばん、ちょうけいこつのないそくばん [A02.1.05.044] Feneis: 012 03

 翼状突起の内側板は細長く殆ど矢状位に立ち、その下端は鈎形に外方に曲がって翼突鈎をつくる。その上にある浅い翼突鈎溝は口蓋帆張筋の腱が通るところである。内側板は後縁は上部で2分して浅い舟状窩(口蓋帆張筋が起こる)を囲む。舟状窩の上に接して上に述べた耳管溝が斜めに上外方に向かい大翼後縁までつづく。これは耳管軟骨部の着く所である。また、内側板の上端から内方に向かって、蝶形骨体の下面に沿う薄板上の鞘状突起が出る。この突起の下面の細い溝(口蓋骨鞘突溝)は後方から前夫にすすむんい従って深さを増し、口蓋骨の蝶形骨突起と合して口蓋骨鞘突管をつくる。なお鞘状突起の内側縁と蝶形骨体の間にできる鋤骨鞘突溝は鋤骨翼が蝶形骨に着くと鋤骨鞘突管となる。この2小管はいずれも翼口蓋神経節の咽頭枝の通る所である。

Incisura pterygoidea(翼突切痕)Pterygoid notch よくとつせっこん [A02.1.05.045] Feneis: 012 04

 翼状突起の内側板と外側板とはその下部では離れて翼突切痕をはさむ。ここには口蓋骨の錐体突起がはまりこんでこれを補う。

Fossa pterygoidea(翼突窩)Pterygoid fossa よくとつか [A02.1.05.046] Feneis: 012 05

 翼状突起の内側板、外側板は後方に開いた翼突窩をつくる。ここから内側翼突筋が起始する。

Fossa scaphoidea(蝶形骨の舟状窩)Scaphoid fossa ちょうけいこつのしゅうじょうか [A02.1.05.047] Feneis: 012 06

 翼状突起の内側板の後縁は上部で2分して浅い舟状窩を囲む。口蓋帆張筋を容れる。舟状窩の上に接して耳管溝が斜めに上外方に向かい大翼後縁までつづく。これは耳管軟骨部のつく所である。

Processus vaginalis(蝶形骨の鞘状突起)Vaginal process of sphenoid ちょうけいこつのしょうじょうとっき [A02.1.05.048] Feneis: 012 07

 翼状突起の内側板の上端内方に向かって、蝶形骨体の下面に沿う薄板上の鞘状突起が出る。

Sulcus palatovaginalis(口蓋骨鞘突溝)Palatovaginal groove こうがいこつしょうとつこう [A02.1.05.049] Feneis: 012 08

 鞘状突起の下面の細い溝つまり口蓋骨鞘突溝は後方から前方に進むに従って深さを増し、口蓋骨の蝶形骨突起と合して口蓋骨鞘突管をつくる。

Sulcus vomerovaginalis(鋤骨鞘突溝)Vomerovaginal groove じょこつしょうとつこう [A02.1.05.050] Feneis: 012 09

 鞘状突起の内側縁と蝶形骨体の間に出来る鋤骨鞘突溝は鋤骨翼が蝶形骨に着くと鋤骨鞘突管となる。口蓋骨鞘突管と鋤骨鞘突管の小管はいずれも翼口蓋神経節の因頭枝の通る所である。

Hamulus pterygoideus(翼突鈎)Pterygoid hamulus よくとつこう [A02.1.05.051] Feneis: 012 10

 翼状突起の内側板の下端は鈎形に外方に曲がって翼突鈎を作る。翼突下顎縫線という靱帯が起始する。

Sulcus hamuli pterygoidei(翼突鈎溝)Groove of pterygoid hamulus よくとつこうこう [A02.1.05.052] Feneis: 012 11

 翼突鈎の上にある浅い急な弯曲によってできる翼突鈎溝は口蓋帆張筋の腱が通る所である。

Canalis pterygoideus(翼突管)Pterygoid canal よくとつかん [A02.1.05.053] Feneis: 012 12

 翼状突起の根部は前後に走る翼突管で貫かれる。大および深錐体神経が合した翼突管神経及び翼突管動脈が通る。

Processus pterygospinosus(翼棘突起)Pterygospinous process よくきょくとっき [A02.1.05.054] Feneis: 012 13

 翼状突起の外側板の後縁は鋭く、その上部から小さい翼棘突起を出すことが多い。

Os temporale(側頭骨)Temporal bone そくとうこつ [A02.1.06.001] Feneis: 012 14

 側頭骨は頭蓋側壁の中央部と頭蓋底中央の両側部を作るばかりでなく、骨の中に平衡聴覚器(外耳道・中耳・内耳)を容れる大切な骨である。岩様部(乳突部と錐体)、鼓室部および鱗部の3部が癒合して単一の骨になるのは生後1年ほど経ってからである。3部が合するところの外面には大きい孔がある。これを外耳孔といい、その内方のつづきは外耳道によって鼓室に通ずる。また、外耳孔の上方で鱗部の外側前方に出る頬骨突起は頬骨に達して頬骨弓をつくる。下縁から咬筋が起こる。

A02106001a.jpg (29113 バイト)A02106001b.jpg (34127 バイト)A02106001c.jpg (29070 バイト)A02106001d.jpg (25225 バイト)A02106001e.jpg (34207 バイト)

Pars petrosa(側頭骨の岩様部、側頭骨の錐体乳突部)Petrous part of temporal bone そくとうこつのがんようぶ、そくとうこつのすいたいにゅうとつぶ [A02.1.06.002] Feneis: 012 15

 岩様部は外耳孔の後で下方に突出する乳様突起から頭頂切痕にかけての部を乳突部と、それを底として前内方に水平に突出する四角錐状の骨塊である錐体(狭義の岩様部ということもある)を含めて岩様部(錐体乳突部)と呼ぶ。これは軟骨性頭蓋底の耳嚢に由来する一塊の独立した骨として発生する。しかし、便宜上ここでは乳突部と錐体を分けて説明する。①乳突部の外側面は筋の付着による粗面を有し、外耳孔の後方で下方へ延長した部分を乳様突起といい、胸鎖乳突筋の着くところである。乳様突起の後内側には乳突切痕があり、ここに顎二腹筋後腹が起こり、さらにその内側に後頭動脈溝が認められている。乳突部の内側面には深くて長い陥凹があり、ここにS状洞溝が走り、上方では後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづく。後縁にある乳突孔は乳突導出静脈を通し、S状洞溝に開く。乳突部の後部は後頭鱗と結合する部分で後頭縁という。顔面神経管は顔面神経の通路で内耳道底の顔面神経野より骨内に入り、蝸牛の外側に沿って、ほとんど水平位で前外方へ進む。次いでほぼ直角をなして後外方へまがり、ここで顔面神経管膝を形成する。その後、鼓室壁の前庭窓の上部すなわち鼓室と骨半規管の間を走行し、外後方に進んだ後、弓状をなして下行し、茎乳突孔に開口する。鼓索神経小管は鼓索神経の通路で茎乳突孔の少し上方で顔面神経管から分かれて前上方へ延び、鼓室溝の後縁に極めて近いところで鼓室に開口する。次いで鼓室の外側壁の粘膜におおわれながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上方を貫通し、錐体鼓室裂を経て、頭蓋外面に出る。②側頭骨の錐体は蝶形骨と後頭骨との間で後外側から前内側に向かい斜位に介在する四角錐体形の骨で、最も堅い骨として知られている。前、後、下の3面および上、前、後の3縁に大別される。先端部を錐体尖といい、蝶形骨体、大翼、および後頭骨底部との間に破裂孔を形成する。破裂孔は骨化せず頭底線維軟骨で満たされており、ここを大および深錐体神経が貫通する。錐体線に頚動脈管の内攻が開口する。すいたの下面に導管の外口が開口し、外口の後上壁から2本の頚鼓小管が入り鼓室に開く。錐体の前縁は蝶形骨大翼との間に蝶錐体裂をなす。前面は大脳面ともよばれ、外側溝半には内耳前半器管によって生じた弓状隆起があり、また弓状隆起と錐体鱗裂との間には鼓室の上壁をなす鼓室蓋がある。錐体尖近くには三叉神経圧痕という小さな窩がある。その後外方に錐体の長軸とほぼ平行に走る2本の溝があり、内側の溝を大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経溝といい、その後端は大錐体神経管裂孔より骨内に入り顔面神経管につづく。また外側の溝は小錐体神経溝といい、その後端は小錐体神経管裂孔より骨内に入り、鼓室を経由して鼓室小管につづく。上縁は前面と後面との境界をなし、境界部の稜に上錐体洞溝がある。後面は小脳面ともよばれ、この面のほぼ中央に内耳孔があり、これは内耳道につづき、さらにつづいて内耳道底となる。内耳孔の上外後方に浅い弓下窩の下外後方に前庭水管の開口である前庭水管外口がある。後縁の前内側部は後頭骨底部に接し、錐体後頭裂をなし、ここに下錐体洞溝がある。その後内側部に頚静脈切痕があり、後頭骨外側部の同名溝と合して頚静脈孔をつくる。この切痕内に出る頚静脈孔内突起はは、後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を小さい前部と大きい後部とに分ける。下面の前縁鱗部に接するところ、すなわち錐体鱗裂の前内側端に筋耳管管の開口があり、この管は筋耳管管中隔により上部の鼓膜張筋半管と下部の耳管半管に二分されている。また下面の後外側部には大きい弓状の頚静脈窩があり、その直前にある頚動脈管外口との間にはきわめて小さい錐体小窩があり、その底に鼓室小管が開口する。またこの窩の後内方に蝸牛小管の外口が認められる。頚静脈窩の外壁には乳突小管があり、これは骨内で顔面神経管の下端部と交差し、鼓室乳突裂に開く。頚静脈窩の外側で下面の後外側端より細長い茎状突起が出るが、その突起の基部直前に顔面神経管の開口である茎乳突孔がある。この孔の少し上方で鼓索神経小管が顔面神経管から分かれて鼓室の後壁より鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂より外頭蓋底出る。なおすいた鼓室裂と既述の錐体鱗裂とを合わせて鼓室鱗裂という。

Margo occipitalis(側頭骨の後頭縁)Occipital margin of temporal bone そくとうこつのこうとうえん [A02.1.06.003] Feneis: 012 16

 側頭骨の後頭縁は後頭骨と縫合される縁。

Processus mastoideus(乳様突起)Mastoid process にゅうようとっき [A02.1.06.004] Feneis: 012 17

 乳突部の大部分は、下前方に向かって突出する大きい乳様突起で占められる。その表面は胸鎖乳突筋の着くところで粗である。乳様突起の内部は成人では大部分、多数の小さい乳突峰巣で占められる。これは生後に乳様突起の発育に伴って拡がるもので、その拡がりは個体によりかなりまちまちであり、錐体の方にもおよぶ。乳突峰巣は互いに迷路状につながっていて、そのつづきは乳様突起の上半分にある乳突洞につながっている。乳突洞はその前方の小さい乳頭洞入口を経て、後方から鼓室の上部に開く。生体では鼓室の内面を被う粘膜の続きが乳突洞を経てすべての乳頭蜂巣の内面にまでおよんでいる。

Incisura mastoidea(乳突切痕)Mastoid notch にゅうとつせっこん [A02.1.06.005] Feneis: 012 18

 乳様突起の内側は深い乳突切痕となる。顎二腹筋後腹の起こる所となる。

Sulcus sinus sigmoidei(S状洞溝)Groove for sigmoid sinus えすじょうどうこう [A02.1.06.006] Feneis: 012 19

 S状洞溝は頚静脈孔へ入るまでのS状静脈洞をいれる溝。この溝の上方は後頭骨の横洞溝に、下方は頚静脈孔につづき、乳突孔の内孔はこの溝に開く。

Sulcus arteriae occipitalis(後頭動脈溝)Occipital groove こうとうどうみゃくこう [A02.1.06.007] Feneis: 012 20

 乳突切痕の内側に後頭縁に接して浅い後頭動脈溝を見る。

Foramen mastoideum(乳突孔)Mastoid foramen にゅうとつこう [A02.1.06.008] Feneis: 012 21

 後頭動脈溝の上端近く、導出静脈を通ずる乳突孔が開くことが多い。

Canalis nervi facialis(顔面神経管)Facial canal がんめんしんけいかん [A02.1.06.009] Feneis: 012 22

 顔面神経管は内耳孔に始まって茎乳突孔に終わる。顔面神経管は顔面神経の通路で、内耳道底にある横稜の顔面神経野にはじまり、まず蝸牛の外側に沿い殆ど水平位で前外方に進み、つぎにほぼ直角をなして後外方に曲がる。ここを顔面神経管膝という。ついで鼓室壁の前庭窓の上を通って少し外後方に進んだ後、下方へ向かって弓状に曲がり(この間、鼓室内側壁に顔面神経管隆起をつくる)、茎乳突孔に開く。この間は膝で1条の枝を出し、骨を貫いて前進し錐体前面の大錐体神経管裂孔を出て大錐体神経溝につづき、大錐体神経管がこれを通る。『フォロッピオ管』:側頭骨錐体にある顔面神経管。イタリアの解剖学者Gabriele Fallopio [Fallopius](1523-1563)によるもので、他にファロピウス管(卵管)にも名を残す。両者を混同しないため、顔面神経管はフォロッピオ管と呼ぶのがふつうである。

Geniculum canalis nervi facialis(顔面神経管膝)Geniculum of facial canal がんめんしんけいかんしつ [A02.1.06.010] Feneis: 012 23

 錐体前壁の直下、大錐体神経管裂孔のちかくにある顔面神経管の弯曲。

Canaliculus chordae tympani(鼓索神経小管)Canaliculus for chorda tympani こさくしんけいしょうかん [A02.1.06.011] Feneis: 012 24

 鼓索神経小管は顔面神経管と鼓室とをむすぶ小管。鼓索神経の通路で、茎乳突孔の巣個押し上で顔面神経管から分かれ、鼓室口の後端の近くで鼓室中に出る。その後、鼓索神経は鼓室の外側壁にある鼓膜の内側で粘膜に被われながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂を通り、頭蓋底外面に出る。

Apex partis petrosae(側頭骨の錐体尖、側頭骨の岩様部の尖)Apex of petrous part of temporal bone そくとうこつのすいたいせん、そくとうこつのがんようぶのせん [A02.1.06.012] Feneis: 012 25

 側頭骨の錐体尖は破裂孔に向かい、ここに頚動脈管が開く。

Canalis caroticus(頚動脈管)Carotid canal けいどうみゃくかん [A02.1.06.013] Feneis: 012 26

 錐体下面のほぼ中央に頚動脈管が開いている。頚動脈管は錐体内でほぼ直角に内側にまがったのち、前走して錐体先端で頭蓋腔内(中頭蓋窩)に開く。内頚動脈の通路。頸静脈孔と筋耳管管の間の下外方から始まる。

Apertura externa canalis carotici(頚動脈管外口)External opening of carotid canal けいどうみゃくかんがいこう [A02.1.06.014]

 頚静脈下の前内側には大きい頚静脈管外口がある。この頚静脈管外口の前から口蓋帆張筋の一部が起こる。

Apertura interna canalis carotici(頚動脈管内口)Internal opening of carotid canal けいどうみゃくかんないこう [A02.1.06.015]

 錐体尖は破裂孔に向かい、ここに頚動脈管が開く。ここが頚動脈管内口である。

Canaliculi caroticotympanici(頚鼓小管)Caroticotympanic canaliculi けいこしょうかん [A02.1.06.016] Feneis: 012 27

 頚動脈管の後上壁からは2個の細い頚鼓小管が骨を貫いて後に向かい鼓室に開く。これは頚動脈鼓室枝および頚鼓神経の通路である。

Canalis musculotubarius(筋耳管管)Musculotubal canal きんじかんかん [A02.1.06.017] Feneis: 012 28

 錐体下面の前縁に沿い、鱗部に接する所に、前内方から後外方に向かい鼓室に至る筋耳管管があり、菲薄な筋耳管管中隔により上下の2部に分かれる。

Semicanalis musculi tensoris tympani(鼓膜張筋半管)Canal for tensor tympani こまくちょうきんはんかん [A02.1.06.018] Feneis: 012 29

 筋耳管管は菲薄な筋耳管管中隔に上下の2部に分けられ、その上部の鼓膜張筋半管は鼓膜張筋を含む。

Semicanalis tubae auditivae; Semicanalis tubae auditoriae(耳管半管)Canal for auditory tube じかんはんかん [A02.1.06.019] Feneis: 012 30

 筋耳管管は菲薄な筋耳管管中隔に上下の2部に分けられ、その下部の耳管半管は耳管の骨部をつくる。

Septum canalis musculotubarii(筋耳管管中隔)Septum of musculotubal canal きんじかんかんちゅうかく [A02.1.06.020] Feneis: 012 31

 筋耳管管中隔ははなはだ薄い骨が半載したチューブのような形となって鼓膜張筋半管を下から被っている。その後壁は鼓室の内側壁(迷路壁)の前上隅から後下に弓なりに隆起する顔面神経管隆起に沿って少し鼓室内に突出し、外方に向かって開口するサジ状突起に終わる。

Facies anterior partis petrosae(側頭骨の錐体前面、側頭骨岩様部の錐体前面)Anterior surface of petrous part of temporal そくとうこつのすいたいぜんめん、そくとうこつがんようぶのすいたいぜんめん [A02.1.06.021] Feneis: 014 01

 側頭骨の岩様部の前上面を錐体前面という。

Tegmen tympani(鼓室蓋)Tegment tympani こしつがい [A02.1.06.022] Feneis: 014 02

 弓状隆起の外前方、錐体鱗裂との間は、鼓室およびその前方につづく筋耳管管の上を被う部で骨質が薄く、これを鼓室蓋という。骨の発育藤生の場合や老人ではここに孔をみることがある。

Eminentia arcuata(弓状隆起)Arcuate eminence きゅうじょうりゅうき [A02.1.06.023] Feneis: 014 03

 錐体前面の後外側半には上縁近く、かつ、上縁とほぼ直交するように円丘状にふくれた弓状隆起がある。これは内耳の前半規管のために生じたものである。

Hiatus canalis nervi petrosi majoris(大錐体神経管裂孔)Hiatus for greater petrosal nerve だいすいたいしんけいかんれっこう [A02.1.06.024] Feneis: 014 04

 錐体前面の外方には錐体の長軸とほぼ平行に走る2小溝があって、その内上側が大錐体神経溝である。大錐体神経の顔面神経枝の通路である。

Sulcus nervi petrosi majoris(大錐体神経溝)Groove for greater petrosal nerve だいすいたいしんけいこう [A02.1.06.025] Feneis: 014 06

 錐体前面の外方には錐体の長軸とほぼ平行に走る2小溝があって、その内上側が大錐体神経溝である。大錐体神経の通路である。

Hiatus canalis nervi petrosi minoris(小錐体神経管裂孔)Hiatus for lesser petrosal nerve しょうすいたいしんけいかんれっこう [A02.1.06.026] Feneis: 014 05

 小錐体神経溝の後端は小錐体神経管裂孔につづく。

Sulcus nervi petrosi minoris(小錐体神経溝)Groove for lesser petrosal nerve しょうすいたいしんけいこう [A02.1.06.027] Feneis: 014 07

 錐体前面の外方には錐体の長軸とほぼ平行に走る2小溝があって、その外下側が小錐体神経溝である。

Impressio trigeminalis(三叉神経圧痕)Trigeminal impression さんさしんけあっこん [A02.1.06.028] Feneis: 014 08

 錐体前面の錐体尖の近くに指先で押したような浅い三叉神経圧痕がある。ここは三叉神経の根部と三叉神経節とがのるところである。

Margo superior partis petrosae(側頭骨の錐体上縁、側頭骨の岩様部の上縁)Superior border of petrous part of temporal bone そくとうこつのすいたいじょうえん、そくとうこつのがんようぶのじょうえん [A02.1.06.029] Feneis: 014 09

 錐体上縁は前上面と後上面の境となり、頭蓋腔内に突出して中頭蓋窩と後頭蓋窩の境界を作る鋭い縁である。ここに上錐体洞溝がある。上錐体静脈洞がここにはまる。

Sulcus sinus petrosi superioris(上錐体洞溝)Groove for superior petrosal sinus じょうすいたいどうこう [A02.1.06.030] Feneis: 014 10

 錐体上縁を走る溝で上錐体静脈洞をいれる。

Facies posterior partis petrosae(側頭骨の錐体後面、側頭骨の岩様部の後面)Posterior surface of petrous part of temporal bone そくとうこつのすいたいこうえん、そくとうこつのがんようぶのこうえん [A02.1.06.031] Feneis: 014 11

 側頭骨の上後面を錐体孔面という。そのほぼ中央にある楕円形の内耳孔は、後外側に向かって骨内に入る内耳道につづく。

Porus acusticus internus(内耳孔)Internal acoustic opening ないじこう [A02.1.06.032] Feneis: 014 12

 錐体後面のほぼ中央にある内耳道の入口。

Meatus acusticus internus(内耳道)Internal acoustic meatus ないじどう [A02.1.06.033] Feneis: 014 13

 内耳道は顔面神経、中間神経、内耳神経および迷路動静脈の通路である。その奥行きの行き止まりになったところ、すなわち内耳道底は横稜によって上下に分かれ、いずれにも多くの小孔がある。その上部前方のやや大きい孔が顔面神経管の起点で、その他の小孔は内耳神経の枝を通ずる。

Fossa subarcuata(弓下窩)Subarcuate fossa きゅうかか [A02.1.06.034] Feneis: 014 14

 内耳孔の後外方には上縁に近く浅い弓下窩がある。脳硬膜が付着するところで、小児に著しい。

Canaliculus vestibuli(前庭小管、前庭水管)Vestibular canaliculus ぜんていしょうかん、ぜんていすいかん [A02.1.06.035] Feneis: 014 15

 錐体後面にあり、内耳の内リンパ腔の狭い管状部。

Apertura canaliculi vestibuli(前庭水管口、前庭水管外口)Opening of vestibular canaliculus ぜんていすいかんこう、ぜんていすいかんがいこう [A02.1.06.036] Feneis: 014 16

 弓下窩の外下方には小さい裂孔をみる。これは前庭水管の開口で前庭水管外口という。

Margo posterior partis petrosae(側頭骨の錐体後縁、側頭骨岩様部の後縁)Posterior border of petrous part of temporal bone そくとうこつのすいたいこうえん、そくとうこつのがんようぶのこうえん [A02.1.06.037] Feneis: 014 17

 側頭骨の錐体後縁は後上、後下両面の境で、その前内側半は後頭骨底部と接して錐体後頭裂をつくる。

Sulcus sinus petrosi inferioris(下錐体洞溝)Groove for inferior petrosal sinus かすいたいどうこう [A02.1.06.038] Feneis: 014 18

 錐体後頭裂に下錐体洞溝があって下垂体静脈洞を容れる。

Incisura jugularis(側頭骨錐体の頚静脈切痕)Jugular notch of petrous temporal bone そくとうこつすいたいのけいじょうみゃくせっこん [A02.1.06.039] Feneis: 014 19

 錐体後縁の後外側半には頚静脈切痕があって、後頭骨外側部の同名切痕と合して頚静脈孔をつくる。この切痕内に出る頚静脈孔内突起は後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を前後2部に分ける。

Facies inferior partis petrosae(側頭骨の錐体下面、側頭骨の岩様部の下面)Inferior surface of petrous part of temporal bone そくとうこつのすいたいかめん、そくとうこつのがんようぶのかめん [A02.1.06.040] Feneis: 014 23

 錐体下面は頭蓋底に向かう粗面で、その後外側部は鼓室部に被われて鼓室を形成する。この面の前縁にそい、鱗部に接する所に、前内方から後外方に向かい鼓室に至る筋耳管管があり、菲薄な筋耳管管中隔により上下の2部に分かれる。その上部の鼓膜張筋半管は鼓膜張筋をふくみ、下部の耳管半管は耳管の骨部をつくる。

Fossa jugularis(頚静脈窩)Jugular fossa けいじょうみゃくか [A02.1.06.041] Feneis: 014 24

 錐体下面の後縁に近い中部には弓状の大きく深い頚静脈窩がる。頚静脈上球を容れる。

Canaliculus cochleae(蝸牛小管)Cochlear canaliculus かぎゅうしょうかん [A02.1.06.042] Feneis: 014 21

 蝸牛小管は内耳の外リンパ管の通路で、蝸牛鼓室階の初部から起こり、錐体下面の蝸牛小管外側口に至る。

Apertura canaliculi cochleae(蝸牛小管外口、外口)Opening of cochlear canaliculus かぎゅうしょうかんがいこう、がいこう [A02.1.06.043] Feneis: 014 22

 錐体小窩の後内方で錐体の後縁にそい三角形の深い小さいくぼみがあるのは蝸牛小管外口である。

Canaliculus mastoideus(乳突小管)Mastoid canaliculus にゅうとつしょうかん [A02.1.06.044] Feneis: 014 25

 乳突小管は頚静脈窩の外壁には微細な乳突小管溝にはじまり、、直ちに骨中に入って乳突小管となり、後走して鼓室乳突裂に開く。この管と溝とは迷走神経耳介枝の通路。頚静脈窩の外壁が茎状突起鞘と合して作る高い稜線は、鼓室部と岩様部の癒合したところに一致する。

Incisura jugularis(側頭骨錐体の頚静脈切痕)Jugular notch of petrous temporal bone そくとうこつすいたいのけいじょうみゃくせっこん [A02.1.06.045] Feneis: 014 19

 錐体後縁の後外側半には頚静脈切痕があって、後頭骨外側部の同名切痕と合して頚静脈孔をつくる。

Processus intrajugularis(頚静脈孔内突起、孔内突起)Intrajugular process けいじょうみゃくこうないとっき、こうないとっき [A02.1.06.046] Feneis: 014 20

 頚静脈切痕内に出る頚静脈孔内突起は後頭骨の同名突起と相対して頚静脈孔を前後2部に分ける。

Processus styloideus(側頭骨の茎状突起)Styloid process of temporal そくとうこつのけいじょうとっき [A02.1.06.047] Feneis: 014 26

 茎状突起は錐体下面の後外側端から前下方へ向かう細長い突起である。その長さは1~5cmで、茎突下顎靱帯、茎突舌骨靱帯、茎突喉頭筋などの起点となる。茎状突起の根部の前面は茎状突起鞘で被われる。なお、茎状突起は舌骨と関係ある第2鰓弓軟骨の一部が骨化したも野である。

Foramen stylomastoideum(茎乳突孔)Stylomastoid foramen けいにゅうとつこう [A02.1.06.048] Feneis: 014 27

 錐体下面の後外側端は茎状突起の着く所で、これとそ後方の乳様突起との間にある茎乳突孔は顔面神経管の出口である。

Canaliculus tympanicus(鼓室神経小管)Tympanic canaliculus こしつしんけいしょうかん [A02.1.06.049] Feneis: 014 28

 鼓室神経小管は錐体小窩にある小管で鼓索神経の通路である。茎乳突孔の少し上で顔面神経管から分かれ、鼓室溝の後端の近くで鼓室中に出る。その後、鼓索神経は脂質の外側壁にある鼓膜の内側で粘膜に被われながら、ツチ骨柄とキヌタ骨長脚との間を前進し、鼓室の前上隅を貫いて錐体鼓室裂を通り、頭蓋底外面に出る。

Fossula petrosa(錐体小窩)Petrosal fossula すいたいしょうか [A02.1.06.050] Feneis: 014 29

 頚動脈管外口と頚静脈かとの間には三角形の小さい凹みがあるが、これは舌咽神経の下神経節を容れる錐体小窩である。錐体小窩の底には細い鼓室小管が開く。

Cavitas tympanica(鼓室)Tympanic cavity こしつ [A02.1.06.051] Feneis: 014 30

 側頭骨の錐体の中にあり、外耳道とは鼓膜によって境され、咽頭腔と耳管をもって交通する腔所である。鼓室の中には3個の耳小骨とその付属器があり、これらは鼓膜の振動を内耳に伝える役割を果たす。鼓室は臨床的に故障が起こりやすい場所で、中耳炎の炎症がひろくなると乳突洞を経て乳頭蜂巣へ波及し、または錐体尖の方にも及ぶ。鼓室の各壁(各面)が、どのような構造物に接しているかまとめると:上壁(骨壁を隔てて中頭蓋窩に接する)、下壁(骨壁を隔てて内頚静脈の頚静脈上丘に接する)、前壁(耳管の鼓室口がある)、内側壁(蝸牛の骨壁が岬角を作る)。

Pars tympanica(側頭骨の鼓室部)Tympanic part of temporal bone そくとうこつのこしつぶ [A02.1.06.052] Feneis: 016 01

 鼓室部は外耳道の前下壁を作る半管状、不正四角形の薄い骨板で、初めは独立した結合組織(鼓室骨)として発達し、後に錐体の下面に癒着した小さい骨部である。鼓室部の前上縁は下顎窩(顎関節の関節窩)の後縁にある錐体鼓室裂であり、また鼓室部の下端は錐体の下面に接着して鋭い稜線を作り、その後外側方への延長は茎状突起の根元におおいかぶさっている。鼓室部という日本名は鼓室を包含するすべての骨部を指すかのような誤った印象をあたえるのでよくない。Tympanicaはギリシャ語のtympanon(ケトルドラムという楽器)に由来する形容詞で、語源からわかるように元来は「鼓膜に関係した」という意味である。

Anulus tympanicus(鼓室輪)Tympanic ring こしつりん [A02.1.06.053] Feneis: 016 02

 鼓鼓室部は新生児では未だ発育しないで、上部の欠けている鼓室輪をみるのみである。

Porus acusticus externus(外耳孔)External acoustic opening がいじこう [A02.1.06.054] Feneis: 016 04

 外耳道を作るときに前後両縁が中央部より速く発育し、その尖端で癒合するために、ある時期には外耳道下壁の骨板に孔を有することがある。

Meatus acusticus externus(外耳道)External acoustic meatus がいじどう [A02.1.06.055] Feneis: 016 03

 鼓室輪は外方に向かって発育し、外耳道の下壁を作る。

Spina tympanica major(大鼓室棘)Greater tympanic spine だいこしつきょく [A02.1.06.056] Feneis: 016 05

 外耳道と鼓室との境で元来の鼓室骨の内側端にあたる縁には、細い半管状の鼓膜溝があって、鼓膜の周縁がこれに付着する。鼓室骨は溝状の骨であるから、鼓膜溝の上部は少し欠けており、その前端に大鼓室棘、後端に小鼓室棘があり、その間を鼓膜切痕という。

Spina tympanica minor(小鼓室棘)Lesser tympanic spine しょうこしつきょく [A02.1.06.057] Feneis: 016 06

 鼓室からなる輪の後端で、鼓膜の附着部となる。

Sulcus tympanicus(鼓膜溝)Tympanic sulcus こまくこう [A02.1.06.058] Feneis: 016 07

 鼓膜が付着する溝。

Incisura tympanica(鼓膜切痕)Tympanic notch こまくせっこん [A02.1.06.059] Feneis: 016 08

 大鼓室棘と小鼓室棘間の陥凹。新生児では鼓室輪の自由端間にある上方の裂け目。

Vagina processus styloidei(側頭骨の茎状突起鞘)Sheath of styloid process そくとうこつのけいじょうとっきしょう [A02.1.06.060] Feneis: 016 09

 頚静脈窩の外壁が茎状突起鞘と合して作る高い稜線は、鼓室部と岩様部の癒合したところに一致する。

Pars squamosa(側頭骨の鱗部)Squamous part of temporal bone そくとうこつのりんぶ [A02.1.06.061] Feneis: 016 10

 側頭骨の鱗部は垂直に立つ半円形の薄い骨板で、頭蓋冠の側頭の一部を作る。その上縁は窩束のカミソリのように薄くそぎとられて頭頂骨との間に鱗状縫合を作り、前縁は蝶形骨の大翼に接する。鱗部の外面からは頬骨突起が長く前方に延びだして、その前端は頬骨の側頭突起と連結して頬骨弓の後半を作る。

Margo parietalis(側頭骨の頭頂縁)Parietal border of temporal bone そくとうこつのとうちょうえん [A02.1.06.062] Feneis: 016 11

 鱗部の外縁は円周の約2/3にあたる曲線をなし、その大部分は内から外に削いだように鋭い。その前方部は蝶形骨縁として大翼に接し、後方部は頭頂縁として頭頂骨に接する。

Incisura parietalis(頭頂切痕)Parietal notch とうちょうせっこん [A02.1.06.063] Feneis: 016 12

 頭頂縁の後部に深い頭頂切痕があり、ここに頭頂骨乳頭角が入るが、ここが鱗部と岩様部とが骨性に癒着した位置の後端を示す。

Margo sphenoidalis(側頭骨の蝶形骨縁)Sphenoidal margin of temporal bone そくとうこつのちょうけいこつえん [A02.1.06.064] Feneis: 016 13

 蝶形骨大翼と接する前方部。

Facies temporalis(側頭骨の側頭面)Temporal surface of temporal bone そくとうこつのそくとうめん [A02.1.06.065] Feneis: 016 14

 鱗部の外面は側頭面という。側頭筋が起こる面。

Sulcus arteriae temporalis mediae(中側頭動脈溝)Groove for middle temporal artery ちゅうそくとうどうみゃくこう [A02.1.06.066] Feneis: 016 15

 側頭面を下から上へ走る浅い中側頭動脈溝は表面を同名動脈の通るために生じたものである。

Processus zygomaticus(側頭骨の頬骨突起)Zygomatic process of temporal bone そくとうこつのきょうこつとっき [A02.1.06.067] Feneis: 016 16

 側頭面の下部で外耳孔の前上方にあたる所から前方に向かって長い頬骨突起を出す。この突起の前端は頬骨の側頭突起に達して、やや外方に張り出した頬骨弓を形成する。

Crista supramastoidea(乳突上稜)Supramastoid crest にゅうとつじょうりょう [A02.1.06.068] Feneis: 016 17

 側頭筋の停止部の後境界稜。

Foveola suprameatica; Foveola suprameatalis(道上小窩)Suprameatal triangle どうじょうしょうか [A02.1.06.069] Feneis: 016 18

 道上棘の上方で、乳突洞の外側にある凹み。

(Spina suprameatica; Spina suprameatalis)((道上棘))(Suprameatal spine) どうじょうきょく [A02.1.06.070] Feneis: 016 19

 外耳道上壁の入口に接して尖った小突起を明瞭に認めるとき、これを道上棘という。

Fossa mandibularis(下顎窩)Mandibular fossa かがくか [A02.1.06.071] Feneis: 016 20

 頬骨突起の基部の下面に楕円形の下顎窩がある。

Facies articularis(側頭骨の下顎窩の関節面)Articular surface of mandibular fossa of temporal bone そくとうこつのかがくかのかんせつめん [A02.1.06.072] Feneis: 016 21

 下顎窩のくぼんだ関節面では下顎頭と相対して顎関節を作る。

Tuberculum articulare(側頭骨の関節結節)Articular tubercle of temporal bone そくとうこつのかんせつけっせつ [A02.1.06.073] Feneis: 016 22

 顎関節の直前で頬骨突起基部の下面に高まる関節結節は下顎窩の前方の境となるが、生体では関節結節と関節面が一続きの軟骨で被われて関節包の内にあり、顎関節の関節窩となる。

Fissura petrotympanica(錐体鼓室裂)Petrotympanic fissure すいたいこしつれつ [A02.1.06.074] Feneis: 014 31

 鼓室部の前上縁は下顎窩(顎関節の関節窩)の後縁にある錐体鼓室裂である。

Fissura petrosquamosa(錐体鱗裂)Petrosquamous fissure すいたいりんれつ [A02.1.06.075] Feneis: 014 32

 錐体と鱗部との間の縫合部。

Fissura tympanosquamosa(鼓室鱗裂)Tympanosquamous fissure こしつりんれつ [A02.1.06.076] Feneis: 014 33

 鼓室部の前壁の上縁と下顎窩の後縁との間には蝶錐体裂につづく裂隙がある。この裂隙は外側部では1条の鼓室鱗裂である。

Fissura tympanomastoidea(鼓室乳突裂)Tympanomastoid fissure こしつにゅうとつれつ [A02.1.06.077] Feneis: 014 34

 鼓室部の後方、乳突部と接する所には鼓室乳突裂があり、ここに乳突小管が開口する。

Facies cerebralis(側頭骨の大脳面)Cerebral surface of temporal bone そくとうこつのだいのうめん [A02.1.06.078] Feneis: 016 23

 大脳に面する鱗部内面。

Os ethmoidale(篩骨)Ethmoid しこつ [A02.1.07.001] Feneis: 020 01

 前頭骨の篩骨切痕にはまりこんでいる立方体様の骨で、鼻腔、眼窩壁、前頭蓋窩の形成に関与する。水平位の篩板、垂直位の垂直板、および迷路の3部からなる。篩板は水平をなす薄い小骨片で前頭骨眼窩部の篩骨切痕にはまりこみ、後縁は蝶形骨隆起の中央部に接する。篩板の正中矢状面から鶏冠が上方に突出し、ここに大脳鎌が付着する。鶏冠の下端は左右に広がって鶏冠翼を形成し、前頭骨の前頭稜下部とともに盲溝を形成する。篩板には多数の小孔があり、嗅神経、前篩骨動脈、および前篩骨神経が通る。垂直板は篩板の下面より下方に突出する不正四角形の骨盤で、鋤骨とともに骨鼻中隔を形成する。垂直板に4縁を分ける。前上縁は前頭骨と鼻骨と、前下縁は鼻中隔軟骨と、下縁は鋤骨と、後縁は蝶形骨稜とそれぞれ接する。また両側面上部には嗅神経の通る細い溝が多数認められる。篩骨迷路は篩板の下部に接し、垂直板の両側部にある部分で多数の小洞からなり、これを篩骨蜂巣といい、部位により前・中・後の3部に分けるが、それらの間に境界はない。篩骨迷路の外側板は眼窩板といい、頭蓋外側面で最も薄い骨片である。眼窩の内側壁をなし、前縁は涙骨と、下縁は上顎骨眼窩面および口蓋骨眼窩突起と接している。眼窩板の上縁の切痕と前頭骨眼窩部の切痕と合して、前・後篩骨孔を形成する。篩骨迷路の内側面は鼻腔の形成に関与する。内側面には細溝および細管があり、上方では篩板に接している。上部の後半には溝があり、この溝は上鼻道とよばれるが、この溝の直上にある骨片を上鼻甲介といい、この後部が上下に二分する場合には、その上部のものを最上鼻甲介という。篩骨迷路の内側壁でこの溝の下で上鼻甲介とほぼ平行に走る骨片を中鼻甲介といい、この直下に前後に走る幅の比較的広い中鼻道がある。篩骨迷路には多数の不規則形の含気腔があり、これらを総称して篩骨蜂巣といい、その①により前部・虫部・後部の3部に分けられるが、3者間に明瞭な境界はない。前部および中部の篩骨蜂巣は中鼻道に開口し、後部の篩骨蜂巣は上鼻道に開口する。なお前部の篩骨蜂巣の前下部が鼻腔に向かって膨隆したものを篩骨胞という。また篩骨胞の内側で前部の篩骨蜂巣から後下方へ延びた細長い骨片を鈎状突起といい、その下端部は下鼻甲介の篩骨突起と相接する。篩骨胞と膠状突起との間の精米感情の通路を篩骨漏斗といい、前上方にある前頭洞につづく。膠状突起の外側で篩骨漏斗が鼻腔をすなわち中鼻道へ開口する裂隙状の空間を半月裂孔という。また上顎洞は上顎洞裂孔および半月裂孔を経て、その内側にある中鼻道に開く。

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Lamina cribosa(篩板)Cribriform plate しばん [A02.1.07.002] Feneis: 020 02

 篩板は殆ど水平にあるはなはだ薄い骨板で、前頭骨鼻部の篩骨切痕にはまり、後端は蝶形骨隆起の前縁に接する。嗅神経のうち、内側の孔を通る神経線維は鼻中隔、外側の孔を通るものは鼻腔側壁より起こる。なお内側列最前端の大きい孔は眼窩から篩板の上に出た前篩骨神経が鼻腔に入る通路である。

Foramina cribosa(篩孔)Cribriform foramina しこう [A02.1.07.003] Feneis: 020 02

 篩板の盂管の左右両側部はややくぼみ、多くの小孔である篩孔により貫かれる。この篩孔は、篩板の上にのる嗅球に入る嗅神経の通路で、ほぼ2列に並ぶ。

Crista galli(鶏冠)Crista galli けいかん [A02.1.07.004] Feneis: 020 03

 篩板上面の正中線で、横からみると三角形の鋭い鶏冠が頭蓋腔に向かって突出する。

Ala cristae galli(鶏冠翼)Ala of crista galli けいかんよく [A02.1.07.005] Feneis: 020 04

 鶏冠の前下端は左右の鶏冠翼に分かたれ、前頭骨の前頭稜下端にある盲孔を後からかこむ。

Lamina perpendicularis(篩骨の垂直板)Perpendicular plate of ethmoid しこつのすいちょくばん [A02.1.07.006] Feneis: 020 05

 垂直板は篩板の下面正中線から下方に向かい、正中面にほぼ一致して垂直に立つ不正三角形の薄い骨板で、鼻中隔骨部の前上部をつくる。前縁の上部は前頭骨の鼻棘、同じく下部は鼻中隔のの軟骨に、後下縁は鋤骨に、後上縁は蝶形骨体に接する。垂直板上部の左右両面には嗅神経の通路となる多くの細い溝または管がある。

Labyrinthus ethmoidalis(篩骨迷路)Ethmoidal labyrinth しこつめいろ [A02.1.07.007] Feneis: 020 06

 篩骨迷路は篩骨の左右部を作る長立方状の骨塊で、鼻腔の外側上部と眼窩内側壁の間をうずめる骨格をるくる。

Cellulae ethmoidales anteriores(前篩骨蜂巣)Anterior ethmoidal cells ぜんしこつほうそう [A02.1.07.008] Feneis: 138 06

 篩骨迷路の内部ははなはだ薄い骨板が複雑に組合わさって、それらを境とする多数の含気腔を含む。これらの腔を総括して篩骨蜂巣と呼び、その所在部によって前篩骨蜂巣、中篩骨蜂巣、後篩骨蜂巣の3群に分けられる。前篩骨蜂巣は半月裂孔および篩骨漏斗に開く。

Cellulae ethmoidales mediae(中篩骨蜂巣)Middle ethmoidal cells ちゅうしこつほうそう [A02.1.07.009] Feneis: 138 07

 中篩骨蜂巣は少数の開口をもって篩骨胞の表面に開き、いずれも中鼻道と交通する。

Cellulae ethmoidales posteriores(後篩骨蜂巣)Posterior ethmoidal cells こうしこつほうそう [A02.1.07.010] Feneis: 138 08

 後篩骨蜂巣は上鼻道に開く。

Lamina orbitalis(篩骨の眼窩板)Orbital plate of ethmoid しこつのがんかばん [A02.1.07.011] Feneis: 020 11

 篩骨迷路の外側壁の長方形の平滑な面は眼窩内側壁の主要部をつくる眼窩板である。この上縁の前・後篩骨孔がある。眼窩板より下方は口蓋骨と上顎体に結合する面で、ここにも篩骨蜂巣の一部が開放している。

Concha nasalis suprema(最上鼻甲介)Supreme nasal concha さいじょうこうせん [A02.1.07.012] Feneis: 020 13

 上鼻甲介の後部が上下に2分するときは、その上方の分岐部を最上鼻甲介と呼ぶ。

Concha nasalis superior(上鼻甲介)Superior nasal concha じょうびこうかい [A02.1.07.013] Feneis: 020 14

 篩骨迷路の上部の後半には水平に走る上鼻甲介がある。これは単なる隆起にすぎないこともあり、また、その下縁が外側に巻くようになることもある。

Concha nasalis media(中鼻甲介)Middle nasal concha ちゅうびこうかい [A02.1.07.014] Feneis: 020 15

 上鼻甲介の下方に、内側壁の全長から下方に突出し、内側壁の下界をつくる中鼻甲介がある。その下端は遊離して外側に巻き、前端は上顎体の、後端は口蓋骨の篩骨稜に着く。中鼻甲介の外側にできる空間は中鼻道の上部にあたる。

Bulla ethmoidalis(篩骨胞)Ethmoidal bulla しこつほう [A02.1.07.015] Feneis: 020 10

 中鼻甲介の上壁の前部に、篩骨蜂巣の前下部のものがつくる篩骨胞が丸くふくれ出している。

Processus uncinatus(篩骨の鈎状突起)Uncinate process of ethmoid しこつのこうじょうとっき [A02.1.07.016] Feneis: 020 16

 篩骨胞と下鼻甲介の間を、中鼻甲介の起部前端から起こる長い薄い板状の鈎状突起が前上方から後下方に斜めに走り、その下端は下鼻甲介に達する。

Infundibulum ethmoidale(篩骨漏斗)Ethmoidal infundibulum しこつろうと [A02.1.07.017] Feneis: 020 08

 半月裂孔の前上方はややせばまって、篩骨迷路の前部の中を下降する管状の篩骨漏斗に続いている。

Hiatus semilunaris(半月裂孔)Hiatus semilunaris はんげつれっこう [A02.1.07.018] Feneis: 020 09

 鈎状突起の外側には篩骨胞を前方から下方に囲む弯曲した裂目状の空間が残される。これを半月裂孔と呼ぶ。

Concha nasalis inferior(下鼻甲介)Inferior nasal concha かびこうかい [A02.1.08.001] Feneis: 020 17

 中鼻甲介と殆ど同じ形状でこれより大きく、その下方で鼻腔外側壁に付着する1対の独立した小骨で、外面(上顎骨に向かう側)のくぼんだ前後に長い舟状である。上下良縁と内外両面を区別しうる。下鼻甲介の内側面は鼻腔内に向かってふくらんだ粗面である。下縁は中鼻甲介のように外側に少し巻いている。上縁に涙骨突起、上顎突起、および篩骨突起がある。

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Processus lacrimalis(下鼻甲介の涙骨突起)Lacrimal process of inferior concha かびこうかいのるいこつとっき [A02.1.08.002] Feneis: 020 18

 涙骨突起は上縁の前部から上に向かい、その上縁が涙骨下端に着き、このように下鼻甲介が上顎骨の鼻涙溝の下部を被って鼻涙管の下端部がつくられる。

Processus maxillaris(下鼻甲介の上顎突起)Maxillary process of inferior concha かびこうかいのじょうがくとっき [A02.1.08.003] Feneis: 020 19

 上顎突起は上縁の中央部で外下側に折れ曲がる三角形の骨片で、上顎洞裂孔の下半をふさいでその下縁につく。

Processus ethmoidalis(下鼻甲介の篩骨突起)Ethmoidal process of inferior concha かびこうかいのしこつとっき [A02.1.08.004] Feneis: 020 20

 篩骨突起は上縁の後部から上に向かい、篩骨の鈎状突起の下端と連接し、前者と共に上顎洞裂孔の後下部を閉じる。篩骨突起より後方の上縁は口蓋骨の鼻甲介稜に着く。下鼻甲介の弯曲には個人差が多い。

Os lacrimale(涙骨)Lacrimal bone るいこつ [A02.1.09.001] Feneis: 020 21

 涙骨は左右1対の不正長方形の薄い骨で、眼窩に側壁の前端部で涙嚢窩の後半部を構成し、これに続く鼻涙管の骨壁の一部もつくる。この骨も結合組織性骨化によって生ずる。涙骨の全体の形は手指の爪に似ているが、厚さは爪よりも薄い。外面は眼窩に向かい、中央を縦走する稜縁の前方にある溝状のくぼみが涙嚢窩の構成に加わる部分である。外側面は眼窩の内側壁の前部を形成し、内側面は鼻腔(中鼻道)の外側壁の一部を作る。上縁は前頭骨眼窩部と、下縁は上顎骨眼窩面と、前縁は上顎骨前頭突起と、後縁は篩骨眼窩板とそれぞれ接している。外側面の前半部には縦に走る涙骨溝があり、これは上顎骨の前頭突起の同名溝と合して涙嚢窩を形成する。涙嚢孔の後方の境界を後涙嚢稜といい、下方へ延びて涙嚢鈎となり、上顎骨前頭突起の涙嚢溝および下鼻甲介の涙骨突起とともに鼻涙管壁の一部を形成する。Lacrimaleはlacrima(涙)の形容詞である。

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Crista lacrimalis posterior(後涙嚢稜)Posterior lacrimal crest こうるいのうりょう [A02.1.09.002] Feneis: 020 22

 涙骨の外側面は眼窩に向かう面である。涙嚢溝との境界は後涙嚢稜となり眼輪筋涙嚢部が起こる所。

Sulcus lacrimalis(涙嚢溝)Lacrimal groove in lacrimal bone るいのうこう [A02.1.09.003] Feneis: 020 23

 涙骨の外側面の前半は縦に走る涙嚢溝として深く凹み、上顎骨前頭突起にある同名の溝と合して涙嚢窩となる。後半部は眼窩内側壁をつくる平坦な面である。

Hamulus lacrimalis(涙骨鈎)Lacrimal hamulus るいこつこう [A02.1.09.004] Feneis: 020 24

 後涙嚢稜の下端は涙骨鈎となって前方に突出し、上顎骨の涙嚢切痕の後縁に結合して鼻涙管の上端部をつくり、前半部は少し下方に延長して上顎骨の涙嚢溝をふさぎ、下端は下鼻甲介の涙骨突起と接合して鼻涙管壁の一部をつくる。

Os nasale(鼻骨)Nasal bone びこつ [A02.1.10.001] Feneis: 020 26

 鼻骨は三角形に近い長方形の薄い骨で、左右のものが正中で接合して鼻背の骨格を作る。骨化様式は結合組織性骨化である。鼻腔を前上方からおおう台形の骨である。上方は狭く、下方は広い。上縁は前頭骨鼻部の鼻棘に接し、下縁は遊離縁で骨鼻孔の梨状口の上縁をなす。外側縁は上顎骨の前頭突起と結合し、内側縁は他側の鼻骨と結合し、両者間に鼻骨間結合をなす。鼻骨の前面は軽度膨隆し、後面は軽度陥凹している。前面のほぼ中央に鼻骨孔があり、この孔は後面で篩骨孔につづき、ここを前篩骨神経の外鼻枝が通る。

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Sulcus ethmoidalis(篩骨神経溝)Ethmoidal groove しこつしんけいこう [A02.1.10.002] Feneis: 020 27

 鼻骨の内面はくぼんでおり、縦走する篩骨神経溝は鼻骨孔につづき前篩骨神経がこれを通る。

Foramina nasalia(鼻骨孔)Nasal foramina びこつこう [A02.1.10.003] Feneis: 020 27a

 鼻骨の外面(その内側縁のい近く眉毛下制筋が起こる)は平滑で、左右径には軽くふくらむが、上下頚にはわずかにくぼみ、その中央には小さい鼻骨孔が前篩骨神経外側枝の通路を作る。

Vomer(鋤骨)Vomer じょこつ [A02.1.11.001] Feneis: 020 28

 骨鼻中隔の下部を形成する四辺形の鋤の形をした骨である。上縁の後部の大部分は篩骨垂直板の下縁に接し、前部の小部分は鼻中隔軟骨に接する。後上縁は左右2枚に分かれて鋤骨翼となり蝶形骨体底の蝶形骨吻をはさみ、また蝶形骨翼状突起の鞘状突起とともに口蓋骨鞘突管を形成する。下縁は上顎骨および口蓋骨の鼻稜に接している。後下縁は遊離縁をなし、後鼻孔の開口部を左右に分けている。Vomerは「鋤の刃」の意味。独立した骨であることを初めて発見したのはG.Fallopius(1523-1563)とM.R. Colombo (1516-1559)であるといわれる。

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Ala vomeris(鋤骨翼)Ala of vomer じょこつよく [A02.1.11.002] Feneis: 020 29

 鋤骨の上縁は左右の厚い鋤骨翼に分かれ、その間に蝶形骨分をはさむ。

Sulcus vomeris(鋤骨溝)Vomerine groove じょこつこう [A02.1.11.003] Feneis: 020 30

 斜走する溝で、鼻口蓋神経およびその伴行血管をいれる。

Crista choanalis vomeris(鋤骨後鼻孔稜)Vomerine crest of choana じょこつこうびこうりょう [A02.1.11.004]

Pars cuneiformis vomeris(鋤骨楔状部)Cuneiform part of vomer じょこつけつじょうぶ [A02.1.11.005]

 鋤骨の楔形の部分。

Maxilla(上顎骨)Maxilla じょうがくこつ [A02.1.12.001] Feneis: 022 02

 上顎骨は顔面頭蓋の中央を占める有対性の骨で、左右のものが正中で結合して、眼窩・鼻腔・骨口蓋などの骨格に関与する。上顎骨はその主部をなす体と、これから突出する4種類の突起で構成される。顔面の中央部にあり、上顎の歯をつけるほぼ四角形の有対骨で、内に鼻洞(上顎洞)のある中央部(上顎体)と四つの突起に区別される。四つの突起とは上方にのびて鼻根の外側部つくり前頭骨に接する前頭突起、外方にのびて頬骨につづく頬骨突起、水平の内方にのび、他側のそれと合して硬口蓋の大部分をつくる口蓋突起と、そこから堤防状に下方に高まり、歯をつける歯槽突起である。

 上顎骨の前面をみると、体の上縁は眼窩下縁で、その下0.5~1.0cmに大きい孔(眼窩下孔)がある。眼窩下神経、血管がとおり、三叉神経第2枝の圧痛点である。ときに眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縁から眼窩下孔まで縫合がみられる(眼窩下縫合)。

 眼窩下孔の下方の浅いへこみ(犬歯窩)は口角拳筋の起始部である。体の内側縁はするどい稜で、弓状に折れこみ(鼻切痕)、対側のものとで骨性鼻腔の前口(梨状口)をかこむ。上顎骨外面をみると眼窩下縁の延長が前頭突起に鋭い稜を(前涙嚢稜)をつくる。犬歯窩の後ろで大きい頬骨突起が外方に出て、この突起の上面(眼窩面)が眼窩底をつくる。そこには前後に走る溝(眼窩下溝)があり、前にいくにつれ骨の下に入る(眼窩下管)。

 眼窩面の後縁は大翼とともに下眼窩裂を境する。頬骨突起より後ろの面は側頭下面で、後縁口蓋骨垂直板と結合する。上顎洞後壁のうしろへの膨隆を上顎結節といい、ここにある二、三の孔(歯槽孔)が歯槽管につづき、そこから歯槽に開口する管が出る。後上歯槽神経が通る。

 内側面では上2/3と下1/3の境から口蓋突起が水平に突出し、それより上の部は鼻腔面である。前頭突起の基底部に上下2条の稜があり、上のもの(篩骨稜)は中鼻甲介につき、したのもの(鼻甲介稜)は下鼻甲介上縁前端がつく。前頭突起の控除迂遠は半月状に切れ込み(涙嚢切痕)、そこから後下方に深い溝(涙嚢溝)があり、涙骨の下の部分ととともに鼻涙管をつくる。前頭突起には涙骨につづく縁(涙骨稜)がある。体の内側面、涙嚢溝のうしろに指をとおす大きさの上顎洞の入口(上顎洞裂孔)がある。内側面後縁上半分は滑らかで翼口蓋窩の前壁をつくり、下半部は口蓋骨につき、粗面で、大口蓋溝があり、口蓋骨の同名溝と合して垂直な管(大口蓋管)をつくる。

 口蓋突起の上面は滑らかで、鼻腔の床に当たり、内縁は高まって他側のものと合して鋤骨をつける鼻稜をつくり、前方では梨状口下縁で棘上に高まる(前鼻棘)。その少しうしろに開口があり、下方は正中面で溝となり、他側のものと合して1本の管(切歯管)として、口蓋面前方正中部の切歯窩に切歯孔としてひらく。下面は粗で口腔の天井をつくり、大幸外口から出て前方に向かう神経血管のために生じた前後に走る口蓋溝、それと平行な稜(溝が医療)がみられる。歯槽突起については下顎骨をみよ。

 歯槽突起外面にある歯槽に起因する膨隆群を歯槽隆起という。Maxillaという言葉はローマ時代から「アゴ」の意味でも上顎にも下顎にも使われてきた。Vesaliusも、上顎骨をmaxilla superior,下顎骨をmaxilla inferiorと呼んでいる。Maxillaが上顎骨だけに限定され、下顎骨がmandibulaと呼ばれるようになったのは近代に入ってからである。顎下腺(下顎骨の下にある唾液腺)も1935年まではglandula submaxillarisと呼ばれていた。

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Corpus maxillae(上顎体)Body of maxilla じょうがくたい [A02.1.12.002] Feneis: 022 03

 上顎体は角がまるい三角柱状で、前面、後面(側頭下面)、上面(眼窩面)および内側面(鼻腔面)がある。その内部は殆ど上顎洞という空洞で占められいる。

Facies orbitalis(上顎骨の眼窩面)Orbital surface of maxilla じょうがくこつのがんかめん [A02.1.12.003] Feneis: 022 04

 上顎骨の眼窩面は眼窩の底となる滑らかな三角形の面で、やや外下りに傾く。

Canalis infraorbitalis(眼窩下管)Infra-orbital canal がんかかかん [A02.1.12.004] Feneis: 022 05

 眼窩面の前端は上顎体に埋没して眼窩下管となり、眼窩下孔に開く。眼窩下溝から眼窩下管は上顎神経の末端の眼窩下神経、顎動脈の終枝の眼窩下動脈の通路である。

Sulcus infraorbitalis(眼窩下溝)Infra-orbital groove がんかかこう [A02.1.12.005] Feneis: 022 06

 眼窩面の後縁は側頭下面との間の縁で、下眼窩裂の下縁となり、そのほぼ中央から眼窩面に向かって眼窩下溝が起こる。

Margo infraorbitalis(上顎骨の眼窩下縁)Infra-orbital margin of maxilla がんかかえん [A02.1.12.006] Feneis: 022 07

 眼窩面の前縁は前面との間の眼窩下縁である。

Facies anterior(上顎骨の前面)Anterior surface of maxilla じょうがくこつのぜんめん [A02.1.12.007] Feneis: 022 08

 上顎体の前面は顔面中央の半分をつくる。外方は頬骨突起に連なり、内側には大きい鼻切痕が陥入(両側の鼻切痕と鼻骨の下縁とが合わさって顔面の中央に梨状口をつくる)。上縁は眼窩面との境となるやや鋭い眼窩下縁(上唇拳筋が起こる)で、その内方は前頭突起の前涙嚢稜につづく。

Foramen infraorbitale(眼窩下孔)Infra-orbital foramen がんかかこう [A02.1.12.008] Feneis: 022 09

 上顎体下縁は明瞭な境なしに歯槽突起に移る。眼窩下縁の下約0.5-1.0cmに眼窩下孔がある。これは眼窩面の眼窩下溝につづく眼窩下管の顔面に開く口である。

Fossa canina(犬歯窩)Canine fossa けんしか [A02.1.12.009] Feneis: 022 10

 眼窩下孔の下に浅い犬歯窩がある。口角拳筋の起始部。

Incisura nasalis(鼻切痕)Nasal notch びせっこん [A02.1.12.010] Feneis: 022 11

 上顎体の前面の内側には大きい鼻切痕が陥入する。

Spina nasalis anterior(上顎骨の前鼻棘)Anterior nasal spine of maxilla じょうがくこつのぜんびきょく [A02.1.12.011] Feneis: 022 12

 口蓋突起の上面は鼻腔に向かう滑らかな面で、中がくぼんだ溝状のである。その内側縁は上に向かう鋭い鼻稜となり、その前半は顔面に向かって突出して前鼻棘をつくる。

Sutura zygomaticomaxillaris; Sutura infraorbitalis(眼窩下縫合、頬骨上顎骨縫合)Zygomaticomaxillary suture きょうこつじょうがくこつほうごう、がんかかほうごう [A02.1.12.012] Feneis: 022 13

 眼窩下縁の上壁で同管内方に境界にあたり、細い眼窩下縫合があって、眼窩下孔までつづく。これは上顎体と頬骨突起との癒合したあとであるが、老人では明らかでない。

Facies infratemporalis(上顎骨の側頭下面)Infratemporal surface of maxilla じょうがくこつのそくとうかめん [A02.1.12.013] Feneis: 022 14

 側頭下面は頬骨突起より後方の面で後外方を向く。頭蓋の側面にある側頭下窩の前壁となることからこの名がある。その上縁は眼窩面との間にできる縁で、下眼窩裂を下方から境する。

Foramina alveolaria(上顎骨の歯槽孔)Alveolar foramina of maxilla じょうがくこつのしそうこう [A02.1.12.014] Feneis: 022 15

 側頭下面の中央部はやや高い粗な上顎結節をつくり、ここに2~3の小さい歯槽孔があり、後上歯槽動脈および神経を側頭下面へ導く小孔群である。

Canales alveolares(上顎骨の歯槽管)Alveolar canals of maxilla じょうがくこつのしそうかん [A02.1.12.015] Feneis: 022 16

 歯槽管は上顎洞の側壁中を通ずる歯槽管(上顎神経の後上歯槽枝と後上歯槽動脈の通路)の入口である。歯槽管のうち、眼窩管から出るものは前および中歯槽管、後壁の上顎結節から入るものは後歯槽管で、それぞれ上顎神経の前、中、後歯槽枝の通路である。

Tuber maxillare; Eminentia maxillae(上顎結節、上顎隆起)Maxillary tuberosity じょうがくけっせつ、じょうがくりゅうき [A02.1.12.016] Feneis: 022 17

 側頭下面の中央部はやや高い粗な上顎結節をつくる。

Facies nasalis(上顎骨の鼻腔面)Nasal surface of maxilla じょうがくこつのびくうめん [A02.1.12.017] Feneis: 022 18

 鼻腔面は内側に向かう比較的平滑な面で矢状位をとる。

Sulcus lacrimalis(上顎骨の涙嚢溝)Lacrimal groove in maxilla じょうがくこつのるいのうこう [A02.1.12.018] Feneis: 022 19

 上顎洞裂孔の前には前頭突起からつづく涙嚢溝が縦に走る。裂孔前縁の上半部からは小さな骨片(涙半月)が出て、涙嚢溝の後壁を後壁を高くする。

Crista conchalis(上顎骨の鼻甲介稜)Conchal crest of maxilla じょうがくこつのびこうかいりょう [A02.1.12.019] Feneis: 022 20

 涙骨縁の下端の付近から前方に向かって鼻甲介稜が粗な隆起線としてほぼ水平に走る。ここに下鼻甲介の前上縁がつく。

Margo lacrimalis(上顎骨の涙骨縁)Lacrimal margin of maxilla じょうがくこつのるいこつえん [A02.1.12.020] Feneis: 022 21

 涙嚢溝の前縁は前頭突起の後縁が下降してきた涙骨縁でつくられる。

Hiatus maxillaris(上顎洞裂孔)Maxillary hiatus じょうがくどうれつこう [A02.1.12.021] Feneis: 022 22

 鼻腔面の中央に大きな倒立三角形上の上顎洞裂孔がある。これは上顎洞の入口であるが、完全な頭蓋ではその大部分が他の骨(口蓋骨、篩骨、下鼻甲介)によって内側(鼻腔側)からふさがれる。この裂孔の上皮は篩骨蜂巣の一部の外側壁をつくるために生ずる多くのくぼみを見る。

Sulcus palatinus major(大口蓋溝)Greater palatine groove だいこうがいこう [A02.1.12.022] Feneis: 022 23

 鼻腔面の上頭洞裂孔より後方にある部は口蓋骨の垂直板と結合する。その面の後上部には口蓋骨眼窩突起が接する。この口蓋垂直板と結合する面の後下部には後上方から前下方に斜めに走る大口蓋溝があって、口蓋骨の同名の溝と合して大口蓋管をつくる。

Sinus maxillaris(上顎洞)Maxillary sinus じょうがくどう [A02.1.12.023] Feneis: 022 24

 上顎洞は上顎体中にある大きい空洞で、その形は大腿において上顎体の形に一致するが、尖端を外上方、すなわち頬骨突起の方に出しているので錐体状に近く、その底は鼻腔面にむく。ここにはなはだ大きい上顎洞裂孔があるが、完全な頭蓋ではこの裂孔は口蓋骨の垂直板、篩骨の鈎状突起および下鼻甲介の上顎、篩骨稜突起によりその一部がふさがれて著しく小さくなる。(生体では、さらに鈎状突起まで鼻粘膜に被われるため、中鼻甲介の下の半月裂孔に開く小さな開口を残すのみとなる。)上顎洞はその前壁が最も厚く、つぎは後壁、上壁の順で内側壁が最も薄い。下壁は歯槽突起に入り、場所によってその厚さが異なるが、大臼歯および小臼歯の歯根をおおう部、とくに第1、第2臼歯の付近で最も薄く、それらの歯根はしばしば洞に達する。また、下壁には歯槽中隔の為に多くの骨の高まりやくぼみを見るのを常とする。なお、上顎洞の前後稜壁には多くの細い歯槽溝または歯槽管および歯槽孔が見られる。『ハイモア洞』:イギリスの自然科学者Nathaniel Highmore (1613-1685)の名を冠するが、レオナルド・ダ・ビンチがすでに観察している。ハイモアは、この他にも精巣縦隔(Highmore's body)に名を残している。

Processus frontalis(上顎骨の前頭突起)Frontal process of maxilla じょうがくこつのぜんとうとっき [A02.1.12.024] Feneis: 022 25

 前頭突起は上顎体の上前内側隅から起こって上方に向かい、鼻骨と涙骨の間を前頭骨の鼻縁まで達する。細長く扁平で内外面、前後縁があるが、外側面は前後2部に分かれる。前縁は鼻骨に接する縁で薄く鋭い。後縁は涙骨前縁に接し、涙骨縁として上顎体鼻腔面まで延びて涙嚢溝の前縁をつくる。内側面の上部は篩骨迷路の前端部が着くやや粗な面で、しばしば篩骨蜂巣の一部に対応する陥凹がある。この部の下界で、眼窩面の高さをほぼ水平に不明瞭な篩骨稜が走るが、これは中鼻甲介の前端部が着くところである。外側面は眼窩下縁につづく前涙嚢稜により前後2部に分かれる。前の部は鼻背の一部(眼輪筋眼窩部、上唇鼻翼拳筋が起こる)をつくる。後部は縦にくぼんだ涙嚢溝となり、その上部は涙骨の同名の溝と合して涙嚢窩をつくり、下部は上顎体の内面の涙嚢溝につづく。前涙嚢稜の下端が上顎体の眼窩面に移る所にある半月上の涙嚢切痕の外側部は涙骨鈎のつく所である。

Crista lacrimalis anterior(上顎骨の前涙嚢稜)Anterior lacrimal crest of maxilla じょうがくこつのぜんるいのうりょう [A02.1.12.025] Feneis: 022 26

 前頭突起の外側面は眼窩下縁につづく前涙嚢稜により前後2部に分かたれる。

Incisura lacrimalis(涙嚢切痕)Lacrimal notch るいのうせっこん [A02.1.12.026] Feneis: 022 27

 前涙嚢稜の下端が上顎体の眼窩面に移る所にある半月状の涙嚢切痕の外側部は涙骨鈎のつくところである。

Crista ethmoidalis(上顎骨の篩骨稜)Ethmoidal crest of maxilla じょうがくこつのしこつりょう [A02.1.12.027] Feneis: 022 28

 前頭突起の下界で、眼窩面の高さをほぼ水平に明瞭な篩骨稜が走るが、これは中鼻甲介の前端部が着くところである。

Processus zygomaticus(上顎骨の頬骨突起)Zygomatic process of maxilla じょうがくこつのきょうこつとっき [A02.1.12.028] Feneis: 022 29

 頬骨突起は上顎体の外上端から前外方に向かう三角柱状の突起で、粗な断端の面が頬骨と結合する。その下縁はは頬骨下稜(JNA)といい、下方に走って上顎体の前面と側と下面との境界となりそのつづきは第1または第2大臼歯の歯槽下面にまで及ぶ。

Processus palatinus(上顎骨の口蓋突起)Palatine process of maxilla じょうがくこつのこうがいとっき [A02.1.12.029] Feneis: 024 01

 口蓋突起は上顎体と歯槽突起の移行部にあたる高さで、上顎骨の内面から内方に向かって水平に突出する骨板で、後縁は左右の第2大臼歯の歯槽を結ぶ線上にある。その内側縁は他側のものと正中線上で合して(正中口蓋縫合)、骨口蓋の前方約2/3をつくる。後縁は口蓋骨の水平板と合する(横口蓋縫合)。

Crista nasalis(上顎骨の鼻稜)Nasal crest of maxilla じょうがくこつのびりょう [A02.1.12.030] Feneis: 024 02

 口蓋突起の上面は鼻腔に向かう滑らか面で、中がくぼんだ溝状である。その内側縁は上に向かう鋭い鼻稜となり、その前端は顔面に向かって突出して前鼻棘をつくる。

(Os incisivum; Premaxilla)((切歯骨、顎前骨))(Incisive bone) せっしこつ、がくぜんこつ [A02.1.12.031] Feneis: 024 03

 骨口蓋の前端の正中部は、胎生期には切歯骨という独立した1対の小骨で形成されており、これは生後に上顎骨と癒合してしまう。切歯骨は多くの脊椎動物ではpremaxillaとして終生独立している。

Canalis incisivi(切歯管)Incisive canal せっしかん [A02.1.00.061] Feneis: 024 04

 口蓋突起の上面の前部で鼻稜に近いところから、前下やや内方に向かって下面内側縁に貫く切歯管がある。両側の上顎骨を合すると、切歯管の下端は正中口蓋縫合の前端の大きな切歯窩の底に開く。

(Sutura incisiva)((切歯縫合))(Incisive suture) せっしほうごう [A02.1.12.032] Feneis: 024 05

 歯槽突起の切歯を有する部、すなわち切歯部は口蓋突起の前端の小部分とともに、もとは切歯骨という独立の骨で、生後に上顎骨と結合したものである。この切歯骨と上顎骨との境界が切歯縫合でしめされる。この縫合は成人の骨では多くは消失してしまっている。切歯縫合の位置は、切歯窩と側切歯・犬歯の境を結んだ線上である。

Spinae palatinae(口蓋棘)Palatine spines こうがいきょく [A02.1.12.033] Feneis: 024 06

 口蓋突起の下面は口腔の上壁となる粗な面でややくぼみ、その後外側部の歯槽突起に近い所には、すぐ後の口蓋骨の水平板にもつづく口蓋溝(大口蓋神経および同名動静脈が通る)がある。枝分かれをしている口蓋溝の間には口蓋棘が棘状または稜状に隆起する。

Sulci palatini(口蓋溝)Palatine grooves こうがいこう [A02.1.12.034] Feneis: 024 07

 口蓋突起の下面は口腔の上壁となる粗な面でややくぼみ、その後外側部の歯槽突起に近い所には、すぐ後の口蓋骨の水平板にもつづく口蓋溝がある。大口蓋神経および同名動静脈が通る。

Processus alveolaris(上顎骨の歯槽突起)Alveolar process of maxilla じょうがくこつのしそうとっき [A02.1.12.035] Feneis: 024 08

 歯槽突起は上顎体の下面につづいて下方に突出し、弯曲した厚い提状の骨塊をつくる。両側の上顎骨を合わせると、後に開いた馬蹄形の隆起となる。ここに一側につき8個(乳歯では5)の歯根を容れる歯槽がならび、全体として歯槽弓をつくる。

Arcus alveolaris(上顎骨の歯槽弓)Alveolar arch of maxilla じょうがくこつのしそうきゅう [A02.1.12.036] Feneis: 024 09

 上顎骨の弓状ないし馬蹄状の隆起を歯槽弓と呼ぶ。

Alveoli dentales(上顎骨の歯槽)Dental alveoli of maxilla じょうがくこつのしそう [A02.1.12.037] Feneis: 024 10

 歯槽弓の隆起の上にあるくぼみ(歯槽)に各々の歯の歯根部がはまり込んでいる。

Septa interalveolaria(上顎骨の槽間中隔)Interalveolar septa of maxilla じょうがくこつのそうかんちゅうかく [A02.1.12.038] Feneis: 024 11

 おのおのの歯槽は槽間中隔という薄い骨板で互いに隔てられている。

Septa interradicularia(上顎骨の根間中隔)Interradicular septa of maxilla かがくこつのこんかんちゅうかく [A02.1.12.039] Feneis: 024 12

 歯根が分岐する大臼歯では歯槽内に根間中隔がある。

Juga alveolaria(上顎骨の歯槽隆起)Alveolar yokes of maxilla じょうがくこつのしそうりゅうき [A02.1.12.040] Feneis: 024 13

 歯槽は歯槽突起の外面に歯槽隆起(第2、第3大臼歯の歯槽隆起から頬筋の一部が起こる)をつくり、犬歯で最も著しく、切歯がこれにつづく。

Foramen incisiva(切歯孔)Incisive foramina せっしこう [A02.1.00.062] Feneis: 024 14

 切歯窩の中に両側の切歯管が切歯孔をもって開く。その上端は鼻稜の前方部の両側で鼻腔に開く。鼻稜のこれより前、すなわち切歯骨の領域にある部は切歯稜ともよばれる。

Os palatinum(口蓋骨)Palatine bone こうがいこつ [A02.1.13.001] Feneis: 024 15

 口蓋骨は骨口蓋の後面と鼻腔外側壁の後部を作る有対性の薄い骨である。上顎骨と蝶形骨の間にはさまれたL字型の骨で、水平板と垂直板に区別される。水平板は上顎骨口蓋突起をうしろに延長して骨口蓋をつくる上部で、上面(鼻腔面)は滑らかで、他側のものと会する縁は上顎骨におけると同じく高まり(鼻稜)、さらにうしろに向かって突出する(後鼻棘)。下面(口蓋面)は粗面で、へこみ、前縁にときに高まり(口蓋稜)がみられ、外側縁後方に大口蓋孔がある。垂直板はうすく、前方は上顎骨体の内側に重なり、上顎洞の入口の一部を後下からおおう。うしろは蝶形骨翼状突起につくが、水平板に移行するところから後方に錐体突起が出て、翼状突起の外側板と内側板の間につくられるうしろに向かう凹み(翼突窩)の下縁にある翼突切痕に嵌入する。垂直板の内側面は鼻腔外側壁の後部をつくり、前後に走る上下二つの稜があり、上のもの(篩骨稜)には中鼻甲介後端がつき、下のもの(鼻甲介稜)は発達よく、下鼻甲介をつける垂直板の上縁は深く切れ込むが(蝶口蓋切痕)、上方に蝶形骨体があるので孔(翼口蓋孔)となり、鼻腔と翼口蓋窩を連絡する。蝶口蓋切痕の前の突起(眼窩突起)はうしろの突起(蝶形骨突起)より大きく、上前方に向かって5面あり、内側の3面は他骨との接触面で、前は上顎骨、中のは篩骨(この部分は篩骨洞をおおうためへこむ)、うしろのは蝶形骨体につく。外側面に2面あり、ともに自由面で、上の面は眼窩底の一番後ろをつくり、下の面は翼口蓋窩に面する。蝶形骨突起は上内方に向かい、下面は内面で鼻腔外側壁をつくり、上(外)面は翼状突起につき、内方にのびて鋤骨翼に達し、これと静脈のとおる管(咽頭管)をかこむ。垂直板の外側面(上顎面)は上顎骨体内面をおおう部のうしろに、縦の前後の二つの粗面があり、前のは上顎骨内面に、うしろのは蝶形骨翼状突起につく。2面の間には蝶口蓋切痕から下る第3の面があって、上は翼口蓋窩の底をつくり、下方は垂直な溝(大口蓋溝)となり、上顎骨の同名溝と合して大口蓋管をつくり、大口蓋孔で口蓋にひらく。大口蓋神経、下行口蓋動脈が通る。この管から通常2本の小管(小口蓋管)が分かれて、錐体突起の基部をつらぬき、その下面下、内側に小孔(小口蓋孔)でひらく。

A02113001a.jpg (14360 バイト)A02113001b.jpg (20684 バイト)

Lamina perpendicularis(口蓋骨の垂直板)Perpendicular plate of palatine こうがいこつのすいちょくめん [A02.1.13.002] Feneis: 024 16

 垂直板の内側面は鼻腔外側壁の後部をつくり、前後に走る上下二つの稜があり、上のもの(篩骨稜)には中鼻甲介後端がつき、下のもの(鼻甲介稜)は発達よく、下鼻甲介をつける垂直板の上縁は深く切れ込むが(蝶口蓋切痕)、上方に蝶形骨体があるので孔(翼口蓋孔)となり、鼻腔と翼口蓋窩を連絡する。蝶口蓋切痕の前の突起(眼窩突起)はうしろの突起(蝶形骨突起)より大きく、上前方に向かって5面あり、内側の3面は他骨との接触面で、前は上顎骨、中のは篩骨(この部分は篩骨洞をおおうためへこむ)、うしろのは蝶形骨体につく。外側面に2面あり、ともに自由面で、上の面は眼窩底の一番後ろをつくり、下の面は翼口蓋窩に面する。蝶形骨突起は上内方に向かい、下面は内面で鼻腔外側壁をつくり、上(外)面は翼状突起につき、内方にのびて鋤骨翼に達し、これと静脈のとおる管(咽頭管)をかこむ。垂直板の外側面(上顎面)は上顎骨体内面をおおう部のうしろに、縦の前後の二つの粗面があり、前のは上顎骨内面に、うしろのは蝶形骨翼状突起につく。2面の間には蝶口蓋切痕から下る第3の面があって、上は翼口蓋窩の底をつくり、下方は垂直な溝(大口蓋溝)となり、上顎骨の同名溝と合して大口蓋管をつくり、大口蓋孔で口蓋にひらく。大口蓋神経、下行口蓋動脈が通る。この管から通常2本の小管(小口蓋管)が分かれて、錐体突起の基部をつらぬき、その下面下、内側に小孔(小口蓋孔)でひらく。

Facies nasalis(口蓋骨の鼻腔面)Nasal surface of palatine こうがいこつのびくうめん [A02.1.13.003] Feneis: 024 17

 口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。

Facies maxillaris(口蓋骨の上顎面)Maxillary surface of palatine こうがいこつのじょうがくめん [A02.1.13.004] Feneis: 024 18

 口蓋骨の外側の上顎面は大部分、上顎体に着く粗面で、後上方から前下方に走る大口蓋溝がある。これは上顎骨の同名の溝と合して大口蓋管をつくる。

Incisura sphenopalatina(蝶口蓋切痕)Sphenopalatine notch ちょうこうがいせっこん [A02.1.13.005] Feneis: 024 19

 眼窩突起と蝶形骨突起の間に蝶口蓋切痕がある。

Sulcus palatinus major(大口蓋溝)Greater palatine groove だいこうがいこう [A02.1.13.006] Feneis: 024 20

 口蓋骨の外側の上顎面は大部分、上顎体に着く粗面で、後上方から前下方に走る大口蓋溝がある。これは上顎骨の同名の溝と合して大口蓋管をつくる。

Processus pyramidalis(口蓋骨の錐体突起)Pyramidal process of palatine こうがいこつのすいたいとっき [A02.1.13.007] Feneis: 024 21

 垂直板の下部は水平板より矢状径が広くなり、水平板より後に大きく突出する錐体突起となって蝶形骨翼状突起の翼突切痕にはまる。

Canales palatini minores(小口蓋管)Lesser palatine canals しょうこうがいかん [A02.1.13.008] Feneis: 024 22

 大口蓋孔の下部から後下方に通常1~2本の小さい小口蓋管(小口蓋神経および同名の血管の通路)がわかれ、その下端は錐体突起の下面に開いて小口蓋孔を作る。

Crista conchalis(口蓋骨の鼻甲介稜)Conchal crest of palatine こうがいこつのびこうかいりょう [A02.1.13.009] Feneis: 024 23

 口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。下方のものを稜を鼻甲介稜(下鼻甲介上縁が着く)という。

Crista ethmoidalis(口蓋骨の篩骨稜)Ethmoidal crest of palatine こうがいこつのしこつりょう [A02.1.13.010] Feneis: 024 24

 口蓋骨の内側面すなわち鼻腔面は平滑で、前後に走る2条の稜がある。上縁近くにあるものを篩骨稜という。中鼻甲介上縁が着く。

Processus orbitalis(口蓋骨の眼窩突起)Orbital process of palatine こうがいこつのがんかとっき [A02.1.13.011] Feneis: 024 25

 垂直板の上縁では前部から眼窩突起が上方に起こる。

Processus sphenoidalis(口蓋骨の蝶形骨突起)Sphenoidal process of palatine こうがいこつのちょうけいこつとっき [A02.1.13.012] Feneis: 024 26

 垂直板の後部から蝶形骨突起が上方に起こる。

Lamina horizontalis(口蓋骨の水平板)Horizontal plate of palatine こうがいこつのすいへいめん [A02.1.13.013] Feneis: 024 27

 水平板は上顎骨口蓋突起をうしろに延長して骨口蓋をつくる上部で、上面(鼻腔面)は滑らかで、他側のものと会する縁は上顎骨におけると同じく高まり(鼻稜)、さらにうしろに向かって突出する(後鼻棘)。下面(口蓋面)は粗面で、へこみ、前縁にときに高まり(口蓋稜)がみられ、外側縁後方に大口蓋孔がある。

Facies nasalis(鼻腔面)Nasal surface びくうめん [A02.1.13.014] Feneis: 024 28

 水平板の上面はすなわち鼻腔面は滑らかで中央がやや陥凹する。

Facies palatina(口蓋面)Palatine surface こうがいめん [A02.1.13.015] Feneis: 024 29

 水平板の下面すなわち口蓋面は平坦でなく、ときに後縁のすぐ前方をこれと平行に走る口蓋稜を認める。

Foramina palatina minora(小口蓋孔)Lesser palatine foramina しょうこうがいかん [A02.1.13.016] Feneis: 024 30

 小口蓋管の開口。

Spina nasalis posterior(口蓋骨の後鼻棘)Posterior nasal spine of palatine こうがいこつのこうびきょく [A02.1.13.017] Feneis: 024 31

 水平板の内側縁の後端は棘状に後方へ突出して後鼻棘となる。

Crista nasalis(口蓋骨の鼻稜)Nasal crest of palatine こうがいこつのびりょう [A02.1.13.018] Feneis: 024 32

 水平板の内側縁の上の縁は上方(鼻腔側)に突出して鼻稜となる。

Crista palatina(口蓋骨の口蓋稜)Palatine crest of palatine こうがいこつのこうがいりょう [A02.1.13.019] Feneis: 024 33

 水平板の下面。その前縁後方にしばしば存在する骨稜。

Os zygomaticum(頬骨)Zygomatic bone きょうこつ [A02.1.14.001] Feneis: 026 01

 頬骨は頬の突出した部分を形成するほぼ菱形の骨で、前頭骨、上顎骨、側頭骨、蝶形骨の4種の骨に囲まれている。体および2突起を有する。体は3面を有する。外側面は前方に軽度突出しており、ほぼ中央に頬骨顔面孔がある。この面より大・小頬骨筋が起こる。眼窩面は体の内側面にあり眼窩の前外側壁をなす軽度陥凹した面で頬骨眼窩孔がある。側頭面は体の表面にあり側頭下の前壁をなす凹面で、頬骨側頭孔にそれぞれひらく。ここには上顎神経の分枝である頬骨神経がとおる。前頭突起は体より上方に向かい千つ骨の頬骨突起および蝶形骨大翼前縁と結合する。側頭突起は体より後方に向かい、側頭骨の頬骨突起と結合して頬骨弓を形成する。前面からみると、頬骨の内側縁は眼窩外側縁および下縁を、外側縁および後下縁は遊離縁をなし、前下縁は上顎骨の頬骨突起結合する。眼窩内における頬骨は蝶形骨大翼眼窩面および上顎骨眼窩面と結合し、後面では既述のように蝶形骨大翼前縁と結合する。前頭突起の後縁が前頭頬骨縫合のやや下方で小さい円形の突起を出すことがあるが、この突起を縁結節という。Zygomaticumはギリシャ語のzygon(軛 yoke, Joch)に由来する形容詞である。したがってこの骨のラテン名には「頬」の意味はない。日本名の頬骨はよい名前であるが、胸骨と同音になるので注意を要する。

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Facies lateralis(頬骨の外側面)Lateral surface of zygomatic きょうこつのがいそくめん [A02.1.14.002] Feneis: 026 02

 頬骨の外側面(大および小頬骨筋がここから起こる)は外前方に向かうふくらんだ面で、そのほぼ中央に頬骨顔面孔がある。外側面の前上縁は眼窩口の外側縁となり、控除迂遠は殆ど直角に曲がって側頭窩に向かう。前下縁は上顎骨と縫合する。後下縁は咬筋が着く咬筋が着くのでざらざらしている。

Facies temporalis(頬骨の側頭面)Temporal surface of zygomatic きょうこつのそくとうめん [A02.1.14.003] Feneis: 026 03

 頬骨の内側の後部は後内方を向く側頭面で、側頭下を前方から境し、ここに頬骨側頭孔がある。

Facies orbitalis(頬骨の眼窩面)Orbital surface of zygomatic きょうこつのがんかめん [A02.1.14.004] Feneis: 026 04

 頬骨の内側は蝶形骨大翼に連なる骨梁により前後に2分される前部の下部は上顎骨の頬骨突起と連結する粗な面となる。上部は眼窩外下壁の前部をつくるくぼんだ眼窩面で、ここに頬骨眼窩孔がある。

Processus temporalis(頬骨の側頭突起)Temporal process of zygomatic きょうこつのそくとうとっき [A02.1.14.005] Feneis: 026 05

 側頭突起は後方に突出し、側頭骨の頬骨突起と連結して頬骨弓をつくる。

Processus frontalis(頬骨の前頭突起)Frontal process of zygomatic きょうこつのぜんとうとっき [A02.1.14.006] Feneis: 026 06

 前頭突起は上方に向かって前頭骨の頬骨突起と結合する。

Tuberculum orbitale(眼窩隆起、眼窩結節)Orbital tubercle がんかりゅうき、がんかけっせつ [A02.1.14.007]

(Tuberculum marginale)((縁結節))(Marginal tubercle) えんけっせつ [A02.1.14.008] Feneis: 026 07

 前頭突起の後縁は上部で少し前方に屈曲する。この屈曲部が著明な突隆をつくるとき、縁結節と呼ぶ(側頭筋膜の強い線維が着く)。

Foramen zygomaticoorbitale(頬骨眼窩孔)Zygomatico-orbital foramen きょうこつがんかこう [A02.1.14.009] Feneis: 026 08

 眼窩面にあり、頬骨神経が通る骨管の入口。

Foramen zygomaticofaciale(頬骨顔面孔)Zygomaticofacial foramen きょうこつがんめんこう [A02.1.14.010] Feneis: 026 09

 頬骨の外側面は外前方に向かう膨らんだ面で、そのほぼ中央に頬骨顔面孔がある。頬骨顔面神経が出る。

Foramen zygomaticotemporale(頬骨側頭孔)Zygomaticotemporal foramen きょうこつそくとうこう [A02.1.14.011] Feneis: 026 10

 頬骨の内側の後部は後内方を向く側頭面で、側頭窩を前方から境し、ここに頬骨側頭孔がある。頬骨側頭神経がでる。

Mandibula(下顎骨)Mandible かがくこつ [A02.1.15.001] Feneis: 026 11

 下顎を支え、頭蓋と顎関節をつくる骨で、水平な馬蹄形の部(下顎体)と、その後端から上方に向かう部(下顎枝)に分けられる。本来有対の骨として生じ、生後1年目で下顎底の前端で癒合して一つの骨となる。下顎体の上縁は歯槽部で、下縁は下顎底という。歯槽部には各側8本の歯をいれる八つのへこみ(歯槽)があり、全体として歯槽弓をつくる。各歯槽を境する骨壁を槽間中隔といい、大臼歯の歯槽はさらにその歯根の間を隔てる低い根管中隔で分けられている。体の正中線上前面で左右の骨が癒合した部分は高まり、その下縁は三角形をなして突出(オトガイ隆起)し、ヒトの特徴であるオトガイをつくる。その外側、下縁に接する小突出部をオトガイ結節という。外面ではオトガイ結節から斜線が下顎枝の前縁に向かう。また第2小臼歯の下方にオトガイ孔がある。下顎体の内面には前方正中部に四つの隆起からなるオトガイ棘があり、上二つはオトガイ舌筋、下二つはオトガイ舌骨筋がつく。その下外側で下縁に切歯て卵形のへこみ(二腹筋窩)がある。そこから斜めに下顎枝の前縁に向かう線(顎舌骨筋線)があり、左右のこの線の間をはる顎舌骨筋が口底をつくる。この線の上前はへこみ(舌下腺窩)、またこの線の下方、第2~3大臼歯の所もへこむ(顎下線窩)。下顎底が下顎枝にうつる所は下顎角といわれ、小児で鈍角であるが成長とともに直角に近づく。下顎枝の上縁は深い切れ込み(下顎切痕)によって二つの突起に分かれ、前のもの(筋突起)には側頭筋がつき、後のもの(関節突起)の先に横楕円形の下顎頭があて、側頭骨鱗部にある関節窩と顎関節を作る。下顎頭の下はすこしくびれ(下顎頚)、その前面に外側翼突筋のつく翼突筋窩がある。下顎枝外面は平らで下顎角に近く咬筋のつく咬筋粗面、内面には内側翼突筋のつく翼突筋粗面がある。下顎枝内面中央には下顎孔があり、その前縁は上内方に尖り(下顎小舌)口腔から触れるので、下歯槽神経の伝達麻酔の際、針をさす指標となる。下顎孔の後下から溝(顎舌骨筋神経溝)が出て前下方に斜めに向かう、この上の高まりが顎舌骨筋線である。下顎管は下顎孔からはじまり下顎体の中央で二分し、外側管はオトガイ孔で外側にひらき、内側管は切歯のそばに終わるが、その経過中に各歯槽に向かって小管を出している。有顎魚の下顎を支配する骨格は本来下顎軟骨(Meckel軟骨)で、上顎を支配する支持する軟骨は(口蓋方形軟骨)と顎関節をつくる。ともに鰓弓軟骨の変化したものである。硬骨魚類では下顎軟骨のまわりに若干の皮骨が生じて下顎を支え、そのうち前外面にあり、顎縁の歯をつけた大きい歯を歯骨という。顎関節は下顎軟骨と口蓋方形軟骨それぞれの後部の化骨物(関節骨と方骨)の間につくられる。両棲類、爬虫類も同じ状態であるが、哺乳類では歯骨のみが大きくなって下顎骨となり、顎関節は歯骨と燐骨(側頭骨鱗部に相当する骨)の間に新生されたものである。そして関節骨と方骨はツチ骨、キヌタ骨になっている。多くの哺乳動物では下顎骨は生体でも対をなした状態にとどまっている。Mandibulaはmandere(噛む)という動詞に由来し、語尾のbulaは「道具」を意味する接尾辞である。下顎骨にはすべての咀嚼筋が付着する。

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Corpus mandibulae(下顎体)Body of mandible かがくたい [A02.1.15.002] Feneis: 026 12

 下顎体は後方に向かって開いたL字形の左右両半からなり、ほぼ垂直に立つ厚い骨板である。一般に前方が高く後方が引く。下顎体を内外両面に分けるほか、上縁とその周囲を歯槽部、下縁を下顎底という。下顎底は歯槽部より広く、そのため側面はやや傾斜し、とくに前部が前下方に突出して顔のオトガイ(頤)をるくる。この下顎底が広いことが人類の下顎骨の著しい特徴である。

Basis mandibulae(下顎底)Base of mandible かがくてい [A02.1.15.003] Feneis: 026 13

 下顎底は肥厚して円味を帯び、正中部が最も厚く、後部、とくに下顎枝の下方にあたる部は薄く、全体としてゆるやかなS状の曲がりを示す。下顎体の前面には、両半部の癒合した部位を示す細い隆起尖があり、その両側にオトガイ筋が起こる浅いくぼみがある。隆起線は下方では底のやや上方で三角形の広い隆起(オトガイ三角)に移行する。

(Symphysis mandibulae)((下顎結合))(Mandibular symphysis) かがくけつごう [A02.1.15.004] Feneis: 026 14

Protuberantia mentalis(オトガイ隆起)Mental protuberance おとがいりゅうき [A02.1.15.005] Feneis: 026 15

 下顎体の正中部の前面にはオトガイ隆起という隆起がみられ、その外下方にオトガイ結節という高まりがある。オトガイ隆起と左右の両側のオトガイ結節とは下顎体の前面正中部で三角状に突出し、オトガイ三角mental triangleをつくる。三角を含めて下顎の先端部がオトガイで、その存在はヒトの下顎骨の特徴となる。

Tuberculum mentale(オトガイ結節)Mental tubercle おとがいけつせつ [A02.1.15.006] Feneis: 026 16

 オトガイ隆筋の外下部で下縁に接するところの膨隆部をオトガイ結節という。オトガイ結節とオトガイ隆起は前tないとして下顎底の前方への突出をつくる。

Foramen mentale(オトガイ孔)Mental foramen おとがいこう [A02.1.15.007] Feneis: 026 18

 下顎体の外面を側方から見ると、その中よりやや前に、斜めに引く丸いオトガイ孔がある。これは下顎管の前端で、成人では第2小臼歯、または第1,2小臼歯間の下方で下顎体の中央の高さにあり、正中線から外方へ2~3cmのところにある。

Linea obliqua(下顎骨の斜線)Oblique line of mandible かがくこつのしゃせん [A02.1.15.008] Feneis: 026 19

 オトガイ孔の下方、ないし後方から後上方に向かい、下顎枝前縁につづく線状のかるい高まりを斜線というが、下顎枝に近い部以外ははなはだ不明瞭である。

Fossa digastrica(二腹筋窩)Digastric fossa にふくきんか [A02.1.15.009] Feneis: 026 20

 オトガイ棘の下外側下縁に接して楕円形の二腹筋窩がある。顎二腹筋前腹が着く

Spina mentalis superior; Spina geni superior(上オトガイ棘、オトガイ舌筋棘)Superior mental spine じょうおとがいきょく、おとがいぜつきんきょく [A02.1.15.010] Feneis: 026 21

 下顎体の内面には正中線の下端に近く、密接して上下にならぶ2対の小突起、オトガイ棘がある。上方のやや大きな棘はオトガイ舌骨筋の着く所である。JNAではオトガイ舌筋棘と呼ばれていた。

Spina mentalis inferior; Spina geni inferior(下オトガイ棘、オトガイ舌骨筋棘)Inferior mental spine かおとがいきょく、おとがいぜつこつきんきょく [A02.1.15.011] Feneis: 026 21

 下顎体の内面には正中線の下端に近く、密接して上下にならぶ2対の小突起、オトガイ棘がある。下方の小さな棘はオトガイ舌骨筋の着く所である。JNAではオトガイ舌骨筋棘と呼ばれていた。

Linea mylohyoidea(顎舌骨筋線)Mylohyoid line がくぜつこつきんせん [A02.1.15.012] Feneis: 026 22

 二腹筋窩の上外側から起こって斜めに上後方に向、歯槽部後端の下を通り下顎枝内面の前部に至る純な隆起線を顎舌骨筋線という。この線の大部分から口腔底を閉ざさず顎舌骨筋が広く起こり、後方小部分から上咽頭収縮筋の一部が起こる。顎舌骨筋線の下にこれと平行して走り、下顎枝内面の下顎孔に達する顎舌骨筋神経溝は同名の神経および頚静脈の通路を示し、下顎孔の近くではとくに明瞭な溝をつくる。

(Torus mandibularis)((下顎隆起))(Mandibular torus) かがくりゅうき [A02.1.15.013] Feneis: 026 23

Fovea sublingualis(舌下腺窩)Sublingual fossa ぜっかせんか [A02.1.15.014] Feneis: 026 24

 顎舌骨筋線前部の上内側には舌下腺窩がある。舌下腺のためにできた凹み。

Fovea submandibularis(顎下腺窩)Submandibular fossa がっかせんか [A02.1.15.015] Feneis: 026 25

 顎舌骨筋線前部の下外側には顎下腺窩がある。顎下腺のためにできた凹み。

Pars alveolaris(下顎骨の歯槽部)Alveolar part of mandible かがくこつのしそうぶ [A02.1.15.016] Feneis: 026 26

 歯槽部は上顎骨の歯槽突起に対応する。この部の弯曲度は下顎体の中部および下縁のそれより強く、そのためにこの上にならぶ歯槽(成人では左右合わせて16)の後端に近いものは下顎底に比較して内側に寄る。歯槽の列が歯槽弓をつくること、槽間中隔、根間中隔、歯槽隆起(切歯の歯槽隆起から口輪筋の一部、第2,第3大臼歯のそれから頬筋の一部が起こる)などをみることは上顎骨の歯槽部と同じである。ただし、窩gかうの大臼歯は2根であるから、根管中隔は歯槽内を前後に2分する1枚の骨板として認められる。歯槽部は前方の切歯部では幅が狭く、後方の歯槽部では幅が広い。第2大臼歯歯槽より後方は、下顎枝の内面につづく傾斜した三角形の骨面(臼後三角)がのこされるが、ここに第3大臼歯(智歯)が生ずれば狭くなる。

Arcus alveolaris(下顎骨の歯槽弓)Alveolar arch of mandible かがくこつのしそうきゅう [A02.1.15.017] Feneis: 026 27

 歯槽部の弓状の自由縁。

Alveoli dentales(下顎骨の歯槽)Dental alveoli of mandible かがくこつのしそう [A02.1.15.018] Feneis: 026 28

 歯根をいれ、定着させる深い孔。

Septa interalveolaria(下顎骨の槽間中隔)Interalveolar septa of mandible かがくこつのそうかんちゅうかく [A02.1.15.019] Feneis: 026 29

 各歯槽を隔てる骨板。

Septa interradicularia(下顎骨の根間中隔)Interradicular septa of mandible かがくこつのこんかんちゅうかく [A02.1.15.020] Feneis: 026 30

 一つの歯の歯根間を隔てる骨壁。

Juga alveolaria(下顎骨の歯槽隆起)Alveolar yokes of mandible かがくこつのしそうりゅうき [A02.1.15.021] Feneis: 026 31

 下顎骨外側にみられる歯根に起因する膨隆群。

Trigonum retomolare(臼後三角)Retromolar triangle きゅうこうさんかく [A02.1.15.022]

 臼後三角は第2大臼歯歯槽より後方は、下顎枝の内面につづく傾斜した三角形の骨面である。

Fossa retromolaris(臼後窩)Retromolar fossa きゅうこうか [A02.1.15.023]

Ramus mandibulae(下顎枝)Ramus of mandible かがくし [A02.1.15.024] Feneis: 028 01

 下顎枝は下顎体の後端から上(やや)後方に延びた、扁平な板状部で矢状位に立つ。

Angulus mandibulae(下顎角)Angle of mandible かがくかく [A02.1.15.025] Feneis: 028 02

 下顎枝の後縁と下顎体の下縁との合する角は下顎角といわれ、少し外方に曲がる。成人で最も角度が強く、新生児や、無歯の老齢顎ではとくに平坦である。

(Tuberositas masseterica)((咬筋粗面))(Masseteric tuberosity) こうきんそめん [A02.1.15.026] Feneis: 028 04

 下顎枝の外面は平滑であるが、下顎角に近い所に大きい咬筋粗面がある。咬筋の停止部。

(Tuberositas pterygoidea)((翼突筋粗面))(Pterygoid tuberosity) よくとつきんそめん [A02.1.15.027] Feneis: 028 05

 下顎枝の内面の下顎角に接する部に翼突筋粗面がある。内側翼突筋の停止部。

Foramen mandibulae(下顎孔)Mandibular foramen かがくこう [A02.1.15.028] Feneis: 028 06

 下顎枝の中央には下顎孔がある。下顎管のはじまるところ。

Lingula mandibulae(下顎小舌)Lingula of mandible かgかうしょうぜつ [A02.1.15.029] Feneis: 028 07

 下顎孔の前縁に上内方に尖った板状の下顎小舌が直立する。蝶下顎靱帯が着く。

Canalis mandibulae(下顎管)Mandibular canal かがくかん [A02.1.15.030] Feneis: 028 08

 下顎孔から前内側に向いた骨内に下顎管が始まる。下顎管はこれから下顎体の歯槽の下をほぼ顎舌骨筋線と平行に、大・小臼歯および犬歯の歯根に小さい枝を送りつつ前方へ走り、その前端はオトガイ孔で顔面に開くが、その直前に切歯の根糸の下を前方に向かい正中線に至る細管を分ける。下顎管は下顎神経の枝の下歯槽神経および同名動静脈の通路である。

Sulcus mylohyoideus(顎舌骨筋神経溝)Mylohyoid groove がくぜつこつきんしんけいこう [A02.1.15.031] Feneis: 028 09

 下顎孔の前縁からは浅い顎舌骨神経溝が下顎体の方に走っている。この溝は前方に行くにしたがって不明瞭になる。この溝の上方にはこれとほぼ平行する顎舌骨筋線(顎舌骨筋がつく)という隆起がオトガイの方へ向かって走っている。

Processus coronoideus(下顎骨の筋突起)Coronoid process of mandible かがくこつのきんとっき [A02.1.15.032] Feneis: 028 10

 下顎切痕の前方の筋突起は三角形の薄い骨板である。側頭筋の停止部。

Crista temporalis(下顎骨の側頭稜)Temporal crest of mandible かがくこつのそくとうりょう [A02.1.15.033]

Incisura mandibulae(下顎切痕)Mandibular notch かがくせっこん [A02.1.15.034] Feneis: 028 11

 下顎枝の上縁は深くくぼんだ下顎切痕により前後の突起に分かれる。

Processus condylaris(下顎骨の関節突起)Condylar process of mandible かがくこつのかんせつとっき [A02.1.15.035] Feneis: 028 12

 下顎切痕の後方の関節突起は上端に長楕円形の下顎頭を作る。

Caput mandibulae; Condylus mandibulae(下顎頭)Head of mandible かがくとう [A02.1.15.036] Feneis: 028 13

 関節突起の尖端には横方向にふくれた下顎頭があり、顎関節の関節頭となっている。

Collum mandibulae(下顎頚)Neck of mandible かがくけい [A02.1.15.037] Feneis: 028 14

 下顎頭の下は細いくびれた下顎頚となる。

Fovea pterygoidea(翼突筋窩)Pterygoid fovea よくとっきんか [A02.1.15.038] Feneis: 028 15

 下顎頚の前内側面に翼突筋窩がある。外側翼突筋がつく。

Os hyoideum(舌骨)Hyoid bone ぜつこつ [A02.1.16.001] Feneis: 028 16

 下顎骨と喉頭との間で舌根部にある独立したU字形の小骨である。体、大角、小角を有する。体は舟の形を呈し、膨隆部が前方を、陥凹部が後方を向いている。前面には十字形の隆線があり、これにより4区画に分けられている。上区には外側に舌骨舌筋、内側にオトガイ舌筋がつき、下区には外側に肩甲舌骨筋、内側に胸骨舌骨筋がつく。大角は体の外側端から後上方に延びる骨片で、その先端はは肥厚する。小角は体と大角の結合部から円錐形を呈して後上方に着きだし、その先端は茎突舌骨靱帯によって側頭骨茎状突起と連結する。この靱帯はまれに骨化することがある。舌骨は系統発生的に鰓の骨格の一部に相当するもので、舌骨体の上部、小角、茎突舌骨靱帯および側頭骨茎状突起が第2臓弓軟骨、舌骨体の下部と大角が第3臓弓軟骨に由来する。Hyoideumはギリシャ語のυ(hy)に似た(eidos)という意味の形容詞。なお日本語の「舌骨」はドイツ名Zungenbeinの直訳であるが、この骨は舌の根もと(舌根)に存在して、筋肉を介して舌と密接な関係がある。

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Corpus ossis hyoidei(舌骨体)Body of hyoid bone ぜつこつたい [A02.1.16.002] Feneis: 028 17

 舌骨体は長楕円扁平の骨板で、上縁は鋭く、下縁はやや厚い。前面はややふくれた粗面で舌骨上筋および舌骨下筋群の数個の筋が着く面となる。後面は滑らかでややくぼむ。

Cornu minus(舌骨の小角)Lesser horn of hyoid ぜつこつのしょうかく [A02.1.16.003] Feneis: 028 18

 舌骨の小角は短小の錐体状で、舌骨体と大角との結合部から後上方に出で、小角の尖端は茎突舌骨靱帯によって側頭骨上の茎状突起と連結する。

Cornu majus(舌骨の大角)Greater horn of hyoid ぜつこつのだいかく [A02.1.16.004] Feneis: 028 19

 大角は舌骨体の外側端から後上方に延びて細くなるが、その尖端はやや肥厚する(その基部には茎突舌骨靱帯がつく)。

Ossicula auditus; Ossicula auditoria(耳小骨)Auditory ossicles じしょうこつ [A02.1.17.001] Feneis: 378 01

Terminologia Anatomomicaでの耳小骨は感覚器の項にある。

 鼓室内に突出する三つの小骨すなわちツチ骨、キヌタ骨、およびアブミ骨の総称である。これらの小骨は相連結して鼓膜の振動を内耳に伝える役割をはたす。すなわちツチ骨3小骨のうち最外側にあって鼓膜の内側面に付着しアブミ骨は最内側にあって鼓膜に内側面に付着しアブミ骨は最内側にあってその底によって前庭窓を塞いでいる。またツチ骨とキヌタ骨、キヌタ骨とアブミ骨との間には関節が形成されており、3小骨いわば一体となったテコのように作用して効率のよい音の伝導を行う。ツチ骨とキヌタ骨は本来第1鰓弓の骨格であったものであったものであって、この二者のあいだの関節は魚類の顎関節に相当する。ツチ骨に付着する鼓膜張筋が三叉神経(第1鰓弓に所属する鰓弓の骨格由来のものであり、これに付着するアブミ骨筋は該弓所属の顔面神経により支配される。

Stapes(アブミ骨)Stapes あぶみこつ [A15.3.02.033] Feneis: 378 02

 アブミ骨は耳小骨の一つで、底部は前庭窓についている。アブミ骨頭、前脚、後脚、アブミ骨底を区別する。

Caput stapedis(アブミ骨頭)Head of stapes あぶみこつとう [A15.3.02.034] Feneis: 378 03

 アブミ骨頭は球状で、豆状突起を介してキヌタ骨の長脚の先端と関節をつくる。

Crus anterius(アブミ骨の前脚、アブミ骨脚)Anterior limb of stapes あぶみこつのぜんきゃく、あぶみこつきゃく [A15.3.02.035] Feneis: 378 04

 アブミ骨の前脚はほとんどまっすぐにのびる。

Crus posterius(アブミ骨の後脚、アブミ骨脚)Posterior limb of stapes あぶみこつのこうきゃく、あぶみこつきゃく [A15.3.02.036] Feneis: 378 05

アブミ骨の後脚はやや弓なりになっている。

Basis stapedis(アブミ骨底)Base of stapes あぶみこつてい [A15.3.02.037] Feneis: 378 06

 アブミ骨底は楕円形の扁平な板状で、鼓室の内側壁にある前庭窓にはまりこんでいる。底と前庭窓とはアブミ骨輪状靱帯で結ばれている。

Incus(キヌタ骨)Incus きぬたこつ [A15.3.02.038] Feneis: 378 07

 キヌタ骨はアブミ骨とツチ骨の間にある耳小骨で体と2脚からなる。キヌタ骨体は、その前側に、ツチ骨頭のものに応ずる鞍状の関節面をもつ。短脚は後方に向い、鼓室後壁のキヌタ骨窩に入る。長脚は下行して球状の豆状突起となる。この突起は内方に曲がりアブミ骨頭と関節する。

Corpus incudis(キヌタ骨体)Body of incus きぬたこつたい [A15.3.02.039] Feneis: 378 08

Crus longum(キヌタ骨の長脚)Long limb of incus きぬたこつのちょうきゃく、ちょうきゃく [A15.3.02.040] Feneis: 378 09

Processus lenticularis(キヌタ骨の豆状突起)Lenticular process of incus きぬたこつのとうじょうとっき [A15.3.02.041] Feneis: 378 10

Crus breve(キヌタ骨の短脚)Short limb of incus きぬたこつのたんきゃく [A15.3.02.042] Feneis: 378 11

Malleus(ツチ骨)Malleus つちこつ [A15.3.02.043] Feneis: 378 12

 ツチ骨はもっとも大きな耳小骨(長さ8~9mm)である。ツチ骨頭、ツチ骨系、ツチ骨柄および小さな二つの突起(前突起、外側突起)が区別できる。

Manubrium mallei(ツチ骨柄)Handle of malleus つちこつえ [A15.3.02.044] Feneis: 378 13

 ツチ骨柄は細長く後下方にのびる部で、鼓膜の内面に付着する。

Caput mallei(ツチ骨頭)Head of malleus つちこつとう [A15.3.02.045] Feneis: 378 14

 ツチ骨頭は球状で、鼓室上陥凹にあり、後方でキヌタ骨と関節をつくる。

Collum mallei(ツチ骨頚)Neck of malleus つちこつけい [A15.3.02.046] Feneis: 378 15

 ツチ骨頚は頭の下の細い部で、鼓膜の弛緩部の高さにある。

Processus lateralis(ツチ骨の外側突起)Lateral process of malleus つちこつのがいそくとっき [A15.3.02.047] Feneis: 378 16

 ツチ骨の外側突起はツチ骨頚から外側にでる突起である。

Processus anterior(ツチ骨の前突起)Anterior process of malleus つちこつのぜんとっき [A15.3.02.048] Feneis: 378 17

 ツチ骨の前突起はツチ骨頚から前下方に出る小突起で、靱帯によって鼓室の前壁と結合する。

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