二、脊髄の内景

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 脊髄内部の構造はその横断面を観察することによって最もよく理解される。
 脊髄の横断面を見ると、その中心部に中心管(肉眼ではほとんど認められないほど細かい)がある。これは脊髄を縦に貫き、上は第4脳室(後述)に連なり、下は脊髄の下端で盲状に終わっている。中心管を囲んでH字形の灰白質があり、その周囲は白質でとり巻かれている。
 灰白質の前方に突出した部を前柱、後方に突出した部を後柱といい、左右両部を連ねる細かい部を灰白交連という。なお頚髄下部から腰髄上部にかけて灰白質では側方に向かって側柱を出している。側柱と後柱との間には網様体という白質と灰白質の混合してみられる。
 白質は左右おのおの前索・側索・後索の3つの索に分かれ、前索と側索とは前外側溝と前柱により、側索と後索とは後外側溝と後柱によって不完全に境されている。

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1,Substantia grisea (Nuclei et Columnae)(灰白質(神経核と灰白柱))Gray matter (Nuclei and Columns)

 脊髄の灰白質を構成する神経細胞はその機能によって、つぎの3種に大別することができる。

(1)根細胞

 神経細胞の軸索突起が前根の中に入るものであって前柱にある大きな細胞および側柱の細胞などがこれに属する。前者は横紋筋に達する運動性の細胞であり、後者は交感性および副交感性の細胞である。

(2)索細胞

 灰白質内いたるところに存在する比較的小さい細胞である。その数は上記の運動性の細胞もよりずっと多い。これから出る神経突起は同側または反対側の白質の中に入り上行あるいは下行する。

(3)内細胞

 灰白質の諸部に散在し、その軸索は短くして灰白質の範囲から外へ出ない。この種の細胞は介在ニュ-ロンとして反射機能などに重要な役目をもつと思われる。
 脊髄の後柱に前から後方に向かって3層を区別する。後柱端には海綿帯という層がある。これと脊髄の表面との周には白質の一部とみなされる辺縁帯がある。後柱頭は膨れていて膠様質という。胸髄では後柱の基部内側面のところに比較的限局した索細胞の集団が見られる。これを胸髄核(背核)またはクラ-ク核(Clarke核)といい、これから発する神経突起は同側の側索の中に入り、上行して小脳に行く、これすなわち後脊髄小脳路の起始核である。
 脊髄の側柱に主として紡錘形の中等大の細胞が群をなしている。これは交感神経性の細胞である。この細胞から出る線維は前根を経て交感神経の神経節に達している。
 脊髄の前柱に大きな神経細胞と小さな神経細胞がある。前者は多極性で多くの突起を有し、その軸索突起は前根線維となって脊髄から出て横紋筋に達する。これをニュ-ロンといい。錘外筋に分布する。後者は小型細胞で、数は大型細胞よりはるかに多い。この中にはニュ-ロンとRenshaw細胞などがある。ニュ-ロンの線維は錘内筋に分布する。Renshaw細胞は内細胞に属する。

 Rexedは脊髄灰白質も横断面において層的構造を示すとしてこれを10層に分けた。

2,Substantia alba(Tractus et Fasciculi)(白質(神経路と神経束))White matter (Tracts and Fasciculi)

 白質は主として縦走する神経線維からなり、前索・側索・後索に区別される。白質の中でも、脊髄の表面に近い層には主として脳と脊髄とを連絡する長い神経線維が走り、灰白質に近い部分には主として脊髄の違った高さのレベル間を連絡する比較的短い線維が通っている。これを固有束という。脊髄の白質内には多くの上行、下行する線維束が通っている。

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最終更新日:2012年06月04日