Rauber Kopsch Band2. 79

V. 外皮Integumentum communeまたは皮膚Cutis

1. 皮膚とは何か

 外皮äußere Hautは平たく広がって全身を被うところの器官であり,これを貫いて数多くの器官が外へでている.皮膚を貫く器官には2群があって,それは角質器とである.外皮じしんおよび外皮に特有な諸器官はすべて次の2つの構成部分からできている.1つは外胚葉に由来する上皮性の部分すなわち表皮Epidermisで,もう1つは結合組織性の部分すなわち真皮Coriumである.真皮の下には皮下組織Tela subcutaneaがある.

2. 皮膚のはたらき

 外皮は次のようないろいろな方面のはたらきをしている.

1. 内部を保護する被いとして,2. 貯蔵器官として,3. 体温調節器として,4. 分泌器官として,5. 感覚器官として.

 皮膚はその著しい丈夫さと,またその弾性が少ないけれども完全なことによって,まずもって体を保護する被いの役目をしている.皮膚は引きのばそうとする力には容易に従うのであるが,その力が止むと弾性の残留効果をあらわすことなく,もとの状態にもどる.もしも引きのばす力が弾性の限界をこえると,皮膚に変化があとまで残り,それが高度になると構造変化Strukturveränderungen(非可逆的な変化)として現われる.構造変化に属するものとしては腹部の皮膚の姫娠線Striae gravidarumや,病的な腫瘍による皮膚の過伸展の結果として現われる変化などがある.皮膚は正常な状態でも軽度ながら弾性緊張の状態にあり,皮膚の下にあるすべてのものを,やわらかい力で圧しているのである.

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 皮膚が保護の被いとして有効である所以は,皮下脂肪組織の存在,皮膚の水分保有, 溶液または気体の状態の数多くの物質に対する強い抗滲透性,毛や爪の形成,皮膚の分泌作用,また表層からのたえまない剥離である.最後に述べた表層からの剥離は,皮膚にはいってきた異物が,その場にとどまつたり,さらに周囲にひろがったりするのを妨げるのに役だつのである.

 皮膚はまた皮下脂肪組織によって貯蔵庫としてはたらいている.栄養のよい人では皮下に10~15kgの脂肪が貯えられていて,必要なときにはいつでも代謝の役に立てられるようになっている.

 体温調節器としては特に神経系と深い関係をもって働いている.皮膚は寒いときにはちぢまり,温いときにはのびて血液の含有量を増し,液体がいっそう多く皮膚に滲み出て蒸散がさかんになり,その結果として冷却効果を招くのである.表皮とそれに属する構造物はすべて熱の不良導体で,よく発達した皮下脂肪もまた同様の効果をもつのである.

 皮膚はひじょうに多数存在するいろいろな腺によって分泌および排泄器官としてはたらいている.乳腺もまた皮膚の腺に属するので,赤ん坊を養うのも強力な皮膚腺の活動にほかならない.腺組織とは別に,皮膚の表面がたえず剥離しているのも,また一種の排泄とみることができる.

 皮膚はまた豊富な神経の分布をうけて感覚器として重要な活動を行なっている.膜迷路も嗅粘膜も発生学的には外皮に属するものといえる.しかし網膜は脳の壁の一部が末梢に移っていったものであって,視神経は中枢神経間の伝導路というべきものである.

3. 皮膚の形

 皮膚は体の外面をつつんでいるものだから,その全形はからだの形そのものである.皮膚は皮下組織とともにすべての表在性の諸器官の上を被い,これらの諸器官とはいろいろな程度の移動性をもって結合している.また表在性の諸器官のあいだのへこんだ場所をこえてひろがるので,体の形に円みをつけることに大いに役だっている.

4. 皮膚の表面積

 外皮の全表面積は平均1.6平方メートルである.

 体の各部分がそのうちのどれだけを占めるかは第1巻95貞で述べてある.

5. 皮膚の厚さ

 皮下組織を除いて皮膚の厚さは一般に1mmと4mmのあいだである.

 眼瞼の皮膚はごく薄いが,足底の皮膚は非常に厚い.一般に皮膚は頭・頚および胴の背側部ではそれぞれの部分の腹側部よりも厚いといえる.また体肢では伸側の方が屈側よりも厚い.足底と手掌では真皮と表皮がはなはだ厚い.女の皮膚は男より薄い.皮膚の厚さの決定には皮膚の各層がいろいろちがったぐあいに関与している.

6. 皮膚の重さ

 健康な22才の1女性の外皮の重さは3175g,皮下脂肪組織は15670gであった.33才の1男性では皮膚り重さが4850g,皮下脂肪が125709であった(E. Bischoff).またある新生児(女)では皮膚の重さが337g,皮下脂肪組織が405gであった.

 H. Vierordtによると皮膚と皮下組織の重さは新生児では全体重の19.73%,成人では17.77%である.また成人の表皮だけの重さをMoleschotは488.5gとしている.

 表皮の比重は1100~1190,真皮は1116,脂肪層は971である.

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7. 皮膚の色

 皮膚はある程度の透明性をもっており,皮膚がうすいところでは静脈が青くすけて見えるばかりでなく,下にある脂肪組織や腱・筋膜・筋なども皮膚の色調をある程度まで左右しうるのである.

 下にあるものの影響も問題になるが,何といっても皮膚そのものの色が重要である.皮膚の固有の色は次の2つの要素の総合である:1. 血液の含有,2. 色素の含有(684, 685頁をも参照).色素沈着の強さは個体的にも人種によっても異なるが,また同一の人でも,光やその他の刺激(妊娠・病気・機械的刺激)の影響のもとに変化する.とくに色素沈着の強いところ嫡(白人では),乳頭・乳輪・腋窩・陰部・会陰部・眼瞼である.(日本人でも同様であるが,眼瞼の色素沈着はヨーロッパ人のように顕薯ではない.(小川鼎三))手掌と足底ではほとんど全く色素沈着がない.--妊娠中に白線Linea albaのところに色素が沈着し,すでに以前から色素の多い場所がいっそう暗い色になる.--とくに色素が多く集まっている場所として,いろいろな型の色素斑Pigmentflecflen(ほくろMuttermalとよばれる)と,いわゆるそばかすSommersprossenが知られている.

8. 皮膚の表面の性状

皮虜の表面には大小さまざまの隆起や陥凹がある.

 皮膚の隆起は枕状・球状・栓状のもの,ひだをなすものや皮膚小稜Cristae cutisとよばれる隆線など,それぞれに特色がある.左右の乳腺は半球状の強い隆起をなし,乳頭は栓状に突出している.皮膚の永久ヒダbleibende Falten(Dauerfalten)としては陰唇.包皮・包皮小帯・陰核小帯・陰唇小帯がある.一時的のヒダvorübergehende Falten(収縮ヒダKontraktionsfalten)は筋肉のはたらきによって皮膚にたくさんできるもので,額にしわをよせたり,体肢や体幹をまげたり伸ばしたりするときに現われるのがこれである.重要な意味をもっているのは手と足の触覚小球Toruli tactiles, Tastballenで,これはいくつかの序列に分けられている(688頁参照).隆線状の高まりすなわちいわゆる乳頭線Papillarlinienはいろいろな配列のしかたで,触覚小球の領域内にもその外にもたくさんある.特別な種類の突出部としては上唇結節Tuberculum labii maxillarisがあり,また2つの強い縦の隆線が人中Philtrumを囲んでいる.軟尾(軟組織性の尾)Weichschwanzはすでに病理学の範囲に属する.これは脊椎下端部のつづきに生ずる皮膚の高まりで,そのなかた脊椎はなく,たず脂肪をふくむ結合組織がはいっているだけのものである.

 皮膚の陥凹としては大小いろいろのくぼみやしわや皮膚小溝Sulci cutisとよばれる溝などがある.また皮膚の裂孔もこれに属するのである.

 大きいくぼみには腋窩, 鼡径部のくぼみ,耳介のくぼみ(耳介は軟骨で支えられた皮膚のひだとみなすことができる),外耳道,乳洞Sinus mammarum,臍窩Fovea umbilicalis,尾骨小窩Foveola coccygicaなどがある.尾骨小窩は尾骨を被うところの皮膚にあって,普通は小さいが場合によってはかなり大きいくぼみで,発生学的にほ脊索の下端が尾骨皮膚支帯Retinaculum caudale cutisとして尾骨部の皮膚に停止することと関係がある.尾骨小窩はまた隆起した場所になつでいることがあり,その周辺の皮膚に比べて色素の少ないことが目だつのである(第I巻263頁参照).

 いろいろな皮膚腺が皮膚の表面に開く場所にあたって,小さいくぼみがはなはだ多数あるが,これはだいたい顕微鏡的観察の対象となるものである.

 永久溝bleibende Furchenは多数存在する.その例として鼻唇溝・オトガイ唇溝・人中・眼瞼溝などがあげられよう.また局所解剖的に重要な関節溝Gelenkfurchenもこれに属するのである.皮膚表面の微細な溝にいたっては,たとえば手背を見てもわかるように無数である.手背では溝の主な方向は横であ,るが,中手指節関節のあいだでは縦に走っている.そしてこれらの溝はたいてい菱形や三角形の目をもつ網をなしている.

 皮膚の裂孔は皮膚が体の深部べはいりこむ門であって,皮膚はそこで次第に粘膜に移行する.このような門として眼瞼裂・白裂・外鼻孔・肛門・外尿道口・腟口がある.

 多くの人,とくに婦人の腰部と仙骨部にみられる菱形の領域には腰菱形Lendenrauteおよび仙骨菱形Kreuzrauteという2つの主要型が区別される.

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9. 皮膚の各層と微細構造

 皮膚の主な層は表皮Epidermisと真皮Coriumと皮下組織Tela subcutaneaである.

I.表皮 Epidermis, oberhaut(図727, 728, 755)

 表皮は30µから4mm(=4000µ)の厚さで,たいていの場所では50~200µである.重層扁平上皮からなり,少なくとも次の2層がどこでもみとめられる.

a)胚芽層Stratum germinativum, Keimschicht od. Schleimschicht:深層を占める比較的柔かな層で,真皮の乳頭のあいだにあるくぼみを充たし,さらに乳頭の高さより少し上方にまで及んでいる.

b)角質層Stratum corneum, Hornschicht:表層にあって,いっそう固い層である.

 手掌や足底をはじめとして皮膚が非常に厚いところでは,次の4層が区別される.

1. 角質層Stratum comeum

2. 淡明層Stiatum lucidum

3. 顆粒層Stratum granulosum

4. 胚芽層Stratum germinativum(これは以前にマルピギー網Rete Malpighiiとよばれだものである).

 これらすべての層を構成する上皮細胞は,各細胞層層によってそれぞれ異なっている.胚芽層の最深層のものは円柱状の小さい細胞で,長めの核をもっている.ここでは有糸分裂によって若い上皮細胞ができる.細胞分裂の能力は程度はずっと弱いながら,胚芽層の最深層以外の細胞層にもひろがっている.胚芽層という名はそのためである.Patzeltによればかなり著しい無糸分裂が胚芽層の上部の層にみられる.角質層の最表層からたえず剥げ落ちて朱われてゆく分め補充はこの胚芽層によって絶えまなくなされ,そのさい胚芽層の外層の細胞はしだいに角質層の型に変わってゆく.

 胚芽層の細胞には別に細胞膜というようなものはまだ存在しない.顆粒層に至ってはじめて.ごく薄い細胞膜が現われるが,その抵抗力になお後微々たるものである.しかしさらに上層になると租胞膜が次第に厚くなり,抵抗力も増してくる(Hoepke).

a)胚芽層Stratum germinativum, Keimschicht(図719, 727, 728)

 胚芽層のすべての細胞の特徴はその全周に棘をつけていることで,これは細胞間橋Interzellularbrückenとよばれて,多数の細かい突起が隣りあう細胞の表面どうしのあいだに張られているのである.この細胞はそれゆえ有棘細胞Stachelzellenとよばれる(図719, 728).それぞれの細胞間橋は中央部に1つの膨らみがあって橋小節Brückenknötchenとよばれる.この小節はPatzeltによれば接合質からできているというが,Hoepkeはそんなことは全くありえないという.

 棘はもともと不完全な細胞分裂の名残を示す,すなわち原形質橋Protoplasmabrückenにほかならない.しかしのちに細胞膜が形成されるとともに棘は剛さをまし,何よりも固定系として役だつようになる.これは注目に価する現象である.そのようになっても網胞膜の内部にあいかわらず原形質糸が残っているかどうか,つまり両細胞のあいだに原形質のつながりがあるかどうかは疑問であって,その解答もまちまちである.この点に関して重要な知見は,ある染色法によって細胞体の内部に棘とつながっている糸状構造(図719)が示され,それが棘の中へつづくことが証明されたことである.この装置は力学的な方面から意味づけられている.たしかにこの装置によって固定系の全体がよりどころを得ている.この線維束はあらゆる方向に交叉しあっている.線維の交叉点のところに細胞があって,細胞は線維束によって貫かれているのである.最も深い細胞層でもその細胞体の基底部に線維束があって,これが真皮の結合組織とのかたい結合をつかさどつている.--しかしPatzeltによると真皮との結合は主として上皮に由来する接合質がなしているという.

 細胞間橋のあいだにある腔隙は重要な上皮内(上皮細胞間)液迷路interepitheliale Saft-Labyrinth(図719, 728)であって,その中をたえず液が流動していて,いく層にも重なる上皮塊の代謝にあずかっている.つまり上皮内迷路は脈管系の付属物といえるものなのである.迷路内には少数の遊走細胞(リンパ球)が散在する.

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また結合組織の色素細胞とその突起は上皮内迷路にはいりこむことができる.なお,この迷路は無数の上皮細胞間知覚神経の豊富な終末分枝のために広い場所を提供している.--上皮内迷路は受動的にも能動的にもかなり拡張しうるものである.

 皮膚色素Hautpigmenteによって皮膚のさまざまな色調が左右されるのであるが,それはこの胚芽層の中でのできごとである.皮膚色素の由来についてはまだはっきりわかっていない.皮膚色素はからだ全体の色素産生の部分的現象にすぎない.外胚葉性の上皮細胞は血液から供給される材料から色素を産生するか,またはそれを集積することができる.しかし色素を産生したり,あるいは集積する性質は,多くの中胚葉性結合組織細胞すなわち結合組織の色素細胞がまた高度にもっている.上皮の胚芽層にふくまれる色素は胚芽層が自力でつくるものなのか,あるいは集積するだけのものなのか,また胚芽層が結合組織の色素細胞を媒介者として利用しているのか,あるいは上皮細胞が色素をつくってそれを結合組織の色素細胞にひきわたすのか.これは決定のむつかしい問題である.

 多くの動物で周期的におこる皮膚の色素脱失Depigmentierelngにいたっては,研究がはなはだ不充分である.いろいろな色素の化学的性質についての知見も,まだごく不完全なものである.

 色素の由来についてはさておくとして,皮膚の固有の色調は胚芽層の深いところの細胞内に,黄色・明るい褐色・暗い褐色・帯赤色などの細かい顆粒が存在することに基づいている.胚芽層の細胞はだんだんと外方へ移動してゆくので,角質層の最も外側の細胞のなかにまで色素が残っている.はじめのうち色素顆粒は細胞の外方の極Außenpolに寄って集まっていることが多い.核には顆粒がない.顆粒の集積は次第に著しくなる.溶けた状態の色素は細胞間にも細胞内にも存在せず,色素はかならず顆粒のかたちで現われる.以上のことは皮膚の全面にわたってみられるが,ただ色の暗い皮膚領域では色素の沈着が豊富であり,顆粒の色調も濃いのである.皮膚の色の暗い人種でも以上の過程は同じであって,明るい皮膚をもつヨーロッパ人と暗い皮膚の人種とのあいだに量的な差異があやだけのことである.

 黒人の子供は明るい皮膚をもって生れる.生後2, 3日で暗い色素沈着が一定の部位に現われ,すみやかに全身にひろがってゆく.その順序は:爪の縁,乳頭,外陰部,頭(生後5~6日目),そのほかの部分(Camper). Collignon, R, Bull. Soc. Anthrop. Paris,1895/96.

 色素沈着の本態を知るのに重要なことは,一定の病気の場合に色素の沈着が起らない,ことを注意することである.この状態を白色症Albinismus,またこの状態の所有者を白子Albinoとよび,動物にも現われる.その反対は色素過多症Überpigmentierungである.

[図718]皮膚の色素形成についての説をしめす模型図

I 細胞の上部に色素がたまりかけた上皮細胞,II 3つの上皮細胞,その下に結合組織の色素細胞が1つあって,その上方の突起が上皮細胞閻迷路に侵入している.

[図719]手掌の表皮の横断

表皮の下部の模型図(E. Kromayer) a 円柱細胞層,b 基底線維(付着線維),これに属する核は断面に現われていない.c あらゆる方向へすすむ線維をもった細胞層,d 皮膚の表面に平行な線維をもった細胞層,e 線維がこわれてケラトヒアリンになりはじめている細胞層,f 顆粒層,g 角質層(のごく小部分のみを示す).

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 皮膚における自然の色素沈着についての記述を終るにあたって,人工の色素沈着すなわち入墨(刺青)Tätowierungについてもちよつと触れておこう.解剖室で入墨を見るのはまれなことではないし,皮膚の人工着色ということは民族学で重要な問題であるから,これに触れる必要がある.このばあい色素はとがった道具で道をつけられた真皮の中へすりこまれるのである.入墨は婦人の方がまれである.

 白人では下層階級や特殊職業(船乗り)の人や犯罪者に入墨がはなはだ多い.このことからそういう人々の心理的および道徳的な特性について突つこんだ結論が引きだされた.しかしこのような結論がどこまで当たっているかは疑問である.

 RiedelとBälzはモーコ系人種の赤ん坊の仙骨部に(しばしばその他の場所にも)皮膚の青くなっている場所を見いだした.Bälzはこの“青い蒙古斑”blaue Mongolenfleckeを日本人のほか朝鮮人・シナ人・マライ人の子供にも見いだし,モーコ系人種全体の重要な特徴であると考えた.ネイティブアメリカンやエスキモーの子供にも見られる.その後の研究によってこの斑は白人の子供にも現われるが,色素の含有量がモーコ人種より少ないということがわかった.この所見の確かな意味づけはまだできていないが,いずれにせよ大昔の,おそらく前人時代からの1つの名残をとどめているものと思われる.(白人の蒙古斑については足立文太郎の有名な研究がある.氏はまたサルの皮膚色素をも研究して,蒙古斑をいろいろな角度から検討した.足立:黄色人種に固有なりと称ぜられたる小児母斑は白色人種にも亦之を存す,人類誌16巻181号,1901. Adachi:Hautpigment beim Menschen und bei den Affen. Z. f. Morph. u. Anihr. 6. Bd.1~131,1903. Adachi u. Fujisawa : Mongolen-Kinderfleck bei Europäern,同誌同巻132~133.なお蒙古斑細胞の発生と消長を人種的に比較した研究として,師岡浩三:本邦人における蒙古斑,解剖誌3巻2号,1371~l490頁,1931がある.)

b)顆粒層Stratum granulosum, Körnerzellenschicht(図719, 727, 728)

 わずか1~5層からなるこの顆粒層の細胞において角化の最初の徴候があらわれるのである.すなわちその細砲体のなかにケラトヒアリンKeratohyalinの強く輝く塊や滴が存在する.表皮がうすいところでは顆粒層がうすくて隙間をもっており,淡明層は全くないことがある.

 ケラトヒアリンはケラチン(角質)の前段階のものではなく,おそらく水様物質が皮膚に侵入するのをふせぐ役目をもつものであるという(Hoepke).ケラトヒアリンは脂質ではなくてむしろ一種の蛋白質である.なぜなら水・アルコール・エーテル・クロロホルム・テレピン油には不溶性で,これに対して強い苛性ソーダや苛性カリ・ペプシン・強い酸には溶ける.ただし硝酸によって黄色に染まらない.

c)淡明層Stratum lucidum(図727, 728)

 一様に輝く層で,やはりほんの少数の細胞の厚さしかない.顆粒層からこの層になるところでケラトヒアリン塊が液化して集合する かくして生じたエレイディンEleidin(正しくはエライディンElaidin, Patzelt)が細胞に浸潤するために,この層が透明になるのである.

次の層は

d)角質層Stratum corneum, Hornschicht(図727, 728)

 いままでの諸層より厚くて,表皮の厚いところでは多数の扁平な層が重なり合ってできている.半透明で無色かわずかに黄色を帯びて,顆粒層の黄白色か帯褐色ないし黒褐色の色調と対照をなしている.この層をなしている細胞は角質小板Hornplättchenまたは表皮鱗Epidermisschüppenとよばれる.この小板では細胞の角化していない部分はすべてひからびて,核は衰退してわずかに名残をとどめるだけである.ここではもはや生活現象がみとめられない.各細胞はケラチンの細かい網工と強いケラチン被膜をもつので,個々の細胞から扁平な角質嚢Hornkapselnができている.適当な処置をほどこすと,細胞間隙と角化した細胞間橋とが痕跡的に存在することがわかる.角質小板は苛性アルカリによって膨化して,壁のはっきり見える長円形の小泡となる.角質層には脂肪が縢漫性に浸潤している.

 表層の角質小板は剥げておち,深層のものは表層へと移動し,胚芽層の細胞は角質層の細胞に変わってゆく.角質小板が剥げおちるための物質損失はMoleschottの評価によれば毎日14gというが,これはおそらく過大である.これに対してFunkeは毎日の脱落量を5g(そのうち0.71gが窒素)とみている.

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 Adachi, B., Hautpigmente. . . Anat. Anz., 21. Bd.1902. 人の皮膚の真皮には2種の結合組織性色素細胞がある.たいてい上方にある小さい細胞と,たいてい深層にある大きい細胞とである.--Hoepke, H., Die Haut, in Handbuch mikr. Anat., Bd. III,1,1927.--Patzelt, V., Z. mikr.-anat. Forsch., 5. Bd.,1926 und 17. Bd.,1929.--Rabl, H., Arch. mikr. Anat., 48. Bd.,1897.

II. 真皮Corium, Lederhaut(図720~727)

 真皮は全体として0.3~2.4mmの厚さで,多くの場所では0.5~1.7mmである.真皮は表皮に接する乳頭層Stratum papillareと網状層Stratum reticulareからなるが両層の境ははっきりしておらず,自然に移行しあっている.両層は主として網状に組みあった結合組織束からできており,弾性線維や細胞や平滑筋線維がそれにまじっている.乳頭層では結合組織束が細かくて緻密な叢をなし,それが乳頭のなかへも伸びている.

 表皮と真皮の結合は非常に強固でなければならないが,反面また表皮内のリンパが流れでたり,遊走細胞が通つたり,ほかの結合組織細胞の突起が通れるようになっていなければならない.その結合の様式はいろいろに説かれている.Patzeltは主として上皮から由来する接合質をみとめている.しかしHoepke(Ergeb. Anat., 25. Bd.,1924)の考えでは,この結合は表皮の基底部の細胞が真皮の表層と鋸状にかみ合っていることと,表皮内の線維が結合組織の線維とつながっていることによるという.表皮には特別に基礎膜といったものはない.

 網状層では結合組織束が粗大で,叢をなして交叉しあう束がずっとあらい網目をなしている.弾性線維は真皮の全体にゆきわたっており,これが乳頭層では細かい網,網状層では粗い網をなしている.細胞は扁平または紡錘形の結合組織細胞もあれば,結合組織性色素細胞もあり,また白血球や脂肪細胞もある.筋線維は大部分が平滑筋に属するもので,これがつづいた層をなして存在するのはごく限られた場所だけで,陰嚢の肉様膜Tunica dartosをはじめとして乳輪・乳頭にそれがある.しかしたいていの場所では小さい筋束をなして真皮内のいたるところに分布し,その多くのものが毛包と深い関係にあるが,毛や腺と結合していない皮膚の平滑筋も存在する.(詳しくは立毛筋の項を見られたい.)横紋筋線維は表情筋の放散として顔面に豊富に存在する.

[図720]皮膚の裂隙線の方向(C. Langer)

 ところで網状層をなす結合組織の骨組みは不規則なフェルトといったようなものではなくて,だいたい面の方向にひろがった規則正しい骨組み構造Gerüstwerkをなし,その網の目はほぼ直角のものもあれば菱形のものもあり,線維束が平行に走っている場合ほど網の目がせまい.線維束が関節運動などによって緊張すると,線維束はほぼ平行に並ぶことになる.緊張した皮膚片を革紐状に裂くことが困難でないのはこのためである.

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緊張をゆるめると組織はまた以前の静止状態にもどる.

 千枚通しのような円錐状の道具で皮膚を突いて生ずる円い大きい刺痕は,道具を引きぬくとすぐに,体のたいていの場所で直線状の裂隙形を呈する.この裂隙線の方向Spaltrichtungは皮膚の結合組織の主な走向と一致している(図720).

 すでに述べたように皮膚は体の表面で絶えずある程度の緊張状態にあり,わずかな力で下にあるものを圧している一この緊張は揚所によってはすべての方向に均等であるが,また別の場所では不均等である.緊張が均等な場所で,円形にしるしをつけた皮膚片を切り出すと,切りだされた皮膚片は小さくなり,あとに残った孔は大きくなるが,いずれも円形のままである.ところが不均等な緊張の場所では結果が異なり,円形に切りとった皮膚とあとにできた孔とは楕円形になり,しかも両方の楕円の長軸がたがいに垂直である.

 乳頭層の特徴はその名が示すように乳頭をもっていることである.乳頭Papillaeは真皮の表面の乳頭状ないし円錐形の小さい高まりで,半透明でしなやかではあるが,かなり丈夫なものである.単純な形のものと先がいくつかに分れているものとがあり,単純乳頭einfache Papillenおよび複合乳頭zusammengesetzte Papillenという名で区別される.また別の分類で血管乳頭Gefäßpalbillenと神経乳頭Nervenpapillenを区別する.前者は1つの血管係蹄を含むもので,後者はそのほかに1つの神経終末小体,いわゆる触覚小体Tastkörperchenをもつで銃る(図755).高さのいろいろな乳頭がほとんど全身にわたって存在し,しばしば真皮のつくる特別な高まり(乳頭の株Papillenstockeや真皮の隆線)の上にのっている.手掌と足底にはおびたずしい数の乳頭がある.そしてここでは幅0.2~0.7mm,高さ0.1~0.4mmの規則正しくならんだ細長い真皮の隆起(乳頭の株が長くのびたものにほかならない)の上に乳頭がのっている.この隆線の上に乳頭が2つの主な列をなして出ている.そしてこの2列の乳頭のあいだを汗腺の導管が規則正しい間隔で,表面に垂直の方向にとおるのである(図722, 723).

[図721]指の真皮の1片を表皮を除いて示す(落下光線による)×5, 写真によって描く.幅のひろい暗い線は稜間溝に当る.そのあいだにある幅のひろい明るい条は各2本の乳頭列を示す.各2本の乳頭列のあいだの細い暗い線は乳頭間溝であって,汗腺管が通るところである.

[図722]皮膚小稜と乳頭をもつ皮膚の横断 小稜の走向に垂直の断面.

p 真皮の乳頭層,g 表皮の胚芽層(暗くかいてある),c 表皮の角質層,1 小溝,2 小稜の頂に汗腺管(s)が開いている,3 稜間溝,4 乳頭間溝

[図723]各乳頭列にいくつもの乳頭のある皮膚の断面(断面の方向は前図と同じ)

符号は前図と同じ. s', s'汗腺管. 表皮はとり除いて乳頭層の外面だけが示されている.

 以上のべたことにより,規則的な真皮の隆線の存在を特徴とするすべての場所では,乳頭層の表面に2種の溝があることになる.

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その1種は隆線のあいだにある溝(稜間溝Sulci intercristales)で,もう1種は乳頭列のあいだにある溝(乳頭間溝Sulci interpapillares)である(図723).両種の溝が表皮の下面のこれと同じ形をした突出部によって充たされていることは,すべての乳頭が表皮のくぼみの中にはまりこんでいることから,当然である.したがって真皮の溝に対応する表皮下面の突出部には,稜間突起と乳頭間突起があるわけである.そして汗腺の導管は乳頭間突起の方についている.真皮の稜間溝は表皮の表面にも皮膚小溝Sulci cutisという溝として現われるが,乳頭間溝は表皮の細胞層に全く被われて外面にはみえない.しかし汗腺の開口すなわち汗口Pori sudoriferiは皮膚小溝のあいだにある高まりの上に,小さいくぼみとして見ることができる.この高まり(皮膚小稜)はそれぞれ真皮の1つの隆線と,それにつく2つの乳頭列に相当している.

 乳頭が非常に密に出ているのは小陰唇・陰核・陰茎・乳頭(乳房の)である.その高さは平均して55~100µ,最も長いものは110~225µで手掌と足底にある.また乳頭の幅はふつう高さの3/41/2である.手掌と足底の一定の場所で外皮が円形または少し長めのかなり大きい丘の形に高まって,それぞれの個所で触覚小球Toruli tactiles, Tastballenをつくっている.これらの丘はいずれもかなり豊富な脂肪組織の枕を容れているが,この脂肪枕のなかにはまたプアーテル小体(層板小体)が多数の群をなして存在する.また各触覚小球に相当して皮膚のその領域が表面積を増している.

 触覚小球には遠位・中間・近位の3つの列が区別され,これらは指端,中手(中足)-,手根(足根)触覚小球ともよばれる.

a)指端触覚小球terminale Tastballen(図724)はヒトの手には5つ,それぞれの指の末節の掌側面に1つずつある.指は上肢全体のうち最大の移動性を賦与されている末端部であり,触覚小球はそのよく動く指の先にあって,しかも最も豊富に神経をそなえている.そればかりでなく,この触覚小球と爪との強い対照が掌側面のはたらきを一段ときわだったものにしている.そんなわけで指端触覚小球は触覚の装置として最も重要なものである.血液の流出についても掌背の両面は対照的で.この点からみると手の掌側面は「神経がわ」,背側面は「血液がわ」ということができる.

b)中手触覚小球metaka rpale Tastbatlen(図724)はヒトの手には3つしかはっきり見わけられない.手掌の皮膚の遠位端で,尺側の4本の指の指間裂に接して存在し,したがって基節の根もとの部分にも属している.形は長めで紡錘形である.母指と示指のあいだではこれに相当する触覚小球が独立した高まりや独立した紋理としてはみとめられず,橈側の手根小球と合して1つになっている.

c)手根触覚小球karpale Tastballen(図724)は2つ,橈側に1つと尺側に1つである.母指球と小指球とに相当するが,これらはサルにみられるものとくらべると非常に退化したものである.手根の小球に限らず一般にサルの触覚小球は類人猿(この点ではすでに人に近い状態である)を別として,ヒトの触覚小球よりはるかによく発達している.

 足においても手に相当した関係がみられる.

 触覚小球のところでは皮膚小稜がとくべつな配列を示す.手でも足でも触覚小球をはずれたその間の領域ではの方向に走る小稜が優勢である.しかし触覚小球そのものの上では輪状またはに走るものが多い.このような皮膚小稜の走向の変化があるために,触覚小球は一層はっきり他の部分と異なってみとめられる.

S. 689

 指先の掌側の皮膚小稜群すなわち指端触覚小球は多くはTastrosette(触覚・ゼッテ)という名で最も古くから知られてきた.Purkinjeはこれに次の9型を区別したのである:Striae transversae(横紋),Stria centralis(中心紋),Stria obliqua(斜紋),Sinus obliquus(斜蹄状紋),Amygdala(扁桃紋),Spirula(渦状紋),Ellipsis(楕円紋),Circulus(輪状紋),Vortex duplicatus(二重渦状紋) (図726).

 しかしこれらの型のうちいくつかは似かよっているので,次の5つを主要型としてあげることができる:Querleisten(横紋),Längsbogen(縦弓),Längsstreifen(縦条),Kreis(輪),Wirbel(渦).

[図724]手の掌側面の皮膚小稜と皮膚小溝

あるヒトの左手からうつしとったもの(9/10)

S. 690

 指紋Papillarlinienmusterとよばれる小稜の模様は人それぞれに異なっており,遺伝せず,一生を通じて変ることがない.この3つの事実のゆえに指紋は個人識別にとって充分な条件をそなえており,実際にいわゆる指紋法Daktyloskopieとして利用されているのである.Heindl, R., System und Praxis der Daktyloskopie, Berlin ,1922参照.これには紀元前から近年まで,この方面の学問の歴史についての,今までのところ最も完全な記載がなされている.

 触覚小球が機能的な意味をもつのは,もちろん神経系との豊富な結合があればこそである.皮膚の回転形成Gyrifizierungはそれ自体としては,上皮のその領域内での特別な成長方向を示すにすぎない.何となれば皮膚の乳頭構造は,成長しつつある上皮にひだができることによって生ずるという事実が,すでに示されているのである.

[図725]母指の掌側面の皮膚小稜と小溝 (表皮に被われたまま)×10

小稜が一部は平行に,一部は斜めにぶつかつて並んでいる.汗口は横にのびた小さいひだとして見える.

[図726]指さきの皮膚小稜の諸型(Purkinje)

a 横紋,b 中心紋,c 斜紋,d 斜蹄状紋,e 扁桃紋,f 渦状紋,g 楕円紋,h 輪状紋,i 二重渦状紋.

III. 皮下組織Tela subcutanea, Unterhautgewebe(図727, 729)

 網状層の内面からかなり太い白い線維束が深部へ伸びている.これは皮膚支帯Retinacula cutisとよばれて,皮膚を筋膜または骨膜に固定している.場所によってはこの支帯が固い索または枝をなしている.結合組織性の突起が皮下組織を貫く血管・神経・腺管・毛包にも伴なっている.

 皮膚支帯どうしを横につなぐ結合によって,大小さまざまの室ができている.その多くは脂肪組織で充たされており,かくしていろいろな程度に厚みのある脂肪層Panniculus adiposus, Fetthautが形成される.弾性線維をまじえた強い結合組織葉が水平にひろがって,それによって脂肪層がいくつかの層状の部分に分けられていることがある.

 脂肪層の厚さは頭円蓋・額・鼻で2mm,そのほかの場所では4~9mmであるが,ふとった人では30mm以上のことも稀ではない.ただし手と足背では脂肪層があまり厚くならないから,これは別としての話である.一定の場所で脂肪がとくに集まっている.すなわち頬脂肪体Corpus adiposum buccae(第1巻414頁)をはじめとして,閉鎖上窩・腋窩・鼡径部・恥丘・坐骨直腸窩・膝窩などである.また栄養のよい人では胸部・乳腺のまわり・頬・腹・臀部のほか,大腿や腕にも脂肪層がよく発達している.

 皮下脂肪層ははなはだ大きい貯蔽物質であって,生体はそれをほかの場所へもっていって燃焼させるなり,置き場を移すなり,あるいは分泌の目的に用いるなり,ともかく必要に応じて利用することができるのである.

 一般に女性は男性よりも脂肪層がよく発達する傾向がある.脂肪層の全重量が非常に著しい価になることはすでに述べた(681頁参照).

S. 691

 過度の脂肪発達としてはホッテソトットの女のいわゆるSteatopygie(脂肪の臀の意)がある.これは臀部が脂肪のため巨大に発達したもので,寛骨部や大腿部にまでも及んでいる.

 しかし全身どこの皮下にも脂肪があるわけではない.若干の範囲にわたって皮下に脂肪のないところや,ごくわずかしかないところがある.眼瞼・陰茎・陰嚢・陰核・小陰唇などがそれである.(日本人では眼瞼に少量の皮下脂肪がある.(小川鼎三))外耳・鼻・口唇にも皮下脂肪がわずかしか存在しない.

 皮下組織が主として平滑筋からなる場所がいくつかある.まず陰嚢がそれで,そこでは肉様膜Tunica dartos, Fleischhautという名をもっている.さらに陰茎や会陰の前部・乳頭・乳輪でもそうである.

 皮下の特別な構造としては皮下[滑液]Bursae subcutaneaeがある.これは皮膚の内面が骨や軟骨の突出部と接して,こすれたり圧されたりする場所にある.

皮下組織の中にあるかなり大きな腔所で,単一のこともあり,いくつかの部屋に分れていることもあり,その内部に滑りやすい液体がはいっている.壁は弾性線維をまじえた結合組織でできている.またその形は扁平で円いかたち,または楕円体状である.

[図727]ヒトの足底の皮膚の断面 (概観図)

皮膚小稜の方向に垂直にきつてある.

[図728]表皮の角化しつつある部分

ヒトの足底の皮膚.

S. 692

 皮下包については大部分のものをすでに筋学のところで挙げたけれども,ここに概観的にまとめておこう.

 常にあるいはしばしば存在するもの

喉頭隆起皮下包Bursa subcut. prominentiae laryngicae

仙骨皮下包 B. subcut. sacralis

尾骨皮下包 B. subcut. coccygica

肘頭皮下包 B. subcut. olecrani

膝前皮下包 B. praepatellaris subcutanea

膝下皮下包 B. infrapatellaris subcutanea

踵骨皮下包B. subcut. calcanearis

 比較的まれなもの

肩峰皮下包B. subcut. acromialis

(上腕骨の)橈側および尺側上顆皮下包Bursae subcut. epicondyli humeri radialis, ulnafis

背側中手指節関節皮下包 Bursae subcut. metacarpo. phalangicae dorsales

背側指関節皮下包Bursae subc. digitorum dorsales

脛骨粗面皮下包B. tuberositatis tibiae

腓骨踝および脛骨踝皮下包Bursae subcut. malleoli fibulae, tibiae

 このように皮膚の実質が軟化するのと反対に,長く続く外界の作用によって骨化の起ることがある.永続する圧迫作用にさらされていたいろいろな場所で,真皮に骨化がみとめられた.皮膚のいわゆる練兵骨Exerzierknochenこれに属するものである.

10.皮膚の血管(図729~731, 755)

 皮膚の動脈が深い動脈から分れて起るぐあいは(Manchotが示したように)多くの領域で著しいちがいを示す,また皮膚の動脈が筋肉層から外へでる場所にもしばしば変化がある.しかしその分布領域とその走る方向関係には大きい規則性がある. 

 動脈系の分節型は皮膚の血管の配列にも当然あらわれている.皮膚そのものに分節性の切れ目があるわけではないが,血管と神経の分布が皮膚の全領域を皮膚分節Dermatomerenに分けており,とくにそれが胴にはっきり現われているのは理解できることである.しかし分節性の皮膚の動脈は終動脈Endarterienをなして分布しているのではない.となりの血管との吻合が存在するからである.肋間動脈・腰動脈・外側仙骨動脈の各後枝Rami dorsalesの皮枝,および側胸部側腹部とでは肋間動脈・腰動脈の外側皮枝Rami cutanei lateralesがすべて各2つの脊椎肋骨分節のあいだで筋肉の層から出てくる.そして肋骨と平行して皮膚に分布する.前胸部においても分節状態が部分的になおみとめられる.しかし前胸部と前腹部では基本形の修飾があらわれており,同じようなことが僧帽筋の領域の皮膚血管の分布にも起こっている.前胸部と前腹部では内胸動脈の皮枝が第2肋間隙で強く発達して,分節像をかなりに消滅させている(C. Manchot, Die Hautarterien des menschlichen Körpers. Leipzig,1889.--O. Grosser, Morph. Jahrb., 23. Bd.,1905).

 腹部では外陰部動脈の腹壁枝と浅腹壁動脈とが横の方向と交叉しながら縦に走っているために,基本型からかなりちがう関係を生じている.この性質はこの両血管に限らず,他のすべての縦走血管についても同じことである.

 皮膚の静脈・リンパ管・神経の幹は一般に皮膚の動脈と非常によく一致した関係を示す.しかも分節の基本型が強く残っているほどよく一致し,のちに発生のいろいろな関係が多くからんでくるほど一致が少くなるのが常である.

 血管およびその枝の配列によって血管分枝の2つの主要型が区別される.

1. これは後に述べる型よりいっそうまれなもので,内径のかなりよく一致した相当多数の動脈が,垂直に深部からやってきて脂肪層内に入りこむ.そして短い経過ののちに各動脈は何本もの枝に分れ,散開しながら真皮の下面にいたり,真皮の最下層にもぐりこんで隣りの血管の枝と結合する.この粗い1次吻合からさらにいくらか細い枝がでて,これらの枝がおたかい同志や隣りの枝と結合し,また枝分れし,さらにまた結合するというふうにして,より細かい2次吻合をつくり,けっきょく皮膚血管網kutanes Netzともいうべき網が形成される.この網は一部は上述の吻合網と同一平面にあり,一部はそれよりやや上方にある.血管がこんなぐあいになっているのは臀部・手掌・足底である.

S. 693

[図729]ヒトの足底の皮膚の血管 赤い色素が注入してある.

[図730]皮膚の血管(赤)とリンパ管(青) 新生児の指の皮膚,表皮は取りさつてある.(J. Neumannによる,v. Brunnから引用)

2. これはさらにずっと多い普通の血管分枝様式であって,前のものに比べて主な動脈小幹がはるかに少数であり,たいていいっそう長い経路をとることが特徴である.しかしこれらの小幹から,やはり結局は目の粗い1次吻合の網と,さらに目の細かい2次吻合の網および皮膚血管網がつくられるのである.しかしながら単位面積の皮膚に血液をあたえる動脈の数とその内径は,それぞれの場所で異なっている.外からの圧力を頻繁にうけている個所(手掌・足底,それに臀部も)では他のところにくらべて数も内径も大きい.これらの場所では皮膚血管網もまた最も密である.さてこんなふうにいたる所で豊富な吻合があるのだから,皮膚にゆく動脈は決して終動脈ではない

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足底では皮膚血管網から外方へ枝が出て,それらが樹状に分枝して,ふたたびたがいに結合する.この吻合弓は真皮の厚さの上から1/3のあたり,またはそれよりやや上方にあって,乳頭下血管網subpapillares Netzを形成する.この血管網をなす個々の小血管の一部は皮膚隆線の方向に走っている.その網の目の面積は平均0.31平方ミリメートルである.乳頭にゆくすべての血管は,乳頭下血管網の吻合弓からごく細い小幹のかたちで起こっている.

 この小幹の枝はたいてい短い距離だけ吻合をせずに乳頭列の方向に走り,ごく細い枝を乳頭内へ送っている.したがって乳頭下網から発する皮膚血管(乳頭下細動脈Arteriola subpapillares)は終動脈であって,その各々によって養われる領域は平均0.16平方ミリメートルである.

 乳頭下網は体のほかの場所にも存在するが,平均して網の目がいくらか大きい(少くとも下腿と臀部ではそうである).

 乳頭の毛細管係蹄がら来る静脈血は足底ではいくつかの静脈網を通過する.これらの静脈網のうち最表層のものは乳頭列のすぐ下にある.そして乳頭列の各々に1本ずつの縦走静脈(乳頭下静脈Venae subpapillares)が対応しており,これらの静脈は横へ枝をだして隣りどうし結合している.そのまたすぐ下には2の静脈網ともいうべきものがあって,外方の網と斜めの枝で結合している.

[図731]皮膚動脈の分布領域を示す概観模型図(C. Manchot)

1. 上腹壁動脈,2. 浅腹壁動脈,3. 上および下腹壁動脈,4. 外陰部動脈,5. 陰茎背動脈,6. 肋間動脈の外側皮枝,7. 腰動脈の外側皮枝,8. 浅腸骨回旋動脈,9. 大腿深動脈(大腿回旋動脈),10. 大腿動脈,11. 膝(浅)動脈網,12.前脛骨動脈,13. 後脛骨動脈,14. 膝窩動脈(腓腹動脈)15. 側胸動脈,15a. 胸肩峰動脈,16. 内胸動脈の皮枝,17. 甲状頚動脈,18. 上甲状腺動脈,19. [前皮下三角筋動脈A. deltoidea subcutanea antetior],20. 上腕動脈,21. 近位尺側側副動脈,22. 橈骨動脈,23. 正中動脈,24. 尺骨動脈,25. 肋間動脈背枝の内側皮枝,26. 腰動脈の背枝の内側皮枝,27. 仙骨動脈の背枝の内側皮枝,28. 肋間動脈の外側皮枝,29. 腰動脈の背枝の外側皮枝,30. 甲状頚動脈,a)浅頚動脈,b) 肩甲上動脈,c)頚横動脈,31. [後皮下三角筋動脈A. deltoidea subcutanea posterior],32. [浅肩甲回旋動脈 A. circumflexa scapulae super. ficialis],33. 橈側側副動脈,34. 近位尺側側副動脈,35. 肘関節動脈網,36. 橈骨動脈,37. 尺骨動脈,38. 背側および掌側骨間動脈,39. 上啓動脈,40. 下臀動脈,41. 内陰部動脈,42. 閉鎖動脈,43. 大腿深動脈の穿通動脈,44. 膝窩動脈,45. 前および後脛骨動脈

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3の静脈網は真皮の下半にあり,その網の目は不規則で,たいてい外方の2つの網より目が粗い.個々の静脈が多くは細い伴行静脈をもっていることを特徴としている.ここではまた静脈がしばしば動脈の伴行者でもある.4の静脈網は真皮と皮下組織との境のところにあって,汗腺の層に接して一部はそのすぐ上に一部はすぐ下にある.ここでもたいてい静脈性の細い伴行血管がある.しかしここでは静脈と動脈が多くははなれている.

 輪走筋線維は動脈では真皮の中央まで,静脈では第4の静脈網(ここには弁も存在するようである)までみとめられる.

 皮下組織は2つの方法で養われている.すなわち脂肪層の深部は,小動脈幹が脂肪層を貫くあいだに,それから出る枝によって血液があたえられる.また表層の部分は真皮から逆行する小血管によって血液をうけるのである.そして両血管はところどころでたがいに吻合している.

 Spalteholz, W., Blutgefäße der Haut. Handbuch d. Haut-u. Geschlechtskrankh., Bd.1,1,1927.

皮膚のリンパ管(図730)

 皮膚の比較的太いリンパ管については脈管系のところを見られたい.

 真皮ではリンパ管が乳頭層のところで細かい管の密に集まった網をなしている.そしてこの外方の網は,深い所にある)より太い管の目の粗い網につづいている.外方の細かい方の網からリンパ管が乳頭の中にも入りこんで,ふつうその中ほどの高さで終ることがTeichmannによって初めて証明された.このリンパ管は腸絨毛の中軸にあるリンパ管(中心乳ビ腔)に相当している.弁は深い方の網から起る幹(これはまもなく皮下組織に達する)に初めて現われる.

11.皮膚の神経

 皮膚は外方の2層(表皮と真皮)とも体の中でもっとも神経に富む組織の1つである.皮膚の神経支配はどこでも著しいものであるが,その程度が一様ではなくて,特定の場所,とくに手掌・足底のほか,顔面の多くの部分や外生殖器の皮膚がとくに豊富な神経をうけている.

[図732]表皮内の皮膚神経終末 模型図

1 脊髄神経節細胞,2 その突起,3 末梢への部分,4 胚芽層の上皮細胞間迷路における終末分枝,5 中枢への部分,6 脊髄内の上行枝,7 下行枝,8 知覚性側枝,E 表皮(G. Retzius)

[図733]ヒトの胎児の口唇皮膚の垂直断

E 上皮,b 基底細胞層,n, n 神経,e, e上皮細胞間迷路における神経の終末分枝(G. Retzius)

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毛や皮膚腺はもとより,皮膚筋にも神経が来ている.また皮下組織にはなはだ豊富な神経が来ているところもある.

 皮膚における皮膚神経についていっそう詳しく述べると,真皮の内面の隙間からはいってきた神経小幹は,たえず枝分れしながら次第に乳頭層にまで上つてきて,ここで乳頭の下に終末[神経]Endgeflechtをつくる.この叢には深部浅部がはっきり区別できる.深部はかなり粗い網目をなす比較的太い小枝でできているが,浅部はもっと網目がこまかくて少数の細い線維からできている.この細かい方の終末叢では神経線維の分岐がみられる.そして最後にこの叢から個々の神経線維また嫡小さい線維束が上方へ出て,乳頭および表皮に達する.神経のほかの一部はすでにその前に,皮下組織や毛や皮膚の腺・筋・血管などに終わっている.

 皮下組織の小さい神経幹において断然多数を占めるのは有髄線維で,その太さは12µまでである.しかし終末叢においては枝分れの結果細くなっていて,太さが2~6µである.

 腺・筋・血管に終るものを除けば,皮膚の神経はすべて皮膚の知覚作用に関係するもの,つまり知覚神経である.これはその存在部位によって表皮・真皮・皮下組織の神経に分けられる.そのほかまた終末の様式によって,(細胞の外または内部に)自由終末をする神経,小体性終末(神経終末小体Corpuscula nervorum terminaliaをもつ)をする神経,および細胞性終末をする神経に分けられる.

 この分類はすべての分類と同様に,多少は無理なところがある.というのは終末小体から小さい神経線維がでて,それが自由終末をするという場合があるのである.

 さらに一言注意しておくのは,ヒトでは細胞性の終末をする神経は,嗅糸の支配をうける嗅粘膜(その由来からみて外皮に属する)だけであるが,動物ではこの種の終末が広く存在していることである.

A. 表皮における神経終末
a)表皮内の自由終末

 有髄神経組織は結合組織の縁のところで枝分れして,髄鞘をつけたまま上皮の下縁に達する.ここで髄鞘を失って軸索だけ表皮内に進入し,ここで上皮の細胞間を通る.軸索は上皮内で何度か細かい枝に分れる.これらの細枝は何本かの神経原線維と,いくらかの原線維周囲物質とからなっており,たがいに吻合しながら胚芽層の外縁にまで達し,角質層には入らない.これらの細枝が細胞のあいだで小さいボタン状の膨らみ(Knöpfchen) (図734)をなして終り,その膨らみのなかで神経原線維が1つの閉じた網をなしている(Boeke, Stöhr).

 Boekeは角膜の上皮と舌の上皮(第I巻図60, 61)において,終末性の小ボタンが細胞のあいだにではなく,細胞原形質の内部に存在することをみた.しかも角膜上皮では,ほとんどすべての細胞にこれを見いだしたのである.

b)表皮内の小体性終末

 表皮内での小体性終末korpuskulare Endigungenとしては,メルケルの触覚細胞Merkelsche Tastzellenを挙げてよかろう.これは小泡状の明るい細胞からなり,その下面か上面に1つの円盤状の神経終末すなわち触覚盤Tastscheibeがある.この細胞は小泡状の大きい核を1つもち(Boeke),この核がたいてい細胞の下部にある.細胞体め周辺部は明るいが,核の表面に接する中心部は暗調で,ここに原線維がたくさん走っている.触覚盤は細胞の内部にあって,神経原線維のつくる1つの網からなる.その網の目は円形または卵円形をなし,細胞体の内部にひろがる“終末周囲細網Periierminales Netzwerk"に移行している.触覚盤の網のどこかの1個所から原線維がでて(その数は多いことも少いこともある)他の触覚細胞にいたり,そこで第2の触覚盤をつくることがある.

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メルケルの触覚器が表皮の下方への突出部のなかで群をなしていることは特徴的である(図735, 736),

[図734]ブタの鼻さきにある上皮細胞間神経終末

a 上皮細胞のあいだを走る神経線維,1本の有髄線維から分れて来たもの.b 終りのところにある連なった瘤状のふくらみ. c 上皮細胞(D. Tretjakoff,1902)

[図735]ブタの鼻さきの上皮性隆起の横断面上にみられるメルケル細胞

a 髄鞘を失いつつ上皮内に進入する1本の有髄線維,b触覚盤, cメルケル細胞,d メルケル細胞の核(D. Tretjakoff,1902)

[図736]メルケル細胞とその触覚盤および終末周囲細網

(Boeke, J., Z. mikr.-anat. Forsch., 2. Bd.,1925)

c)表皮内の細胞性終末

 この種の終末はヒトでは嗅粘膜のほかには無いが,比較的下等な動物では豊富にみられるものである.

B. 真皮における神経終末
a)真皮内の自由終末

1. 哺乳動物で真皮と表皮の境のところに神経線維の樹枝状をした自由終末があって,これは表皮のすぐ下で終わっている(Szymonowicz, Dogiel) (図737).

 Leontowitsch(lntern. Monatsschr. Anat. u. Phys.,18. Bd.,1901)によれば皮膚には大量の無髄線維がある.

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これには2種があって,両種とも神経細胞をふくむ本当の神経網をつくっている.第1種のものには4つまたはそれ以上の網が区別される.すなわち網状層内に1つの網,乳頭層内に中間網および上皮下網というべきもの,それから上皮細胞間に第4の網がある.

 Leontowitschは皮膚の有髄神経に3つの型を区別している.第1型では線維が1連の細い側枝を出したのち髄鞘を失い,何本かり静脈瘤状を呈するはだかの原線維に分れる.そしてその瘤のように膨らんだところはいろいろな大きさの神経小板(これは人工を加える前から確かに存在する)をなしているのである.

 Leontowitschは乳頭層と網状層のながで神経細胞を見ることが決して珍しいことでなかった.この神経細胞は染まりの淡い線維や有髄線維の集りのなかに囲まれていた.

[図737]表皮のすぐ下にある自由神経終末(Dogiel)

[図738]ヒトの皮膚の血管乳頭における無髄神経線維の分枝

(Simonelli, Internat. Monatsschr. f. Anat. u. Phys., 31. Bd.,1914)

b)真皮内の小体性神経終末

 これに属する終末小体は1. マイスネルの触覚小体,2. クラウゼの棍状小体陰部神経小体である.

1. マイスネルの触覚小体Corpuscula tactus(Meissneri),Meissnersche Tastkörperchen(図727, 739, 740, 755).

 Meissnerによって1852年に発見されたもので,乳頭層の乳頭のなかで多くはその先端部にあり,とくに手と足およびそれらの指の屈側面に数が多い.これにくらべると皮膚に毛のはえているところには少く,手と足およびそれらの指の背側面にもわずかしかない.乳頭の皮膚・眼瞼の自由縁・爪床・口唇縁・舌尖・陰核にも少数ながら散在している.

 Meissnerは1成人において示指の末節の掌側面の皮膚1平方ミリメートルについて約23個の触覚小体を見いだした.同様に中節では9個,基節では3個,第5中手骨の上を被う手掌の皮膚では1~2個,足の母指の末節の底側では7個,足底の中央部では1~2個であった.前腕の掌側面では平均して36平方ミリメートルに1個の割合で触覚小体がある.手掌ではこの小体の長さが110~116µ,幅と厚さが45~60µである.どの乳頭も触覚小体をもっているのではないから,神経乳頭すなわち触覚乳頭Nerven-od. Tastpapitlenと血管乳頭Gefäßpapillen(図755)とが区別される.しかし触覚乳頭もやはり血管をもっているのである.示指の末節においてMeissnerは400の乳頭のうち108の触覚乳頭を見いだした.

 触覚小体の形は楕円体状で,ガラスのように透明で核をもつ薄い結合組織の被膜Bindegewebshülleと,特異な性状の内棍Innenkolbenおよびこの小体内にはいりこむ神経線維とからできている.

S. 699

 神経線維の神経周膜鞘がこの小体の被膜に直接に移行している.触覚小体にいたる神経線維(1~4本)は有髄性であって,小体への途中で枝分れして,多くのばあいその内方の極に達する.そして時として被膜の外で,またのちにはその内部でラセン状にうねっている.そのさい初めのうちは髄鞘がまだ存在し,線維の新たな分岐も行われる.

 軟かい内棍は横たわつた平たい棍細胞Kolbenzellenがいくつか重なってできている.はいって来た軸索はこれらの細胞のあいだに終末分枝をなしている.そのさい軸索はラセン状にまがって走りながら枝分れして多くの側枝をだし,これらの側枝がまたうねって走ることがある.そして終末分枝の全体が,棍細胞に接する膨らんだ部分,すなわち静脈瘤のような部分を豊富にもっている.終末分枝の先には小ボタン状の膨らみがついている.静脈瘤のような部分(Varikositäten)と終末小ボタン(Endknöpfchen)のなかには神経原線維の網がみとめられる.HeringaとBoekeによれば,最後の終末係蹄と終末網は棍細胞の細胞体のあいだにあるのではなくて,その内部にある.ここでも“終末周囲細網periterminales Netz”というべきものが存在する(図740).

 中心部にみられるこれらの神経分枝のほかに,内棍の周辺部には糸状装置Fadenapparat(Timofeew)がある.これはごく細い(おそらく交感神経性の)神経線維が,やはり触覚小体の下極からはいり,その分枝によってごく微細な網が内棍のまわりに形成されているのである.

 かなり多くのマィスネル小体からは原線維の束がそとにでて,その上方にある上皮にいたり,そこで上皮細胞間終末をなしている(図742f).糸状装置の原線維も同様の関係をしめす.また別の原線維束はとなりの触覚小体にいたり,小体どうしをたがいに結合している.

[図739]手の指の皮膚(ヒト)にある触覚小体(E. FischerおよびW. Flemming)

[図740]触覚小体の中央を通る横断 神経原線維の網と棍細胞内部の終末周囲細網(Boeke, Z. mikr.-anat. Forsch., 4. Bd.,1926)

[図741]家兎の陰部神経小体内の神経終末(G. Retzius, Internat. Monatsschr. f. Anat. u. Phys.,1890)

2. 棍状小体(クラウゼの)Corpuscula bulboida(Kraush),Endkolbenと陰部神経小体Corpuscula nervorum genitalium, Genitalnervenkörperchen, (図741, 742)

 この2つは上述の触覚小体にごく近い性質であって,本質的な差異はないといえるほどである.陰部神経小体は外陰部の粘膜にあって,いっそう複雑な型の,そしてまたたいてい大形の棍状小体である.それゆえ陰部棍状小体Genital-Endkolbenともよばれる.

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この小体はとくに陰核と陰茎亀頭に多い.その分布する範囲は乳頭の基部から粘膜下組織までで,すなわち粘膜の比較的深層にある.乳頭内または乳頭の近くにある同じような構造の小体は,それよりいっそう深層にある陰部神経小体に対して,陰部の棍状小体Endkolben der Genitalienとよばれる.なおまた乳頭内にあって細長い形のものが陰部の触覚小体である.つまり豊富な神経分布のために,本質的には同じ種類に属する数多くの終末小体が,いろいろな段階をなして配置されているのだということができる.

 ヒトではこの小体は球形または楕円体状で,直径0.15~0.2mmである.ときには「くびれ」がその形に変化をおこして,ソラ豆・クローバの葉・クワの実などの形をした小体がみられる.触覚小体においても,より稀ではあるが似たようなことが起る.

 そのほかの棍状小体は眼球結膜・鼻粘膜の呼吸部・口腔粘膜とくに舌乳頭・口唇の皮膚・喉頭蓋・直腸の肛門部のほか,(Stöhr jr. によれば)柔膜Pia materにも存在する.これらの棍状小体は粘膜の表層の結合組織内にあり,この点では皮膚の触覚小体と一致するのである.棍状小体は眼球結膜の角膜縁のところに最も高い頻度に存在し,ここで最もよく研究されている.ヒトの棍状小体はサルのそれと同様にほぼ球形で,直径は22~98µである.そのほかの哺乳動物ではこの小体は多くの場合かなりの長さをもっている.

 両小体ともにその被膜は触覚小体の場合と同じように神経周膜のつづきでできている.内棍は一種の膠様質のもので,その周辺部には結合組織細胞があるらしい.有髄神経線維が1本またはそれ以上はいってきて,内棍に入る前に髄鞘を失い,内部ではなはだ豊富に枝分れして密な網を形成している.

 マイスネルの触覚小体と同様に,これらの小体からも何本かの神経糸が出て,その一部は上皮内に入ってボタン状のふくらみに終り,残りの糸は同じ型の終末装置をたがいに結合することにあずかっている.

[図742] 外陰部の皮膚にある知覚神経終末の模型図(A. S. Dogiel).

b 陰部神経小体,c (クラウゼの)棍状小体,d マィスネル小体, e 神経終末装置を結びつける神経糸,f 上皮内にいたる神経糸,g 上皮細胞間の神経網,h ボタン状のふくらみに終る神経糸,E 上皮,S 真皮.

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 外陰部の皮膚の有髄神経線維は一部はこの終末装置に終る.また一部は髄鞘を失ってから上皮内に入り,ここで分枝して上皮細胞にまつわりつく日の細かい神経網をなし,若干の小枝はボタン状のふくらみをもって終わっている.

 上に述べた3種の終末装置を考えるにさいしていっそう単純な構造をしめす鳥のグランドリ小体Grandrysche Körperchenをみることがかなり有効であったし,また今日でもなお役に立つのである(図743, 744).この小体はGrandryによってLamellirostres(板嘴類)(游禽類し,ガチョウ・カモ・アヒル・ガン・オシドリ・ハクチョウなどをふくむものである.(小川鼎三))のクチバシの皮膚と舌に,はじめガチョウとカモで見いだされた.この小体は長さ67µ,幅45µで,上に述べた器官の結合組織のなかで,その表面を被う上皮の近くに存在する.結合組織性被膜の1層に包まれていて,水泡状で明るい,たいてい2個の半球形の細胞(被蓋細胞Deckzellenまたは緩衝細胞Pecfferzellen)からなっている.この小体に来ている有髄神経線維は,両細胞の向いあわせになった平らな面のあいだに終末分布をなしている.この終末分布は触覚盤Tastscheibeまたは終末盤Endscheibeとよばれ,うすい円形の板で,はいってきた軸索はここで枝分れをして,豊富な網をつくるのである.(Van De Velde, Internat. Monatsschr. f. Anat. u. Phys.,1909).緩衝細胞とこれにともなう触覚盤は皮膚の表面に常に平行の位置にある.緩衝細胞が3つまたはそれ以上, 柱のようにかさなって,触覚盤もそれに伴なって増しているところの複合性のグランドリ小体もある.

[図743, 744]成長したカモのグランドリ小体(Boeke,1926による)

図743は表面と平行した方向に切ってある.図744は横断.

C. 皮下組織における神経終末
a)皮下組織内の自由終末

 皮下組織のなかに樹状に枝分れした終末のあることがDogielによって記載された.

b)皮下組織内の小体牲神経終末

1. ファーテル・パチニの層板小体Corpuscula lamellosa(Vateri, Pacini),Vatersche Körperchen(図727, 745747)

 B. Vaterによって1741年に見いだされ,1842年にPaciniにより再発見された.

終末小体としては最も大型のもので,楕円体状で,その一方の極が1本の有髄神経線維およびその鞘と結合している.

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比較的大きいものは長さ2~3mm,太さ1~2mmもあるが,最も小さいものは長さ0.2~0.8mmしかない.この小体は皮膚や粘膜ばかりでなく,体の深部にもたくさん存在し,その分布が極めて広い.したがって表在性のものと深在性のものを区別することができる.

a)表在性のものは皮下結合組織にあって,とくに手と足の指の屈側の神経領域, ならびに手掌と足底の神経に多くみられる.

 Herbstによるとこの種の小体は手の全体に608個ぐらいある.手背や足背にもないわけではないが,そこでは数が少くて大きさも小さい.さらに次の場所でこの小体が見いだされている.腕や頚の皮膚の神経.男の乳頭の神経(4~5個,W. Krause).女の乳腺の下の層(Langer).陰茎背神経および陰核背神経,大陰唇,恥丘(これら4つの場所では1側に100個以上,Schweigger. Seidel, Rauber).精索(挙睾筋膜の外側に,Rauber).陰嚢の皮下組織(肉様漠の筋束によって部分的に編み包まれている,約50個,Rauber).会陰の皮下組織(1側に5個, Rauber).なおファーテル小体の分布についてはJ. Hartenstein:Die topographische Verbreitung der Vaterschen Körperchen beim Menschen. Dorpat,1889を参照せよ.

b)深在性のファー一テル小体は実にいろいろな場所にみられる.

 深部では次の諸所に散在している.

α)腹腔神経叢の領域,ここでは特に脾神経叢と上腸間膜動脈神経叢との諸枝にあり,膵臓の後方の結合組織のなかには最も多数存在する(Genersich).ネコの腸間膜にこれに相当する小体があることは,かなり古くから知られていた(Lacauchie, Henle, Kölliker).またネコの膵臓や家兎の結腸間膜にも観察されている.β) ヒト1の横隔神経,この神経が胸膜と心膜のあいだを通るところにある(Rauber).

[図745] 皮膚の神経終末小体の位置関係

 表皮は除いてある(塩化金染色,Ruffini)

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γ)眼窩下神経に(Hyrtl),δ)肋間神経に(Cruveilhier),ε)陰部神経に(Kölliker),ζ)陰茎海綿体に(Klein),η)前立腺に,θ)尾骨動脈糸球のまわりに(Luschka),ι)大腿動脈に接して(W. Krause),κ)その他の諸血管に接して(Thoma),λ)膝神経節の近くに(W. Krause).

 層板小体が深部でかなり集中して存在するところは関節骨膜層arthroperiostales Stratumであって,ここには何千という小体があって(Rauber),豊富さにおいては皮下組織に勝るとも劣らない.すでにCruveilhierが関節の神経に層板小体を見いだしている.さらにHenleとKöllikerも関節神経と骨神経にこの小体を見ている.その存在部位は一部は骨膜内に,一部は線維性の関節包の中またはそれに接してあり,関節靱帯にも接している.さらに骨格筋の結合組織性の被膜や中隔にみられるほか,ところどころ筋肉の中にまでも存在する(Rauber).下腿の上半部で脛骨神経の神経上膜に,小さい層板小体がたびたび見いだされた.

 筋と関節(滑膜嚢)ではなお別の知覚性神経終末がある.筋にみられるものはロレの神経小団Rolletsche Nervenschollenとゴルジの腱紡錘Golgische Sehnenspindeln(第I巻図478参照),関節にあるのは関節神経小体Corpuscula nervorum articularium Gelenknervenkörperchen(Rauber, W. Krause)である.後者は棍状小体に近いものであるが,結合組織細胞がいっそうたくさんある点が特徴をなしている.これら両群の知覚終末は層板小体の関節骨膜層とともに,それらが分布する器官の知覚に関係し,同時に運動感覚をつたえるのにも役だっていることは疑いないところである.

 層板小体は次のものからできている:1. これに到来する有髄神経線維,2. 内棍Innenkolben,3. 結合組織性の多数の嚢すなわち層板Lamellen(図746).神経線維はシュワン鞘と原線維鞘のほかに,その小体が属する神経小幹から続いて来ている神経周膜性のうすい膜(Perineurale Häutchen) (その数は一定しない)をもっている.これらすべての鞘とそれに包まれる神経線維とがこの小体のStielをなしている.そしてこれらの鞘が次第に開いて液体をふくむと,小体の層板が生ずるのである.層板の数は大きい小体では60にも達する.層板はいわゆる外棍Außenkolbenをなしている.

 嚢の構造についてはKeyとRetziusの研究が解決をあたえた.それによると外棍の全体め骨ぐみをなしているのは,神経周膜性層板Perineurallamellenのふくらんだものである.それぞれの嚢は,ふくらんだ神経周膜性層板の薄い2枚の境界膜でできていて,せまい腔隙をなしている.この隙間は適当な方法でたやすく広げることができる.2枚の境界膜には核があって,これは内皮性の境界膜に属している.したがってふくらんだ神経周膜性層板が実際に嚢をなしているのであって,一見したところ嚢間腔にみえるところが実は嚢腔なのである.本当の嚢間腔は微細なすきまである.嚢腔は液体のほかに,輪走および縦走する多くの結合組織原線維,それから少量の弾性線維を含んでいる.穿刺によって嚢内を空にすることができる.

 内棍は小体を直線状に貫き,あるいは先のところでまがっている.2~3本の腕に分れていることもある.その端からしばしば1つの索がさまざまな距離だけ伸びている.これは層板間靱帯Ligamentum interlamellareとよばれる(図746).

[図746] ネコの腸間膜の層板小体

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 内棍は原線維鞘とシュワン鞘のつづきをなすものが変形したのであって,蛋白質に富む物質からできており,その外層には縦のすじがあり,周辺部には縦にのびた核が見える.横断してみると,今のべた縦のすじは同心性の線としてあらわれる.たずしこの向心線は全円周の半分だけをえがいている.これらの半円の1群の端は他の群の端と一種の縫線Rhapheをなして相会している.内棍には無髄の軸糸がある.これは進入した神経線維の軸索にほかならないのであって,はっきりした原線維性の構造を示し,その経過中にしばしば瘤状のふくらみをもっている.軸糸の先は単純なふくらみをなして終るか,さもなければ内棍の端のところでいくつかの枝に分れ,これらの枝の先がやはり小さいふくらみをつくっている.これらの枝は内棍の伸びだしたものによって1本ずつ別々に,あるいは何本かが共通に包まれている.軸糸の先端のふくらみは神経原線維の網をあらわす.

 小体の茎には1本のごく細い動脈のあることが普通で,これが層板のあいだで毛細管網に移行している.反対がわの極からも毛細管の係蹄が入ってくることがある.内棍には決して血管がない.リンパ路をなしているのは神経周膜性層板のあいだの繊細なすきま(嚢間腔)であって,嚢腔がそれをなすのではない.

 層板小体はヒトではすでに胎生第4月に認められる.その頃には結合組織細胞がやや細長い小塊をなしており,その外方の層には同心性の層構造がみられる.

そしてまだ無髄の1本の神経線維とつながっている.神経線維が小体の中へ伸びてゆくのではなくて,小体が神経線維の末梢端のまわりに形成されるのである.ちなみにこの神経線維は脊髄神経節細胞の樹状突起であるという考えが最も普通である.

 Timofeew(Anat. Anz.,11. Bd.,1895)は層板小体のなかにある特別な糸状装置Fadenapparatを記載した.各小体にはふつう2本の有髄神経線維が到来し,その1つは無髄の扁平な軸索となって内棍に入りこむ.第2の神経線維は第1のものと並んではいり,そこで髄鞘を失って,1つの注目すべき網目の細かい糸状装置に移行する.この装置は何度もまがって走るごく細い糸からなり,孔のあいた鞘のかたちに第1の線維のリボン状の軸索を包み,そのさいこれと接触することがなく,ましてや吻合することもない(図747).両線維は異なった神経細胞から来ているもののようである.Stefanelli(Monit. zool. ita1., 48. Bd.,1937)はこの糸状装置が副交感性のものであるというが,Stöhr jr. (Z. Zellforsch., 30. Bd.,1939)によればこのことは今日までのところ確証されていない.

 層板小体の変異としては双子および三つ子の小体Zwillings-und Drillingskörperchenがある.すなわち2個または3個の小体がその外棍でたがいに結合しているのである.そのほか花環状rosenkranzförmigにつながった小体もある.終末線維が1つの小体から出て,ふたたび有髄になって,第2の小体に進入するのであって,これに第3の小体が続くことさえもある.これと同様なことが陰部神経小体では非常にしばしばみられる.

 層板小体はいろいろな哺乳動物にもみられるが,その構造は多少違っていることもある.鳥類ではHerbstによって発見され,それゆえヘルプスト小体Herbstsche Körperchenとよばれる.その構造はとくに内棍のところが変わっている.これの少し変つたものにケイ-レチウス小体Key-Retziussche Körperchenがある.これはカモやガチョウなどのクチパシにあるもので,比較的深い結合組織のなかにちつて,グランドリ小体とは大いに異なるものである.

[図747] 層板小体とその糸状装置 イヌの前立腺の結合組織性被膜から(Timofeew,1895).

a 太い有髄神経線維,その先はリボン状の軸索どなる.b 細い有髄神経線維,これが終末糸状装置をつくる.--メチレンブラウ染色.

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2. ゴルジ・マツツォニ小体Golgi-Mazzonische Körperchen(図748)

 この小体はGolgi(1880)によって外筋周膜と腱のまわりの結合組織とにおいて発見され,Mazzoni(1891)によってさらに詳しく研究された.またRuffini(1894)によってヒトの指の皮下組織のなかにも証明された.

 これは球状・円柱状・西洋ナシ形などで,長短さまざまな形をしており,層板小体のなかまに属する.しかし層板の数ははなはだまちまちである.層板をたった1枚しかもたないような型のものさえある.

 はなはだ特徴的なのは内棍が大きく発達していることで,内棍そのものの形がこの小体の外形と同じである.内棍は微細顆粒性の物質でできていて,そのなかに多数の核がある.小体に到来する神経線維の軸索はこの物質のなかで何度も枝分れしたり曲つたりしながら,比較的あらい網を形成する.この網には瘤状のふくらみやボタン状に円くなった終末が沢山ある.これらの瘤やボタン状の終末のなかには神経原線維の網が証明される.

3. ルフィニ小体Ruffinische Körperchen(図745, 749)

 指の皮下組織には真皮と皮下組織のさかいのところに,かなり大きい長めの終末小体(長さ0.25~1.35mm)があることが,Ruffiniの発見以来知られている.その数はほずファーテルの層板小体に匹敵する.有髄神経線維が側面または下端からこの小体に進入し,その内部で瘤状のふくらみをもつ多数の枝に分れる.これらの枝はたがいに吻合をなして,ついにに小さいボタン状のふくらみをもつ自由端に終わっている.Sfameniの観察によるとイヌ・ネコ・サルにもルフィニ小体が存在する.

毛盤Haarscheiben(Pinkus) (図750~752)

 Pinkusはヒトの生体において,小さい円い盤状のものが毛の近くにあることを観察した.顕微鏡でみるとそれが皮膚の特別な感覚器官であることがわかるのである.

Pinkusはこれが常に毛のすぐ近くあることから毛盤という名をつけ,これを動物の触覚盤Tastscheibenと同列においたのである.毛盤にはひじょうに豊富に神経が来ている.

 Pinkus, Dermatolog. Zeitschr. 9.,10, Bd.

[図748]ゴルジ・マッツォニ小体 指頭の掌側面の皮下組織から.×400(A. Ruffini)

[図749]ルフィニ小体 ×175

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[図750]生体の毛盤を模型的に示す(Pinkus). a 2つの毛盤が1本の毛のわきにある.

[図751]復構模型による毛盤と毛の群 復構模型を毛盤の中央で切ってある.(Pinkus)

[図752]毛盤の断面(Pinkus)

12.皮膚の付属器

 皮膚の生産能力は表皮の絶えまない再生に示されているばかりでなく,皮膚に多くの特別な器官ができていることによっても示される.これに属するものとしては,表面から奥へおちこんでできた各種のと,表面に接して,あるいは凸出している角化器官とがあり,いずれも大量に存在する.

 皮膚の腺は管状腺と胞状腺の2つの主要な型に分れて現われる.角化した器官はである.

 皮膚のすべての器官は,その構造を大まかにいうと,上皮組織と結合組織とからできている.しかし何といっても重要なものは上皮組織であるから,しばしばこれらの諸器官は表皮器官Oberhautgebildeという名をつけられている.

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最終更新日 13/02/03

 

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