目次骨格系関節系筋肉系消化器系呼吸器系胸郭泌尿器系生殖器系腹腔と骨盤腔内分泌腺心脈管系リンパ系神経系感覚器外皮

Nervous system(神経系)Systema nervosum しんけいけい Feneis: 266 10

[A14_0_00_000] →(神経系は動物特有のもので、知覚、運動および精神作用などを営みうるのは、神経系があるためである。神経系には生体の内外間橋からの刺激をうけたのちに、その情報を解釈(場合によっては統合)し、受けた刺激に適する反応を選び出す能力がある。また、内分泌系とともに、身体の機能の重要な側面を統御し、恒常性を保つ。神経系の刺激は迅速な反応を起こすが、内分泌活動は主に遅くて持続的である。神経系を論ずる学問を神経学といい、神経系の構造を論ずる学問を神経解剖学という。神経系は中枢神経系(脳と脊髄)および末梢神経系(脳神経12対および脊髄神経31対をはじめすべての神経と神経節)の2部に分かれる。中枢、末梢の区分は全く人工的なものであり、神経系は終始1つの全体として機能していることをわすれてはならない。また作用の上から動物神経系と植物神経系=自律神経系(交感神経系と副交感神経系からなる)とに分かれる。)

General terms(一般用語(神経系の))Nomina generalia いっぱんようご(しんけいけいの)

Nerve fibre; Nerve fiber(神経線維)Neurofibra しんけいせんい Feneis:

[A14_0_00_001] →(神経突起、樹状突起を問わず、神経細胞体から出る長い突起を神経線維とよぶ。神経突起には内外ものが多く神経線維とよばれるが、末梢の知覚神経の樹状突起も長く、神経線維である。神経線維はSchwann鞘の有無、髄鞘(ミエリン鞘)の有無によって、有鞘有髄、無鞘無髄の4種類に分けられる。これらのさやにつつまれた突起を軸索と呼ぶ。一般に軸索とは神経突起と同義語に用いられるが、樹状突起にも上記の鞘をかぶるものがある。神経線維は興奮の伝導方向によって求心性線維と遠心性線維とに分けられる。求心性線維afferent fiberは興奮を末梢から中枢に向かって伝える物で、感覚(知覚)線維sensory fiberともいわれる。遠心性線維efferent fiberは中枢から末梢に向かって興奮を伝えるもので、筋の運動を司る運動線維motor fiberと、腺に分布し、その分泌を支配する分泌線維secretory fiberとがある。)

Neuron; Neurocyte(ニューロン;神経細胞;神経元)Neuron; Neuronum; Neurocytus にゅーろん;しんけいさいぼう;しんけいげん Feneis: 404 18

[A14_0_00_002] →(神経細胞は核周部ともよばれる神経細胞体と、その突起からなる。細胞体の大きさ、形、突起の長さは多種多様で、その全形を把握するには渡銀法が適している。細胞体には一般の細胞と同じように小器官が存するが、その他の特徴のあるものとして、Nissl小体、神経原線維、色素顆粒がみられる。Nissl小体はチオニン、トルイジン青などの塩基性染料に染まり、細胞体の中で虎斑状にまだらに染め出されために虎斑物質ともよばれる。電顕で観察すると粗面小胞体の塊である。神経原線維は神経細管と神経細糸が集まり、銀に染まったものである。色素顆粒はリポフスチンを含み、リポフスチン顆粒、リポクロームなどとよばれる。水解小体の一種で年齢とともに増す傾向にある。また青斑や黒質の神経細胞体にはメラニンを含む。突起には、神経突起と樹状突起がある。前者は興奮を細胞体から遠心性に伝えるもので必ず1本、後者は興奮を突起から細胞体へ求心性に伝えるもので、神経細胞の種類によって、これを有しない物から、多数有するものまでみられる。神経突起のことを軸索とも呼ぶ。突起の数によって神経細胞は、単極神経細胞(突起が1本のもの)、双極神経細胞(突起が2本であるが、細胞体からでるところで合して1本になっているもの)、多極神経細胞(3本以上の突起をもつもの)に分けられる。突起のない神経細胞は完成した新形式には存在しない。これらの突起の中にももちろん神経細管や神経細糸は走っているが、Nissl小体は樹状突起の一部に認められるだけである。また、神経突起の起始部は小円錐状を呈し、軸索小丘(起始円錐ともよぶ)とよばれ、Nissl物質を欠く。神経細胞体から出るこれらの突起のことを神経線維ともよぶ。)

Perikaryon; Nerve cell body(核周部;核周囲部;神経細胞形質)Perikaryon かくしゅうぶ;かくしゅういぶ;しんけいさいぼうけいしつ Feneis: 404 19

[A14_0_00_003] →(1.細胞質は神経細胞の細胞体部の原形質のように核を囲む原形質。2.核周囲部細胞体はデンチン線維を除くゾウゲ芽細胞体。3.神経細胞形質は軸索突起および樹状突起と区別される神経細胞の細胞体部)

Synapse(シナプス;神経接合部)Synapsis しなぷす;しんけいせつごうぶ Feneis:

[A14_0_00_004] →(シナプスは神経細胞と他の神経細胞、効果器(筋、腺)細胞、または感覚受容体細胞とその機能的な膜と膜との結合についていう。シナプスは神経興奮の伝達をつかさどり、一般に大きさは不定(1~12μm)で、節状または棍棒状の軸索末端がシナプスをつくる受容細胞の細胞膜(シナプス後膜)の境界明瞭な斑点に接合している。ほとんどの場合、興奮は化学伝達物質(神経伝達物質とよばれる)により伝達され、それらの物質はシナプス前膜と後膜を隔てるシナプス間隙(15-50nmの広さ)へ放出される。アセチルコリンは最も広く見られる伝達物質であるが、他にアドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミン、ガンマアミノラクサンgammaaminobutyric acid(GABA)、グルタミン酸、アスパラギン酸、さらに酸化窒素なども神経伝達物質に該当する。軸索を伝わりシナプス部位に到達した神経刺激は、まず軸索末端(シナプス小胞)からの伝達物質の放出を引き起こす。次に、放出された伝達物質がシナプス裂隙を通り抜けて隣接するニューロンの、たいていは樹状突起表面に達し、新たな神経刺激をもたらすのである。1本の軸索が複数の(時には数百個もの)ニューロンに対してシナプスを形成しうること、および単一ニューロンの樹状突起群に対して、複数のニューロン軸索がシナプスを介し接続しうる。)

Neuroglia; Gliocyte; Glial cell; Glia cell(グリア;神経膠細胞)Neuroglia ぐりあ;しんけいこうさいぼう Feneis:

[A14_0_00_005] →(神経膠細胞には中枢膠細胞と末梢神経膠細胞があるが、神経膠細胞といえば前者のみをさすのが一般である。神経膠は神経組織の保護、支持、代謝、栄養などに関与する。神経膠細胞には上衣細胞(ependymal cellエペンディマルセル)、星状膠細胞(astrogliaアストロサイト)、希突起膠細胞(oligodendrogliaオリゴデンドログリア)、小膠細胞(microgliaミクログリア)があり、末梢神経膠細胞にはSchwann細胞、外套細胞(神経節膠細胞)がある。最近では上衣細胞と小膠細胞は神経膠細胞としないことがおおい。上衣細胞は、脳室や脊髄の中心管に面して並ぶ単層円柱上皮で、腔に面して微絨毛をもち、場所によっては、繊毛が認められる。場所によっては、基底側が細長く延び、有尾上衣細胞(tanycyte)ともよばれる。星状膠細胞は星のような形をした膠細胞の意味である。比較的細胞質に富み、太い突起を有する形質性星状膠細胞と、比較的細胞質が少なく、細く長い突起を有する線維性星状膠細胞に分けられる。いずれも、毛細血管壁や神経細胞体に突起を延ばしており、両者の代謝や栄養のなかだちをすると考えられている。毛細血管では内皮のまわりに基底膜を隔てて、星状膠細胞の足がぎっしり埋まっている。これを血管周境界膜という。両細胞とも細胞質中に多くの神経膠細糸を有するのが特色である。星状膠細胞はニューロンを支えるための立体的網目を形成する一方で、多彩な機能を発揮している。すなわち星状膠細胞には、①ニューロンの物質代謝、とくに炭水化物代謝を大きく助ける、②ニューロンが放出した伝達物質の回収に関与する。③血液・脳関門の構築、機能調節、修復にあずかる、④場合によっては局所的免疫反応を調節する間で、受容体物質を仲立ちする大がかりな通信がおこなわれているという可能性も示された。中枢神経系でニューロン軸索を囲む髄鞘をつくるものは希突起膠細胞であり、そのとき細胞は2つの主要物質(ミエリン塩基性タンパク質、プリテオリピドタンパク質)を細胞膜の特定部に集めなければならない。しかし、どのようなメカニズムでそれがおきるのかは、よくわかっていない。髄鞘が脱落する病変(例えば多発性硬化症の後期段階でみられるもの)は、しばしば希突起膠細胞の消失を伴う。また、同細胞における好銀性の細胞質封入体が出現が、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイドレーガー症候群など多発性線維萎縮を示す患者で確かめれている。小膠細胞はHortega細胞ともよばれる。核が小さく、不正形で濃く染まる。細胞質も少なく、突起にとげがあるのが特徴である。神経膠のうちでこの細胞だけは間葉由来で必要に応じて食作用を営むという。大食細胞系に属させるヒトもある。しかし、小膠細胞は大食細胞とは別で、やはり外胚葉由来であり、中枢損傷がある時に食細胞を発揮するのはこれとは別で単球がそのさいに入りこんだものであるとする説もある。外套細胞(神経節膠細胞)は末梢の神経節すなわち知覚神経節、自律神経節に存在し、神経細胞のまわりを取り囲み衛星細胞ともいわれる。神経節細胞の代謝、支持に関与する。Schwann細胞は鞘細胞ともよばれ、末梢の神経線維を取り囲み、Schwann鞘を形成し、その代謝や支持に関与する。)

General terms(一般用語(中枢神経系の))Nomina generalia いっぱんようご(ちゅうすうしんけいけいの)

Grey matter; Grey substance; Gray matter; Gray substance(灰白質)Substantia grisea かいはくしつ Feneis: 402 48

[A14_1_00_002] →(脳と脊髄では神経細胞体の集合している部分は有髄神経線維がないか、きわめて少なく灰色を呈するところからこの名称がある。脊髄では中心管を囲みH状を呈する。大脳半球と小脳では表面に神経細胞体が帯状分布するので、これをとくに皮質とよんでいる。灰白質には神経細胞の核周体、樹状突起、輪索起始部、軸索の終末やシナプス、神経膠細胞、血管が存在している。同じ機能をもつ神経細胞の細胞体の集団に区分し、これを神経核とよぶ。)

Nucleus(神経核;核)Nucleus しんけいかく;かく Feneis: 402 48

[A14_1_00_003] →(神経系ではある一つの機能にかかわる神経細胞の細胞体は集団を形成する傾向があり、この集団は末梢神経系では神経節、中枢神経系では神経核とよばれる。)

Nucleus of cranial nerve(脳神経核)Nucleus nervi cranialis のうしんけいかく

[A14_1_00_004] →(脊髄では前角は運動線維の起始領域であり、後角が知覚線維の終末領域であるが、このような脊髄での関係と同様に、脳幹の脳神経核でも遠心性線維を出す細胞のある起始核と、脳幹の外の知覚神経節の偽単極細胞の突起である求心性線維の終わる終止核とが見られる。 体運動性の核は正中線のそばにある:舌下神経核(舌筋へ);外転神経核、滑車神経核、動眼神経核。後者はいずれも眼筋へいく神経の起始核。 それらの外側に接して内臓運動性の核がある。真に内臓運動性で副交感神経に属する核と、かつては内臓運動性であったが、今では変化した鰓弓筋を支配する核とがある。副交感神経核に属するものは、迷走神経背側核(内臓へ行く)、下唾液核(舌下腺へ行く節前線維を出す)、上唾液核(顎下及び舌下腺へ行く節前線維を出す)およびエディンガーウェストファル核(瞳孔括約筋と毛様体筋への節前線維を出す)である。 鰓弓神経の運動核の系列は、下方では副神経(肩の筋を支配)、すんわち頚髄へまで伸びている副神経脊髄根核にはじまる。この核の系列は上方へは疑核すなわち迷走神経と舌咽神経の運動核(咽頭と喉頭の筋を支配する)、および顔面神経核(顔面筋を支配)へと続いていく。顔面神経核はすべての鰓弓神経の運動核と同じく深部にある。この顔面神経線維は背方へ向かい、菱形窩の底(顔面神経丘)で弓形を描いて外転神経核を内側から外側へまわって(顔面神経膝)、その後再び橋の下縁まで下行し、ここで脳幹から出て行く。鰓弓神経の最も上方にある運動核は三叉神経運動核(咀嚼筋へ行く)である。 さらに外側には知覚核が位置し知恵いる:そのうち内側のものは内臓知覚性の孤束核であり、ここには迷走神経と舌咽神経およびその他すべての味覚線維芽終わっている。さらに外側には三叉神経の核領域が広がっており、この領域には三叉神経主知覚核、三叉神経中脳路核、および三叉神経脊髄路核があって、すべての脳神経核のうちで最大の広がりをもっている。この領域には顔面、口および上顎洞からの外受容性感覚のすべての線維芽終わっている。最後に、最外側には前庭神経核と蝸牛神経核のある小野が位置しており、ここには前庭神経(平衡感覚器からくる)および蝸牛神経(聴覚器からくる)が終わっている。)

Nucleus of origin(起始核)Nucleus originis きしかく

[A14_1_00_005] →(起始核は脊髄および脳神経の運動神経線維の起始をなす運動ニューロンの集合(遠心性=運動性脳神経核)。脊髄では一続きの柱を、延髄や橋では不連続の柱を形成している。) (磯貝豊先生の協力により更新:16/07/27 )

Terminal nucleus(終止核)Nucleus terminationis しゅうしかく

[A14_1_00_006] →(終止核は脊髄および脳神経の求心性線維が終わる菱脳と脊髄の神経細胞群(求心性=知覚・感覚性脳神経核)の総称。) (磯貝豊先生の協力により更新:16/07/27 )

Column(柱)Columna ちゅう Feneis: 402 48

[A14_1_00_007] →(柱は神経細胞体の集まりからなり、髄鞘がほとんどないので灰白色。)

Lamina(板;層)Lamina ばん;いた;そう

[A14_1_00_008] →(薄い扁平な板または層。そのような構造または層の一般用語。)

White matter; White substance(白質)Substantia alba はくしつ Feneis: 402 49

[A14_1_00_009] →(脳と脊髄の断面で髄鞘をもつ有髄神経線維が集合している部分は白色を呈し、この神経線維の集まった部位を白質とよぶ。大脳半球と小脳とでは白質が皮質に包まれていることから、この部位の白質はとくに大脳髄質、小脳髄質と呼ばれる。白質の中でも髄鞘の薄い神経線維の束は灰色がかっている。また、無髄神経線維が集まる部分は灰白質にみえる。白質を部位的に区分した場合には各部分を索、著明な神経線維の束を束、機能的に等質な神経線維の束を神経路または伝導路とよぶ。)

Funiculus(神経索;索)Funiculus しんけいさく;さく

[A14_1_00_010] →(無髄神経線維が集まる部分は灰白質にみえる。白質を部位的に区分した場合には各部分を索(神経索)と呼ぶ。)

Tract(神経路;路)Tractus しんけいろ;ろ

[A14_1_00_011] →(作用的に同一系統に属する神経細胞から出るところの同一作用を有する神経線維(軸索突起)は多くは集まって粗密なさまざまの神経束を作るが、これを神経路と称する。この神経路には脳あるいは脊髄の一定部位における同側の諸部を結ぶ連合神経路、左右両側の諸部を結ぶ投射神経路の3種がある。)

Fasciculus; Fascicle; Nerve fascicle(神経束;神経線維束)Fasciculus しんけいさく;しんけいせんいそく

[A14_1_00_012] →(末梢神経系では分布領域を同じくする、種々の性質の神経線維が集まって束をなすことが多いが、中枢神経系では同じような性質の神経線維が集合して走る傾向があり、これを神経束ないし神経路と呼ぶ。通常神経束は神経路よりも大きい神経線維の束を指すが、慣習上小さい束でも神経束といわれることがある。)

Commissure(交連;連合)Commissura こうれん;れんごう

[A14_1_00_013] →(交連は対応部の結合位置。一般的定義は解剖学的対応構造の接合を示すために使われ、常ではないがしばしば身体の中央面を横切るものに使われる。)

Lemniscus(毛帯)Lemniscus もうたい

[A14_1_00_014] →(毛帯は神経核から視床へ上行する神経線維の束。)

Fibre; Fiber(線維;神経線維)Fibra せんい;しんけいせんい

[A14_1_00_015] →(線維は神経膠性の被覆を含めた神経細胞の突起。)

Association fibre; Association fiber(連合線維)Fibra associationis れんごうせんい

[A14_1_00_016] →(連合線維は同じ大脳半球の異なる部分の大脳皮質を互いにむすぶか、同じ側の脊髄の異なった分節を互いに結んでいる神経線維。)

Commissural fibre; Commissural fiber(交連線維)Fibra commissuralis こうれんせんい

[A14_1_00_017] →(交連線維は正中線を交差して、神経系の左右の対応部位を互いに結合する神経線維。)

Projection fibre; Projection fiber(投射線維)Fibra projectionis とうしゃせんい

[A14_1_00_018] →(投射線維は大脳皮質と下位の大脳基底核、脳幹、小脳や脊髄とを連絡する線維で、皮質に向かう上行性線維と、皮質から起こる下行性線維とがある。投射線維は髄質に集まりレンズ核と尾状核との間で内包をつくり、さらに下方で大脳脚につづく。内包から上方で線維は皮質に向かって放散し、放線冠をつくる。)

Decussation(交叉)Decussatio こうさ

[A14_1_00_019] →(交差、交叉とは同種の部分または構造がX文型に交差していることに対する一般用語。)

Stria(条;線条)Stria じょう;せんじょう

[A14_1_00_020] →(線条は組織中にあって、色、構造、陥凹または隆起により区別される狭い帯状の構造。)

Reticular formation(網様体)Formatio reticularis もうようたい Feneis: 402 50

[A14_1_00_021] →(網様体は延髄、橋、中脳においてその中心をなす構造で、系統発生的に古く、あまり境界の明瞭でない細胞群(核)からなっている。核を構成する細胞は多極性で、その形、大きさも変化に富んでいる。樹状突起は長く、広汎にに分岐し、そこに多種類の入力が収束する。軸索は上行枝と下行しに二分し、豊富な側枝により複雑な結合を行う。細胞構築学的には次の三つのあての細胞柱が区別される。①縫線核と正中傍網様体核群、②内側核群(腹側網様体核、正中網様体核、巨大細胞網様体核、橋被蓋網様体核)、③外側群(外側網様体核、小細胞網様体核、楔状核、脚橋被蓋核)。これらの核は種々の経路を介して非常に広汎な領域と関係している。入力は脊髄(脊髄網様体路、脊髄視床路)、脳神経(Ⅴ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ脳神経の中枢枝)、大脳皮質(皮質網様体路)、小脳(室頂核網様体路、歯状核網様体路)、辺縁系(内側前脳束、背側縦束)、中脳(視蓋網様体路)に由来する。出力は視床(網様体視床路[中心被蓋路])、小脳(外側、正中傍、橋被蓋網様体核からの網様体小脳路)、脊髄(網様体脊髄路)などにいたる。また網様体にはモノアミン含有細胞が多数存在し、中枢神経系内で広汎な結合を行っている。縫線核群は世路と飲を含有する。核により結合は異なるが、脊髄脳神経核(Ⅴ-Ⅷ脳神経核、迷走神経背側核、弧束核)、オリーブ核、中心灰白質、小脳、四丘体、黒質、間質核、Darkschewitsch核、視床、視床下部、前頭葉、扁桃核、梨状葉、嗅球、嗅結節、大脳基底核などに線維を送る。アドレナリン含有細胞は青斑核のほかに弧延髄被蓋の腹側部や背内側部(孤束核の腹内側)に存在する。これらの細胞も広く、脊髄、脳神経核(ⅩⅡ、Ⅶ、Ⅴ脳神経核、迷走神経背側核、孤束核、蝸牛神経核)、オリーブ核、中心灰白質、四丘体、視床、視床下部、海馬、レンズ核、大脳皮質などに線維を送っている。)

Ependyma(上衣)Ependyma じょうい Feneis: 402 52

[A14_1_00_022] →(上衣は脳室と脊髄中心管の最内層を縁取っている、上衣細胞によって裏打ちされ、この細胞層を上衣とよぶ。)

Cortex(皮質)Cortex; Substantia corticalis ひしつ

[A14_1_00_022_1] →(神経細胞は部位によって中枢神経系の表面に集まって層構造を示すことがあり、このときには皮質いう。)

Medulla(髄質)Medulla ずいしつ

[A14_1_00_022_2] →(中枢神経系において有髄神経線維の集まった部分を白質または髄質という。)

Cerebral ventricles; Brain ventricles(脳室)Ventriculus のうしつ

[A14_1_00_022_3] →(ventriculusは、「腹、体」を意味するventerの指小形で、元来の意味は、「小さい胃」のことであるが、これから転じて、「小さい空洞」の意味になり、解剖学的には、脳室や心室を指す。脳室と脊髄中心管は、ともに胎生期の神経管の内腔から形成され、連絡している。一方脳室は小孔によってクモ膜下腔とも連絡しており、脳・脊髄はその内外を含めて脳脊髄液に浸された状態にある。脳実質は神経管、脳室はその内腔から形成される。したがって、脳室とそれを囲む脳実質は立体的に相似関係にある。たとえば、大脳半球には側脳室、間脳には第3脳室、中脳には中脳水道、橋・小脳の部には第四脳室が位置する。各脳室やクモ膜下腔の連絡口は脳外科領域でも重要で、人名を冠するものも多い。左右の側脳室と第三脳室を連絡する1対の孔は室間孔[モンロー孔]と呼ばれる。また、第四脳室にはクモ膜下腔との連絡口が2種あり、後方正中に位置する第四脳室正中口[マジャンディー孔]と、前外側の第四脳室外側口[ルシュカ孔]とを区別する。なお、中脳水道のことをシルビウス水道ということもある。)

Sulcus limitans(境界溝)Sulcus limitans きょうかいこう Feneis: 282 25

[A14_1_00_022_4] →(正中溝の外側には境界溝という浅い溝があり、正中溝との間には内側隆起をつくっている。)

Roof plate; Dorsal plate(蓋板;背側板)Lamina dorsalis がいばん;はいそくばん

[A14_1_00_022_5] →(蓋板と底板には神経芽細胞はなく、将来、正中線を横切る神経線維の通路となる。)

Alar plate(翼板;背外側板)Lamina dorsolateralis; Lamina alaris よくばん;はいがいそくばん

[A14_1_00_022_6] →(翼板には鰓弓神経の感覚終止核が発育してくる。鰓弓神経の感覚繊維には、一般内臓性求心性general visceral afferent(GVA)、特殊内臓求心性special visceral afferent(SVA)、一般体性求心性general somatic afferent(GSA)、特殊体性求心性special somatic afferent(SSA)の4種類の神経線維がある。孤束核には一般内臓求心性線維である鰓弓由来臓器からの線維と、特殊内臓性求心性線維である舌および口蓋からの味覚線維が終止する。孤束核の外側には三叉神経脊髄路核がある。この核には一般体性求心性線維である顔面からの感覚線維が終止する。翼板の一番外側で第四脳室外側窩のすぐ腹側には内耳神経の終止核が分化してくる。この核は特殊体性求心性線維である前庭神経と蝸牛神経の終止核である。)

Basal plate; Ventrolateral plate(基板;腹外側板)Lamina ventrolateralis; Lamina basalis きばん;はいがいそくばん

[A14_1_00_022_7] →(基板には運動性脳神経核が分化してくる。運動性脳神経核は体性運動性神経核と内臓性運動性神経核に分けられる。体性運動性神経核は脊髄前角の大形多極性細胞群の吻側への延長とみなすことができる。脳では体性運動性細胞柱を作っている。これらの神経核からの出る神経線維は筋節myotome由来の横紋筋を支配している。体性運動性神経核のうち第12脳神経である舌下神経の起始核は髄脳にあり、第6脳神経である外転神経の起始核は後脳にある。とぢらの神経核も正中線近傍にあり、機能的には純運動性で一般体性遠心性general somatic efferent (GSE)神経核である。内臓性運動性神経核はさらに一般内臓性遠心性special visceral efferent (SVE)に分けられる。一般内臓性遠心性神経核としては髄脳にある迷走神経背側核と舌咽神経の下唾液核、および後脳にある顔面神経の上唾液核がある。これらの神経核に由来する線維は自律神経に属し、平滑筋、心筋、腺を支配する。特殊内臓性遠心性神経核は脊髄にはみられなかった核で菱脳で初めて出現する核である。これに属する神経核としては髄脳にある疑核および後脳にある顔面神経核と三叉神経運動核がある。)

Floor plate; Ventral plate(底板;腹側板)Lamina ventralis ていばん;ふくそくばん

[A14_1_00_022_8] →(蓋板と底板には神経芽細胞はなく、将来、正中線を横切る神経線維の通路となる。)

Meninges(髄膜;脳の被膜)Meninges ずいまく;のうのひまく Feneis: 266 11

[A14_1_01_001] →(脳と脊髄をおおう膜。外側から最も強靱な硬膜、脳脊髄液で満たされるクモ膜、および脳の表面に密着する薄い軟膜よりなる。これらの3枚の膜は、さらに部位別に脳硬膜と脊髄硬膜、脳クモ膜と脊髄クモ膜および脳軟膜と脊髄軟膜とに分けられる。)

Pachymeninx; Dura mater(硬膜)Pachymeninx; Dura mater こうまく Feneis: 266 12

[A14_1_01_002] →(硬膜は頭蓋骨の内面に接した膜で、骨膜も兼ねている。血管と神経が多く分布する外側の壁側硬膜と扁平な細胞で被われている内層の脳側硬膜よりなる。これらの膜は、一定の部位で、2枚に分離して大きな硬膜静脈洞を形成する。内層の脳側硬膜は、数個隔壁を作って、頭蓋腔を各部屋に分ける。この中で一番大きい脳側硬膜の壁層は、鶏冠から起こり内後頭隆起まで正中線に沿って広がる鎌状をした膜で、これを大脳鎌という。)

Leptomeninx; Arachnoid mater and pia mater(柔膜;広義の軟膜;脳軟膜;クモ膜と軟膜)Leptomeninx; Arachnoidea mater et pia mater じゅうまく;こうぎのなんまく;くもまくとなんまく

[A14_1_01_003] →(クモ膜と軟膜との総称名。この対語として硬膜を脳硬髄膜pachymeninxとよぶことがある。クモ膜と軟膜はクモ膜下腔で隔てられているものの、クモ膜小柱で結びつけられており、神経が出入りするところや終糸のところでは両者は合体してしまう。)

Dura mater(硬膜;脳硬膜)Dura mater こうまく

[A14_1_01_101] →(硬膜は3層からなる髄膜の最外側をいう。脳を包む脳硬膜と脊髄を含む脊髄硬膜とを区別する。もともと硬膜は内外の2葉からなる。脊髄硬膜ではその概要は脊髄管腔を裏打ちしているところから骨膜とととよばれその内葉のみが脊髄硬膜とよばれる。この2葉がつくる腔所が硬膜上腔で、静脈叢と脂肪組織によってみたされている。一方、脳硬膜ではほとんどの部分で内外の2葉は癒着する。ただし上矢状静脈洞、横静脈洞、S状静脈洞、後頭静脈洞などは内外2葉の脳硬膜によって構成される管状の腔所であり、下矢状静脈洞、直静脈洞は内葉のみで構成される。さらに、脳硬膜の内葉は大脳縦裂、大脳横裂、小脳谷に膜状に入り込んで大脳鎌、小脳テント、小脳鎌をつくる。)

Cranial dura mater; Pachymeninx; Dura mater(脳硬膜;硬膜)Dura mater cranialis; Dura mater encephali; Pachymeninx; Dura mater のうこうまく;こうまく Feneis: 266 12

[A14_1_01_102] →(脳硬膜は脊髄硬膜と異なり1枚の膜をなし、脳の被膜であると同時に頭蓋骨内面の骨膜である。これは小児では骨と密着しているが、成人では頭蓋底、頭蓋縫合以外は骨から離れている。脳硬膜は内外の2層からなり、両層は通常癒着しているが、硬膜静脈洞のある所や三叉神経節のある所などでは2層が離れている。脳硬膜の外面は頭蓋骨との間を結合する突起のために粗で、両者の間には不完全に内皮細胞でおおわれたリンパ腔隙があり、これは硬膜上腔と呼ばれる。脳硬膜の内面は平滑で、これとクモ膜との間には連続して内皮細胞で覆われた狭い硬膜下腔がある。脳硬膜は内方に向かって強靱な突起を出して、脳を固定するのを助けている。これには大脳鎌、小脳鎌、小脳テントがある。)

Falx cerebri; Cerebral falx(大脳鎌)Falx cerebri だいのうがま Feneis: 266 13

[A14_1_01_103] →(大脳鎌は大脳縦裂の中に入り、下方に刃の部を向けた鎌状をなし、前方は鶏冠にはじまり、上縁は前頭稜および上矢状洞溝に沿って後走し、内後頭隆起に付く。上縁はその中に上矢状静脈洞を含む。下縁は自由縁で、大脳縦裂の中で脳梁のやや上方を走り、その中に狭い下矢状静脈洞を含む。大脳鎌の後下縁は小脳テントの上面と癒着し、その癒着縁は直静脈洞を含む。)

Tentorium cerebelli; Cerebellar tentorium(小脳テント;小脳天幕)Tentorium cerebelli しょうのうてんと Feneis: 266 14

[A14_1_01_104] →(小脳テントは後頭骨の内後頭隆起とその左右にのびる横洞溝からおこる脳硬膜は小脳上面に広がって中脳を扼し、前方は蝶形骨の前床突起に付着し、側方には側頭骨の錐体上縁に付着する。小脳の上面をおおうところから小脳テントの名がある。つまり、頭蓋腔は小脳テントにより大脳を入れる上ならびに中頭蓋窩と、小脳、橋、延髄を入れる下頭蓋窩に二分される。そして同時に小脳テントは大脳と橋、延髄を結合する中脳が通れるだけの間隙をつくっているわけで、中脳を扼している小脳テントの部分をテント切痕とよぶ。)

Tentorial notch; Incisura of tentorium(テント切痕;天幕切痕)Incisura tentorii てんとせっこん Feneis: 266 15

[A14_1_01_105] →(テント切痕は天幕切痕とも呼ばれる。小脳テントの内側は遊離縁となり、テント切痕を形成する。この硬膜は反転して、左右の大脳半球のために頭蓋腔を左右2つの部屋に分け、後部は小脳と下位の脳幹が入る一つの部屋をつくる。テント切痕はこれらの部屋の唯一の開口部であり、脳幹がこのテント切痕を通る。)

Falx cerebelli; Cerebellar falx(小脳鎌)Falx cerebelli しょうのうがま Feneis: 266 16

[A14_1_01_106] →(小脳鎌は左右の小脳半球の間へ介入するもので、大脳鎌に比してはるかに小さい。その前縁は自由縁であるが、後縁は内後頭隆起から内後頭稜をへて大後頭孔の後縁部で終わり、後頭静脈洞を含む。)

Diaphragma sellae; Sellar diaphragm(鞍隔膜)Diaphragma sellae あんかくまく Feneis: 266 17

[A14_1_01_107] →(トルコ鞍では下垂体は海綿静脈洞に囲まれている。ここでは脳硬膜の外葉は骨膜として頭蓋骨面側面をおおうが、内葉はトルコ鞍外側縁で立ち上がって海綿静脈洞を覆って漏斗板に達し、反転して下垂体を包む。下垂体柄を扼している脳硬膜内葉の部分を鞍隔膜とよぶ。この隔膜があるために脳出しで下垂体が脳をともに取り出せない。(解剖学辞典:金光晟))

(鞍隔膜孔;隔膜孔)Foramen diaphragmatis [sellae] あんかくまくこう;かくまくこう [A14_1_01_107a]

Trigeminal cave; Trigeminal cavity(三叉神経腔)Cavum trigeminale; Cisterna nervi trigemini さんさしんけいくうMeckel's cave Feneis: 266 18

[A14_1_01_108] →(蜥形類では三叉神経節は頭蓋の外にあるが哺乳類では蝶形骨大翼が発達してこの神経節を2次的頭蓋腔に取り入れたと説明される。脳硬膜は側頭骨の錐体上角で三叉神経根を一端扼して反転し、三叉神経節までを袋状につつんでいる。三叉神経根と三叉神経節とをいれるこの脳硬膜の腔所を三叉神経腔または起債者にちなんでMeckel腔とよぶ。J.F. Meckel(1781-1833)はドイツの比較解剖学者。脳硬膜が三叉神経根を扼す部分を脳神経の1次出口とよび、Meckel腔はもともと頭蓋腔の外であることから、三叉神経節とこれを包む脳硬膜のある空間を比較解剖では翼上腔とよぶことがある。)

Subdural space(硬膜下腔;硬膜下隙)Spatium subdurale こうまくかくう Feneis: 266 19

[A14_1_01_109] →(硬膜とクモ膜の間の脳脊髄液の満ちた狭い腔所と考えられていたが、現在では外傷などの病的過程で出現するものと見なされている。健康な状態ではクモ膜は脳脊髄液減圧のため硬膜と軽く接触しており、硬膜下腔は自然の状態では出現しない。)

Extradural space; Epidural space(硬膜上腔;硬膜外腔)Spatium epidurale; Spatium extradurale こうまくじょうくう;こうまくがいくう

[A14_1_01_110] →(硬膜外腔は脊柱管壁と脊髄硬膜の間の腔。)

Spinal dura mater(脊髄硬膜)Dura mater spinalis せきずいこうまく Feneis: 266 20

[A14_1_01_111] →(脊髄硬膜は内外の2枚の膜からなる。外板はやや薄く、脊柱管をおおう骨膜となる。内板は厚く、狭義の脊髄硬膜に相当し、脊髄を包む長い円筒形の嚢を作る。これは上方は大後頭孔縁に付き、下方は脊髄円錐を越えてさらに馬尾を包みつつ下り、第2~3仙椎の高さで急に尖って終わる。なおその続きは終糸の下半分と癒着して細い索となり、尾骨に付く(脊髄硬膜糸)。椎間孔では硬膜は骨と癒着している。内板と外板の間は脂肪に富んだ結合組織、静脈叢などで満たされ、これを硬膜上腔という。内板とクモ膜との間にも内皮細胞で覆われた狭いリンパ腔隙があり、これは硬膜下腔と呼ばれる。)

Dural terminal filament(脊髄硬膜糸)Filum durae matris spinalis せきずいこうまくし

[A14_1_01_111_1]→ 最外層の強靱な線維性被膜で、外板と内板との2葉からなる。 外板は脊柱管の内面を被う骨膜で、内板が真の硬膜である。外板と内板との間にある間隙は硬膜上腔といわれ、脂肪組織で満たされ、ここに静脈叢(内椎骨静脈叢)がある。 内板、すなわち硬膜は全体として長い円筒状の嚢のように脊髄を包む。脊髄神経が脊柱管を去るところでは、神経を鞘状に包み、その神経上膜に連なる。硬膜は、上方では大後頭孔を経て脳の硬膜に連なり、下方では第2仙椎下縁の高さで終わる。硬膜は下端から下方では細い索状の脊髄硬膜糸となり、尾骨に付いている。(解剖学講義)

Epidural space(硬膜上腔;硬膜外腔)Spatium epidurale; Spatium peridurale; Cavum extradurale こうまくじょうくう;こうまくがいくう Feneis: 266 22

[A14_1_01_112] →(脊髄硬膜の内側と外側の両表面は、1層の扁平な細胞がおおっている。この厚い脊髄硬膜と骨膜との間には硬膜上腔がある。)

Arachnoid mater; Arachnoidea; Arachnoid membrane(クモ膜)Arachnoidea mater くもまく

[A14_1_01_201] →(クモ膜は硬膜直下にある薄い結合組織性の膜で、血管がなく、外表面は内皮様の神経中皮によっておおわれている。また、膜の内表面に不完全な内表の細胞が存在する。脳クモ膜は脳軟膜とは異なり大脳溝や小脳溝内に入り込むことはない。クモ膜が大脳縦裂や大脳横裂のの中に進入するのはその外側の硬膜(大脳鎌や小脳テント)によって押し込まれたものである。クモ膜の内面からは線維性結合組織性の小柱が出て軟膜につく。これらの小柱によって結ばれているクモ膜と軟膜の間の腔をクモ膜下腔という。この腔所は脳脊髄液によって満たされて脳と脊髄を液体のクッションで支えるとともに、この中を脳脊髄を養う動静脈が走っている。 脳表から脳実質内に出入りする動静脈は、毛細血管になるまでは、その周囲にクモ膜下腔を伴っており、脳脊髄液に包まれている。この腔所をWirchow-Robin腔という。この腔の内壁を作る血管外膜と、外壁にあたる軟膜は毛細血管になる前で癒合し、終末輪を作って血管周囲腔(Wirchow-Robin腔)を閉ざす、表層からこの癒合部までをその形態にちなんで軟膜漏斗という。クモ膜と軟膜との間にはクモ膜下柱梁とよばれる柱状の結合組織がクモの巣状に張っている。クモ膜は脳表面の陥凹部をとび越えて張るためにクモ膜下腔のとくに広い場所が生じる。これをクモ膜下槽とよび、大脳外側窩槽、小脳延髄層、脚間槽などがよく知られている。)

Subarachnoid space; Leptomeningeal space(クモ膜下腔;軟膜腔;軟膜間隙)Spatium subarachnoideum; Spatium leptomeningeum; Spatium leptomeningicum くもまくかくう;なんまくくう;なんまくかんげき Feneis: 266 24

[A14_1_01_202] →(クモ膜下腔はクモ膜と軟膜の間の空間で、繊細な線維性の柱が縦走し脳脊髄液で満たされている。軟膜は脳および脊髄の表面に直接付着するため、脳表面が深く陥凹する所(大脳皮質の深溝など)ではこの空間は非常に広がる。部位によってその広さが異なり、特に広くなっている部分をクモ膜下層という。その主なものは、延髄背側面と小脳下面の間にある小脳延髄層、大脳外側窩にある大脳外側窩槽、視交叉の周囲にある交叉槽、両側の大脳脚の間にある脚間槽、大脳横裂中で大大脳静脈槽に続く迂回槽、橋の腹側にある橋槽などがある。これらのうち、小脳延髄層は最も大きく、大槽ともいわれ、ここへ第四脳室正中口および外側口が開く。脳脊髄液採取のため大後頭孔の下からこの槽が穿刺される(後頭下穿刺)。クモ膜下腔には脳に出入りする血管・神経が走る。)

Cerebrospinal fluid (CSF)(脳脊髄液)Liquor cerebrospinalis のうせきずいえき Feneis: 266 25

[A14_1_01_203] →( 脳脊髄液は主として側脳室・第三脳室・第四脳室の脈絡叢で産生さえる無色透明なリンパ様の水溶液で、側脳室から室間孔を経て第三脳室に流入し、さらに中脳水道を経て第四脳室に入る。液は第四王室の上壁にある第四脳室正中口および外側溝を経て、脳室からクモ膜下腔に出て、脳・脊髄を囲むクモ膜下腔を満たす(図9-100)。ついで、脳脊髄液はクモ膜下腔を循環した後、上肢状静脈洞内に突出するクモ膜絨毛・クモ膜顆粒(p.744)から血液内に吸収される。一部は直接にクモ膜下腔の静脈や脳・脊髄神経の周囲のリンパ隙にも吸収されるといわれる。 脳脊髄液は全量約130mlで、そのうち脳室内に含まれるのは約20mlであるから、大部分はクモ膜下腔にある。脳脊髄液は脳・脊髄を侵し、衝撃など外力に対する緩衝媒体として脳・脊髄を保護し、頭蓋内圧の調節にあずかり、また、その代謝にも関係があるといわれる。 脳の重量は約1,500gであるが、頭蓋腔内では脳脊髄液に浸されているので、浮力を考慮すると、約50gに相当するといわれる。 ★脳脊髄液の産生過剰、吸収障害、循環経路の狭窄・閉塞などがあると、液の異常な増加が起こり、頭蓋内圧が高まる。とくに側脳室に大量の脳脊髄液が貯留すると、脳室の異常な拡張が起こる(水頭症hydrocephalus)。(解剖学講義) 脳脊髄液は脈絡叢より分泌され蛋白成分は少ない脳室系とクモ膜下腔とをみたす液。細胞数2~6/mm3で1日に約500ml産生され、脳室内部を満たしたあと、第四脳室下端にある正中口と外側口からクモ膜下腔に流れる。全髄液量は約130mlであることから、毎日数回交換されていることになる。脳脊髄液の比重は1.005、pH7.35~7.4でタンパク(10~40mg/dl)、免疫グロブリン、糖(血糖値の1/2~1/3)、クロールなどを含む。)

Cranial arachnoid mater(脳クモ膜)Arachnoidea mater cranialis; Arachnoidea mater encephali のうくもまく Feneis: 266 23

[A14_1_01_204] →(脳クモ膜は脊髄クモ膜の続きで、脳硬膜との間には硬膜下腔があり、脳軟膜とはクモ膜下腔によって分かたれる。クモ膜から多数の細い結合組織線維の小梁が出て軟膜と結合するので、クモ膜下腔は網状をなし、中に脳脊髄液を満たす。軟膜は脳の表面をくまなくおおっているが、クモ膜は大脳縦裂以外のすべての脳溝を超過しているので、脳回の凸面では両膜は密に結合している。)

Arachnoid villus(クモ膜絨毛)Villus arachnoideus [A14_1_01_204a]→

Arachnoid granulations(クモ膜顆粒)Granulationes arachnoideae くもまくかりゅう Feneis: 266 31

[A14_1_01_205] →(クモ膜顆粒は記載者にちなんでパキオニ小体(顆粒)ともよばれる。脳の静脈洞付近、ことに上矢状静脈洞付近のクモ膜外面はさまざまの大きさの顆粒状突起を出し、その先端を静脈洞に入れ、あるいは脳硬膜を圧して隆起して頭蓋骨内面にクモ膜顆粒小窩を残す。脳クモ膜において特異なものは主として上矢状静脈洞の付近にクモ膜のきのこ状の突起が見られることである。この突起はクモ膜顆粒と呼ばれる。これは硬膜を圧してそれを隆起させ、一部分は上矢状静脈洞の中に入り込んでおり、また一部は上矢状洞溝の付近の骨の内部に入り込み、そこにクモ膜顆粒小窩を作っている。クモ膜顆粒はクモ膜下腔の脳脊髄液を外方、ことに硬膜静脈洞に排出するものであると考えられている。顕微鏡的にクモ膜外面は一般に小突起をもつ。これをクモ膜絨毛(Villi archnoideales)とよび、仙尾髄領域に特に多い。イタリアの解剖学者Antonio Pacchioni (1665-1726)によって、1705年に記載された。彼はこの小体を硬膜の腺と考えたという。)

Arachnoid trabeculae(クモ膜小柱)Trabeculae arachnoideae くもまくしょうちゅう

[A14_1_01_206] →(クモ膜小柱は硬膜に付着するクモ膜と脳に固着する軟膜との間のクモ膜下腔を横切って走る線維芽細胞とコラーゲンからなる繊細な矢状構造。)

Subarachnoid cisterns(クモ膜下槽;軟膜槽)Cisternae subarachnoideae; Cisternae leptomeningicae くもまくかそう;なんまくそう Feneis: 266 26

[A14_1_01_207] →(クモ膜下腔は特定の部位でとくに広くなっている。このようなところをクモ膜下層という。たとえば、小脳の下面と延髄の背側面との間には小脳延髄層がある。)

Posterior cerebellomedullary cistern; Cisterna magna; Great cistern(後小脳延髄槽;小脳延髄槽;大槽)Cisterna cerebellomedullaris posterior; Cisterna cerebellomedullaris; Cisterna magna こうしょうのうえんずいそう;しょうのうえんずいそう;だいそう Feneis: 266 27

[A14_1_01_208] →(後小脳延髄槽は小脳の延髄背面との間にある最大のクモ膜下槽で大槽とも呼ぶ。ここには第四脳室正中口ならびに外側口が開いて、脳室系とクモ膜下層の脳脊髄液の接点となっているため、脳室の脳脊髄液を得たいときにはこの槽に穿刺(後頭下穿刺)を行う。)

Lateral cerebellomedullary cistern(外側小脳延髄槽)Cisterna cerebellomedullaris lateralis; Cisternae pontis laterales がいそくしょうのうえんずいそう

[A14_1_01_209] →(小脳延髄槽は小脳と延髄との間にある最大のクモ膜下腔で、小脳と延髄背面との間にある後小脳延髄槽(大槽)と小脳と延髄外側面との間にある外側小脳延髄槽に分けている。)

Cistern of lateral cerebral fossa(大脳外側窩槽;大脳外側谷槽)Cisterna fossae lateralis cerebri だいのうがいそくかそう;だいのうがいそくこくそう Feneis: 266 28

[A14_1_01_210] →(大脳外側窩槽はクモ膜がSylvius溝開口部にまたがって張っているため、クモ膜下腔が拡大されてできる槽。)

Chiasmatic cistern(交叉槽;視交叉槽)Cisterna chiasmatica こうさそう;しこうさそう Feneis: 266 29

[A14_1_01_211] →(交叉槽は視交叉の下方および前方にクモ膜下腔が拡張したもの。)

Interpeduncular cistern(脚間槽)Cisterna interpeduncularis きゃくかんそう Feneis: 266 30

[A14_1_01_212] →(脚間槽は橋底の吻側で乳頭体の腹尾側にあるクモ膜下腔の拡張部で、クモ膜が両側頭葉間に張って間脳底をおおう形になり、クモ膜と間脳底の間に槽を形成する。この中に動眼神経がある。)

Cisterna ambiens; Ambient cistern(迂回槽)Cisterna ambiens うかいそう

[A14_1_01_213] →(中脳の上部で、背側から外側にかけて取り巻いている大大脳静脈槽を、臨床では迂回槽とよんでおり、重要なクモ膜下層である。その理由は、このクモ膜下層のなかに、大大脳静脈、後大脳動脈、上小脳動脈などが存在するからである。)

Pericallosal cistern; Cistern of corpus callosum(脳梁周囲槽;脳梁周槽;脳梁槽)Cisterna pericallosa; Cisterna corporis callosi のうりょうしゅういそう;のうりょうしゅうそう

[A14_1_01_214] →(脳梁周囲槽は脳梁の全長にわたって周囲にある腔所で、脳梁周囲動脈や前大脳動脈の分枝を入れる。)

Pontocerebellar cistern(橋小脳槽;橋槽;橋前槽)Cisterna pontocerebellaris; Cisterna pontis きょうしょうのうそう;きょうそう;きょうぜんそうHilton, Waterbed of

[A14_1_01_215] →(橋小脳槽は橋が小脳と連絡するところの両側にある腔所で、上下に分けることもできる。橋槽(Pontine cistern)、橋前槽(Prepontine cistern)ともよばれる。)

Cistern of lamina terminalis(終板槽)Cisterna laminae terminalis しゅうばんそう

[A14_1_01_216] →(終板槽は大脳終板の前端にある腔所。)

Quadrigeminal cistern; Cistern of great cerebral vein(四丘体槽;大大脳静脈槽)Cisterna quadrigeminalis; Cisterna venae magnae cerebri しきゅうたいそう;だいだいのうじょうみゃくそう

[A14_1_01_217] →(大大脳静脈槽ともよばれる。四丘体槽は脳梁と視床の間で中脳被蓋のすぐ後方に位置するやや広がって伸び出たクモ膜下腔で、背側から外側にかけて取り巻いている大大脳静脈槽を、臨床では迂回槽cisterna ambiensと呼んでおり、重要なクモ膜下層である。その理由は、このクモ膜下層の中に、大大脳動脈(great vein of Galen)、後大脳動脈、上小脳動脈などが存在するからである。これらのクモ膜下層のほとんどは、核磁気共鳴画像撮影法(MRI)やCTによる画像で見ることができる。)

Spinal arachnoid mater; Arachnoid of spinal cord(脊髄クモ膜)Arachnoidea mater spinalis; Arachnoidea spinalis せきずいくもまく Feneis: 268 01

[A14_1_01_218] →(脊髄クモ膜は脊髄と硬膜と軟膜の間にある血管を含まない薄膜で、内皮細胞でおおわれた多数の細い結合組織線維の小梁によって軟膜と結合されている。特に頚部から胸部にかけてこれらの小梁が背側正中部で多く、強くなり、上下に続いた中隔を作る。これを中間頚部中隔という。クモ膜と軟膜との間には比較的広いクモ膜下腔があり、ここには脳脊髄液がある。脳クモ膜にみられるような槽を作らない。脊髄クモ膜下腔は臨床的に腰椎穿刺に利用される。穿刺は脊髄損傷を避けるために脊髄円錐より下方(第3,4腰椎間)で行う。その際に高さの基準としてヤコビの線Jacoby's lineが選ばれる。ヤコビの線は左右の腸骨稜の最高点を結ぶ線で、およそ第4腰椎の棘突起の高さに相当する。)

Posterior subarchnoidal septum; Dorsal subarchnoidal septum; Arachnoid septume(後クモ膜下中隔;脊髄クモ膜下中隔;脊髄軟膜中隔)Septum subarchnoidale posterius; Septum arachnoidale spinale; Septum leptomeningicum spinale こうくもまくかちゅうかく;はいそくくもうまくかちゅうかく

[A14_1_01_218a]→

Lumbar cistern(腰椎槽)Cisterna lumbalis ようついそう

[A14_1_01_219] →(腰椎槽は、脊髄円錐(第一腰椎の下縁)の高さから、第二仙椎の高さぐらいまで長く伸びるている。この腰椎槽の中には、終糸や馬尾の神経根がある。脳脊髄液を分析するために取りだすのは一般にクモ膜下層からである。脳脊髄液を局所麻酔薬と置換すると脊髄麻酔が起こる。)

Pia mater(軟膜)Pia mater なんまく

[A14_1_01_301] →(軟膜は血管に富み、①内側にある膜すなわち最内軟膜inima piaと、②それより表層にある表層軟膜epipial layerとからなる。最内軟膜は、下にある脳実質の形に沿って密着して脳を包んでいる。この膜は、細い細網線維と弾性線維とでできている。血管が中枢神経系組織に出入りする部分では、最内軟膜が血管に伴って陥入して、血管と軟膜との間に血管周囲腔perivascular spaceを形成する。最内軟膜は、血管の分布がないので、脳脊髄液やすぐ下の神経組織から栄養の供給を受けている。表層軟膜は、膠原線維束の網工で形成され、これはクモ膜小柱に移行する。脊髄の血管は、表層軟膜の中に存在するが、他方、脳の血管はクモ膜小柱によって固定された最内軟膜の表層を走る。大脳皮質の脳回には表層軟膜を欠いている。)

Cranial pia mater; Leptomeninx(脳軟膜)Pia mater cranialis; Pia mater encephali のうなんまく Feneis: 268 04

[A14_1_01_302] →(脳軟膜は脳の表面をくまなくおおう薄膜で、脊髄におけるよりも密に脳に付いている。軟膜は脳室壁が上衣層のみからなる部位(上衣板)の外表面をおおい、脈絡組織を作り、上衣板と癒着している。脈絡組織から脳室内に血管に富む脈絡叢が出ており、その脳室面はやはり上皮板によっておおわれる。この部分における上衣板の上衣細胞は立方系で、単層を無し、脳脊髄液を分泌すると考えられている。脈絡組織には第四脳室脈絡組織と第三脳室脈絡組織がある。)

Tela choroidea of fourth ventricle(第四脳室脈絡組織)Tela choroidea ventriculi quarti だい4のうしつみゃくらくそしき Feneis: 268 05

[A14_1_01_303] →(第四脳室脈絡組織は小脳と延髄の間から入り、第四脳室蓋の後部を作る。全体としては底辺を上方に、頂点を下方に向けた三角形を呈し、底辺は下髄帆および小節に付着し、外側片は左右の第四脳室ヒモに付き、頂点は閂に相当する。底辺の両端および閂にはそれぞれ1対の第四脳室外層口および1つの第四脳室正中口がある。第四脳室脈絡組織はその内面から第四脳室に向かって第四脳室脈絡叢を出している。これは第四脳室正中口にはじまり、正中線に沿って上方に左右1本ずつ走り、小節の付近で左右のものが分かれ、それぞれ外側方に向かい第四脳室外側口に達し、その一部は外側口から出ている。)

_63;

Choroid plexus of fourth ventricle(第四脳室脈絡叢)Plexus choroideus ventriculi quarti だい4のうしつみゃくらくそう Feneis: 268 06

[A14_1_01_304] →(第四脳室脈絡叢は第四脳室蓋下部から両側に突出する軟膜の血管のとびだし、またはふさで、ここからも脳脊髄液が分泌される。)

Tela choroidea of third ventricle(第三脳室脈絡組織)Tela choroidea ventriculi tertii だい3のうしつみゃくらくそしき Feneis: 268 07, 294 08

[A14_1_01_305] →(第三脳室脈絡組織は脳軟膜が大脳半球の後頭葉と小脳の間を通り、さらに脳梁膨大と松果体の間(大脳横裂)から入って第三脳室の上壁を作っているもので、上葉と下葉とからなり、両者の間はクモ膜下組織にによって満たされ、1対の内大脳静脈を含む。第三脳室脈絡組織は全体として頂点を前に向けた三角形をなし、その頂点は脳弓柱、底辺は脳梁膨大、左右の外側辺は付着板の内側縁をなす脈絡ヒモによって作られる。この正中部は第三脳室の上壁を形成し、その下面は第三脳室上衣板でおおわれ、ここから下方に向かい、正中線に沿って左右1対の第三脳室脈絡叢がでる。これらは外側方は視床髄条の表面に視床ヒモをもって付着する。第三脳室脈絡組織の外側部は視床の背側面をおおい、さらに外側方に延びて脳弓(海馬采を含む)と分界条との間にある裂隙、すなわち脈絡裂を通って側脳室の中心部および下角に入り込む。脈絡裂の全長にわたってこの部から側脳室に向かい側脳室脈絡叢が出る。これは内側は脳弓ヒモに、外側は脈絡ヒモに付き、前方は室間孔を通って第三脳室脈絡叢に続き、後方は側脳室の中心部から下角に向かって延びる。中心部と下角の移行部では側脳室脈絡叢が肥厚し、これを脈絡糸球という。)

Choroid plexus of third ventricle(第三脳室脈絡叢)Plexus choroideus ventriculi tertii だい3のうしつみゃくらくそう Feneis: 268 08, 294 10

[A14_1_01_306] →(第三脳室脈絡叢は脈絡組織の下面から出る2列の血管突出で、第三脳室をおおう。)

Choroid plexus of lateral ventricle(側脳室脈絡叢)Plexus choroideus ventriculi lateralis そくのうしつみゃくらくそう Feneis: 268 09

[A14_1_01_307] →(側脳室脈絡叢は脈絡裂から左右の側脳室に突出する血管のふさ。)

Choroidal enlargement(脈絡糸球;脈絡叢拡大部)Glomus choroideum みゃくらくしきゅう;みゃくらくそうかくだいぶ Feneis: 268 10

[A14_1_01_308] →(脈絡糸球は側脳室房の脈絡叢が拡大した部分、高齢者では部位によって石灰化を起こす。)

Spinal pia mater(脊髄軟膜;脊髄柔膜)Pia mater spinalis; Pia mater spinalis せきずいなんまく;せきずいじゅうまく Feneis: 268 11

[A14_1_01_309] →(脊髄軟膜は脊髄の表面を直接おおう、血管に富む薄い膜で、前正中裂も入り込んでいる。軟膜の特別の延長部として歯状靱帯がある。これは約20対の、前根と後根の間で前頭面にある靱帯で、ほぼ三角形を呈し、その頂点は硬膜に付き、脊髄を固定するのに役立つ。)

Denticulate ligament(歯状靱帯)Ligamentum denticulatum しじょうじんたい Feneis: 268 12

[A14_1_01_310] →(脊髄では、表層軟膜の組織から成る扁平な厚い膜が外側へ向かって一列に連続してならび、脊髄と硬膜とを結んでいる。これが歯状靱帯である。各々の歯状靱帯は外側に頂点を向けた三角形を呈し、この三角形の頂点が前根と後根の中間に当たる脊髄の外側表面に付着している。この靱帯の基部は軟膜から起こり、三角形の頂点が、クモ膜と脊髄硬膜の内表面に固く付着している。歯状靱帯は、脊髄を硬膜に固定するため、脊髄全長にわたって存在する。しかし脊髄円錐の部位では、表層軟膜が終糸の周囲を包むように覆っている。)

Intermediate cervical septum; Posterior intermediate septum(中間頚部中隔;中頚部中隔;後中間中隔)Septum cervicale intermedium ちゅうかんけいぶちゅうかく;ちゅうけいぶちゅうかく;こうちゅうかんちゅうかく Feneis: 268 13

[A14_1_01_311] →(中間頚部中隔は神経膠線維と粘膜性結合組織からなる薄い中隔。頚髄で、薄束と後索の楔状束の境界を形成している。)

Filum terminale; Terminal filum(終糸)Filum terminale しゅうし Feneis: 268 14, 268 20

[A14_1_01_401] →(終糸は長く細い結合組織性の軟膜線維束で脊髄円錐下端から脊髄硬膜鞘の内面まで伸びている(終糸の軟膜部、内終糸)。脊髄硬膜鞘から尾骨まで伸びている頑丈な線維束(終糸の硬膜部、外終糸、尾骨靱帯)。脊髄の下端部は下方に向かった円錐を作り、脊髄円錐と呼ばれ、その先端からさらに16cm位の細いひもが下り、尾骨の後面につく。これを終糸といい、元来の脊髄の延長部であるが、大部分軟膜から成り、上端部は痕跡的な脊髄を含む。)

Dural part of filum terminale; Coccygeal ligament; Filum terminale externum(終糸硬膜部;尾骨靱帯;外終糸)Pars duralis fili terminalis しゅうしこうまくぶ;びこつじんたい;がいしゅうし Feneis: 266 21

[A14_1_01_402] →(脊髄硬膜は、大(後頭)孔の下縁から始まり第二仙椎の高さまで続く閉鎖された管である。硬膜の尾側縁は、終糸のまわりを囲む細い線維性の紐状物となり、尾骨靱帯を形成する。この靱帯は、尾側に伸びて尾骨と尾骨の骨膜に移行する。脊髄の下端は、第一腰椎の下縁の高さで終わる。硬膜は、脊髄神経根を包んで外側に走り、神経根を取り囲む神経周膜に移行する。)

Pial part of filum terminale; Pial filament; Filum terminale internum(終糸軟膜部;軟膜終糸;内終糸)Pars pialis fili terminalis しゅうしなんまくぶ;なんまくしゅうし;ないしゅうし Feneis: 268 14

[A14_1_01_403] →(終糸軟膜部は脊髄および軟膜の線維状終末。脊髄硬膜枝に包まれる。)

Spinal cord(脊髄)Medulla spinalis せきずい Feneis: 268 16

[A14_1_02_001] →(脊髄は頚部(頚髄)、胸部(胸髄)、腰部(腰髄)、仙骨部または脊髄円錐(仙髄と尾髄)とからなり、それぞれ髄節に分かれ、それに対応して31対の脊髄神経が出る。頚髄では8対の頚神経、胸髄では12対の胸神経、腰仙髄では各々5対の腰神経と仙骨神経とが出る。尾髄からは通常1対の尾骨神経が出る。上肢および下肢支配の神経の出る頚髄下部と腰髄下部は発達が著しく、太くなっており、それぞれ頸膨大、腰部大とよばれる。脊髄下端は細くなり脊髄円錐となっておわる。その高さは成人では第1ないし第2腰椎の高さに相当する。新生児、幼児では低く第3腰椎の高さでおわっている。脊髄円錐の先はさらに細く糸状の終糸となって尾骨の背面に付着している。終糸に沿って走る脊髄神経の束はその形状から馬尾とよばれている。脊髄外側面でその腹側と背側の正中には(前)正中裂および(後)正中溝とよばれる溝があり、脊髄を左右の半分に分けている。前者は後者より深く、そこには前脊髄動脈が走っている。左右の脊髄半の外側面には腹側の前外側溝と背側の後外側溝の二つの溝がある。頚髄の高さの背側面は中心部の灰白質とその周辺の白質から成る。灰白質はそれぞれ前角(柱)、中間質(帯)、後角(柱)がある。灰白質の中央を貫いて中心管が通る。上方は第四脳室に開き、下方は脊髄炎水の所では拡大して終室となる。白質は前外側溝と後外側行と②より腹側の前索と外側の側索および背側の後索の3部分に分けられる。頚髄の高さで後索は後中間溝により内・外の薄束と楔状束とに分けられる。)

External features(表面の形状(脊髄の))Morphologia externa ひょうめんのけいじょう(せきずいの) [A14_1_02_001_1]

Cervical enlargement(頚膨大)Intumescentia cervicalis けいぼうだい Feneis: 268 17

[A14_1_02_002] →(頚膨大は第4頚髄と第一胸髄からできていて、腕神経叢を形成する神経根がおこる。)

Lumbosacral enlargement(腰仙膨大;腰膨大)Intumescentia lumbosacralis ようせんぼうだい;ようぼうだい Feneis: 268 18

[A14_1_02_003] →(腰膨大からは腰神経叢(第一腰神経から第四腰神経まで)と仙骨神経叢(第四腰神経から第二仙骨神経まで)を形成する線維が起こる。)

Conus medullaris; Medullary cone(脊髄円錐)Conus medullaris せきずいえんすい Feneis: 268 19

[A14_1_02_004] →(脊髄円錐は第一または第二腰椎の高さで、先が尖って終わる脊髄の端、終糸へと移行する。)

Spinal part of filum terminale; Filum terminale spinal part(脊髄終糸;終糸脊髄部;終糸の脊髄部)Pars spinalis fili terminalis; Filum pars spinalis せきずいしゅうし;しゅうしせきずいぶ;しゅうしのせきずいぶ Feneis: 268 20

[A14_1_02_005] →(終糸の脊髄部は終糸のうち脊髄円錐をでたばかりのところで、なお中心管を残している部分。)

Terminal ventricle(終室)Ventriculus terminalis しゅうしつ Feneis: 268 21

[A14_1_02_006] →(終室は脊髄円錐の下端における中心管のふくらみ。中心管は部位により、人によって種々の大きさ、形を呈する。)

Anterior median fissure of spinal cord; Ventral median fissure of spinal cord(前正中裂;腹側正中裂(脊髄の))Fissura mediana anterior medullae spinalis ぜんせいちゅうれつ;ふくそくせいちゅうれつ(せきずいの) Feneis: 268 22

[A14_1_02_007] →(脊髄には、前面と後面とに正中を縦走する溝がみられる。前面の溝は深く前正中裂と呼ばれる。)

Posterior median sulcus of spinal cord; Dorsal median sulcus of spinal cord(後正中溝;背側正中溝(脊髄の))Sulcus medianus posterior medullae spinalis こうせいちゅうこう;はいそくせいちゅうこう(せきずいの) Feneis: 268 23

[A14_1_02_008] →(左右の後索の間にある浅い縦溝。(Feneis))

Posterior median septum of spinal cord; Dorsal median septum of spinal cord(後正中中隔;背側正中中隔(脊髄の))Septum medianum posterius medullae spinalis こうせいちゅうちゅうかく;はいそくせいちゅうちゅうかく(せきずいの) Feneis: 268 24

[A14_1_02_009] →(後正中溝上におけるクモ膜下結合組織の肥厚。頚髄部には少なく、胸髄部に目立つ。(Feneis))

Anterolateral sulcus of spinal cord; Ventrolateral sulcus of spinal cord(前外側溝;腹外側溝(脊髄の))Sulcus anterolateralis medullae spinalis ぜんがいそくこう;ふくがいそくこう(せきずいの) Feneis: 268 25

[A14_1_02_010] →(脊髄の前外側溝は脊髄の腹側の脊髄神経前根の出口に見られることのある浅い溝。(Feneis))

Posterolateral sulcus of spinal cord; Dorsolateral sulcus of spinal cord(後外側溝;背外側溝(脊髄の))Sulcus posterolateralis medullae spinalis こうがいそくこう;はいがいそくこう(せきずいの) Feneis: 268 26

[A14_1_02_011] →(脊髄の後外側溝は後正中溝の両側にある縦溝。つまり後索と側索を分けている。脊髄神経後根の出口。)

Posterior intermediate sulcus of spinal cord; Dorsal intermediate sulcus of spinal cord(後中間溝;背側中間溝(脊髄の))Sulcus intermedius posterior medullae spinalis こうちゅうかんこう;はいそくちゅうかんこう(せきずいの) Feneis: 268 27

[A14_1_02_012] →(脊髄の後中間溝は正中溝の両側にある縦溝。薄束と楔状束との境界を外面から示す。)

Funiculi of spinal cord(脊髄索)Funiculi medullae spinalis せきずいさく Feneis: 270 01

[A14_1_02_013] →(脊髄の白質は主として縦走する有髄線維から成なり、灰白質の外方に脊髄索、すなわち前索、後索および側索を作る。後索は下等動物では発育が悪いが、高等動物、おとにヒトではよく発達し、左右の後索は後正中溝およびそれに続いて正中面にある薄い隔板(後正中中隔)によって分離される。脊髄の白質には脊髄と脳を結ぶ投射神経路と脊髄の各部を結ぶ連合神経路がある。前者には上行性(知覚性)のものと下行性(運動性)のものがある。)

Segments of spinal cord(脊髄節)Segmenta medullae spinalis せきずいせつ Feneis: 270 05

[A14_1_02_013_1] →(脊髄を脊髄神経に対応して便宜的に頚部、胸部、腰部、仙部、尾部に区分し、さらに頚部を第1頚髄(C1)から第8頚髄(C8)、胸部を第1胸髄(T1)から第12胸髄(T12)、腰部を第1腰髄(L1)から第5腰髄(L5)、仙部を第1仙髄(S1)から第5仙髄(S5)、尾部を第1尾髄(Co1)から第3尾髄(Co3)というように表している。脊髄は脊柱より短いので、各脊髄節は対応する脊柱の各部と同じ高さにない。たとえば、仙部はほぼ第1腰椎の高さにある。)

Cervical part of spinal cord; Cervical segments; Segmentation of spinal cord [1-8]; Cervical spinal cord(頚髄;頚髄節;頚部[第一-第八頚髄節](脊髄の))Pars cervicalis medullae spinalis; Segmenta cervicalia [1-8] けいずい;けいずいせつ;けいぶ[だい1けいずい-だい8けいずい](せきずいの) Feneis: 270 06

[A14_1_02_014] →( 頚髄は比較的大きく、白質も多量で、全景が卵形をしているなどが特徴である。横径は、ほとんど全部の頚髄レベルで前後径大きい。左右の後索は、明瞭な後中間中隔によって、内側にある薄束と外側にある楔状束とに分けられる。下位頚髄(第五頚髄以下)では、後角は拡大し、よく発達した前角側索へと広がる。後角頚の知覚には、網様体という鋸歯状の細胞野があり、これは全頚髄を通じて存在する。上位頚髄(第一頚髄と第二頚髄)では、後角は拡大しているが、前角は比較的小さい。)

Thoracic part of spinal cord; Thoracic segments [1-12]; Thoracic spinal cord(胸髄;胸髄節;胸部[第一-第十二胸髄節](脊髄の))Pars thoracica medullae spinalis; Segmenta thoracica [1-12] きょうずい;きょうずいせつ;きょうぶ[だい1-だい12きょうずいせつ](せきずいの) Feneis: 270 07

[A14_1_02_015] →( 胸髄はそのレベルが違うと、かなり大きさが違っている。胸髄の径が小さい理由は、なによりもまず灰白質が小さくなることによる。さらに、薄束と楔状束とは伴に上位胸髄(第一胸髄から第六胸髄)において認められるが、それ以下のレベルでは薄束をみるのみである。一般に、前角、後角は小さく、多少とも先細りになっている。ただし第一胸髄節は例外で、頚膨大の最下部を形成している。小さく突出する側角は全胸髄に存在し、中間質外側部細胞柱がある。これは遠心性のの交感神経節前線維を出す。後角基部の内側部には大型細胞の円形集団があり、これがClarkeの背核(胸髄核Nucleus thoracicus)である。この核は全胸髄節にわたり存在するが、特に第十胸髄節(T10)から第二腰髄(L2)にかけてよく発達している。)

Lumbar part of spinal cord; Lumbar segments [1-5]; Lumbar spinal cord(腰髄;腰髄節;腰部[第一-第五腰髄節])Pars lumbaris medullae spinalis; Segmenta lumbaria [1-5] ようずい;ようずいせつ;ようぶ[だい1-だい5ようずいせつ] Feneis: 270 08

[A14_1_02_016] →(腰髄では横断面がほとんど円形である。太い前角と後角があり、白質は、頚髄節よりも相対的にも、絶対的にも少ない。後索を形成構成している薄束はここより上位のレベルにおけるほど広くなく。特に灰白交連の近傍の部分でそうであるし、また著しく特徴的な形をしえちる。よく発達した前角は側索に広がる鈍い突起を持っていて、第三腰髄から第五腰髄でこの突起内にある運動性細胞は下肢の大きな筋群に分布する。上位腰髄(第一、第二腰髄)下位の胸髄節に類似しており、おおきなよく発達した胸髄核や中間質外側部の細胞群が認められる。)

Sacral part of spinal cord; Sacral segments [1-5]; Sacral spinal cord(仙髄;仙髄節;仙骨部[第一-第五仙髄節])Pars sacralis medullae spinalis; Segmenta sacralia [1-5] せんずい;せんずいせつ;せんこつぶ[だい1-だい5せんずいせつ] Feneis: 270 09

[A14_1_02_017] →(この髄節の特徴は大きさが小さく、その割に多量の灰白質があり、短くて厚い灰白交連があることである。前角と後角は大きく太いが、前角は腰髄説におけるように外側へ突出してはいない。下方に行くに従って、仙髄節は全体的な大きさ著しく縮小するが、灰白質は比較的、大きな役割で残っている。)

Coccygeal part of spinal cord; Coccygeal segments [1-3](尾髄;尾髄節[第一-第三尾髄節](脊髄の))Pars coccygea medullae spinalis; Segmenta coccygea [1-3] びずい;びずいせつ[だい1-だい3ぶずいせつ](せきずいの) Feneis: 270 10

[A14_1_02_018] →(尾髄節は下位仙髄節に似ているが、その径は著しく小さくなっている。後柱の中で神経線維はその外側方向に広がり、後角の膨れた部分に到達する傾向を示す。)

Internal features(内部の特徴(脊髄の))Morphologia interna ないぶのとくちょう(せきずいの) Feneis: 270 11

[A14_1_02_018_2] →(脊髄は、末梢気管を支配する回中枢であると同時に、上位の中枢(脳)からの指令を伝える伝導路の役割もそなえている。大まかにいえば、神経細胞を含む灰白質が中枢として働き、神経線維からなる白質が伝導路としての役割を担っている。(イラスト解剖学))

Central canal of spinal cord(中心管(脊髄の))Canalis centralis (Medullae spinalis) ちゅうしんかん(せきずいの) Feneis: 270 12

[A14_1_02_019] →(腔壁は上衣によって裏打ちされた神経管の管腔で、その脳部は残存して脳室を形成する。腔所は脳脊髄液でみがされる。脊髄の第四脳室にはじまり、脊髄全長を貫いて、脊髄円錐の尾端で終室となっておわる、きわめて細長い管腔をいう。成人脊髄では中心管は所々でつぶれていることが多い。)

Grey matter of spinal cord; Grey substance of spinal cord; Gray matter of spinal cord; Gray substance of spinal cord(灰白質(脊髄の))Substantia grisea (Medullae spinalis) かいはくしつ(せきずいの) Feneis: 270 13

[A14_1_02_020] →(脊髄において神経細胞が集団をなして存在する部分で、その横断面の形は高さによって異なるがH型をなしている。灰白質は頭尾方向に柱をなし、さらに背側部の後柱(角)と腹側部の前柱(角)とに分けられる。胸髄と腰髄上では外側部に側柱(角)が認められる。前角と後角の間の部分は中間質(帯)とよばれている。灰白質にある神経細胞の集団は細胞構築学的にRexedが行った第Ⅰ層からⅩ層までの層区分は、機能的全体像がみやすいという点で旧来の、諸柱(または諸核)を個別に命名する方法よりも利用価値が高い。Rexedの各層の番号は、後角尖からはじまって前角に向かう順序となっており、Ⅰ~Ⅹのローマ数字が用いられている。 第1層は後角の帽子に相当するような薄層である。この層のニューロンは後根から脊髄に侵入する温・痛覚線維の一部を受け、反対側の脊髄視床路の成分の一部になるような上行性線維を伸ばす。 第Ⅱ層は旧来名の膠様質に相当する。これのニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の大縫線核からの下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与する。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行なうために伸ばすだけである。 第Ⅲ層と第Ⅳ層は第Ⅱ層に似てはいるが、しかし第Ⅱ層よりも多数の、後根からの痛覚・温度覚・触覚線維を受ける。また、第Ⅲ、Ⅳ層のなかに第Ⅴ層の大型ニューロン(反対側を上行する脊髄視床路の成分となる軸索突起を伸ばすもの)の樹状突起群が侵入している。上衣の頚髄における第Ⅰ~Ⅳ層は一体化し、三叉神経脊髄路核に移行する。第Ⅴ層は後根からの求心性線維、第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層の介在ニューロン、などからの神経信号を受ける。第Ⅴ層ニューロンから伸びる軸索突起群は、反対側を上行する温・痛覚と軽微(粗大)な触覚のための伝導路、すなわち脊髄視床路の主要成分をなす。皮質脊髄路、赤核脊髄路からの多くの下行性線維も第Ⅴ層に終わる。 第Ⅵ層はおもに頚膨大と腰仙膨大に存在し、顧客筋からの固有感覚入力を受ける。 第Ⅶ層には、いくつかの大きなⅣ細胞集団が多数の介在ニューロンとともに含まれている。中間質外側核と呼ばれる細胞集団は第1胸髄から第2腰髄までの高さにおける脊髄灰白質の側角をなすものであるが、この細胞集団は交感系節前ニューロン細胞体の第Ⅶ層での集まりにほかならない。中間質内側核という名の細胞集団は脊髄の全長にわたっって第Ⅶ層に存在するものであり、臓性求心性線維群を受ける。胸髄核(クラーク背側核とも呼ばれるもの)は第1胸髄から第3胸髄までの第Ⅶ層にあり、筋紡錘や腱器官などからの固有感覚入力を受ける。胸髄核から発する軸索は同側上行性の後脊髄小脳路を形成する。また、第2~4仙髄での第Ⅶ層には、仙髄副交感核(副交感系の節前ニューロン細胞体の集まり)がある。 第Ⅷ層は筋緊張、姿勢の反射的調節にあずかる前庭脊髄路や網様体脊髄路からの下行線維を受ける。この層のニューロン細胞体から伸びる軸索は、同側および反対側の第Ⅶ層と第Ⅸ層に終わる。 第Ⅹ層では体性遠心性ニューロン(前根から脊髄をでて骨格筋に向かう軸索を有すもの)の脂肪体が内・外側集団をつくる。内側集団(別名:内側核)は体幹筋支配にあずかり、脊髄全長における第Ⅸ層で認められるのに対して、外側集団(別名:外側核)は上・下肢筋支配にあずかる関係で頚膨大と腰仙膨大における第Ⅸ層にしか認められない。アルファ運動性、ガンマ運動性の両方のニューロン細胞体が第Ⅸ層に存在している。 第Ⅹ層は脊髄中心管を囲む領域であり介在ニューロン、神経膠細胞、交叉性軸索がそこに含まれている。)

Anterior horn of spinal cord; Ventral horn of spinal cord(前角;腹側角(脊髄の))Cornu anterius medullae spinalis ぜんかく;ふくそくかく(せきずいの) Feneis: 270 18

[A14_1_02_021] →(前角は前柱の横断像で同義として扱われる。前角は後角より太く短く、頭と底に区分され、両者の間は多少細くなっている。前角細胞は多くは非常に大きく、多極性で、ところどころに群集する。これらの集団は縦方向に柱状に配列する。外側部の細胞は内側聞それよりも一般に大きく、頚膨大および腰膨大では特に大きい。前角細胞の軸索(神経突起)は前根線維となり、運動性脊髄神経線維として体幹および四肢の骨格筋に達する。欠く運動神経線維は筋内に入ると、分資してそれぞれ運動終板を形成する。前角細胞の軸索の骨格筋への分布には対局剤的局在が明らかで、一般に体幹筋を支配する細胞は前角の内側部にあるが、四肢筋を支配するものは外側部にあり、しかも四肢の末端の筋に線維を出す細胞は近位の筋に分布するものよりも外側にある。したがって四肢に強大な神経を出す頚膨大並びに腰膨大の部分では、前柱は外側方に延びて幅が広いが、これらの間の部分(胸髄)では内側部のみからなり、細い。また前角の周辺部の脂肪は心筋および外転筋へ、中央部の細胞は屈筋および内転筋へ線維を出す。前角の大細胞は横紋筋に運動線維を出すが(α運動細胞)、小さい細胞の一部は介在細胞であり、また一部は筋紡錘内の錐内筋線維を支配するものと考えられる(γ運動細胞)筋紡錘は筋緊張の調整を反射的に行う機序に関係している。なお第1~5頚髄の前柱の背外側部には副神経脊髄根を出す細胞群、すなわち副神経脊髄核がある。これは上方に行くにしたがって中心管に近づく。その根は外方に走り、前根と後根の間から脊髄を出る(副神経脊髄根)。脊髄灰白質の腹側の部分で、RexedのⅨ層、Ⅷ層およびⅦ層の腹側部がこれに属する。Ⅸ層は運動細胞群でα運動細胞とγ運動細胞とが存在する。Α運動細胞の軸索からの反回性側枝はⅦ層腹側部およびⅧ層にある抑制性のRenshaw細胞やⅨ層のα運動細胞結合する。前角には脊髄下行路や一次求心性線維(後根神経)がおわり、運動細胞と直接あるいはそこに存在する固有束細胞(介在細胞)と結合する。その他、脊髄視床路、脊髄小脳路、脊髄網様体路などの上行路の起始細胞の一部も前角に分布している。)

Lateral horn of spinal cord(側角(脊髄の))Cornu laterale medullae spinalis そくかく(せきずいの) Feneis: 272 10

[A14_1_02_022] →(側柱の横断面を側角ともよび同義的扱われる。後角と前角の間の灰白質は中間質外側部といわれ、中等大ないし小細胞から成り、その内側の部分は中間内側核に相当する。T1からL2の高さで脊髄灰白質の中間質が外側へ突出した部分をいう。これに存在する神経細胞の集団は中間外側核とよばれる。S2-S4の高さで、これに対応する部分にある細胞集団は、とくに仙髄中間外側核と呼ばれている。胸腰髄のものは交感神経節前細胞の集団で、その軸索は前根となって脊髄をでる。交感神経節前細胞はさらに内側方で中間質の背内側部に散在する。交感神経節前細胞には視床下部からの下行線維が直接結合するが、後根線維は直接結合しない。仙髄中間外側核は副交感節前細胞で、その軸索は前根を通り、骨盤内臓神経となる。この核もまた後根線維とは主として間接的に結合する。その他の求心性入力については十分研究されていない。)

Posterior horn of spinal cord; Dorsal horn of spinal cord(後角;背側角(脊髄の))Cornu posterius medullae spinalis こうかく;はいそくかく(せきずいの) Feneis: 272 02

[A14_1_02_023] →(後柱の横断面を後角とよび同義的に扱われる。後角は後根線維のおもな終止部をなし、背外側方に長く延び、その主部は頭と底に区別され、両者の間は細くなり、頚と言われる。頭の背外側に接して後角尖がある。これは腹内束にある半月形の後角膠様質と背外側成る狭い海綿体からなる。膠様質は後角内の連合に与り、これには、横断面では小さいが、縦に細内外神経細胞が密集し、そのⅣBN部ではより大きい細胞が散在する。海綿体の少数のやや大きい神経細胞(後縁細胞)を含む海綿状の層である。海綿体と脊髄の表面との間にはなお細い神経線維からなる部分がある。これを後外側束または終帯といい、元来は後索に属すべき部分で、痛覚および温度覚を伝える細い後根線維、連合線維などからなる。固有の後角の細胞は一般に小ないし中等大で、円形、紡錘形あるいは三角形である。後角の頭はごく少数の大細胞を含む。形と底の外側部は内側部よりもやや大きい散在した細胞から成り、外側方は網様体に移行する。なお底の内側部には明らかに区画された大細胞の集団があり、これを胸髄核または背核といい、これは頚髄下端部、胸髄および腰髄上部で見られるが、下部胸髄で最も著明で、後脊髄小脳路に線維を送る。脊髄灰白質の背側部のことで、後角尖、後角頭、後角頚、後角底などが区別されている。後角尖は海綿体と膠様質とからなる。脊髄灰白質は層構造をなし、RexedのⅠ層からⅥ層までが後角に属する。細胞構築学的には背腹方向に次の細胞集団が区別される。①海綿帯または縁帯(Ⅰ層)、②膠様質(Ⅱ層)、③後角固有核(Ⅲ層、Ⅳ層)④脊髄網様体核(Ⅴ層外側部)。Ⅰ層の細胞は後縁細胞とよばれる外側脊髄視床路の起始細胞で、Ⅳ層~Ⅵ層の細胞は前世奇瑞視床路その他の上行路を出す。後下君求心線維としてはⅠ層~Ⅲ層には主に後根がおわり、Ⅳ層~Ⅵ層には後根線維および脊髄下行路が終止する。その他後角の細胞は細胞間で複雑な相互作用を行うと同時に後根を含む他の経路と運動細胞間の介在細胞として役立っている。膠様質の細胞はC線維を受け、後縁細胞や他の後角の細胞と結合する。後縁細胞は温度受容器、機械的受容器からのC線維やや、Aδ線維を受ける。なお頚髄の高さの後角基部の外側部(Ⅴ層、Ⅵ層外側部)は延髄網様体のつづきとみなされ[脊髄]網様体ともよばれる。)

White matter of spinal cord; White substance of spinal cord(白質(脊髄の))Substantia alba medullae spinalis はくしつ(せきずいの) Feneis: 270 14

[A14_1_02_024] →(中枢神経の割面では、髄鞘をもつ神経線維(有髄神経線維)が集合している部分は白色を呈する。このように有髄神経線維の集まった部位を白質とよぶが、大脳半球と小脳とでは白質が皮質に包まれいるところから、この部位の白質はとくに大脳髄質、小脳髄質とよばれる。白質の中でも髄鞘のうすい神経線維の束、たとえば脊髄の三角路は灰色がかかっている。また、無髄神経線維が集まる部位は灰白質にみえる。白質を部分的に区別した場合には各部分を索、著明な神経線維の束を束、機能的に等質な神経線維の束を神経路または伝導路とよぶ。)

Substantia gelatinosa centralis; Central gelatinous substance of spinal cord; Substantia gelatinosa of Rolando(中心膠様質)Substantia gelatinosa centralis medullae spinalis ちゅうしんこうようしつ Feneis: 270 15

[A14_1_02_025] →(中心膠様質は上衣細胞突起を含む中心管周囲の狭い部分。)

Grey columns of spinal cord; Gray columns of spinal cord(灰白柱(脊髄の))Columnae griseae medullae spinalis かいはくちゅう(せきずいの) Feneis: 270 16

[A14_1_02_101] →(脊髄の灰白質は灰白柱ともよばれるが横断面ではH字形をなし、左右の2脚とこれを横に結ぶ中央の部とからなる。左右の2脚はそれぞれさらに前後2部にわかれ、これを前柱および後柱(または前角および後角という)。角は灰白質の横断面の形状、柱はその立体的形状によって名づけられたものである。脊髄灰白質の層区分:縦長な脊髄の内部では、灰白質ニューロンの似たもの同士の集合箇所が何本かの柱のように縦に連なっていて、そのような細胞柱のおのおののを、脊髄横断面での灰白質各層としてとらえることができる。この点を利用しRexedが行った第Ⅰ層から第Ⅹ層までの層区分は、脊髄灰白質の機能的全体像をみやすいという点で旧来、諸柱(または諸核)を個別に命名するよりも利用価値が高い。しかし、旧来の方式による名称も存続させてある。第Ⅰ層は後角の帽子に相当するような薄層である。この層のニューロンは後根から脊髄に侵入する温・痛覚線維の一部を受け、反対側の脊髄視床路の成分の一部になるような上行線維を伸ばす。第Ⅱ層は膠様質に相当する。これのニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与するが、第Ⅱ層のなかでおこなわれる。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行うために伸ばすだけである。第Ⅲ層と第Ⅳ層は第Ⅱ層に似てはいるが、しかし第Ⅱ層よりも多数の、後根からの痛覚・温度覚・触覚線維を受ける。また、第Ⅲ、Ⅳ層の中に第Ⅴ層の大形ニューロン(反対側を下行する脊髄視床路の成分となる軸索突起を伸ばすもの)の樹状突起群が侵入している。上位の頚髄における第Ⅰ~Ⅳ層は一体化し、三叉神経脊髄路核に移行する。第Ⅴ層は後根からの求心性線維、第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層の介在ニューロン、などからの神経信号を受ける。第Ⅴ層ニューロンから伸びる軸索突起群は、反対側を上行する温・痛覚と軽微(粗大)な触覚のための伝導路、すなわち脊髄視床路の主要成分をなす。皮質脊髄路、赤核脊髄路からの多くの下行性線維も第Ⅴ層に終わる。第Ⅵ層はおもに頚膨大と腰仙膨大に存在し、骨格筋からの固有感覚入力を受ける。第Ⅶ層には、いくつかの大きな細胞集団が多数の介在ニューロンとともに含まれている。中間質外側核と呼ばれる細胞集団は第1胸髄から第2腰髄までの高さにおける脊髄灰白質の側角をなすものであるが、この細胞集団は交感系節前ニューロン細胞体の第Ⅶ層での集まりにほかならない。中間質内側核という名の細胞集団は脊髄の全長にわたって第Ⅶ層存在するものであり、臓性求心性線維群を受ける。胸髄核(クラーク背側核とも呼ばれるもの)は第1胸髄から第3腰髄までの第Ⅶ層にあり、筋紡錘や腱器官などからの固有感覚入力を受ける。胸髄核から発する軸索は同側上行性の後脊髄小脳路を形成する。また、第2~4仙髄での第Ⅶ層には、仙髄副交感核(副交感系の節前ニューロン細胞体の集まり)がある。第Ⅷ層は筋緊張、姿勢の反射的小節にあずかる前庭脊髄路や網様体脊髄路からの下行性線維を受ける。この層のニューロン細胞体から伸びる軸索は、同側および反対側の第Ⅶ層と第Ⅸ層に終わる。第Ⅸ層では体性遠心性ニューロン(前根から脊髄をでて骨格筋に向かう軸索を有するもの)の細胞体が内・外側集団をつくる。内側集団(内側核)は体幹筋支配にずかり、脊髄全長における第Ⅸ層で認められるに対して、外側集団(外側核)は上・下肢筋支配にあずかる関係で頚膨大と腰仙膨大における第Ⅸ層にしか認められない。Α運動性、γ運動性の両方のニューロン細胞体が第Ⅸ層に存在している。第Ⅹ層は脊髄中心管を囲む領域であり介在ニューロン、神経膠細胞、交叉性軸索がそこに含まれている。)

Anterior column; Ventral column; Ventral grey column of spinal cord(前柱;腹側柱(脊髄の灰白柱の))Columna grisea anterioir medullae spinalis ぜんちゅう;ふくそくちゅう(せきずいのかいはくちゅうの) Feneis: 270 17

[A14_1_02_102] →(脊髄の灰白柱の前柱はその基底部で外側に向かい突起を出す。主に運動性の神経細胞よりなる。)

Ventromedial cell group of anterior column(前内側細胞群(前柱の))Cellulae ventromedialis (Columna anterior) ぜんないそくさいぼうぐん(ぜんちゅうの)

[A14_1_02_102_1_1]→

Ventrolateral cell group of anterior column(前外側細胞群(前柱の))Cellulae ventrolateralis (Columna anterior) ぜんがいそくさいぼうぐん(ぜんちゅうの)

[A14_1_02_102_3]→

Dorsolateral cell group of anterior column(後外側細胞群(前柱の))Cellulae dorsolateralis (Columna anterior) こうがいそいそくさいぼうぐん(ぜんちゅうの)

[A14_1_02_102_4]→

Central cell group of anterior column(中心細胞群(前柱の))Cellulae centralis (Columna anterior) ちゅうしんさいぼうぐん(ぜんちゅうの)

[A14_1_02_102_5]→

Anterior horn of spinal cord; Ventral horn of spinal cord(前角;腹側角(脊髄の))Cornu anterius medullae spinalis ぜんかく;ふくそくかく(せきずいの) Feneis: 270 18

[A14_1_02_103] →(前角は前柱の横断像で同義として扱われる。前角は後角より太く短く、頭と底に区分され、両者の間は多少細くなっている。前角細胞は多くは非常に大きく、多極性で、ところどころに群集する。これらの集団は縦方向に柱状に配列する。外側部の細胞は内側聞それよりも一般に大きく、頚膨大および腰膨大では特に大きい。前角細胞の軸索(神経突起)は前根線維となり、運動性脊髄神経線維として体幹および四肢の骨格筋に達する。各運動神経線維は筋内に入ると、分枝してそれぞれ運動終板を形成する。前角細胞の軸索の骨格筋への分布には対局剤的局在が明らかで、一般に体幹筋を支配する細胞は前角の内側部にあるが、四肢筋を支配するものは外側部にあり、しかも四肢の末端の筋に線維を出す細胞は近位の筋に分布する物よりも外側にある。したがって四肢に強大な神経を出す頚膨大並びに腰膨大の部分では、前柱は外側方に延びて幅が広いが、これらの間の部分(胸髄)では内側部のみからなり、細い。また前角の周辺部の細胞は心筋および外転筋へ、中央部の細胞は屈筋および内転筋へ線維を出す。前角の大細胞は横紋筋に運動線維を出すが(α運動細胞)、小さい細胞の一部は介在細胞であり、また一部は筋紡錘内の錐内筋線維を支配するものと考えられる(γ運動細胞)筋紡錘は筋緊張の調整を反射的に行う機序に関係している。なお第1~5頚髄の前柱の背外側部には副神経脊髄根を出す細胞群、すなわち副神経脊髄核がある。これは上方に行くにしたがって中心管に近づく。その根は外方に走り、前根と後根の間から脊髄を出る(副神経脊髄根)。一般に、身体遠位の筋ほど、外側よりの神経細胞群によって支配されている。前角のもっとも内側から外側へと移行するにつれて、運動ニューロンは順次、体幹筋、上肢帯筋・下肢帯筋、上下肢の近位筋、次いで上下肢遠位筋を支配している。後背外側の神経細胞群は、手と足の筋を支配する。脊髄前角のα運動ニューロンはアセチルコリンをを含有していて、その神経終末からこれを分泌する。この事実は同物質の合成酵素であるコリン・アセチルトランスフェラーゼの免疫組織化学により立証されている。脊髄前角中の小形神経浅部のあるものは、抑制性の神経伝達物質であるガンマ・アミノ酪酸gamma-aminobutyric acid(GABA)に免疫染色される。脊髄灰白質の腹側の部分で、RexedのⅨ層、Ⅷ層およびⅦ層の腹側部がこれに属する。Ⅸ層は運動細胞群でα運動細胞とγ運動細胞とが存在する。Α運動細胞の軸索からの反回性側枝はⅦ層腹側部およびⅧ層にある抑制性のRenshaw細胞やⅨ層のα運動細胞結合する。前角には脊髄下行路や一次求心性線維(後根神経)がおわり、運動細胞と直接あるいはそこに存在する固有束細胞(介在細胞)と結合する。その他、脊髄視床路、脊髄小脳路、脊髄網様体路などの上行路の起始細胞の一部も前角に分布している。)

Spinal laminae VII-IX(脊髄第VII層-第XI層)Laminae spinales VII-IX せきずいだい7そう-だい9そう

[A14_1_02_104] →(脊髄の前角はRexedの層区分に従えば、Rexedの第Ⅶ層の腹側部、第Ⅷ層、第Ⅸ層が属する。第Ⅶ層は中間体として知られているが、前角と後角の中間に位置する。この層の境界は脊髄レベルにより変化しており、脊髄の膨大部では腹側方へ広がって前角の中まで入っている。しかしその他のレベルでは、脊髄灰白質を横切る比較的狭い帯状の領域を成し、ここに側角が含まれる。明るく染まるニューロンは大多数介在ニューロンであるが、この層の中に均一に分布している。この層の中で一定の領域に吻側から尾側方向ににびている、境界のハッキリした細胞柱が明瞭に存在する。このような細胞柱として、背核、中間質外側核、中間質内側核などがある。クーラークの背核(胸髄核)は、第Ⅶ層の内側部にある、円形ないし卵形の神経細胞からなる著明な細胞柱であって、C8からL2のレベルにかけて存在する。この核の神経細胞は多極性ないし卵形で、粗大なニッスル小体と、特徴的な偏心性の核を持っている。後根求心性線維の側枝が、この核の神経細胞に強固にシナプスを形成しており、それは多数の脊髄レベルにおいて著明に互いに重なり合っている。背核の大型神経細胞から、非交叉性の後脊髄小脳路がおこる。第Ⅶ層と、これに接する第Ⅴ層、第Ⅵ層の部分にある神経細胞は、明瞭な神経核を形成してはいないが、前脊髄小脳路をつくる交叉性の線維を出す。第Ⅷ層は前角底部にある不均一な神経細胞からなる領域で、その大きさと形は脊髄レベルにより相違する。脊髄の膨大部では、第Ⅷ層は前角の内側部を占めるのみであるが、それ以外の脊髄レベルでは第Ⅶ層の腹側にあって、前角の基底部を横切って広がっている。この層は、特定の下行性伝導路の多数の神経線維がその境界内に含まれる神経細胞に終末するゆえに、一種別個の存在となっている。筋緊張、姿勢の反射的調節にあずかる前庭脊髄路や網様体脊髄路からの下行性線維を受ける。この層のニューロン細胞体からのびる軸索は、同側および反対側の第Ⅶ層と第Ⅸ層に終わる。 第Ⅸ層は、体性遠心性ニューロン(前根から脊髄をでて骨格筋に向かう軸索を有するもの)の細胞体が内・外側集団をつくる。内側集団(別名:内側核)は体幹筋支配にあずかり、脊髄全長における第IX層で認められるのに対して、外側集団(別名:外側核)は上・下肢筋支配にあずかる関係で頚膨大と腰膨大における第Ⅸ層にしか認められれない。アルファ運動性、ガンマ運動性の両方のニューロン脂肪体が第Ⅸ層に存在している。)

Anterolateral nucleus of spinal cord; Ventrolateral nucleus of spinal cord(腹外側核;前外側核(脊髄の))Nucleus anterolateralis medullae spinalis ふくがいそくかく;ぜんがいそくかく(せきずいの) Feneis: 270 19

[A14_1_02_105] →(脊髄の前外側核は前角の内部にある神経核でC4-C8とL2-S1にみられる。四肢の筋肉を支配する。)

Anterior nucleus of spinal cord(前核(脊髄の))Nucleus anterior medullae spinalis ぜんかく(せきずいの)

[A14_1_02_106] →(脊髄の前核は脊髄の前角の内部にある核。)

Anteromedial nucleus of spinal cord; Ventromedial nucleus of spinal cord(前内側核;腹内側核(脊髄の))Nucleus anteromedialis medullae spinalis ぜんないそくかく;ふくないそくかく(せきずいの) Feneis: 270 20

[A14_1_02_107] →(脊髄の前内側核は脊髄全長の前柱(前角)にみられる細胞群で骨格筋を支配しているとかんがえられている。)

Posterolateral nucleus of spinal cord; Dorsolateral nucleus of spinal cord(後外側核;背外側核(脊髄の))Nucleus posterolateralis medullae spinalis こうがいそくかく;はいがいそくかく(せきずいの) Feneis: 270 21

[A14_1_02_108] →(第5頚髄節から第1胸髄節および第2腰髄節から第2仙髄節で腹外側核の後方にみられる。四肢の筋肉を支配する。)

Retroposterior lateral nucleus of spinal cord; Retrodorsal lateral nucleus of spinal cord; Retrodorsolateral nucleus(後後外側核;後背外側核(脊髄の))Nucleus retroposterolateralis medullae spinalis こうこうがいそくかく;こうはいがいそくかく(せきずいの) Feneis: 270 22

[A14_1_02_109] →(脊髄の後背外側核は前角(前柱)にみられる細胞群でC8-Th1およびS1-S3にあり、背外側核の後方にある。)

Posteromedial nucleus of spinal cord; Dorsomedial nucleus of spinal cord(後内側核;背内側核(脊髄の))Nucleus posteromedialis medullae spinalis こうないそくかく;はいないそくかく(せきずいの) Feneis: 270 23

[A14_1_02_110] →(脊髄の背内側核は白交連の付近にある。Th1-L3にわたって存在する。腰部の筋肉を支配する。)

Central nucleus of spinal cord(中心核(脊髄の))Nucleus centralis medullae spinalis ちゅうしんかく(せきずいの) Feneis: 270 24

[A14_1_02_111] →(脊髄の中心核は頚髄および腰髄の二、三の節にあるあまり目立たない細胞群。)

Nucleus of accessory nerve; Accessory nucleus (XI)(副神経核)Nucleus nervi accessorii ふくしんけいかく Feneis: 270 25

[A14_1_02_112] →(副神経核は脊髄の上方6区域(C1-C6)の前角の中央部と外側部を縦に連ねた運動性細胞柱で、ここから副神経がでる。副神経は延髄根(内枝)と脊髄根(外枝)からなる。延髄根は疑核の下端部から起こり迷走神経に合して喉頭(固有)筋や下咽頭収縮筋を支配する。脊髄根は延髄下部から頚髄上部(C5-C6)にかけて存在する副神経脊髄核からおこり僧帽筋と胸鎖乳突筋を支配する。脊髄核は延髄下部では前索の内側部の近くにあるが下方にいくにしたがい外方に移動し、前角外側部に位置するようになる。根は背外方に向かい、側索の背側部を貫いて脊髄を出る。)

Nucleus of phrenic nerve; Phrenic nucleus(横隔神経核)Nucleus nervi phrenici おうかくしんけいせつ Feneis: 270 26

[A14_1_02_113] →(横隔神経核はC3-C7の前角内側にある細胞群で、横隔神経を出して横隔膜を支配する。)

Lateral column of spinal cord; Lateral horn(側柱;側角(脊髄))Columna lateralis; Cornu laterale そくちゅう;そくかく(せきずいかいはくしつ)

[A14_1_02_113_1]→

Posterior column of spinal cord grey; Posterior grey column of spinal cord; Posterior column of spinal cord gray; Posterior gray column of spinal cord(後柱;背側柱(脊髄の))Columna grisea posterior medullae spinalis こうちゅう;はいそくちゅう(せきずいの) Feneis: 272 01

[A14_1_02_114] →(脊髄の横断面で中心管を取り囲む灰白質は蝶の形を呈している。主に知覚性の細胞よりなる後角を立体的にみると、柱状となっているので後柱と呼ばれる。主に脊髄神経の後根線維の終止部となっている。後柱は脊髄の各々の外側半分にある灰白質の外側半分にある灰白質の外後方への著しい膨隆で、脊髄の横断面に現れる後角に相当する。主に知覚性の細胞よりなる。)

Posterior horn of spinal cord; Dorsal horn of spinal cord(後角;背側角(脊髄の))Cornu posterius medullae spinalis こうかく;はいそくかく(せきずいの) Feneis: 272 02

[A14_1_02_115] →(後柱の横断面を後角とよび同義的に扱われる。後角は後根線維のおもな終止部をなし、背外側方に長く延び、その主部は頭と底に区別され、両者の間は細くなり、頚と言われる。頭の背外側に接して後角尖がある。これは腹内束にある半月形の後角膠様質と背外側成る狭い海綿体からなる。膠様質は後角内の連合に与り、これには、横断面では小さいが、縦に細内外神経細胞が密集し、そのⅣBN部ではより大きい細胞が散在する。海綿体の少数のやや大きい神経細胞(後縁細胞)を含む海綿状の層である。海綿体と脊髄の表面との間にはなお細い神経線維からなる部分がある。これを後外側束または終帯といい、元来は後索に属すべき部分で、痛覚および温度覚を伝える細い後根線維、連合線維などからなる。固有の後角の細胞は一般に小ないし中等大で、円形、紡錘形あるいは三角形である。後角の頭はごく少数の大細胞を含む。形と底の外側部は内側部よりもやや大きい散在した細胞から成り、外側方は網様体に移行する。なお底の内側部には明らかに区画された大細胞の集団があり、これを胸髄核または背核といい、これは頚髄下端部、胸髄および腰髄上部で見られるが、下部胸髄で最も著明で、後脊髄小脳路に線維を送る。脊髄灰白質の背側部のことで、後角尖、後角頭、後角頚、後角底などが区別されている。後角尖は海綿体と膠様質とからなる。脊髄灰白質は層構造をなし、RexedのⅠ層からⅥ層までが後角に属する。細胞構築学的には背腹方向に次の細胞集団が区別される。①海綿帯または縁帯(Ⅰ層)、②膠様質(Ⅱ層)、③後角固有核(Ⅲ層、Ⅳ層)④脊髄網様体核(Ⅴ層外側部)。Ⅰ層の細胞は後縁細胞とよばれる外側脊髄視床路の起始細胞で、Ⅳ層~Ⅵ層の細胞は前世奇瑞視床路その他の上行路を出す。後下君求心線維としてはⅠ層~Ⅲ層には主に後根がおわり、Ⅳ層~Ⅵ層には後根線維および脊髄下行路が終止する。その他後角の細胞は細胞間で複雑な相互作用を行うと同時に後根を含む他の経路と運動細胞間の介在細胞として役立っている。膠様質の細胞はC線維を受け、後縁細胞や他の後角の細胞と結合する。後縁細胞は温度受容器、機械的受容器からのC線維やや、Aδ線維を受ける。なお頚髄の高さの後角基部の外側部(Ⅴ層、Ⅵ層外側部)は延髄網様体のつづきとみなされ[脊髄]網様体ともよばれる。)

Apex of posterior horn of spinal cord(尖;後角尖;後柱稜(脊髄の後角の))Apex; Apex cornu posterioris medullae; Crista columnae dorsalis せん;こうかくせん;こうちゅうりょう(せきずいのこうかくの) Feneis: 272 03

[A14_1_02_116] →(脊髄の後角尖は脊髄灰白質の膠様質に接し、大型神経細胞よりなる後角の先端部。)

Spinal lamina I; Marginal nucleus; Dorsomarginal nucleus; Posteromarginal nucleus (of spinal cord)(辺縁核;脊髄第I層;後縁縁核;背側辺縁核;後縁細胞群(核))Nucleus marginalis; Lamina spinalis I; Nucleus posteromarginalis (Medullae spinalis) へんえんかく;せきずいだい1そう;こうえんえんかく;はいそくへんえんかく;こうえんさいぼうぐん(かく)(せきずいの)

[A14_1_02_117] →(Rexedは脊髄灰白質も横断面において層的構造を示すとしてこれを10層に分けた。縦長な脊髄の内部では、灰白質ニューロンの似たものどおしの集合箇所が何本かの柱のように縦に連なっていて、そのような細胞柱の各々を、脊髄横断面での灰白質各層としてとらえることができる。この点を利用しRexedが行った第Ⅰ層から第Ⅹ層までの層区分は、脊髄灰白質の機能的全体像をみやすいという点で旧来、諸柱(または諸核)を個別に命名するよりも利用価値が高い。しかし、旧来の方式による名称も存続させてある。 第Ⅰ層は後角の帽子に相当するような薄層である。ここには小形ないし中型の神経細胞がみられ、まれに比較的大型の紡錘形の細胞が後角の突出面に平行に向いた状態で散在する。後縁細胞核群Posteriomarginal nucleusに連絡する錯綜した無髄神経線維束、小樹状突起ならびにシナプス釦がこの層の中にある。第Ⅱ層の中の神経細胞に軸索-細胞体性に終末枝、一方、一次求心性線維は同じ細胞群に対して軸索-樹状突起性に終末する。これらの2つの起源をもつ大量の軸索群はLissauerの後外側束dorsolateral fasciculus of Lissauerを通って第Ⅰ層に到達する。すべてお起源からの証拠をみて第Ⅰ層の神経細胞は侵害性刺激noxious stimuli並びに温度刺激に対して特異的に反応し、その線維を対側の脊髄視床路に向かって伸ばしている。免疫組織化学的研究によれば、第Ⅰ層中にP物質並びにエンケファリンEnkephalin陽性の細胞が含まれており、かつ又、P物質陽性線維の他エンケファリン陽性線維、ソマトスタチンソマトスタチン陽性線維、セロトニン陽性線維も含まれることが示されている。この層のニューロンは後根から脊髄に侵入する温・痛覚線維の一部を受け、反対側の脊髄視床路の成分の一部になるような上行線維を伸ばす。)

Spinal lamina II; Gelatinous substance of posterior horn of spinal cord(膠様質(脊髄の後角の);脊髄第II層)Substantia gelatinosa cornu posterioris medullae spinalis; Lamina spinalis II こうようしつ(せきずいのこうかくの);せきずいだい2そう Feneis: 272 07

[A14_1_02_119] →(第Ⅱ層は後角尖にある、境界の明らかな、かなり幅広い帯状の領域であり、細胞体染色並び髄鞘染色により容易に認められるぎっしりとつまった神経細胞からなる膠様質に相当する。これ第Ⅱ層には2つの領域が認められる。①やや小形の細胞から成る比較的狭い外帯outer zone、②比較的幅広い内帯inner zoneである。そのいずれの領域においてもニューロンは円形ないし、楕円形で長軸を表面に対して放射状に配列している。紡錘状の細胞体の大きさは殆ど同じで、その一方ないし両極から、多くの樹状突起を出している。第Ⅱ層のニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与するが、第Ⅱ層のなかでおこなわれる。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行うために伸ばすだけである。)

Head of posterior horn; Head of posterior column (of spinal cord)(頭;後角頭;後柱頭(脊髄の))Caput cornu posterioris; Caput columnae posterioris (Medullae spinalis) とう;こうかくとう;こうちゅうとう(せきずいの) Feneis: 272 04

[A14_1_02_118] →(脊髄の後角頭は下部頚髄および胸髄で膨大下後角中間部。)

Nucleus proprius of spinal cord; Spinal laminae III and IV(固有核;脊髄第III層・第IV層)Nucleus proprius (Medullae spinalis); Laminae spinales III et IV こゆうかく;せきずいだい3そう・だい4そう(せきずいの)

[A14_1_02_121] →(第Ⅲ層と第Ⅳ層は第Ⅱ層に似てはいるが、しかし第Ⅱ層よりも多数の、後根からの痛覚・温度覚・触覚線維を受ける。また、第Ⅲ、Ⅳ層のなかに第Ⅴ層の大型ニューロン(反対側を上行する脊髄視床路の成分となる軸索突起をのばすもの)の樹状突起群が侵入している。上位の頚髄における第Ⅰ~Ⅳ層は一体化し、三叉神経脊髄路核に移行する。)

Neck of posterior horn of spinal cord(頚(脊髄の後角の);後角頚;後柱頚)Cervix cornu posterioris Cervix columnae posteriois(Medullae spinalis) けい(せきずいのこうかくの);こうかくけい;こうちゅうけい Feneis: 272 05

[A14_1_02_120] →(脊髄の後角頚は後角頭と底の間にある少しくびれた部分。)

Spinal lamina V(脊髄第V層)Lamina spinalis V せきずいだい5そう

[A14_1_02_122] →(第Ⅴ層は後根からの求心性線維、第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層の介在ニューロン、などからの神経信号を受ける。第Ⅴ層ニューロンから伸びる軸索突起群は、反対側を上行する温・痛覚と軽微(粗大)な触覚のための伝導路、すなわち脊髄視床路の主要成分をなす。皮質脊髄路、赤核脊髄路からの多くの下行性線維も第Ⅴ層に終わる。)

Base of posterior horn; Base of posterior column (of spinal cord)(後角底;後柱底(脊髄の))Basis cornu posterioris; Basis columnae posterioris (Medullae spinalis) こうかくてい;こうちゅうてい(せきずいの) Feneis: 272 06

[A14_1_02_123] →(灰白質中間部でやや拡がった後角の始まりの部分。(Feneis))

Spinal lamina VI(脊髄第VI層)Lamina spinalis VI せきずいだい6そう

[A14_1_02_124] →(第Ⅵ層は後角底を横切って広がり、脊髄のおもに頚膨大と腰仙膨大においてのみ存在する。この層を、内側部と外側部に分かつ;骨格筋からのグループⅠ求心性線維はその内側領域に終末枝、一方、脊髄下行路が外側領域に投射している。中心基底核として知られる、頚膨大部における第Ⅵ層の中の一群の神経細胞は、非交叉性の小脳への投射線維を出していて、ある人々はこれを吻側脊髄小脳路と考えている。)

Secondary visceral grey matter of spinal cord; Secondary visceral grey substance of spinal cord; Secondary visceral gray matter of spinal cord; Secondary visceral gray substance of spinal cord(二次内臓灰白質(脊髄の))Substantia visceralis secundaria (Medullae spinalis) にじないぞうかいはくしつ(せきずいの) Feneis: 272 08

[A14_1_02_125] →(中間質中心部の腹側にある小さな領域。植物性機能神経細胞が存在する。)

Internal basilar nucleus of spinal cord(内基底核(脊髄の))Nucleus basilaris internus (Medullae spinalis) ないきていかく(せきずいの) [A14_1_02_126]

Lateral cervical nucleus(外側頚核;外側頚髄核)Nucleus cervicalis lateralis がいそくけいかく;がいそくけいずいかく [A14_1_02_127]

Medial cervical nucleus(内側頚核;内側頚髄核)Nucleus cervicalis medialis ないそくけいかく [A14_1_02_128]

Posterior nucleus of lateral funiculus of spinal cord(側索後核(脊髄の))Nucleus posterior funiculi lateralis medullae spinalis そくさくこうかく(せきずいの) [A14_1_02_129]

Intermediate column; Intermediate zone; Intermediate zone of spinal grey; Intermediate zone of spinal gray(中間柱;中間帯(脊髄灰白質の))Columna grisea intermedia (Medullae spinalis) ちゅうかんちゅう;ちゅうかんたい(せきずいかいはくしつの) [A14_1_02_130]

Spinal lamina VII(脊髄第VII層;脊髄の中間帯)Lamina spinalis VII せきずいだい7そう;せきずいのちゅうかんたい

[A14_1_02_131] →(第Ⅶ層はまた、中間帯としても知られているが、前角と後角の中間に位置する。この層の境界は脊髄レベルにより変化しており、脊髄の膨大部では腹側方へ広がって前角の中まで入っている。しかしその他のレベルでは、脊髄灰白質を横切る比較的狭い帯状の領域を成し、ここに側角が含まれる。第Ⅶ層には、いくつかの大きな細胞集団が多数の介在ニューロンとともに含まれている。中間質外側核と呼ばれる細胞集団は第1胸髄から第2腰髄までの高さにおける脊髄灰白質の側角をなすものであるが、この細胞集団は交感系節前ニューロン細胞体の第Ⅶ層での集まりにほかならない。中間質内側核という名の細胞集団は脊髄の全長にわたって第Ⅶ層存在するものであり、第Ⅶ層の内側部、中心管の外側部にある小形細胞柱で、あらゆる脊髄レベルで臓性求心性線維群を受ける。胸髄核(クラーク背側核とも呼ばれるもの、この核の神経細胞は多極性ないし卵形で、粗大なニッスル小体と、特徴的な偏心性の核を持っている。後根求心性線維の側枝が、この核の神経細胞に強固にシナプするを形成しており、それは多数の脊髄レベルにおいて著明に互いに重なりあっている)は第1胸髄から第3腰髄までの第Ⅶ層にあり、筋紡錘や腱器官などからの固有感覚入力を受ける。胸髄核から発する軸索は同側上行性の後脊髄小脳路を形成する。また、第2~4仙髄での第Ⅶ層には、仙髄副交感核sacral autonomic nuclei(副交感系の節前ニューロン細胞体の集まり)があるがここではもはや側角を認めない仙髄副交感核は副交感神経性節前線維を出しており、その線維は仙髄前根から出て「骨盤神経」をつくる。胸髄並びに上部腰髄の中間質外側核、仙髄副交感核の細胞群はコリン作働性であって、コリン・アセチルコリントランスフェラーゼに対する抗体により免疫染色される。第Ⅶ層と、これに接する第Ⅴ層、第Ⅵ層の部分にある神経細胞は、明瞭な神経核を形成してはいないが、前脊髄小脳路anterior spinocerebellar tractをつくる交叉性の線維を出す。中心頚核central cervical nucleusは、上位4つの頚髄中にある継続的な神経細胞中であって、延髄下部にまでのびている。この核の比較的大きな多極性の神経細胞は、中間質内側核の外側にみとめられる。中心頚核の神経細胞には後根神経線維が到達しており、かつ、交叉性に小脳への投射線維をだしている。)

Lateral horn of spinal cord(側角(脊髄の))Cornu laterale (Medullae spinalis) そくかく(せきずいの) Feneis: 272 10

[A14_1_02_132] →(側柱の横断面を側角といい同義語的に扱われている。後角と前角の間の灰白質は中間質外側部といわれ、中等大ないし小細胞から成り、その内側の部分は中間内側核に相当する。T1からL2の高さで脊髄灰白質の中間質が外側へ突出した部分をいう。これに存在する神経細胞の集団は中間外側核とよばれる。S2-S4の高さで、これに対応する部分にある細胞集団は、とくに仙髄中間外側核と呼ばれている。胸腰髄のものは交感神経節前細胞の集団で、その軸索は前根となって脊髄をでる。交感神経節前細胞はさらに内側方で中間質の背内側部に散在する。交感神経節前細胞には視床下部からの下行線維が直接結合するが、後根線維は直接結合しない。仙髄中間外側核は副交感節前細胞で、その軸索は前根を通り、骨盤内臓神経となる。この核もまた後根線維とは主として間接的に結合する。その他の求心性入力については十分研究されていない。)

Intermediolateral nucleus of spinal cord(中間外側核;中間質外側核(脊髄の))Nucleus intermediolateralis (Medullae spinalis) ちゅうかんがいそくかく;ちゅうかんしつがいそくかく(せきずいの) Feneis: 272 11 [A14_1_02_133]

Central intermediate substance; Central intermediate grey matter of spinal cord; Central intermediate gray matter of spinal cord(中間質中心部(脊髄の))Substantia intermedia centralis (Medullae spinalis) ちゅうかんしつちゅうしんぶ(せきずいの) Feneis: 272 12

[A14_1_02_134] →(中間質中心部(中心灰白質)は中間質外側部の内側方に続き。左右の灰白質を横に結合する部分で(灰白交連)、中心管を直接囲む。その前文腹側には有髄線維からなる交連部があり、白交連または白前交連という。)

Posterior thoracic nucleus; Dorsal thoracic nucleus(胸髄核;背核;背側核)Nucleus thoracicus posterior; Nucleus dorsalis thoracici きょうずいかく;はいかく;はいそくかくClarke's column, nucleus; Stiling-Clarke's column, nucleus Feneis: 272 14

[A14_1_02_135] →(背核ともよび、一般にClarke柱あるいはClarke背核ともよばれている。T1からL3の高さまで中間帯の背内側に存在する細胞群で大、中、小の細胞から構成されている。大ないし中等大細胞の軸索は同側の側索の背外側部を上行する後脊髄小脳路となる。Clarke柱はその高さの後根線維を受けるが、胸髄上部の高さではC5以下C8の後根線維を、腰髄の高さではL4以下の後根線維を受ける。その入力は主にⅠa群(筋紡錘由来の求心性線維)、Ⅱ群線維(腱器官由来の求心性線維)に由来する。)

Lateral intermediate substance; Lateral intermediate grey matter of spinal cord; Lateral intermediate gray matter of spinal cord(中間質外側部;中間質外側核)Substantia intermedia lateralis (Medullae spinalis) ちゅうかんしつがいそくぶ;ちゅうかんしつがいそくかく Feneis: 272 13

[A14_1_02_136] →(中間質外側核は、胸髄および上部腰髄(T1からL2ないしL3まで)の側角の先端部分にある神経細胞柱である。この核の神経細胞は紡錘形で、交感神経性の節前線維を出している。その交感神経線維は前根より出て白交通枝を経て、いくつもの交感神経節に到達する。)

Intermediomedial nucleus of spinal cord(中間内側核;中間質内側核(脊髄の))Nucleus intermediomedialis (Medullae spinalis) ちゅうかんないそくかく;ちゅうかんしつないそくかく(せきずいの)

[A14_1_02_137] →(脊髄の中間内側核は第Ⅶ層の内側部、中心管の外側部にある小型の細胞柱で、脊髄の全長にわたっている。この核はあらゆる脊髄レベルで内臓求心性線維を受け入れている。)

Sacral parasympathetic nuclei(仙髄副交感神経核;仙髄副交感核)Nuclei parasympathici sacrales せんずいふくこうかんしんけいかく;せんずいふくくかんかく Feneis: 272 15

[A14_1_02_138] →(仙髄副交感核は仙髄自律神経核sacral autonomic nucleiともよばれる。仙髄節S2-S4の第Ⅶ層の外側部に位置をしめる。これらのニューロンは中間質外側核のそれに類似しているが、副交感性節前線維を出しており、その線維は仙髄前根から出て“骨盤神経”をつくる。胸髄並びに上部腰髄の中間質外側核、仙髄腹交感核の細胞群はコリン作働性であって、コリン・アセチルトランスフェラーゼに対する抗体により免疫染色される。)

Nucleus of pudendal nerve(陰部神経核;腰仙髄陰部神経起始核;Onuf核)Nucleus nervi pudendi いんぶしんけいかく;ようせんずいいんぶしんけいきしかく;OnuかくOnuf's nucleus

[A14_1_02_139] →(Onuf核は第一仙髄~第二仙髄レベルに存在する体性運動運動ニューロンで、尿道括約筋、肛門括約筋など、骨盤底の肛門筋を支配する。骨盤神経は副交感神経節前線維に加え内臓知覚線維を含む。青斑下核からの下行線維もOnuf核に至る。青斑下核からは同側の大縫線核に投射する下行路に加え、橋背側から延髄錐体内を下行し、同側脊髄前索を通過しOnuf核に至る経路がある。さらに対側脊髄側索を通過しOnuf核に至る経路も存在する。)

Spinal reticular formation(脊髄網様体)Formatio reticularis spinalis せきずいもうようたい Feneis: 272 16

[A14_1_02_140] →(脊髄網様体は白質および灰白質の混在部。後柱と側柱columna lateralisの間の隅にある。(Feneis))

Anterior medial nucleus; Ventral medial nucleus of spinal cord(前内側核;腹内側核(脊髄の))Nucleus medialis anterior (Medullae spinalis) ぜんないそくかく;ふくないそくかく(せきずいの) [A14_1_02_141]

White matter of spinal cord; White substance of spinal cord(白質(脊髄の))Substantia alba はくしつ(せきずいの) Feneis: 272 17

[A14_1_02_201] →(白質は主として縦走する有髄線維からなり、灰白質の外方に脊髄索、すなわち前索、後索および側索をつくる。後索は下等動物では発育が悪いが、高等動物、ことにヒトではよく発達し、左右の後索は後正中溝およびそれに続いて正中面にある薄い隔板(後正中中隔)によって分離される。白質には脊髄と脳を結ぶ投射神経路と脊髄の各部を結ぶ連合神経路がある。前者には上行性(知覚性)のものと下行性(運動性)のものがある。)

Anterior funiculus of spinal cord; Ventral funiculus of spinal cord(前索;腹索(脊髄の))Funiculus anterior (Medullae spinalis) ぜんさく;ふくさく(せきずいの) Feneis: 272 19

[A14_1_02_202] →(脊髄の白質で前外側溝から前正中裂までの部分をいう。脊髄下行路(錐体前索路、内側縦束、内側前庭脊髄路、橋網様体脊髄路、視蓋脊髄路)、上行路(前脊髄視床路)および固有束が通る。下行路の錐体前索路(前皮質脊髄路)は前正中裂に接して最内側部を通る。その外側には橋網様体脊髄路、内側前庭脊髄路、間質核脊髄路を含む内側縦束が位置し、さらにその外側を視蓋脊髄路が下行する。上行路の前脊髄視床路は前索の外側部を通る。その他、上行性あるいは下行性固有束が前索を通る。)

Anterior fasciculus proprius of spinal cord; Ventral fasciculus proprius of spinal cord(前索固有束;前固有束(脊髄の))Fasciculi proprii anteriores ぜんさくこゆうそく;ぜんこゆうそく(せきずいの) Feneis: 272 20

[A14_1_02_203] →(脊髄の前固有束は脊髄全長を通して存在し、頚膨大と腰膨大ではとくに発達し、固有線維の数は多い。構成線維は種々の長さをもつ上行性ならびに下行性線維からなり、あるものは起始ニューロンと同分節または隣り合う分節に連絡するが、長いものは脊髄のほぼ全長に及ぶほど走行する。一般に短い線維は灰白質に近い領域を、長いものは離れた領域を走行する。起始ニューロンの所在の詳細は明らかにされていないが、前柱の内側部、中間質に分布し、一部は後柱基底部に所在すると考えられている。前固有束を通る線維は腹内側部に局在する運動ニューロンに主として終末すると考えられている。)

Sulcomarginal fasciculus(溝縁束)Fasciculus sulcomarginalis こうえんそくMarie, Tract of Feneis: 272 21

[A14_1_02_204] →(溝縁束は前正中裂に接している深部知覚の線維束。)

Anterior corticospinal tract; Ventral corticospinal tract; Anterior pyramidal tract(前皮質脊髄路;錐体前索路)Tractus corticospinalis anterior; Tractus pyramidalis anterior ぜんひしつせきずいろ;すいたいぜんさくろTurck, Column of Feneis: 272 22

[A14_1_02_205] →(錐体路線維は大脳皮質から起こり、内包の後脚を通り、次いで大脳脚ではその中央2/3の部分を占める。ここでは錐体路は皮質橋核線維を伴っている。錐体路線維は橋では多数の線維群に分かれ、横走する橋核小脳路として交叉して走る。延髄では、これらの線維は再び一つにまとまり、錐体を形成する。延髄と脊髄の移行部で約80%の錐体路線維が交叉する(錐体路交叉)。その結果、交叉性の外側脊髄路が脊髄の側索を、非交叉性の前皮質脊髄路が前索を通って脊髄へ下行する。注意すべき点は、皮質脊髄路線維は内包の後脚を通るさい、皮質皮質下脊髄路線維や視床大脳皮質線維など、多くの線維と一緒に走るということである。したがって、しばしば起こる内包の血管損傷のさいにみられる症状は皮質脊髄路線維の遮断のみその原因があるわけではない。)

Lateral vestibulospinal tract(外側前庭脊髄路;外側前庭神経核脊髄路)Tractus vestibulospinalis lateralis がいそくぜんていせきずいろ;がいそくぜんていかくせきずいろ Feneis: 272 23

[A14_1_02_206] →(ダイテルス脊髄路ともよばれる。前庭神経核群から出て脊髄に向かう線維の経路を前庭脊髄路と総称する。このうち前庭神経外側核(Deiters核)から起こり交叉せず、延髄腹外側部を下行し、脊髄の前索外側部を経て同側の脊髄前角の内側部におわる経路を外側前庭脊髄路(狭義の前庭脊髄路)という。この伝導路は脊髄の全長にわたっており、それぞれの高さで前角内側部に線維を送っている。この経路には体局在性が存在し、外側前庭神経核のなかでその上腹側部から出たものは頚髄へ、下背側部から出たものは腰仙髄へ、これらの中間からは胸髄へいたる。この神経路の運動興奮によって深筋群の活動が強まる。)

Medial vestibulospinal tract(内側前庭脊髄路;内側前庭核脊髄路)Tractus vestibulospinalis medialis ないそくぜんていせきずいろ;ないそくぜんていかくせきずいろ

[A14_1_02_207] →(内側前庭神経核(Schwalbe)から起こり両側性に内側縦束を通って下行し、脊髄前索の背側部を経て大部分は頚髄および胸髄上部の前角内側部に終わる。これは外側前庭脊髄路に対して内側前庭脊髄路という。)

Reticulospinal fibres; *Reticulospinal tract(網様体脊髄線維;網様体脊髄路)Fibrae reticulospinales; *Tractus reticulospinales もうようたいせきずいせんい;もうようたいせきずいろ Feneis: 272 24

[A14_1_02_208] →(網様体脊髄路は、橋と延髄の網様体から脊髄に向かって下る様々な線維束をさす集合語。脳幹と脊髄において、この神経線維は内側縦束と関連して下行する。橋網様体脊髄路の線維は延髄に起始するものより多く、脊髄全長にわたって下行し、第Ⅷ層と第Ⅶ層隣接部に終止する。これらの網様体脊髄路線維は大部分が脊髄の1髄節以上にわたって側副枝を出し、これによって脊髄の異なったレベルでの協調活動に加わる可能性を示唆している。この網様体脊髄路の電気的刺激によって、体幹および四肢の骨格筋に分布する運動ニューロンに単シナプス性および多シナプス性の活動が起こる。直接的な影響は体幹の、特に頚部の筋に最も強い。)

Pontoreticulospinal tract; Medial reticulospinal tract(橋網様体脊髄路;内側網様体脊髄路)Tractus pontoreticulospinalis きょうもうようたいせきずいろ;ないそくもうようたいせきずいろ Feneis: 272 31

[A14_1_02_209] →(橋網様体脊髄路は、下および上橋網様体核といわれる橋被蓋内側にある細胞集団から起こる。下橋網様体核は尾側橋被蓋にはじまり、吻側に向かって三叉神経運動核のレベルまで伸びている。この神経核はいろいろな核の小さい細胞に加えて、多数の巨大細胞を含む。橋網様体核はほとんど完全に同側性で前索の内側部(すなわち溝縁領域を主として下行する。脳幹と脊髄において、この神経線維は内側縦束と関連して下行する。橋網様体脊髄路の線維は延髄に起始するものより多く、脊髄全長にわたって下行し、第Ⅷ層と第Ⅶ層隣接部に終止する。これらの網様体脊髄路線維は大部分が脊髄の1髄節以上にわたって側副枝を出し、これによって脊髄の異なったレベルでの協調活動に加わる可能性を示唆している。この網様体脊髄路の電気的刺激によって、体幹および四肢の骨格筋に分布する運動ニューロンに単シナプス性および多シナプス性の活動が起こる。直接的な影響は体幹の、特に頚部の筋に最も強い。橋網様体脊髄路の線維が終わる部位は前庭脊髄路の線維が終わる部位は前庭脊髄路の線維が終わるところに類似する。)

Interstitiospinal tract(間質核脊髄路;介在核脊髄路)Tractus interstitiospinalis かんしつかくせきずいろ;かいざいかくせきずいろ

[A14_1_02_210] →(間質核脊髄路は中脳の間質核から起こり同側を下行してRexedの脊髄節Ⅶ層とⅧ層に終わる線維束。)

Tectospinal tract(視蓋脊髄路)Tractus tectospinalis しがいせきずいろ Feneis: 272 32

[A14_1_02_211] →(視蓋脊髄路は主として中脳の上丘(第4および第6層)および一部は下丘から出て、すぐに背側被蓋交叉で交叉し、反対側の脳幹の正中部の知覚で内側縦束の腹側を下り(背前束)、脊髄では前索の前正中裂に近い部分を下行し、頚髄、ことに上位頚髄の前角の腹内側部から灰白質に入り、中間質外側部およびその付近に分布するが、直接に前角細胞に終わるものはない。これは視覚、一部は聴覚刺激に応じた頭部、上肢の反射的姿勢運動による。)

Anterior raphespinal tract; Ventral raphespinal tract(前縫線脊髄路;腹側縫線脊髄路)Tractus raphespinalis anterior ぜんほうせんせきずいろ;ふくそくほうせんせきずいろ

[A14_1_02_212] →(腹側縫線脊髄路は主として延髄および橋尾側部から起こり前索の中を下行する神経線維束。)

Olivospinal fibres; Olivospinal fibers(オリーブ核脊髄線維;オリーブ脊髄線維)Fibrae olivospinales おりーぶかくせきずいせんい;おりーぶせきずいせんい Feneis: 272 33

[A14_1_02_213] →(ヘルウェグ束(Helweg bundle)ともよばれる。オリーブ核脊髄線維は脊髄側索辺縁にある細い神経束。むしろspinoolivary(脊髄オリーブ線維)とするほうがよい。)

Anterior spinothalamic tract; Ventral spinothalamic tract(前脊髄視床路;腹側脊髄視床路)Tractus spinothalamicus anterior ぜんせきずいししょうろ;ふくそくせきずいししょうろ Feneis: 272 25

[A14_1_02_214] →(脊髄視床路は後索の線維とちがって、脊髄内のニューロンから始まる。脊髄灰白質内から始まる線維は交叉して視床まで上行する。この伝導路は脊髄内で交叉し視床に達するという、古くから知られた経路であるが、その起始細胞はごく最近になって確定された。脊髄視床路の起始細胞は次のようにして証明された。①生理学的には、視床の特殊感覚中継核の逆行性刺激、②解剖学的には、西洋ワサビ過酸化酵素horseradish peroxidase (HRP)を用いた逆行性軸索流の追跡によった。これらのデータは、脊髄視床路の線維が脊髄では対側性に主に第Ⅰ、Ⅳおよび第Ⅴ層の細胞からでることを裏付けているもっとも、いくらかの線維は第Ⅵ層と第Ⅶ層の細胞から起こっている。霊長類の動物で、大量のHRPを注入すると、多数の脊髄視床路のニューロンが反対側の下位腰髄に見出される。脊髄の各領域では同側性に標識された脊髄視床路のニューロンは全体の約10%を占めている。脊髄視床路を形成するニューロンは異なった髄節や灰白層では大きさ、形、数量が変わる不均質な細胞分布でできている。後角内の一時間核線維の神経終末とこれと関わるシナプス結合に関する詳細は不明であるが、求心性線維が第Ⅳ層と第Ⅴ層の細胞の樹状突起と接触していることは考えられることである。脊髄視床路は白前交連で交叉するが、その交叉はいくつかの髄節わたり、また対側性に上行する。前脊髄小脳路を形成する線維は前索と前外側索を上行し、また、体部位局在的に配置されているので、仙髄と腰髄からはじまる線維は最も外側で、胸髄と頚髄からのものは最も内側を占める。前脊髄視床路は、一部の線維かまたは側枝が網様体の核に投射しているから、延髄の高さで大きさが小さくなる。この伝導路を構成する脊髄視床路線維は橋および中脳で内側毛帯と密接に関連をもっている。中のレベルでは前脊髄視床路は2つの構成成分から成る。外側部分の線維は大きくて視床後核と後外側腹側核尾部(VPLc)視床核に終止し、内側の線維は中心灰白質と両側性に髄板内核とに投射する。前脊髄視床路の線維は”軽い触覚”の感覚に関係するインパルスを伝達する。この感覚は毛のないところの皮膚を羽毛や綿辺でさすることで起こされる。前脊髄視床路の損傷は、たとえあるとしても、非常に軽い障害しか起こさない。これは触覚が、後索によっても伝達されるからである)

Lateral funiculus of spinal cord(側索(脊髄の))Funiculus lateralis (Medullae spinalis) そくさく(せきずいの) Feneis: 272 26

[A14_1_02_215] →(脊髄の側索は脊髄白質で前外側溝と後外側溝にはさまれた部分をいう。おおよそ歯状靱帯付着部と後根侵入部との間の部分に相当する。側索と前索の移行部は前側索と称される。側索には脊髄下行路(錐体側索路、赤核脊髄路、網様体脊髄路)、脊髄上行路(脊髄小脳路、脊髄視蓋路、脊髄視床路)および固有束が通る。下行路は灰白質近くの内側部を、上行路は外側表層近くを通る傾向にある。下行路のうち錐体側索路(外側皮質脊髄路)がもっとも背側を通り、その腹側を赤核脊髄路が下行する。さらに腹側でⅨ層の背外側近くを延髄網様体脊髄路が下行する。上行路では後脊髄小脳路が最も背外側の部分を通り、その腹側を前および吻側脊髄小脳路が上行する。脊髄網様体路、脊髄視蓋路を含む外側脊髄視床路は最も腹側の前側索を通る。これら以外に多数の上行性および下行性固有束の線維が混在している。また後角の後外側表層には後外側束がある。)

Lateral fasciculus proprius(側索固有束;外側固有束)Fasciculus proprius laterales そくさくこゆうそく;がいそくこゆうそく Feneis: 272 27

[A14_1_02_216] →(外側固有束は側索は前根と後根をつくる最外側の根糸の間を占有する白質で、その中を走る固有線維を総合して外側固有束という。この神経束も脊髄全長を通して存在し、膨大部ではよく発達している。この固有束も種々の長さをもつ上行性および下行性線維からできている。ただし、この神経束はもっぱら同側性の分節を連絡する線維から構成されている。これらの線維の起始ニューロンは口中と中間質に局在し、一部が前柱に存在する。側索の灰白質に近い領域をlateral limiting layerとよび、この層を背側半と腹側半に分ける。また、とくに脊髄上部でみられる後柱基部の外側部にみられる灰白質と白質の混じり合った部分を網様体という。外側固有束は主としてlateral limiting layerと網様体の領域を走行している。側索には重要な上行性と下行性の長い神経路が走っているが、固有束線維はいずれの投射路の間にも混在している。)

Fastigiospinal tract(室頂核脊髄路)Tractus fastigiospinalis しつちょうかくせきずいろ

[A14_1_02_217] →(室頂核脊髄線維は小脳の室頂核から出て下行し、反対側の脊髄の頚部、ときにはさらに下方の灰白質に終わる線維。)

Interpositospinal tract(中位核脊髄路)Tractus interpositospinalis ちゅういかくせきずいろ

[A14_1_02_218] →(中位核脊髄路は小脳の前・後中位核からおこり脊髄に下行する線維束。)

Lateral corticospinal tract; Lateral pyramidal tract(外側皮質脊髄路;錐体側索路)Tractus corticospinalis lateralis; Tractus pyramidalis lateralis がいそくひしつせきずいろ;すういたいそくさくろ Feneis: 272 28

[A14_1_02_219] →(錐体側索路 錐体路線維のうち、錐体交叉で交叉する線維で構成される神経路をいう。反対側の脊髄側索後部(後側索ないし背側索)を下行し、途中で漸次脊髄灰白質に線維を出しながら、次第に小さな線維束となり脊髄下端まで達する。通常、9割以上の錐体路線維が交叉性で錐体側索を通ると考えられているが、これら交叉性の錐体路線維と錐体前索路を通る非交叉性のものとの割合は、特にヒトでは個体差が著しい。[医学大辞典:高田昌彦] 外側皮質脊髄路は脊髄全長にわたって下行し、全髄節の灰白質に線維を送り、尾方へ行くに従って徐々に小さくなる。下位腰髄と仙髄で後脊髄小脳路の下方では、外側皮質脊髄の線維が脊髄の背外側表面に達する。交叉性外側皮質脊髄路音線維は中間部で脊髄灰白質に入り、第Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の部分に分布する。サルでは少数の線維が直接前角細胞あるいは第Ⅸ層内のその突起に終わる。)

Rubrospinal tract(赤核脊髄路;モナコフ束)Tractus rubrospinalis せきかくせきずいろ;もなこふそくMonakow's tract Feneis: 272 29

[A14_1_02_220] →(赤核脊髄路はモナコフ束ともよばれる。この伝導路の線維は、中脳被蓋の中心部にある卵円形の細胞集団である赤核からおこる。赤核は普通、吻側の小細胞群と尾側の大細胞群に分けられ、それらは動物によって大きさに差がある。赤核脊髄路は赤核の大細胞部から起こる。赤核脊髄路の線維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部それと混在して下行する。赤核脊髄路の線維は体部位局在性に構成されており、核の特定の部分の細胞はきめられた脊髄のレベルに選択的に投射する。頚髄へ投射する線維は赤核の背側および背内側部からおこり、一方腰仙髄に投射する線維は赤核の腹側および腹外側から起こる。胸髄は赤核の中間部から起こる線維を受ける。赤核脊髄路は①脊髄全長を下行する、②第Ⅴ層の外側半分、第Ⅵ層、および第Ⅶ層の背側部および中央部に終止する。赤核は大脳皮質と小脳から線維を受ける。“運動野”皮質からの皮質赤核路線維は赤核の小細胞部には両側性に、大細胞部には同側性に投射する。これらの投射線維はその起始終止とも体部位局在性に配列する。このシナプス結合を通して、皮質赤核路と赤核脊髄路とは共同して体部位局在性に配列した非錐体外路系伝導路として大脳皮質運動領と特定の脊髄レベルの間に存在する。赤核のあらゆる部分が上小脳脚を経てくる交叉性の小脳遠心線維を受ける。歯状核からの線維は赤核の前1/3に投射し、中位核(ヒトの球状核と栓状核に相当する)からの線維は体部位局在的に小脳皮質の部分と赤核の大細胞部とを関係づけている。赤核の細胞を刺激すると対側の屈筋のα運動ニューロンに興奮性シナプス後電位が発生し、また、伸筋のα運動ニューロンに抑制的シナプス後電位が発生する。赤核脊髄路の最も重要な機能は屈筋群の筋緊張の制御に関与することである。 Monakow, Constantin von (1853-1930) スイスの神経学者。大脳皮質の機能局在を明示し(Die Lolcalisation in Grosshirn u. der Abbau der Funktion durch kortical Herde, 1914)、モナコフ束(赤核脊髄路)を記述(Der rote Kern, die Haube u. die Regio hypothalamica bei einigen Saeugetieren und beim Menschen, Arb. Hirnanat. Inst. Zuerich, 1909, 3, 51-267; 1910, 4, 103-225)。)

Bulboreticulospinal tract; Medullary reticulospinal tract; Lateral reticulospinal tract(延髄網様体脊髄路;外側網様体脊髄路)Tractus bulboreticulospinalis えんずいもうようたいせきずいろ;がいそくもうようたいせきずいろ Feneis: 272 30

[A14_1_02_221] →(延髄網様体脊髄路は延髄網様体の内側2/3から起こる。線維の最も多くは巨大細胞性網様核から起こる。この核は下オリーブ核群の背側で、傍正中部の外側にある。この核はその名前が示すように、特徴的な大きい細胞から構成されるが、加えて、この領域には多数の中等大の細胞と小細胞が存在する。延髄網様体脊髄路の神経線維は脊髄レベルへ両側に投射し(交叉性と非交叉性)、主に側索の前部を下行する。反対側への線維は延髄で交叉をするが、非交叉性線維よりは数が少ない。延髄網様体脊髄路のいくらかの線維は脊髄の全長を下行する。橋と延髄から起こる網様体脊髄路は脊髄では明確には分離していない。延髄網様体脊髄路の線維は主として第Ⅶ層に終わるが、少数の線維は第Ⅸ層に終わる。延髄網様体脊髄路のうちいくつかの構成部分は生理学的に証明されている。すなわち①多くの脊髄レベルに側副枝を出す長い投射路と②巨大細胞性網様体核の吻背側領域から主として起こる頚髄への短い投射路である。橋と延髄から起こる網様体脊髄路は、大部分が介在ニューロンの細胞体や樹状突起に終止する。ただ、いくらかは運動ニューロンに直接終わる。延髄網様体脊髄路は、皮質脊髄路と赤核脊髄路からの線維も一部受ける灰白質層の部位に終止する。)

Olivospinal fibres; Olivospinal fibers(オリーブ核脊髄線維;ヘルウェク三稜路)Fibrae olivospinales おりーぶかくせきずいせんい;へるうぇくさんりょうろ Feneis: 272 33

[A14_1_02_223] →(ヘルウェグ束(Helweg bundle)ともよばれる。オリーブ核脊髄線維は脊髄側索辺縁にある細い神経束。むしろspinoolivary(脊髄オリーブ線維)とするほうがよい。)

Spinotectal tract(脊髄視蓋路)Tractus spinotectalis せきずいしがいろ Feneis: 274 01

[A14_1_02_224] →(脊髄視蓋路は上丘深層へ投射するがその数は多くない。脊髄視蓋路の起始細胞は後角の第Ⅰ層と第Ⅴ層に存在している。この交叉性伝導路の神経戦は脊髄視床路系に密接して脊髄の前外側部を上行するが、中脳の高さで上丘の中間層と深層と中心灰白質の外側部に投射する。上丘への体性感覚入力は脊髄の第Ⅳ層の細胞からも幾分かは起こるが、主な入力は楔状束核および三叉神経脊髄路核のすべての部分から起こる。これらの入力は体位部位的局在的に構成されており、頭部からの近くは上丘の上部に終わる。上丘は、①主に視覚入力を受ける浅層と②いろいろな多感覚性の入力を受ける深層の2つに区分けされる。浅層は深層とは明らかに異なる投射様式を示すが、この浅層もまた深層に投射する。)

Lateral spinothalamic tract(外側脊髄視床路)Tractus spinothalamicus lateralis がいそくせきずいししょうろ Feneis: 274 02

[A14_1_02_225] →(この伝導路は前脊髄視床路と密接に関係しているが、痛覚や温度覚に関係するインパルスを伝達するため、臨床医学上はるかに重要である。この経路の線維はより集中化され、視床に直接投射する長い線維を含んでいる。前脊髄視床路の起始細胞に関する知見は外側脊髄視床路にもあてはまる。主として第Ⅰ層、Ⅳ層および第Ⅴ層の細胞が、白前交連で交叉して反対側の側索を外側脊髄視床路として上行する軸索の大部分を出している。この伝導路の線維は斜めに反対側へ横断するが、普通一髄節内で行われる。この伝導路はまた前脊髄視床路と類似した配列で体部位局在的に構成されており、また前脊髄小脳路の内側に位置している。痛覚と温度覚に関係する神経線維は不完全に分離している。温度覚に関係する線維は痛覚に関係する線維の後側に位置する傾向がある。脳幹にあってはこの伝導路は網様体に枝を出すが、主幹は視床の後外側腹側核尾部(VPLc)に終わる。)

Anterior spinocerebellar tract; Ventral spinocerebellar tract(前脊髄小脳路;腹側脊髄小脳路;ガワース路)Tractus spinocerebellaris anterior ぜんせきずいしょうのうろ;ふくそくせきずいしょうのうろ;がわーすろGower's tract Feneis: 274 03

[A14_1_02_226] →(ガワーズ路ともよばれる。前脊髄小脳路は発育が悪い。この伝導路は後脊髄小脳路の前方で脊髄の外側辺縁部に沿って上行する。これは最初下部胸髄にあらわれるが、その起始細胞は胸髄核ほどには、はっきりと分離していない。線維は第Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の一部の細胞から起こる。この伝導路の起始となる細胞は、尾髄と仙髄から上方へ第一腰髄まで広がっている。前脊髄小脳路の線維は後脊髄小脳路より数が少なく、均一に太く、また、結局すべて交叉する。後脊髄小脳路のように、主として下肢からのインパルスの伝達に関与する。前脊髄小脳路を出す細胞はGolgi腱器官由来のⅠb群求心性線維からの単シナプス性興奮を受けるが、そのGolgi腱器官の受容範囲はしばしば下肢の各関節における一つの協力筋群を包含している。小脳へのこの経路は2個のニューロンで構成されている。すなわち①脊髄神経節のニューロンⅠおよび②腰髄、仙髄および尾髄の前角と後角の基部の散在性の細胞群のニューロンⅡである。ニューロンⅡの線維は脊髄内で交叉し外脊髄視床路の線維の辺縁部を上行する。その線維は橋上位の高さで上小脳脚の背側面を通って小脳に入る。この伝導路の大部分の線維はは対側の小脳虫部の前部のⅠからⅣ小葉に終わる。おの伝導路線維は下肢全体の協調運動や姿勢に関係するインパルスを伝達する。臨床的には、他の脊髄伝導路が混在するために、脊髄小脳路の損傷に対する影響を決めることは結局不可能である。小脳へ投射されるインパルスは意識の領野には入らないから、このような損傷によって触覚や運動覚が失われることはない。Gowers, Sir William Richard(1845-1915)イギリスの神経科医、病理学者。ロンドン大学の教授。ヘモグロビン測定器の発明(1878年)、検眼鏡の活用に尽力し、ブライト病での眼底所見を示す(1876年)。脊髄疾患について記し、このときガワーズ路を記述(「The diagnosis of disease of the spinal cord」, 1880)。彼はまた速記術に興味を持ち、医学表音速記者協会を創設した。)

Posterior spinocerebellar tract; Dorsal spinocerebellar tract(後脊髄小脳路;背側脊髄小脳路;フレヒシッヒ束)Tractus spinocerebellaris posterior こうせきずいしょうのうろ;はいそくせきずいしょうのうろ;ふれひしっひそくFlechsig's tract Feneis: 274 04

[A14_1_02_227] →(後脊髄小脳路は胸髄核から出て交叉せずにすぐ側索周辺部の背側部を上行し、下小脳脚を通って同側の小脳の前葉、一部は虫部錐体、虫部垂などの皮膚に達する。脊髄の側索後外側辺縁部を上行するこの非交叉性の伝導路は胸髄核の大細胞から起始する。後根の求心性線維は直接に、または後索を上下行した後に胸髄核に終わる。胸髄核の大細胞は太い線維を出し、これは側索の後外側部(すなわち皮質脊髄路の外側)に入り、上行する。延髄にあってはこの伝導路の線維は下小脳脚に組み込まれ、小脳に入って同側性に虫部の吻側と尾側に終わる。虫部全部では線維は第Ⅰ小葉から第Ⅳ小葉に終わり、後部では主として虫部錐体と正中傍小葉に終わる。胸髄核は第三胸髄から尾方には存在しないから、尾方の髄節からの後根線維はまず後索内を上位の胸髄まで伝達され、それから胸髄核の細胞へ伝えられる。後脊髄小脳路を経由して小脳へ中継されるインパルスは伸展受容器である筋紡錘やGolgi腱器官および触圧覚受容器から起こる。胸髄核のニューロンは主としてⅠa群、Ⅰb群およびⅡ群の求心線維を経由する単シナプス性興奮を受ける。Ⅰ群の求心性線維と胸髄核の間のシナプス結合では高頻度のインパルスの伝達が行われる。一部の外受容器由来のインパルスもまた後脊髄小脳路を経由して伝達される。これらは皮膚の触覚と圧覚の受容器およびゆっくり反応する圧受容器に関係する。後脊髄小脳路は脊髄レベルおよび小脳の終始部において体部位局在性に配列されている。伝導路によって伝達されるインパルスは意識のレベルに達することはない。これらの伝導路によって伝達されるインパルスは姿勢とここの四肢筋の運動の細かい協調作用に役立っている。)

Cerebellospinal fibers(小脳脊髄線維;小脳脊髄束;小脳脊髄路)Fibrae cerebellospinales; Fasciculus cerebellospinalis しょうのうせきずいせんい;しょうのうせきずいろ

[A14_1_02_227a]→小脳脊髄線維は小脳の室頂核と介在する(主として後)小脳核から起こり、脊髄の対側を下降する線維束。

Posterolateral tract; Dorsolateral tract(後外側路;背外側路)Tractus posterolateralis こうがいそくろ;はいがいそくろLissauer's tract Feneis: 274 05

[A14_1_02_228] →(リッスウェル路Lissauer's tractとも呼ばれる。側索の後外側部と後索の外側部との間にあって、後核の背側表面をおおう薄い線維層を指す。後根線維の外側群に相当する。後根神経節に由来する細い線維で、分岐した後、数mm上行あるいは下行し、その間の後角のⅠ層~Ⅲ層におわる。痛覚および温覚を伝える。Lissauer, Heinrich(1861-1891)ドイツの神経科医、Lissauer's tract or bundle, Lissauer's zone (marginal zone)に名を残した。肉体的、精神的荒廃、てんかん発作、片麻痺、失語症などの症状を伴う進行性麻痺をLissauer's paresisというが、この1855年に書かれた論文は、Lissauerが30歳で他界したあと10年を経て、E.Storch(1901)によってUber einige Falle atypischer progressiver Paralyse. Nach einem hinterlassenen Manuskript Dr. H. Lissauer's. Mschr Psychiat Neurol 9: 401-434, 1901として発表した。)

Posterior part of lateral funiculus of spinal cord(側索後部(脊髄の))Pars posterior funiculi lateralis (Medullae spinalis) そくさくこうぶ(せきずいの) [A14_1_02_229]

Spino-olivary tract(脊髄オリーブ路;脊髄オリーブ核路)Tractus spinoolivaris せきずいおりーぶろ;せきずいおりーぶかくろHelweg's tract Feneis: 274 06

[A14_1_02_230] →(ヘルベック路とも呼ばれる。脊髄オリーブ路は脊髄小脳回路のもう一つの経路であり、脊髄からのインパルスを下オリーブ核の一部を経て小脳に中継する。これには2つの最も明瞭な伝導路、すなわち後脊髄オリーブ小脳路と前脊髄オリーブ小脳路がある。後脊髄オリーブ路の線維は後索を上行して楔状束核と薄束核の細胞にシナプス結合し、ここから副オリーブ核にインパルスが伝えられる。複数の前脊髄小脳路の線維は反tないそくの前索を上行し、背側および内側副オリーブ核の種々な部位に終止する。脊髄オリーブ路を形成する線維は脊髄のあらゆるレベルから起こり、皮膚と筋の求心性線維群受容器の興奮によって活動する。副オリーブ核は主に小脳の前葉に投射する交叉性のオリーブ小脳路の起始となる。『ヘルベック』 helweg, Hans Kristian Saxtorph (1847-1901) デンマークの医師、精神医学者・脊髄のヘルベック束(脊髄オリーブ核路)を記述。 (Arch. F. Psychiatr., 1887, 79, 104-))

Spinoreticular tract(脊髄網様体路)Tractus spinoreticularis せきずいもうようたいろ Feneis: 274 07

[A14_1_02_231] →(かなりの数の脊髄網様体路の線維が後角の細胞から起こり、脊髄の前外側部を上行し、脳幹網様体の広範囲の領域に分布する。この遠位は大部分非交叉性で、主として延髄の巨大細胞性網様体核の細胞に終わる。橋の網様体に至る脊髄網様体路は両側性に分布する。脊髄網様体路の少数の線維が中脳網様体へ達する。機能的には、脊髄網様体路の線維は系統発生学的に古い多シナプス系統の一構成要素であり、行動上の感知、運動や感覚の活動調節および皮質脳波の賦活を調節する上で重要な役割を果たしている。)

Caeruleospinal tract(青斑核脊髄路)Tractus caeruleospinalis せいはんかくせきずいろ

[A14_1_02_232] →(青斑核脊髄路は青斑核および青斑核下屋から起こり両側性に下行して脊髄全レベルの灰白質に投射する線維束で、脊髄へのノルアドレナリン性投射の主たるものである。)

Hypothalamospinal fibres; Hypothalamospinal fibers(視床下部脊髄線維)Fibrae hypothalamospinales ししょうかぶせきずいせんい

[A14_1_02_233] →(視床下部脊髄線維は室傍核および視床下部の後部・外側部領域より起こり、同側脳幹の腹外側部を通り脊髄の側索にはいり中間外側核に終わる線維。)

Lateral raphespinal tract(外側縫線核脊髄路)Tractus raphespinalis lateralis がいそくほうせんかくせきずいろ

[A14_1_02_234] →(外側縫線核脊髄路は大縫線核から起こり側索後部を下行して脊髄後核に終わる線維束。このセロトニン性線維は後角で痛覚上方の抑制にかかわっている。)

Solitariospinal tract(孤束核脊髄路)Tractus solitariospinalis こそくかくせきずいろ

[A14_1_02_235] →(孤束核脊髄路は孤束核からおこり両側性に下行して主に側索の背部に終わる線維束。)

Spinocervical tract(脊髄頚髄路)Tractus spinocervicalis せきずいけいずいろ

[A14_1_02_236] →(脊髄頚神経路は脊髄後柱に起始して外側頚髄核に終わる神経路。後柱に分布する起始ニューロンの軸索は非交差性に側索背部を上行する。)

Spinovestibular tract(脊髄前庭路;脊髄前庭神経核路)Tractus spinovestibularis せきずいぜんていろ;せきずいぜんていしんけいかくろ

[A14_1_02_237] →(脊髄前庭線維は、主として脊髄尾側レベルより起こり、同側を上行して、前庭神経外側核、および前庭神経外側核、および前庭神経内側核と前庭神経下核の尾側部に終止する。)

Trigeminospinal tract(三叉神経脊髄路)Tractus trigeminospinalis さんさしんけいせきずいろ

[A14_1_02_238] →(三叉神経脊髄路は延髄から橋の横断面上にコンマ状に明確に認められる線維束。脊髄路核の各部の第Ⅰ層と第Ⅲ層細胞から起こる。これらのうち、下部と中間部からの線維は同側性であるが、上部からのものは両側性に下行し、後柱に入る感覚性上方を調節し、種々の反射に関係し、さらに三叉神経支配の受容器と脊髄の体性および内臓性効果器を連絡している。)

Posterior funiculus of spinal cord; Dorsal funiculus of spinal cord; Dorsal column of spinal cord; Dorsal white column; Posterior white column of spinal cord;; Posterior column of spinal cord white(後索;背側索(脊髄の))Funiculus posterior (Medullae spinalis) こうさく;はいそくさく(せきずいの) Feneis: 274 08

[A14_1_02_239] →(脊髄の後正中溝と後角との間にある白質をいう。後索はさらに内側部の薄束と外側部の楔状束とに分けられる。いずれもその主体をなすのは後根神経節細胞の上行性軸索で薄束は下半身(T6以下)に由来し、楔状束は上半身(T5以上)に由来する。すなわち楔状束は胸髄上部より吻側に、胸髄下部以下では薄束のみが存在する。後索の線維の配列には身体部位局在があり、下位からのものは内側に、上位からのものは外側を上行する。これらの線維は内層毛帯を出す延髄の後索核におわる。T5以上では外楔状束核におわる線維が走る。その他、後索核に投射する脊髄後角の細胞の軸索も上行する。後索の線維は皮膚、関節、筋に由来し、識別性のある触覚覚、運動覚、振動覚、2点弁別を伝える。後索における後根線維の下行枝はいろいろの離れた所へ投射する。この線維は胸髄核の一部やⅥ層の内側に細胞に終わる。頚髄および上部胸髄で下行する線維束は束間束を作り、腰髄では中隔縁束を作る。後索核の細胞もまた同側の後索に下行性線維を送る。これらは第Ⅳ、Ⅴ層と多分第1層にも終止し、感覚性情報の上への伝達を調節していると思われる。)

Posterior fasciculus proprius; Dorsal fasciculus proprius(後索固有束;後固有束;背側固有束)Fasciculus proprius posterior こうさくこゆうそく;こうこゆうそく;はいそくこゆうそく Feneis: 274 09

[A14_1_02_240] →(後固有束は灰白質に接す。脊髄節間を連絡し協調運動に役立つ。後柱にコンマ束、中隔縁束、角交連束などとよばれる固有脊髄系に数えられる線維束が存在する。そのため後固有束とこれらの線維束との関係について研究者の見解が分かれる。多くの研究者が後固有束を角交連束と同じとみなし、両者を区別していない。固有束線維は前索でも、側索でもその全域に散在性にひろがって存在している。後固有束を後索の固有線維の総称名として用いている。)

Septomarginal fasciculus(中隔縁束)Fasciculus septomarginalis ちゅうかくえんそくFlechsig, Oval bundle of Feneis: 274 10

[A14_1_02_241] →(中隔縁束は卵円野ともよぶ。これは胸髄下部から腰髄の高さで、後索に入った後根線維内側群の下行枝が薄束の内側部、すなわち後正中中隔に接して集まってできた線維束である。後根を通過っして後索に親友する一次求心性感覚線維は、分岐して下行性に向かう側副枝を出す。下半身から脊髄に到達した感覚線維は薄束を形成し、その下行枝が中隔縁束をつくる。中隔縁束はコンマ束(束間束)と部位によって癒合することが認められ、また他方卵円野より腹側の正中域に中隔縁束と別の神経束として前中隔線維の存在も報告されている。)

Interfascicular fasciculus(束間束;半月束;コンマ束;半円束;下行部;コンマ状部(後索の))Fasciculus interfascicularis; Fasciculus semilunaris; Pars descendens funiculus posterior そくかんそく;はんげつそく;こんまそく;はんえんそく;かこうぶ;こんまじょうぶ(こうさくの)Hoche, Bundle of, Tract of; Phillippe-Gombault, Triangle of; Schultze's comma tract Feneis: 274 11

[A14_1_02_242] →(後索の主体を構成する薄束と楔状束の間に存在するコンマ形の領域をコンマ野comma fieldとよび、この部を形成する線維群をコンマ束comma tractという。この神経束の存在はWestphal (1880)によって最初に記載されたが、Schultze(1883)がコンマ束の名称を使ったことから後年Schultzesches Kommaの用語が広く使われるようになった。かれはC4とC5のレベル後根を横断したとき、手術巣から約2.5cm尾側でコンマ上の領域に変性繊維の集団を出現することを記載した。コンマ束はその位置から束間束または半月束ともよばれる。典型的なコンマ状を呈する変性線維の束は、頚髄に侵入する後根を切断したとき、胸髄上部の後索で観察することができる。しかしその時もコンマ束の形状と出現位置は正確には一致しない。コンマ状を尾方にに辿るとその形が変化し、コンマの頭の部分だけになり、尾の部分がなくなる。胸髄下半分以下で後根を切断しても、腰仙髄への後索でコンマ束を認めることはできない。これらのことを総称して、この固有束は頚神経と第1~7胸神経の後根由来の付帯的な下行枝によって構成される神経束とであると考えられる。胸髄下半分とそれ以下の後根から進入する線維の下行枝は後索内では分散して走行し、コンマ束となってまとまることはない。コンマ束は頚髄および胸部上半部に親友する後根線維の下行性分枝からなり、胸髄中央部以下に入る後根線維の下行枝はコンマ野に入らず、分散して下行枝、まとまりを示さないと考えられる。内在性の介在ニューロンの軸索の参加は完全には否定できないが、たとえあってもその数は少ない。T7以下で後根を切断してもコンマ束線維の変性は起こらない。後根線維の下行性分枝はコンマ区束、または中隔縁束、とくに卵円野領域を主として下行するとみられる。人ではC5からC6後根線維の下行枝はT12レベルまで追跡でき、C8の切断でもT12までたどれる。T4での切断では仙髄まで変性線維を追うことができる。これらの線維は後柱および後交連の領域に進入し、終末する。)

Gracile fasciculus(薄束;ゴル索;内側部(後索の))Fasciculus gracilis; Pars medialis funiculus posterior はくそく;ないそくぶ;ごるそく(こうさくの)Goll's tract Feneis: 274 12

[A14_1_02_243] →(薄束はゴル束ともよばれる。楔状束(ブルダッハ束)とともに脊髄後索をなす。両側の後索は胸髄上部と頚髄において後中間中隔によって2分される。この中隔はおよそ第六胸髄の高さで認められ、薄束(内側)と楔状束(外側)を分ける。薄束は脊髄全長にわたって存在し、仙髄部、腰髄部、下位6胸髄部の後根由来の長い上行枝を含む。薄束は後索の内側部にある。体の下半分から線維を含む。触覚と深部知覚を伝える。Goll, Frindrich (1829-1903)スイスの解剖学者、チューリヒ大学の教授。脊髄後索の内側部(薄束)について1860年に記述(「Beitrage zur feineren Anatomie・・・」;, Denk. Medchir. Ges. Kanton Zurich, 1860, 130-171).)

Cuneate fasciculus(楔状束;外側部;ブルダッハ索(後索の))Fasciculus cuneatus; Pars lateralis funiculus posterior けつじょうそく;がいそくぶ;ぶるだっはさく(こうさくの)Burdach's tract Feneis: 274 13

[A14_1_02_244] →(楔状束はブルダッハ束ともよばれる。楔状束は最初、およそ第六胸髄の高さで出現し、上位の6胸神経と前頚神経の後根の長い上行枝を含む。薄束と楔状束の神経線維は同側を上行し、後索の延髄中継核、すなわち薄束核と楔状束核に終わる。後索系には2部があり、薄束(Goll束)および楔状束(Burdach束)として脊髄の後索を上行する。これらの線維束は太い後根線維の直接の続きであって、延髄の後索核にまで達してシナプス結合する。後索系は主として四肢から起こる線維からなり、系統発生的に新しくて、ヒトでもっとも発達している。ヒトではこの線維の長さは長いもので約150cmである。楔状束は後索の外側部。身体の上半分から起こる線維を含む。ドイツの解剖・生理学者Karl Friedrich Burdach (1776-1847)の名を冠する。以前に同部についての報告はあったが、ブルダッハの正確な報告で知られるようになった。)

Cuneospinal fibres(楔状束核脊髄線維;楔状束脊髄線維)Fibrae cuneospinales けつじょうそくかくせきずいせんい;けつじょうそくせきずいせんい

[A14_1_02_245] →(楔状束脊髄線維は延髄の楔状束から起こり、同側の楔状束を下行して頚部および上胸部の脊髄後角に終わる線維。)

Gracilespinal fibres(薄束脊髄線維;薄束脊髄線維)Fibrae gracilispinales はくそくせきずいせんい;はくそくせきずいせんい

[A14_1_02_246] →(薄束脊髄線維は延髄の薄束核から起こり、同側の薄束を下行して下胸部および腰仙骨部の脊髄後角に終わる線維。)

Spinocuneate fibres(脊髄楔状束核線維;脊髄楔状束線維)Fibrae spinocuneatae せきずいけつじょうそくかくせんい;せきずいけつじょうそくせんい

[A14_1_02_247] →(脊髄楔状束線維は頚部・上胸部脊髄の後角細胞から起こり、同側の楔状束を上行して楔状束核に終わる神経線維。シナプス後後柱システムの一部をなす。)

Spinogracile fibres(脊髄薄束核線維;脊髄薄束線維)Fibrae spinograciles せきずいはくそくかくしんけい;せきずいはくそくしんけい

[A14_1_02_248] →(脊髄薄束線維は下胸部・腰仙骨部脊髄の後角細胞から起こり、同側の薄束を上行して薄束核に終わる神経線維。シナプス後後柱システムの一部をなす。)

Central cord structures(脊髄中心灰白質の構造)Structurae centrales medullae spinalis せきずいちゅうしんかいはくしつのこうぞう [A14_1_02_301]

Spinal area X; Spinal lamina X(第X脊髄野;脊髄第X層)Area spinalis X; Lamina spinalis X だい10せきずいや;せきずいだい10そう

[A14_1_02_302] →(第Ⅹ層は脊髄中心管を囲む領域であり介在ニューロン、神経膠細胞、交叉性軸索がそこに含まれている。中心管を取り囲む灰白質は、Rexedによって第10領域10th areaまたはregionとして位置づけられた。これは後索と前白交連の間をなす部位で、中心管によって背側の後灰白交連と、腹側の前科白交連に分けられる。とくに中心管近傍は中心膠様質substantia gelatinosa centralisともよばれる。そこはこの部がグリアと無髄線維を主体に構成され、ゼラチン状に見えるからである(weigert1880)。Bok(1928)は、後柱と前柱の灰白質が中心灰白質に移行する部位に出現する細胞群を後および前角交連核nucleus cornucommissuralis posteriorとよんだ。)

Anterior grey commissure of spinal cord; Ventral grey commissure of spinal cord; Anterior gray commissure of spinal cord; Ventarl gray commissure of spinal cord(前灰白交連;腹側灰白交連(脊髄の))Commissura grisea anaterior (Medullae spinalis) せきずいのぜんかいはくこうれん;せきずいのふくそくかいはくこうれん Feneis: 272 16a

[A14_1_02_303] →(灰白交連の前方には、灰白質の神経細胞に由来する交叉線維の束である前白質交連がある。)

Posterior grey commissure of spinal cord; Dorsal grey commissure; Posterior gray commissure of spinal cord; Dorsa gray commissure(後灰白交連;背側灰白交連(脊髄の))Commissura grisea posterior (Medullae spinalis) こうかいはくこうれん;はいそくかいはくこうれん(せきずいの) Feneis: 272 16a

[A14_1_02_304] →(灰白交連の背方には、灰白質の神経細胞に由来する交叉線維の束である後白質交連がある。)

Anterior white commissure of spinal cord; Ventral white commissure of spinal cord(前白交連;腹側白交連(脊髄の))Commissura alba anterior (Medullae spinalis) ぜんはくこうれん;ふくそくはくこうれん(せきずいの) Feneis: 272 18

[A14_1_02_305] →(学名を直訳すると前白交連となるが、英語訳の白前交連が一般的なので採用した。中心管の腹側を通り、一側の脊髄前索内側部から対側の灰白質に向かって、あるいはそれと反対方向に走る線維を指す。これは脊髄からおこり交叉性に上行する上行路、前索を下行し対側の灰白質に交叉性に終止する下行路および交叉性の上行または下行性脊髄固有束の軸索からなっている。)

Posterior white commissure of spinal cord ; Dorsal white commissure of spinal cord(後白交連;背側白交連(脊髄の))Commissura alba posterior (Medullae spinalis) せきずいのこうはくこうれん;せきずいのはいそくはくこうれん Feneis: 272 18a [A14_1_02_306]

Central canal of spinal cord(中心管(脊髄の))Canalis centralis (Medullae spinalis) ちゅうしんかん(せきずいの) Feneis: 270 12

[A14_1_02_019] →(腔壁は上衣によって裏打ちされた神経管の管腔で、その脳部は残存して脳室を形成する。腔所は脳脊髄液でみがされる。脊髄全長を貫いて、脊髄円錐の尾端で終室となっておわる、きわめて細長い管腔をいう。成人脊髄では中心管は所々でつぶれていることが多い。)

Brain(脳)Encephalon のう Feneis: 274 14

[A14_1_03_001] →(脳は3つの基本的な部分から構成されている。すなわち、1対の大脳半球、脳幹および小脳である。1対の大きな大脳半球は脳胞の最前端部の終脳から発生する。脳幹は4つの部分からなりたつ。すなわち、①間脳diencephalon、②中脳mesencephalon、③後脳telencephalon(橋と小脳)、④髄脳myelencephalon(延髄)である。脳幹の最も前部にあたる間脳は前脳(つまり、終脳)と最も密接した関係をもつ。後脳と髄脳は一緒になって菱脳を構成する。小脳は後脳の菱脳唇とよばれる第四脳室の前縁部の外胚葉性肥厚部から発達してくる。)

Rhombencephalon; Hindbrain(菱脳)Rhombencephalon りょうのう Feneis: 274 16

[A14_1_03_002] →(「菱形」を意味するギリシャ語のrhombosと、encephalonを結合したものである。 菱脳は3個の脳胞(前脳、中脳、菱脳)のうちの最尾側のもので、脊髄の頭側につづき頭側半の後脳(橋と小脳)と尾側半の髄脳(=延髄)の2区分される。菱脳の発生において特異なことは、第4週の終わりごろ(第12段階)から蓋板が非常に薄くなるとともに左右にはなはだ広くなるところである。この広く薄くなった蓋板を菱脳蓋という。菱脳蓋の幅は菱脳の中央部(後脳と菱脳の移行部)で最も広く、それより頭側および尾側で次第に狭くなり、菱脳蓋は全体として頭尾方向に細長い菱形となる。頭側の中脳との境界のくびれ(菱脳峡)は第4週の中頃(第11段階)から認められる。蓋板の変化に応じて、はじめ菱脳室の左右の壁をなしていた翼板と基板は、次第に外方に倒れていき、結局、菱脳室の底をつくることになり、全体として菱形窩とよばれる。こうなると底板は菱形窩の正中部を頭尾方向に走る正中溝となり、翼板と基板を境する境界溝は、同名の溝として、正中溝の外側で凸面を外方に向けた弓形をなして頭尾方向に走るようになる。このようにして菱脳室は腹背に扁平で、頭尾に長く、左右に広い菱形の腔となり、第四脳室とよばれる。菱脳蓋は外から間葉組織によって裏打ちされて第四脳室脈絡組織となる。翼板と基板では胚芽層・外套層・縁帯の分化がおこり、外套層は神経細胞で充たされる。このれらの神経細胞は脊髄におけるようなひとつづきの灰白柱をつくらず、いくつかの灰白質塊に断裂する。このような灰白質塊(神経細胞の集団)を神経核という。翼板からは知覚性の、基板からは運動性の脳神経核が生ずるが、これらの配列には整然とした規則性がみられる。基板においては、内側から外側に向かって、①頭部体節由来の骨格筋を支配する体運動核群(M1)、②鰓弓由来の骨格筋を支配する特殊内臓運動核群(M2)、③内臓の平滑筋や腺を支配する一般内臓運動核群(M3)が分化し、翼板においては、同様に①内臓からの求心線維を受け入れる一般内臓知覚核(S1)、②鰓弓領域に発する味覚線維を受け取る特殊内臓知覚核(S2)、③頭顔部の皮膚からの知覚線維を受け取る体知覚核(S3)と④内耳からの求心線維を受ける特殊体知覚核(S4)が分化する。基板および翼板からは、以上の諸核をつくるもののほかに、多数の神経細胞が発生する。これは特別の細胞集団をつくることなく、外套層の中に散在し、これらの神経突起は同側性および交叉性に上行・下行して、脳および脊髄の下腔bに達する。このようにして特定の神経核以外の部分では、外套層は交錯する神経線維の間に神経細胞が散在する状態となり、網様体と名づけられる。また交叉性神経線維はすべて底板の縁帯は交叉線維に満たされて著しく肥厚し、正中縫線となる。翼板と蓋板の移行部を菱脳唇という。後脳の菱脳唇は巨大に発育して小脳を形成する。髄脳は菱脳唇は多数の神経細胞を生ずるが、これらは縁帯の中を腹内方に遊走し、基板の縁帯の中に大きい神経核をつくる。頭側部から生じた神経細胞は後脳の腹側部に橋核、尾側部から生じたものは髄脳の腹側部にオリーブ核を形成する。)

Rhombencephalic isthmus(菱脳峡)Isthmus rhombencephali りょうのう

[A14_1_03_002a]→「菱形」を意味するギリシャ語のrhombosと、encephalonを結合したものである。 菱脳は3個の脳胞(前脳、中脳、菱脳)のうちの最尾側のもので、脊髄の頭側につづき頭側半の後脳(橋と小脳)と尾側半の髄脳(=延髄)の2区分される。菱脳の発生において特異なことは、第4週の終わりごろ(第12段階)から蓋板が非常に薄くなるとともに左右にはなはだ広くなるところである。この広く薄くなった蓋板を菱脳蓋という。菱脳蓋の幅は菱脳の中央部(後脳と菱脳の移行部)で最も広く、それより頭側および尾側で次第に狭くなり、菱脳蓋は全体として頭尾方向に細長い菱形となる。頭側の中脳との境界のくびれ(菱脳峡)は第4週の中頃(第11段階)から認められる。蓋板の変化に応じて、はじめ菱脳室の左右の壁をなしていた翼板と基板は、次第に外方に倒れていき、結局、菱脳室の底をつくることになり、全体として菱形窩とよばれる。こうなると底板は菱形窩の正中部を頭尾方向に走る正中溝となり、翼板と基板を境する境界溝は、同名の溝として、正中溝の外側で凸面を外方に向けた弓形をなして頭尾方向に走るようになる。このようにして菱脳室は腹背に扁平で、頭尾に長く、左右に広い菱形の腔となり、第四脳室とよばれる。菱脳蓋は外から間葉組織によって裏打ちされて第四脳室脈絡組織となる。翼板と基板では胚芽層・外套層・縁帯の分化がおこり、外套層は神経細胞で充たされる。このれらの神経細胞は脊髄におけるようなひとつづきの灰白柱をつくらず、いくつかの灰白質塊に断裂する。このような灰白質塊(神経細胞の集団)を神経核という。翼板からは知覚性の、基板からは運動性の脳神経核が生ずるが、これらの配列には整然とした規則性がみられる。基板においては、内側から外側に向かって、①頭部体節由来の骨格筋を支配する体運動核群(M1)、②鰓弓由来の骨格筋を支配する特殊内臓運動核群(M2)、③内臓の平滑筋や腺を支配する一般内臓運動核群(M3)が分化し、翼板においては、同様に①内臓からの求心線維を受け入れる一般内臓知覚核(S1)、②鰓弓領域に発する味覚線維を受け取る特殊内臓知覚核(S2)、③頭顔部の皮膚からの知覚線維を受け取る体知覚核(S3)と④内耳からの求心線維を受ける特殊体知覚核(S4)が分化する。基板および翼板からは、以上の諸核をつくるもののほかに、多数の神経細胞が発生する。これは特別の細胞集団をつくることなく、外套層の中に散在し、これらの神経突起は同側性および交叉性に上行・下行して、脳および脊髄の下腔bに達する。このようにして特定の神経核以外の部分では、外套層は交錯する神経線維の間に神経細胞が散在する状態となり、網様体と名づけられる。また交叉性神経線維はすべて底板の縁帯は交叉線維に満たされて著しく肥厚し、正中縫線となる。翼板と蓋板の移行部を菱脳唇という。後脳の菱脳唇は巨大に発育して小脳を形成する。髄脳は菱脳唇は多数の神経細胞を生ずるが、これらは縁帯の中を腹内方に遊走し、基板の縁帯の中に大きい神経核をつくる。頭側部から生じた神経細胞は後脳の腹側部に橋核、尾側部から生じたものは髄脳の腹側部にオリーブ核を形成する。

Myelencephalon; Medulla oblongata; Bulb(髄脳;延髄;脊髄球)Myelencephalon; Medulla oblongata; Bulb ずいのう;えんずい;せきずいきゅう Feneis: 274 17

[A14_1_03_003] →(脳幹の最下部に位置し、直接脊髄に連続する。錐体交叉の下部境界から上にのびて橋に至る。Mylencephalonは、「脊髄」を意味するギリシャ語のmyelosと、「脳」を意味するencephalonを結合してつくられた言葉で、脳の中で一番脊髄側にある部分を指す。Medulla oblongataという語は、元来脊髄の吻側への延長部、すなわち脳全体を指す言葉であったが、後に脳のなかで脊髄に隣接した領域だけを指すようになった。延髄は、脊髄に比べやや膨らんでいるので、bulus「球」とよばれることがある。 脳幹の最尾部で尾方は第一頚神経の根を境として、脊髄に、吻側は橋に移行する。①外表面:外表面には脊髄の前正中裂、前外側溝、後外側溝および後正中溝につづく溝がみられる。前正中裂と前外側溝との間の隆まりは(延髄)錐体ととよばれ、錐体路に相当する。錐体交叉は前正中裂を横切って走る線維として外表面からも認められる。前外側溝と後外側溝との間には背側と腹側に隆起がある。腹側の楕円形の隆起はオリーブで、中にはオリーブ核がある。背側の隆起は灰白結節で、三叉神経脊髄路と脊髄路核に相当する。後中間溝と後外側溝の間には楔状束核と薄束核に一致して、外側には楔状束結節と内側には薄束結節とがみられる。さらに上外方には下小脳脚が存在する。②横断面:脊髄との移行部の高さでは、中心管の背側には後索核(楔状束核と薄束核)がある。これらの核からの線維は内弓状線維となり腹内側に向かい交叉する(これを毛帯交叉とよぶ)。交叉後は錐体の背側に集まり内側毛帯を形成する。一方、腹側では錐体交叉をした線維が背外側の側索に入るのがみられる。オリーブ核の高さでは、一般に延髄背側部には基板および翼板由来の脳神経核が配列されている。内側から外側にかけて体性運動性の舌下神経核、一般内臓遠心性迷走神経背側核(内側核)と唾液核がある。同じく基板由来の特殊内臓遠心性の舌咽、迷走、副神経の疑核は腹外方に位置している。さらに、これらの外側には翼板由来の一般内臓感覚性の迷走神経背側核(外側核)、特殊内臓感覚性の孤束と孤束核があり、一般体性感覚性の三叉神経脊髄路核は延髄の最も外側に位置している。その他、副楔状束核が楔状束核の外側に、介在核が舌下神経核の外側にある。これらの神経核の腹側には網様体とよばれる。ここには縫線核がある。延髄背側部で縫線の両側には内側縦束が通り、その腹側には三角形の内側毛帯がある。腹側部には錐体とその背側から外側にオリーブ核がある。なお第四脳室底の中心灰白質の内側部を背側縦束が通る。延髄も上・下行性伝導路を通過させる。また、延髄には第8~12脳神経の諸核、呼吸中枢、循環中枢などが存在し、これらへの圧力(ヘルニア、頭蓋内圧亢進、などによるもの)は昏睡と死をまねく。延髄とはいうのは脊髄の延長部という意味で名づけられたらしい。このラテン名を最初に使ったのはハイステルLorenz Heister(1740)であるが、橋と脊髄の間の部位に限局して使いだしたのはハレルAlbrecht von Haller(1750)である。延髄はその膨らんだ感じから球とも呼ばれる。 延髄の発生 development of the medulla oblongata:菱脳の尾側半である菱脳は全体として延髄となる。 延髄の頭側約3分2は菱脳窩の尾側半を形成し、舌咽、迷走、副および舌下神経の諸核を生ずる。尾側約3分1の範囲では、内腔は第四脳室の形成に参加せず、狭い裂隙状の中心管として脊髄中心管につづく。この範囲では発生様式も内部構造も脊髄に類似するが、特別な者として翼板から後索核(薄束核と楔状束核)が生ずる。この核は脊髄後索に接続する中継核で、この核から出る神経線維は腹内方に走り、底板の縁帯で交叉した後、正中線の両側を上行する著明な線維束(内側毛帯)をつくり、視床に達する。 翼板と蓋板の移行部である菱脳唇から発生した細胞は腹内方に遊走して、基板の縁帯の中にはなはだ大きい神経核(オリーブ核)を形成する。この核から出る神経線維も基板の縁帯において交叉し、反対側の小脳に達する。このおうに底伴音縁帯は交叉線維で満たされて厚くなり正中縫線となる。 延髄においても上行および下行線維は、はじめは縁帯を通っている。しかし発生が進んで上行およびとくに下行線維が増えると、これらは外套層にも親友するようになる。また上述のように外套層の中には横走線維も多くなるので、はじめ比較的明瞭であった灰白質と白質の区別は次第に不明瞭となる。 胎生4ヶ月において延髄の腹側面で正中線の両側に接する部位の縁帯は、大脳皮質からの下行線維(錐体路線維)によって埋められ、これを延髄錐体と言うが、これは大脳皮質に属するもので、延髄固有の構造物ではない。)

Metencephalon; Pons and cerebellum(後脳;橋と小脳)Metencephalon; Pons et cerebellum こうのう;きょうとしょうのう Feneis: 280 01

[A14_1_03_004] →(「後ろ」を意味するギリシャ語の接頭詞とmetaと、「脳」を意味するencephalonを結合して作られた言葉である。 Metencephalonは小脳と橋を意味する。しかし、hindbrainは後脳と延髄、すなわち菱脳の意味で用いられることがおおい。また、Hinterhirnは橋と同義に用いられていることがある。小脳は表面に細かなヒダを多数備えた、後頭葉直下に位置するような脳部分であって、平衡感覚・筋緊張調節・筋活動強調などに関係している。橋は中脳と延髄の間に位置し、第四脳室を隔てて小脳と向き合う環形にある。多種の上行性あるいは構成伝導路が橋を通り抜けるが、第5~7脳神経(三叉神経・外転神経・顔面神経)の諸核も橋内部に存在している。)

Pons(橋)Pons きょうVarolius, Pons of Feneis: 280 02

[A14_1_03_004_1] →(Ponsとは、橋(ハシ)という意味である。腹側から見ると左右の小脳半球の間に架かった太鼓橋の様に見えるところから橋という名前が付けられた。比較解剖学的には、橋が延髄から区別されるのは哺乳類に限られ、橋は人類で最もよく発達している。後脳の腹側部にあたる。すなわち、小脳の腹側に位置しており、延髄と中脳の間に介在する。橋の腹側面は横走する幅広い神経線維束(横橋線維)によっておおわれる。この神経線維束はさらに橋の外側面において、橋と小脳を連結する中小脳脚を形成しており、左右の小脳半球の間にかかる「橋」のようにみえる。橋は既にユースタキウスEustachius (1524-1574)の図に載っているというが、この図は1714年まで出版されなかったので、Ponsという名称は、このような外見に基づいて、イタリアの解剖学者であり外科医でもあったC.Varolio (1543-1573)が用いたものである(ヴォロイオ橋)。橋は横断面では橋腹側部または橋底部と橋背部または橋被蓋とに区分される。両者の境界は橋被蓋の腹側部を上行する内側毛帯の腹側縁にあたる。橋底部の神経線維群には、上記の横橋線維のほかに、橋底部の中心部を縦走する橋縦束があり、神経細胞としては橋縦束を取り囲んで橋核が存在する。橋縦束の線維はその大部分が大脳皮質からの下行神経線維であり、橋核に連絡する皮質橋核路を含む。橋核は大脳皮質からおこる求心性神経線維のほか、小脳核や上丘からおこる求心性神経線維を受けることが知られている。橋核からおこる遠心性神経線維は横橋線維、ついで中小脳脚を形成して、主として反対側の小脳半球の皮質に連絡する。また、その際、小脳核、とくに歯状核に側枝を送る可能性が大きい。このように、橋縦束・橋核・橋横線維は大脳皮質や小脳半球など、系統発生的に新しい部位との関係が深く、哺乳動物ではじめて出現する構造であって、高等な哺乳類において良好な発育を示す。 一方、橋被蓋は系統発生的に古い構造であり、脳幹網様体の基本構造を示す部位がもっとも広い領域を占める。脳神経核としては、三叉神経核(主感覚核・脊髄路核・中脳路核・運動核)・顔面神経核・内耳神経核(蝸牛神経核と前庭神経核)が存在する。また、橋被蓋の外側部を上行する外側毛帯、および橋被蓋の腹側部を横走する台形体の線維は聴覚路を形成する神経線維群であり、聴覚神経路の中継核として、外側毛帯核および台形体核が存在する。その他の線維群としては、第四脳室底の腹側において正中線背側部の両側を内側縦束が縦走し、上小脳脚が第四脳室蓋の外側部を形成している。また、神経細胞群としては、橋被蓋の背外側部に青斑核が、上小脳脚の周辺部には結合腕傍核が存在する。)

Cerebellum(小脳)Cerebellum しょうのう Feneis:

[A14_1_07_001] →(小脳は後頭葉の下方で橋の背側胃位置する。頭蓋腔では後頭蓋窩に納まっており、すぐ下には大(後頭)後が位置する。このため、頭蓋内圧亢進が起こると大後頭孔からはみ出すこともある(大孔ヘルニア)。 橋の後ろに位置する脳の一部分。表面に多くの溝をもつ独特の外観を示す。左右の小脳半球、正中の虫部、そして脳幹に接するように位置する片葉小節葉からなる。この区分は、系統発生からみた原小脳・古小脳・新小脳の区分にほぼ一致する。(イラスト解剖学))

Mesencephalon; Midbrain(中脳)Mesencephalon ちゅうのう Feneis: 286 27

[A14_1_03_005] →(中脳は「中央」を意味するギリシャ語の接頭詞mesoと、「脳」を意味するencephalonを結合したもの。中脳、橋、延髄を合わせて脳幹と呼ぶが、これは頭蓋底の大後頭孔の所から上方に向かい、大脳半球の基底面にまで伸びる楔形の構造である。中脳は狭義の脳幹の最上方部で、上方に間脳、下方に橋との間の中脳水道を囲む比較的上下に短い構造を指す。間脳との境は厳密には不明確であるが、背側に後交連の後部、腹側に乳頭体の後方を通る面で境される。下方は背側に下丘の後方と腹側の橋の前方を通る面で比較的明確に境される。外形を見ると背側に蓋板によって形成された4個の隆起があり上方の一対を上丘、下方の一対を下丘という。上丘および下丘からは上外側に線維束を出し、それぞれ上丘腕および下丘腕として間脳につづく。腹側には大脳脚がみられ、その間に多数の小血管が通る後有孔質の間の細い溝を大脳脚内側溝とよび、ここから動眼神経の根がでる。断面では背側部は蓋板で包まれ、(視蓋とも呼ばれる)上丘および下丘を形成し、その腹側端はほぼ中脳水道の中央部を通る面で区切られる。これより腹側を広義の大脳脚というが、これはさらに中脳被蓋と狭義の大脳脚にわけられる。中脳では固有の細胞集団と線維束があり、細胞群としては中脳水道を取り囲む中心灰白質が三叉神経中脳路および核によって外側を包まれ、腹側正中部には上方に動眼神経核、下方に滑車神経核が存在する。また上方の動眼神経核の腹外側に赤核があり、さらに腹側に大脳脚の背側面を覆って黒質が存在する。正中腹側端部の大脳脚にはさまれた部位には脚間核がある。中脳に出入りする線維束で著明なものは中心灰白質内には腹外側部に背側縦束があり、赤核の背側および背外側方に中心被蓋路がある。さらに上丘中央から下丘の高さで正中部に強い線維の交叉がみられる。これらの交叉は被蓋交叉および上小脳脚交叉で、被蓋交叉の背側部は多くは上丘および上小脳脚交叉で、被蓋交叉の背側部は多くは上丘および被蓋からの下行線維から成り、腹側部は赤核からの下行線維から成る。また上小脳脚交叉は小脳核から赤核および視床へ投射する線維の交叉部である。)

Prosencephalon; Forebrain(前脳;前脳胞)Prosencephalon ぜんのう;ぜんのうほう Feneis: 292 01

[A14_1_03_006] →(終脳と間脳である。前神経孔が閉鎖すると、前脳は菱脳や中脳と大略同じ様な構造をとる。この時期の前脳は横断面で見ると外側壁は厚く、蓋板と底板は薄い。外側面からは眼柄が出ており、その先端には眼杯が付いている。発生が進んで半球胞ができていくると前脳は特異な形を呈するようになる。胚子が頂殿長12mmにまで成長すると、前脳に大脳半球を認めることができるようになる。半球胞の尾側は半球茎と呼ばれ間脳に続いているが、背吻側部では終脳間脳溝によって大脳半球と間脳が隔てられている。内吻側部では半球胞は終脳正中部に移行している。前神経孔は大脳半球原基の吻側で閉鎖する。第三脳室の前壁は室間孔より吻側にあるから終脳正中部の一部とみなすことができる。終脳最終部とよばれる。広義の第三脳室は第三脳室終脳部と狭義の第三脳室からなる。)

Diencephalon(間脳)Diencephalon かんのう Feneis: 292 02

[A14_1_03_007] →(間脳は「間」を意味するギリシャ語の接頭詞diaと、「脳」を意味するencephalonを結合したもの。間脳は中脳の前方で第三脳室を取り囲んだ領域をいう。背側方は側脳室におおわれ、背外側は分界条によって尾状核と境され、外側を内方によって取り囲まれている。前方は室間孔まで伸び、後方は後交連と乳頭体の後方を結ぶ線で中脳被蓋に移行する。間脳はさらに背側視床、視床下部、腹側視床および視床上部に分かれる。背側視床はこれらのうちもっとも大きな部位を占め左右を視床間橋(中間質)によって結ばれる。背側視床と視床上部とを視床脳とよぶことがある。 間脳の発生development of the diencephalon:間脳は間脳胞から発生する。胎生第4週のおわりころにおける脳の原基は、前脳胞・中脳胞・菱脳胞の3脳胞が確立し、前脳胞ではその外側壁の前腹側部から外方に向かって大きい眼胞が膨出している。第5週に入ると(第14段階)、この眼胞の出発部の前背側にあたる部分の外側壁が前外方、ついで背外方に向かって膨出し、左右1対の半球胞を形成する。左右の半球胞を連ねる前脳胞の前背側端部を終脳正中部という。終脳正中部と半球胞とが終脳を形成し、これまでの前脳胞の大部分を占める領域は、これ以降、間脳胞と呼ばれる。 間脳胞ははじめ頭尾(前後)方向に長い管であり、その内腔は間脳室(後に第三脳室)とよばれる。陥凹胞においても、中脳以下の神経管の各部におけると同じく、実質的な神経細胞の形成は左右の外側壁においてのみおこり、背側壁(蓋板)と腹側壁(底板)においては著明な肥厚は見られない。蓋板は単層立方上皮となり、外側から間葉組織によって裏打ちされて、第三脳室脈絡組織となる。 肥厚・増大していく間脳の外側壁の内面には一過性に前後に走る3本の浅い溝(背側から腹側へ1.間脳背側溝、2.間脳中間溝、3.間脳腹側溝)がみとめられ、これによって外側壁は1.視床上部、2.背側視床、3.腹側視床、4.視床下部の4部に区画される。その後の発育において背側視床と腹側視床がとくに高度に発育し、両者が合一して強大な視床を形成する。胚芽層から生じた多数の神経[芽]細胞は外套層および縁帯の各所に集合して前核・内側核・中心核・腹側核・外側核・視床枕核などの視床核を形成する。 視床上部はヒトでははなはだ退化的で、これに属する構造物としては、間脳の後端部における松果体、手綱および手綱三角のみである。松果体は胎生第7週において間脳の蓋板の後端正中部から背後方に向かって生ずる1個の中空の膨出として発生する。 視床下部は間脳の外側壁および腹側壁を埋め、およそ8個に大別される神経核を形成する。 間脳胞の内腔である間脳室は、はじめは円形に近い横断面を示すが、外側壁の発育につれて上下方向に広く左右方向に狭い空間となり、ついには正中矢状断面に一致した左右の幅の非常に狭い裂隙状の腔となる。この間脳室とその前端につづくごく狭い終脳正中部の内腔を合わせて第三脳室という。)

Telencephalon(終脳)Telencephalon しゅうのう Feneis: 302 01

[A14_1_03_008] →(「末端」を意味するギリシャ語のtelosとencephlonを結合した言葉である。Encephalonは、「~の中に」という意味のギリシャ語の接頭詞enと、「頭」を意味するギリシャ語であるkephaleを一緒にしてつくられたもので、「頭の中にあるもの」、すなわち「脳」を指す。Telencephalonは、脳の末端部という意味である。 終脳は最高次機能の中枢であり、人脳で著しい発達を示す。大脳半球と基底核を合わせたものが終脳であるが、後者は粗大運動性の領域で大脳皮質に覆われた位置を占める(脳を切断しないと観察できない)。左右の大脳半球はこれに対し非常に大きな構造で、大脳縦裂を相互の境界とし、かつ外見上での脳の大部分を占めている。大脳半球の外表面には大脳回と呼ばれる曲がりくねった高まり、大脳回1つ1つの境をなす大脳溝と呼ばれる浅い溝(深いものは・・・裂と呼ぶ)が認められる。大脳回・溝の多くは人脳に共通するが、しかしそれのまったく同じ配列パターンがみられることは、たとえ同一個体の左右の大脳半球を比較した場合でも、また他人同士の脳を比較した場合でも、決してない。中心溝と大脳外側溝を使い大脳半球を4領域(前頭葉:中心溝より前、頭頂葉:中心溝より後、頭頂後頭溝と大脳外側溝をつなぐ仮想腺まで、側頭葉:大脳外側溝より下、後頭葉:頭頂後頭溝と大脳外側溝をつなぐ仮想線より後)に分けることができる。これら4区分のそれぞれ、固有の特殊中枢がある。たとえば前頭葉の中心前回(中心溝のすぐ前に位置)は随意運動司令センターであり、前頭葉の前端部、すなわち前頭極は人格の座(これの損傷が人格変化を招く)とされる。脳の下面(基底面に同じ)でも終脳の広がりが見られる。すなわち、複数の眼窩回やそれらに接近する嗅神経(味覚を伝える神経)などに注意されたい。左右の視神経は互いに近づき視神経交叉を示した後に、再び左右の視索に分かれ後方へ向かう。側頭葉の一部である海馬傍回と、これの特徴的突出部分をなす鈎も脳の基底面で認められる。脳の水平断面では左右の大脳半球が表層の灰白質すなわち皮質(神経細胞体が集まる部分)と深層の白質(有髄神経線維の密集部分)からなることがわかる。左右の半球皮質をつなぐ神経線維を交連線維と呼ぶが、これの大集合体が脳梁にほかならない。同一半球内で葉間、あるいは脳回間をつなぐ長短様々の神経線維が連合線維であり、大脳半球皮質とそれ胃が引中枢神経部分とをつなぐ(皮質より下行、あるいは皮質に向かい上行する)神経線維が投射線維である。投射線維の集合体、すなわち内包を前脚・膝(中間部に当たる部分)・後脚に区分するが、膝のすぐ外側に基底核の一部(淡蒼球・前障など)が位置している。大脳半球表面について前述の4区画(葉)のほかに、さらに1~2の区画を設けることがある。大脳外側溝を押し広げると、その奥に島と呼ばれる高まりが現れるが、これを第5番目の葉としてよい。人脳の島がどのような機能を営むかについては、不明な点が多い。島を覆う位置にある、前頭・頭頂・側頭の各葉の大部分(大脳外側溝沿い)は弁蓋と呼ばれる。第6番目の葉は辺縁系に属するもので、これには帯状回、海馬傍回、歯状回なが含まれる。 終脳の発生development of the telencephalon: 終脳は前脳胞の前端部の背外側壁が外包、ついで背外方にふくろ状に流出することによって発生をはじめる。おの左右1対のふくろを半球胞といい、両者を連ねる前脳胞の前端部を終脳正中部という。半球胞の内腔である側脳室と収納性中部の内腔である終脳室無対部を連ねる溝が室間孔である。 胎生2ヶ月の中頃から半球胞の中ごろから半球胞の腹側壁において盛んな細胞増殖がおこり、この部分は側脳室に向かって丘状に隆起する。これを大脳核球(広義の線条体)という。大脳核球はその後急速に大きくなり、半球胞の腹側ないし腹外側壁のほぼ全体を形成し、室間孔の前方から半球胞の後端付近にまで達する著明な高まりとなる。大脳核丘以外の部分では半球胞の壁は比較的薄い状態を保ち、外套と呼ばれる。 半球胞は発生の進行につれて急速に増大していくが、この際、外套および側脳室の拡大が大脳核丘の増大よりもずっと早いので、やがて外套および側脳室が、大脳核丘を前・上・後および後下方から包むようになる。これは半球胞の前・上・後および後下方への増大に対応するものであり、その結果、前頭葉・頭頂葉・後頭葉および側頭葉が形成される 。外套は外方に向かっても増大するが、大脳核丘の外方への発育がこれに及ばないので、大脳核球の存在する半球胞の基底部が次第に陥没する。このようにして大脳半球外側面の腹側中央部に生ずる凹みを大脳外側窩といい、その底をなす部分を島という。発生が進み外套の発育が高度になるにつれて、島はいよいよ深く大脳半球の表面から陥没し、大脳外側窩は前下方から後上方に走る大脳外側溝となる。 胎生5ヶ月のおわりごろから外套の発育に部位的不平等が生じ、発育の緩やかな部分は速やかに発育する部分からとり残されて次第に深く陥没して溝となる。最も早期に出現するのは鳥距溝・頭頂後頭溝・帯状溝などであり、中心溝がこれにつづく。胎生7ヶ月に入ると半球の増大に連れてこれらの溝は深くなり、さらに中心前溝・中心後溝などの多くの溝が出現し、溝と溝の間の部分は隆起して大脳回となる。胎生7ヶ月のおわりになると大脳半球外側面の基本形がほぼ完成する。このようにして非常に広い面積を獲得した外套の表層部には胚芽層から遊走してきた神経芽細胞によって大脳皮質と呼ばれる特別の灰白質が形成される。大脳皮質に出入りする神経線維は、皮質と胚芽層の間を埋め、ここに広大な白質を形成する。 総数140億に達するといわれる神経細胞からなる広大な大脳皮質が形成されるにつれて、大脳皮質から出て視床およびそれ以下の脳脊髄の各部へいく下行線維が著しく増加する。これらの線維は外套と大脳核丘の移行部から大脳核丘に進入し、これを斜め腹内方に向かって貫通して、室間孔の後縁のところで間脳の前端部に進入する。視床経由で大脳皮質に達する大量の上行線維も、この道を逆行する。この大脳丘核を貫通する強大な線維群を内包といい、大脳核丘はこれによって側脳室に隆起している背内側部と、島の内側にあたる腹外側部に分割される。前者を尾状核、後者をレンズ核の被殻という。大脳皮質の発育について左右の大脳半球を連ねる交連線維が生ずる。これらは左右の大脳半球が実質的につづいている唯一の場所である終脳室無対部の前壁に集中してくる。したがってこの部分は肥厚して交連板とよばれる。最初に出現する交連線維は左右の嗅脳を連ねるもので、交連板の腹側端を通り、前交連を形成する。前頭葉・頭頂葉・後頭葉および側頭葉が形成されるにつれて、これらの部分からの交連線維は交連板の背側部を埋め、交連板を背方、ついで後方に向かって著しく増大する

Brain stem(脳幹)Truncus encephali のうかん Feneis: 274 15

[A14_1_03_009] →(TAで脳幹は髄脳(延髄)、橋、中脳を脳幹と定義している。かつては、脳を運ぶ際に脳幹をもって運んでいた、脳幹は、脳の柄のような部分という意味で付けられた。日本の神経解剖の教科書では間脳を含める場合や間脳と大脳核を含めて脳幹と称している場合が多いので注意をようする。)

Myelencephalon; Medulla oblongata; Bulb(髄脳;延髄;脊髄球)Myelencephalon; Medulla oblongata; Bulbus ずいのう;えんずい;せきずいきゅう Feneis: 274 17

[A14_1_03_003] →(髄脳(延髄)は脳幹の最尾部で尾方は第一頚神経の根を境として、脊髄に、吻側は橋に移行する。①外表面:外表面には脊髄の前正中裂、前外側溝、後外側溝および後正中溝につづく溝がみられる。前正中裂と前外側溝との間の隆まりは(延髄)錐体とよばれ、錐体路に相当する。錐体交叉は前正中裂を横切って走る線維として外表面からも認められる。前外側溝と後外側溝との間には背側と腹側に隆起がある。腹側の楕円形の隆起はオリーブで、中にはオリーブ核がある。背側の隆起は灰白結節で、三叉神経脊髄路と脊髄路核に相当する。後中間溝と後外側溝の間には楔状束核と薄束核に一致して、外側には楔状束結節と内側には薄束結節とがみられる。さらに上外方には下小脳脚が存在する。②横断面:脊髄との移行部の高さでは、中心管の背側には後索核(楔状束核と薄束核)がある。これらの核からの線維は内弓状線維となり腹内側に向かい交叉する(これを毛帯交叉とよぶ)。交叉後は錐体の背側に集まり内側毛帯を形成する。一方、腹側では錐体交叉をした線維が背外側の側索に入るのがみられる。オリーブ核の高さでは、一般に延髄背側部には基板および翼板由来の脳神経核が配列されている。内側から外側にかけて体性運動性の舌下神経核、一般内臓遠心性迷走神経背側核(内側核)と唾液核がある。同じく基板由来の特殊内臓遠心性の舌咽、迷走、副神経の疑核は腹外方に位置している。さらに、これらの外側には翼板由来の一般内臓感覚性の迷走神経背側核(外側核)、特殊内臓感覚性の孤束と孤束核があり、一般体性感覚性の三叉神経脊髄路核は延髄の最も外側に位置している。その他、副楔状束核が楔状束核の外側に、介在核が舌下神経核の外側にある。これらの神経核の腹側には網様体とよばれる。ここには縫線核がある。延髄背側部で縫線の両側には内側縦束が通り、その腹側には三角形の内側毛帯がある。腹側部には錐体とその背側から外側にオリーブ核がある。なお第四脳室底の中心灰白質の内側部を背側縦束が通る。延髄も上・下行性伝導路を通過させる。また、延髄には第8~12脳神経の諸核、呼吸中枢、循環中枢などが存在し、これらへの圧力(ヘルニア、頭蓋内圧亢進、などによるもの)は昏睡と死をまねく。延髄とはいうのは脊髄の延長部という意味で名づけられたらしい。このラテン名を最初に使ったのはハイステルLorenz Heister(1740)であるが、橋と脊髄の間の部位に限局して使いだしたのはハレルAlbrecht von Haller(1750)である。延髄はその膨らんだ感じから球とも呼ばれる。)

Pons(橋)Pons きょうVarolius, Pons of Feneis: 280 02

[A14_1_03_010] →(Ponsとは、橋(ハシ)という意味である。腹側から見ると左右の小脳半球の間に架かった太鼓橋の様に見えるところから橋という名前が付けられた。比較解剖学的には、橋が延髄から区別されるのは哺乳類に限られ、橋は人類で最もよく発達している。後脳の腹側部にあたる。すなわち、小脳の腹側に位置しており、延髄と中脳の間に介在する。橋の腹側面は横走する幅広い神経線維束(横橋線維)によっておおわれる。この神経線維束はさらに橋の外側面において、橋と小脳を連結する中小脳脚を形成しており、左右の小脳半球の間にかかる「橋」のようにみえる。橋は既にユースタキウスEustachius (1524-1574)の図に載っているというが、この図は1714年まで出版されなかったので、Ponsという名称は、このような外見に基づいて、イタリアの解剖学者であり外科医でもあったC.Varolio (1543-1573)が用いたものである(ヴォロイオ橋)。橋は横断面では橋腹側部または橋底部と橋背部または橋被蓋とに区分される。両者の境界は橋被蓋の腹側部を上行する内側毛帯の腹側縁にあたる。橋底部の神経線維群には、上記の横橋線維のほかに、橋底部の中心部を縦走する橋縦束があり、神経細胞としては橋縦束を取り囲んで橋核が存在する。橋縦束の線維はその大部分が大脳皮質からの下行神経線維であり、橋核に連絡する皮質橋核路を含む。橋核は大脳皮質からおこる求心性神経線維のほか、小脳核や上丘からおこる求心性神経線維を受けることが知られている。橋核からおこる遠心性神経線維は横橋線維、ついで中小脳脚を形成して、主として反対側の小脳半球の皮質に連絡する。また、その際、小脳核、とくに歯状核に側枝を送る可能性が大きい。このように、橋縦束・橋核・橋横線維は大脳皮質や小脳半球など、系統発生的に新しい部位との関係が深く、哺乳動物ではじめて出現する構造であって、高等な哺乳類において良好な発育を示す。 一方、橋被蓋は系統発生的に古い構造であり、脳幹網様体の基本構造を示す部位がもっとも広い領域を占める。脳神経核としては、三叉神経核(主感覚核・脊髄路核・中脳路核・運動核)・顔面神経核・内耳神経核(蝸牛神経核と前庭神経核)が存在する。また、橋被蓋の外側部を上行する外側毛帯、および橋被蓋の腹側部を横走する台形体の線維は聴覚路を形成する神経線維群であり、聴覚神経路の中継核として、外側毛帯核および台形体核が存在する。その他の線維群としては、第四脳室底の腹側において正中線背側部の両側を内側縦束が縦走し、上小脳脚が第四脳室蓋の外側部を形成している。また、神経細胞群としては、橋被蓋の背外側部に青斑核が、上小脳脚の周辺部には結合腕傍核が存在する。)

Midbrain(中脳)Mesencephalon ちゅうのう Feneis: 286 27

[A14_1_03_005] →(「中央」を意味するギリシャ語の接頭詞diaと、「脳」を意味するencephalonを結合したもの。中脳、橋、延髄を合わせて脳幹と呼ぶが、これは頭蓋底の大後頭孔の所から上方に向かい、大脳半球の基底面にまで伸びる楔形の構造である。中脳は狭義の脳幹の最上方部で、上方に間脳、下方に橋との間の中脳水道を囲む比較的上下に短い構造を指す。間脳との境は厳密には不明確であるが、背側に後交連の後部、腹側に乳頭体の後方を通る面で境される。下方は背側に下丘の後方と腹側の橋の前方を通る面で比較的明確に境される。外形を見ると背側に蓋板によって形成された4個の隆起があり上方の一対を上丘、下方の一対を下丘という。上丘および下丘からは上外側に線維束を出し、それぞれ上丘腕および下丘腕として間脳につづく。腹側には大脳脚がみられ、その間に多数の小血管が通る後有孔質の間の細い溝を大脳脚内側溝とよび、ここから動眼神経の根がでる。断面では背側部は蓋板で包まれ、(視蓋とも呼ばれる)上丘および下丘を形成し、その腹側端はほぼ中脳水道の中央部を通る面で区切られる。これより腹側を広義の大脳脚というが、これはさらに中脳被蓋と狭義の大脳脚にわけられる。中脳では固有の細胞集団と線維束があり、細胞群としては中脳水道を取り囲む中心灰白質が三叉神経中脳路および核によって外側を包まれ、腹側正中部には上方に動眼神経核、下方に滑車神経核が存在する。また上方の動眼神経核の腹外側に赤核があり、さらに腹側に大脳脚の背側面をおおって黒質が存在する。正中腹側端部の大脳脚にはさまれた部位には脚間核がある。中脳に出入りする線維束で著明なものは中心灰白質内には腹外側部に背側縦束があり、赤核の背側および背外側方に中心被蓋路がある。さらに上丘中央から下丘の高さで正中部に強い線維の交叉がみられる。これらの交叉は被蓋交叉および上小脳脚交叉で、被蓋交叉の背側部は多くは上丘および上小脳脚交叉で、被蓋交叉の背側部は多くは上丘および被蓋からの下行線維から成り、腹側部は赤核からの下行線維から成る。また上小脳脚交叉は小脳核から赤核および視床へ投射する線維の交叉部である。 中脳の発生 development of the mesencephalon:中脳は中脳胞から発生するが、菱脳胞との境界のくびれ(菱脳峡)は第4週の中頃(第11段階)から明らかになる。 中脳胞の背外側壁をなす翼板は背外方に増大し、蓋板とともに中脳室の背側をおおう板状の隆起を形成する。これを四丘板という。発生がすすむと、まずその正中部に頭尾方向に走る溝が生じ、次いで四丘板の中央部に左右に走るくぼみが生じ、結局、四丘板は4個の半球状の高まりに分割される。頭側の1対を上丘、尾側の1対を下丘という。 上丘では胚芽層で生じた神経[芽]細胞は表面に向かって遊走していき、表面に平行な三つの層をつくってならび、一種の皮質様構造を形成する。これらの神経層の間および内・外には上丘に出入りする神経線維の層ができる。下丘では神経[芽]細胞は下丘の内部を占め、全体として単一の下丘核を形成する。 中脳胞の腹外側壁をなす基板からは、体運動核群(M1)に属するものとして動眼および滑車神経核が、一般内臓運動核群(M3)に属する者として動眼神経副核が生ずる。 翼板および基板から生ずる神経細胞は、以上のほかにもはなはだ多く、これらは中脳室の腹側ないし腹外側に網様体(中脳被蓋)を形成する。底板の縁帯は交叉線維で埋められ、ここに正中縫線が成立する。両側の網様体の中央部には赤核、腹外側縁には黒質という大きな灰白質塊が形成されるが、これらの起源については一般に翼板由来であると考えられている。 中脳の内腔である中脳室は、はじめは比較的広く、中脳の中軸部を頭尾方向に貫いているが、四丘体および中脳被蓋の発育につれて次第に狭小となり、四丘体と中脳被蓋の移行部で中脳の正中部を貫く細い中脳水道となる。 黒質の腹外側に位置する縁帯は、胎生4ヶ月頃から、大脳皮質からの下行線維によって満たされ、ここに強大な下行線維野(狭義の大脳脚)が成立する。)

Myelencephalon; Medulla oblongata; Bulb(髄脳;延髄;脊髄球)Myelencephalon; Medula oblongata; bulbus rachidicus ずいのう;えんずい;せきずいきゅう Feneis: 274 17

[A14_1_03_003] →(Mylencephalonは、「脊髄」を意味するギリシャ語のmyelosと、「脳」を意味するencephalonを結合してつくられた言葉で、脳の中で一番脊髄側にある部分を指す。Medulla oblongataという語は、元来脊髄の吻側への延長部、すなわち脳全体を指す言葉であったが、後に脳のなかで脊髄に隣接した領域だけを指すようになった。延髄は、脊髄に比べやや膨らんでいるので、bulus「球」とよばれることがある。 脳幹の最尾部で尾方は第一頚神経の根を境として、脊髄に、吻側は橋に移行する。①外表面:外表面には脊髄の前正中裂、前外側溝、後外側溝および後正中溝につづく溝がみられる。前正中裂と前外側溝との間の隆まりは(延髄)錐体ととよばれ、錐体路に相当する。錐体交叉は前正中裂を横切って走る線維として外表面からも認められる。前外側溝と後外側溝との間には背側と腹側に隆起がある。腹側の楕円形の隆起はオリーブで、中にはオリーブ核がある。背側の隆起は灰白結節で、三叉神経脊髄路と脊髄路核に相当する。後中間溝と後外側溝の間には楔状束核と薄束核に一致して、外側には楔状束結節と内側には薄束結節とがみられる。さらに上外方には下小脳脚が存在する。②横断面:脊髄との移行部の高さでは、中心管の背側には後索核(楔状束核と薄束核)がある。これらの核からの線維は内弓状線維となり腹内側に向かい交叉する(これを毛帯交叉とよぶ)。交叉後は錐体の背側に集まり内側毛帯を形成する。一方、腹側では錐体交叉をした線維が背外側の側索に入るのがみられる。オリーブ核の高さでは、一般に延髄背側部には基板および翼板由来の脳神経核が配列されている。内側から外側にかけて体性運動性の舌下神経核、一般内臓遠心性迷走神経背側核(内側核)と唾液核がある。同じく基板由来の特殊内臓遠心性の舌咽、迷走、副神経の疑核は腹外方に位置している。さらに、これらの外側には翼板由来の一般内臓感覚性の迷走神経背側核(外側核)、特殊内臓感覚性の孤束と孤束核があり、一般体性感覚性の三叉神経脊髄路核は延髄の最も外側に位置している。その他、副楔状束核が楔状束核の外側に、介在核が舌下神経核の外側にある。これらの神経核の腹側には網様体とよばれる。ここには縫線核がある。延髄背側部で縫線の両側には内側縦束が通り、その腹側には三角形の内側毛帯がある。腹側部には錐体とその背側から外側にオリーブ核がある。なお第四脳室底の中心灰白質の内側部を背側縦束が通る。延髄も上・下行性伝導路を通過させる。また、延髄には第8~12脳神経の諸核、呼吸中枢、循環中枢などが存在し、これらへの圧力(ヘルニア、頭蓋内圧亢進、などによるもの)は昏睡と死をまねく。延髄とはいうのは脊髄の延長部という意味で名づけられたらしい。このラテン名を最初に使ったのはハイステルLorenz Heister(1740)であるが、橋と脊髄の間の部位に限局して使いだしたのはハレルAlbrecht von Haller(1750)である。延髄はその膨らんだ感じから球とも呼ばれる。 延髄の発生 development of the medulla oblongata:菱脳の尾側半である菱脳は全体として延髄となる。 延髄の頭側約2/3は菱脳窩の尾側半を形成し、舌咽、迷走、副および舌下神経の諸核を生ずる。尾側約1/3の範囲では、内腔は第四脳室の形成に参加せず、狭い裂隙状の中心管として脊髄中心管につづく。この範囲では発生様式も内部構造も脊髄に類似するが、特別な者として翼板から後索核(薄束核と楔状束核)が生ずる。この核は脊髄後索に接続する中継核で、この核から出る神経線維は腹内方に走り、底板の縁帯で交叉した後、正中線の両側を上行する著明な線維束(内側毛帯)をつくり、視床に達する。 翼板と蓋板の移行部である菱脳唇から発生した細胞は腹内方に遊走して、基板の縁帯の中にはなはだ大きい神経核(オリーブ核)を形成する。この核から出る神経線維も基板の縁帯において交叉し、反対側の小脳に達する。このおうに底伴音縁帯は交叉線維で満たされて厚くなり正中縫線となる。 延髄においても上行および下行線維は、はじめは縁帯を通っている。しかし発生が進んで上行およびとくに下行線維が増えると、これらは外套層にも親友するようになる。また上述のように外套層の中には横走線維も多くなるので、はじめ比較的明瞭であった灰白質と白質の区別は次第に不明瞭となる。 胎生4ヶ月において延髄の腹側面で正中線の両側に接する部位の縁帯は、大脳皮質からの下行線維(錐体路線維)によって埋められ、これを延髄錐体と言うが、これは大脳皮質に属するもので、延髄固有の構造物ではない。)

External features(表面の形状(延髄の))Morphologia externa ひょうめんのけいじょう(えんずいの) [A14_1_03_003_1]

Anterior median fissure of medulla; Ventral median fissure of medulla(前正中裂;腹側正中裂(延髄の))Fissura mediana anterior medullae oblongatae ぜんせいちゅうれつ;ふくそくせいちゅうれつ(えんずいの) Feneis: 274 18

[A14_1_04_001] →(延髄の前正中裂は延髄前面の正中部にある縦溝で脊髄の前正中裂と連続し、後盲孔で終わる。錐体交叉が横断する。)

Foramen caecum of medulla oblongata; Foramen cecum of medulla oblongata(延髄盲孔;盲孔(延髄の))Foramen caecum medullae oblongatae えんずいもうこう;もうこう(えんずいの)Vicq d'Azyr's foramen

[A14_1_04_002] →(延髄盲孔は延髄の上端、橋の下端にあり、延髄の前正中裂の上限を示す錐体の間にある小さい三角形の陥凹。)

Pyramid of medulla(延髄錐体;延髄の錐体)Pyramis medullae oblongatae えんずいすいたい;えんずいのすいたい Feneis: 274 19

[A14_1_04_003] →(延髄錐体は前正中裂両側にある隆起。第一脊髄神経根を越え、錐体交叉で終わる。皮質脊髄路が通る。皮質脊髄路は延髄下端で、外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路に分かれる。錐体路の線維の85%以上は錐体交叉により外側皮質脊髄路に入る。)

Decussation of pyramids; Motor decussation of pyramids(錐体交叉)Decussatio pyramidum すいたいこうさ Feneis: 274 20

[A14_1_04_004] →(錐体交叉は延髄の端部つまり脊髄延髄移行部に大きな特徴として見られる。この神経線維は中心灰白質の前方で大きい神経束を作って交叉し、前角の基部を通って後外方へ投射する。互いに入り組んだ神経線維は、時には非常に太く、後下方に向かって走るので横断切片では大部分の神経交叉が斜めに切断される。外側皮質脊髄路の交叉線維は側索の後部を下行し、一方前皮質脊髄路の非交叉性線維は前索を下行する。上方に向かって連続的に見ると皮質脊髄路の交叉は逆の順序で認められる。身体半側の随意運動は反対側の大脳皮質からくるインパルスによって支配される。その解剖学的な証拠として、錐体交叉がある。)

_54;

Anterolateral sulcus of medulla; Ventrolateral sulcus of medulla(前外側溝;腹側外側溝(延髄の))Sulcus anterolateralis medullae oblongatae ぜんがいそくこう;ふくそくがいそくこう(えんずいの) Feneis: 274 21

[A14_1_04_005] →(延髄の前外側溝は錐体の外側にある溝。舌下神経根がでる。)

Retro-olivary groove(オリーブ後溝;後オリーブ溝)Sulcus retroolivaris おりーぶこうこう;こうおりーぶこう Feneis: 274 25

[A14_1_04_010] →(後オリーブ溝はオリーブの後方にある溝。前外側溝と後外側溝との間にある浅い溝で舌咽神経、迷走神経、副神経がでる。)

Pre-olivary groove(オリーブ前溝;前オリーブ溝)Sulcus preolivaris おりーぶぜんこう;おりーぶぜんこう

[A14_1_04_006] →(前オリーブ溝は舌下神経が出る延髄の前外側溝に相当する浅い陥凹で、オリーブと錐体を分ける。)

Lateral funiculus of medulla(側索(延髄の))Funiculus lateralis (Medullae oblongatae) そくさく(えんずいの) Feneis: 274 22

[A14_1_04_007] →(脊髄の側索のつづき。オリーブまで達す。(Feneis))

Olive; Inferior olive(オリーブ)Oliva おりーぶ Feneis: 274 23

[A14_1_04_008] →(オリーブは延髄の外形で迷走神経(Ⅹ)および舌下神経(ⅩⅡ)根の間にある前外側溝と後外側溝の間にある側索には錐体の上部の外側に接して長卵円形の著しいオリーブ状の塊。長さ約1.5cm。オリーブ核によってできた膨隆である。)

Extenal arcuate fibers(外弓状線維)Fibrae arcuatae externae がいきゅうじょうせんい

[A14_1_04_008_1]→外弓状線維は後外弓状線維と前外弓状線維の総称。①後外弓状線維:副楔状束核または楔状束核外側部から小脳へと通っている者。②前外弓状線維:延髄基部の弓状核から出て延髄の外側表面に沿って走っているもの。両者とも下小脳脚の索状体として小脳にはいる。

Anterior external arcuate fibres of medulla; Ventral external arcuate fibres of medulla(前外弓状線維;腹側外弓状線維(延髄の))Fibrae arcuatae externae anteriores ぜんがいきゅうじょうせんい;ふくそくがいきゅうじょうせんい(えんずいの) Feneis: 274 24

[A14_1_04_009] →(延髄の前外弓状線維は延髄基部の弓状核から出て延髄の外側表面に沿って走っているもの。後外側弓状線維とともに下小脳脚の索状体として小脳にはいる。)

Retro-olivary area(オリーブ後野)Area retroolivaris おりーぶこうや Feneis: 274 26

[A14_1_04_011] →(オリーブ後野はオリーブ後方にある。)

Posterolateral sulcus of medulla; Dorsolateral sulcus of medulla(後外側溝;背外側溝(延髄の))Sulcus posterolateralis medullae oblongatae こうがいそくこう;はいがいそくこう(えんずいの) Feneis: 276 01

[A14_1_04_012] →(延髄の後外側溝は第四脳室外側陥凹にいたる溝。舌咽神経(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ)および副神経(ⅩⅠ)の脳神経根がでる。)

Inferior cerebellar peduncle(下小脳脚)Pedunculus cerebellaris inferior かしょうのうきゃく Feneis: 276 02

[A14_1_04_013] →(下小脳脚は複合線維束であり、脊髄と延髄の細胞群から起こり小脳へ投射する線維で構成されている。この線維は副楔状束核の外側、および三叉神経脊髄路の背側の延髄後外側縁に沿って集まり下小脳脚に入る。索状体という外側の大きな束と索状体傍体という内側の小さな束とからなる脊髄ニューロンと延髄中継核からの線維の複合体である。この線維束は上部延髄ではさらに多くの線維が加わることによって急速に増大し、小脳に入る。交叉性のオリーブ小脳路の線維は下小脳脚の最大の構成成分をなしている。下小脳脚を通る求心路には後脊髄小脳路、副楔状束核小脳路、オリーブ小脳路などがある。前庭小脳路、網様体小脳路、三叉神経小脳路などの求心路や小脳皮質前庭路、室頂核前庭路(鈎状束)などの遠心路は下小脳脚内側部、すなわちMeynertのIAK(innere Abteilung des uteren Kleinhirnstiels, Corpus juxtarestifome)とよばれるところを通る。下小脳脚を経由して小脳にインパルスを中継するその他の延髄の核は、①延髄の外側網様核、②副楔状束核、③傍正中網様核、④弓状核、⑤舌下神経周囲核である。外側網様核と副楔状束核からの投射は非交叉性であるが、他の延髄中継核からくるものは交叉性、非交叉性の両方がある。非交叉性の後脊髄小脳路もこの脚を経由して小脳に投射する。)

Restiform body(索状体;髄小脳脚)Corpus restiforme; Corpus medullocerebellare さくじょうたい;ずいしょうのうきゃく

[A14_1_04_014] →(索状体は下小脳脚の大部分を占める外側部の純求心性線維束である。脊髄から小脳への脊髄小脳線維と延髄から小脳への楔状束小脳線維・網様体小脳線維を含む。)

Trigeminal tubercle(三叉神経結節;灰白結節;三叉神経隆起)Tuberculum trigeminale さんさしんけいけっせつ;さかいはくけっせつ;さんさしんけいりゅうき Feneis: 276 03

[A14_1_04_015] →(三叉神経隆起は延髄の背側面に見られる三叉神経脊髄路の表面の縦の小隆起である。楔状束結節の外側縁にある。)

Cuneate fasciculus(楔状束)Fasciculus cuneatus けつじょうそく Feneis: 276 04

[A14_1_04_016] →(楔状束はブルダッハ束ともよばれる。以前に同部についての報告はあったが、ブルダッハの正確な報告で知られるようになった。楔状束は最初、およそ第六胸髄の高さで出現し、上位の6胸神経と前頚神経の後根の長い上行枝を含む。薄束と楔状束の神経線維は同側を上行し、後索の延髄中継核、すなわち薄束核と楔状束核に終わる。後索系には2部があり、薄束(Goll束)および楔状束(Burdach束)として脊髄の後索を上行する。これらの線維束は太い後根線維の直接の続きであって、延髄の後索核にまで達してシナプス結合する。後索系は主として四肢から起こる線維からなり、系統発生的に新しくて、ヒトでもっとも発達している。ヒトではこの線維の長さは長いもので約150cmである。楔状束は後索の外側部。身体の上半分から起こる線維を含む。ドイツの解剖・生理学者Karl Friedrich Burdach (1776-1847)の名を冠する。)

Cuneate tubercle(楔状束結節;楔状束核結節)Tuberculum cuneatum; Tuberculum nuclei cuneati けつじょうそくけつせつ;けつじょうそくかくけっせつ Feneis: 276 05

[A14_1_04_017] →(楔状束結節は楔状束の延髄の上端にある細長い隆起、薄束結節の外側にある。また、後外側溝によって外側にある側索と隔てられている。内部に楔状束核をいれる。)

Gracile fasciculus(薄束)Fasciculus gracilis はくそくGoll's tract Feneis: 276 06

[A14_1_04_018] →(薄束はゴル束ともよばれる。楔状束(ブルダッハ束)とともに脊髄後索をなす。両側の後索は胸髄上部と頚髄において後中間中隔によって2分される。この中隔はおよそ第六胸髄の高さで認められ、薄束(内側)と楔状束(外側)を分ける。薄束は脊髄全長にわたって存在し、仙髄部、腰髄部、下位6胸髄部の後根由来の長い上行枝を含む。薄束は後索の内側部にある。体の下半分から線維を含む。触覚と深部知覚を伝える。Goll, Frindrich (1829-1903)スイスの解剖学者、チューリヒ大学の教授。脊髄後索の内側部(薄束)について1860年に記述(「Beitrage zur feineren Anatomie・・・」, Denk. Medchir. Ges. Kanton Zurich, 1860, 130-171).)

Gracile tubercle(薄束結節;薄束核結節;槌子)Tuberculum gracile;Clava; Tuberculum nuclei gracilis はくそくけっせつ;はくそくかくけっせつ;ついし Feneis: 276 07

[A14_1_04_019] →(薄束結節は薄束のいくぶん肥厚した上端部で薄束核上にできる細長い隆起。)

Posterior median sulcus of medulla; Dorsal median sulcus of medulla(後正中溝;背側正中溝(延髄の))Sulcus medianus posterior medullae oblongatae こうせいちゅうこう;はいそくせいちゅうこう(えんずいの) Feneis: 276 08

[A14_1_04_020] →(延髄の後正中溝は脊髄より続く溝で、上方はカンヌキで終わる。)

Posterior intermediate sulcus of medulla; Dorsal intermediate sulcus of medulla(後中間溝;背側中間溝(延髄の))Sulcus intermedius posterior (Medullae oblongatae) えんずいのこうちゅうかんこう;えんずいのはいそくちゅうかんこう

[A14_1_04_020a]→延髄の後中間溝は脊髄の正中溝の両側にある溝の延長部で薄束と楔状束との境界を外面から示す。

Obex(閂;カンヌキ)Obex かんぬき Feneis: 284 08

[A14_1_04_021] →(閂は延髄の背側面の尾側レベルの正中線上の点で菱形窩または第四脳室の後角の境をなしている。すなわち横走する有髄神経線維を含む薄板によって閉じられている。閂には第四脳室脈絡組織が付着している。)

Internal features(内部の特徴(延髄の))Morphologia interna ないぶのとくちょう(えんずいの) Feneis: 276 09 [A14_1_04_021_2]

White matter of medulla; White substance of medulla(白質(延髄の))Substantia alba medullae oblongatae はくしつ(えんずいの) [A14_1_04_101]

Pyramidal tract(錐体路)Tractus pyramidalis すいたいろ Feneis: 276 10

[A14_1_04_102] →(錐体路本来の定義に従えば、起始領域、終枝部位に関係なく延髄の錐体(pyramis)を通るすべての神経線維群をいう。鳥類以下には見られず、哺乳類とくにヒトでよく発達しており意識的運動を司る。これらの大部分の線維は大脳皮質からおこり脊髄におわる皮質脊髄線維(または路)からなるが、若干の線維は錐体の経過中またはそれよりも前方のレベルでの神経路から離れて脳幹にある反対側の運動性の脳神経核および付近の毛様体(皮質網様体線維)におわる。これらの皮質核線維とよばれるものは厳密には錐体路に含まれないが、しばしば両者(皮質脊髄線維と皮質核線維)を一緒にして錐体路とよばれる。錐体路の起始細胞は、昔からの考えによれば起始細胞は、運動領皮質(4野)の第5層の巨大錐体細胞(Betz)で、その経路は、終脳の内包、中脳の大脳脚、橋の橋縦束、さらに延髄の錐体を下行し、脊髄前角にいたる有髄線維の集まりの長下行路である。その経路中、橋核、脳幹の網様体や運動核、またおそらく大脳基底核などに一部側枝を与え、延髄下端で大部分(91~97%)の線維が交叉し(これを錐体交叉という)これらは対側の脊髄側索(錐体側索路、外側皮質脊髄路)を下るが、小部分はそのまま同側の前索(錐体前索路、前皮質脊髄路)を下行する。しかし、錐体路の大脳皮質の起始領野をみれば、運動領(4野)のみでなく知覚領や連合領を含む他の領野まで包括される。起始ニューロンもBetzの巨大細胞のみならず、第5層に、みられる中型・小型の錐体細胞も証明されている。さらに脊髄の終枝部位についても前角の運動ニューロンに直接おわるものは動物による実験的研究で判明した限りではむしろ少なく、大部分は中間帯や後核基部におわり、介在ニューロンを介して運動ニューロンに影響を与えると思われる(間接皮質運動路)。錐体路の起始・終枝の問題だけでなく、錐体を構成する軸索には、古典的な錐体路以外の錐体外路系の線維も少量ながら含まれており、厳密には、延髄の錐体を通る線維群(錐体路)とそれ以外の運動系(錐体外路)とに分けることはむずかしい。)

Corticospinal fibres(皮質脊髄線維)Fibrae corticospinales ひしつせきずいせんい Feneis: 276 11

[A14_1_04_103] →(皮質脊髄線維は大脳皮質の一次運動野(中心前回の中央部と上部)から起こり、内包に向かって集まり、内包の後脚を通って下行する。内包では、上肢に対する線維は線維は後脚の前部を、下肢に対する線維は後部を走る。ついで、大脳脚に入り、その中央2/3部を下行し、橋・延髄に至る。延髄では、その下部の腹側中央部にあつまり、錐体(実際はその一部)を形成する。それで皮質脊髄線維は錐体路ともいわれる。延髄の下端(大後頭孔のすぐ上方)で、線維は反対側に交叉して錐体交叉をつくる。錐体をつくる下行性線維の大部分は錐体交叉で反対側に交叉し、脊髄側索を外側皮質脊髄路(錐体前索路)として下行する。交叉する線維の割合は個人差が大きい。また、約75%の人で交叉する割合が左右非対称で、左側の錐体路の方が交叉する割合が大きい。外側皮質脊髄路の線維は脊髄を下行しつつ、脊髄灰白質に入り、前角の運動ニューロンに接属する。前角の運動ニューロンに直接に終わる線維と、介在ニューロンを経て関節に連絡するものとがある。前皮質脊髄路の線維は脊髄を下行し、前交連を通って交叉し、反対側に終わるが、一部は非交叉性で同側に終わる。このように皮質脊髄路は大脳皮質からおこり、脊髄前角に達し、その運動ニューロンへ運動指令を伝え、骨格筋の運動を起こさせる。延髄の錐体を通る伝導路のうちで、中心前回の一次運動野から起こる線維は約40%で、頭頂葉とくに中心後回や傍中心小葉などから起こる線維が約30%、前頭葉の運動前野などから発する線維が約30%を占めるといわれる。頭頂葉から発する線維は後索核や脊髄後角の膠様質などに達し、知覚性インパルスの流入に対して調整的な働きをするともいわれる。)

Bulbar corticonuclear fibres(延髄の皮質核線維;皮質核線維)Fibrae corticonucleares bulbi えんずいのひしつかくせんい;ひしつかくせんいろ Feneis: 276 12

[A14_1_04_104] →(延髄の皮質核線維は大脳皮質の運動知覚中枢から延髄の中継核(舌下核、副核、薄束核、楔状束核など)に投射する神経線維。)

Corticoreticular fibres(皮質網様体線維;皮質網様体路)Fibrae corticoreticulares ひしつもうようたいせんい;ひしつもうようたいろ

[A14_1_04_105] →(下位脳幹に投射する皮質網様体路は主として大脳皮質の運動野、前運動野および体性知覚野より起こる。線維は皮質脊髄線維と共に下行し、種々の高さで伝導路からわかれて、網様体路に入る。大部分の線維はかなり限局した2箇所、すなわち延髄と橋に入る。延髄ではこの線維は巨大細胞性網様核に終わる。皮質網様体路線維わずかに対側性優位であるが両側性に分布している。皮質遠心性線維を受ける網様体の領域からは①長い上行・下行投射線維、②小脳への投射線維、③脳神経核への投射などが出ている。)

Decussation of pyramids; Motor decussation(錐体交叉)Decussatio pyramidum すいたいこうさ Feneis: 276 13

[A14_1_04_106] →(脊髄延髄移行部に見られる大きな特徴は錐体交叉である。この神経線維は中心灰白質の前方で大きい神経束を作って交叉し、前角の基部を通って後外方へ投射する。互いに入り組んだ神経線維は、時には非常に太く、後下方に向かって走るので横断切片では大部分の神経交叉が斜めに切断される。外側皮質脊髄路の交叉線維は側索の後部を下行し、一方前皮質脊髄路の非交叉性線維は前索を下行する。上方に向かって連続的に見ると皮質脊髄路の交叉は逆の順序で認められる。身体半側の随意運動は反対側の大脳皮質からくるインパルスによって支配される。その解剖学的な証拠として、錐体交叉がある。)

Gracile fasciculus(薄束)Fasciculus gracilis はくそく Feneis: 276 14

[A14_1_04_107] →(ゴル束ともよばれる。スイスの解剖学者Frindrich Goll (1829-1903)の名を冠する。楔状束(ブルダッハ束)とともに脊髄後索をなす。両側の後索は胸髄上部と頚髄において後中間中隔によって2分される。この中隔はおよそ第六胸髄の高さで認められ、薄束(内側)と楔状束(外側)を分ける。薄束は脊髄全長にわたって存在し、仙髄部、腰髄部、下位6胸髄部の後根由来の長い上行枝を含む。薄束は後索の内側部にある。体の下半分から線維を含む。触覚と深部知覚を伝える。)

Cuneate fasciculus(楔状束)Fasciculus cuneatus けつじょうそく Feneis: 276 16

[A14_1_04_108] →(ブルダッハ束ともよばれる。ドイツの解剖・生理学者Karl Friedrich Burdach (1776-1847)の名を冠する。以前に同部についての報告はあったが、ブルダッハの正確な報告で知られるようになった。楔状束は最初、およそ第六胸髄の高さで出現し、上位の6胸神経と前頚神経の後根の長い上行枝を含む。薄束と楔状束の神経線維は同側を上行し、後索の延髄中継核、すなわち薄束核と楔状束核に終わる。後索系には2部があり、薄束(Goll束)および楔状束(Burdach束)として脊髄の後索を上行する。これらの線維束は太い後根線維の直接の続きであって、延髄の後索核にまで達してシナプス結合する。後索系は主として四肢から起こる線維からなり、系統発生的に新しくて、ヒトでもっとも発達している。ヒトではこの線維の長さは長いもので約150cmである。楔状束は後索の外側部。身体の上半分から起こる線維を含む。)

Internal arcuate fibres(内弓状線維)Fibrae arcuatae internae ないきゅうじょうせんい Feneis: 276 19

[A14_1_04_109] →(内弓状線維は薄束核と楔状束核から起こる有髄神経線維は内弓状線維となり中心灰白質をまわって前内方へ移動する。これらの線維は完全に交叉し、内側毛帯とよばれる明瞭な上行束を形成する。)

Decussation of medial lemniscus; Sensory decussation(内側毛帯交叉;毛帯交叉;感覚交叉)Decussatio lemnisci medialis; Decussatio lemniscorum ないそくもうたいこうさ;もうたいこうさ;かんかくこうさ Feneis: 276 20

[A14_1_04_110] →(内側毛帯は感覚性の神経路で、交叉線維でできる。この交叉を内側毛帯交叉(感覚交叉)という。)

Medial lemniscus(内側毛帯)Lemniscus medialis ないそくもうたい Feneis: 276 21

[A14_1_04_111] →(延髄の後索(薄束および楔状束)を通過する伝導路は圧覚と触覚や固有知覚の興奮を後索核(薄束核および楔状束核)や視床を経て大脳皮質に伝達する神経路である。薄束核および楔状束核から起こる二次ニューロンは延髄視床路(内側毛帯)となり正中縫線近く延髄の中心を通り上行する。橋にはいると外側に広がり、橋核の背側縁を越えて上行する扁平な帯になる。中脳内では、黒質の背側縁を越えて赤核で外側に移る。内側膝状体まで内側を通り視床の後腹側核に入り、そこで終わる。視床を出た第3ニューロンの線維は、上行して大脳皮質におもむく。内側毛帯系は脊髄から上行する識別性感覚路の最初の一環を形成するのは後根を通って入ってくる太い有髄神経の枝であり、後索を上行する。後索を上行するこれらの神経線維は身体部位対応配列を示す。すなわち、仙骨神経根や腰神経塊を通って入ってくる上行枝は後索の内側部を占めて薄束を形成する。一方、頚神経根を通って入ってくる上行枝は後索の外側部を占めて楔状束を形成する。また、胸神経根を通って入ってくる少数の上行枝は、薄束と楔状束との間に位置する。薄束と楔状束は、延髄の尾側端でそれぞれ対応する神経核、すなわち、薄束核と[内側]楔状束核に終止する。ある後根が支配する皮膚領域は、同時にその後根の上下の後根からも支配されている。このように一定の皮膚領域を支配する隣接後根の神経線維群は、後根から後索、さらに後索核へと向かう経過のうちに、一つの神経束にまとまる。このような集束の結果として、隣接する皮節(dermatome)間の重なり合いは解消されるのであるが(一つの皮節からの情報を伝道する神経線維が集合して一つにまとまる)、後索で最初にみられたような層構造は次第に不明瞭になる。薄束核の背側部と[内側]楔状束核の背側部にはニューロンが幾つかの小群をつくって分布する。超す悪を上行する神経線維の中で、四肢の遠位部を支配するものがこれらのニューロン小群に終止して身体部位対応配列を示す。後索核の腹側部と吻側部では身体部位対応配列はあまり精細でない。後索には後核固有核から起こる内在性神経線維も含まれている。これらの内在性神経線維は後索核の腹側部と吻側部に終止する。その他、後側索(側索後部)を上行する神経線維は両側の後索核の腹側部と吻側部、およびZ群(group Z)に終止する。Z群は薄束核の吻側端に位置するニューロン群であり、下肢の筋からの入力を視床に中継する。上枝からの固有感覚性入力を中継するのは外側楔状束核である。この核から起こる投射神経線維は主として下小脳脚を通って小脳へ入る。後索核の腹側部と吻側部から起こる投射神経線維は、後索核背側部(ニューロンの小群の集合から成る)から起こる投射神経線維に比べて、分布範囲が広い。すなわち、前者も後者も反対側の視床へ向かうのであるが、前者はさらに小脳や下オリーブ核に投射し、脊髄の後角へ向かうものもある。薄束核と[内側]楔状束核からは内弓状線維が起こり、正中部で交叉してのち、内側毛帯を形成して上行枝、視床の後外側腹側核、後核群、内側膝状体大細胞部、および不確帯に終止する。後索核から後外側腹側核への投射は”核と殻(core-and-shell)”の様式を示す。すなわち、後索核背側部から起こる皮膚感覚の投射線維は後外側腹側核の中心部(すなわちcoreの部分)に終止し、後索核腹側部と吻側部から起こる固有感覚の投射線維は後外側腹側核の辺縁部(すわなち、shellの部分)に終止する。内側毛帯線維は後外側腹側核において一連の平行な層板をなして終止する。これらの層板は核のcoreの部分とshellの部分を通じて前後方向に伸びており、それぞれの層板が身体の特定の部位に対応している。また、各層板の前後軸に沿って、種々の感覚要素に対応する投射線維の終末が次々と配列分布する。)

Tectospinal tract(視蓋脊髄路)Tractus tectospinalis しがいせきずいろHeld's bundle Feneis: 276 22

[A14_1_04_112] →(視蓋脊髄路は四丘体と脊髄をむすぶ交叉性線維。顔面神経核と三叉神経核との間にある。 視蓋脊髄路および視蓋延髄線維は中脳の背側被蓋交叉で交叉して縫線の近くを下行し、延髄では内側縦束と共に走る。頚髄まで下行する視蓋脊髄路は主にⅦおよびⅧ層内に枝分かれする。)

Medial longitudinal fasciculus; MLF(内側縦束)Fasciculus longitudinalis medialis ないそくじゅうそく Feneis: 276 23

[A14_1_04_113] →(前索の後部には脳幹のいろいろなレベルにある種々な神経核からでる複雑な下行線維束がある。この複雑な神経線維束は内側縦束として知られている。この神経束の脊髄部は同じ名称で呼ばれる脳幹にある伝導路の一部にすぎない。内側縦束の上行線維は主として前庭神経内側核および上核から起こり、同側性および対側性に主として外眼筋支配の神経核(外転、滑車、動眼神経核)に投射する。内側核からの上行線維は主に交叉をし、両側の外転神経核と左右の動眼神経核に非対称性に終わるが、滑車神経核へは対側性に投射する。上核の中心部にある大形細胞は非交叉性上行線維を内側縦束に出し、これは滑車神経核および動眼神経核に終わる。同核の周辺部にある周辺部にある小型細胞は交叉性の腹側被蓋束(内側縦束の外側にある)を経て動眼神経核に投射するが、これは主として対側の上直筋を支配する細胞に作用する。生理学的には、前庭神経核から外眼筋支配核から外眼筋支配核への上行性投射のうち、交叉性線維は促進的に働くが、非交叉性線維は抑制的に働く。内側縦束にはこのほかに、左右の外転神経核の間にある神経細胞から起こり、交叉して上行し、動眼神経核の内側直筋支配部に終わる明瞭な線維が含まれる。この経路は一方の外転神経核の活動を対側の動眼神経核内側直筋支配部へ連絡する物で、外側視の場合に、外側直筋が収縮すると同時に対側の内側直筋が共同して収縮するための神経機構を形成している。内側縦束の上行線維の一部は、動眼神経核を回ってCajal間質核に終わる。これは内側縦束内にうまっている小さい神経細胞群である。前庭神経内側核は対側性に間質核へ投射するが、上核は同側性に終わる。前庭神経二次線維は両側性に視床の中継核へ投射し、その数は中等度で、後外側腹側核に終止する。前庭からの入力を受ける視床の細胞は体性感覚情報にも対応するが、これは視床には特定の前庭感覚中継核がないことを示唆している。)

Lemniscal interolivary layer(毛帯オリーブ間層;絨帯オリーブ間層)Stratum interolivare lemnisci もうたいおりーぶかんそう;じゅうたいおりーぶかんそう

[A14_1_04_113_1]→

Posterior longitudinal fasciculus; Dorsal longitudinal fasciculus(後縦束;背側縦束)Fasciculus longitudinalis posterior; Fasciculus longitudinalis dorsalis こうじゅうそく;はいそくじゅうそくSchütz, Fasciculus of, Bundle of Feneis: 276 24

[A14_1_04_114] →(背側縦束は中脳から延髄にかけて中心灰白質の腹内側部にみれれる小さい神経線維束で、細い有髄線維を含む。上行性および下行性の比較的短い神経線維の連鎖であり、吻側では視床下部の室周線維に連絡する。自律性または内臓性情報の中枢伝導系の一つとされる。)

Spinal tract of trigeminal nerve; Spinal tract of CN V(三叉神経脊髄路)Tractus spinalis nervi trigemini さんさしんけいせきずいろ Feneis: 276 25

[A14_1_04_115] →(三叉神経脊髄路は延髄から橋の横断面上にコンマ状に明確に認められる線維束。脊髄路核の各部の第Ⅰ層と第Ⅲ層細胞から起こる。これらのうち、下部と中間部からの線維は同側性であるが、上部からのものは両側性に下行し、後柱に入る感覚性情報を調節し、種々の反射に関係し、さらに三叉神経支配の受容器と脊髄の体性および内臓性効果器を連絡している。)

Amiculum of olive(オリーブ核外套;オリーブ外套;オリーブ小包)Amiculum olivare おりーぶかくがいとう;おりーぶがいとう;おりーぶしょうほう Feneis: 276 29

[A14_1_04_116] →(オリーブ外套はオリーブ周囲の線維包被。オリーブ諸核の求心性および遠心性線維。 赤核から主オリーブ核への線維は小細胞性赤核から起こり、同側の中心被蓋束(路)を通って主オリーブ核の背側板に終止する。これらの線維は背側板に終止知る前に主オリーブ核のまわりに線維包を作る(オリーブ外套)。オリーブ外套は主オリーブ核の外側を取り巻く有髄線維層であって、そのすべてが赤核オリーブ核線維ではない。)

Spino-olivary tract(脊髄オリーブ核路;脊髄オリーブ路)Tractus spinoolivaris せきずいおりーぶかくろ;せきずいおりーぶろ Feneis: 278 02

[A14_1_04_117] →(脊髄オリーブ路は脊髄小脳回路のもう一つの系路であり、脊髄からのインパルスを下オリーブ核の一部を経て小脳に中継する。これには2つの最も明瞭な伝導路、すなわち後脊髄オリーブ小脳路と前脊髄オリーブ小脳路がある。後脊髄オリーブ路の線維は後索を上行して楔状束核と薄束核の細胞にシナプス結合し、ここから副オリーブ核にインパルスが伝えられる。複数の前脊髄小脳路の線維は反対側の前索を上行し、背側および内側副オリーブ核の種々な部位に終始する。脊髄オリーブ路を形成する線維は脊髄のあらゆるレベルから起こり、皮膚とⅠb群受容器の興奮によって活動する。副オリーブ核は主に小脳の前葉に投射する交叉性のオリーブ小脳路の起始となる。)

Olivocerebellar tract(オリーブ核小脳路;オリーブ小脳路)Tractus olivocerebellaris おりーぶかくしょうのうろ;おりーぶしょうのうろ Feneis: 278 03

[A14_1_04_118] →(オリーブ核小脳路は下オリーブ核から小脳に投射する経路である。交叉性で下小脳脚を通り小脳皮質のほぼ前域とすべての小脳核に投射する。皮質では登上線維となりPurkinje細胞と結合する。下オリーブ核の主オリーブ核と背側および内側副オリーブ核内の尾状な領域と小脳皮質との間に明瞭な投射の局在関係が認められる。大きく分けて虫部皮質は内側副オリーブ核から、虫部傍皮質は内側および背側副オリーブ核から、半球皮質は主オリーブ核からの線維を受ける。)

Inferior cerebellar peduncle(下小脳脚)Pedunculus cerebellaris inferior かしょうのうきゃく Feneis: 278 04

[A14_1_04_013] →(下小脳脚は複合線維束であり、脊髄と延髄の細胞群から起こり小脳へ投射する線維で構成されている。この線維は副楔状束核の外側、および三叉神経脊髄路の背側の延髄後外側縁に沿って集まり下小脳脚に入る。索状体という外側の大きな束と索状体傍体という内側の小さな束とからなる脊髄ニューロンと延髄中継核からの線維の複合体である。この線維束は上部延髄ではさらに多くの線維が加わることによって急速に増大し、小脳に入る。交叉性のオリーブ小脳路の線維は下小脳脚の最大の構成成分をなしている。下小脳脚を通る求心路には後脊髄小脳路、副楔状束核小脳路、オリーブ小脳路などがある。前庭小脳路、網様体小脳路、三叉神経小脳路などの求心路や小脳皮質前庭路、室頂核前庭路(鈎状束)などの遠心路は下小脳脚内側部、すなわちMeynertのIAK(innere Abteilung des uteren Kleinhirnstiels, Corpus juxtarestifome)とよばれるところを通る。下小脳脚を経由して小脳にインパルスを中継するその他の延髄の核は、①延髄の外側網様核、②副楔状束核、③傍正中網様核、④弓状核、⑤舌下神経周囲核である。外側網様核と副楔状束核からの投射は非交叉性であるが、他の延髄中継核からくるものは交叉性、非交叉性の両方がある。非交叉性の後脊髄小脳路もこの脚を経由して小脳に投射する。)

Juxtarestiform body(傍索状体;索状傍体)Corpus juxtarestiforme ぼうさくじょうたい;さくじょうぼうたい

[A14_1_04_119] →(傍索状体は索状体の内側にあり、前庭小脳路の一次入力線維は傍索状体を通って小脳に入り、小節の全域と中部垂の腹側の小葉とに広く終止する。)

Restiform body(索状体)Corpus restiforme さくじょうたい

[A14_1_04_014] →(索状体は下小脳脚の大部分を占める外側部の純求心性線維束である。脊髄から小脳への脊髄小脳線維と延髄から小脳への楔状束小脳線維・網様体小脳線維を含む。)

Solitary tract(孤束)Tractus solitarius こそくGierke, Respiratory bundle of Feneis: 278 09

[A14_1_04_120] →(孤束は被蓋背側部を縦走する細いが明瞭な線維束。孤束核で囲まれ、閂の下方で左右のものが中心管の背側で交叉し、ある距離上を下り頚髄上部へと入る。迷走神経、舌咽神経および顔面神経(中間神経)に由来する内臓求心性線維によって形成されている。下の前2/3の味覚を伝道する神経(鼓索神経)と下の後1/3部の味覚伝導神経(舌咽神経)は主として孤束核の吻側に部に終わる。迷走神経が入る高さとその尾方の孤束は主として一般内臓求心性線維を含み、大部分は迷走神経からくる。)

Anterior external arcuate fibres of medulla; Ventral external arcuate fibres of medulla(前外弓状線維;腹側外弓状線維(延髄の))Fibrae arcuatae externae anteriores ぜんがいきゅうじょうせんい;ふくそくがいきゅうじょうせんい(えんずいの) Feneis: 278 23

[A14_1_04_009] →(延髄の前外弓状線維は弓状核よりでる。オリーブの外を斜行し、小脳脚へいたる。)

Posterior external arcuate fibres; Dorsal external arcuate fibres(後外弓状線維;背側外弓状線維)Fibrae arcuatae externae posteriores はいそくがいきゅうじょうせんい;がいきゅうじょうせんい Feneis: 278 24

[A14_1_04_121] →(後外弓状線維は弓状核の外側部よりでて下小脳脚にいたる線維。内耳神経(Ⅷ)核領域ではこの線維は後脊髄小脳路の代わりをなす。この部分では胸髄核を欠く。)

Raphe of medulla oblongata(延髄縫線)Raphe medullae oblongatae えんずいのほうせん Feneis: 278 25

[A14_1_04_122] →(延髄の縫線は毛帯交叉のなかの正中線。間に神経細胞体が分散している線維束の交叉が特徴。)

Anterior raphespinal tract(前縫線脊髄路;前縫線核脊髄路)Tractus raphespinalis anterior ぜんほうせんかくせきずいろ;ぜんほうせんせきずいろ

[A14_1_04_123] →(前縫線核脊髄路は主として延髄および橋尾側部から起こり前索の中を下行する神経線維束)

Anterior reticulospinal tract; Ventral reticulospinal tract(前網様体脊髄路;腹側網様体脊髄路)Tractus reticulospinalis anterior ぜんもうようたいせきずいろ;ふくそくもうようたいせきずいろ [A14_1_04_124]

Anterior spinocerebellar tract; Ventral spinocerebellar tract(前脊髄小脳路;腹側脊髄小脳路)Tractus spinocerebellaris anterior ぜんせきずいしょうのうろ;ふくそくせきずいしょうのうろGower's tract

[A14_1_04_125] →(ガワーズ路ともよばれる。前脊髄小脳路は発育が悪い。この伝導路は後脊髄小脳路の前方で脊髄の外側辺縁部に沿って上行する。これは最初下部胸髄にあらわれるが、その起始細胞は胸髄核ほどには、はっきりと分離していない。線維は第Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の一部の細胞から起こる。この伝導路の起始となる細胞は、尾髄と仙髄から上方へ第一腰髄まで広がっている。前脊髄小脳路の線維は後脊髄小脳路より数が少なく、均一に太く、また、結局すべて交叉する。後脊髄小脳路のように、主として下肢からのインパルスの伝達に関与する。前脊髄小脳路を出す細胞はGolgi腱器官由来のⅠb群求心性線維からの単シナプス性興奮を受けるが、そのGolgi腱器官の受容範囲はしばしば下肢の各関節における一つの協力筋群を包含している。小脳へのこの経路は2個のニューロンで構成されている。すなわち①脊髄神経節のニューロンⅠおよび②腰髄、仙髄および尾髄の前角と後角の基部の散在性の細胞群のニューロンⅡである。ニューロンⅡの線維は脊髄内で交叉し外脊髄視床路の線維の辺縁部を上行する。その線維は橋上位の高さで上小脳脚の背側面を通って小脳に入る。この伝導路の大部分の線維はは対側の小脳虫部の前部のⅠからⅣ小葉に終わる。おの伝導路線維は下肢全体の協調運動や姿勢に関係するインパルスを伝達する。臨床的には、他の脊髄伝導路が混在するために、脊髄小脳路の損傷に対する影響を決めることは結局不可能である。小脳へ投射されるインパルスは意識の領野には入らないから、このような損傷によって触覚や運動覚が失われることはない。Gowers, Sir William Richard(1845-1915)イギリスの神経科医、病理学者。ロンドン大学の教授。ヘモグロビン測定器の発明(1878年)、検眼鏡の活用に尽力し、ブライト病での眼底所見を示す(1876年)。脊髄疾患について記し、このときガワーズ路を記述(「The diagnosis of disease of the spinal cord」, 1880)。彼はまた速記術に興味を持ち、医学表音速記者協会を創設した。)

Hypothalamospinal fibres(視床下部脊髄線維)Fibrae hypothalamospinales ししょうかぶせきずいせんい

[A14_1_04_126] →(視床下部脊髄線維は室傍核および視床下部の後部・外側部領域より起こり、同側脳幹の腹外側部を通り脊髄の側索にはいり中間外側核に終わる線維。)

Interstitiospinal tract(間質核脊髄路;介在核脊髄路)Tractus interstitiospinalis かんしつかくせきずいろ;かいざいかくせきずいろ

[A14_1_04_127] →(間質核脊髄路は中脳の間質核から起こり同側を下行してRexedの脊髄節Ⅶ層とⅧ層に終わる線維束。)

Lateral raphespinal tract(外側縫線核脊髄路)Tractus raphespinalis lateralis がいそくほうせんかくせきずいろ

[A14_1_04_128] →(外側縫線核脊髄路は大縫線核から起こり側索後部を下行して脊髄後核に終わる線維束。このセロトニン性線維は後角で痛覚上方の抑制にかかわっている。)

Lateral bulboreticulospinal tract(外側延髄網様体脊髄路)Tractus bulboreticulospinalis lateralis がいそくえんずいもうようたいせきずいろ

[A14_1_04_129] →(延髄網様体脊髄路は延髄の巨大細胞網様体核から起こり同側を下行してRexedの脊髄節Ⅶ層とⅧ層に終わる。)

Medullary reticulospinal fibres(延髄網様体脊髄線維)Fibrae medulloreticulospinales えんずいもうようたいせきずいせんい [A14_1_04_130]

Lateral vestibulospinal tract(外側前庭脊髄路;外側前庭神経核脊髄路)Tractus vestibulospinalis lateralis がいそくぜんていせきずいろ;がいそくぜんていしんけいかくせきずいろ

[A14_1_04_131] →(外側前庭脊髄路は延髄の外側前庭核(Deiters核)から起こり交叉せず、前正中裂外側の脊髄前索を下行する線維束。この伝導路は脊髄の全長にわたっており、それぞれの高さで前角内側部に線維を送っている。この神経路の運動興奮によって心筋群の活動が強まる。)

Posterior spinocerebellar tract; Dorsal spinocerebellar tract(後脊髄小脳路;背側脊髄小脳路)Tractus spinocerebellaris posterior こうせきずいしょうのうろ;はいそくせきずいしょうのうろ

[A14_1_04_132] →(後脊髄小脳路は胸髄核から出て交叉せずにすぐ側索周辺部の背側部を上行し、下小脳脚を通って同側の小脳の前葉、一部は虫部錐体、虫部垂などの皮膚に達する。)

Cuneocerebellar fibres(副楔状束核小脳路線維;楔状束核小脳路線維)Fibrae cuneocerebellares ふくけつじょうそくかくしょうのうろせんい;けつじょうそくかくしょうのうろせんい

[A14_1_04_133] →(楔状束を上行する非交叉性後根線維は筋の求心性線維(Ia群)とGolgi腱器官の求心性線維(Ib群)のインパルスを伝え、副楔状束核の細胞に体部位局在性に終わる。この線維は、胸髄核が第八頚髄より上方には存在しないから、この経路を通るものと考えられる。延髄の背外側にある副楔状束核は胸髄核と相同のものと考えられる。副楔状束核の細胞は、下小脳脚を経由して小脳に入る(副)楔状束核小脳路繊維をだす。この繊維は同側性に小脳皮質のV小葉に終わる。(副)楔状束小脳路は相同もので上肢に関与すると考えられる。)

Rubrobulbar tract(赤核延髄路)Tractus rubrobulbaris せきかくえんずいろ

[A14_1_04_134] →(赤核延髄路と赤核脊髄路の下行性線維は反対側の小細胞性網様体や脊髄中間体背外側核に終止し、また顔面神経核運動ニューロンに直接シナプスする。ネコでは脊髄C8とT1の前核背外側部に存在する運動ニューロンの小群にも直接終枝すると報告されている。赤核延髄路と赤核脊髄路には身体部位対応配列がみらえる。顔面神経核に投射する赤核ニューロンは赤核の背側部に分布し、頚膨大または腰膨大に投射する赤核ニューロンは、それぞれ赤核の中間部または腹外側部に分布する。単一の赤核脊髄路線維で頚膨大と腰膨大の両方に分枝を送るものはほとんどない。赤核は反対側の屈筋支配運動ニューロンに興奮性の入力を与え、版tないそくの伸筋支配運動ニューロンを興奮性の入力を与え、反対側の伸筋支配運動ニューロンに興奮性の入力を与え、反対側の伸筋支配運動ニューロンを抑制する。赤核脊髄路を損傷すると、四肢、特にその遠位部を独立に動かすのが困難になる。)

Rubro-olivary tract(赤核オリーブ核路;赤核オリーブ路)Tractus rubroolivaris せきかくおりーぶかくろ;せきかくおりーぶろ

[A14_1_04_135] →(赤核の小細胞部から非交叉性の線維束が中心被蓋路に入り、オリーブ核主核の背側板に終わる。これを赤核オリーブ路といい、小脳へのフィールドバック系の一部をなす。)

Rubrospinal tract(赤核脊髄路)Tractus rubrospinalis せきかくせきずいろMonakow's tract Feneis: 272 29

[A14_1_04_136] →(『モナコフ束』ともよばれる。この伝導路の線維は、中脳被蓋の中心部にある卵円形の細胞集団である赤核からおこる。赤核は普通、吻側の小細胞群と尾側の大細胞群に分けられ、それらは動物によって大きさに差がある。赤核脊髄路は赤核の大細胞部から起こる。赤核脊髄路の線維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部それと混在して下行する。赤核脊髄路の線維は体部位局在性に構成されており、核の特定の部分の細胞はきめられた脊髄のレベルに選択的に投射する。頚髄へ投射する線維は赤核の背側および背内側部からおこり、一方腰仙髄に投射する線維は赤核の腹側および腹外側から起こる。胸髄は赤核の中間部から起こる線維を受ける。赤核脊髄路は①脊髄全長を下行する、②第Ⅴ層の外側半分、第Ⅵ層、および第Ⅶ層の背側部および中央部に終止する。赤核は大脳皮質と小脳から線維を受ける。“運動野”皮質からの皮質赤核路線維は赤核の小細胞部には両側性に、大細胞部には同側性に投射する。これらの投射線維はその起始終止とも体部位局在性に配列する。このシナプス結合を通して、皮質赤核路と赤核脊髄路とは共同して体部位局在性に配列した非錐体外路系伝導路として大脳皮質運動領と特定の脊髄レベルの間に存在する。赤核のあらゆる部分が上小脳脚を経てくる交叉性の小脳遠心線維を受ける。歯状核からの線維は赤核の前1/3に投射し、中位核(ヒトの球状核と栓状核に相当する)からの線維は体部位局在的に小脳皮質の部分と赤核の大細胞部とを関係づけている。赤核の細胞を刺激すると対側の屈筋のα運動ニューロンに興奮性シナプス後電位が発生し、また、伸筋のα運動ニューロンに抑制的シナプス後電位が発生する。赤核脊髄路の最も重要な機能は屈筋群の筋緊張の制御に関与することである。 Monakow, Constantin von (1853-1930) スイスの神経学者。大脳皮質の機能局在を明示し(Die Lolcalisation in Grosshirn u. der Abbau der Funktion durch kortical Herde, 1914)、モナコフ束(赤核脊髄路)を記述(Der rote Kern, die Haube u. die Regio hypothalamica bei einigen Saeugetieren und beim Menschen, Arb. Hirnanat. Inst. Zuerich, 1909, 3, 51-267; 1910, 4, 103-225)。)

Spinal lemniscus; Anterolateral tracts; Anterolateral system(脊髄毛帯;前外側路;前外側系)Lemniscus spinalis; Tractus anterolaterales せきずいもうたい;ぜんがいそくろ;ぜんがいそくけい Feneis: 280 24

[A14_1_04_137] →(脊髄毛帯は前外側系ともよばれる。脊髄側索の腹外側部にある複合線維の束で、脊髄視床線維・脊髄視床下部線維・脊髄毛帯線維・脊髄被蓋線維および脊髄から中脳水道周辺灰白質への線維を含む。後索核におこり視床におわる線維束を内側毛帯(狭義)とよぶが、橋頭側半のレベルから先は、この内側毛帯に脊髄視床路と三叉神経視床路とが合流して上行する。この複合体を内側毛帯(広義)とよぶところから、脊髄視床路を脊髄毛帯、三叉神経視床路を三叉神経毛帯と呼ぶことがある。侵害刺激・温度感覚・識別力のない触覚の伝導路である。)

Spinothalamic fibres(脊髄視床線維)Fibrae spinothalamicae せきずいししょうせんい

[A14_1_04_138] →(脊髄視床線維は後角のかなり広い範囲から起こる。その領域はまだ確定されていないが、おそらくⅠ・Ⅵ・Ⅶ層より起こると思われる。これらの線維の大部分はその起始部よりも1ないし数節頭側のレベルで白前交連を通って正中線で交叉し、反対側の前側索(前索と側索の境界部)を外側脊髄視床路(痛覚、温度覚)および前脊髄視床路(触覚)として上行する。両神経路共にそれを構成する神経線維に身体部位対応的配列がみられる。前脊髄視床路線維の中には延髄網様体や延髄外側網様核に終止するものがある。その他の線維はほぼオリーブ核尾側端のレベルで外側脊髄視床路に加わる。外側脊髄視床路は痛覚受容に関与しており、脊髄では前脊髄視床路の背外側方に位置している。脊髄視床線維の多くが脳幹網様体に終止する。橋と中脳の境界レベルでは、残りの脊髄視床線維が内側毛帯に加わる。したがって後索系、内側毛帯、脊髄視床路を併せて、“毛帯系”という。)

Spinoreticular fibres(脊髄網様体線維)Fibrae spinoreticulares せきずいもうようたいせんい

[A14_1_04_139] →(後柱に局在する一部のニューロンが軸索を前側索に出し、それらが上行して脳幹網様体の広い領域に分布している。脊髄網様体線維はの多くは延髄に終止し、同側性であるが、橋まで上行する線維は少なく、両側性に連絡するものが多い。)

Spinomesencephalic fibres(脊髄中脳線維)Fibrae spinomesencephalicae せきずいちゅうのうせんい

[A14_1_04_140] →(脊髄中脳線維は脊髄毛帯に含まれて中脳に終わる神経線維の総称。視蓋脊髄線維から上丘線維・水道周囲脊髄線維の深層に続き水道周囲灰白質に終わる。)

Spinotectal fibres(脊髄視蓋線維)Fibrae spinotectales せきずいしがいせんい

[A14_1_04_141] →(脊髄視蓋線維は脊髄後核の神経細胞からおこり、前交連で対側に移り前外側索を上行して上丘深層に終わる神経線維。)

Spinoperiaqueductal fibres(脊髄中脳水道周囲灰白質線維)Fibrae spinoperiaqueductales せきずいちゅうのうすいどうしゅういかいはくしつせんい

[A14_1_04_142] →(脊髄中脳水道周囲線維は脊髄後角の神経細胞から起こり、対側の前外側索を上行して中脳の水道周囲灰白質に終わる神経線維。下行性痛覚抑制路を含む。)

Spinohypothalamic fibres(脊髄視床下部線維)Fibrae spinohypothalamicae せきずいししょうかぶせんい

[A14_1_04_143] →(脊髄視床下部線維は脊髄灰白質から起こり、前外側索の一部として上行し視床下部に終わる神経線維。)

Spinobulbar fibres(脊髄延髄線維)Fibrae spinobulbares せきずいえんずいせんい [A14_1_04_144]

Spino-olivary fibres(脊髄オリーブ核線維)Fibrae spinoolivares せきずいおりーぶかくせんい

[A14_1_04_145] →(脊髄オリーブ核線維は脊髄から起こり、同側を上行して下オリーブ核の副核に終わる神経線維。)

Spinovestibular tract(脊髄前庭神経核路;脊髄前庭路)Tractus spinovestibularis せきずいぜんていしんけいかくろ;せきずいぜんていろ

[A14_1_04_146] →(腰髄から後脊髄小脳路に混じって上行する線維が前庭神経核複合体に側副枝をだす。これを脊髄前庭路とよんでいる。)

Tectobulbar tract(視蓋延髄路)Tractus tectobulbaris しがいえんずいろ

[A14_1_04_147] →(視蓋延髄路は上丘から両側性に中脳網様体や反対側の橋および延髄網様体に終わる線維が出る。これらを一括して視蓋延髄路または線維とよぶ。この神経路に伴行して下行し、橋核、脳神経の背側核とくに眼筋支配の核に終末している。このことから眼球運動の反射に密接な関連をもつとみられる。)

Grey matter of medulla; Grey substance of medulla; Gray mater of medulla; Gray substance of medulla(灰白質(延髄の))Substantia grisea partis basilaris pontis かいはくしつ(えんずいの) [A14_1_04_201]

Gracile nucleus(薄束核;後索内側部核;後索内側核;槌子核)Nucleus gracilis; Nucleus partis medialis fasciculi dorsalis; Nucleus clavae はくそくかく;こうさくないそくぶかく;こうさくないそくかく;ついしかくGoll's nucleus Feneis: 276 15

[A14_1_04_202] →(薄束核はゴル核ともよばれる楔状束核の内側にある核で、細胞学上3つの領域に分けられる、薄束核のニューロンは、三角形、多角形ないし卵円形の中等大の細胞体をもっており、比較的短い、中等度に分岐した少数の樹状突起が各方向に伸びている。核は円形ないし楕円形の切口を示し、しばしば核膜の深い陥入をみる。粗面小胞体は体運動性の細胞のように斑状のニッスル小体をつくることなく、細胞全体に濔漫性に広がり、神経細糸、微細管と入り混じる。遊離のポリゾームも多い。ゴルジ装置はとくによく発達し、核の周りを取り囲み、太い樹状突起のかなり遠位部にまで達している。軸索は、細胞体ないし、むしろしばしば大きな樹状突起の基部から出て神経網に入り、他の薄束核ニューロンの軸索と共に内側弓状線維を形成して内側毛帯に入るのであるが、神経網にはいると間もなく通常1本、時にそれ以上の側副枝を出して、おのれ自身の細胞、ないし同じ薄束核の他の細胞の樹状突起に、自己抑制系(もしかすると促進形)のシナプスるを形成する。薄束を上行してくる後根線維はしばしば糸球体を形成して樹状突起に終わるが、これより数の少ない軸索細胞体終末の中には、錐体路の側副枝が含まれていることが知られている。)

Central part of gracile nucleus; Cell nest region of gracile nucleus(中心部;細胞巣領域(薄束核の))Pars centralis nuclei gracilis ちゅうしんぶ;さいぼうそうりょういき(はくそくかくの)

[A14_1_04_203] →(中央の「細胞集団」域、数個の細胞群からなる。)

Rostral part of gracile nucleus; Shell region of gracile nucleus(吻側部;殻領域(薄束核の))Pars rostralis nuclei gracilis ふんそくぶ;からりょういき(はくそくかくの)

[A14_1_04_204] →(吻側の網様部、散在性の細胞配列が特徴である。)

Rostrodorsal subnucleus of gracile nucleus; Cell group Z(吻背側亜核;Z細胞群(薄束核の))Subnucleus rostrodorsalis nuclei gracilis ふんはいそくあかく;Zさいぼうぐん(はくそくかくの)

[A14_1_04_205] →(Z細胞群は薄束核の吻側端に位置するニューロン群であり、下肢の筋からの入力を視床に中継する。)

Cuneate nucleus(楔状束核;後索外側部核;後索外側核;内側楔状束核)Nucleus cuneatus けつじょうそくかく;こうさくがいそくぶかく;こうさくがいそくかくBurdach's nucleus Feneis: 276 17

[A14_1_04_206] →(楔状束核はブルダッハ核とも呼ばれる。脊髄の後索の3核の中の1つ。閂の高さから下方にかけて延髄の背面近くに位置する。楔状束核は薄束核の外側にある核で細胞構築上、部位的差異を示す。楔状束核の背側部には灌木上の樹状突起をもった円い細胞集団の集団があり、腹側部には三角形、多極性、紡錘形の細胞がみられる。円形細胞群は上肢の遠位部から来る一次求心線維を受け、小さな皮膚受容野に関係すると考えられている。Burdach, Karl Friedrich (1776-1847) ドイツの解剖学者、生理学者、ブルダッハ索(脊髄楔状束)を記述(「Vom Baue u. Leben des Gehirns」, 1819-1826))

Nuclear layer of medulla oblongata(有核層(延髄の))Stratum nucleare (Medulla oblongata) 

[A14_1_04_206a]→

Central part of cuneate nucleus; Cell nest region of cuneate nucleus(中心部;細胞巣領域(楔状束核の))Pars centralis nuclei cuneati ちゅうしんぶ;さいぼうそうりょういき(けつじょうそくかくの) [A14_1_04_207]

Rostral part of cuneate nucleus; Shell region of cuneate nucleus(吻側部;殻領域(楔状束核の))Pars rostralis nuclei cuneati ふんそくぶ;からりょういき(けつじょうそくかくの) [A14_1_04_208]

Lateral cuneate nucleus; Accessory cuneate nucleus(副楔状束核;外側楔状束核)Nucleus cuneatus accessorius; Nucleus cuneatus lateralis ふくけつじょうそくかく;がいそくけつじょうそくかく Feneis: 276 18

[A14_1_04_209] →(副楔状束核は楔状束核のわずかに吻側の高さでその外側にあり、Clarkeの背核(胸髄核)に類似した大きな細胞核とClarkeの背核に類似した大きな細胞からなる。副楔状束核とClarkeの背側核は形態学的に類似しており(大形細胞で核は中心からずれている)、次のような特徴をもつ。①脊髄神経節から求心性線維を受けている。②同側の小脳へ投射線維を出している。③筋紡錘、Golgi腱器官、および皮膚からの情報を中継している。副楔状束核に終止する神経線維は楔状束核に投射する線維と同じ脊髄神経節、すなわち頚及び上部胸神経の神経節に由来する。楔状束を上行する線維は体部位局在性配列をもって副楔状束核に終わる。副楔状束核の細胞は下小脳脚を経て小脳に入る非交叉性の(副)楔状束核小脳路線維をだす。副楔状束核の主な小脳投射は同側性で、前葉の傍正中部に終止する。楔状束確証の迂路は後脊髄小脳路と相同の神経路で、上肢に関与している。)

Preaccessory cuneate nucleus; Cell group X(副楔状束前核;X細胞群)Nucleus precuneatus accessorius ふくけつじょうそくぜんかく;Xさいぼうぐん [A14_1_04_210]

Spinal tract nucleus of trigeminal nerve; Spinal nucleus of trigeminal nerve; Spinal tract nucleus of CN V(三叉神経脊髄路核;三叉神経脊髄核)Nucleus tractus spinalis tractus nervi trigeminalis; Nucleus spinalis nervi trigeminalis さんさしんけいせきずいろかく;さんさしんけいせきずいかく Feneis: 276 26

[A14_1_04_211] →(三叉神経脊髄路核は三叉神経脊髄路の内側に沿ってあり、橋の三叉神経根のレベルから第二頚髄まで存在する知覚性神経核 。三叉神経脊髄路の線維は全域にわたってこの神経核の細胞に終止する。細胞構築上三叉神経脊髄核は①吻側部、②中間部、③尾側部に分けられる。)

Caudal part of spinal tract nucleus of trigeminal nerve; Caudal part of spinal nucleus of trigeminal nerve(尾側亜核;尾部;尾側部(三叉神経脊髄路核の))Pars caudais nuclei tractus spinalis nervi trigemini; Pars caudais nuclei spinalis nervi trigemini びそくあかく;ぶぶ;びそくぶ(さんさしんけいせきずいろかくの)

[A14_1_04_212] →(三叉神経脊髄路の尾側部(下部)の層構造は4つからなり、脊髄後柱の層に類似する。第Ⅰ層の細胞は侵害刺激と温度刺激に反応し、第Ⅱ層および第Ⅳ層(大細胞層)三叉神経脊髄核の尾側部(下部)は前額部、頬および下顎と広い部位からの感覚を受ける。)

Zonal subnucleus of spinal tract nucleus of trigeminal nerve; Zonal subnucleus of spinal nucleus of trigeminal nerve(帯状層;辺縁部(三叉神経脊髄路核の尾側亜核の))Subnucleus zonalis nuclei tractus spinalis nervi trigemini; Subnucleus zonalis nuclei spinalis nervi trigemini たいじょうそう;へんえんぶ(さんさしんけいせきずいろかくのびそくあかくの)

[A14_1_04_213] →(三叉神経脊髄核の帯状亜核(第Ⅰ層)の細胞は侵害刺激と温度刺激に反応する。P物質を含む線維は下部の第Ⅰ層と第Ⅱ層の外部に終わる。)

Gelatinous subnucleus of spinal tract nucleus of trigeminal nerve; Gelatinous subnucleus of spinal nucleus of trigeminal nerve(膠様層;膠様質(三叉神経脊髄路核の尾側亜核の))Subnucleus gelatinosus nuclei spinalis nervi trigemini; Subnucleus gelatinosus nuclei tractus spinalis nervi trigemini こうようそう;こうようしつぶ(さんさしんけいせきずいろかくのびそくあかくの)

[A14_1_04_214] →(三叉神経脊髄路核の膠様質部(第Ⅱ層)の細胞は膠様質に対応する。ロイシン-エンケファリン陽性細胞は第Ⅱ層の深部に認められる。)

Magnocellular subnucleus of spinal tract nucleus of trigeminal nerve; Magnocellular subnucleus of spinal nucleus of trigeminal nerve(大細胞層(三叉神経脊髄路核の);三叉神経脊髄路核の大細胞部)Subnucleus magnocellularis nuclei spinalis nervi trigemini; Subnucleus magnocellularis nuclei tractus spinalis nervi trigemini だいさいぼうそう(さんさしんけいせきずいろかくの);さんさしんけいせきずいろかくのだいさいぼうぶ

[A14_1_04_215] →(三叉神経脊髄核の大細胞性亜核(第Ⅲ層および第Ⅳ層)は後柱固有核に相当する。)

Interpolar part of spinal tract nucleus of trigeminal nerve; Interpolar part of spinal nucleus of trigeminal nerve(中間亜核;中間部;両極間部(三叉神経脊髄路核の))Pars interpolaris nuclei tractus spinalis nervi trigemini; Pars interpolaris nuclei spinalis nervi trigemini ちゅうかんあかく;ちゅうかんぶ;りょうきょくかんぶ(さんさしんけいせきずいろかくの)

[A14_1_04_216] →(三叉神経脊髄路核の中間部(両極間部)は主として顔面皮膚から感覚を受ける。)

Retrotrigeminal nucleus(三叉神経核後核)Nucleus retrotrigeminalis さんさしんけいかくこうかく [A14_1_04_217]

Retrofacial nucleus(顔面神経核後核)Nucleus retrofacialis がんめんしんけいかくこうかく [A14_1_04_218]

Inferior olivary complex(下オリーブ核群;下オリーブ複合体;オリーブ核)Complexus olivaris inferior; Nuclei olivares inferiores; Nucleus olivaris かおりーぶかくぐん;かおりーぶふくごうたい Feneis: 276 28

[A14_1_04_219] →(下オリーブ核は延髄腹側部にあり、①主オリーブ核(主核)、②内側副オリーブ核(内側副核)、③背側副オリーブ核(背側副核)の三つの部分から成る。主オリーブ核は系統発生的に新しく、ヒトおよびサルなどの高等哺乳類では発育がよい。その形はしわのある袋状をなし、その内側に向けられた袋の口はオリーブ核門とよばれる。そこにはオリーブ核の細胞の軸索が集まって出るところである。オリーブ核からの遠心路はオリーブ小脳路となる。主オリーブ核は系統発生的に新しい小脳の半球皮質と結合し、副オリーブ核は虫部および中位核(栓状核、球状核)と結合する。オリーブ核は非常に広汎な領域からの求心線維を受け、その終枝には局在性が認められる。その起源は大脳皮質運動野、赤核、視蓋前域、不確帯、Cajal間質核、後索核、三叉神経脊髄路核、小脳核(歯状核と中位核)および脊髄などである。)

Principal olivary nucleus(主オリーブ核;オリーブ主核)Nucleus olivaris principalis; Nucleus olivae しゅおりーぶかく;おりーぶしゅかく

[A14_1_04_220] →(主オリーブ核は下オリーブ核複合体の最大部分で、波形の細胞層からなり背側層板・腹側層板とこれらを連結する外側層板からなる。この細胞層の内側に向いた開口がオリーブ核門である。系統発生的に新しく、ヒトおよびサルなどの高等哺乳類では発育がよい。その形はシワの多い袋状をなし、内側に向かう開口部、すなわち門を持つ。)

Dorsal lamella of principal olivary nucleus(背側板;背側層板(主オリーブ核の))Lamella posterior nuclei olivaris はいそくばん;はいそくそうばん(しゅおりーぶかくの) [A14_1_04_221]
Ventral lamella of principal olivary nucleus(腹側板;腹側層板(主オリーブ核の))Lamella anterior nuclei olivaris principalis ふくそくばん;ふくそくそうばん(しゅおりーぶかくの) [A14_1_04_222]
Lateral lamella of principal olivary nucleus(外側板;外側層板(主オリーブ核の))Lamella lateralis nuclei olivaris principalis がいそくばん;がいそくそうばん(しゅおりーぶかくの) [A14_1_04_223]

Hilum of inferior olivary nucleus(下オリーブ核門;オリーブ核門)Hilum nuclei olivaris inferioris; Hilus nuclei olivaris かおりーぶかくもん;おりーぶかくもん Feneis: 276 30

[A14_1_04_224] →(下オリーブ核はヒダの多い袋のような形状を示し、袋の口にあたるところは内側に向かい下オリーブ核門と呼ばれる。)

Accessory olivary nucleus(副オリーブ核)Nucleus olivaris accessorius 

[A14_1_04_224a]→

Posterior accessory olivary nucleus; Dorsal accessory olivary nucleus(後副オリーブ核;背側副オリーブ核)Nucleus olivaris accessorius posterior; Nucleus olivaris accessorius dorsalis こうふくおりーぶかく;はいそくふくおりーぶかく Feneis: 276 32

[A14_1_04_225] →(背側副オリーブ核は主オリーブ核の背側にある下オリーブ核の副核。)

Medial accessory olivary nucleus(内側副オリーブ核)Nucleus olivaris accessorius medialis ないそくふくおりーぶかく Feneis: 276 31

[A14_1_04_226] →(内側副オリーブ核は内側毛帯の外側縁に沿って存在する下オリーブ核の副核。)

Nucleus of hypoglossal nerve; Hypoglossal nucleus; Nucleus of CN XII(舌下神経核)Nucleus nervi hypoglossi ぜっかしんけいかく Feneis: 278 05

[A14_1_04_227] →(舌下神経核は第12脳神経、すなわち舌下神経の起始核である。脊髄前角の運動神経細胞群の頭側延長部として、延髄において第四脳室底の直下で正中線背側部の両側に存在し、オリーブ核下端部より内耳神経核のレベルにわたる細胞柱(約2cm)を形成する。内舌筋および5個のうち4個の外舌筋を支配している運動神経核。)

Posterior paramedian nucleus of medulla; Dorsal paramedian nucleus(後正中傍核;背側正中傍核(延髄の))Nucleus paramedianus posterior こうせいちゅうぼうかく;はいそくせいちゅうぼうかく(えんずいの) Feneis: 278 06

[A14_1_04_228] →(延髄の背側正中傍核は延髄から橋下部のあいだにみられ、舌下神経核の背内側に位置する。延髄網様体に連なる。)

Posterior nucleus of vagus nerve; Dorsal nucleus of vagas nerve(迷走神経背側核;迷走神経後核)Nucleus posterior nervi vagi; Nucleus dorsalis nervi vagi めいそうしんけいはいそくかく;めいそうしんけいこうかく Feneis: 278 07

[A14_1_04_229] →(迷走神経背側核はさらに内側核と外側核とに分けられる。内側核(背側運動核dorsal motor nucleus)は一般内臓遠心性である副交感性線維を出す。外側核は迷走神経支配の領域から一般内臓求心線維が終止する。この核はまた孤束核に含められ、孤束核の内側核として取り扱われることが多い。迷走神経背側運動核は舌下神経核の背外側で第四脳室底に位置する。比較的小さい紡錘形の細胞からなるこの細胞柱は、吻側および尾側共にわずかに舌下神経核を越えて広がっている。この神経核の一部の大きい細胞は粗大なNissl小体と散在性のメラニン色素を含む。迷走神経背側運動核の細胞は副交感神経節前線維(GVE)をだし、軸索は軸索は三叉神経脊髄路およびその核を貫いて延髄外側面より外にでる。迷走神経背側運動核迷走神経性の分泌運動中枢である。迷走神経背側運動核の細胞はコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)に強く免疫陽性を示す。この核を破壊すると、インスリンによって誘発される胃液分泌が大きく減弱する。)

Nuclei of solitary tract; Solitary nuclei(孤束核)Nuclei tractus solitarii こそくかく Feneis: 278 10

[A14_1_04_230] →(孤束核は延髄背側を矢状方向に走る細い細胞柱で、菱形窩底の下で境界溝のすぐ外側にある。小さい独立核の集まりで一括して言えば脳幹の内臓求心性の核であって迷走神経、舌咽神経、顔面神経からの線維が孤束を経てはいってくる。孤束核は次の数個の部分に分けられる。すなわち、①内側部、迷走神経背側運動核の背外側にある、②背内側、背外側および腹外側亜核、孤束を取り巻く、および③小細胞性亜核、最後野の腹側にある。内側部の細胞は迷走神経背側運動核を吻側にわずかに越え、また、第四脳室より下方へ広がり、反対側の同じ細胞性と合一して迷走神経交連核をつくる。外側の諸核は大細胞性の細胞柱をなし、孤束を一部あるいは完全に取り巻いている。この外側部は孤束のほぼ全長にわたって平行に存在する。吻側では橋下部まで広がり、一方尾側ではその細胞数が減少し、網様体との区別が難しくなる。孤束核の膨大した吻側部(すなわち外側部)は主として特殊内臓求心性(味覚)線維を顔面神経(中間神経)と一部の顔面神経と舌咽神経からくる一般内臓求心性線維を受ける。孤束核の内側部の細胞は多数のニューロペプチドを含有している。すなわち、エンケファリン、ソマトスタチン、サブスタンスP、およびコレシストキニンなどである。同部位にはサブスタンスP含有線維も豊富に存在する。孤束核から起こる二次路系は次の部位に同側性に投射する。すなわち、①疑核とその周辺の網様体、②橋上部の傍腕核、および③味覚に関与する視床の核、すなわち後内側腹側核(小細胞部)である。孤束核から起こるその他の二次線には舌下神経核と唾液核に投射し、舌の運動と唾液の分泌反射を仲介する。孤束核からの迷走神経背側運動核、横隔神経核(第三(C3)・第四(C4)・第五(C5)頚髄の高さ)、および胸髄の前角細胞への投射はせきと嘔吐反射に関与する。孤束核は生理学的に同定された延髄の呼吸“中枢”と同一の広がりをもち、この中枢は疑核とその周辺の網様体を包含する。延髄“呼吸中枢”の細胞は迷走神経のインパルス、および直接の化学的環境変化(CO2蓄積)によって賦活される。別個の昇圧帯と減圧帯からなる延髄の血管運動“中枢”は十分明らかにされていない。最近、心臓血管系の調節に関する神経回路網が重視されてきた。ノルアドレナリン作働性ニューロンの1集団(グループA5と呼ばれる)が橋の下部で上オリーブ核と顔面神経の根線維の間にあり、軸索を孤束核、疑核、迷走神経背側運動核および胸髄の交感神経節前線維のニューロンに投射しており、上記神経回路網の一部と思われる。)

Parasolitary nucleus(孤束傍核)Nucleus parasolitarius こそくぼうかく Feneis: 278 11 [A14_1_04_231]

Commissural nucleus of solitary nuclei(交連核;孤束交連核(孤束核の))Nucleus commissuralis こうれんかく;こそくこうれんかく(こそくかくの) Feneis: 278 19

[A14_1_04_232] →(孤束核の交連核は延髄では明らかでない核。孤束核の尾側部は、尾内方に向かって伸びており、尾側端では、左右の孤束核はつながって交連核となっている。孤束核の尾側部からの上行性線維は、脳幹網様体、視床下部、視床などに終止している。)

Gelatinous solitary nucleus(孤束膠様核)Nucleus gelatinosus solitarius こそくこうようかく [A14_1_04_233]

Intermediate solitary nucleus(孤束中間核)Nucleus intermedius solitarius こそくちゅうかんかく [A14_1_04_234]

Interstitial solitary nucleus(孤束間質核)Nucleus interstitialis solitarius こそくかんしつかく [A14_1_04_235]

Medial solitary nucleus(孤束内側核)Nucleus medialis solitarius こそくないそくかく [A14_1_04_236]

Paracommissural solitary nucleus(孤束交連傍核)Nucleus paracommissuralis solitarius こそくこうれんぼうかく [A14_1_04_237]

Posterior solitary nucleus; Dorsal solitary nucleus(後孤束核;背側孤束核)Nucleus solitarius posterior こうこそくかく;はいそくこそくかく [A14_1_04_238]

Posterolateral solitary nucleus; Dorsolateral solitary nucleus(後外側孤束核;背外側孤束核)Nucleus solitarius posterolateralis こうがいそくこそくかく;はいがいそくこそくかく [A14_1_04_239]

Anterior solitary nucleus; Ventral solitary nucleus(前孤束核;腹側孤束核)Nucleus solitarius anterior ぜんこそくかく;ふくこそくそくかく [A14_1_04_240]

Anterolateral solitary nucleus; Ventrolateral solitary nucleus(前外側孤束核;腹外側孤束核)Nucleus solitarius anterolateralis ぜんがいそくこそくかく;ふくがいそくこそくかく [A14_1_04_241]

Vestibular nuclei in medulla oblongata(前庭神経核;前庭神経核群)Nuclei vestibulares in medulla oblongata ぜんていしんけいかく;ぜんていしんけいかくぐん Feneis: 278 12

[A14_1_04_242] →(前庭神経核群は第四脳室底外側部の深部に位置しており、下前庭核、内側前庭核(Schwalbe核)、外側前庭核(Deiters核)、上前庭核(Bechterew核)である。下前庭核には大きな細胞からなる大細胞部またはF群細胞が尾方にある。中間の大きさの神経細胞が外側前庭核の外側部にあって貧細胞部またはⅠ群細胞といわれる。前庭神経からの入力線維を受けており、室頂核および小脳の片葉小節葉と相互に結合し、また、内側縦束を経て、外側神経核、滑車神経核と動眼神経核、脊髄の前角へ線維を出す。前庭神経外側核は前庭脊髄路を介して、脊髄の前角へ同側性に線維を出す。)

Inferior vestibular nucleus(前庭神経下核;下前庭神経核)Nucleus vestibularis inferior ぜんていしんけいかかく;かぜんていしんけいかく Feneis: 278 13

[A14_1_04_243] →(前庭神経核群のうち、前庭神経下核は延髄において副楔状束核の内側から上方へ前庭神経が脳幹に入るまでの高さにあり、主として小型および中型の細胞溶離成る。ただし、その最も吻側部は前庭神経外側核に似た大型細胞から成る。神経線維染色標本で縦走する線維束の認められるのがこの核の特徴である。)

Magnocellular part of inferior vestibular nucleus; Cell group F(前庭神経下核の大細胞部;F細胞群;Fグループ細胞)Pars magnocellularis nuclei vestibularis inferioris ぜんていしんけいかかくのだいさいぼうぶ;Fさいぼうぐん;FぐるーぷさいぼうSchwalbe's nucleus [A14_1_04_244]

Medial vestibular nucleus in medulla oblongata(前庭神経内側核;内側前庭神経核)Nucleus vestibularis medialis in medulla oblongata ぜんていしんけいないそくかく;ないそくぜんていしんけいかく Feneis: 278 14

[A14_1_04_245] →(前庭神経内側核は小型および中型細胞からなり、比較的線維が少ない。これは前庭神経核のうちで最も大きく、舌下神経核の吻側端の高さから外転神経核の高さまで伸び、上方は前庭神経上核と融合する。前庭神経内側核から起こり内側前庭神経核脊髄路を下行する神経線維は反対側の中心頚髄核にも終止する。)

Marginal nucleus of restiform body; Cell group Y(索状体辺縁核;Y細胞群)Nucleus marginalis corporis restiformis さくじょうわいへんえんかく;Yさいぼうぐん [A14_1_04_246]

Cochlear nuclei in medulla oblongata and pontile tegmentum(蝸牛神経核(延髄と橋被蓋の))Nuclei cochleares in medulla oblongata かぎゅうしんけいかく(えんずいときょうひがいの) Feneis: 278 16

[A14_1_04_247] →(第8脳神経のうち蝸牛神経の線維を受けるこの核は、延髄上部の高さから延髄中央部の高さで下小脳脚を背側および外側から包んで存在する。これは一般に背側部と腹側部に分かれ、それぞれ蝸牛神経背側核および腹側核といわれる。ラセン神経節内の双極細胞の注す右枝はすべてこの核におわるが、それらの線維は分枝して背側核と腹側核のそれぞれに規則正しく配列しておわる。すなわちラセン管の基底部からの線維はそれぞれの核の背側部に、またラセン管尖部からのものは腹側部におわる。したがって機能的には両核内で背側部は高周波の、また腹側部は低周波の音波の刺激を最もよく受けることになる。これらの音に対する局在(tontopical localization)は上位の聴覚路にも受け継がれていく。)

Posterior cochlear nucleus; Dorsal cochlear nucleus(蝸牛神経後核;蝸牛神経背側核;背側蝸牛神経核)Nucleus cochlearis posterior かぎゅうしんけいこうかく;かぎゅうしんけいはいそくかく;はいそくかぎゅうしんけいかく Feneis: 278 18

[A14_1_04_248] →(蝸牛神経背側核は腹側核よりやや下方の高さで下小脳脚の背外側に接し、菱形窩の聴結節にある。この核は多くの動物では層構造を示すが、ヒトでも多少その傾向が認められる。)

Anterior cochlear nucleus; Ventral cochlear nucleus(蝸牛神経前核;蝸牛神経腹側核;腹側蝸牛神経核)Nucleus cochlearis anterior かぎゅうしんけいぜんかく;かぎゅうしんけいふくそくかく;ふくそくかぎゅうしんけいかく Feneis: 278 17

[A14_1_04_249] →(蝸牛神経腹側核は発育がよく、下小脳脚の腹外側で、蝸牛神経の根の外側にある。蝸牛神経腹側核はその部位と細胞構築によって、前腹側核と後腹側核の2亜核に分けられる。蝸牛神経腹側前核anteroventral cochlear nucleusは吻側で卵円形細胞が密につまっており、また蝸牛神経腹側後核posteroventral cochlear nucleusは蝸牛神経の脳内侵入部近くにあって種々の形の神経細胞よりなるが、そのうちの主な物は多極性である。これらの亜核には音階的配列があり、音階に応じて連続的に対応している。蝸牛神経の線維は脳幹内に入ったのち、規則正しく順番に分岐して蝸牛神経背側核および腹側核の両方に音快的配列をもって終止する。蝸牛神経核内で線維が次々と規則正しく分岐と分布を行うので全ての亜核内で重なりあった周波数配列が認められる。蝸牛神経核では高い周波数に反応する細胞が背側に、低い周波数に反応する細胞が腹側に位置するが、これは蝸牛とは反対の配列である。)

Anterior part of anterior cochlear nucleus(前部(蝸牛神経前核の))Pars anterior nuclei cochlearis anterior ぜんぶ(かぎゅうしんけいぜんかくの) [A14_1_04_250]
Posterior part of anterior cochlear nucleus(後部(蝸牛神経前核の))Pars posterior nuclei cochlearis anterior こうぶ(かぎゅうしんけいぜんかくの) [A14_1_04_251]

Commissural nucleus of vagus nerve(迷走神経交連核)Nucleus commissuralis nervi vagi めいそうしんけいこうれんかく [A14_1_04_252]

Nucleus ambiguus(疑核)Nucleus ambiguus ぎかく Feneis: 278 20

[A14_1_04_253] →(疑核はオリーブの背側にある核。舌咽神経(IX)、迷走神経(X)および副神経(XI)延髄根の起始核。疑核は三叉神経脊髄路核と下オリーブ核群のほぼ中間で、網様体内にある細胞柱である。この核は毛帯交叉の高さより下オリーブ核群の吻側1/3部の高さまで広がり多極性のコリン作働性の下位運動ニューロンからなる。この核より出た線維は背側に弧を描き、迷走神経背側運動核からの遠心線維と一緒になり下オリーブ核群の背側の延髄外側面から外にでる。疑核の尾方部は副神経の延髄根をだし、吻側部は舌咽神経の特殊内臓遠心性線維をだす(茎突咽頭筋を支配する)。迷走神経の特殊内臓遠心性線維(迷走神経に結合する副神経延髄根からの線維を含めて)は咽頭と喉頭の筋を支配する。疑核の細胞はNissl染色標本では同定が困難であり、この細胞は線維を出し、副神経脊髄根の一部を構成する。疑核の細胞はコリン作働性であるので、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)により免疫細胞化学反応を行えば、容易に見ることができる。舌下神経核と迷走神経背側運動核の細胞もChAT免疫反応陽性である。)

Retro-ambiguus nucleus(疑核後核)Nucleus retroambiguus ぎかくこうかく

[A14_1_04_254] →(疑核後核はOlszewski and Baxterの外側巨大細胞性網様体傍核lateral paragigantocellular nucleusの尾側部にあたる。疑核後核はおそらく咽頭筋支配運動ニューロンの集合領域である。)

Inferior salivary nucleus; Inferior salivatory nucleus(下唾液核;下唾液分泌核;延髄の唾液核)Nucleus salivarius inferior; Nucleus originis salivatorius medullae oblongatae かだえきかく;かだえきぶんぴつかく;えんずいのだえきかく Feneis: 278 21

[A14_1_04_255] →(下唾液核は延髄の網様体中に位置する副交感神経節前ニューロン群で、疑核の背側にある。この核の軸索は舌咽神経を通って脳を出て、耳神経節を介して耳下腺の分泌を支配している。上下唾液核の細胞は放散していて網様体の外側部では混ざり合っている。)

Arcuate nucleus of medulla oblongata(弓状核(延髄の))Nucleus arcuatus きゅうじょうかく(えんずいの) Feneis: 278 22

[A14_1_04_256] →(延髄の弓状核は錐体の腹側部に、大きさ、位置、高さがさまざまな小さい細胞集団により構成される。この核はしばしば上部で橋核と連続する。入力線維は大脳皮質に由来し、遠心性線維は外弓状線維となって小脳に投射する。弓状核からの線維の一部は延髄の正中線を背側に走って第四脳室髄条を形成して外側方に走り、下小脳脚を通って小脳に達する。)

Raphe nuclei of medulla oblongata(縫線核;縫線核群(延髄の))Nuclei raphes in medulla oblongata ほうせんかく;ほうせんかくぐん(えんずいの) Feneis: 278 26

[A14_1_04_257] →(延髄の縫線核は網様体中の細胞群。正中部にある。)

Area postrema(最後野)Area postrema さいこうや Feneis: 282 34

[A14_1_04_258] →(最後野は人では延髄の背内側部にあって、第四脳室の尾側端野側壁から隆起する一対のゼラチン様の組織塊として認められる。第四脳室の尾部は、中心管へ向かって筆先状に狭くなるので、最後野も吻側から尾方にせばまるV字状の、縦に長い構造物として観察される。吻側の最も開いた部分では、左右に1.5-2mmに開き、尾側端では中心管開口部の側壁に位置している。最後野は吻側に向かうほど背側へ移動し、その側方は第四脳室底に移行している。最後野の側縁は、多くの場合第四脳室ヒモの尾に当たり、第四脳室天蓋と脈絡組織を形成する軟膜に付着している。最後野は星状膠芽細胞に似た細胞、小動脈、類洞および、若干の無極あるいは単極ニューロンを有する。最後野は特殊な上衣層域のひとつで、血液脳関門外にあり、脳室周囲器官として総称されている。最後野を除くすべての脳室周囲器官は無対であり、間脳の特定部位に関係している。孤束核と脊髄から来る線維は最後野に投射する。最後野周辺の終止域はニューロフィジン、オキシトシン、バゾプレッシンを含有する。しかしこれらのペプチドは最後野内には検出できない。最後野は化学的嘔吐受容器で、アポモルフィンや静脈内に投与されたジキタリス配糖体に感受性をもっている。)

Endolemniscal nucleus(毛帯内核)Nucleus endolemniscalis もうたいないかく [A14_1_04_259]

Medial pericuneate nucleus(内側楔状束周囲核;内側楔状束核周囲核)Nucleus pericuneatus medialis ないそくけつじょうそくしゅういかく;ないそくけつじょうそくかくしゅういかく

[A14_1_04_260] →(内側楔状束周囲核は閂の高さで、楔状束核の内側(基底部)をOlszewski and Baxter (1954)はこの核のmedial or basal pericuneate zoneとよび、小細胞によって構成される領域と規定した。閂より尾方では細胞はより小型になり、分布は粗になるが、吻側で最後野のレベルになると細胞は密になると同時に多型性を呈する。位置としては、この部は孤束核の外側で、三叉神経脊髄路核の内側にあたる。Paxinos et al (Paxinos G, Tork I, Halliday G and Mehler W: Human homologs to brain stem nuclei identified in ot her animals as revealed by acetylcholinesterase activity. In: The Human Nervous System. Ed by G Paxinos. Academic Press, San Diego, pp149-202, 1990)は、この部を内側楔状束周囲核と命名し、楔状束核と分離した核として取り扱い、アセチルコリンエステラーゼ陽性の小型、中型、ときに大型ニューロンを含む領域として記載している。)

Lateral pericuneate nucleus(外側楔状束周囲核;外側楔状束核周囲核)Nucleus pericuneatus lateralis がいそくけつじょうそくしゅういかく;がいそくけつじょうそくかくしゅういかく

[A14_1_04_261] →(外側楔状束周囲核は外側楔状束核の腹側から腹外側で、下小脳脚の起始部の内側縁に食い込んだ部分に当たる。この核がもっとも広がりを増している領域では、この核は外側頚髄核を取り囲む頚神経の後根由来の線維群と、三叉神経脊髄路の線維群の間に介在して両者を分けている。この核の吻側は閂の領域から外側頚髄核の吻側端まで伸び、舌下神経核の細胞柱とほぼ同じ長さに達する。)

Perihypoglossal nuclei(舌下神経周囲核)Nuclei perihypoglossales ぜっかしんけいしゅういかく

[A14_1_04_262] →(舌下神経核を囲む灰白質はいくつかの独立した核群を形成し、まとめて舌下神経周囲核という。このなかには介在核、前位核、Roller核(舌下神経下核)がある。)

Subhypoglossal nucleus; Nucleus of Roller(舌下神経下核;ローレル核)Nucleus subhypoglossalis ぜっかしんけいかかくRoller's nucleus

[A14_1_04_263] →(舌下神経下核はローレル核とよばれている。舌下神経下核はヒトでは明瞭にみらえるが他の動物では発達が悪く認めにくい。Roller, Christian Friedrich Wilhelm (1802-1872) ドイツの神経学者。バーデンの有名な精神医学者。延髄のローレル中心核、舌下神経核の腹側方にある「小細胞性の舌下神経核」として記述。また、1844年にAllgem, Zeitschr. Fur Psychiatrieを創刊。そこに彼の多くの論文を発表している。)

Intercalated nucleus(介在核)Nucleus intercalatus かいざいかくStaderini's nucleus Feneis: 278 08

[A14_1_04_264] →(介在核は舌下神経前位核、Roller核とともに舌下神経周囲核と総称される一群に含まれる。前庭小脳の皮質、室頂核、脳幹網様体、Cajal間質核および脊髄からの線維を受ける。中でも重要なのは、両側の前庭神経内側核、下核、舌下神経前位核、同側の前庭神経上核からのものである。介在核からの遠心性線維は小脳の前葉、後葉虫部、片葉、室頂核および外眼筋の運動核などに投射し、眼球運動の調節に役立っている。)

Prepositus nucleus(前位核;舌下神経前位核)Nucleus prepositus ぜんいかく;ぜっかしんけいぜんいかく

[A14_1_04_265] →(舌下神経前位核は舌下神経核の吻側端と直接に続いて存在し、第四脳室底の直下で、内側縦束の背外方に位置する。この核は外眼筋支配運動神経核のすべてに両側性に投射線維を送っており、重要な「眼球運動核前中枢preoculomotor center)である。反対側の外転神経核と同側の内直筋支配運動ニューロン(動眼神経核内の一領域)に対しては、特に密に投射線維を送る。舌下神経前位核は両側の前頭眼野(frontal eye field)、同側のカハール間質核、内側縦束吻側間質核、および視索核から入力線維を受け、また、両側の前庭神経核群(特に内側核、下核、腹外側核)、橋網様体正中傍部、および小脳と相互に連絡し合っている。舌下神経前位核は、外眼筋支配運動神経核へ投射線維を送るほか、反対側の下オリーブ核、反対側の上丘と視蓋前域、およびいくつかの視床核(髄板内核と外側腹側核を含む)にもインパルスを送る。舌下神経前位核が投射線維を送る視床核には前庭神経核も投射線維を送る。前庭神経核群から舌下神経前位核への投射様式は、その興奮性投射と抑制性投射のパターンについて、前庭神経核から外眼筋支配運動神経核への投射様式に似ている。また、舌下神経前位核のここのニューロンの活動は、そのほとんどのニューロンについて、眼球の位置や運動と相関している。舌下神経前位核の機能的な意味に関して次のような指摘がなされている。すなわち、舌下神経前位核はその主な入力を眼球と頭部の運動のコントロールに直接的に関わる部位から受け、その眼球運動に関係して活動するニューロンを含む部位に送るが、この事実から見て、舌下神経前位核は眼球運動に関わる出力上方のコピーをつくり出し、その信号を「注視」のコントロール(gaze control)に関わる脳幹の中枢へ配給するものと考えられる。)

Peritrigeminal nucleus(三叉神経周囲核)Nucleus peritrigeminalis さんさしんけいしゅういかく

[A14_1_04_266] →(三叉神経周囲核は三叉神経脊髄路核の外側、腹側および内側に分布し、外側楔状束周囲核に連なる部分を三叉神経周囲核とよぶ。この核は吻側は舌下神経核の吻側端の高さ、尾方は背側副オリーブ核の尾側端にまで伸びている。Olszewski and Baxter(1954)はこの核の外側部を彼らのinsula cuneati lateralisに含めている。この核の腹側部は三叉神経脊髄路と外側毛様体のsubterigeminal regionの間に位置している。しかし時にsubtrigeminal nucleusの腹側や外側にも観察される。三叉神経周囲核の領域は、三叉神経脊髄路核と外側網様核の間を内側へ伸び出している。)

Pontobulbar nucleus(橋延髄核)Nucleus pontobulbaris きょうえんずいかく

[A14_1_04_267] →(橋延髄核は延髄中位から吻側の索状体背外側にある不規則に散在する細胞群で、延髄橋移行部で索状体腹内側に近付くにつれて広がる。)

Supraspinal nucleus(脊髄上核)Nucleus supraspinalis せきずいじょうかく

[A14_1_04_268] →(脊髄上核とは脊髄の前角内にあった運動核は下部延髄の背内方に続き脊髄上核と呼ばれている。さらに吻方に追っていくと延髄の中心管のすぐ腹外側にある舌下神経核に続いている。)

 

Reticular nuclei of medulla oblongata(網様核群;網様核(延髄の))Nuclei reticulares in medulla oblongata もうようかくぐん;もうようかく(えんずいの) [A14_1_04_301]

Gigantocellular reticular nucleus(巨細胞性網様核)Nucleus gigantocellularis きょさいぼうせいもうようかく

[A14_1_04_302] →(巨大細胞性網様核は下オリーブ核群の背側で、傍正中部の外側にある。この核はその名前が示すように、特徴的な大きい細胞から構成されるが、加えて、この領域には多数の中等大の細胞と小細胞が存在する。延髄網様体脊髄路の神経線維は脊髄のレベルへ両側性に投射し(交叉性と非交叉性)、主に側索の前部を下行する。)

Pars alpha of gigantocellular reticular nucleus(アルファ部(巨細胞網様核の))Pars alpha nuclei gigantocellularis あるふぁぶ(きょうさいぼうもうようかくの) [A14_1_04_303]

Anterior gigantocellular reticular nucleus; Ventral gigantocellular reticular nucleus(前巨細胞性網様核;腹側巨細胞網様核)Nucleus gigantocellularis anterior ぜんきょさいぼうせいもうようかく;ふくそくきょすあいぼうもうようかく [A14_1_04_304]

Lateral paragigantocellular reticular nucleus(外側巨細胞性傍核;外側巨細胞性網様体傍核)Nucleus paragigantocellularis lateralis がいそくきょさいぼうせいぼうかく;がいそくきょさいぼうせいもうようたいぼうかく [A14_1_04_305]

Interfascicular nucleus of hypoglossal nerve(舌下神経束間核)Nucleus interfascicularis nervi hypoglossi ぜっかしんけいそくかんかく [A14_1_04_306]

Intermediate reticular nucleus(中間網様核)Nucleus reticularis intermedius ちゅうかんもうようかく [A14_1_04_307]

Lateral reticular nucleus(外側網様核;側索核)Nucleus reticularis lateralis; Nucleus funiculi lateralis がいそくもうようかく;そくさくかく

[A14_1_04_308] →(外側網様体核、外側核ともよぶ。延髄網様体に属する核である。この神経核はオリーブ核群の尾方で始まり、オリーブ中央に分けられる。すなわち、大細胞部、小細胞部、および三叉神経下部である。大細胞部は下オリーブ核の背側方にあるが、小細胞部は網様体格の背外側部にある。外側毛様体核は小脳への中継核であり、脊髄から求心性線維(すなわち脊髄網様体路、および脊髄視床路の側枝)と赤核からの下行線維(赤核延髄路)を受けている。脊髄求心性神経は体部位局在性配列をもって外側毛様体核へ投射している。外側毛様体核の全亜核からきた線維は下小脳脚を通って小脳前葉、半球内側部および小脳核に投射する。その主要な求心性線維は脊髄から両側性にくる両側性腹側屈筋反射路(Bilateral ventral flexor reflex tract)である。その他、大脳皮質運動野などからも線維を受ける。)

Magnocellular part of lateral reticular nucleus(大細胞部(外側網様核の))Pars magnocellularis nuclei reticularis lateralis だいさいぼうぶ(がいそくもうようたいかくの) [A14_1_04_309]

Parvocellular part of lateral reticular nucleus(小細胞部(外側網様核の))Pars parvocellularis nuclei reticularis lateralis しょうさいぼうぶ(がいそくもうようたいかくの) [A14_1_04_310]

Subtrigeminal part of lateral reticular nucleus(三叉神経下部(外側網様核の))Pars subtrigeminalis nuclei reticularis lateralis さんさしんけいかぶ(がいそくもうようかくの) [A14_1_04_311]

Parvocellular reticular nucleus(小細胞性網様核)Nucleus reticularis parvocellularis しょうさいぼうせいもうようかく

[A14_1_04_312] →(小細胞性網様核は網様体の背外側部にあり、三叉神経脊髄路核の内側で、千手神経核の腹側に位置するちいさい細胞の集団である。この核は延髄網様体のほぼ外側1/3部を占めており、二次感覚路より側枝をうけているため“感覚”部とみなされてきた。)

Posterior paragigantocellular reticular nucleus; Dorsal paragigantocellular reticular nucleus(後巨細胞性傍核;後巨細胞性網様体傍核)Nucleus paragigantocellularis posterior こうきょさいぼうせいぼうかく;こうきょさいぼうせいもうようたいぼうかく [A14_1_04_313]

Central reticular nucleus(中心網様核)Nucleus reticularis centralis ちゅうしんもうようかく [A14_1_04_314]

Dorsal part of central reticular nucleus(中心網様核の背側部)Pars dorsalis nuclei reticularis centralis ちゅうしんもうようかくのはいそくぶ [A14_1_04_315]

Ventral part of central reticular nucleus(腹側部(中心網様核の))Pars ventralis nuclei reticularis centralis ふくそくぶ(ちゅうしんもうようかくの) [A14_1_04_316]

Medial reticular nucleus(内側網様核;内側網様体核)Nucleus reticularis medialis ないそくもようたいかく;ないそくもうようたいかく [A14_1_04_317]

 

Raphe nuclei of medulla oblongata(縫線核;縫線核群(延髄の))Nuclei raphes in basilari ponti ほうせんかく;ほうせんかくぐん(えんずいの) Feneis: 278 26

[A14_1_04_318] →(この正中面にある細胞群、すなわち縫線核群は通常他の被蓋の核群とは密な線維束によって隔てられている。主な縫線核群では延髄では不確縫線核、淡蒼縫線核、橋では大縫線核、橋縫線核、中脳では背側縫線核、上中心核、腹側被蓋核である。縫線核群の特徴は高濃度のセロトニン(5-hydroxytryptamine)を含む点である。セロトニン合成ニューロンは全て縫線核群に存在すると考えられているが、縫線核群のニューロンのすべてがセロトニンを合成する物ではない。縫線核群からの上行性線維は大脳辺縁系の種々の要素に投射し、下行性線維は小脳、脊髄、脳幹の諸核へ達する。)

Obscurus raphe nucleus(不確縫線核)Nucleus raphes obscurus ふかくほうせんかく [A14_1_04_319]

Pallidal raphe nucleus(淡蒼球縫線核)Nucleus raphes pallidus たんそうほうせんかく [A14_1_04_320]

Magnus raphe nucleus(大縫線核)Nucleus raphes magnus だいほうせんかく

[A14_1_04_321] →(大縫線核はヒトでは比較的発達が悪いが、下オリーブ核の上極の高さからおこり、顔面神経核の上極の高さで橋縫線核につづくまでの4~5mmにわたって、延髄上部から橋下部の被蓋放線の腹側よりにある。腹側には、尾側端部を除いて台形体があり、尾側背方には、不確縫線核がある。側方は脳底動脈から腹背方向に弓状に走る血管によって境され、この血管に近接して神経細胞が多い。)

Pons(橋)Pons きょうVarolius, Pons of Feneis: 280 02

[A14_1_03_010] →(Ponsとは、橋(ハシ)という意味である。腹側から見ると左右の小脳半球の間に架かった太鼓橋の様に見えるところから橋という名前が付けられた。比較解剖学的には、橋が延髄から区別されるのは哺乳類に限られ、橋は人類で最もよく発達している。後脳の腹側部にあたる。すなわち、小脳の腹側に位置しており、延髄と中脳の間に介在する。橋の腹側面は横走する幅広い神経線維束(横橋線維)によっておおわれる。この神経線維束はさらに橋の外側面において、橋と小脳を連結する中小脳脚を形成しており、左右の小脳半球の間にかかる「橋」のようにみえる。橋は既にユースタキウスEustachius (1524-1574)の図に載っているというが、この図は1714年まで出版されなかったので、Ponsという名称は、このような外見に基づいて、イタリアの解剖学者であり外科医でもあったC.Varolio (1543-1573)が用いたものである(ヴォロイオ橋)。橋は横断面では橋腹側部または橋底部と橋背部または橋被蓋とに区分される。両者の境界は橋被蓋の腹側部を上行する内側毛帯の腹側縁にあたる。橋底部の神経線維群には、上記の横橋線維のほかに、橋底部の中心部を縦走する橋縦束があり、神経細胞としては橋縦束を取り囲んで橋核が存在する。橋縦束の線維はその大部分が大脳皮質からの下行神経線維であり、橋核に連絡する皮質橋核路を含む。橋核は大脳皮質からおこる求心性神経線維のほか、小脳核や上丘からおこる求心性神経線維を受けることが知られている。橋核からおこる遠心性神経線維は横橋線維、ついで中小脳脚を形成して、主として反対側の小脳半球の皮質に連絡する。また、その際、小脳核、とくに歯状核に側枝を送る可能性が大きい。このように、橋縦束・橋核・橋横線維は大脳皮質や小脳半球など、系統発生的に新しい部位との関係が深く、哺乳動物ではじめて出現する構造であって、高等な哺乳類において良好な発育を示す。 一方、橋被蓋は系統発生的に古い構造であり、脳幹網様体の基本構造を示す部位がもっとも広い領域を占める。脳神経核としては、三叉神経核(主感覚核・脊髄路核・中脳路核・運動核)・顔面神経核・内耳神経核(蝸牛神経核と前庭神経核)が存在する。また、橋被蓋の外側部を上行する外側毛帯、および橋被蓋の腹側部を横走する台形体の線維は聴覚路を形成する神経線維群であり、聴覚神経路の中継核として、外側毛帯核および台形体核が存在する。その他の線維群としては、第四脳室底の腹側において正中線背側部の両側を内側縦束が縦走し、上小脳脚が第四脳室蓋の外側部を形成している。また、神経細胞群としては、橋被蓋の背外側部に青斑核が、上小脳脚の周辺部には結合腕傍核が存在する。)

External features(表面の形状(橋の))Morphologia externa ひょうめんのけいじょう(きょうの) [A14_1_03_010_1]

Medullopontine sulcus(延髄橋溝)Sulcus bulbopontinus えんずきょうこう Feneis: 280 03

[A14_1_05_001] →(延髄橋溝は橋と延髄を分けている溝で、ここから第6~第8脳神経がでる。)

Basilar sulcus(脳底溝;橋脳底溝)Sulcus basilaris のうていこう;きょうのうていこう Feneis: 280 04

[A14_1_05_002] →(脳底溝は左右の錐体路によってできる正中溝で脳底動脈が通る。)

Middle cerebellar peduncle(中小脳脚;橋腕;橋小脳脚)Pedunculus cerebellaris medius; Brachium pontis ちゅうしょうのうきゃく;きょうわん;きょうしょうのうきゃく Feneis: 280 05

[A14_1_05_003] →(中小脳脚(橋腕)は3対ある小脳脚のうち最大のもので、主として橋核から起始する線維からなり、橋底の正中線を越えて対側の背側に移り太い束となって橋被蓋の外側を乗り越えて小脳にはいる。少数の対側へ移らない線維もある。少数の側副線維が小脳核に達している以外ほとんどが橋小脳路線維からできている。)

Pontine oblique fasciculus(橋斜束)Fasciculus obliquus pontis きょうしゃそく [A14_1_05_003_1]→
Pontine taenia(橋外側糸;橋ヒモ)Fila lateralia pontis; Taenia pontis きょうがいそくし [A14_1_05_003_2]→

Cerebellopontine angle(橋小脳三角)Angulus pontocerebellare きょうしょうのうさんかく Feneis: 280 06

[A14_1_05_004] →(内耳神経が出るところは橋・延髄・小脳の境界部で、ここを小脳橋三角とよぶ。)

Frenulum veli(帆小帯;上髄帆小帯)Frenulum veli はんしょうたい;じょうずいはんしょうたい [A14_1_05_005]

Superior cerebellar peduncle (Brachium conjunctivum)(上小脳脚;結合腕;小脳大脳脚)Pedunculus cerebellaris superior; Brachium conjunctivum; Crus cerebellocerebrale じょうしょうのうきゃく;けつごうわん;しょうのうだいのうきゃく Feneis: 286 26

[A14_1_05_006] →(上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)は主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はさらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部に来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。)

Superior medullary velum(上髄帆;前髄帆)Velum medullare superius; Velum medullare anterius じょうずいはん;ぜんずいはん Feneis: 284 02

[A14_1_05_007] →(上髄帆は両側の上小脳脚の間にある薄い白質板で、第4脳室の上陥凹の被蓋を形成する白質の薄い層。背側は小脳小舌と癒着する。)

Internal features(内部の特徴(橋の))Morphologia interna ないぶのとくちょう(きょうの) Feneis: 280 07 [A14_1_05_007_2]

Basilar part of pons(橋底部;橋底;橋腹側部)Pars basilaris pontis きょうていぶ;きょうてい;きょうふくそくぶ Feneis: 280 08

[A14_1_05_101] →(橋底部は橋の腹側部で、主に大脳、橋および小脳の伝導路よりなる部分。 この部分は規則正しく配列する横走および縦走線維束とその間に散在する橋核よりなる。縦走する線維束は橋底部の中央を通り、これに①皮質脊髄路、②皮質延髄路、③皮質橋核路が含まれる。皮質脊髄路は橋底部を通り、矢状断切片では延髄錐体まで追跡することができる。皮質橋核路は大脳半球の前頭葉、頭頂葉、後頭葉および側頭葉から起こり、交叉せずに下行して橋核に終わる。橋核は皮質脊髄路および皮質橋路繊維の周囲に散在し、ここから横橋線維が起こり、下行路線維の背側または腹側を通り、正中線で交叉したのち中小脳脚となって小脳に至る。したがって橋底部は大脳皮質からの神経インパルスを対側の小脳半球部に伝える2ニューロン伝導路の大きな中継核と考えることができる。橋底部を下行する皮質延髄路線維は、橋被蓋に投射する。)

White matter of basilar part of pons; White substance of basilar part of pons(白質(橋底部の))Substantia alba partis basilaris pontis はくしつ(きょうていぶの) [A14_1_05_102]

Longitudinal pontine fibres(縦橋線維)Fibrae pontis longitudinales じゅうきょうせんい Feneis: 280 09

[A14_1_05_103] →(橋縦線維は皮質脊髄線維、橋皮質核線維、皮質網様体線維、皮質橋線維、視蓋橋線維の包括名称。同義語として橋縦束が用いられるが橋縦束とは皮質遠心性の太い神経束で、橋腹側部を縦走する構造に対して用いられる。)

Corticospinal fibres(皮質脊髄線維)Fibrae corticospinales ひしつせきずいせんい Feneis: 280 10

[A14_1_05_104] →(皮質脊髄線維(皮質脊髄路)は大脳皮質の一次運動野(中心前回の中央部と上部)から起こり、内包に向かって集まり、内包の後脚を通って下行する。内包では、上肢に対する線維は線維は後脚の前部を、下肢に対する線維は後部を走る。ついで、大脳脚に入り、その中央2/3部を下行し、橋・延髄に至る。延髄では、その下部の腹側中央部にあつまり、錐体(実際はその一部)を形成する。それで皮質脊髄線維は錐体路ともいわれる。延髄の下端(大後頭孔のすぐ上方)で、線維は反対側に交叉して錐体交叉をつくる。錐体をつくる下行性線維の大部分は錐体交叉で反対側に交叉し、脊髄側索を外側皮質脊髄路(錐体前索路)として下行する。交叉する線維の割合は個人差が大きい。また、約75%の人で交叉する割合が左右非対称で、左側の錐体路の方が交叉する割合が大きい。外側皮質脊髄路の線維は脊髄を下行しつつ、脊髄灰白質に入り、前角の運動ニューロンに接属する。前角の運動ニューロンに直接に終わる線維と、介在ニューロンを経て関節に連絡するものとがある。前皮質脊髄路の線維は脊髄を下行し、前交連を通って交叉し、反対側に終わるが、一部は非交叉性で同側に終わる。このように皮質脊髄路は大脳皮質からおこり、脊髄前角に達し、その運動ニューロンへ運動指令を伝え、骨格筋の運動を起こさせる。延髄の錐体を通る伝導路のうちで、中心前回の一次運動野から起こる線維は約40%で、頭頂葉とくに中心後回や傍中心小葉などから起こる線維が約30%、前頭葉の運動前野などから発する線維が約30%を占めるといわれる。頭頂葉から発する線維は後索核や脊髄後角の膠様質などに達し、知覚性インパルスの流入に対して調整的な働きをするともいわれる。)

Longitudinal pontine fasciculi; Longitudinal pontine bundles(橋縦束;縦束)Fasciculi longitudinales pontis きょうじゅうそく;じゅうそく

[A14_1_05_104_1]→橋縦束は皮質遠心性の太い神経束で、橋腹側部を縦走する。皮質網様体、中脳蓋橋、皮質橋、皮質延髄、および皮質脊髄線維からなる。

Pontine corticonuclear fibres(橋の皮質核線維;皮質核線維)Fibrae corticonucleares pontis きょうのひしつかくせんい;ひしつかくせんい Feneis: 280 11

[A14_1_05_105] →(橋皮質核線維は大脳皮質の運動知覚中枢から橋被蓋の中継核(顔面神経核、外転神経核、三叉神経核など)に直接またはレンズ核を経て投射する神経線維。)

Corticoreticular fibres(皮質網様体線維;皮質網様体路)Fibrae corticoreticulares ひしつもうようたいせんい;ひしつもうようたいろ Feneis: 280 12

[A14_1_05_106] →(下位脳幹に投射する皮質網様体路は主として大脳皮質の運動野、前運動野および体性知覚野より起こる。線維は皮質脊髄線維と共に下行し、種々の高さで伝導路からわかれて、網様体路に入る。大部分の線維はかなり限局した2箇所、すなわち延髄と橋に入る。延髄ではこの線維は巨大細胞性網様核に終わる。皮質網様体路線維わずかに対側性優位であるが両側性に分布している。皮質遠心性線維を受ける網様体の領域からは①長い上行・下行投射線維、②小脳への投射線維、③脳神経核への投射などが出ている。)

Corticopontine fibres(皮質橋線維;皮質橋路)Fibrae corticopontinae ひしつきょうせんい;ひしつきょうろ Feneis: 280 13

[A14_1_05_107] →(皮質橋核路は錐体路と併走しつつ下行し、しだいに橋核に終わる。これに接続する橋小脳路は大部分交叉して橋を横走し(横橋線維)、主として反対側の中小脳脚を通って小脳皮質に終わる。とくに橋核の内側ないし背内側部は橋虫部へ、外側部は小脳半球へ投射する。)

Tectopontine fibres(視蓋橋線維)Fibrae tectopontinae しがいきょうせんい

[A14_1_05_108] →(視蓋橋線維は視蓋から起こり、同側の橋底核と網様体被蓋核に終わる神経線維。)

Transverse pontine fibres(横橋線維)Fibrae pontis transversae おうきょうせんい Feneis: 280 14

[A14_1_05_109] →(横橋線維は大脳橋小脳路の横行線維。皮質橋路→橋核→橋小脳路という経路のうち、橋内での横走線維の名称である。)

Pontocerebellar fibres; *Pontocerebellar tract(橋小脳線維;橋小脳路)Fibrae pontocerebellares; *Tructus pontocerebellares きょうしょうのうせんい;きょうしょうのうろ Feneis: 280 15

[A14_1_05_110] →(橋小脳線維は橋底部の核から起こり、正中線を越えて中小脳脚を経て小脳にはいり、苔状線維となって小脳皮質に終わる。)

Grey matter of basilar part of pons; Grey substance of basilar part of pons(灰白質;橋灰白質(橋底部の))Substantia grisea; Griseum pontis (Olszewski) かいはくしつ;きょうかいはくしつ(きょうていぶの) [A14_1_05_201]

Pontine nuclei(橋核)Nuclei pontis きょうかく Feneis: 280 16

[A14_1_05_202] →(橋核は橋腹側部中にある核で小脳前核(脳幹から小脳皮質への求心線維は、大部分が下オリーブ核や延髄にある多くの小さな核で中継されるが、このようにほとんどの線維を小脳に送るような脳幹の核を小脳前核と総称する)としては最大のもので、かつ大脳皮質からの興奮を小脳に伝えるもっとも重要な中継核である。皮質橋路線維は大脳の各葉から起こり、同側の橋核に終止する。一次運動野、感覚野および視覚野の一部からの線維が大部分をしめる。運動野と体性感覚野からの投射はそれぞれ体部位的局在をもって配列するが、その終枝部位は別々である。すべての橋核からの線維は中小脳脚を通るが、小脳半球部皮質至る物が対側性であるのに反し、中部皮質へ至るものは両側性である。小脳小節だけは橋核からの投射がない。橋小脳線維は帯状線維として終止し、小脳の各小葉は大部分橋核内の2カ所以上の異なった部位からの投射をうける。)

Anterior nucleus of pons; Ventral nucleus of pons(前核;腹側核(橋の))Nucleus anterior pontis ぜんかく;ふくそくかく(きょうの) [A14_1_05_203]

Lateral nucleus of pons(外側核(橋の))Nucleus lateralis pontis がいそくかく(きょうの) [A14_1_05_204]

Median nucleus of pons(正中核(橋の))Nucleus medianus pontis せいちゅうかく(きょうの) [A14_1_05_205]

Paramedian nucleus of pons(正中傍核;傍正中核(橋の))Nucleus paramedianus pontis せいちゅうぼうかく;ぼうせいちゅうかく(きょうの) [A14_1_05_206]

Peduncular nucleus of pons; Peripeduncular nucleus of pons(脚核;脚周囲核(橋の))Nucleus peduncularis pontis きゃくかく;きゃくしゅういかく(きょうの)

[A14_1_05_207] →(橋の脚周囲核は大脳脚の背外側面に帽子様にかぶさる小細胞群で、この細胞はアセチルコンリンエステラーゼ陽性といわれている。)

Posterior nucleus of pons; Dorsal nucleus of pons(後核;背側核(橋の))Nucleus posterior pontis こうかく;はいそくかく(きょうの) [A14_1_05_208]

Posterolateral nucleus of pons; Dorsolateral nucleus of pons(後外側核;背外側核(橋の))Nucleus posterior lateralis pontis きょうのこうがいそくかく;きょうのはいがいそくかく [A14_1_05_209]

Posteromedial nucleus of pons; Dorsomedial nucleus of pons(後内側核;背内側核(橋の))Nucleus posterior medialis pontis こうないそくかく;はいないそくかく(きょうの) [A14_1_05_210]

Reticulotegmental nucleus of pons(橋被蓋網様核)Nucleus reticularis tegmenti pontis きょうひがいもうようかく

[A14_1_05_211] →(橋被蓋網様核は橋被蓋に存在する細胞群で、境界は不鮮明だが連絡関係はかなり明らかにされている。それらは尾側橋網様体核、吻側橋網様体核、毛帯傍核、正中傍核である。網様体被蓋核は橋の腹内側部にあり橋網様体複合体の一部で、ときに底側胸郭とも連絡する。)

Tegmentum of pons(橋被蓋;橋背側部;橋背部)Tegmentum pontis; Pars dorsalis pontis きょうひがい;きょうはいそくぶ Feneis: 280 17

[A14_1_05_301] →(橋被蓋には数個の脳神経核と橋に特異的な神経核がある。脳神経核は外転神経核や顔面神経核と、三叉神経脊髄路核などの三叉神経群である。外転神経核は第四脳室柄底の直下にあり、顔面神経核は他の特殊内臓性遠心性神経核「副神経核、疑核、三叉神経運動核」と同様、深部に位置する。三叉神経脊髄路核の一位は変化はない。橋に特異的な神経核では、まず胸郭をあげねばならない。さらに、上オリーブ核と台形体格がある(両者とも聴覚神経路の中継核である)。また、台形体格は上オリーブ核群の一つとして取り扱われることも多い。上オリーブ核は顔面神経核の吻側で腹内側方に位置しており、紡錘形の細胞より成る。台形体核は小さい核であり、台形体の線維のあいだにうもれているため、境界を定めるのは容易ではない。第四脳室底の直下で外転神経核の尾方の続きには舌下神経前位核があり、その外側方には前庭神経核群(内側核、下核、外側核)が位置する。)

White matter of pontile tegmentum; White substance of pontile tegmentum(白質(橋被蓋の))Substantia alba tegmenti pontis はくしつ(きょうひがいの) [A14_1_05_302]

Raphe of pons(橋縫線)Raphe pontis きょうほうせん Feneis: 280 18

[A14_1_05_303] →(橋縫線は延髄縫線が橋背側部(被蓋)に続いたもの。)

Medial longitudinal fasciculus; MLF(内側縦束)Fasciculus longitudinalis medialis ないそくじゅうそく Feneis: 280 19

[A14_1_05_304] →(前索の後部には脳幹のいろいろなレベルにある種々な神経核からでる複雑な下行線維束がある。この複雑な神経線維束は内側縦束として知られている。この神経束の脊髄部は同じ名称で呼ばれる脳幹にある伝導路の一部にすぎない。内側縦束の上行線維は主として前庭神経内側核および上核から起こり、同側性および対側性に主として外眼筋支配の神経核(外転、滑車、動眼神経核)に投射する。内側核からの上行線維は主に交叉をし、両側の外転神経核と左右の動眼神経核に非対称性に終わるが、滑車神経核へは対側性に投射する。上核の中心部にある大形細胞は非交叉性上行線維を内側縦束に出し、これは滑車神経核および動眼神経核に終わる。同核の周辺部にある周辺部にある小型細胞は交叉性の腹側被蓋束(内側縦束の外側にある)を経て動眼神経核に投射するが、これは主として対側の上直筋を支配する細胞に作用する。生理学的には、前庭神経核から外眼筋支配核から外眼筋支配核への上行性投射のうち、交叉性線維は促進的に働くが、非交叉性線維は抑制的に働く。内側縦束にはこのほかに、左右の外転神経核の間にある神経細胞から起こり、交叉して上行し、動眼神経核の内側直筋支配部に終わる明瞭な線維が含まれる。この経路は一方の外転神経核の活動を対側の動眼神経核内側直筋支配部へ連絡する物で、外側視の場合に、外側直筋が収縮すると同時に対側の内側直筋が共同して収縮するための神経機構を形成している。内側縦束の上行線維の一部は、動眼神経核を回ってCajal間質核に終わる。これは内側縦束内にうまっている小さい神経細胞群である。前庭神経内側核は対側性に間質核へ投射するが、上核は同側性に終わる。前庭神経二次線維は両側性に視床の中継核へ投射し、その数は中等度で、後外側腹側核に終止する。前庭からの入力を受ける視床の細胞は体性感覚情報にも対応するが、これは視床には特定の前庭感覚中継核がないことを示唆している。)

Posterior longitudinal fasciculus; Dorsal longitudinal fasciculus(後縦束;背側縦束)Fasciculus longitudinalis posterior; Fasciculus longitudinalis dorsalis こうじゅうそく;はいそくじゅうそく Feneis: 280 20

[A14_1_05_305] →(背側縦束は中脳から延髄にかけて中心灰白質の腹内側部にみれれる小さい神経線維束で、細い有髄線維を含む。上行性および下行性の比較的短い神経線維の連鎖であり、吻側では視床下部の室周線維に連絡する。自律性または内臓性情報の中枢伝導系の一つとされる。)

Medial lemniscus(内側毛帯)Lemniscus medialis ないそくもうたい Feneis: 280 21

[A14_1_04_111] →(延髄の後索(薄束および楔状束)を通過する伝導路は圧覚と触覚や固有知覚の興奮を後索核(薄束核および楔状束核)や視床を経て大脳皮質に伝達する神経路である。薄束核および楔状束核から起こる二次ニューロンは延髄視床路(内側毛帯)となり正中縫線近く延髄の中心を通り上行する。橋にはいると外側に広がり、橋核の背側縁を越えて上行する扁平な帯になる。中脳内では、黒質の背側縁を越えて赤核で外側に移る。内側膝状体まで内側を通り視床の後腹側核に入り、そこで終わる。視床を出た第3ニューロンの線維は、上行して大脳皮質におもむく。内側毛帯系は脊髄から上行する識別性感覚路の最初の一環を形成するのは後根を通って入ってくる太い有髄神経の枝であり、後索を上行する。後索を上行するこれらの神経線維は身体部位対応配列を示す。すなわち、仙骨神経根や腰神経塊を通って入ってくる上行枝は後索の内側部を占めて薄束を形成する。一方、頚神経根を通って入ってくる上行枝は後索の外側部を占めて楔状束を形成する。また、胸神経根を通って入ってくる少数の上行枝は、薄束と楔状束との間に位置する。薄束と楔状束は、延髄の尾側端でそれぞれ対応する神経核、すなわち、薄束核と[内側]楔状束核に終止する。ある後根が支配する皮膚領域は、同時にその後根の上下の後根からも支配されている。このように一定の皮膚領域を支配する隣接後根の神経線維群は、後根から後索、さらに後索核へと向かう経過のうちに、一つの神経束にまとまる。このような集束の結果として、隣接する皮節(dermatome)間の重なり合いは解消されるのであるが(一つの皮節からの情報を伝道する神経線維が集合して一つにまとまる)、後索で最初にみられたような層構造は次第に不明瞭になる。薄束核の背側部と[内側]楔状束核の背側部にはニューロンが幾つかの小群をつくって分布する。超す悪を上行する神経線維の中で、四肢の遠位部を支配するものがこれらのニューロン小群に終止して身体部位対応配列を示す。後索核の腹側部と吻側部では身体部位対応配列はあまり精細でない。後索には後核固有核から起こる内在性神経線維も含まれている。これらの内在性神経線維は後索核の腹側部と吻側部に終止する。その他、後側索(側索後部)を上行する神経線維は両側の後索核の腹側部と吻側部、およびZ群(group Z)に終止する。Z群は薄束核の吻側端に位置するニューロン群であり、下肢の筋からの入力を視床に中継する。上枝からの固有感覚性入力を中継するのは外側楔状束核である。この核から起こる投射神経線維は主として下小脳脚を通って小脳へ入る。後索核の腹側部と吻側部から起こる投射神経線維は、後索核背側部(ニューロンの小群の集合から成る)から起こる投射神経線維に比べて、分布範囲が広い。すなわち、前者も後者も反対側の視床へ向かうのであるが、前者はさらに小脳や下オリーブ核に投射し、脊髄の後角へ向かうものもある。薄束核と[内側]楔状束核からは内弓状線維が起こり、正中部で交叉してのち、内側毛帯を形成して上行枝、視床の後外側腹側核、後核群、内側膝状体大細胞部、および不確帯に終止する。後索核から後外側腹側核への投射は”核と殻(core-and-shell)”の様式を示す。すなわち、後索核背側部から起こる皮膚感覚の投射線維は後外側腹側核の中心部(すなわちcoreの部分)に終止し、後索核腹側部と吻側部から起こる固有感覚の投射線維は後外側腹側核の辺縁部(すわなち、shellの部分)に終止する。内側毛帯線維は後外側腹側核において一連の平行な層板をなして終止する。これらの層板は核のcoreの部分とshellの部分を通じて前後方向に伸びており、それぞれの層板が身体の特定の部位に対応している。また、各層板の前後軸に沿って、種々の感覚要素に対応する投射線維の終末が次々と配列分布する。)

Tectospinal tract(視蓋脊髄路)Tractus tectospinalis しがいせきずいろHeld's bundle Feneis: 280 22

[A14_1_04_112] →(視蓋脊髄路は背前束ともよぶ。この経路は上丘の深灰白層の大細胞に起始し、軸索は出るとすぐ交叉する(背側視蓋交叉)。橋延髄では内側縦束の腹側を通り、脊髄に入ると前正中裂に接して前皮質脊髄路の外側を下行する。線維は主に頚髄上部(C1-C4)の高さのⅥ層からⅦ層におわる。この経路は視覚および強い聴覚刺激に対する眼球や頭部の急速な反射運動を司る。)

Pretecto-olivary fibres(視蓋前域オリーブ線維;視蓋前域オリーブ線維)Fibrae pretectoolivares しがいぜんかくおりーぶせんい;しがいぜんいきおりーぶせんい

[A14_1_05_306] →(視蓋前核オリーブ線維は視蓋前核から同側の内側副オリーブ核に投射する神経線維。)

Tecto-olivary fibres(視蓋オリーブ核線維;視蓋オリーブ線維)Fibrae tectoolivares しがいおりーぶかくせんい;しがいおりーぶせんい

[A14_1_05_307] →(視蓋オリーブ核線維は中脳上丘深層から起こり、対側の副オリーブ核内側におわる神経線維。)

Tectoreticular fibres(視蓋網様体線維;視床網様体路)Fibrae tectoreticulares しがいもうようたいせんい;ししょうもうようたいろ

[A14_1_05_308] →(視蓋網様体線維は中脳上丘深層からおこり、網様体の両側を下行し中脳に終わる神経線維。)

Spinal lemniscus; Anterolateral tracts; Anterolateral system(脊髄毛帯;前外側路;前外側系)Lemniscus spinalis; Tractus anterolaterales せきずいもうたい;ぜんがいそくろ;ぜんがいそくけい Feneis: 280 24

[A14_1_04_137] →(脊髄毛帯は後索核におこり視床におわる線維束を内側毛帯(狭義)とよぶが、橋頭側半のレベルから先は、この内側毛帯に脊髄視床路と三叉神経視床路とが合流して上行する。この複合体をも内側毛帯(広義)とよぶところから、脊髄視床路を脊髄毛帯、三叉神経視床路を三叉神経毛帯と呼ぶことがある。)

Spinothalamic fibres(脊髄視床線維)Fibrae spinothalamicae せきずいししょうせんい

[A14_1_04_138] →(脊髄視床線維は後角のかなり広い範囲から起こる。その領域はまだ確定されていないが、おそらくⅠ・Ⅵ・Ⅶ層より起こると思われる。これらの線維の大部分はその起始部よりも1ないし数節頭側のレベルで白前交連を通って正中線で交叉し、反対側の前側索(前索と側索の境界部)を外側脊髄視床路(痛覚、温度覚)および前脊髄視床路(触覚)として上行する。両神経路共にそれを構成する神経線維に身体部位対応的配列がみられる。前脊髄視床路線維の中には延髄網様体や延髄外側網様核に終止するものがある。その他の線維はほぼオリーブ核尾側端のレベルで外側脊髄視床路に加わる。外側脊髄視床路は痛覚受容に関与しており、脊髄では前脊髄視床路の背外側方に位置している。脊髄視床線維の多くが脳幹網様体に終止する。橋と中脳の境界レベルでは、残りの脊髄視床線維が内側毛帯に加わる。したがって後索系、内側毛帯、脊髄視床路を併せて、“毛帯系”という。)

Spinoreticular fibres(脊髄網様体線維)Fibrae spinoreticulares せきずいもうようたいせんい

[A14_1_04_139] →(後柱に局在する一部のニューロンが軸索を前側索に出し、それらが上行して脳幹網様体の広い領域に分布している。脊髄網様体線維はの多くは延髄に終止し、同側性であるが、橋まで上行する線維は少なく、両側性に連絡するものが多い。)

Spinomesencephalic fibres(脊髄中脳線維)Fibrae spinomesencephalicae せきずいちゅうのうせんい

[A14_1_04_140] →(脊髄中脳線維は脊髄毛帯に含まれて中脳に終わる神経線維の総称。視蓋脊髄線維から上丘線維・水道周囲脊髄線維の深層に続き水道周囲灰白質に終わる。)

Spinotectal fibres(脊髄視蓋線維)Fibrae spinotectales せきずいしがいせんい

[A14_1_04_141] →(脊髄視蓋線維は楔状束核、外側頚髄核、三叉神経脊髄路核から上丘へ向かう投射があり、さらに一部は脊髄後柱Ⅳ層からの線維が混合してつくられる。これらの線維による投射には体部位による局在性が明白で、頭部からの線維は上丘吻側に、下部からのものは尾側に順序よく配列、終止する。)

Spinoperiaqueductal fibres(脊髄中脳中心灰白質線維;脊髄中脳水道周囲灰白質線維)Fibrae spinoperiaqueductales せきずいちゅうのうちゅうしんかいはくしつせんい;せきずいちゅうのうすいどうしゅういかいはくしつせんい

[A14_1_04_142] →(脊髄中脳水道周囲線維は脊髄後角の神経細胞から起こり、対側の前外側索を上行して中脳の水道周囲灰白質に終わる神経線維。下行性痛覚抑制路を含む。)

Spinohypothalamic fibres(脊髄視床下部線維)Fibrae spinohypothalamicae せきずいししょうかぶせんい

[A14_1_04_143] →(脊髄視床下部線維は脊髄灰白質から起こり、前外側索の一部として上行し視床下部に終わる神経線維。)

Spinobulbar fibres; Spinobulbar tract(脊髄延髄線維;脊髄延髄路)Fibrae spinobulbares; Tractus spinobulbares せきずいえんずいせんい;せきずいえんずいろ [A14_1_04_144]

Spino-olivary fibres(脊髄オリーブ核線維)Fibrae spinoolivares せきずいおりーぶかくせんい

[A14_1_04_145] →(脊髄オリーブ核線維は脊髄から起こり、同側を上行して下オリーブ核の副核に終わる神経線維。)

Spinal tract of trigeminal nerve(三叉神経脊髄路)Tractus spinalis nervi trigemini さんさしんけいせきずいろ Feneis: 280 25

[A14_1_05_309] →(三叉神経脊髄路は延髄から橋の横断面上にコンマ状に明確に認められる線維束。脊髄路核の各部の第Ⅰ層と第Ⅲ層細胞から起こる。これらのうち、下部と中間部からの線維は同側性であるが、上部からのものは両側性に下行し、後柱に入る感覚性情報を調節し、種々の反射に関係し、さらに三叉神経支配の受容器と脊髄の体性および内臓性効果器を連絡している。)

Trigeminal lemniscus; Trigeminothalamic tract(三叉神経毛帯;三叉神経視床路)Lemniscus trigeminalis; Tractus trigeminothalamicus さんさしんけいもうたい;さんさしんけいししょうろ Feneis: 280 28

[A14_1_05_310] →(解剖学用語としては、三叉神経脊髄路核、三叉神経主知覚核におこり視床におわる伝導路をいうが、三叉神経主知覚核の腹側2/3におこり交叉して視床に上行する線維束のみを指す場合がある。三叉神経視床路は主に脊髄路核の下部と中間部の第Ⅰおよび第Ⅳ層細胞から起こる。これらの細胞の軸索は網様体中を腹内側方に向かい、正中線で交叉して対側の内側毛帯のすぐ近くをこれに沿って走り、視床の後内側腹側核の細胞に選択的に終わる。)

Anterior trigeminothalamic tract; Ventral trigeminothalamic tract(前三叉神経視床路;腹側三叉神経視床路)Tractus trigeminothalamicus anterior ぜんさんさしんけいししょうろ;ふくそくさんさしんけいししょうろ

[A14_1_05_311] →(三叉神経脊髄路核から起こり、対側の内側毛帯に沿って脳幹内を上行する線維を腹側三叉神経視床路という。)

Posterior trigeminothalamic tract; Dorsal trigeminothalamic tract(後三叉神経核視床路;背側三叉神経視床路)Tractus trigeminothalamicus posterior こうさんさしんけいかくししょうろ;はいそくさんさしんけいししょうろ

[A14_1_05_312] →(三叉神経主知覚核からの二次線維には交叉性のもとの非交叉性のものとがある。核の背内側の細胞からは細い非交叉性線維束が出て、中脳の中心灰白質の近くを上行し、同側視床の後内側腹側核に終わる。これらの線維束を背側三叉神経視床路といい、下顎神経のみに関係した特有な経路と思われる。)

Mesencephalic tract of trigeminal nerve(三叉神経中脳路)Tractus mesencephalicus nervi trigemini さんさしんけいちゅうのうろ Feneis: 280 29

[A14_1_05_313] →(三叉神経中脳路核の細胞体からの主な突起は鎌状をした三叉神経中脳路を作り、これは三叉神経運動核の高さまで下行し、側副枝を運動核に送るが、大部分は運動根の一部として脳外に出る。)

Root of facial nerve(顔面神経根)Radix nervus facialis がんめんしんけいこん

[A14_1_05_313a]→

Genu of facial nerve(顔面神経膝;顔面神経内膝)Genu nervi facialis がんめんしんけいしつ;がんめんしんけいないしつ Feneis: 282 04

[A14_1_05_314] →(顔面神経膝は顔面神経が顔面神経管の中で鋭く曲がっているところで、前のほうに進んでいた神経がここで後方へ向きを変え中耳の内側壁に達する(外神経節)。)

First part of facial nerve root(顔面神経根第1部)Pars prima radicis nervus facialis がんめんしんけいこんだい1ぶ [A14_1_05_314a]
Second part of facial nerve root(顔面神経根第2部)Pars secunda radicis nervus facialis がんめんしんけいこんだい2ぶ [A14_1_05_314b]→○

Trapezoid body(台形体)Corpus trapezoideum だいけいたい Feneis: 282 14

[A14_1_05_315] →(台形体は橋下位の高さで蝸牛神経腹側核および一部台形体背側核(上オリーブ核)から出て橋被蓋の背側部を横走し対側に向かう線維の総称(もしくはこれらの線維で構成された部位)。これらの線維は交叉の後、前背側方に進み、外側毛帯に加わる。)

Olivocochlear tract(オリーブ蝸牛束;オリーブ核蝸牛束;上オリーブ核蝸牛束)Tractus olivocochlearis おりーぶかぎゅうそく;おりーぶかくかぎゅうそく;じょうおりーぶかくかぎゅうそくRasmussen, Bundle of Feneis: 282 08

[A14_1_05_316] →(蝸牛神には遠心性(または交叉性および非交叉性オリーブ蝸牛束)があって脳幹から蝸牛へ投射しており、中枢神経系が感覚性入力を調節する経路となっている。ネコでこの内の交叉性線維を電気的に刺激したところ、聴覚刺激による蝸牛神経の反応が減弱した。オリーブ蝸牛束線維は上オリーブ核の主核と副核を取り囲むコリン作働性細胞から起こる。おれらの線維束はそれぞれの起始細胞により、内側系と外側系に分けるのがもっともよい。内側オリーブ蝸牛系は上オリーブ核内側部の腹内側部に位置する細胞から起こる有髄線維群で、蝸牛管の外有毛細胞領域に両側性(対側優位性をもって)に投射する。また外側オリーブ蝸牛系は上オリーブ核内側部の外側細胞から起こり、無髄線維を含み、蝸牛蝸牛管の内遊網細胞領域に両側性(同側優位性をもって)線維を送る。オリーブ蝸牛束の交叉性線維は顔面神経膝に向かって背内側に走って正中線で交叉し、非交叉性線維と合流し、前庭神経と共に脳幹から出る。これらの線維は内耳では前庭・蝸牛神経吻合枝を通って蝸牛神経に入り、ラセン器に至って有毛細胞とシナプス結合を行う。遠心性蝸牛線維は末梢受容器の感受性を低下させることにより、聴覚神経の活動を制御している。)

Lateral lemniscus(外側毛帯)Lemniscus lateralis がいそくもうたい Feneis: 282 17

[A14_1_05_317] →(外側毛帯は中脳まで上行し、大部分の線維が下丘に終わる。背側および腹側蝸牛神経核からの線維は、背側、中間および腹側聴条として対側に向かい、多くは対側の台形体背側核におわるが一部はそのまま上行する。この上行する線維と同側の台形体背側核から出て上行する線維が一緒になって外側毛帯を形成する。外側毛帯は橋の高さで内側毛帯(系)の背外側の位置を占めて上行し、大部分は下丘に終わるが、一部は途中下丘のすぐ腹側に存在する外側毛帯核におわる。)

Medullary striae of fourth ventricle(第四脳室髄条)Striae medullares ventriculi quarti だい4のうしつずいじょう Feneis: 282 30

[A14_1_05_318] →(第四脳室髄条は後脳部と髄脳部の境界部の脳室底には数本の線維が正中溝を横切って横走する線維の束。下小脳脚まで追跡できる。髄条は、次の諸部分から起こる線維より成る複雑な線維束である。すなわち、①中隔核、②外側視索前野、③視床前核群である。海馬体および扁桃体複合核からの線維は中隔核に投射する。)

Acoustic stria of von Monakow(聴条;モナコフ聴条)Striae acusticae (Monakow) ちょうじょう;もなこふちょうじょう [A14_1_05_318_1]→

Anterior acoustic stria; Ventral acoustic stria(腹側聴条;前聴条)Stria cochlearis anterior ふくそくちょうじょう;ぜんちょうじょう

[A14_1_05_319] →(腹側聴条は蝸牛神経腹側核から起こり、橋被蓋の腹側縁に沿って内側方に向かう。腹側聴条は背側及び中間聴条を合わせたよりも大きく、主として蝸牛神経腹側核の前部より起こり、距腓蓋を通過中に一部の線維を網様体、上オリーブ核および台形体核に送る。)

Intermediate acoustic stria(中間聴条)Stria cochlearis intermedia ちゅうかんちょうじょう

[A14_1_05_320] →(中間聴条は数が少なく蝸牛神経腹側核と背側核の両方から起こる。背側聴条および中間聴条の線維は下小脳脚の背側を通って内側方に向かい、背側聴条は内側縦束の腹側で(正中)縫線を横切って対側の外側毛帯線維に加わるが、中間聴条はより腹側の一で網様体を通り、正中線で交叉したのち対側の外側毛帯に入る。)

Posterior acoustic stria; Dorsal acoustic stria(後聴条;背側聴条)Stria cochlearis posterior こうちょうじょう;はいそくちょうじょう

[A14_1_05_321] →(背側聴条は蝸牛神経背側核から起こり、下小脳脚の背側を廻り、第四脳室の底に近い部分を通って内側縦束の腹側で交叉して反対側の台形体に外側毛帯も合流して、一部が上小脳核に終わるが、大部分は中脳下丘に終わるかが外側毛帯の核に終わる。)

Anterior pontoreticulospinal tract; Ventral pontoreticulospinal tract(前橋網様体脊髄路;腹側網様体脊髄路)Tractus pontoreticulospinalis anterior ぜんきょうもうようたいせきずいろ;ふくそくもうようたいせきずいろ

[A14_1_05_322]

Anterior spinocerebellar tract; Ventral spinocerebellar tract(前脊髄小脳路;腹側脊髄小脳路)Tractus spinocerebellaris anterior ぜんせきずいしょうのうろ;ふくそくせきずいしょうのうろ

[A14_1_05_323] →(前脊髄小脳路は発育が悪く、腰髄の後角底および中間質外側部などの神経細胞から出て、主として白交連で交叉し、反対側の側索周辺部の腹側部を上行し、延髄の側索をへて橋に達し、背側方に進んで、上小脳脚の表面を逆行し、ついで再び交叉し、主として小脳前葉の皮膚に入る。前および後脊髄小脳路は下半身からの深部知覚を伝える。これに対して、上肢、頚部、体感上部などからの深部知覚は副楔状束核小脳路によって伝えられる。)

Auditory commissure of pons(橋聴覚交連)Commissura cochlearis pontis きょうちょうかくこうれん [A14_1_05_324]

Central tegmental tract(中心被蓋路)Tractus tegmentalis centralis ちゅうしんひがいろ Feneis: 290 26

[A14_1_05_325] →(中心被蓋路は赤核尾端からオリーブ核頭端にかけて網様体のほぼ中央部を縦走する線維束である。大部分の線維は小細胞性赤核におこり、同側の主オリーブ核におわる、とされている。線維束をその形状や位置で命名する場合には一般にfasciculusを用い、起始と終止で命名する場合にはtractusを用いることが多い。Tractus rubroolivarisはFasciculus tegmentalis centralisの主要な構成要素であるが、おそらく上行性の線維も含まれていると考えられる。小細胞性赤核を破壊してナウタ法でみると、大細胞性網様体にも終止性変性線維が認められる。これを赤核網様体路と呼ぶこともある。)

Rubro-olivary fibres(赤核オリーブ核線維)Fibrae ruboolivares せきかくおりーぶかくせんい

[A14_1_05_326] →(赤核の小細胞部からの非交叉性の線維束が中心被蓋路に入り、オリーブ核主核の背側板に終わる。これを赤核オリーブ核路といい、小包へのフィードバック系の一部をなす。赤核から視床への投射はない。)

Anulo-olivary fibres(輪オリーブ核線維)Fibrae anuloolivares りんおりーぶかくせんい [A14_1_05_327]

Cerebello-olivary fibres(小脳オリーブ核線維;小脳核下オリーブ核線維;小脳オリーブ路)Fibrae cerebelloolivares; Tractus cerebelloolivares しょうのうおりーぶかくせんい;しょうのうかくかおりーぶかくせんい;しょうのうおりーぶろ

[A14_1_05_328] →(小脳オリーブ核線維は小脳諸核から起こり上小脳脚を通った後、交叉して対側に移り中心被蓋路に合流して下行する。起始に対応して主・副オリーブ核に終わる。すなわち前部・後部の核からの線維は背側・内側の副オリーブ核に、内側核からは内側副オリーブ核に外側核からは主オリーブ核に終わる。)

Hypothalamospinal tract(視床下部脊髄路)Tractus hypothalamospinalis ししょうかぶのせきずいろ [A14_1_05_329]

Interstitiospinal tract(間質核脊髄路;介在核脊髄路)Tractus interstitiospinalis かんしつかくせきずいろ;かいざいかくせきずいろ

[A14_1_05_330] →(間質核脊髄路は中脳の間質核から起こり同側を下行してRexedの脊髄節Ⅶ層とⅧ層に終わる線維束。)

Rubropontine tract(赤核橋路;赤核橋核路)Tractus rubropontinus せきかくきょうろ;せきかくきょうかくろ

[A14_1_05_331] →(赤核橋路は中の赤核から起こり橋底部の橋核に終わる線維束。)

Rubrospinal tract(赤核脊髄路)Tractus rubrospinalis せきかくせきずいろ Feneis: 290 10

[A14_1_05_332] →(『モナコフ束』ともよばれる。この伝導路の線維は、中脳被蓋の中心部にある卵円形の細胞集団である赤核からおこる。赤核は普通、吻側の小細胞群と尾側の大細胞群に分けられ、それらは動物によって大きさに差がある。赤核脊髄路は赤核の大細胞部から起こる。赤核脊髄路の線維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部それと混在して下行する。赤核脊髄路の線維は体部位局在性に構成されており、核の特定の部分の細胞はきめられた脊髄のレベルに選択的に投射する。頚髄へ投射する線維は赤核の背側および背内側部からおこり、一方腰仙髄に投射する線維は赤核の腹側および腹外側から起こる。胸髄は赤核の中間部から起こる線維を受ける。赤核脊髄路は①脊髄全長を下行する、②第Ⅴ層の外側半分、第Ⅵ層、および第Ⅶ層の背側部および中央部に終止する。赤核は大脳皮質と小脳から線維を受ける。“運動野”皮質からの皮質赤核路線維は赤核の小細胞部には両側性に、大細胞部には同側性に投射する。これらの投射線維はその起始終止とも体部位局在性に配列する。このシナプス結合を通して、皮質赤核路と赤核脊髄路とは共同して体部位局在性に配列した非錐体外路系伝導路として大脳皮質運動領と特定の脊髄レベルの間に存在する。赤核のあらゆる部分が上小脳脚を経てくる交叉性の小脳遠心線維を受ける。歯状核からの線維は赤核の前1/3に投射し、中位核(ヒトの球状核と栓状核に相当する)からの線維は体部位局在的に小脳皮質の部分と赤核の大細胞部とを関係づけている。赤核の細胞を刺激すると対側の屈筋のα運動ニューロンに興奮性シナプス後電位が発生し、また、伸筋のα運動ニューロンに抑制的シナプス後電位が発生する。赤核脊髄路の最も重要な機能は屈筋群の筋緊張の制御に関与することである。 Monakow, Constantin von (1853-1930) スイスの神経学者。大脳皮質の機能局在を明示し(Die Lolcalisation in Grosshirn u. der Abbau der Funktion durch kortical Herde, 1914)、モナコフ束(赤核脊髄路)を記述(Der rote Kern, die Haube u. die Regio hypothalamica bei einigen Saeugetieren und beim Menschen, Arb. Hirnanat. Inst. Zuerich, 1909, 3, 51-267; 1910, 4, 103-225)。)

Tectobulbar tract(視蓋延髄路;視蓋球路)Tractus tectobulbaris しがいえんずいろ;しがいきゅうろ Feneis: 290 11

[A14_1_05_333] →(視蓋延髄路は上丘から両側性に中脳網様体や反対側の橋および延髄網様体に終わる線維が出る。これらを一括して視蓋延髄路または線維とよぶ。この神経路に伴行して下行し、橋核、脳神経の背側核とくに眼筋支配の核に終末している。このことから眼球運動の反射に密接な関連をもつとみられる。)

Tectopontine tract(視蓋橋路;視蓋橋核路)Tractus tectopontinus しがいきょうろ;しがいきょうかくろ

[A14_1_05_334] →(視蓋橋核路は、橋核に終止し、中小脳脚を経て小脳に刺激を送っている。この神経路は、視覚情報が小脳に到達する経路となっている。また、一部の遠心性線維は内側縦束に加わり、動眼神経核、滑車神経核および外転神経核の働きを調整している。橋小脳投射は、虫部のなかでは、山腹、虫部葉および虫部隆起で強力であるが、これらの虫部領域はいわゆる「小脳視覚野(視覚性入力をうける)」に相当する。これらの虫部領域には、橋小脳投射を通じて、上丘、一次視覚野(有線野)、および視覚連合野からの入力が入る。この場合、上丘から橋核への入力は視蓋橋核路を通る。)

Grey matter of pontile tegmentum; Grey substance of pontile tegmentum; Gray matter of pontile tegmentum; Gray substance of pontile tegmentum(灰白質(橋被蓋の))Substantia grisea tegmenti pontis かいはくしつ(きょうひがいの) [A14_1_05_401]

Raphe nuclei of pontile tegmentum(縫線核;縫線核群(橋被蓋の))Nuclei raphes in tegmento ponti ほうせんかく;ほうせんかくぐん(きょひがいの) Feneis: 278 26

[A14_1_05_402]

Reticular formation(網様体(橋被蓋の);橋網様体)Formatio reticularis tegmentum pontis もうようたい(きょうひがいの);きょうもうようたい Feneis: 280 23

[A14_1_05_403] →(橋網様体は、主として下(橋)網様核と上(核)網様核の2つの大きな細胞集団よりなる。下網様核は延髄の巨大細胞網様核の上方部に相当し、上方は三叉神経運動核の高さにまで及ぶ。上網様核は、上方が中脳下部にまで伸びるが、正確な境界は明らかではない。橋網様体の細胞からは非交叉性の網様体脊髄路が起こり、脳幹では内側縦束の一部として下行する。その他の細胞からの線維には中心被蓋路の一部として上行するものもあり、また多くの細胞の線維は二分して上方および下方に分枝を送る。このうち上行枝は中心被蓋路を経て視床の髄板内核に投射する。これらの視床核に至るインパルスは大脳皮質の広い部位の電気活動に強い影響を及ぼす。橋にあるその他の網様核として被蓋網様核と上中心核がある。前者は縫線の近くで内側毛帯の背側にあり、胸郭が被蓋の中にあり、菱脳峡の高さで大きくなり、縫線正中核となる。)

Spinal nucleus of trigeminal nerve(三叉神経脊髄路核;三叉神経脊髄核)Nucleus spinalis nervi trigeminalis さんさしんけいせきずいろかく;さんさしんけいせきずいかく Feneis: 280 26

[A14_1_05_404] →(三叉神経脊髄路核は三叉神経脊髄路の内側にそってあり、橋の三叉神経根のレベルから第二頚髄まで存在する。三叉神経脊髄路の線維は全域にわたってこの神経核の細胞に終止する。細胞構築上三叉神経脊髄核は①吻側部、②中間部、尾側部に分けられる。)

Oral subnucleus of spinal nucleus of trigeminal nerve(吻側部;吻側亜核(三叉神経脊髄路核の))Subnucleus oralis nuclei spinalis nervi trigemini ふんそくぶ;ふんそくあかく(さんさしんけいせきずいろかくの)

[A14_1_05_405] →(三叉神経脊髄路核の吻側亜核は主に鼻腔および口腔内部からの感覚を受ける。)

Principal sensory nucleus of trigeminal nerve(三叉神経主感覚核;三叉神経主知覚核;三叉神経橋核)Nucleus principalis nervi trigemini; Nucleus pontinus nervus trigemini さんさしんけいしゅかんかくかく;さんさしんけいしゅちかくかく Feneis: 280 27

[A14_1_05_406] →(三叉神経主知覚核は上知覚核ともよばれ、外転神経核の上外側にあり、下方は脊髄路核に接し、円い中等大細胞の不規則なぶどう状の集団からなる。主知覚核およびおそらくは脊髄路核の上部は、四肢および体幹に対する後索核と同様に、顔面の識別性触圧覚を中継する物と考えられる。)

Posteromedial nucleus of principal sensory nucleus of trigeminal nerve; Dorsomedial nucleus of principal sensory nucleus of trigeminal nerve(後内側核;背側内側核(三叉神経主知覚核の))Nucleus posteromedialis nuclei principalis nervi こうないそくかく;はいそくないそくかく(さんさしんけいしゅちかくかくの) [A14_1_05_407]

Anterolateral nucleus of principal sensory nucleus of trigeminal nerve; Ventrolateral nucleus of principal sensory nucleus of trigeminal nerve(前外側核;腹外側核(三叉神経主知覚核の))Nucleus anterolateralis nuclei principalis nervi ぜんがいそくかく;ふくがいそくかく(さんさしんけいしゅちかくかくの) [A14_1_05_408]

Mesencephalic nucleus of trigeminal nerve(三叉神経中脳路核)Nucleus mesencephalicus nervi trigeminalis さんさしんけいちゅうのうろかく Feneis: 280 30, 288 27

[A14_1_05_409] →(三叉神経中脳路核は三叉神経運動核の下端より少し下方の高さから中脳上端部に至る。非常に細長く延びた核で、橋の高さでは第四脳室の腹外側核の近くにあり、中脳では中心灰白質の外側縁にある。これは脊髄神経節の細胞に似た、少数の大きい偽単極細胞からなる。その突起は三叉神経中脳路を作りつつ下行し、三叉神経運動核に突起を出したのち運動根に加わり、主として咀嚼筋に分布し、その固有知覚を伝え、咬む力の調節に関与している。また中脳路核上部には外眼筋などからの固有知覚が伝えられるという。中脳路核から高次の中枢への連絡については不明である。)

Motor nucleus of trigeminal nerve(三叉神経運動核)Nucleus motorius nervi trigemini さんさしんけいうんどうかく Feneis: 282 01

[A14_1_05_410] →(三叉神経運動核は典型的な大型の神経細胞よりなり、全体は卵円形をなして運動根と主知覚核の内側に位置する。核からの線維は知覚根の進入点より内側で脳幹を出て三叉神経節の下を通り、下顎神経に加わる。運動核は中脳路核からの側副枝を受けて2ニューロン反射弓を形成するが、そのほかにも三叉神経二次線維が交叉性および非交叉性に連絡しており、皮膚、舌および口腔粘膜と咀嚼筋との間に反射弓を形成する。皮質延髄路線維の一部は直接両側性に運動核細胞に終止するが、他の線維は網様体細胞を介して間接的に終止する。)

Nucleus of abducens nerve; Abducens nucleus (VI)(外転神経核)Nucleus nervi abducentis がいてんしんけいかく Feneis: 282 02

[A14_1_05_411] →(第6脳神経、すなわち、外転神経の起始核で、眼筋のうち外側直筋を支配する運動神経細胞群である。第四脳室底において橋の正中線背側核の両側に位置しており、顔面神経膝とともに、菱形窩に低い隆まりを形成する。)

Motor nucleus of facial nerve(顔面神経核)Nucleus nervi facialis がんめんしんけいかく Feneis: 282 03

[A14_1_05_412] →(第7脳神経、すなわち顔面[中間]神経を形成する神経線維のうち、表情筋・広頚筋・アブミ骨筋・茎突舌骨筋などの横紋筋を支配する運動神経線維の起始核であり、橋の最尾側レベルにおいて橋被蓋の腹外側部に位置する。顔面神経核からおこる神経線維は核の背側から出て背内頭側に走り(顔面神経上行根)、第四脳室底の直下で外転神経核の内側部に達してはじめて密な神経束を形成する。ついで、この線維束は外転神経核の頭側レベルで核の背側を外側に向かい顔面神経膝を形成する。ついで、線維束は三叉神経脊髄路核の内側縁に沿うように腹外側に走り(顔面神経下行根)、橋の尾側レベルで脳幹を出る。顔面神経の支配を受ける横紋筋のうち顎二腹筋後腹は副顔面神経核に支配される。副顔面神経核の神経細胞は顔面神経核と三叉神経運動核を結ぶ線上に散在性に存在する。顔面神経に含まれる副交感神経線維の起始核として、上唾液核が記載されている。この核の神経細胞は、橋被蓋網様体の尾側レベルでその背外側部において、三叉神経脊髄路核の内側縁付近に比較的散在性に存在するようである。)

Superior salivary nucleus; Superior salivatory nucleus(上唾液核;上唾液分泌核; 橋の唾液核)Nucleus salivarius superior; Nucleus originis salivatorius pontis じょうだえきかく;じょうだえきぶんぴつかく;きょうのだえきかく Feneis: 282 05

[A14_1_05_413] →(上唾液核は舌下腺、顎下腺、口蓋腺などの唾液腺や涙腺の分泌を行う中間神経副交感性線維の起始核である。起始細胞は、延髄上部の毛様体外側部で肺内層から腹外側方向に配列されている。尾側端は顔面神経核の高さで孤束の腹内側に位置し、吻側端は上オリーブ核の高さで前庭神経核の腹側から三叉神経脊髄路核の内側に位置している。)

Lacrimal nucleus(涙腺核;涙腺分泌核)Nucleus lacrimalis るいせんかく;るいせんぶんぴつかく Feneis: 282 06 [A14_1_05_414]

Superior olivary nucleus; Superior olivary complex(上オリーブ核;上オリーブ複合体)Nucleus olivaris superioris じょうおりーぶかく;じょうおりーぶふくごうたい Feneis: 282 07

[A14_1_05_415] →(上オリーブ核は内側毛帯と三叉神経脊髄路核とのあいだに存在する核群であり、両側の蝸牛神経核から入力線維を受け、出力線維は外側毛帯に加わる。音源定位に大きくかかわる。)

Lateral superior olivary nucleus(外側上オリーブ核)Nucleus olivaris superior lateralis がいそくじょうおりーぶかく [A14_1_05_416]

Medial superior olivary nucleus(内側上オリーブ核)Nucleus olivaris superior medialis ないそくじょうおりーぶかく [A14_1_05_417]

Peri-olivary nuclei(オリーブ周囲核;上オリーブ傍核)Nuclei periolivares おりーぶしゅういかく;じょうおりーぶぼうかく

[A14_1_05_418] →(上オリーブ傍核は外側核)

Medial nuclei; Medial periolivary nuclei(内側核;内側オリーブ周囲核)Nuclei periolivarum mediales ないそくかく;ないそくおりーぶしゅういかく [A14_1_05_419]
Lateral nuclei; Lateral periolivary nuclei(外側核;外側オリーブ周囲核)Nuclei periolivarum laterales がいそくかく;がいそくおりーぶしゅういかく [A14_1_05_420]

Nuclei of trapezoid body(台形体核群;台形体核)Nuclei corporis trapezoidei だいけいたいかくぐん;だいけいたいかく

[A14_1_05_421] →(台形体核は台形体の線維の間に散在する細胞よりなり、台形体の線維や聴条の線維がこれとシナプス結合する。台形体外側核、内側核、前(腹側)核がある。聴覚の中継核とみられる。ここからの線維の大部分は外側方に走り、外側毛帯に入るが、その近くに上オリーブ核群と呼ぶ大きな神経細胞集団がある。)

Anterior nucleus of trapezoid body; Ventral nucleus of trapezoid body(台形体前核;台形体腹側核)Nucleus anterior corporis trapezoidei だいけいたぜんかく;だいけいたふくそくかく Feneis: 282 15

[A14_1_05_422] →(台形体の外側部で、その線維のあいだに散在する。)

Lateral nucleus of trapezoid body(台形体外側核)Nucleus lateralis corporis trapezoidei だいけいたいがいそくかく [A14_1_05_423]

Medial nucleus of trapezoid body(台形体内側核)Nucleus medialis corporis trapezoidei だいけいたいないそくかく [A14_1_05_424]

Vestibular nuclei in pontile tegmentum(前庭神経核(橋被蓋の))Nuclei vestibulares in tegmento ponti ぜんていしんけいかく(きょうひがいの) Feneis: 282 09

[A14_1_05_425] →(前庭神経核は前庭神経の終止核で、4核からなり、前庭神経は上行枝と下行枝に分かれてこれらの核に分布する。前庭神経内側核(三角核)(Schealbe nucleus)は菱形窩の前庭神経野にあり、主として小細胞からなる。前庭神経外側核(Deiter nucleus)は内側核の外側で、下小脳脚内側ににあり、非常に大きい多極性の細胞からなる。これは前庭神経路の起始をなし、また小脳から多くの線維を受けるが、小脳に線維を送らない。前庭脊髄路は同側性に延髄の外側部を下り、脊髄に至る。前庭神経上核(Bechterew nucleus)は第四脳室の底と側壁の移行部にあり、橋から小脳に及ぶ。前庭神経核中最も背外側で、しかも最も情報にあり、ここではやや大きい細胞と小細胞が混在する。前庭神経下核(下行路核)は下小脳脚内側部の中にあり、外側核の下方につづき、内側核の外側にあり、主として中等大細胞からなる。この核は前庭神経の下行枝の一部からなる縦走線維(前庭神経下行路)を含む。前庭神経核の上核、内側核および下核から出る二次経路は下小脳脚内側部を通って両側の小脳の片葉、小節、虫部垂および室頂核に至る(前庭小脳路)。またすべての前庭神経核は内側縦束に大部分両側性に多数の線維を与える。前庭神経核から網様体に至る線維もある。)

Medial vestibular nucleus in pontile tegmentum(前庭神経内側核;前庭神経三角核(橋被蓋の))Nucleus vestibularis medialis; Nucleus terminalis triangularis nervus vestibuli ぜんていしんけいないそくかく;ぜんていしんけいさんかくかく(きょうひがいの) Feneis: 282 10

[A14_1_05_426] →(前庭神経核群のうち、前庭神経下核は延髄において副楔状束核の内側から上方へ前庭神経が脳幹に入るまでの高さにあり、主として小型および中型の細胞よりなる。ただし、その最も吻側部は前庭神経外側核に似た大型細胞から成る。神経線維染色標本で縦走する線維束の認められるのがこの核の特徴である。)

Lateral vestibular nucleus(前庭神経外側核;外側前庭神経核;ダイテルス核)Nucleus vestibularis lateralis ぜんていしんけいがいそくかく;がいそくぜんていしんけいかく;だいすてるかくDeiters' nucleus Feneis: 282 11

[A14_1_05_427] →(前庭神経外側核はダイテルス核ともよばれる。前庭神経核は4つの小核からなるが、その内の外側核をいう。前庭神経外側核は前庭神経が脳幹内に入る高さにあり、巨大型細胞よりなるが、細胞の数および形には部位的差異が認められる。前庭神経の根線維はこの核の腹側部を通る。ドイツの解剖学者Otto Friedrich Karl Deiters (1834-1863)によって記載された。)

Parvocellular part of lateral vestibular nucleus; Cell group L(小細胞部;L細胞群(外側前庭神経核の))Pars parvocellularis vestibularis lateralis しょうさいぼうぶ;Lさいぼうぐん(がいそくぜんていしんけいかくの) [A14_1_05_428]

Superior vestibular nucleus(前庭神経上核;上前庭神経核;前庭神経背側核;ベヒテレフ核)Nucleus vestibularis superior; Nucleus terminalis dorsalis nervus vestibuli ぜんていしんけいじょうかく;じょうぜんていしんけいかく;ぜんていしんけいはいそくかく;べひてれふかくBechterew, Nucleus of Feneis: 282 12

[A14_1_05_429] →(ベヒテレフ核とも呼ばれる。前庭神経上核は前庭神経外側核の上方背側にあり、その背側を上小脳脚の線維が通る。核の中央には大型細胞があり、その周囲をそれより小形の細胞が取り囲んでいる。Bechterew, Vladimir Michaliorich (Bekhterev)(1857-1927)ロシアの神経学者。1893年からペテルスブルグ大学の教授。1918年に同市の脳精神研究所の初代所長となる。ロシアの神経学の先駆者、聴神経のベヒテレフ核、大脳皮質のベヒテレフ層、ベヒテレフ病(強直性脊椎関節炎)を記述(1892年))

Cochlear nuclei in pontile tegmentum(蝸牛神経核(橋被蓋の))Nuclei cochleares in tegmento ponti かぎゅうしんけいかく(きょうひがいの) Feneis: 282 13

[A14_1_05_430] →(蝸牛神経核は第8脳神経のうち蝸牛神経の線維を受けるこの核は、延髄上部の高さから延髄中央部の高さで下小脳脚を背側および外側から包んで存在する。これは一般に背側部と腹側部に分かれ、それぞれ蝸牛神経背側核および腹側核といわれる。ラセン神経節内の双極細胞の注す右枝はすべてこの核におわるが、それらの線維は分枝して背側核と腹側核のそれぞれに規則正しく配列しておわる。すなわちラセン管の基底部からの線維はそれぞれの核の背側部に、またラセン管尖部からのものは腹側部におわる。したがって機能的には両核内で背側部は高周波の、また腹側部は低周波の音波の刺激を最もよく受けることになる。これらの音に対する局在(tontopical localization)は上位の聴覚路にも受け継がれていく。)

Nuclei of lateral lemniscus(外側毛帯核)Nuclei lemnisci lateralis がいそくもうたいかく Feneis: 282 18

[A14_1_05_431] →(外側毛帯核は背腹方向に長い帯状の神経核で、橋被蓋を中脳に向かって上行する外側毛帯中にある核で、外側毛帯の線維のあいだにはニューロンが散在している。腹側核、中間核、背側核に区別される。外側毛帯の線維の中にはこれらのニューロンとシナプス結合するものがある。左右の外側毛帯背側核と腹側核の間には、プローブスト交連Probst's commissureとよばれる交連線維がある。外側毛帯を構成する線維は上行し、下丘に終わっている。外側毛帯は脳幹の聴覚路の中でもっとも重要な物である。)

Posterior nucleus of lateral lemniscus; Dorsal nucleus of lateral lemniscus(外側毛帯後核;外側毛帯背側核)Nucleus posterior lemisci lateralis がいそくもうたいこうかく;がいそくもうたいはいそくかく

[A14_1_05_432] →(外側毛帯背側核は外側毛帯の線維の中にある外側毛帯核で背側部をいう。)

Intermediate nucleus of lateral lemniscus(外側毛帯中間核)Nucleus intermedius lemnisci lateralis がいそくもうたいちゅうかんかく

[A14_1_05_433] →(外側毛帯中間核は外側毛帯の線維の中にある外側毛帯核で中間部をいう。)

Anterior nucleus of lateral lemniscus; Ventral nucleus of lateral lemniscus(外側毛帯前核;外側毛帯腹側核)Nucleus anterior lemnisci lateralis がいそくもうたいぜんかく;がいそくもうたいふくそくかく

[A14_1_05_434] →(外側毛帯前核は外側毛帯の線維の中にある外側毛帯核で腹側部をいう。)

Anterior tegmental nucleus of pons; Ventral tegmental nucleus of pons(前被蓋核;腹側被蓋核;被蓋腹側核(橋の))Nucleus tegmentalis anteriores ponti ぜんひがいかく;ふくそくひがいかく;ひがいふくそくかく(きょうの) [A14_1_05_435]

Caerulean nucleus; Coerulean nucleus(青斑核)Nucleus caeruleus; Nucleus locus coerules せいはんかく

[A14_1_05_436] →(青斑核は、中脳水道に近い菱形窩の最前端の外側にある浅い凹みで、新鮮脳では青色をしている部分。その中にノルエピネフリンを含有するニューロンがニューロンが発見されるまでは、長いあいだにわたり、三叉神経核群の一部とみなされてきた。しかし、それ以後は青斑核は独立の構造とみなされている。青斑核には、細胞構築の所見に基づいて、腹側部と背側部が区別できる。背側部は中等大の紡錘形の細胞を含み、三叉神経中脳路核と前庭神経上核の間に位置する。腹側部は細胞の密度は粗であるが、大形多極性の細胞を含む。多極性細胞の樹状突起は長くのびて青斑核の境界を越え、三叉神経中脳路核や中心灰白質の細胞と接する。青斑核の神経細胞の細胞体からは軸索に似た細い突起が出ている(細胞体棘somatic gemmules)。また青斑核細胞はノルエピネフリンとドーパミン水酸化酵素(ノルエピネフリンをドーパミンに替える)を含んでいる。これらのエピネフリン含有ニューロンは中枢神経系のきわめて広い範囲にわたって投射している。多数のノルエピネフリン含有神経終末が脳血管の周囲にみられることから、ノルエピネフリン含有神経線維が脳血流の調節に関係していると推定している研究者もある。さらに、青斑核は呼吸調節、排尿、覚醒睡眠リズムなどの機構にも参加している可能性がある。①青斑核への入力線維は橋の縫線核、大縫線核、同側の黒質、孤束核、顔面神経核周囲部などから起こる。②青斑核からの出力線維は大部分は背側ノルエピネフリン線維系を形成するが、その他は小脳・延髄・脊髄へも達する。背側エピネフリン線維系の分布は非常に広範囲に及ぶ。主線維群は脳幹被蓋部の外側部を上行し、外側視床下部を経て中隔部に達し、さらに帯状束にも加わる。この主線維群からは多くの線維が分かれて、視蓋、視床、扁桃体、海馬、新皮質など、中脳や終脳の広範囲にわたって分布する。比較的少数の細胞がこれほど広範な領域に直接投射しうる事実は驚くべき事である。小脳へ達する青斑核線維は上小脳脚を通り、小脳核と小脳皮質に分布する。脊髄へ達する青斑核線維にはその全長にわたって走り、前角と後角基部に分布する。)

Subcaerulean nucleus; Subcoerulean nucleus(青斑下核)Nucleus subcaeruleus; Nucleus subcoeruleus せいはんかかく

[A14_1_05_437] →(青斑の腹外側には同じ様な細胞がびまん性に集まっており、これを青斑下核という。)

Interstitial nuclei of medial longitudinal fasciculus(内側縦束間質核;内側縦束核)Nuclei interstitiales fasciculi longitudinalis medialis; Nucleus tractus longitudinalis medialis ないそくじゅうそくかんしつかく;ないそくじゅうそくかく

[A14_1_05_438] →(内側縦束の間質核は中脳動眼神経核領域の内側縦束に隣接する小細胞群で、動眼神経や滑車神経との連絡により眼球運動に関与する。主として同側性であるが一部対側へ行くものもある。)

Parabrachial nuclei(結合腕傍核)Nuclei parabrachiales けつごうわんぼうかく

[A14_1_05_439] →(結合腕傍核は中脳下丘の高さおよびすぐ尾側の高さで上小脳脚(結合腕)の内側および外側を取り囲む明瞭な細胞群である。孤束核から視床および視床下部に至る経路の中継核で、視床下部および扁桃体からの線維を受けている。)

Subparabrachial nucleus(結合腕傍下核)Nucleus subparabrachialis けつごうわんぼうかかくKölliker-Fuse nucleus

[A14_1_05_440] →(結合腕傍下核は内外側の結合腕傍核が境を接しているところの上小脳脚(結合腕)の腹側にある細胞群で、吻側ではやや外側寄りに位置している。)

Lateral parabrachial nucleus(外側結合腕傍核)Nucleus parabrachialis lateralis がいそくけつごうわんぼうかく

[A14_1_05_441] →(外側結合腕傍核は主として孤束核後部の一般内臓性核からの入力を受ける。外側結合腕傍核は視床下部及び扁桃核に線維を送る。外側結合腕傍核の腹側にある大形細胞よりなるKoelliker-Fuse核は孤束核に投射し、呼吸の中枢性制御に関与する。)

Lateral part of lateral parabrachial nucleus; Lateral subnucleus of lateral parabrachial nucleus(外側部;外側下核(外側結合腕傍核の))Pars lateralis nuclei parabrachialis lateralis がいそくぶ;がいそくかかく(がいそくけつごうわんぼうかくの) [A14_1_05_442]
Medial part of lateral parabrachial nucleus; Medial subnucleus of lateral parabrachial nucleus(内側部;内側下核(外側結合腕傍核の))Pars medialis nuclei parabrachialis lateralis ないそくぶ;ないそくかかく(がいそくけつごうわんぼうかくの) [A14_1_05_443]
Posterior part of lateral parabrachial nucleus; Dorsal part of lateral parabrachial nucleus; Posterior subnucleus of lateral parabrachial nucleus; Dorsal subnucleus of lateral parabrachial nucleus(後部;背側部;後下核;背側下核(外側結合腕傍核の))Pars posterior nuclei parabrachialis lateralis こうぶ;はいそくぶ;こうかかく;はいそくかかく(がいそくけつごうわんぼうかくの) [A14_1_05_444]
Anterior part of lateral parabrachial nucleus; Ventral part of lateral parabrachial nucleus; Anterior subnucleus of lateral parabrachial nucleus; Anterior subnucleus(前部;腹側部;前下核;腹側下核(外側結合腕傍核の))Pars anterior nuclei parabrachialis lateralis ぜんぶ;ふくそくぶ;ぜんかかく;ふくそくかかく(がいそくけつごうわんぼうかくの) [A14_1_05_445]

Medial parabrachial nucleus(内側結合腕傍核;結合腕傍内側核;内側傍腕核;傍腕内側核;橋味覚野)Nucleus parabrachialis medialis ないそくけつごうわんぼうかく;けつごうわんぼうないそくかく;ないそくぼうわんかく;ぼうわんないそくかく;きょうみかくや

[A14_1_05_446] →(内側結合腕傍核は孤束核からの味覚部からの線維を受ける。孤束核からの線維は脳幹を非交叉性に上行する。内側結合腕傍核は視床、視床下部及び扁桃核に投射する。この内側結合腕傍核にほぼ一致する領域からは味覚刺激に応じるユニット反応が記録されており、この領域は「橋味覚野pontine taste area」とよばれる。内側結合腕傍核は視床後内側腹側核小細胞部の最内側部に投射線維を送り、視床後内側腹側核小細胞部からの投射線維が大脳皮質味覚野に達する。味覚野皮質は、体性感覚野の1野が腹方に延長して等に達する部位(Brodmannの43野)に位置する。内側結合腕傍核が霊長類においても味覚機能に関わっているかどうかについてはわかっていない。すなわち、サルの孤束核吻側部(味覚部)は直接視床後内側腹側核小細胞部に投射し、結合腕傍核には投射線維を送らない。しかし、サルの結合腕傍核も孤束核の尾側部からは投射線維を受けている。孤束核の尾側部には呼吸器系、心臓血管系、および胃腸系からの情報が迷走神経を介して入力する。内側結合腕傍核からの投射線維は視床後内側腹側核小細胞部に終止するほか視床髄板内核、視床下部外側野、扁桃体中心核、マイネルトの基底核(無名質に位置する)、前頭前野外側部、および島皮質にも終止しする。特に、扁桃体中心核や無名質には内側結合腕傍核からの投射線維を介して味覚入力がはいることが報告されている。内側結合腕傍核からの投射を受ける島皮質の領域は味覚野皮質よりずっと広く、おそらく自律神経系からの入力を受けると考えられる。おそらく自律神経系からの入力を味覚野皮質以外の領域は、孤束核尾側部へ向かって部位対応配列を持つ投射線維を送る。しかし、同様に内側結合腕傍核からの投射を受ける前頭前野外側部は、その他の自律神経中枢との間に連絡系を持たない。結合腕傍核からの投射が密な前頭前野外側部には、視床髄板内核からの投射線維も密に終止する。内側結合腕傍核から前頭前野皮質への直接および関節の投射系は、網様体上行系の一部を形成するものと考えられる。)

Medial part of medial parabrachial nucleus; Medial subnucleus of medial parabrachial nucleus(内側部;内側下核(内側結合腕傍核の))Pars medialis nuclei parabrachialis medialis ないそくぶ;ないそくかかく(ないそくけつごうわんぼうかくの) [A14_1_05_447]
Lateral part of medial parabrachial nucleus; Lateral subnucleus of medial parabrachial nucleus(外側部;外側下核(内側結合腕傍核の))Pars lateralis nuclei parabrachialis medialis がいそくぶ;がいそくかかく(ないそくけつごうわんぼうかくの) [A14_1_05_448]

Posterior tegmental nucleus; Dorsal tegmental nucleus(後被蓋核;背側被蓋核)Nucleus tegmentalis posterior こうひがいかく;はいそくひがいかくGudden, von Gudden's nucleus

[A14_1_05_449] →(背側被蓋核は橋吻側の中心灰白質にある。乳頭体被蓋束の線維が終止する。)

Supralemniscal nucleus(毛帯上核)Nucleus supralemniscalis もうたいじょうかく

[A14_1_05_450] →(毛帯上核は内側毛帯の配送にある小細胞群で、橋の中央から吻側にかけての腹側三叉神経視床路線維の間に割り込んでいる。)

Reticular nuclei of pontile tegmentum(網様核群(橋被蓋の);橋被蓋網様核)Nuclei reticulares in tegmento pontis きょうひがいのもうようかく;きょうひがいもうようかく

[A14_1_05_501] →(橋被蓋網様核は橋被蓋に存在する細胞群で、境界は不鮮明だが連絡関係はかなり明らかにされている。それらは尾側橋網様体核、吻側橋網様体核、毛帯傍核、正中傍核である。網様体被蓋核は橋の腹内側部にあり橋網様体複合体の一部で、ときに底側橋核とも連絡する。)

Caudal pontine reticular nucleus(尾側橋網様核;下橋網様体核)Nucleus reticularis pontis caudalis びそくきょうもうようかく;かきょうもうようたいかく [A14_1_05_502]

Oral pontine reticular nucleus(吻側橋網様核;上橋網様体核)Nucleus reticularis pontis rostralis ふんそくきょうもうようかく;じょうきょうもうようたいかく [A14_1_05_503]

Paralemniscal nucleus(毛帯傍核)Nucleus paralemniscalis もうたいぼうかく [A14_1_05_504]

Paramedian reticular nucleus(正中傍網様核;傍正中網様核)Nucleus reticularis paramedianus せいちゅうぼうもうようかく;ぼうせいちゅうもうようかく

[A14_1_05_505] →(正中傍網様核は数個の小さな細胞集団からなり、内側縦束と内側毛帯の近くか時にはその線維内に存在する。この網様体ニューロンは小脳虫部に大部分の線維を投射している。)

Reticulotegmental nucleus of pons(橋網様被蓋核)Nucleus reticularis tegmenti pontis きょうもうよたいひがいかく

[A14_1_05_506] →(橋の被蓋網様核は縫線の近くで内側毛帯の背側にあり、橋核が被蓋の中に入ったものとみなされる。)

Raphe nuclei of pontile tegmentum(縫線核;縫線核群(橋被蓋の))Nuclei raphes in tegmento ponti ほうせんかく;ほうせんかくぐん(きょひがいの)

[A14_1_05_601] →(橋および延髄の縫線にある細胞体は本来網様体に属するが、中枢神経系内に広く分布するセロトニン含有線維系の起源であると考えられる。延髄の縫線核は橋のものに比べて小さく、不明瞭である。)

Magnus raphe nucleus(大縫線核)Nucleus raphes magnus だいほうせんかく

[A14_1_05_321] →(大縫線核は前頭断標本ではラットの大縫線核は頂点を外側へ向けた三角状を呈しているが、人では正中線にニューロンが集合し、外側への広がりをもたず、発達がわるようにみえる。大縫線核はB3として分類された核で、橋の尾側1/4から橋延髄の境界に至る範囲の正中部から正中傍部に局在している。橋の尾部で延髄に伸びた部分は下オリーブ核の吻内側部と連なっている。大縫線核と内側毛帯とは位置的に密接な関連をち、内側毛帯の線維束はこの核を腹側からくぐり抜けるよな形で橋へ向かって上行する。核の吻側端は顔面神経根の内膝のレベルに達し、正中部に粗な細胞塊として認められる。大縫線核を構成するニューロンも中型、多極性のものが多いが、他の縫線核に比して大型ニューロンの含有量が多い。細胞体の長軸は腹背方向に並ぶものと水平方向を示すものとが混在している。後者はとくに核の尾部に多く存在する。この核とsおの外側に隣接する大細胞性網様核とは細胞構築の上で類似し、セロトニンニューロンの一部はこの核の内部にまで分散して広がっていることがある。とくにこの傾向は橋延髄境界部で顕著で、オリーブ核複合体の吻側部の背側にまで広がり、Tork and Hornung (Tork I and Hornung J-P:Raphe nuclei and the serotonergic system. In: The Human Nervous System. Ed by G Paxinos. Academic Press, San Diego, pp1001-1022, 1990)は大縫線核のlateral armとよんでいる。しかしさらに尾方ではこの外側への広がりはなくなり、大縫線核ニューロンは正中部に集まる。)

Pontine raphe nucleus(橋縫線核)Nucleus raphes pontis きょうほうせんかく

[A14_1_05_602] →(橋縫線核は橋の中部から下部に至る正中および正中傍部に存在する縫線核を橋縫線核とよんでいる。この核が明瞭に認められるのは顔面神経核の吻側から三叉神経運動核に至る橋被蓋の領域で、前頭断標本では内側縦束の腹側から、被蓋の正中に至る正中・正中傍部に位置している。Olszewski and Baxter(1982)の分類では、この部は正中縫線核に含まれている。橋縫線核を形成しているニューロンは大部分が中型で、一部小形細胞が混じるが、大型細胞は含まれない。細胞体の形状は多様である。)

Median raphe nucleus; Superior central nucleus(正中縫線核;上中心核;上中心縫線核)Nucleus raphes medianus; Nucleus centralis superior せいちゅうほうせんかく;じょうちゅうしんかく;じょうちゅうしんほうせんかく

[A14_1_05_603] →(正中縫線核(上中心核)は中脳尾部、ほぼ滑車神経核の高さから、橋吻側部の三叉神経運動核の少し吻側の高さに至る正中領域にみられる細胞集団である。菱脳峡のレベルでは外側への広がりが顕著で、横断標本では核は凸レンズ状を呈して見える。人ではこの核は高度に発達し、縫線核中もっとも大きい。この核の背側には背側縫線核、側方には上橋縫線核があり、吻側部の腹側には脚間核が認められる。上中心網様核は中型および小型ニューロンによって構成され、両者は数の上でほぼ等しい。)

Posterior raphe nucleus; Dorsal raphe nucleus(後縫線核;背側縫線核)Nucleus raphes posterior pontis こうほうせんかく;はいそくほうせんかく

[A14_1_05_604] →(背側縫線核は滑車神経核の背内側および中間を占める中心灰白質中にあり、主に小型の細胞からなり、これまで滑車神経上核とよばれていた。背側縫線核と背側被蓋核は互いに接近しているが、背側縫線核の細胞のみがセロトニン(5-HT)およびコレシストキニン(CCK)を合成して輸送している。)

Fourth ventricle(第四脳室)Ventriculus quartus だい4のうしつ Feneis: 282 19

[A14_1_05_701] →(第四脳室は菱脳の中にできる脳室で、頭方は中脳水道に、尾方は中心管につづく。第四脳室はその上壁をなす第四脳室蓋と底部の菱形窩により囲まれる。第四脳室蓋の前方は左右の上小脳脚とその間にある薄い白質板の上髄帆とからなる。上髄帆は尾側に伸びて上髄帆小帯となる。第四脳室蓋の後方は下髄帆と第四脳室脈絡組織とからなる。前者は虫部小節と片葉との間にある薄い白質板で、その下面をおおう上衣細胞の尾方延長部は軟膜によっておおわれる。この軟膜が第四脳室脈絡組織(上衣細胞と粘膜とを脈絡組織と呼ぶ場合もある)で、そこに出入る血管とともに脈絡叢をつくる。第四脳室脈絡組織の延髄への付着部が第四脳室ヒモである。第四脳室は左右の第四脳室陥凹に開く第四脳室外側口(Lateral aperture)と尾方の第四脳正中口とによりクモ膜下腔と交通する。)

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Rhomboid fossa; Floor of fourth ventricle(菱形窩;第四脳室底)Fossa rhomboidea りょうけいか;だい4のうしつてい Feneis: 282 20

[A14_1_05_702] →(菱形窩は菱形をなし、正中溝により左右に分けられ、さらにその外側の境界溝により内外の領域に分けられる。正中口からは外側に向かって第四脳室髄条が走り、これによって菱形窩はさらに上下2部に分けられる。上部では境界溝の内外に、内側隆起と前庭神経野がある。前者の中央には顔面神経丘とよぶ隆まりがあり、そこには顔面神経膝とその腹側にある外転神経核とが存在する。後者は前庭神経核の場所に相当する。前庭神経野の外側にある凹みが上窩で、これより吻側に青斑が帯状をなして伸びている。その内部に青斑核がある。菱形窩の下部の内側は舌下神経核がある。その外側には迷走神経背側核のある迷走神経三角(灰白翼)がある。その吻側端野窩みは下窩とよばれる。)

Calamus scriptorius(筆尖)Calamus scriptorius ひつせん

[A14_1_05_702_1]→菱形窩の下端はややペン先の形をなしているために筆尖とよばれる。 菱形窩の下部 下方に向かって細くなり、とくに下端はペン先のように細く筆尖と呼ばれる。内側隆起の下部は頂点を下方に向けた三角形状を呈し、舌下神経三角trigonum nervi hypoglossiという(舌下神経核をいれるp.685)。そのすぐ外側には、やや灰白色を呈する三角形の部があり、迷走神経三角(灰白翼)trogonum nervi vagi (ala cinerea)と呼ぶ。迷走神経三角の下方で、薄束結節との間は最後野area postremaといわれ、神経膠と血管に富む特異な部位である。(解剖学講義)

Surperior part of rhomboid fossa(菱形窩上部)Pars superior (Fossa rhombidea) 

[A14_1_05_702a]→

Intermediate part of rhomboid fossa(菱形窩中間部)Pars intermedia (Fossa rhombidea) 

[A14_1_05_702b]→

Superior part of rhomboid fossa(菱形窩下部)Pars inferior (Fossa rhombidea) 

[A14_1_05_702c]→

Median sulcus of fourth ventricle(正中溝(第四脳室の))Sulcus medianus ventriculi quarti せいちゅうこう(だいしのうしつの) Feneis: 282 22

[A14_1_05_703] →(第四脳室の正中溝は菱形窩の正中を通る溝。)

Medial eminence of floor of fourth ventricle(内側隆起(菱形窩の))Eminentia medialis fossae rhomboideae ないそくりゅうき(りょうけいかの) Feneis: 282 23

[A14_1_05_704] →(菱形窩の内側隆起は、以前は正中溝と境界溝の間にある細長い隆起(顔面神経小丘、舌下神経三角、迷走神経三角を含めて呼んでいた)。現在は、第4脳室底で顔面神経小丘より吻側の隆起だけをさす。)

Facial colliculus(顔面神経丘)Colliculus facialis がんめんしんけいきゅう Feneis: 282 24

[A14_1_05_705] →(顔面神経丘は第四脳室髄条の上方で、内側隆起は円みをおびた高まりをつくる。顔面神経丘は外転神経核と、これを取り囲むように走る顔面神経線維束とでできる。)

Locus caeruleus; Locus coeruleus(青斑)Locus caeruleus; Locus coeruleus せいはん Feneis: 282 28

[A14_1_05_706] →(青斑は中脳水道に近い菱形窩の最前部の外側にある細胞群で、三叉神経中脳路核の腹内側に位置する。肉眼的には第四脳室底において、上小脳脚の内側に吻尾側方向に伸びた青黒色の帯状のものとして認められる。これは細胞体に含まれるメラニン色素によるもので、そのため青斑には鉄色質の別名がある。青斑の細胞群は青斑核とよばれる。ノルアドレナリンを含む大型細胞の集団である。青斑核の腹側には同じような細胞が散在しており、青斑下核と呼ばれる。青斑核細胞の遠心性ノルアドレナリン線維は3群を形成する。①上行線維群:内側前脳束に入り扁桃核にいたるもの、帯状回線維となって帯状回、海馬台にいたるもの、その他梨状葉皮質、前頭葉新皮質に分布する線維からなる。②外側線維群:上小脳脚を通り小脳前葉の皮質の分子層、Purkinje細胞同区に分布する線維である。③下行線維群:これは広く脳幹に分布した後、脊髄前索、前側索を下行し、脊髄全長にわたって後角基部から前角にかけて分布する。求心性線維は次の領域からくる。視床下部(視索前野、後側、背側、外側視床下野)、中脳の中心灰白質、黒質、背側被蓋核、橋縫線核、その他脳幹に分布するカテコールアミンニューロンからの線維を受ける。機能は十分解明されていないが、REM睡眠と深い関係にある。)

Medullary striae of fourth ventricle(第四脳室髄条)Striae medullares ventriculi quarti だい4のうしつずいじょう Feneis: 282 30

[A14_1_05_707] →(第四脳室髄条は後脳部と髄脳部の境界部の脳室底には数本の線維が正中溝を横切って横走する線維の束。下小脳脚まで追跡できる。髄条は、次の諸部分から起こる線維より成る複雑な線維束である。すなわち、①中隔核、②外側視索前野、③視床前核群である。海馬体および扁桃体複合核からの線維は中隔核に投射する。)

Hypoglossal trigone; Trigone of hypoglossal nerve(舌下神経三角)Trigonum nervi hypoglossi ぜっかしんけいさんかく Feneis: 282 31

[A14_1_05_708] →(舌下神経三角は第四脳室底にある内側隆起の下部で先端を下方に向けた三角を呈する小隆起。その内部には舌下神経核を入れる。)

Vagal trigone; Trigone of vagus nerve; Ala cinerea(迷走神経三角;灰白翼)Trigonum nervi vagi; Trigonum vagale; Ala cinerea めいそうしんけいさんかく;かいはくよく Feneis: 282 33

[A14_1_05_709] →(迷走神経三角(灰白翼)は舌下神経のすぐ外側にはほぼ三角形を呈する小隆起。これは表面からみると灰白色をしており、その深部には迷走神経背側核および孤束核がある。)

Vestibular area(前庭神経野)Area vestibularis ぜんていしんけいや Feneis: 282 26

[A14_1_05_710] →(前庭神経野は境界溝の側方、外側陥凹のはじまるところの隆起で前庭神経核と蝸牛神経核の一部を容れる。)

Vestibular tubercle; Acoustic tubercle(前庭結節;聴結節)Tuberculum vestibularis; Tuberculum acusticum ぜんていしんけいや

[A14_1_05_710a]→前庭神経野は境界溝の側方、外側陥凹のはじまるところの隆起で前庭神経核と蝸牛神経核の一部を容れる。

Funiculus separans(分離索)Funiculus separans ぶんりさく Feneis: 282 32

[A14_1_05_711] →(迷走神経三角の尾側部に隣接して斜めに走る細い線維は上衣細胞とグリア細胞から成る分離策である。)

Grey line; Taenia cinerea; Gray line(灰白ヒモ;第四脳室ヒモ)Taenia cinerea かいはくひも;だい4のうしつひも

[A14_1_05_712]

Roof of fourth ventricle(第四脳室蓋)Tegmen ventriculi quarti だいしのうしつがい Feneis: 284 01

[A14_1_05_713] →(第四脳室蓋はテント状に菱形窩をおおい、部分的には非常に薄い。第四脳室蓋の頂点は室頂と呼ばれ、小脳髄質の下方にある。第四脳室蓋の髄脳部は、内側部は室頂、外側部は下髄帆、尾側部は上皮性脈絡板で形成される。下髄帆は小脳の痕跡部であり、小脳虫部の小節と片葉のあいだを埋めている。脈絡板の尾側端の正中部には第四脳室正中口(Magendie孔)がある。)

Fastigium of fourth ventricle(室頂(第四脳室の))Fastigium ventriculi quarti しつちょう(だいよんのうしつの)

[A14_1_05_714] →(第四脳室の天蓋は小脳と上髄帆および下髄帆で、その頂点は室頂と呼び小脳内に尖部にまで達している。)

Choroid plexus of fourth ventricle(脈絡叢(第四脳室の))Plexus choroideus みゃくらくそう(だい4のうしつの) Feneis: 284 06

[A14_1_05_715] →(脈絡裂の中には、クモ膜下腔にある血管が入り込んで、第四脳室脈絡叢が形成される。脈絡叢からは、脳室内に脳脊髄液が分泌される。)

Choroid membrane of fourth ventricle(第四脳室脈絡組織)Tela choroidea ventriculi quarti だい4のうしつみゃくらくそしき Feneis: 284 05

[A14_1_05_716] →(第四脳室脈絡組織は第四脳室上衣性脈絡板の外面をおおう脳軟膜層で底辺を上方に向けた三角形をなし、その前縁は下髄帆の下縁につき、その外側縁は聴結節から閂に至る尖につく。)

Lateral recess of fourth ventricle(第四脳室外側陥凹;外側陥凹)Recessus lateralis ventriculi quarti だい4のうしつがいそくかんおう;がいそくかんおう Feneis: 282 21

[A14_1_05_717] →(第四脳室外側陥凹は第四脳室外側口が終わる第四脳室側方の狭い陥凹で下小脳脚と蝸牛核の側面の外側に沿って外側に向かう。陥凹の途中で第四脳室脈絡叢の一部がクモ膜下腔に突出している。)

Lateral aperture(第四脳室外側口;第四脳室外側孔;菱脳外側口)Apertura lateralis venticuli quarti; Apertura lateralis rhombencephali だい4のうしつがいそくこうKey and Retzius, Foramen of; Luschka, Foramen of Feneis: 284 10

[A14_1_05_718] →(ルシュカ孔とも呼ばれる。左右の外側陥凹の端にある髄液の通路。ドイツの解剖学者Hubert von Luschka (1820-1875)による。クモ膜下腔と第4脳室との交通路として、1863年に発見されている。)

Superior medullary velum(上髄帆)Velum medullare superius じょうずいはん Feneis: 284 02

[A14_1_05_719] →(上髄帆は第四脳室の橋の部分の天井を作くる。上髄帆は両側の上小脳脚の間にある薄い白質板で、背側は小脳小舌と癒着する。上方は両側の上小脳脚の接近によって狭くなり、左右の下丘の間で上髄帆小帯となって終わる。)

Frenulum of superior medullary vellum(上髄帆小帯;前髄帆小帯)Frenulum veli medullaris superioris; Frenulum veli medullaris anterioris じょうずいはんしょうたい Feneis: 284 03

[A14_1_05_720] →(上髄帆小帯は四丘体間にある縦溝から、上髄帆までの小帯。)

Inferior medullary velum(下髄帆;後髄帆)Velum medullare inferius; Velum medullare posterius かずいはん;こうずいはん Feneis: 284 04

[A14_1_05_721] →(下髄帆は小脳の小節と片葉脚の間に張っている白質性薄膜である。菱形窩の下部屋根。)

Median aperture(第四脳室正中口;第四脳室正中孔;菱脳正中口)Apertura mediana ventriculi quarti; Apertura mediana rhombencephali だい4のうしつせいちゅうこうMagendie (Majendie), Foramen of Feneis: 284 09

[A14_1_05_722] →(マジャンディー孔とも呼ばれる。第四脳室正中口はカンヌキの直上にある髄液の通路。脳脊髄液は第四脳室正中口と外側口からクモ膜下腔に出ると、脳と脊髄のまわりに拡散し、これらを浮かべる「水のクッション」を形成する。脳脊髄液はテント切痕を通り、大脳半球の下面および凸面に沿って頭頂部まで上行し、そこでクモ膜顆粒によって上矢状静脈洞その他の静脈に吸収される。脳脊髄液の一部は脊髄神経および脳神経の根にも直接吸収される。またクモ膜下腔にある静脈からも直接に吸収される。脳脊髄液は一日約500ml産生される。脳室と中脳水道で約35mlの脳脊髄液を容れ、全クモ膜下腔には約100mlの脳脊髄液が含まれる。フランスの生理学者François Magendie (1783-1855)によって発見された。このほかに脊髄後根が知覚性線維から、前根が運動性線維からなるというBell-Magendie's lawにその名を残す。 第4脳室は、正中口と左右の外側口を通じてクモ膜下腔と交通している。すなわち、これらの2種の開口こそ、脳室内の脳脊髄液がクモ膜下腔に流れ出る道であるから、胎生期や乳児期にそれらがすさがると水頭症を起こす。)

Area postrema(最後野)Area postrema さいこうや Feneis: 282 34

[A14_1_04_258] →(閂のすぎ吻側で、第四脳室の両側に小さい円い隆起があり、最後野といい、星状膠芽細胞に似た細胞、小動脈、類洞および、若干の無極あるいは単極ニューロンを有する。最後野は特殊な上衣層域の一つで、血管脳関門外にあり、脳室周囲器官として総称される。最後野を除くすべての脳室周囲器官は無対であり、脳幹の特定に関係している。孤束核と脊髄から来る線維は最後野に投射する。最後野周辺の終止域はニューロフィジン、オキシトシン、バソプレッシンを含有する、しかしこれらのペプチドは最後野には検出できない。最後野は化学的嘔吐受容器で、アポモルフィンや静脈内に投与されたジキタリス配糖体に感受性をもっている。)

Obex(閂;カンヌキ)Obex かんぬき Feneis: 284 08

[A14_1_05_723] →(閂は延髄の背側面の尾側レベルの正中線上の点で菱形窩または第四脳室の後角の境をなしている。すなわち横走する有髄神経線維を含む薄板によって閉じられている。閂には第四脳室脈絡組織が付着している。)

Sulcus limitans(境界溝)Sulcus limitans きょうかいこう Feneis: 282 25

[A14_1_05_724] →(第四脳室の境界溝は正中溝の外側にある浅い溝。境界溝は正中溝との間には内側隆起をつくっている。胎児期菱脳背側部と腹側部を分けていた溝の名残である。脳神経の運動性核(内側)と知覚性核(外側)とのおよその境界にもなっている。)

Superior fovea of sulcus limitans(上窩(境界溝の))Fovea superior sulci limitantis じょうか(きょうかいこうの) Feneis: 282 27

[A14_1_05_725] →(顔面神経丘の外側で顔面神経丘と前庭神経野との間に上窩というくぼみがある。)

Inferior fovea of sulcus limitans(下窩(境界溝の))Fovea inferior sulci limitantis かか(きょうかいこうの) Feneis: 282 29

[A14_1_05_726] →(第四脳室の境界溝の下窩は舌下神経三角や迷走神経三角(灰白翼)の尖端にある浅いくぼみ。菱形窩の左右を境する溝の中のわずかな陥凹)

Mesencephalon; Midbrain(中脳)Mesencephalon ちゅうのう Feneis: 286 27

[A14_1_03_005] →(中脳は「中央」を意味するギリシャ語の接頭詞mesoと、「脳」を意味するencephalonを結合したもの。中脳、橋、延髄を合わせて脳幹と呼ぶが、これは頭蓋底の大後頭孔の所から上方に向かい、大脳半球の基底面にまで伸びる楔形の構造である。中脳は狭義の脳幹の最上方部で、上方に間脳、下方に橋との間の中脳水道を囲む比較的上下に短い構造を指す。間脳との境は厳密には不明確であるが、背側に後交連の後部、腹側に乳頭体の後方を通る面で境される。下方は背側に下丘の後方と腹側の橋の前方を通る面で比較的明確に境される。外形を見ると背側に蓋板によって形成された4個の隆起があり上方の一対を上丘、下方の一対を下丘という。上丘および下丘からは上外側に線維束を出し、それぞれ上丘腕および下丘腕として間脳につづく。腹側には大脳脚がみられ、その間に多数の小血管が通る後有孔質の間の細い溝を大脳脚内側溝とよび、ここから動眼神経の根がでる。断面では背側部は蓋板で包まれ、(視蓋とも呼ばれる)上丘および下丘を形成し、その腹側端はほぼ中脳水道の中央部を通る面で区切られる。これより腹側を広義の大脳脚というが、これはさらに中脳被蓋と狭義の大脳脚にわけられる。中脳では固有の細胞集団と線維束があり、細胞群としては中脳水道を取り囲む中心灰白質が三叉神経中脳路および核によって外側を包まれ、腹側正中部には上方に動眼神経核、下方に滑車神経核が存在する。また上方の動眼神経核の腹外側に赤核があり、さらに腹側に大脳脚の背側面を覆って黒質が存在する。正中腹側端部の大脳脚にはさまれた部位には脚間核がある。中脳に出入りする線維束で著明なものは中心灰白質内には腹外側部に背側縦束があり、赤核の背側および背外側方に中心被蓋路がある。さらに上丘中央から下丘の高さで正中部に強い線維の交叉がみられる。これらの交叉は被蓋交叉および上小脳脚交叉で、被蓋交叉の背側部は多くは上丘および上小脳脚交叉で、被蓋交叉の背側部は多くは上丘および被蓋からの下行線維から成り、腹側部は赤核からの下行線維から成る。また上小脳脚交叉は小脳核から赤核および視床へ投射する線維の交叉部である。)

 

External features(表面の形状(中脳の))Morphologia externa ひょうめんのけいじょう(ちゅうのうの) [A14_1_03_005_1]

Interpeduncular fossa(脚間窩)Fossa interpeduncularis きゃくかんか Feneis: 286 32

[A14_1_06_001] →(脚間窩は左右の大脳脚間にある中脳後表面上の深い凹みで底面は出入りする小血管の為に多数の小孔を有する後有孔質によって形成される。)

Anterior recess of interpeduncular fossa(前陥凹(脚間窩の))Recessus anterior; Recessus rostralis (Fossa interpeduncularis) ぜんかんおう(きゃくかんかの) [A14_1_06_001_1]→
Posterior recess of interpeduncular fossa(後陥凹(脚間窩の))Recessus posterior; Recessus caudalis (Fossa interpeduncularis)  [A14_1_06_001_2]→

Posterior perforated substance(後有孔質;脚間穿孔質)Substantia perforata posterior; Substantia perforata interruralis こうゆうこうしつ;きゃくかんせんこうしつ Feneis: 286 33

[A14_1_06_002] →(後有孔質は脚間窩の孔のあいた底面。孔は多数の血管によるもの。)

Oculomotor sulcus(動眼神経溝)Sulcus nervi oculomotorii どうがんしんけいこう Feneis: 286 31 [A14_1_06_003]

Cerebral peduncle(大脳脚[広義の])Pedunculus cerebri だいのうきゃく[こうぎの] Feneis: 286 28

[A14_1_06_004] →(広義の大脳脚は中脳の腹側部で、背側の中脳蓋(四丘体)および中心灰白質背側部を除いた中脳水道水平中央断面より腹側の部分を総称する。さらにこれは背側の中脳被蓋と狭義の大脳脚に分かれる。中脳被蓋には著明な構造物として、動眼神経核群、中脳網様体、赤核、黒質、内側毛帯などが存在する。もともとは全脳と後脳を連結するやや細くなった首状部分である中脳の両半分の部分をさす名称であったが、その後、様々な意味で用いられるようになった。Crus cerebriとよばれる皮質投射線維の大きな束のみをさしたり、これに被蓋を加えたものをさしたりするが、後者の方が好ましい、脚底にある黒質は被蓋とcrus cerebriとを境する構造とみなされている。)

Cerebral crus(大脳脚[狭義の])Crus cerebri だいのうきゃく[きょうぎの] Feneis: 286 29

[A14_1_06_005] →(狭義の大脳脚は大脳皮質の第Ⅴ層の細胞から出て内包を経て橋以下の部位へ投射する下行線維によって構成されている。これらは大脳脚の外側方より側頭橋路、頭頂延髄路、頭頂脊髄路、中心前回脊髄路、中心前回延髄路、中心前回被蓋路、中心前回橋路および前頭橋路と並ぶ。運動領皮質の中心前回から出たものは中央約2/5の位置を占め、その部の外側方から内側方に順に脊髄の下部から上部さらに脳幹脳神経核へ投射する線維が局在的に並ぶ。)

Lateral groove of midbrain(中脳外側溝)Sulcus lateralis mesencephali ちゅうのうがいそくこう [A14_1_06_006]

Tegmentum of midbrain(中脳被蓋)Tegmentum mesencephali ちゅうのうひがい Feneis: 288 10

[A14_1_06_007] →(中脳被蓋は黒質から中脳水道にまでのびる中脳の大部分で動眼神経核、滑車神経核の他に網様体、赤核および多くの小さな細胞集団を含む。)

Trigone of lateral lemniscus(外側毛帯三角;毛帯三角;絨帯三角)Trigonum lemnisci lateralis がいそくもうたいさんかく;もうたいさんかく;じゅうたいさんかく Feneis: 288 18

[A14_1_06_008] →(外側毛帯三角は被蓋の側面近くに存在し、外部構造の主部を形成している。蓋板、上小脳脚および大脳脚との間の三角部。その線維のあいだの細胞群は、聴覚路でのいくつかの介在核の1つである外側毛帯核を形成する。)

Superior cerebellar peduncle(上小脳脚;結合腕)Pedunculus cerebellaris superior; Brachium conjunctivum じょうしょうのうきゃく;けつごうわん Feneis: 288 19

[A14_1_06_009] →(上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)は主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はさらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部に来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。)

Frenulum of superior medullary vellum(上髄帆小帯;前髄帆小帯)Frenulum veli medullaris superioris; Frenulum veli medullaris anterioris じょうずいはんしょうたい;ぜんずいはんしょうたい Feneis: 284 03

[A14_1_06_010] →(上髄帆小帯は四丘体間にある縦溝から、上髄帆までの小帯。)

Tectal plate; Quadrigeminal plate(蓋板;四丘体板;四丘板)Lamina tecti; Lamina quadrigemina がいばん;しきゅうたいばん;しきゅうばん Feneis: 288 13 [A14_1_06_011]

Brachium of inferior colliculus(下丘腕)Brachium colliculi inferioris かきゅうわん Feneis: 290 20; 296 26

[A14_1_06_012] →(下丘腕は下丘の外側にのびる隆起で、下丘と内側膝状体をつなぐ。上行性聴覚路の大部分を形成する。)

Brachium of superior colliculus(上丘腕)Brachium colliculi superioris じょうきゅうわん Feneis: 290 23; 296 28

[A14_1_06_013] →(上丘腕は上丘と外側膝状体とを連絡する視索線維束。)

Inferior colliculus(下丘)Colliculus inferior かきゅう Feneis: 288 14

[A14_1_06_014] →(下丘は中脳蓋を形成する卵形の二対の隆起(四丘体)のうち下方の一対をいう。外側毛帯からの神経を受け、下丘腕を経て視床の内側膝状体に至る神経を出す。聴覚系の中脳における中継核で、細胞構築および機能的に中心核、外側核および周囲核の三つの核からなる。下丘核は外側毛帯を介して蝸牛神経核および台形体核から線維を受け、下丘腕を通って両側性に視床の内側膝状体へ線維を送る。)

Superior colliculus; Optic tectum(上丘;視蓋)Colliculus superior; *Tectum opticum じょうきゅう;しがい Feneis: 288 15

[A14_1_06_015] →(上丘は中脳蓋つまり四丘体の前半分を形成するあまり高くない隆起であり、大脳皮質と同様に層構造を示す。上丘の層は灰白質と白質とが表面から内部に向かって次のごとく交互に配列する。①帯層(主として線維よりなる)、②灰白層(浅灰白質)、③視神経層(浅白質層)、および④毛帯層で、これは中間部と深部の灰白質および白質を形成する。上丘浅層は主に網膜および皮質視覚野からの線維を受け、視野における物体の動きの探知に関係する。上丘深層は多様な入力(つまり、体性感覚系および聴覚系、運動活動に関わるニューロン、網様体の各領域)を受け、脳幹網様体と同様の解剖学的、生理学的特質を持つ。上丘の浅層と深層は、形態学的にも線維連絡の上からも、さらに生化学的にも線維連絡の上からも異なるが、空間的な整合性に関しては互いに密接に関連する。浅層からの投射線維は主に視覚関連核に至る。一方、中間層及び深層からの線維は頭部、眼球運動に関わる広い領域に投射される。上丘を反射中枢とする定位反射(指向反射)とは、視野に入った興味を引く対象物が視野の中心に来るように、頭と眼球を動かす反射である。)

Internal features(内部の特徴(中脳の))Morphologia interna ないぶのとくちょう(ちゅうのうの) [A14_1_06_015_1]

Cerebral peduncle(大脳脚[広義の])Pedunculus cerebri だいのうきゃく[こうぎの] Feneis: 286 28

[A14_1_06_004] →(広義の大脳脚は中脳の腹側部で、背側の中脳蓋(四丘体)および中心灰白質背側部を除いた中脳水道水平中央断面より腹側の部分を総称する。さらにこれは背側の中脳被蓋と狭義の大脳脚に分かれる。中脳被蓋には著明な構造物として、動眼神経核群、中脳網様体、赤核、黒質、内側毛帯などが存在する。)

Base of peduncle(大脳脚底;脚底)Basis pedunculi; Basis pedunculi cerebralis だいのうきゃくてい;きゃくてい Feneis: 288 01

[A14_1_06_101] →(狭義の大脳脚を指す。大脳脚の前部と同義語である。)

Cerebral crus; Anterior part (cerebral crus, basis pedunculi)(大脳脚[狭義の];腹側部;前部(大脳脚の))Crus cerebri; Pars ventralis (anterior) だいのうきゃく[きょうぎの] Feneis: 286 29

[A14_1_06_005] →(狭義の大脳脚は大脳皮質の第Ⅴ層の細胞から出て内包を経て橋以下の部位へ投射する下行線維によって構成されている。これらは大脳脚の外側方より側頭橋路、頭頂延髄路、頭頂脊髄路、中心前回脊髄路、中心前回延髄路、中心前回被蓋路、中心前回橋路および前頭橋路と並ぶ。運動領皮質の中心前回から出たものは中央約2/5の位置を占め、その部の外側方から内側方に順に脊髄の下部から上部さらに脳幹脳神経核へ投射する線維が局在的に並ぶ。)

Pyramidal tract(錐体路)Tractus pyramidalis すいたいろ

[A14_1_06_102] →(錐体路本来の定義に従えば、起始領域、終枝部位に関係なく延髄の錐体(pyramis)を通るすべての神経線維群をいう。鳥類以下には見られず、哺乳類とくにヒトでよく発達しており意識的運動を司る。これらの大部分の線維は大脳皮質からおこり脊髄におわる皮質脊髄線維(または路)からなるが、若干の線維は錐体の経過中またはそれよりも前方のレベルでの神経路から離れて脳幹にある反対側の運動性の脳神経核および付近の毛様体(皮質網様体線維)におわる。これらの皮質核線維とよばれるものは厳密には錐体路に含まれないが、しばしば両者(皮質脊髄線維と皮質核線維)を一緒にして錐体路とよばれる。錐体路の起始細胞は、昔からの考えによれば起始細胞は、運動領皮質(4野)の第5層の巨大錐体細胞(Betz)で、その経路は、終脳の内包、中脳の大脳脚、橋の橋縦束、さらに延髄の錐体を下行し、脊髄前角にいたる有髄線維の集まりの長下行路である。その経路中、橋核、脳幹の網様体や運動核、またおそらく大脳基底核などに一部側枝を与え、延髄下端で大部分(91~97%)の線維が交叉し(これを錐体交叉という)これらは対側の脊髄側索(錐体側索路、外側皮質脊髄路)を下るが、小部分はそのまま同側の前索(錐体前索路、前皮質脊髄路)を下行する。しかし、錐体路の大脳皮質の起始領野をみれば、運動領(4野)のみでなく知覚領や連合領を含む他の領野まで包括される。起始ニューロンもBetzの巨大細胞のみならず、第5層に、みられる中型・小型の錐体細胞も証明されている。さらに脊髄の終枝部位についても前角の運動ニューロンに直接おわるものは動物による実験的研究で判明した限りではむしろ少なく、大部分は中間帯や後核基部におわり、介在ニューロンを介して運動ニューロンに影響を与えると思われる(間接皮質運動路)。錐体路の起始・終枝の問題だけでなく、錐体を構成する軸索には、古典的な錐体路以外の錐体外路系の線維も少量ながら含まれており、厳密には、延髄の錐体を通る線維群(錐体路)とそれ以外の運動系(錐体外路)とに分けることはむずかしい。)

Corticospinal fibres: Corticospinal tract(皮質脊髄線維;皮質脊髄路)Fibrae corticospinales; Tractus corticospinalis ひしつせきずいせんい;ひしつせきずいろ Feneis: 288 02

[A14_1_06_103] →(①皮質脊髄線維(皮質脊髄路)は大脳皮質の一次運動野(中心前回の中央部と上部)から起こり、内包に向かって集まり、内包の後脚を通って下行する。内包では、上肢に対する線維は線維は後脚の前部を、下肢に対する線維は後部を走る。ついで、大脳脚に入り、その中央2/3部を下行し、橋・延髄に至る。延髄では、その下部の腹側中央部にあつまり、錐体(実際はその一部)を形成する。それで皮質脊髄線維は錐体路ともいわれる。延髄の下端(大後頭孔のすぐ上方)で、線維は反対側に交叉して錐体交叉をつくる。錐体をつくる下行性線維の大部分は錐体交叉で反対側に交叉し、脊髄側索を外側皮質脊髄路(錐体前索路)として下行する。交叉する線維の割合は個人差が大きい。また、約75%の人で交叉する割合が左右非対称で、左側の錐体路の方が交叉する割合が大きい。外側皮質脊髄路の線維は脊髄を下行しつつ、脊髄灰白質に入り、前角の運動ニューロンに接属する。前角の運動ニューロンに直接に終わる線維と、介在ニューロンを経て関節に連絡するものとがある。前皮質脊髄路の線維は脊髄を下行し、前交連を通って交叉し、反対側に終わるが、一部は非交叉性で同側に終わる。このように皮質脊髄路は大脳皮質からおこり、脊髄前角に達し、その運動ニューロンへ運動指令を伝え、骨格筋の運動を起こさせる。延髄の錐体を通る伝導路のうちで、中心前回の一次運動野から起こる線維は約40%で、頭頂葉とくに中心後回や傍中心小葉などから起こる線維が約30%、前頭葉の運動前野などから発する線維が約30%を占めるといわれる。頭頂葉から発する線維は後索核や脊髄後角の膠様質などに達し、知覚性インパルスの流入に対して調整的な働きをするともいわれる。 ②皮質脊髄路は皮質から脊髄への線維束複合で脊髄内を下行し外側皮質脊髄路および全皮質脊髄路を形成する線維は大脳皮質第5層の錐体細胞から発したもので、中心前運動野(Brodmannの4野)、運動前野(6野)と少数ながら中心後回からも出ている。4野の起始細胞はBetzの巨大錐体細胞である。ここからの繊維は内包を下行し大脳脚の中央1/3を通り橋腹側部を経て脊髄腹側に錐体として現れる。さらに下行する際大部分の繊維は錐体交叉で反対側に移り脊髄側索の背側半を外側皮質脊髄路となって下行し脊髄全長の灰白質中間帯の介在ニューロンに分布する。体肢に関係する脊髄膨大部では特に手や手指、足や足指の運動に関わる体肢筋を支配する運動ニューロンに直接連絡している。錐体交叉で反対側に移らない少数の繊維は前皮質脊髄路となって同側の脊髄前索を下行し前角の内側半の介在ニューロンに終止する。皮質脊髄路線維がその起始皮質またはその下方で障害されると反対側の体運動に支障を生じ、特に腕や足で深刻となり筋力低下、痙攣が起こる。Babinskiの徴候このような片麻痺の状態に起因する)

Corticonuclear fibres(皮質核線維)Fibrae corticonucleares ひしつかくせんい Feneis: 288 03

[A14_1_06_104] →(皮質核線維(皮質延髄路)は大脳皮質の一次運動野(中心前回の下1/3部)から起こり、内方に向かって集まり、その膝を通って大脳脚に入り、その内側部を下行する。線維は脳神経の運動核(動眼神経核・滑車神経核・外転神経核・三叉神経運動核・顔面神経核・疑核・舌下神経核)に終わる。線維は大部分反対側に交叉するが、一部は非交叉性で同側の運動核終わる。直接に運動核に終わる線維のほかに、毛様体にある介在ニューロンを経て運動核のニューロンに接続するものも多い。運動核の運動ニューロンは、それぞれ脳神経として頭頚部の筋(眼筋・表情筋・咀嚼筋・咽頭後頭の筋・舌筋)を支配する。)

Corticopontine fibres; Corticopontine tract(皮質橋核路;皮質橋路;皮質橋線維)Tractus corticopontinus ひしつきょうせんい;ひしつきょうかくろ;ひしつきょうろ Feneis: 288 04

[A14_1_06_105] →(皮質橋核路は錐体路と併走しつつ下行し、しだいに橋核に終わる。これに接続する橋小脳路は大部分交叉して橋を横走し(横橋線維)、主として反対側の中小脳脚を通って小脳皮質に終わる。とくに橋核の内側ないし背内側部は橋虫部へ、外側部は小脳半球へ投射する。)

Frontopontine fibres(前頭橋線維;前頭橋核線維)Fibrae frontopontinae ぜんとうきょうせんい;ぜんとうきょうかくせんい Feneis: 288 06

[A14_1_06_106] →(前頭橋核線維は大脳脚の内側1/6のところにある。前頭葉と橋をむすぶ線維。)

Occipitopontine fibres; Occipitopontne tract(後頭橋線維;後頭橋核線維;後頭橋路)Fibrae occipitopontinae; Tructus occipitopontinus こうとうきょうかくせんい;こうとうきょうかくせんい;こうとうきょうろ

[A14_1_06_107] →(頭頂、後頭および側頭橋線維で、頭頂葉、後頭葉および側頭葉をなどから出て内方を通って下行し、大脳脚をへて同側の橋核終わる。)

Parietopontine fibres(頭頂橋線維;頭頂葉橋線維)Fibrae parietopontinae とうちょうきょうせんい;とうちょうようきょうせんい

[A14_1_06_108] →(頭頂、後頭および側頭橋線維で、頭頂葉、後頭葉および側頭葉をなどから出て内方を通って下行し、大脳脚をへて同側の橋核に終わる。)

Temporopontine fibres(側頭橋線維;側頭橋路)Fibrae temporopontinae そくとうきょうかくせんい;そくとうきょうろ Feneis: 314 25

[A14_1_06_109] →(頭頂、後頭および側頭橋線維で、頭頂葉、後頭葉および側頭葉をなどから出て内方を通って下行し、大脳脚をへて同側の橋核終わる。)

Corticoreticular fibres(皮質網様体線維;皮質網様体路)Fibrae corticoreticulares ひしつもうようたいせんい;ひしつもうようたいろ Feneis: 288 23

[A14_1_06_110] →(下位脳幹に投射する皮質網様体路は主として大脳皮質の運動野、前運動野および体性知覚野より起こる。線維は皮質脊髄線維と共に下行し、種々の高さで伝導路からわかれて、網様体路に入る。大部分の線維はかなり限局した2箇所、すなわち延髄と橋に入る。延髄ではこの線維は巨大細胞性網様核に終わる。皮質網様体路線維わずかに対側性優位であるが両側性に分布している。皮質遠心性線維を受ける網様体の領域からは①長い上行・下行投射線維、②小脳への投射線維、③脳神経核への投射などが出ている。)

Substantia nigra(黒質;黒核)Substantia nigra; Nucleus niger こくしつ;こくかくSoemmering's substance Feneis: 288 07

[A14_1_06_111] →(黒質は中脳被蓋腹側部の核で大脳脚の背側に接して存在する。ヒトの黒質の神経細胞は顆粒状のメラニン色素を豊富に含有するため、黒質は全体として肉眼的に黒くみえる。黒質には背側の緻密部と腹側の網様部が区分される。緻密部が神経細胞に富むのに対し、網様部では神経細胞の密度は粗で、細い神経線維に富む。したがて、前者は黒色部、後者は赤色部とよばれることがある。黒質からおこる遠心性神経線維としては、緻密部からおこり線条体に分布する黒質線条体線維、網様部から起こり視床のとくに内側腹側核(VM)に分布する黒質視床線維、および網様部からおこり上丘の中間灰白質に分布する黒質上丘線維などが主なものである。また、黒質に分布する求心性神経線維の起始としては、線条体・淡蒼球・視床下核(Luys体)が主なものである。これらのほか、前頭葉皮質・背側縫線核・扁桃体中心核・外側手綱核なども報告されているが不確実である。黒質は中枢神経系のうちでドーパミンとGABAの含有量が高い部位として知られる。ドーパミンは線条体に神経線維を送る黒質緻密部の神経細胞に主として含まれ、またGABAは線条体よりおこり黒質網様体に至る神経線維の軸索終末に主として含まれる。黒質に見られる線維はまたは11個のアミノ酸が連絡したペプチドとしてのP物質(SP)も含む。黒質は脳において最も高濃度にP物質を有する部位で、この物質は黒質の緻密部および緻密部内の神経終末に凝集している。網様部はまたエンケファリン作働性線維および終末も有する。尾状核および被殻の樹状突起の棘突起に含むニューロンから起こる線条体黒質線維はGABA、P物質、エンケファリンを含む。これらの線維は同様の伝達物質を有する線条体淡蒼球線維を出すニューロンとは異なる細胞集団から起こる。黒質はパーキンソン病(振戦麻痺)の原因となっている代謝障害に緻密に関係しており、Huntington舞踏病および異常な不随意運動や筋緊張の変化を特徴とする他のタイプの運動障害にも関与しているようである。パーキンソン病では黒質から線条体へのドーパミンの輸送および合成が極度に傷害される。Huntington舞踏病では線条体のドーパミンは正常であるがGABAは著明に減少している。)

Compact part of substantia nigra(緻密部;緻密帯;黒色部(黒質の))Pars compacta; Zona compacta; Pars nigra ちみつぶ;ちみつたい;こくしょくぶ(こくしつの) Feneis: 288 08

[A14_1_06_112] →(黒質の緻密部は色素をもつ大型の細胞が多数存在する。緻密部の細胞は高濃度のドーパミンを含有して、線条体(尾状核と被殻)におけるドーパミンの主な源泉とされる。ドーパミンに対する高い特異性を持つ抗体を用いた免疫組織化学的研究から、霊長類の緻密部および腹側被蓋野におけるドーパミン含有細胞の性質に関する詳細な情報が示された。ほとんどすべてのドーパミン含有細胞が緻密部で見られた。黒質上部では大型のドーパミン含有細胞が腹内側域に存在しており、黒質の下方では独特なドーパミン含有細胞柱が腹側の緻密部に広がっている。腹側被蓋野におけるドーパミン含有細胞の大部分がコレシストキニン(CCK)ペプチドを同時に持つ。ドーパミンおよびコレシストキニンの両者を持つニューロンは線条体、側坐核、扁桃核および前頭前野皮質に投射する。)

Lateral part of substantia nigra(外側部(黒質の))Pars lateralis substantiae nigrae がいそくぶ(こくしつの) [A14_1_06_113]

Reticular part of substantia nigra(網様部;網様帯;赤色部(黒質の))Pars reticularis; Zona reticularis; Pars rubra もうようぶ;せきしょくぶ(こくしつの) Feneis: 288 09

[A14_1_06_114] →(黒質の網様部は大脳脚に近く、細胞の少ない部分である。GABA(γ-アミノ酪酸)の合成に用いられる酵素のグルタミン酸脱水素酵素(GAD)は黒質網様部に高濃度に含まれる。齧歯類では黒質網様部ニューロンの約90%がGAD免疫反応陽性細胞である。サルにおいては、より少ないGABA陽性ニューロンが主に黒質網様部の外側部に存在する。GABA陽性の終末は黒質網様部全域に見られる。黒質網様部にはセロトニン(5-HT)線維および終末も含まれている。背側縫線核がセロトニン作働性神経路の主要な起源である。この核を刺激すると黒質の個々のニューロンの自発活動が抑制される。)

Retrorubral part of substantia nigra(赤核後部(黒質の))Pars retrorubralis substantiae nigrae せきかくこうぶ(こくしつの) [A14_1_06_115]

Tegmentum of midbrain; Mesencephaic tegmentum(中脳被蓋)Tegmentum mesencephali ちゅうのうひがい Feneis: 288 10

[A14_1_06_007] →(中脳被蓋は黒質と中脳水道との間の部分。動眼神経核、滑車神経核の他に網様体、赤核および多くの小さな細胞集団を含む。)

White matter of midbrain tegmentum; White substance of midbrain tegmentum(白質(中脳被蓋の))Substantia alba tegmenti mesencephali はくしつ(ちゅうのうひがいの) [A14_1_06_201]

Central tegmental tract(中心被蓋路;中心被蓋束)Tractus tegmentalis centralis ちゅうしんひがいろ

[A14_1_05_325] →(中心被蓋路は赤核尾端からオリーブ核頭端にかけて網様体のほぼ中央部を縦走する線維束である。大部分の線維は小細胞性赤核におこり、同側の主オリーブ核におわる、とされている。線維束をその形状や位置で命名する場合には一般にfasciculusを用い、起始と終止で命名する場合にはtractusを用いることが多い。Tractus rubroolivarisはFasciculus tegmentalis centralisの主要な構成要素であるが、おそらく上行性の線維も含まれていると考えられる。小細胞性赤核を破壊してナウタ法でみると、大細胞性網様体にも終止性変性線維が認められる。これを赤核網様体路と呼ぶこともある。)

Rubro-olivary fibres(赤核オリーブ核線維;赤核オリーブ線維)Fibrae ruboolivares せきかくおりーぶかくせんい;せきかくおりーぶせんい

[A14_1_05_326] →(赤核オリーブ路線維は赤核の小細胞部から起こり、同側を中心被蓋路の一部となって下行枝主オリーブ核に終わる神経線維。)

Cerebello-olivary fibres(小脳オリーブ核線維;小脳オリーブ核路)Fibrae cerebelloolivares しょうのうおりーぶかくせんい;しょうのうおりーぶかくろ

[A14_1_05_328] →(小脳オリーブ核線維は小脳諸核から起こり上小脳脚を通った後、交叉して対側に移り中心被蓋路に合流して下行する。起始に対応して主・副オリーブ核に終わる。すなわち前部・後部の核からの線維は背側・内側の副オリーブ核に、内側核からは内側副オリーブ核に外側核からは主オリーブ核に終わる。)

Mesencephalic corticonuclear fibres(中脳の皮質核線維;中脳皮質核線維)Fibrae corticonucleares mesencephali ちゅうのうのひしつかくせんい;ちゅうのうひしつかくせんい

[A14_1_06_202] →(中脳皮質核線維は大脳皮質運動領から中脳の運動核(動眼神経核、滑車神経核)に投射する神経線維。投射された情報は隣接する核に中継される。)

Hypothalamospinal fibres(視床下部脊髄線維)Fibrae hypothalamospinales ししょうかぶせきずいせんい

[A14_1_06_203] →(視床下部脊髄線維は室傍核および視床下部の後部・外側部領域より起こり、同側脳幹の腹外側部を通り脊髄の側索にはいり中間外側核に終わる線維。)

Lateral lemniscus(外側毛帯)Lemniscus lateralis がいそくもうたい Feneis: 290 13

[A14_1_06_204] →(外側毛帯は中脳まで上行し、大部分の線維が下丘に終わる。背側および腹側蝸牛神経核からの線維は、背側、中間および腹側聴条として対側に向かい、多くは対側の台形体背側核におわるが一部はそのまま上行する。この上行する線維と同側の台形体背側核から出て上行する線維が一緒になって外側毛帯を形成する。外側毛帯は橋の高さで内側毛帯(系)の背外側の位置を占めて上行し、大部分は下丘に終わるが、一部は途中下丘のすぐ腹側に存在する外側毛帯核におわる。)

Tectopontine tract(視蓋橋路;視蓋橋核路)Tractus tectopontinus しがいきょうろ;しがいきょうかくろ

[A14_1_06_205] →(視蓋橋核路は上丘から起こる線維束。外側毛帯内側部に沿って同側を下行し、中脳被蓋外側層で終わる線維を出し、さらに腹側橋灰白質の外側部に達する。)

Lateral tectobulbar tract(外側視蓋延髄路)Tractus tectobulbaris lateralis がいそくしがいえんずいろ [A14_1_06_206]

Medial lemniscus(内側毛帯)Lemniscus medialis ないそくもうたい Feneis: 290 14

[A14_1_06_207] →(延髄の後索(薄束および楔状束)を通過する伝導路は圧覚と触覚や固有知覚の興奮を後索核(薄束核および楔状束核)や視床を経て大脳皮質に伝達する神経路である。薄束核および楔状束核から起こる二次ニューロンは延髄視床路(内側毛帯)となり正中縫線近く延髄の中心を通り上行する。橋にはいると外側に広がり、橋核の背側縁を越えて上行する扁平な帯になる。中脳内では、黒質の背側縁を越えて赤核で外側に移る。内側膝状体まで内側を通り視床の後腹側核に入り、そこで終わる。視床を出た第3ニューロンの線維は、上行して大脳皮質におもむく。内側毛帯系は脊髄から上行する識別性感覚路の最初の一環を形成するのは後根を通って入ってくる太い有髄神経の枝であり、後索を上行する。後索を上行するこれらの神経線維は身体部位対応配列を示す。すなわち、仙骨神経根や腰神経塊を通って入ってくる上行枝は後索の内側部を占めて薄束を形成する。一方、頚神経根を通って入ってくる上行枝は後索の外側部を占めて楔状束を形成する。また、胸神経根を通って入ってくる少数の上行枝は、薄束と楔状束との間に位置する。薄束と楔状束は、延髄の尾側端でそれぞれ対応する神経核、すなわち、薄束核と[内側]楔状束核に終止する。ある後根が支配する皮膚領域は、同時にその後根の上下の後根からも支配されている。このように一定の皮膚領域を支配する隣接後根の神経線維群は、後根から後索、さらに後索核へと向かう経過のうちに、一つの神経束にまとまる。このような集束の結果として、隣接する皮節(dermatome)間の重なり合いは解消されるのであるが(一つの皮節からの情報を伝道する神経線維が集合して一つにまとまる)、後索で最初にみられたような層構造は次第に不明瞭になる。薄束核の背側部と[内側]楔状束核の背側部にはニューロンが幾つかの小群をつくって分布する。超す悪を上行する神経線維の中で、四肢の遠位部を支配するものがこれらのニューロン小群に終止して身体部位対応配列を示す。後索核の腹側部と吻側部では身体部位対応配列はあまり精細でない。後索には後核固有核から起こる内在性神経線維も含まれている。これらの内在性神経線維は後索核の腹側部と吻側部に終止する。その他、後側索(側索後部)を上行する神経線維は両側の後索核の腹側部と吻側部、およびZ群(group Z)に終止する。Z群は薄束核の吻側端に位置するニューロン群であり、下肢の筋からの入力を視床に中継する。上枝からの固有感覚性入力を中継するのは外側楔状束核である。この核から起こる投射神経線維は主として下小脳脚を通って小脳へ入る。後索核の腹側部と吻側部から起こる投射神経線維は、後索核背側部(ニューロンの小群の集合から成る)から起こる投射神経線維に比べて、分布範囲が広い。すなわち、前者も後者も反対側の視床へ向かうのであるが、前者はさらに小脳や下オリーブ核に投射し、脊髄の後角へ向かうものもある。薄束核と[内側]楔状束核からは内弓状線維が起こり、正中部で交叉してのち、内側毛帯を形成して上行し、視床の後外側腹側核、後核群、内側膝状体大細胞部、および不確帯に終止する。後索核から後外側腹側核への投射は”核と殻(core-and-shell)”の様式を示す。すなわち、後索核背側部から起こる皮膚感覚の投射線維は後外側腹側核の中心部(すなわちcoreの部分)に終止し、後索核腹側部と吻側部から起こる固有感覚の投射線維は後外側腹側核の辺縁部(すわなち、shellの部分)に終止する。内側毛帯線維は後外側腹側核において一連の平行な層板をなして終止する。これらの層板は核のcoreの部分とshellの部分を通じて前後方向に伸びており、それぞれの層板が身体の特定の部位に対応している。また、各層板の前後軸に沿って、種々の感覚要素に対応する投射線維の終末が次々と配列分布する。)

Trigeminal lemniscus(三叉神経毛帯)Lemniscus trigeminalis さんさしんけいもうたい Feneis: 290 16

[A14_1_06_208] →(解剖学用語としては、三叉神経脊髄路核、三叉神経主知覚核におこり視床におわる伝導路をいうが、三叉神経主知覚核の腹側2/3におこり交叉して視床に上行する線維束のみを指す場合がある。三叉神経視床路は主に脊髄路核の下部と中間部の第Ⅰおよび第Ⅳ層細胞から起こる。これらの細胞の軸索は網様体中を腹内側方に向かい、正中線で交叉して対側の内側毛帯のすぐ近くをこれに沿って走り、視床の後内側腹側核の細胞に選択的に終わる。)

Medial longitudinal fasciculus(内側縦束)Fasciculus longitudinalis medialis ないそくじゅうそく Feneis: 288 24

[A14_1_06_209] →(前索の後部には脳幹のいろいろなレベルにある種々な神経核からでる複雑な下行線維束がある。この複雑な神経線維束は内側縦束として知られている。この神経束の脊髄部は同じ名称で呼ばれる脳幹にある伝導路の一部にすぎない。内側縦束の上行線維は主として前庭神経内側核および上核から起こり、同側性および対側性に主として外眼筋支配の神経核(外転、滑車、動眼神経核)に投射する。内側核からの上行線維は主に交叉をし、両側の外転神経核と左右の動眼神経核に非対称性に終わるが、滑車神経核へは対側性に投射する。上核の中心部にある大形細胞は非交叉性上行線維を内側縦束に出し、これは滑車神経核および動眼神経核に終わる。同核の周辺部にある周辺部にある小型細胞は交叉性の腹側被蓋束(内側縦束の外側にある)を経て動眼神経核に投射するが、これは主として対側の上直筋を支配する細胞に作用する。生理学的には、前庭神経核から外眼筋支配核から外眼筋支配核への上行性投射のうち、交叉性線維は促進的に働くが、肥厚性線維は抑制的に働く。内側縦束にはこのほかに、左右の外転神経核の間にある神経細胞から起こり、交叉して上行し、動眼神経核の内側直筋支配部に終わる明瞭な線維が含まれる。この経路は一方の外転神経核の活動を対側の動眼神経核内側直筋支配部へ連絡する物で、外側視の場合に、外側直筋が収縮すると同時に対側の内側直筋が共同して収縮するための神経機構を形成している。内側縦束の上行線維の一部は、動眼神経核を回ってCajal間質核に終わる。これは内側縦束内にうまっている小さい神経細胞群である。前庭神経内側核は対側性に間質核へ投射するが、上核は同側性に終わる。前庭神経二次線維は両側性に視床の中継核へ投射し、その数は中等度で、後外側腹側核に終止する。前庭からの入力を受ける視床の細胞は体性感覚情報にも対応するが、これは視床には特定の前庭感覚中継核がないことを示唆している。)

Mesencephalic tract of trigeminal nerve(三叉神経中脳路)Tractus mesencephalicus nervi trigemini さんさしんけいちゅうのうろ Feneis: 288 26

[A14_1_06_210] →(三叉神経中脳路は中脳中心灰白質に沿って位置し、単一の知覚神経からなり、その起点の細胞は三叉神経中脳路核の細胞体からの主な突起は鎌状をした三叉神経中脳路を作り、これは三叉神経運動核の高さまで下行し、側副枝を運動核に送るが、大部分は運動根の一部として脳外に出る。)

Posterior longitudinal fasciculus; Dorsal longitudinal fasciculus(後縦束;背側縦束)Fasciculus longitudinalis posterior; Fasciculus longitudinalis dorsalis こうじゅうそく;はいそくじゅうそく Feneis: 288 25

[A14_1_06_211] →(背側縦束は中脳から延髄にかけて中心灰白質の腹内側部にみれれる小さい神経線維束で、細い有髄線維を含む。上行性および下行性の比較的短い神経線維の連鎖であり、吻側では視床下部の室周線維に連絡する。自律性または内臓性情報の中枢伝導系の一つとされる。)

Rubronuclear tract(赤核核路)Tractus rubronuclearis せきかくかくろ [A14_1_06_212]

Rubrospinal tract(赤核脊髄路)Tractus rubrospinalis せきかくせきずいろ Feneis: 290 10

[A14_1_06_213] →(赤核脊髄路はモナコフ束ともよばれる。この伝導路の線維は、中脳被蓋の中心部にある卵円形の細胞集団である赤核からおこる。赤核は普通、吻側の小細胞群と尾側の大細胞群に分けられ、それらは動物によって大きさに差がある。赤核脊髄路は赤核の大細胞部から起こる。赤核脊髄路の線維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部それと混在して下行する。赤核脊髄路の線維は体部位局在性に構成されており、核の特定の部分の細胞はきめられた脊髄のレベルに選択的に投射する。頚髄へ投射する線維は赤核の背側および背内側部からおこり、一方腰仙髄に投射する線維は赤核の腹側および腹外側から起こる。胸髄は赤核の中間部から起こる線維を受ける。赤核脊髄路は①脊髄全長を下行する、②第Ⅴ層の外側半分、第Ⅵ層、および第Ⅶ層の背側部および中央部に終止する。赤核は大脳皮質と小脳から線維を受ける。“運動野”皮質からの皮質赤核路線維は赤核の小細胞部には両側性に、大細胞部には同側性に投射する。これらの投射線維はその起始終止とも体部位局在性に配列する。このシナプス結合を通して、皮質赤核路と赤核脊髄路とは共同して体部位局在性に配列した非錐体外路系伝導路として大脳皮質運動領と特定の脊髄レベルの間に存在する。赤核のあらゆる部分が上小脳脚を経てくる交叉性の小脳遠心線維を受ける。歯状核からの線維は赤核の前1/3に投射し、中位核(ヒトの球状核と栓状核に相当する)からの線維は体部位局在的に小脳皮質の部分と赤核の大細胞部とを関係づけている。赤核の細胞を刺激すると対側の屈筋のα運動ニューロンに興奮性シナプス後電位が発生し、また、伸筋のα運動ニューロンに抑制的シナプス後電位が発生する。赤核脊髄路の最も重要な機能は屈筋群の筋緊張の制御に関与することである。 Monakow, Constantin von (1853-1930) スイスの神経学者。大脳皮質の機能局在を明示し(Die Lolcalisation in Grosshirn u. der Abbau der Funktion durch kortical Herde, 1914)、モナコフ束(赤核脊髄路)を記述(Der rote Kern, die Haube u. die Regio hypothalamica bei einigen Saeugetieren und beim Menschen, Arb. Hirnanat. Inst. Zuerich, 1909, 3, 51-267; 1910, 4, 103-225)。)

Rubro-olivary tract(赤核オリーブ核路;赤核オリーブ路)Tractus rubroolivaris せきかくおりーぶかくろ;せきかくおりーぶろ

[A14_1_06_214] →(赤核の小細胞部から非交叉性の線維束が中心被蓋路に入り、オリーブ核主核の背側板に終わる。これを赤核オリーブ路といい、小脳へのフィールドバック系の一部をなす。)

Spinal lemniscus; Anterolateral tracts; Anterolateral system(脊髄毛帯;前外側路;前外側系)Lemniscus spinalis; Tractus anterolaterales せきずいもうたい;ぜんがいそくろ;ぜんがいそくけい Feneis: 290 15

[A14_1_06_215] →(脊髄毛帯は後索核におこり視床におわる線維束を内側毛帯(狭義)とよぶが、橋頭側半のレベルから先は、この内側毛帯に脊髄視床路と三叉神経視床路とが合流して上行する。この複合体をも内側毛帯(広義)とよぶところから、脊髄視床路を脊髄毛帯、三叉神経視床路を三叉神経毛帯と呼ぶことがある。)

Spinothalamic fibres(脊髄視床線維)Fibrae spinothalamicae せきずいししょうせんい

[A14_1_04_138] →(脊髄視床線維は後角のかなり広い範囲から起こる。その領域はまだ確定されていないが、おそらくⅠ・Ⅵ・Ⅶ層より起こると思われる。これらの線維の大部分はその起始部よりも1ないし数節頭側のレベルで白前交連を通って正中線で交叉し、反対側の前側索(前索と側索の境界部)を外側脊髄視床路(痛覚、温度覚)および前脊髄視床路(触覚)として上行する。両神経路共にそれを構成する神経線維に身体部位対応的配列がみられる。前脊髄視床路線維の中には延髄網様体や延髄外側網様核に終止するものがある。その他の線維はほぼオリーブ核尾側端のレベルで外側脊髄視床路に加わる。外側脊髄視床路は痛覚受容に関与しており、脊髄では前脊髄視床路の背外側方に位置している。脊髄視床線維の多くが脳幹網様体に終止する。橋と中脳の境界レベルでは、残りの脊髄視床線維が内側毛帯に加わる。したがって後索系、内側毛帯、脊髄視床路を併せて、“毛帯系”という。)

Spinoreticular fibres(脊髄網様体線維)Fibrae spinoreticulares せきずいもうようたいせんい

[A14_1_04_139] →(後柱に局在する一部のニューロンが軸索を前側索に出し、それらが上行して脳幹網様体の広い領域に分布している。脊髄網様体線維はの多くは延髄に終止し、同側性であるが、橋まで上行する線維は少なく、両側性に連絡するものが多い。)

Spinomesencephalic fibres(脊髄中脳線維)Fibrae spinomesencephalicae せきずいちゅうのうすいどうしゅういせんい

[A14_1_04_140] →(脊髄中脳線維は脊髄毛帯に含まれて中脳に終わる神経線維の総称。視蓋脊髄線維から上丘線維・水道周囲脊髄線維の深層に続き水道周囲灰白質に終わる。)

Spinotectal fibres(脊髄視蓋線維)Fibrae spinotectales せきずいしがいせんい

[A14_1_04_141] →(脊髄視蓋線維は脊髄後核の神経細胞から起こり、前交連で対側に移り前外側索を上行して上丘深層に終わる。)

Spinoperiaqueductal fibres(脊髄中脳水道周囲灰白質線維;脊髄中脳中心灰白質線維)Fibrae spinoperiaqueductales せきずいちゅうのうすいどうしゅういかいはくしつせんい;せきずいちゅうのうちゅうしんかいはくしつせんい

[A14_1_04_142] →(脊髄中脳水道周囲線維は脊髄後角の神経細胞から起こり、対側の前外側索を上行して中脳の水道周囲灰白質に終わる神経線維。下行性痛覚抑制路を含む。)

Spinohypothalamic fibres(脊髄視床下部線維)Fibrae spinohypothalamicae せきずいししょうかぶせんい

[A14_1_04_143] →(脊髄視床下部線維は脊髄灰白質から起こり、前外側索の一部として上行し視床下部に終わる神経線維。)

Superior cerebellar peduncle(上小脳脚;結合腕)Pedunculus cerebellaris superior; Brachium conjunctivum じょうしょうのうきゃく;けつごうわん Feneis: 288 19

[A14_1_06_216] →(上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)は主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はさらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部に来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。)

Decussation of superior cerebellar peduncles(上小脳脚交叉;結合腕交叉;小脳大脳脚交叉;大被蓋交叉)Decussatio pedunculorum cerebellarium superiorum; Decussatio crurum cerebellocerebralium じょうしょうのうきゃくこうさ;けつごうわんこうさ;しょうのうだいのうきゃくこうさ;だいひがいこうさWernekink's decussation Feneis: 290 08

[A14_1_06_217] →(上小脳脚は小脳核から出て初めは表面を走るが、下丘の高さで奥に入り交叉して一部は対側の赤核に終わり、一部は視床に至る。この交叉を上小脳脚交叉という。)

Tectobulbar tract(視蓋延髄路)Tractus tectobulbaris しがいえんずいろ Feneis: 290 11

[A14_1_06_218] →(視蓋延髄路は上丘から両側性に中脳網様体や反対側の橋および延髄網様体に終わる線維が出る。これらを一括して視蓋延髄路または線維とよぶ。この神経路に伴行して下行し、橋核、脳神経の背側核とくに眼筋支配の核に終末している。このことから眼球運動の反射に密接な関連をもつとみられる。)

Tectopontine tract(視蓋橋路;視蓋橋核路)Tractus tectopontinus しがいきょうろ;しがいきょうかくろ

[A14_1_06_219] →(視蓋橋核路は上丘から起こる線維束。外側網体内側部に沿って同側を下行し、中脳被蓋外側層で終わる線維を出し、さらに腹側橋灰白質の外側部に達する。)

Tectospinal tract(視蓋脊髄路)Tractus tectospinalis しがいせきずいろHeld's bundle Feneis: 290 12

[A14_1_04_112] →(視蓋脊髄路の線維は主として視覚の中継核としてはたらく複雑な構造である上丘の深層からおこる。この経路の線維は中脳水道周囲灰白質で前内側に移行し、内側縦束の前方で背側被蓋交叉において交叉する。上部脳幹においてこの経路は内側縦束の内側で内側縫線近傍を下行し、延髄レベルで視蓋脊髄繊維は内側縦束に組み込まれる。)

Pretecto-olivary fibres(視蓋前域オリーブ核線維;視蓋前域オリーブ線維)Fibrae pretectoolivares しがいぜんいきおりーぶかくせんい;しがいぜんいきおりーぶせんい

[A14_1_05_306] →(視蓋前核から同側の内側副オリーブ核に投射する神経線維。)

Tecto-olivary fibres(視蓋オリーブ核線維;視蓋オリーブ線維)Fibrae tectoolivares しがいおりーぶかくせんい;しがいおりーぶせんい

[A14_1_05_307] →(視蓋オリーブ核線維は中脳上丘深層からおこり、対側の副オリーブ核内側に終わる神経線維。)

Tegmental ducussations(被蓋交叉)Decussationes tegmentales ひがいこうさ Feneis: 290 07 [A14_1_06_220]

Posterior tegmental decussation; Dorsal tegmental decussation(背側被蓋交叉;後被蓋交叉)Decussatio tegmentalis posterior はいそくひがいこうさ;こうひがいこうさMeynert's decussation

[A14_1_06_221] →(上丘の深部にある細胞から起こる視蓋脊髄路が、中心灰白質のまわりを前内側方へ走り背側被蓋交叉で交叉する。)

Anterior tegmental decussation; Ventral tegmental decussation(前被蓋交叉;腹側被蓋交叉)Decussatio tegmentalis anterior ぜんひがいこうさ;ふくそくひがいこうさForel, Decussation of

[A14_1_06_222] →(赤核脊髄路の線維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部とそれと混在して下行する。)

Corticomesencephalic fibres(皮質中脳線維)Fibrae corticomesencephalicae ひしつちゅうのうせんい

[A14_1_06_223] →(皮質中脳線維は大脳皮質から起こり中脳の諸構造(被蓋、中脳蓋、黒質など)に終わる線維。)

Grey matter of midbrain tegmentum; Grey substance of midbrain tegmentum; Gray matter of midbrain tegmentum; Gray substance of midbrain tegmentum(灰白質(中脳被蓋の))Substantia grisea tegmenti mesencephali かいはくしつ(ちゅうのうひがいの) [A14_1_06_301]

Nucleus of oculomotor nerve(動眼神経核)Nucleus nervi oculomotorii どうがんしんけいかく Feneis: 288 28

[A14_1_06_302] →(動眼神経核は第三脳神経、すなわち、動眼神経の起始核であり、動眼神経運動神経細胞の集合である。中脳被蓋の正中線背側部の両側に存在し、中脳中心灰白質の腹方に位置する。動眼神経核の尾側端は滑車神経核の吻側端とほとんど連続しており、動眼神経核の吻側端は中脳の最吻側レベルに達する。動眼神経運動神経細胞はそれぞれの筋支配に対応して局在配列する。すなわち、下直筋支配細胞は核の背側部、内直筋支配細胞は核の腹側部、下斜筋支配細胞は前2者の中間部、上直筋支配細胞は内側部に位置し、それぞれ脳幹の長軸に平行な左右一対の細胞柱を形成する。これらのうち、上直筋支配細胞柱だけは反対側の筋を支配するが、その他は同側の筋を支配する。また、上眼瞼挙筋を支配する細胞柱は正中部に位置し、不対であって、動眼神経核の尾側1/3のレベルにのみ存在する(尾側正中核)。以上の他、副核(Edinger-Westphal核)および正中核(Perlia核)を含めて動眼神経核群とされることがおおい。)

Accessory nuclei of oculomotor nerve(動眼神経副核;副起始核(動眼神経の);エディンガー・ウェストファール核)Nuclei accessorii nervi olulomotorii どうがんしんけいふくかく;ふくきしかく(どうがんしんけいの);えでぃんがー・うぇすとふぁーるかくEdinger-Westphal nucleus Feneis: 288 29

[A14_1_06_303] →(動眼神経副核はエディンガー・ウェストファール核ともよばれる。動眼神経核のうちの副交感性の部で縮瞳に関与する。動眼神経副核として分類されるのは動眼神経核に密接な関係をもつ3つの核である。これはCajal間質核、後交連核(Darkschewitsch核)および後交連核群である。間質核は中脳上部で内側縦束の線維の間およびその外側にある多極細胞の小集団である。この核は前庭神経上核および内側核、視蓋前域、前頭眼野、室頂核からの線維を受ける。この間質核からの線維は後交連の腹側で交叉し、動眼神経核群のうち腹側細胞柱を除くすべての体制細胞柱に分布する。間質核はさらに両側の滑車神経核、同側の前庭神経内側核および脊髄(間質核脊髄路)に投射する。この核は遅い眼球の回転と垂直運動および追跡眼球運動に関係する。この核はまた頭部の働きと姿勢の制御にも関わっている。Darkschewitsch核は動眼神経核群の体性核の背外側で中心灰白質の腹外側縁の内部にある小型細胞からなる。この核からの線維は後交連核に投射するが、動眼新計画群や下位脳幹部には投射しない。後交連核は後交連線維と密接に関与する細胞集団である。この核は中心灰白質の背外側および背側に位置し、視蓋前域および視床後部の核群と連絡する。サルにおける実験から、後交連線維を正中で切断しても瞳孔の対光反射はそこなわれないが、Cajal間質核からの交連線維および後交連核を傷つけると両眼眼瞼の抗体や眼球の垂直方向への運動障害が引き起こされることが示されている。  ドイツのLudwig Edinger (1855-1918)と、オーストラリアのAlexander Karl Otto Westphal (1833-1890)という2人の神経学者の名前を冠している。)

Visceral nuclei; Autonomic nuclei(自律神経核;内臓性核)Nuclei viscerales; Nuclei autonomici じりつしんけいかく;ないぞうせいかく

[A14_1_06_304] →(内臓性核は上方で連なっている2つの明らかな核群よりなる。左右のEdinger-Westphal核は上方では正中線の背側で合一し、前正中核の内臓性細胞と一続きになる。前正中核の細胞は上部の外側体性細胞柱間の縫線内にある。Edinger-Westphal核および前正中核の両者からは非交叉性の副交感神経節前線維が出て、体性線維と共に走って網様体神経節に至る。内臓性核はこれまで毛様体神経節に至る副交感神経節前線維のみを投射すると考えられてきたが、最近の逆行性軸索輸送法を用いた研究により下位脳幹や脊髄にも投射するすることが明らかにされた。いわゆるPerlia正中核は正中核群に属し、特に輻輳に関与すると思われてきた。しかしヒトおよびサルの脳でこの核を同定することは非常に困難であり、その機能は未だ不明である。動眼神経の根線維は多くの小線維束に分かれて腹側に走り、そのうちのあるものは赤核を貫く。この細根は集まりそして脚間窩から脳幹の外に出る。)

Anterior medial nucleus visceral nucleus; Ventral medial visceral nucleus(前内側核;腹内側核;前正中核)Nucleus anteromedialis accessorii nervi oculomotorii; Nucleus visceralis anteromedialis; Nucleus visceralis dorsalis ぜんないそくかく;ふくないそくかく;ぜんせいちゅうかく

[A14_1_06_305] →(左右のEdinger-Westphal核は上方では正中線の背側で合一し、前正中核の内臓性細胞と一続きになる。前正中核の細胞は上部の外側体性細胞柱間の縫線内にある。Edinger-Westphal核および前正中核の両者からは非交叉性の副交感神経節前線維が出て、体性線維と共に走って網様体神経節に至る。内臓性核はこれまで毛様体神経節に至る副交感神経節前線維のみを投射すると考えられてきたが、最近の逆行性軸索輸送法を用いた研究により下位脳幹や脊髄にも投射するすることが明らかにされた。)

Posterior nucleus of accessory oculomotor nuclei; ; Dorsal nucleus of accessory oculomotor nuclei; Dorsal visceral nucleus; Posterior visceral nucleus; Posterior accessory nucleus of optic tract(背側核;後核(動眼神経副核の))Nucleus dorsalis accessorii nervi oculomotorii; Nucleus posterior accessorii tracti optici はいそくかく;こうかく(どうがんしんけいふくかくの) [A14_1_06_306]

Interstitial nucleus(間質核;カハール間質核)Nucleus interstitialis かんしつかく;かはーるかんしつかくCajal's interstial nucleus Feneis: 290 01

[A14_1_06_307] →(間質核は内側縦束の傍らにあり、比較的大きい多極性の細胞からなる。この核から出る線維は後交連を通って正中線で交叉し、動眼神経核、滑車神経核、前庭神経内側核などとシナプス結合する。これらの線維が障害されると垂直方向の眼球麻痺が起こる。)

Central precommissural nucleus(中心交連前核;中心前交連核)Nucleus precommissuralis centalis ちゅうしんこうれんぜんかく;ちゅうしんぜんこうれんかく [A14_1_06_308]

Nucleus of posterior commissure(後交連核;ダルクシュエヴィチ核)Nucleus commissurae posterioris こうこうれんかくDarkschewitsch, Nucleus of

[A14_1_06_309] →(後交連核はダルクシュヴィッチ核ともよばれている。後交連核は動眼神経核群の体性核の背外側で中心灰白質の腹外側縁の内部にある小形細胞から成る。この核からの線維は後交連核群に投射するが、動眼神経核群や下位脳幹部には投射しない。ダルクシュヴィッチDarkshevitch, Liverius Osipovich (Dark-cehwitschy)(1858-1925) ロシアの神経学者。中脳のダルクシュヴィチ核、ダルクシュヴィッチ線維を記載。)

Ventral subdivision of nucleus of posterior commissure(腹側部;腹側下部(後交連核の))Pars ventralis nuclei commissurae posterioris ふくそくぶ;ふくそくかぶ(こうこうれんかくの) [A14_1_06_310]

Interstitial subdivision of nucleus of posterior commissure(間質部(後交連核の))Pars interstitialis nuclei commissurae posterioris かんしつぶ(こうこうれんかくの)  [A14_1_06_311]

Dorsal subdivision of nucleus of posterior commissure(背側部(後交連核の))Pars dorsalis nuclei commissurae posterioris はいそくぶ(こうこうれんかくの)Gudden, von Gudden's ganglion  [A14_1_06_312]

Interpeduncular nucleus(脚間核)Nucleus interpeduncularis きゃくかんかく Feneis: 288 31

[A14_1_06_313] →(脚間核は脚間窩の背側にある。この核は手綱核からの投射を反屈束を経由し受けている。多くのコリン作働性線維が脚間核に終止する。反屈束の線維のうちで脚間核を通過するものは上中心核、背側被蓋核および中脳中心灰白質に達している。背側被蓋核はまた乳頭体被蓋路を通して乳頭体からも線維を受け、中脳中心灰白質の腹内側にある小さな線維束である背側縦束と密接に関係している。これらの神経路は辺縁系に関連した信号を中脳の諸核に伝えている複雑な神経路の一部を構成しており、内臓や行動機能に関係する。)

Accessory nuclei of optic tract(副視索核群;副視索核;視索副核;視索副核群)Nuclei accessorii tractus optici ふくしさくかくぐん;ふくしさくかく;しさくふくかく;しさくふくそくかくぐん;ふくしさくかくぐん

[A14_1_06_314] →(視索副核は中脳に行く視神経に沿って存在する神経細胞体の小群で、後核、内側核、外側核にわけられている(終核ともよばれる)。視索沿いのこれらの核の連結は網膜スリップに関係する副視覚系になっている。)

Posterior nucleus of accessory nuclei of optic tract; Dorsal accessory nucleus of optic tract(後核;背側核(視索副核の))Nucleus accessorius posterior tractus optici こうかく;はいそくかく(しさくふくかくの)  [A14_1_06_315]

Lateral accessory nucleus of optic tract(外側核(視索副核の);視索外側副核)Nucleus accessorius lateralis tractus optici がいそくかく(しさくふくかくの);しさくがいそくふくかく  [A14_1_06_316]

Medial nucleus; Medial accessory nucleus of optic tract(内側核;内側終止核;副視索内側核(視索副核の))Nucleus accessorius; Nucleus terminalis medialis; Medial terminal nucleus ないそくかく;ないそくしゅうしかく;ふくしさくないそくかく(しさくふくかくの)  [A14_1_06_317]

Lateroposterior tegmental nucleus; Laterodorsal tegmental nucleus(後外側被蓋核;背外側被蓋核)Nucleus tegmentalis posterolateralis こうがいそくひがいかく;はいがいそくひがいかく  [A14_1_06_318]

Mesencephalic nucleus of trigeminal nerve(三叉神経中脳路核;三叉神経中脳核)Nucleus mesencephalicus nervi trigeminalis さんさしんけいちゅうのうろかく;さんさしんけいちゅうのうかく Feneis: 288 27, 280 30

[A14_1_05_409] →(三叉神経中脳路核は三叉神経運動核の下端より少し下方の高さから中脳上端部に至る。非常に細長く延びた核で、橋の高さでは第四脳室の腹外側核の近くにあり、中脳では中心灰白質の外側縁にある。これは脊髄神経節の細胞に似た、少数の大きい偽単極細胞からなる。その突起は三叉神経中脳路を作りつつ下行し、三叉神経運動核に突起を出したのち運動根に加わり、主として咀嚼筋に分布し、その固有知覚を伝え、咬む力の調節に関与している。また中脳路核上部には外眼筋などからの固有知覚が伝えられるという。中脳路核から高次の中枢への連絡については不明である。)

Nucleus of trochlear nerve; Trochlear nucleus(滑車神経核)Nucleus nervi trochlearis かっしゃしんけいかく Feneis: 288 30

[A14_1_06_319] →(滑車神経核は下丘の高さで、中心灰白質の腹内側にあり、動眼神経核の直接尾方延長部にあたる。これは動眼神経主核と同様に多極性の大細胞からなり、これから出る根線維は中心灰白質の外側部を背側方でやや下方に走り、下丘の下で完全交叉をおこない(滑車神経交叉)、脳を出る。なお滑車神経核の背側で中心灰白質中には背側被蓋核が認められ、また内側縦束の腹側には腹側被蓋核が区別される。)

Parabigeminal nucleus(二丘傍核;二丘傍体核;二丘体傍核)Nucleus parabigeminalis にきゅうぼうかく;にきゅうぼうたいかく;にきゅうたいぼうかく

[A14_1_06_320] →(二丘傍核は中脳外側の脊髄視床路線維束の中にある細胞体群で、下丘の腹外側で下丘と交通する。中脳外側に位置するこの小さな卵円形の核はコリン作働性ニューロンを含み、上丘の浅層から多くの線維を受け、視野局在を有する。一側の二丘傍核からの投射線維は両側の上丘浅層に達しており、その投射には局在性が認められる。光刺激に対し一貫して速やかに応答する二丘傍核の細胞は、動いているか、また静止している光の点により活動化され、上丘浅層の細胞と似た大きさの受容野を有する。二丘傍核は上丘と友に視覚情報処理の機能を果たす。)

Periaqueductal grey substance; Central grey substance(中脳中心灰白質;中脳水道周囲灰白質)Substantia grisea centralis; 088, 100 ちゅうのうちゅうしんかいはくしつ;ちゅうのうすいどうしゅういかいはくしつ Feneis: 288 11

[A14_1_06_321] →(中脳中心灰白質は中脳水道を取り囲み密集する比較的小型の細胞からなり、機能的には均一ではない。この領域はこれまで中枢の鎮痛機構、発生、生殖行動の制御、攻撃行動、上方注視機構と深く関係するとされてきた。この中脳中心灰白質は視床下部、脳幹毛様体、縫線核、青斑核および脊髄からの入力を受け、これらの多くはさらに中脳中心灰白質からの相互の投射を受ける。中脳中心灰白質のニューロンはエンケファリン、P物質、コレシストキニン、ニューロテンシン、セロトニン、ダイノルフィン、ソマトスタチンに対して免疫反応陽性であり、ひとつのニューロンがしばしば複数のニューロペプチドを有する。中脳中心灰白質の腹外側部は、刺激による鎮痛に関して最も効果的な部位と思われる。中脳中心灰白質の腹側部へのモルヒネの微量注入により著明な鎮痛を引き起こすことが齧歯類動物において認められている。)

Peripeduncular nucleus of mesencephalon(脚周囲核(中脳の))Nucleus peripeduncularis きゃくしゅういかく(ちゅうのうの)

[A14_1_06_322] →(黒質の外側部には脚周囲核の小形細胞があり、大脳脚の背側縁を覆っている。)

Red nucleus(赤核)Nucleus ruber せきかく Feneis: 290 03

[A14_1_06_323] →(赤核は中脳被蓋では最も明瞭な部分で、網様体のほぼ中央にあり、桃黄色を呈し、周囲を上小脳脚線維で囲まれている。赤核全体として卵円形で、横断面は円形を呈し、上丘の下端から間脳の下部まで広がる。細胞学的には後方の大細胞部と前方の小細胞部によりなる。赤核の細胞の間には主として上小脳脚からの有髄線維の細い束が存在する。動眼神経根の一部が脚間窩に至る途中で赤核を貫く。赤核の求心性線維は主として小脳核および大脳皮質からくる。これらの線維は体部的局在性をもって赤核に終止する。上小脳脚の線維は中脳下部で完全に交叉し、対側の赤核およびその周囲に至る。小脳歯状核からの側枝は対側赤核の上1/3部に終止し、一方、栓状核(前中位核)および球状核(後中位核)からの線維は赤核の下2/3部に体部位的局在性をもって終わる。この連絡は小脳の傍虫部皮質と赤核大細胞部をつなぎ、さらに赤核から脊髄へ体部位的局在性に投射する。これには上小脳脚交叉および赤核脊髄路の交叉の2つの交叉が含まれる。赤核の大細胞部からの体部位的局在投射は主に頚髄と腰髄に終わる。皮質赤核線維は中心前回や前運動野から起こり、ともに両側の赤核小細胞部に体部位的局在性をもって終止する。大脳皮質6野の内側部(補足運動野)からの投射線維は対側の赤核大細胞部に終わる。中心前回の運動野から赤核大細胞部に終止する線維は同側性で、赤核運動路の体部位的局在性をもつ起始に対応する。これらの皮質赤核線維は体部位的局在性をもち、赤核脊髄路(交叉性)と共に運動野皮質から脊髄へインパルスを伝える経路の一部をなす。赤核からの下行性遠心路は腹側被蓋交叉で交叉し、①小脳の中位核、②三叉神経主知覚核および脊髄路核、③顔面神経核の一部、④いくつかの延髄の中継核および⑤脊髄に投射する。また赤核の小細胞部からの非交叉性の線維束が中心被蓋路に入り、オリーブ核主核の背側板に終わる。これを赤核オリーブ路といい、小脳へのフィードバック系の一部をなす。赤核からの視床への投射はない。)

Magnocellular part of red nucleus(大細胞部(赤核の))Pars magnocellularis nuclei ventricularis lateralis だいさいぼうぶ(せきかくの) Feneis: 290 05

[A14_1_06_324] →(赤核の大細胞部は赤核の中でも尾側にある大細胞部。赤核脊髄路をなす線維の大部はこの部よりでる。)

Parvocellular part of red nucleus(小細胞部(赤核の))Pars parvocellularis nuclei rubri しょうさいぼうぶ(せきかくの) Feneis: 290 04

[A14_1_06_325] →(赤核の小細胞部は赤核の大部分を占める小細胞部。赤核脊髄路の形成に関与する。)

Posteromedial part of red nucleus; Dorsomedial part of red nucleus(後内側部;背側内側部(赤核の))Pars posteromedialis nuclei rubri; Pars dorsomedialis こうないそくぶ;はいそくないそくぶ(せきかくの)  [A14_1_06_326]

Reticular formation(網様体(中脳被蓋の))Formatio reticularis tegmentum mesencephali もうようたい(ちゅうのうひがいの)

[A14_1_06_327] →(中脳網様体は橋におけるほど広くない。赤核は網様体の一部ではあるが、通常は網様体といえば赤核を除いてその背側および外側の部分をさす。ここには①楔状核、②楔状下核および③脚橋被蓋核の3つの主な網様核が認められる。)

Sagulum nucleus(外被核)Nucleus saguli; Sagulum がいひかく

[A14_1_06_328] →(外側毛帯と下丘尾側の中脳外側面との間ある細胞体群で、聴覚に関係する核。)

Subbrachial nucleus(結合腕下核)Nucleus subbrachialis けつごうわんかかくTsai, Tegmental area of  [A14_1_06_329]

Anterior tegmental nuclei of midbrain; Ventral tegmental nuclei of midbrain(前被蓋核;腹側被蓋核(中脳の))Nuclei tegmentales anterior mesencephali ぜんひがいかく;ふくそくひがいかく(ちゅうのうの) Feneis: 290 02a

[A14_1_06_330] →(中脳の腹側被蓋核は三叉神経運動核の高さで内側縦束の腹側で縫線の外側に位置する。これは上中心核の前方への延長と思われる。)

Interfascicular nucleus of tegmentum of midbrain(束間核(中脳被蓋の))Nucleus interfascicularis tegmentalis そくかんかく(ちゅうのうひがいの)  [A14_1_06_331]

Parabrachial pigmented nucleus(色素含有性結合腕傍核;色素性傍腕核;色素性結合腕傍核)Nucleus pigmentosus parabrachialis しきそがんゆうせいけつごうわんぼうかく;しきそせいぼうわんかく;しきそせいけつごうぼうわんかく  [A14_1_06_332]

Paranigral nucleus(黒質傍核)Nucleus paranigralis こくしつぼうかく

[A14_1_06_333] →(黒質傍核は中脳腹内側部にある小細胞群で、黒質内側面と脚間核との間にある。)

Cuneiform nucleus(楔状核)Nucleus cuneiformis けつじょうかく

[A14_1_06_334] →(楔状核と楔状下核は視蓋の腹側で脚橋被蓋核の背側にあり、上方に広がる。中心被蓋路の線維はこれらの核の内側を走る。)

Subcuneiform nucleus(楔状下核)Nucleus subcuneiformis けつじょうかかく

[A14_1_06_335] →(楔状核と楔状下核は視蓋の腹側で脚橋被蓋核の背側にあり、上方に広がる。中心被蓋路の線維はこれらの核の内側を走る。)

Pedunculopontine tegmental nucleus(脚橋被蓋核)Nucleus tegmentalis pedunculopontinus きゃくきょうひがいかく

[A14_1_06_336] →(脚橋被蓋核は下丘の腹側で被蓋外側部にある。この核内を上小脳脚線維が腹内側に向かい通過し、交叉する。この核は多種の入力を、①大脳皮質、②淡蒼球内節および③黒質網様部から受ける。脚橋被蓋核の緻密部の細胞は強いコリン作働性であるが周辺の細胞は他の神経伝達物質を有する。この核のコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)に対する免疫反応陽性細胞は視床に投射し、あるものは黒質緻密部に投射する。この核は刺激により歩行運動が誘発される部位に存在する。この部位は“運動中枢”と呼ばれる。)

Compact part of pedunculopontine tegmental nucleus; Compact subnucleus of pedunculopontine tegmental nucleus(緻密部(脚橋被蓋核の))Pars compacta nuclei tegmentalis pedunculopontinus ちみつぶ(きゃくきょうひがいかくの)  [A14_1_06_337]

Dissipated part of pedunculopontine tegmental nucleus; Dissipated subnucleus of pedunculopntine tegmental nucleus(消散部;消失下核(脚橋被蓋核の))Pars dissipata nuclei tegmentalis pedunculopontinus しょうさんぶ;しょうしつかかく(きゃくきょうひがいかくの)  [A14_1_06_338]

 

Raphe nuclei of tegmentum of midbrain(縫線核;縫線核群(中脳被蓋の))Nuclei raphes in mesencephale ほうせんかく;ほうせんかくぐん(ちゅうのうひがいの) Feneis: 278 26 [A14_1_06_401]

Posterior raphe nucleus; Dorsal raphe nucleus(後縫線核;背側縫線核)Nucleus raphes posterior pontis mesencephali こうほうせんかく;はいそくほうせんかく

[A14_1_05_604] →(背側縫線核は滑車神経核の背内側および中間を占める中心灰白質中にあり、主に小型の細胞からなり、これまで滑車神経上核とよばれていた。背側縫線核と背側被蓋核は互いに接近しているが、背側縫線核の細胞のみがセロトニン(5-HT)およびコレシストキニン(CCK)を合成して輸送している。)

Inferior linear nucleus(下線状核)Nucleus linearis inferioris かせんじょうかく  [A14_1_06_402]

Intermediate linear nucleus(尾側線状核;中間線状核)Nucleus linearis intermedius ちゅうかんせんじょうかく;ちゅうかんちょくせんかく  [A14_1_06_403]

Superior linear nucleus(吻側線状核;上線状核)Nucleus linearis superior ふんそくせんじょうかく;じょうせんじょうかく  [A14_1_06_404]

 

Aqueduct of midbrain; Cerebral aqueduct(中脳水道;脳水道)Aqueductus mesencephali; Aqueductus cerebri ちゅうのうすいどう;のうすいどうSylvius, Aqueduct of Feneis: 288 20

[A14_1_06_501] →(中脳水道はシルビウス水道ともよばれる。中脳では脳室系は細い管となり、間脳の第三脳室と菱脳の第四脳室とを結合する。これを中脳水道と称し、横断面は円形または底辺を背側に向けた角のとれた三角形をなし、中心灰白質によってかこまれる。その存在については古くから知られていたが、フランスの解剖学者Jacobus Sylvius (1478-1555)の著書(1555年)で初めて説明がなされた。)

Opening of aqueduct of midbrain; Opening of cerebral aqueduct(中脳水道口)Apertura aqueductus cerebri mesencephali ちゅうのうすいどうこう  [A14_1_06_502]

Tectum of midbrain(中脳蓋;四丘体板;蓋板)Tectum mesencephali ちゅうのうがい Feneis: 288 12

[A14_1_06_601] →(中脳蓋は中脳水道が通り、屋根状になった脳背側部。上丘と下丘が含まれる。)

Tectal plate; Quadrigeminal plate(蓋板;四丘体板)Lamina tecti; Lamina quadrigemina がいばん;しきゅうたいばん Feneis: 288 13

[A14_1_06_011]

Inferior colliculus(下丘)Colliculus inferior かきゅう Feneis: 288 14

[A14_1_06_014] →(下丘は中脳蓋を形成する卵形の二対の隆起(四丘体)のうち下方の一対をいう。外側毛帯からの神経を受け、下丘腕を経て視床の内側膝状体に至る神経を出す。聴覚系の中脳における中継核で、細胞構築および機能的に中心核、外側核および周囲核の三つの核からなる。下丘核は外側毛帯を介して蝸牛神経核および台形体核から線維を受け、下丘腕を通って両側性に視床の内側膝状体へ線維を送る。)

Nuclei of inferior colliculus(下丘核)Nuclei colliculi inferioris かきゅうかく

[A14_1_06_602] →(下丘核は外側毛帯を介して蝸牛神経核および台形体核から線維を受け、下丘腕を通って両側性に視床の内側膝状体へ線維を送る)

Central nucleus of inferior colliculus(中心核(下丘の))Nucleus centralis colliculi inferioris ちゅうしんかく(かきゅうの)

[A14_1_06_603] →(下丘の中心核はニッスルおよび髄鞘染色標本ではかなり均一にみえる。ゴルジ標本では、大型の細胞からなる小さい背内側部と中型および小型細胞からなり著明な層構造を示すより大きな腹外側部の2部に区別できる。腹外側部におけるこれらの層は不完全ながら大部分がほぼ同心円状の重なり合ったたまねぎの殻状の配列を示す。それぞれの層の厚さはこれを形成している紡錘細胞および双房細胞の樹状突起の分枝の広がりにより決定される。これらの双は中心核におけるニューロンの周波数局在の基礎をなす。個々の層は周波数曲線に対応している。この中心核では多くのGABA作働性ニューロンが認められる。下丘中心核の腹外側部からの遠心性線維は下丘腕を経由して内側膝状体腹側の層構造を示す部に達する。中心核の背側部および中心周囲核からの線維は内側膝状体の背側部に至る。つまり、大脳皮質聴覚領野からの投射線維を受けている中心核背側部および中心周囲核は、結局インパルスを二次聴覚領皮質に返している。内側膝状体の腹側部からの投射線維は聴放線を経由して周波数局在的に皮質の一次聴覚領野に達している。)

External nucleus of inferior colliculus(外核;外側核(下丘の))Nucleus externus colliculi inferioris; Nucleus lateralis colliculi inferioris がいかく;がいそくかく(かきゅうの)

[A14_1_06_604] →(外下丘核は中心周囲核の腹側、外側に位置し、下丘に出入りする線維がこの核を横切っている。下丘は聴覚の中継核として働き、外側毛帯からの信号を視床の内側膝状体に伝える。中心核の背内側部および腹外側部は共に外側毛帯からの上行性線維を受ける。このうち腹外側部に到達した線維はこの部に見られるそれぞれの層に沿って走行し、その部位の下丘ニューロンにシナプス結合する。背内側部は対側下丘の背内側部からの交連線維および両側の大脳皮質聴覚領からの線維を受けている。)

Pericentral nucleus of inferior colliculus(中心周囲核(下丘の))Nucleus pericentralis colliculi inferioris ちゅうしんしゅういかく(かきゅの)

[A14_1_06_605] →(中心周囲核は密集する細胞からなる薄い層状の核で中心核の二つの主部(背内側部と腹外側部)におおいかぶさるようにして下丘の背面および後面に広がっている。この核は有棘樹状突起神経細胞と無棘樹状突起細胞からなる。無棘の大型細胞は下丘腕に軸索を送っている。中心周囲核は両側の皮質聴覚領野からの入力および外側毛帯背側核からの上行性投射線維を受け、この中心周囲核の細胞は層に平行して走行する投射線維を中心核に送っている。)

Superior colliculus(上丘)Colliculus superior じょうきゅう Feneis: 288 15

[A14_1_06_015] →(上丘は中脳蓋の前半を形成するあまり高くない隆起であり、大脳皮質と同様に層構造を示す。上丘の層は灰白質と白質とが表面から内部に向かって次のごとく交互に配列する。①帯層(主として線維よりなる)、②灰白層(浅灰白質)、③視神経層(浅白質層)、および④毛帯層で、これは中間部と深部の灰白質および白質を形成する。上丘浅層は主に網膜および皮質視覚野からの線維を受け、視野における物体の動きの探知に関係する。上丘深層は多様な入力(つまり、体性感覚系および聴覚系、運動活動に関わるニューロン、網様体の各領域)を受け、脳幹網様体と同様の解剖学的、生理学的特質を持つ。上丘の浅層と深層は、形態学的にも線維連絡の上からも、さらに生化学的にも線維連絡の上からも異なるが、空間的な整合性に関しては互いに密接に関連する。浅層からの投射線維は主に視覚関連核に至る。一方、中間層及び深層からの線維は頭部、眼球運動に関わる広い領域に投射される。上丘を反射中枢とする定位反射(指向反射)とは、視野に入った興味を引く対象物が視野の中心に来るように、頭と眼球を動かす反射である。)

Zonal layer of superior colliculus; Layer I of superior colliculus(帯状層;帯層;第Ⅰ層(上丘の))Stratum zonale colliculi superioris; Lamina colliculi superioris I たいじょうそう;たいそう;だい1そう(じょうきゅうの)

[A14_1_06_606] →(上丘の表面にある白質層で大脳皮質から来た線維のごく一部が終わる。)

Superficial grey layer of superior colliculus; Layer II of superior colliculus; superficial gray layer of superior colliculus(浅灰白層;第Ⅱ層(上丘の))Stratum griseum superficiale colliculi superioris; Lamina colliculi superioris II せんかいはくそう;だい2そう(じょうきゅうの)

[A14_1_06_607] →(上丘の浅灰白層は視神経線維をはじめ脊髄・視索線維や橋・視蓋線維が主に終わるところで、局所回路ニューロン(local circuit neuron)と思われる細胞も多数存在する。)

Optic layer of superior colliculus; Layer III of superior coliculus(視神経層;視層;第Ⅲ層;浅白層;浅白質層(上丘の))Stratum opticum colliculi superioris; Lamina colliculi superioris III ししんけいそう;だい3そう;せんはくそう;せんはくしつそう(じょうきゅうの)

[A14_1_06_608] →(上丘の視神経層は視神経線維や膝状体-視蓋線維からなる。)

Intermediate grey layer of superior colliculus; Layer IV of superior coliculus; Intermediate gray layer of superior colliculus(中間灰白層;第Ⅳ層(上丘の))Stratum griseum intermedium colliculi superioris; Lamina colliculi superioris IV ちゅうかんかいはくそう;だい4そう(じょうきゅうの)

[A14_1_06_609] →(上丘の中間灰白層と中間白層は知覚と聴覚に関係し、脊髄視蓋路および三叉神経脊髄路の遠心路、外側毛帯、下丘からの線維などの一部が中間白層に入り、これをへて中間灰白層に入って終わる。)

Intermediate white layer of superior colliculus; Layer V of superior coliculus(中間白層;毛帯層;第Ⅴ層(上丘の))Stratum medullare intermedium colliculi superioris; Lamina colliculi superioris V ちゅうかんはくそう;もうたいそう;だい5そう(じょうきゅうの)

[A14_1_06_610] →(上丘の中間白層は毛帯層ともよばれ中間灰白層と深灰白層の間にある線維層。)

Deep grey layer of superior colliculus; Layer VI of superior colliculus; Deep gray layer of superior colliculus; Layer VI of superior colliculus(深灰白層;第Ⅵ層(上丘の))Stratum griseum profundum colliculi superioris; Lamina colliculi superioris VI しんかいはくそう;だい6そう(じょうきゅうの)

[A14_1_06_611] →(上丘の深灰白層は視蓋遠心路は主にこの層の細胞からおこる。)

Deep white layer of superior colliculus; Layer VII of superior coliculus(深白層;Ⅶ層(上丘の))Stratum medullare profundum colliculi superioris; Lamina colliculi superioris VII しんはくそう;だい7そう(じょうきゅうの)

[A14_1_06_612] →(上丘の深白層は視蓋遠心性線維をはじめ両側視蓋を結ぶ交連線維からなる。)

Brachium of inferior colliculus(下丘腕)Brachium colliculi inferioris かきゅうわん Feneis: 290 20

[A14_1_06_012] →(下丘腕は下丘の外側にのびる隆起で、下丘と内側膝状体をつなぐ。上行性聴覚路の大部分を形成する。)

Brachium of superior colliculus(上丘腕)Brachium colliculi superioris じょうきゅうわん Feneis: 290 23

[A14_1_06_013] →(上丘腕は上丘と外側膝状体とを連絡する視索線維束。)

Commissure of inferior colliculus(下丘交連)Commissura colliculi inferioris かきゅうこうれん Feneis: 290 21

[A14_1_06_613] →(下丘交連は左右の下丘をつなぐ部分。外側毛帯の線維もここを通り反対側へいたる。)

Commissure of superior colliculus(上丘交連)Commissura colliculi superioris じょうきゅうこうれん Feneis: 290 24

[A14_1_06_614] →(上丘交連は左右の上丘の間にある神経線維で対称部位や非対称部位を連絡する。被蓋外部からの線維をも含む。)

Decussation of trochlear nerve fibres(滑車神経交叉)Decussatio fibratum nervorum trochlearium かっしゃしんけいこうさ Feneis: 290 25, 316 14

[A14_1_06_615] →(滑車神経交叉は中脳下丘の高さにある滑車神経核から起こる線維が、常に反対側の眼筋を支配する滑車神経線維の交叉。)

 

Reticular nuclei of mesencephalon(網様核(中脳の);中脳網様核)Nuclei reticulares in mesencephale もうようかく(ちゅうのうの);ちゅうのうもうようかく

[A14_1_06_701] →(中脳網様体は橋におけるほど広くはない。赤核は網様体の一部ではあるが、通常は網様体と言えば赤核を除いてその背側および外側の部分をさす。ここに楔状核、楔状下核および脚橋被蓋核の3つの主な網様核が認められる。)

Cuneiform nucleus(楔状核)Nucleus cuneiformis けつじょうかく

[A14_1_06_334] →(楔状核と楔状下核は視蓋の腹側で脚橋被蓋核の背側にあり、上方に広がる。中心被蓋路の線維はこれらの核の内側を走る。脚間核は小細胞からなり、正中線で脚間窩の背側にある。この核は反屈側を経てきた手綱核からの線維を受ける。)

Subcuneiform nucleus(楔状下核)Nucleus subcuneiformis けつじょうかかく [A14_1_06_335]

Pedunculopontine tegmental nucleus(脚橋被蓋核)Nucleus tegmentalis pedunculopontinus きゃくきょうひがいかく

[A14_1_06_336] →(脚橋被蓋核は下丘の腹側で被蓋外側部にある。この核内を上小脳脚線維が腹内側に向かい通過し、交叉する。この核は多種の入力を①大脳皮質、②淡蒼球内節および③黒質網様部から受ける。脚橋被蓋核の緻密部の細胞は強いコリン作働性であるが周辺の細胞は他の伝達物質を有する。この核のコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)に対する免疫反応陽性細胞は視床に投射し、あるものは黒質緻密部に投射する。この核はしげきにより歩行運動が誘発される部位に存在する。この部位は「運動中枢」と呼ばれる。)

Compact part of pedunculopontine tegmental nucleus; Compact subnucleus of pedunculopontine tegmental nucleus(緻密部(脚橋被蓋核の))Pars compacta nuclei tegmentalis pedunculopontinus ちみつぶ(きゃくきょうひがいかくの)  [A14_1_06_337]

Dissipated part of pedunculopontine tegmental nucleus; Dissipated subnucleus of pedunculopntine tegmental nucleus(消散部;消失下核(脚橋被蓋核の))Pars dissipata nuclei tegmentalis pedunculopontinus しょうしさんぶ;しょうしつかかく(きゃくきょうひがいかくの)  [A14_1_06_338]

Parapeduncular nucleus(脚傍核)Nucleus parapeduncularis きゃくぼうかく  [A14_1_06_702]

Cerebellum(小脳)Cerebellum しょうのう Feneis: 284 11

[A14_1_07_001] →(Cerebellumは、「大脳、脳」を意味するcerebrumの指小形で、「小さい脳」という意味である。Cerebrumは、「頭」を意味するギリシャ語のkararan由来する。 小脳は筋、関節などの深部組織、前庭、視覚、聴覚系などからの入力を直接あるいは間接的に受け、眼球運動を含む身体の運動調節を司る。小脳は正中部の虫部と外側部の小脳半球とに分けられる。いずれも多数の小脳溝により小脳回に細分される。この中、特定の小脳溝は深く、これにより小脳回の集合ができる。これを小脳小葉とよぶ。ヒトでは小脳は深い水平裂により上面と下面とに分けられ、虫部とそれに対応する半球に九つの小葉が区別される。系統発生的には小脳は前葉、後葉、片葉小節葉の3部分に分けられる。前葉は系統発生的に古く古小脳(Paleocerebellum)ともよばれ、脊髄小脳路、副楔状束核小脳路、オリーブ小脳路の一部、網様体小脳路などをうける。後葉は系統発生的に新しく、新小脳(Neocerebellum)とよばれる。とくに半球部は虫部より新しく、橋核、主オリーブ核などを介して大脳皮質と結合している。前葉と後葉とは第1裂により境される。片葉小節葉は原小脳(Archicerebellum)とよばれ最も古く前庭系との結合が著明である。後葉とは後外側裂で境される。後葉には虫部錐体と虫部垂との間に第2裂がある。ヒトの小脳小葉の形は他の動物のものと大きく異なりる。小脳全体は灰白質と白質とからなる。灰白質には小脳皮質と小脳核とがある。小脳皮質は小脳小葉の表面をなし遠心性軸索を出すPurkinje細胞と皮質内での結合を行う細胞とからなる。小脳核は深部にあり、室頂核、球状核、栓状核、歯状核の4核からなる。小脳皮質にはその結合から三つの縦帯が認められる。すなわち、正中部の虫部皮質、外側部の半球皮質および両者の境界部の虫部傍皮質である。虫部皮質のPurkinje細胞は室頂核に、虫部傍皮質は球状核と栓状核に、半球皮質は歯状核に投射する。小脳の中心部の白質塊は髄体とよばれ、遠心性および求心性繊維から出来ている。ここからは白質が分枝して(白質板)、小葉に分かれる。全体として樹の枝のようにみえるので、小脳活樹と名づけられている。小脳は三つの小脳脚により、延髄、橋、中脳と結合している。これは小脳の遠心路および求心路の通路となっている。 小脳の発生 development of the cerebellum:小脳は後脳の菱脳唇から発生する。後脳の菱脳唇は翼板の背外側につづく背内方に突出する高まりで、胎生2ヶ月の後半において急速に増大し、小脳板とよばれるようになる。左右の小脳板の間には菱脳蓋の頭側半分が介在するので、頭側部では左右の小脳板は相接しているが、尾側部では広く離れている。菱脳の中央部を頂点とする橋弯曲が高度になると、この部の菱脳蓋の左右方向の拡大によって、左右の小脳板の尾側部はいよいよ高度に引き離され、左右の小脳板は菱脳の長軸に直角な一直線をなすようになる。これと同時に左右の小脳板の頭側部(今では内側部)が合一するので、結局、正中部が小さくて左右両部が大きい単一の小脳原基が成立する。正中部からは小脳虫部が、左右両部からは小脳半球が形成される。 増大していく小脳原基の背側部には、やがて中部から半球に向かって走る溝が次々に出現して小脳を区画する。胎生5ヶ月のおわりには小脳虫部における10個の主な区分(小脳葉)がほぼ完成する。これらの小脳葉はそれぞれ固有の発育を行うが、その間に第2次、第3次の溝が生じて、各小脳葉を多数の小脳回に分ける。このような形態発生の結果広大な表面積を獲得した小脳の表面には小脳皮質とよばれる特別な灰白質が形成され、これに出入りする神経線維はその深部に集まって小脳白質を形成する。 小脳原基においても菱脳室に接する内側から表面に向かって胚芽層・外套層・縁帯の3層が分化する。胚芽層は神経が細胞をつくりだすが、胚芽層から発生するのは小脳核の神経細胞と小脳皮質のPurkinje細胞およびGolgi細胞である。小脳原基が3層に分化するとまもなく、外套層の表層部にやや大型の神経芽細胞が出現し、小脳板の背側面(表面)に平行に1列にならぶ。これがPurkinje細胞の幼若型である。ついで小脳板の尾側端部の胚芽層でさかんな細胞分裂がおこり、ここで生じた未分化細胞は縁帯の表層部を頭方に遊走して、小脳原位の全表面をおおう未分化細胞層を形成する。これを胎生顆粒層という。 胎生顆粒層の細胞は胚芽層における細胞分裂が終わるころから活発な分裂を開始し、神経細胞をつくりだす。この神経細胞は縁帯およびPurkinje細胞の層を貫いて、Purkinje細胞の層の下に達し、ここに新しい細胞層(内顆粒層)をつくる。胎生顆粒層からは、このほかに縁帯の中に散在する籠細胞や小皮質細胞が生ずる。必要な数の神経細胞を送り出すと胎生顆粒層における分裂はやみ、本層は速やかに消失する。一方、Purkinje細胞は縁帯の中に多数の樹状突起を伸長させる。縁帯はPurkinje細胞の樹状突起で満たされて厚くなり、核をあまり多く含まな灰白層となる。このようにして小脳の全表面は、表面から灰白層・Purkinje細胞層・内顆粒層の3層から成る小脳皮質でおおわれることになる。)

General terms(一般用語(小脳の))Nomina generalia いっぱんようご(しょうのうの)  [A14_1_07_001_1]

Cerebellar fissure(小脳裂;小脳溝)Fissurae cerebelli; Sulci cerebelli しょうのうれつ;しょうのうこう Feneis: 284 13

[A14_1_07_002] →(小脳の表面には、きわめて多数の横走する溝、すなわち小脳溝がみられる。小脳溝には、とくに深いものがあり、このような深い溝で小脳は多くの小葉に分けられる。)

Folia of cerebellum(小脳回)Folia cerebelli しょうのうかい Feneis: 284 12

[A14_1_07_003] →(小脳溝の間にある細長い高まりを小脳回という。小脳回によって、小脳の表面積は著しく増大する。小脳の重量は約130gで、脳重量の約1/10にすぎないが、表面積は大脳皮質の約3/4にあたるといわれる。)

Vallecula of cerebellum(小脳谷)Vallecula cerebelli しょうのうこく Feneis: 284 14

[A14_1_07_005] →(小脳虫部の下部は左右の半球のあいだに深く落ち込んでおり、そのために左右の半球の間に生じる腔所は小脳谷と呼ばれる。延髄がこのなかで連絡する。)

Anterior cerebellar notch(前小脳切痕)Incisura cerebelli anteiror ぜんしょうのうせっこん

[A14_1_07_005_1]→

Posterior cerebellar notch(後小脳切痕)Incisura cerebelli posterior こうしょうのうせっこん

[A14_1_07_005_2]→

Vestibulocerebellum(前庭小脳)Vestibulocerebellum ぜんていしょうのう

[A14_1_07_007] →(前庭一次および二次線維を受ける小脳の部分を前庭小脳といい、片葉小節小葉の他に虫部垂の腹側部も含まれる。“前庭小脳”のすべての部分から前庭神経核への投射がある。すなわち片葉からは前庭神経上核内側核へ、小節と虫部垂からは上核、内側核および下核へ投射があり、これらはすべて同側性である。前庭小脳は代償的な前庭眼反射、視運動反射、および頸反射の調節に関わる。すなわち、これらの反射路はすべて前庭神経核群を含む。片葉には副視索系によって網膜像の働きに関する情報が送られる。これらの入力のうち、苔状線維入力は橋被蓋網様核からおこり、途上線維入力は内側副オリーブ核の背帽から起こる。片葉は、特に眼球運動と密接な関係がある。すなわち、動く視覚対象を追う追跡眼球運動が円滑に行われるためには片葉は必須の構造である。)

Spinocerebellum(脊髄小脳)Spinocerebellum せきずいしょうのう Feneis: 286 07

[A14_1_07_008] →(脊髄小脳(旧小脳paleocerebellum)は脊髄小脳路の終わる部分と一致するところから脊髄小脳と呼ばれる。旧小脳は虫部の大部分とその近くの小脳半球全部とをあわせていう系統発生学用語。系統発生的な古さからいうと原小脳と新小脳の中間にあたると考えられている。)

Pontcerebellum(橋小脳;橋性小脳)Pontcerebellum きょうしょうのう

[A14_1_07_009] →(橋小脳は橋底部の核からの神経線維を受ける小脳皮質の部分。小脳半球の広い範囲を占める。小脳虫部には比較的少ない。橋小脳線維は小脳皮質に行く途中で小脳核に側副神経線維を出す。)

Archicerebellum(原小脳;原始小脳)Archaeocerebellum げんしょうのう;げんししょうのう Feneis: 286 06

[A14_1_07_010] →(原小脳(片葉小節小葉flocculonodular lobule)は発生学的に最も古く、小節および有対の片葉とそれらをつなぐ脚よりなり、後外側裂によって小脳後葉と区分され、前庭系と密接な関係をもつ。)

Paleocerebellum(古小脳;旧小脳)Paleocerebellum こしょうのう;きゅうしょうのう Feneis: 286 07

[A14_1_07_011] →(旧小脳(古小脳)(前葉lobus anterior)は第1裂の前方にあり、伸展受容器からのインパルスが脊髄小脳路を伝わってこの部分に至り、筋緊張の調節と最も関係が深い。)

Neocerebellum(新小脳)Neocerebellum しんしょうのう Feneis: 286 08

[A14_1_07_012] →(新小脳は発生学的に原始小脳、旧(古)小脳よりも新しく、また最も大きい部分で、第1裂と後外側裂との間を占める。この部分は対側の大脳皮質から橋核を経由してきた入力を受け、体性運動機能の協調に密接に関与する。ヒトを含む霊長類で最高度に発達している。)

External features(表面の形状(小脳の))Morphologia externa ひょうめんのけいじょう(しょうのうの)  [A14_1_07_012_2]

 

Body of cerebellum(小脳体)Corpus cerebelli しょうのうたい Feneis: 284 15

[A14_1_07_101] →(小脳体は片葉小節葉を除いた小脳全体で第一裂によって前葉と後葉に区分される。前葉は主として脊髄と連絡する。後葉は系統発生的に新しく、大脳皮質の発育に伴って発達する。)

Anterior lobe of cerebellum(小脳前葉)Lobus cerebelli anterior しょうのうぜんよう Feneis: 284 18

[A14_1_07_101_1] →(小脳前葉は小脳第一裂より前方の小脳体。①虫部では小脳小舌、中心小葉、山頂、②小脳半球では小脳小舌ヒモ、中心小葉翼、四角小葉が含まれる。)

Posterior lobe of cerebellum(小脳後葉)Lobus cerebelli posterior しょうのうこうよう Feneis: 284 25

[A14_1_07_101_2] →(小脳後葉は第一裂と後外側裂の間になる区域。①小脳虫部では山腹、虫部葉、虫部隆起、虫部錐体、虫部垂、②小脳半球では単小葉、上半月小葉、薄葉、二腹小葉、小脳扁桃が含まれる。)

Flocculonodular lobe(片葉小節葉;前庭小脳)Lobus flocculonodularis へんようしょうせつよう;ぜんていしょうのう Feneis: 286 01

[A14_1_07_101_3] →(片葉小節葉は前庭神経と密接に関係することから前庭小脳ともよばれ、小脳の中で歴史的に最も古い領域であり、魚類や鳥類の小脳では大きく発達している。人の小脳では、片葉小節葉はあまり発育せず、小脳体が非常に大きくなる。大きくなった小脳体には、左右方向に走る溝ができる。この溝は第一裂と呼ばれるが、小脳体に最初にできる溝という意味であって、正式には小脳体第一裂とよぶべき溝である。小脳に最初にできる溝は後外側裂であって、第一裂は小脳全体としてみると二番目にできる溝である。第一裂ができることによって、小脳体は吻側部の前葉と、尾側部の後葉とに分けられる。小脳は元来前庭神経に続き、その中枢として生じたものである。)

Vermis of cerebellum [I-X]; *Cerebellar vermis(小脳虫部[第I-X小葉])Vermis cerebelli [I-X] しょうのうちゅうぶ[だい1-10しょうよう] Feneis: 284 16

[A14_1_07_006] →(小脳虫部は小脳のなかで系統発生学的に古い無対の部分。小脳虫部は小脳正中部の構造であるが、左右それぞれ半分が両側の前庭神経核群や橋および延髄の網様体に投射する。この投射経路には、小脳皮質前庭神経核線維(前庭神経外側核へ入るプルキンエ細胞の軸索)によるものと、室頂核(または小脳内側核)からのものとがある。小脳虫部皮質のプルキンエ浅部の軸索が室頂核(内側核)へ入るのに対して、小脳半球皮質のプルキンエ細胞の軸索は小脳中位核と歯状核(または小脳外側核)に終止する。これらの小脳核から起こる小脳の出力線維は上小脳脚を通って小脳から出ていく。小脳虫部は、吻側部で形態的に舌状の小脳小舌となって上髄帆と癒着し、虫部の下縁(虫部小節)は、左右の下髄帆の間に挿入されるように存在する。)

Vincula of cerebellar lingula(小脳小舌ヒモ)Vincula lingulae cerebelli しょうのうしょうぜつひも

[A14_1_07_103a]→小脳小舌ひもは小脳脚の背側面にある小脳虫部の小舌の外側への小突起。

Hemisphere of cerebellum [H II - H X]; *Cerebellar hemispheres(小脳半球[第II-X半球小葉])Hemispherium cerebelli [H II -H X] しょうのうはんきゅう[だい2-10はんきゅうしょうよう] Feneis: 284 17

[A14_1_07_004] →(小脳の大半を占める左右の半球。系統発生上でもっとも新しい新小脳に相当する。各種の協調運動に関わるため、傷害されると、手や指で何かをしようとする際のふるえ(企図振戦)や、指を目標までスムーズに移動できない(ジメストリー)などの運動調節障害が生じる。大脳皮質との間に連絡をもつ。[→小脳のはたらき 参照](イラスト解剖学))

Superior surface of cerebellum(上面(小脳の))Facies superior (Cerebellum) じょうめん(しょうのうの)

[A14_1_07_004a]→

Anterior lobe of cerebellum(小脳前葉)Lobus cerebelli anterior しょうのうぜんよう Feneis: 284 18

[A14_1_07_102] →(小脳前葉は小脳第一裂より前方の小脳体。①虫部では小脳小舌、中心小葉、山頂、②小脳半球では小脳小舌ヒモ、中心小葉翼、四角小葉が含まれる。)

Lingula of cerebellum [I](小脳小舌;第I小葉)Lingula cerebelli [I] しょうのうしょうぜつ;だい1しょうよう Feneis: 284 19

[A14_1_07_103] →(小脳小舌は小脳虫部の前端(または上端)を形成し、2つの盛り上がる上小脳脚の間の上髄帆の表面上を前方へのびる。Larsellの区分に従えば小葉(Ⅰ)に相当する。Larsellは比較解剖学的立場より、小脳虫部の小葉にⅠからⅩまでの番号を付した。一方、人の小脳虫部は9の虫部小葉と、Larsellの小葉の対応関係は単純ではない。)

Precentral fissure of cerebellum; Post-lingual fissure of cerebellum(中心小葉前裂;小舌後裂(小脳の))Fissura precentralis cerebelli; Fissura postlingualis ちゅうしんしょうようぜんれつ;しょうぜつこうれつ(しょうのうの)

[A14_1_07_104] →(小脳の中心前裂は小脳前葉中心小葉の前部(小葉Ⅱ)と後部(小葉Ⅲ)の間にある裂で、虫部から小脳縁まで伸びている。中心前裂は小葉Ⅰと小葉Ⅱの間にみられ、後者は中心小葉の前部となる。)

Central lobule of cerebellum [II and III](小脳中心小葉;中心小葉[第II・III小葉])Lobulus centralis cerebelli [II et III] しょうのうちゅうしんしょうよう;ちゅうしんしょうよう[だい2・3しょうよう] Feneis: 284 20

[A14_1_07_105] →(小脳の中心小葉は小脳小舌と山頂の間にある小脳上虫部の部分で、Larsellの区分に従えば小葉(Ⅱ)と小葉(Ⅲ)に分けられる。)

Anterior part of central lobule of cerebellum; Ventral part central lobule of cerebellum [II](中心小葉の前部;小脳の中心小葉の腹側部[第II小葉](小脳の))Pars anterior lobuli centalis cerebelli; Pars ventralis lobuli centralis cerebelli [II] ちゅうしょうようのぜんぶ;しょうのうのちゅうしんしょうようのふくそくぶ[だい2しょうよう](しょうのうの)

[A14_1_07_106] →(小脳の中心小葉の前部はLarsellの区分に従えば小葉Ⅱに相当する。)

Posterior part of central lobule of cerebellum; Dorsal part of central lobule of cerebellum [III](後部;背側部[第III小葉](小脳の中心小葉の))Pars posterior lobuli centralis cerebelli; Pars dorsalis lobuli centralis cerebelli [III] こうぶ;はいそくぶ[だい3しょうよう](しょうのうちゅうしんしょうようの)

[A14_1_07_107] →(小脳の中心小葉の後部はLarsellの区分に従えば小葉Ⅲに相当する。)

Wing of central lobule of cerebellum(中心小葉翼[第II・III半球小葉](小脳の))Ala lobuli centralis ちゅうしんしょうようよく[だい2・3はんきゅうしょうよう](しょうのうの) Feneis: 284 22

[A14_1_07_108] →(小脳の中心小葉翼は小脳中心小葉の側方へのびだした部分。小脳半球と結合する。Larsellの区分に従えば腹側部にある小脳半球小葉(H-Ⅱ)および背側部にある小脳半球小葉(H-Ⅲ)に相当する。)

Quadrangular lobule (H IV-V)(四角小葉(HIV-V))Lobulus quadrangularis しかくしょうよう

[A14_1_07_108_0]→

Inferior part of wing of central loble of cerebellum; Ventral part of wing of central lobule of cerebellum [H II](下部;腹側部[第II半球小葉](小脳の中心小葉翼の))Pars inferior alaris lobuli centralis cerebelli; Pars ventralis alaris lobuli centralis cerebelli [H II] かぶ;ふくそくぶ[だい2はんきゅうしょうよう](しょうのうのちゅうしんしょうようよくの)

[A14_1_07_109] →(小脳の中心小葉翼の腹側部はLarsellの区分に従えば小脳半球にある小葉Ⅱに相当する。)

Superior part of wing of central lobule of cerebellum; Dorsal part of wing of central lobule of cerebellum [H III](上部;背側部[第III半球小葉](小脳の中心小葉翼の))Pars superior alaris lobuli centralis cerebelli; Pars dorsalis alaris lobuli centralis cerebelli [H III] じょうぶ;はいそくぶ[だい3はんきゅうしょうよう](しょうのうのちゅうしんしょうようよくの)

[A14_1_07_110] →(小脳の中心小葉翼の背側部はLarsellの区分に従えば小脳半球にある小葉Ⅲに相当する。)

Preculminate fissure; Post-central fissure of cerebellum(山頂前裂;後中心裂;中心後裂(小脳の))Fissura preculminalis; Fissura postcentralis cerebelli さんちょうぜんれつ;こうちゅうしんれつ;ちゅうしんこうれつ(しょうのうの)

[A14_1_07_111] →(小脳山頂前裂は小脳皮質前葉の小葉Ⅲと小葉Ⅳとの間にある裂、すなわち中心小葉と山頂との間の裂で、虫部から小脳縁まで伸びている。)

Monticulus(小山)Monticulus しょうざん

[A14_1_07_111_1]→虫部上面の大部分を占める隆起部で、前方は中心小葉後溝を介して中心小葉に接し、後方は後上裂を介して虫部葉に接し、外側は半球部の四角小葉に連なる。小山はさらに前方の高所とその後方低い部分に分けられ、それぞれ山頂、山腹と呼ばれる。

Culmen [IV and V](山頂[第IV・V小葉])Culmen [IV et V] さんちょう[だい4・5しょうよう] Feneis: 284 21

[A14_1_07_112] →(山頂は小脳虫部前部の突起部分で、第1裂の上方の虫部葉。Larsellの区分に従えば小葉(Ⅳ)と小葉(Ⅴ)に分けられる。)

Anterior part of culmen; Ventral part of culmen [IV](前部;腹側部[第IV小葉](山頂の))Pars anterior culminis; Pars ventralis culminis [IV] ぜんぶ;さんちょうのふくそくぶ[だい4しょうよう](さんちょうの)

[A14_1_07_113] →(山頂の腹側部はLarsellの区分に従えば小葉Ⅳに相当する。)

Intraculminate fissure(山頂内裂)Fissura intraculminalis さんちょうないれつ

[A14_1_07_114] →(山頂内裂は山頂小葉にあって小脳皮質前葉の小葉Ⅳと小葉Ⅴとを分ける裂で、小脳の外側縁まで続いている。)

Posterior part of culmen; Dorsal part of culmen [V](後部;背側部[第V小葉](山頂の))Pars posterior culminis; Pars dorsalis culminis [V] こうぶ;はいそくぶ[だい5しょうよう](さんちょうの)

[A14_1_07_115] →(山頂の背側部はLarsellの区分に従えば小葉Ⅴに相当する。)

Anterior quadrangular lobule of cerebellum [H IV and H V](前四角小葉[第IV・V半球小葉](小脳の))Lobulus quadrangularis anterior cerebelli [H IV et H V] ぜんしかくしょうよう[だい4・5はんきゅうしょうよう](しょうのうの) Feneis: 284 23

[A14_1_07_116] →(小脳の前四角小葉は小脳半球の上部の主たる部分で、虫部山頂に並ぶ半球部で前部と後部からなり山頂前裂と第一裂にある。Larsellの区分に従えば小脳半球小葉(H-Ⅳ)と小脳半球小葉(H-Ⅴ)に分けられる。以前は前四角小葉は単に四角小葉と呼ばれていた。)

Anterior part of anterior quadrangular lobule of cerebellum; Ventral part of anterior quadrangular lobule of cerebellum [H IV](前部;腹側部[第IV半球小葉](小脳の前四角小葉の))Pars anterior lobuli quadrangularis anterioris; Pars ventralis quadrangularis anterioris cerebelli [H IV] ぜんぶ;ふくそくぶ;[だい4はんきゅうしょうよう](しょうのうのぜんしかくしょうようの)

[A14_1_07_117] →(小脳の前四角小葉の腹側部はLarsellの区分に従えば小脳半球小葉Ⅳに相当する。)

Posterior part of anterior quadrangular lobule of cerebellum; Dorsal part of anterior quadrangular lobule of cerebellum [H V](後部;背側部[第V半球小葉](小脳の前四角小葉の))Pars posterior lobuli quadrangularis anterioris cerebelli; Pars dorsalis lobuli quadrangularis anterioris cerbelli [HV] こうぶ;はいそくぶ[だい5はんきゅうしょうよう](しょうのうのぜんしかくしょうようの)

[A14_1_07_118] →(小脳の前四角小葉の背側部はLarsellの区分に従えば小脳半球小葉Ⅴに相当する。)

Primary fissure of cerebellum; Preclival fissure of cerebellum(第一裂;山腹前裂;斜台前方裂(小脳の))Fissura prima; Fissura preclivalis だいいちれつ;さんぷくぜんれつ;しゃだいぜんぽうれつ(しょうのうの) Feneis: 284 24

[A14_1_07_119] →(小脳の第一裂は小脳の最も深い溝で、前葉と後葉とを分画している。つまり四角小葉と単小葉間の切れ目。)

Posterior lobe of cerebellum(小脳後葉)Lobus cerebelli posterior しょうのうこうよう Feneis: 284 25

[A14_1_07_201] →(小脳後葉は第一裂と後外側裂の間になる区域。①小脳虫部では山腹、虫部葉、虫部隆起、虫部錐体、虫部垂、②小脳半球では単小葉、上半月小葉、薄様、二腹小葉、小脳扁桃が含まれる。)

Simple lobule of cerebellum [H VI and VI](単小葉[第VI半球小葉と第VI小葉](小脳の))Lobulus simplex cerebelli [H VI et VI] たんしょうよう[だい6はんきゅうしょうようとだい6しょうよう](しょうのうの) Feneis: 284 32

[A14_1_07_202] →(小脳の単小葉は小脳半球後部の中で前方に位置する小葉で、第一裂で前は前部(四角小葉)と堺し、後ろは後上裂によって大きな係蹄小葉と境している。これまでは小脳半球小葉(H-Ⅵ)を単小葉と呼んでいたがTAでは後四角小葉とし、後四角小葉と山腹を合わせて単小葉と呼んでいる。)

Declive [VI](山腹[第VI小葉](小脳の))Declive [VI] さんぷく[だい6しょうよう](しょうのうの) Feneis: 284 26

[A14_1_07_203] →(小脳の山腹は小脳虫部で山頂より背側へ下る部分で、第一裂の下方の虫部葉、Larsellの区分に従えば小脳虫部の小葉(Ⅵ)に相当する。)

Posterior quadrangular lobule of cerebrallum [H VI]; Simplex lobule(後四角小葉[第VI半球小葉])Lobulus quadrangularis posterior cerebelli [H VI] こうしかくしょうよう[だい6はんきゅうしょうよう]

[A14_1_07_204] →(小脳の後四角小葉はこれまで単小葉と呼ばれていた。Larsellの区分に従えば小脳半球の小葉Ⅵに相当する。)

Posterior superior fissure of cerebellum; Post-clival fissure of cerebellum(上後裂;山腹後裂(小脳の))Fissura posterior superior cerebelli; Fissura post clivalis じょうこうれつ;さんぷくこうれつ(しょうのうの)

[A14_1_07_205] →(小脳後葉の後四角小葉Ⅵと上半月小葉Ⅶの間にある裂で、小脳外側縁まで延びている。)

Folium of vermis [VII A](虫部葉[第VII A小葉])Folium vermis [VII A] ちゅうぶよう[だい7Aしょうよう] Feneis: 284 27

[A14_1_07_206] →(虫部葉は左右の上半月小葉間をむすぶ狭い帯部。Larsellの区分に従えば小葉(Ⅶa)に相当する。)

Semilunar lobules of cerebellum; Ansiform lobule of cerebellum [H VII A](半月小葉;係蹄状小葉[第VII A半球小葉](小脳の))Lobuli semilunares cerebelli; Lobul ansiformis cerebelli [H VII A] はんげつしょうよう;けいていじょうしょうよう[だい7Aはんきゅうしょうよう](しょうのうの)

[A14_1_07_207] →(小脳半球の大半を形成する。その上面と下面は水平裂で隔てられており、その主要部分は第Ⅰ脚(上半月小葉)と第Ⅱ脚(下半月小葉)として知られている。Larsellの区分に従えば小脳半球小葉Ⅶaに相当する。)

Superior semilunar lobule of cerebellum; First crus of aniform lobule of cerebellum [H VII A](上半月小葉;係蹄状小葉第一脚[第VII A半球小葉](小脳の))Lobulus semilunaris superior cerebelli; Crus primum lobuli ansiformis cerebelli [H VII A] じょうはんげつしょうよう;けいていじょうしょうようだい1きゃく[だい7Aはんきゅうしょうよう](しょうのうの) Feneis: 284 33

[A14_1_07_208] →(小脳の上半月小葉は小脳半球上面のうち、水平裂と正中傍裂との間の部分と虫部葉と虫部隆起の一部を合わせた部。係蹄小葉の第Ⅰ脚とも呼ばれる。)

Horizontal fissure of cerebellum; Intercrural fissure of cerebellum(水平裂;脚間裂(小脳の))Fissura horizontalis cerebelli; Fissura intercruralis cerebelli すいへいれつ;きゃくかんれつ(しょうのうの) Feneis: 284 34

[A14_1_07_209] →(小脳の水平裂は小脳の係蹄小葉の第Ⅰ脚と第Ⅱ脚に2大別している水平な裂溝。つまり上および下半月小葉間の深い隙間。)

Inferior semilunar lobule of cerebellum; Second crus of ansiform lobule of cerebellum [H VII A](下半月小葉;係蹄状小葉第二脚[第VII A半球小葉](小脳の))Lobulus semilunaris inferior; Crus secundum lobuli ansiformis cerebelli[H VII A] かはんげつしょうよう(しょうのうの);けいていじょうしょうようのだい2きゃく[だい7Aはんげつしょうよう] Feneis: 284 35

[A14_1_07_210] →(小脳の下半月小葉は上半月小葉および単小葉の間にある。)

Inferior posterior sulcus; Lunogracile fissure; Ansoparamedian fissure(薄月状裂;係蹄正中傍裂)Fissura inferior posterior; Fissura lunogracilis; Fissura ansoparamedianis はくげつじょうれつ;けいていせいちゅうぼうれつ

[A14_1_07_211] →(小脳皮質後葉の係蹄小葉の第二脚(H VII A)と正中傍小葉(H VII B)の間の裂。)

Tuber of vermis [VII B](虫部隆起[第VII小葉])Tuber vermis [VII B] ちゅうぶりゅうき[だい7しょうよう] Feneis: 284 28

[A14_1_07_212] →(小脳の虫部隆起は小脳虫部下方の後部で、虫部葉と虫部錐体の間に位置する。Larsellの区分に従えば小葉(Ⅶb)に相当する。)

Gracile lobule; Paramedian lobule [H VII B](薄小葉;正中傍小葉[第VII B半球小葉](小脳の))Lobulus gracilis; Lobulus paramedianus [H VII B] はくしょうよう;せいちゅうぼうしょうよう[だい7Bはんきゅうしょうよう](しょうのうの) Feneis: 284 36

[A14_1_07_213] →(小脳の薄小葉は小脳の後下小葉の前方部分。後方部分は下半月葉である。この2つの部分は虫部の結節に連続する。Larsellの区分に従えば小脳半球の小葉Ⅶbに相当する。)

Prebiventral fissure; Prepyramidal fissure of cerebellum(二腹小葉前裂;錐体前裂)Fissura prebiventralis; Fissura prepyramidalis cerebelli にふくしょうようぜんれつ;すいたいぜんれつ

[A14_1_07_214] →(小脳後葉の小葉Ⅶと小葉Ⅳとの間にある裂で、前葉と後葉とを分画している。第二列は胎生期にもに出現する。)

Pyramis; Pyramid of vermis [VIII](虫部錐体[第VIII小葉])Pyramis vermis [VIII] ちゅうぶすいたい[だい8しゅうよう] Feneis: 284 29

[A14_1_07_215] →(小脳虫部錐体は小脳虫部葉下方で虫部隆起と虫部垂の間の部分。Larsellの区分に従えば小葉(Ⅷ)に相当する。)

Biventral lobule [H VIII](二腹小葉[第VIII半球小葉])Lobulus biventer [H VIII] にふくしょうよう[だい8はんきゅうしょうよう] Feneis: 284 37

[A14_1_07_216] →(二腹小葉は小脳半球の下面にある小葉で、弯曲した溝によって外側部、内側部に分けられる。虫部錐体に相応する。Larsellの区分に従えば小脳半球の小葉(Ⅷ)に相当する。)

Lateral part of biventral lobule; Pars copularis [H VIII A](外側部[第VIII A半球小葉](二腹小葉の))Pars lateralis lobuli biventralis; Pars copularis lobuli paramediani [H VIII A] がいそくぶ[だい8Aはんきゅうしょうよう](にふくしょうようの)

[A14_1_07_217] →(二腹小葉の外側部はLarsellの区分に従えば小脳半球の小葉Ⅷaに相当する。)

Intrabiventral fissure; Anterior inferior fissure of cerebellum(二腹小葉内裂;前下裂;下前裂(小脳の))Fissura intrabiventralis; Fissura anterior inferior cerebelli にふくないれつ;ぜんかれつ;かぜんれつ(しょうのうの)

[A14_1_07_218] →(小脳の二腹小葉の内側部と外側部を分ける弯曲した溝。)

Medial part of biventral lobule; Dorsal parafloccularis [H VIII B](二腹小葉内側部;背側傍片葉[第VIII B半球小葉](二腹小葉の))Pars medialis lobuli biventralis; Lobulus parafloccularis dorsalis [H VIII B] にふくしょうようないそくぶ;はいそくぼうへんよう[だい8Bはんきゅうしょうよう](にふくしょうようの)

[A14_1_07_219] →(二腹小葉内側部はLarsellの区分に従えば小脳半球の小葉Ⅷbに相当する。)

Secondary fissure of cerebellum; Post-pyramidal fissure of cerebellum(第二裂;錐体後裂(小脳の))Fissura secunda cerebelli; Fissura postpyramidalis cerebelli だい2れつ;すいたいこうれつ(しょうのうの) Feneis: 284 30

[A14_1_07_220] →(小脳の第二裂は虫部錐体と虫部垂のあいだの小脳溝である。)

Uvula vermis [IX](虫部垂[第IX小葉])Uvula vermis [IX] ちゅうぶすい[だい9しょうよう] Feneis: 284 31

[A14_1_07_221] →(小脳虫部垂は小脳虫部上の三角形の隆起で、錐体の前方の2つの扁桃の間にある。Larsellの区分に従えば小葉(Ⅸ)に相当する。)

Tonsil of cerebellum; Ventral paraflocculus [H IX](小脳扁桃;腹側傍片葉[第IX半球小葉])Tonsilla cerebelli; Paraflocculus ventralis [H IX] しょうのうへんとう;ふくそくぼうへんよう[だい9はんきゅうしょうよう] Feneis: 284 38

[A14_1_07_222] →(小脳扁桃は左右の小脳半球の下面にある円形な小葉。内側は小脳虫部垂に続く。小脳片葉の傍らの腹側部にあるところから腹側傍片葉と呼ばれている。Larsellの区分に従えば小脳半球の小葉(H-Ⅸ)に相当する。)

Posterolateral fissure of cerebellum(後外側裂(小脳の))Fissura posterolataralis cerebelli こうがいいそくれつ(しょうのうの) Feneis: 284 39

[A14_1_07_223] →(小脳の後外側裂は小脳の発育時に最も早く現れる裂で、小葉と小節とを虫部垂と扁桃から分離している。)

Flocculonodular lobe(片葉小節葉;前庭小脳)Lobus flocculonodularis へんようしょうせつよう;ぜんていしょうのう Feneis: 286 01

[A14_1_07_301] →(片葉小節葉は前庭神経と密接に関係することから前庭小脳ともよばれ、小脳の中で歴史的に最も古い領域であり、魚類や鳥類の小脳では大きく発達している。人の小脳では、片葉小節葉はあまり発育せず、小脳体が非常に大きくなる。大きくなった小脳体には、左右方向に走る溝ができる。この溝は第一裂と呼ばれるが、小脳体に最初にできる溝という意味であって、正式には小脳体第一裂とよぶべき溝である。小脳に最初にできる溝は後外側裂であって、第一裂は小脳全体としてみると二番目にできる溝である。第一裂ができることによって、小脳体は吻側部の前葉と、尾側部の後葉とに分けられる。小脳は元来前庭神経に続き、その中枢として生じたものである。)

Nodule of vermis [X](小節;虫部小節[第X小葉])Nodulus vermis [X] しょうせつ;ちゅうぶしょうせつ[だい10しょうよう] Feneis: 286 02

[A14_1_07_302] →(小脳虫部小節は片葉脚により片葉と連絡する虫部の隆起。Larsellの区分に従えば小脳半球の小葉(Ⅹ)に相当する。)

Peduncle of flocculus(片葉脚;片葉柄)Pedunculus flocculi へんようきゃく;へんようへい Feneis: 286 04

[A14_1_07_303] →(片葉脚は虫部小節との結合索で一部は下髄帆に移行する。)

Flocculus [H X](片葉[第X半球小葉])Flocculus [H X] へんよう[だい10はんきゅうしょうよう] Feneis: 286 03

[A14_1_07_304] →(片葉は下小脳脚と二腹小葉の後方で中小脳脚後縁にある小脳の小葉。虫部結節と連絡しており、これらの2つの構造は小脳前庭部を構成する。Larsellの区分に従えば小脳半球小葉(H-Ⅹ)に相当する。)

Internal features(内部の特徴(小脳の))Morphologia interna ないぶのとくちょう(しょうのうの) Feneis: 286 09 [A14_1_07_304_2]

Arbor vitae(小脳活樹;生命樹)Arbor vitae; Arbor vitae cerebelli しょうのうかつじゅ;せいめいじゅ Feneis: 286 10

[A14_1_07_401] →(小脳括樹は矢状断面において髄体から分岐した複雑な樹木のようにみえる見える髄板と小脳回の状態を活樹となづける。また、昔から後頭骨と第一頚椎の間から針を刺すと死亡することから生命に関係するところ「生命の樹」と誤って考えられたことによる。実際には延髄損傷による死亡である。)

Cerebellar cortex; Cortex of cerebellum(小脳皮質)Cortex cerebelli しょうのうひしつ Feneis: 286 13

[A14_1_07_402] →(小脳皮質は小脳のすべての部分で均一な構造を示し、左右を分ける正中の縫線もなく広がり、表面から①分子層、②Purkinje細胞層、③顆粒層の3層に明瞭に分かれ、その中に5種類の細胞が含まれる。)

Granular layer of cerebellar cortex(顆粒層;顆粒細胞層(小脳皮質の))Stratum granulosum corticis cerebelli かりゅうそう;かりゅうさいぼうそう(しょうのうひしつの) Feneis: 286 16

[A14_1_07_403] →(顆粒細胞層はニッスル染色標本ではリンパ球に似た染色質をもつ核が密集して見える。顆粒細胞は非常に密集しており(300万~700万/mm3)、細胞の軸索や他の線維が通る余裕がないほどである。顆粒細胞の直径5~8μmの円形または卵円形の細胞で、核膜の周囲には染色質顆粒が集まっている。細胞形質やNissl小体が少ないので核が露出しているように見える。顆粒細胞はグルタミン酸塩に対して免疫反応性をもつ。顆粒細胞からは4,5本の短い樹状突起が出て“小脳糸球”に終わっている。小脳糸球は小脳島ともいわれ、顆粒細胞のない部分であり、不規則に散在する。顆粒細胞の軸索は無髄で、分子層を垂直に上行し、表層で分岐して小葉の長軸に平行に走る。これらの線維を平行線維といい、分子層の全層にわたって認められ、Purkinje細胞の樹状突起の広がりに対して直角に走る。これをたとえてみると、繋がった木の枝を伝染が通過しているようなものである。軸索はPurkinje細胞樹状突起の棘とシナプス結合するが、これを“交叉性”シナプスと呼ぶ。GolgiⅡ型細胞は主に顆粒層の上部にあり、小胞状の覚と色素によく染まる胞体をもつ。その樹状突起は小脳皮質全層にわたり、方向性のない分枝を行い、分子層内で平行線維に接する。また、軸索は細胞体の下の果粒層内で数多く分枝し、“小脳糸球”に終わる。)

Purkinje cell layer; Ganglionic layer of cerebellar cortex(プルキンエ細胞層;梨状細胞層;神経節細胞層(小脳皮質の))Stratum purkinjenase corticis cerebelli ぷるきんえさいぼうそう;りじょうさいぼうそう;しんけいせつさいぼうそう(しょうのうひしつの)Purkinje cell layer Feneis: 286 15

[A14_1_07_404] →(プルキンエ細胞層とよばれるほうが一般的で梨状細胞層とはよばれることはすくない。この層は顆粒層の上縁に一列に並ぶ多数の大型でフラスコ型をした細胞(Purkinje細胞)からなる。Purkinje細胞は濃染する核小体のある明瞭な小胞状の核をもち、Nissl小体は不規則で、胞体からは小葉の長軸に対して直角な面にのみ広がる扁平な扇状の特異な樹状突起が出る。この分枝の範囲は矢状断切片でのみ明らかに認めることができる。樹状突起の第一次、第二次分枝の表面は滑らかであるが、第三次分枝以後は表面に太く短く粗い棘をもつ。これらの太い樹状突起の棘を有棘小枝spiny branchletあるは芽球という。より大きな樹状突起はさらに太く短い棘があり、平滑小枝smooth branchletとよばれる。Purkinje細胞の軸索は有髄で、顆粒層および白質を通り深部の小脳核にシナプス結合するが、その場合に最短距離を通って投射する。Purkinje細胞の特徴は一面的拡がりをもつことで、樹状突起分枝および軸索投射が長軸に対して垂直の面に限られる。Purkinje細胞の軸索は小脳皮質からの遠心性経路であるが、その側枝は顆粒層内のGolgiⅡ型細胞とシナプス結合する。生化学的研究により、大部分のPurkinje細胞がγ-アミノ酪酸(GABA)を含有し、これが主要な伝達物質であることが明らかにされた。小脳のこの細胞は神経細胞として最初に同定され(1837)、また顕微鏡的にその詳細が明らかにされたのも最初の物である。さらに伝達物質の生合成に関与しない特定の免疫標識物質が見いだされた最初の神経細胞の一つでもある。Guanosine 3':5'-リン酸塩-依存性プロテインキナーゼ(cGK)抗血清はPurkinje細胞に特的な免疫組織化学標識物質であり、細胞形質、樹状突起および軸索分枝を染め出す。ボヘミア(チェコ)の生理学者Johannes Evangelista von Purkinjeはドイツに学び、プレスローの教授であったのち、故国プラハの教授となる。1842年に最初の生理学実験室をプレスローに設立した人。ミクロトーム、ガラス板、バルサム封入法を発明。小脳のプルキンエ細胞を1837年に、心臓のプルキンエ線維を1839年に記述している。)

Molecular layer of cerebellar cortex(分子層(小脳皮質の))Stratum moleculare corticis cerebelli ぶんしそう(しょうのうひしつの) Feneis: 286 14

[A14_1_07_405] →(分子層には2種類の細胞、深層にある細胞の樹状突起の分枝および小葉の長軸に平行に走る多数の細い軸索がある。細胞は籠細胞と外星状細胞で、これらの細胞の樹状突起と外星状細胞の軸索とは分子層内のみにとどまる。また両細胞の軸索は矢状面に配列し(小葉の長軸に対して直角)、そのうち外星状細胞の軸索はPurkinje細胞の樹状突起にシナプス結合する。籠細胞はこの層で深部でPurkinje細胞体の近くに位置し、その樹状突起は分子層を上行し、また無髄の軸索は矢状面において多くのPurkinje細胞体の周囲に複雑な終末分枝を作る。1つの籠細胞は小葉の前後軸の方向へ約10個のPurkinje細胞とシナプス結合する。分層にはこれら比較的少数の細胞のほかにPurkinje細胞とGolgiⅡ型細胞の樹状突起および小葉の長軸に沿って横走する顆粒細胞の軸索(平行線維)がある。樹状突起は小脳回の長軸に対して直角の方向に広く扇状に分枝して分子層に拡がる。軸索は小脳皮質を出て小脳核や前庭神経核に、また軸索反回側枝は他のPurkinje細胞やGolgi細胞におわり抑制的に作用する。)

Cerebellar nuclei(小脳核)Nuclei cerebelli しょうのうかく Feneis: 286 17

[A14_1_07_406] →(小脳の深部にある灰白質で内側から外側にかけて室頂核、栓状核、球状核、歯状核の四つの核が区別される。下等哺乳類では、室頂核に相当する内側核、歯状核に相当する外側核、および両者の間に位置する中位核が区別さえる中位核はさらに、栓状核と球状核に相当する前中位核と後柱胃角とに分けられる。室頂核は第四脳室の室頂のところで正中線の両側に存在する。歯状核は他の核に比して系統発生的に新しく、動物が高等になるにつれて発育がよくなり、ヒトでは最大の核となる。その形はオリーブ核に似て、しわのある袋状をなし、内側に向けられたその口は、歯状核門とよばれる。そこは歯状核細胞の軸索が集まって出るところである。小脳視床路、小脳赤核路などがある。室頂核からは、下小脳脚を通る鈎状束を含む室頂核延髄路・脊髄路がある。その他、小脳核の細胞の遠心性軸索の側枝は小脳皮質にも投射する(核皮質線維)。小脳核は小脳皮質のPurkinje細胞の抑制性投射を受ける。これには局在性が認められ、原則として小脳皮質虫部は室頂核に、虫部傍皮質は中位核(栓状核と球状核)に、外側の半球部皮質は歯状核に投射する。これに対して興奮性の求心路としてオリーブ核、外側毛様体か区、舌下神経周囲核、前庭神経核、脊髄などからの投射がある。これらの求心路は小脳核に対して局在性をもって終止する。大部分は皮質へ向かう投射路の側枝である。)

Dentate nucleus; Nucleus lateralis cerebelli(歯状核;小脳外側核)Nucleus dentatus; Nucleus lateralis cerebelli しじょうかく;しょうのうがいそくかく Feneis: 286 18

[A14_1_07_407] →(歯状核は小脳核の中で最も外側にある最も大きい核。小脳半球の白質中に位置する。この核は横断切片では渦巻形の灰白質が袋状に並び、袋の口(歯状核門)が内側方に向かい、下オリーブ複合核によく似ている。核は主に大型で多くの分枝した樹状突起をもつ多極細胞よりなる。より内側に位置している球状核や栓状核とともに、上小脳脚または結合腕を形成する線維の主な起始をなす。)

Hilum of dentate nucleus(歯状核門;歯状核口)Hilum nuclei dentati しじょうかくもん;しじょうかくこう Feneis: 286 19

[A14_1_07_408] →(小脳の歯状核門は小脳のフラスコ状歯状核門で、内方を向き、上小脳脚または結合腕をつくる線維群に出口を与えている。)

Capsule of dentate nucleus(歯状核嚢)Capsula nuclei dentati [A14_1_07_408b]→

Emboliform nucleus; Anterior interpositus nucleus(栓状核;前中位核)Nucleus interpositus anterior; Nucleus emboliformis せんじょうかく;ぜんちゅういかく Feneis: 286 20

[A14_1_07_409] →(栓状核は楔形の細胞集団で、歯状核門の知覚に位置する。歯状核とよく似た細胞からなり、しばしば両者を区別することが困難である。小脳皮質中間域のPurkinje細胞の軸索を受ける。この核の細胞の軸索は上小脳脚から小脳を出て行く。 TAではAnterior interpositus nucleus; Emboliform nucleusとなっている。)

Globose nucleus; Posterior interpositus nucleus(球状核;後中位核)Nucleus interpositus posterior; Nucleus globosus きゅうじょうかく;こうちゅういかく Feneis: 286 21

[A14_1_07_410] →(球状核は2~3個の円い細胞集団で、栓状核の内側、室頂核の外側に位置する。ここには大型および小型の多極細胞がある。下等哺乳動物では栓状核と球状核は連続しているように見え、これらを一括して中位核とよぶ。その組成細胞および線維連絡の違いにより、これはヒトの、①栓状核に相当する前中位核と、②球状核に相当する後中位核に区別される。)

Fastigial nucleus; Nucleus medialis cerebelli(室頂核;小脳内側核;内側核)Nucleus fastigii; Nucleus medialis cerebelli しつちょうかく;しょうのうないそくかく;ないそくかく Feneis: 286 22

[A14_1_07_411] →(室頂核は小脳核のうち最も内側で、第四脳室上壁の正中線知覚に位置する。核の中で細胞に差があり、小型細胞が腹側を示す。この核の外側縁の細胞は腹外側に伸びて前庭神経核に向かっているが、GolgiⅡ型細胞は存在しないようである。他の小脳核の細胞と異なり、室頂核細胞からは交叉性および非交叉性軸索が出、そのうち交叉性のものは核の吻側部から多く出る。小脳核の細胞はPurkinje細胞とは異なり、促進的で、小脳の外に投射する。免疫組織化学の研究結果から、小脳核の全ての細胞の促進性伝達物質はグルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩であるらしいと考えられる。小脳皮質からの唯一の出力であるプルキンエ細胞は一定の配列様式をもって小脳核に投射し、小脳髄質中に存在する細胞群(小脳核)から起こる促進性出力系に対して抑制的に働く。室頂核からの遠心性線維は、①上小脳脚を通らない、②大部分が小脳内で交叉する。③脳幹各部の神経核に投射する、点で特徴的である。室頂核からの交叉性線維は鈎状束を通って小脳の外に出るが、これは上小脳脚の周囲を弓形に走る。また非交叉性線維は傍索状体を通って脳幹に投射する。鈎状束中の交叉性線維は室頂核のすべての部位の細胞から起こり、その数は傍索状体中を走る非交叉性線維より多い。室頂核からの投射線維のうちで最も多いのは下位脳幹へ到るものである。前庭神経核への投射は両側性で、前庭神経外側核および下核の腹側部に対称性に終わる。室頂核網様体線維は主に核の吻側部から起こり、大部分交叉して、①巨大細胞性網様核の内側部、②橋網様体尾側部、③傍正中網様核背側部および④外側網様核の各部に終止する。交叉性の室頂核橋線維は鈎状束から分かれて腹側に走り、橋核の背外側部に終わる。また少数の交叉性室頂核脊髄線維が上部頚髄まで下行し、そこで前柱細胞に接続する。室頂核からの線維のうち、少数のものは脳幹の背外側部を上行し、側枝を上丘および交連核に送り視床の細胞が疎らな部位(VLcとVPLo)に両側性に終わる。これらの終止は歯状核および中位核からの中位核からの終止と重なり合うことはない。)

Cerebellar peduncles(小脳脚)Pedunculi cerebellares しょうのうきゃく Feneis: 286 23

[A14_1_07_412] →(小脳に入る経路または小脳から出る経路の通るところで、上、中、下の三つの小脳脚がありその総称である。)

Inferior cerebellar peduncle(下小脳脚)Pedunculus cerebellaris inferior かしょうのうきゃく Feneis: 286 24

[A14_1_07_413] →(下小脳脚は複合線維束であり、脊髄と延髄の細胞群から起こり小脳へ投射する線維で構成されている。この線維は副楔状束核の外側、および三叉神経脊髄路の背側の延髄後外側縁に沿って集まり下小脳脚に入る。索状体という外側の大きな束と索状体傍体という内側の小さな束とからなる脊髄ニューロンと延髄中継核からの線維の複合体である。この線維束は上部延髄ではさらに多くの線維が加わることによって急速に増大し、小脳に入る。交叉性のオリーブ小脳路の線維は下小脳脚の最大の構成成分をなしている。下小脳脚を通る求心路には後脊髄小脳路、副楔状束核小脳路、オリーブ小脳路などがある。前庭小脳路、網様体小脳路、三叉神経小脳路などの求心路や小脳皮質前庭路、室頂核前庭路(鈎状束)などの遠心路は下小脳脚内側部、すなわちMeynertのIAK(innere Abteilung des uteren Kleinhirnstiels, Corpus juxtarestifome)とよばれるところを通る。下小脳脚を経由して小脳にインパルスを中継するその他の延髄の核は、①延髄の外側網様核、②副楔状束核、③傍正中網様核、④弓状核、⑤舌下神経周囲核である。外側網様核と副楔状束核からの投射は非交叉性であるが、他の延髄中継核からくるものは交叉性、非交叉性の両方がある。非交叉性の後脊髄小脳路もこの脚を経由して小脳に投射する。)

Restiform body(索状体)Corpus restiforme さくじょうたい

[A14_1_07_414] →(索状体は下小脳脚の大部分を占める外側部の純求心性線維束である。脊髄から小脳への脊髄小脳線維と延髄から小脳へのオリーブ小脳路、毛様体小脳路、楔状核小脳路、三叉神経小脳路、背側脊髄小脳路などを含む。)

Juxtarestiform body(傍索状体;索状傍体)Corpus juxtarestiforme ぼうさくじょうたい;さくじょうぼうたい

[A14_1_07_415] →(下小脳脚の内側を通る前庭神経の線維群を傍索状体と呼んでいる。傍索状体は一次および二次前庭小脳線維と、虫部垂、小節、および室頂核から起こる小脳前庭線維を含む。)

Middle cerebellar peduncle; Brachium pontis(中小脳脚;橋腕;橋小脳脚)Pedunculus cerebellaris medius; Brachium pontis; Crus pontocerebellare ちゅうしょうのうきゃく;きょうわん;きょうしょうのうきゃく Feneis: 286 25

[A14_1_07_416] →(中小脳脚(橋腕)は3対ある小脳脚のうち最大のもので、主として橋核から起始する線維からなり、橋底の正中線を越えて対側の背側に移り太い束となって橋被蓋の外側を乗り越えて小脳にはいる。少数の対側へ移らない線維もある。少数の側副線維が小脳核に達している以外ほとんどが橋小脳路線維からできている。)

Superior cerebellar peduncle(上小脳脚;結合腕;小脳大脳脚)Pedunculus cerebellaris superior; Brachium conjunctivum; Crus cerebellocerebrale じょうしょうのうきゃく;けつごうわん;しょうのうだいのうきゃく Feneis: 286 26

[A14_1_07_417] →(上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)は主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はさらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部に来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。)

White matter; White substance; Medullary body (of cerebellum)(小脳白質;小脳髄体;小脳の髄体)Corpus medullare cerebelli しょうのうはくしつ;しょうのうずいたい;しょうのうのずいたい Feneis: 286 11

[A14_1_07_418] →(小脳髄体は小脳の内部にあり、これから小脳回に向かって突起、すなわち白質板(髄板)を出す。髄体は小脳内を互いに連絡する線維と、小脳に出入りする線維からなる。前者には同側の小脳皮質の各部の間を結合するもの(連合線維)、両側の皮質を結ぶもの(交連線維)および皮質から小脳核に至るもの(小脳皮質核線維)がある。小脳皮質核線維には局在が認められ、小脳半球部の大部分は歯状核と結合し、虫部は主として室頂核に、半球部と虫部の中間部は球状核および栓状核と結合する。片葉と小節は前庭神経核に線維を出している。小脳核から出る線維は小脳の遠心路をなし、小脳脚を通って小脳を出る。小脳に入る線維は小脳脚を経て直接小脳皮質に分布する。これには2種類がある。苔状線維は顆粒層内で盛んに分岐して小脳糸球を作り、顆粒細胞の樹状突起と連接して終わるが、登上線維はPurkinje細胞体のまわりにからみ、ついでその樹状突起をよじのぼりつつ分子層を上る。苔状線維は脊髄小脳路、副楔状束核小脳路、橋小脳路、網様体小脳路および前庭神経路の終末と考えられれ、登上線維はオリーブ小脳に続くといわれる。)

White laminae(白質板)Laminae albae はくしつばん Feneis: 286 12

[A14_1_07_418_1] →(髄体から小脳回へ放散する白質。(Feneis))

Cerebellar commissure(小脳交連)Commissura cerebelli しょうのうこうれん

[A14_1_07_419] →(小脳からの主な出力は小脳核から起こる。室頂核からは交叉性の鈎状束と非交叉性の直接性室頂核延髄路が起こる。鈎状束は小脳内の小脳交連で交叉し、上小脳脚に入り、外方から前庭神経核群に入る。)

Uncinate fasciculus of cerebellum(小脳鈎状束)Fasciculus uncinatus cerebelli しょうのうこうじょうそくRussell, Uncinate bundle of

[A14_1_07_420] →(小脳鈎状束は室頂核の遠心性線維で、小脳を横切り上小脳脚の外側面を下行し、大部分は前庭神経核および橋・延髄の網様体に終止する。鈎状束からは一群の情勢線維が出て、はじめ上小脳脚を背内方を走り、次いで中心被蓋束の背方を上行して、中脳被蓋外側部と上丘深層に終止する。また、これらの神経線維は間脳においては視床髄板内核、内側腹側核、外側腹側核に終止する。)

Prosencephalon; Forebrain(前脳)Prosencephalon ぜんのう Feneis: 292 01

[A14_1_07_500] →(原始脳胞前部さらに発達して間脳と終脳とに分かれる。Prosencephalonは、「前」を意味するギリシャ語の接頭詞prosと、「脳」を意味するencephalonを結合させた語である。)

Diencephalon(間脳)Diencephalon かんのう Feneis: 292 02

[A14_1_08_001] →(「間」を意味するギリシャ語の接頭詞diaと、「脳」を意味するencephalonを結合したもの。間脳は中脳の前方で第三脳室を取り囲んだ領域をいう。背側方は側脳室におおわれ、背外側は分界条によって尾状核と境され、外側を内方によって取り囲まれている。前方は室間孔まで伸び、後方は後交連と乳頭体の後方を結ぶ線で中脳被蓋に移行する。間脳はさらに背側視床、視床下部、腹側視床および視床上部に分かれる。背側視床はこれらのうちもっとも大きな部位を占め左右を視床間橋(中間質)によって結ばれる。背側視床と視床上部とを視床脳とよぶことがある。)

External features(表面の形状(間脳の))Morphologia externa ひょうめんのけいじょう(かんのうの)  [A14_1_08_001_1]

Epithalamus(視床上部)Epithalamus ししょうじょうぶ Feneis: 292 03

[A14_1_08_002] →(間脳の後背部で、後交連の一部、松果体および手綱とそれに関連した構造物、すなわち手綱交連、視床髄条を総称して視床上部という。手綱核は主な求心線維を視床髄条を介して中隔核および視床前核から受け、手綱脚間路(反回束)を介して中脳脚間核へ線維を送る。)

Habenula(手綱)Habenula たづな Feneis: 292 04

[A14_1_08_003] →(手綱は第三脳室後壁の背側面において、松果体の吻側を横走する索状の白質を手綱と呼ぶ(松果体の「手綱」とう意味)。手綱の神経線維は正中部で交叉して手綱交連を形成する。手綱の外側端は三角状に広がっており手綱三角と呼ばれ、その吻側より視床髄条が入る。手綱三角の深部には手綱核が存在する。手綱核には、小形神経細胞の密集する内側手綱核と、比較的大きい神経細胞が比較的疎に集まっている外側手綱核が区別される。手綱核からは反屈束がおこり腹側の脚間核に向かう。反屈束を構成する神経線維のうち、中心部を走る細い線維は主として内側手綱核からおこり脚間核に終止する(手綱脚間線維)。一方、反屈束の周辺部を構成する比較的太い神経線維は主として外側手綱核からおこり、脚間核の背外側部を通過して、中脳の背側被蓋核と腹側被蓋核に終止する。また、反屈束には以上のような神経線維のほか、前有孔質や視床下部などの前脳の底部領域よりおこり、視床髄条を通って手綱核にいたり、さらに手綱核を通過して反屈束に加わる線維や、反屈束を上行する線維なども含まれている。)

Habenular sulcus(手綱溝)Sulcus habenularis たづなこう Feneis: 292 05

[A14_1_08_004] →(手綱溝は手綱三角と視床枕の間にある浅い溝。)

Habenular trigone(手綱三角)Trigonum habenulae たづなさんかく Feneis: 292 06

[A14_1_08_005] →(手綱三角は手綱の外側端は三角状に広がっており、その吻側より視床髄条が入る。手綱三角の深部には手綱核が存在する。)

Pineal gland; Pineal body(松果体;松果腺)Glandula pinealis; Corpus pineale しょうかたい;しょうかせん Feneis: 182 22

[A11_2_00_001] →(松果体は円錐形の小体で、後交連の領域で、第三脳室の天井に付着している。これは痕跡的な腺であるらしく、血管の豊富な結合組織の小柱の網工からなり、その網眼の中には神経膠細胞および松果体細胞pinealocytesあるいはepiphysial cellがみられる。サルの松果体細胞はセロトニン(5-HT)とコレシストキニン(CCK)を含んでいる。哺乳類の松果体細胞は、系統発生学的には、感覚神経性光受容体の要素と関係しており、これは、分泌細胞になる物が多いが、間接的に光受容性をもっている。これらの突起の棍棒状をした終末は、血管血管を取り囲む血管周囲腔に接して終わる。松果体の分泌のうちで最もよく知られた物は、セロトニン、ノルアドレナリンおよびメラトニンという生体産生アミンであるが、その他に、サイロトロピン遊離ホルモン(TRH)、黄体形成ホルモン遊離ホルモン(LHRH)およびソマトスタチン(SRIF)のような、視床下部で形成されると同定されたペプチドを、かなりの濃度で含んでいる。セロトニンは、松果体細胞の中で合成されて細胞外の隙間に放出される。ノルアドレナリンは、松果体の実質細胞に終止ししている交感神経ニューロンの中で合成される。松果体は、昼間光の変動に敏感なN-アセチルトランスフェラーゼおよびヒドロキシインドール-o-メチルトランスフェラーゼという2つの酵素の働きによって、セロトニンからメラトニンを合成する。メラトニン合成の毎日の変動は周期性であり、光入力の毎日の周期に直接関係している。光は、日周期を環境の光周期に一致させる。そして、さらに、まだ確認されていない経路を経て、神経性信号が松果体に運ばれることを速やかに遮断するように働く。N-アセチルトランスフェラーゼの活性は、昼夜に高められるが、光にさらすと、酵素の活性が失われる。視床下部の視交叉上核を両側性に傷害すると、この核は網膜視床下部経路を受けているので、松果体のN-アセチルトランスフェラーゼにおける周期がなくなり、その結果、ヒドロキシインドール-o-メチルトランスフェラーゼの活性のレベルが下がる。そのような傷害によって、自発運動の活性の日周期および栄養補給と水飲み行動の両方の日周期がなくなる。雄のネズミでは、視交叉上核の傷害によって、正常な発情周期がなくなる。網膜視床下部路は、視交叉上核の構造との直接の相互作用によって、松果体のはたらきを変える。環境の光は、日周期をその周期に一致させる働きと伝達する働きをもっているとみなされ得る。内在性振動発生装置を光周期にのせるための光後下はゆっくりであるが、信号伝達に及ぼす光の後下は速やかである。そして、それによって、光によってN-アセチルトランスフェラーゼが速やかに“消失”することと、持続光によって日周期が妨げられることを、おそらくは説明できるであろう。視交叉上核からの単一神経路が、松果体によるメラトニン形成に関係する両酵素を調節しているが、これらの結合についての詳細は、なお、あきらかになっていない。間接的に証明された根拠は視交叉上核から松果体への神経路には、視床下部の灰白隆起の領域、内側前脳束および中間質外側路への中継路が含まれることを示唆している。このように、松果体は、交感神経ニューロンを経て受けた信号をメラトニンという内分泌物に変換させる、神経内分泌変換体ともいうべきものであるらしい。松果体の分泌は視床下部の働きを変化さえるが、それは、内分泌が心身の血液循環あるいは、脳脊髄液に入ってからののちに作用する。松果体のセロトニンとメラトニンの日内変動は、光入力の周期に応じて起こる。松果体活動のこれらの周期性変化は、この腺が生物学的時計としてはたらいて、生理学的過程と行動学的過程とを調節する信号を出していることを示唆している。これらの変動は日周期circadian rhythmsと呼ばれ、環境からの刺激が存在すれば、ほぼ24時間周期を示すだけである。松果体実質の腫瘍は、性的機能を低下させて思春期を送らせるが、他方、松果体を破壊するとしばしば早発思春期を伴う。これらの観察は、松果体が、性腺および生殖器系に抑制的影響を及ぼすことを示す実験的研究の結果と一致する。)

Thalamus; Dorsal thalamus(視床;背側視床)Thalamus ししょう;はいそくししょう Feneis: 292 20

[A14_1_08_101] →(視床は、間脳の大きいほうの背側部分を形成する灰白質。背側間脳溝と視床下溝の間の領域であるが、発生の間に大きく発育して、間脳背側部の広い範囲を占めるようになる。間脳は個体発生上、背側視床、腹側視床、視床下部および視床上部の四つの部位に分けられるが、その中で最も大きな部位を占めるのが背側視床である。単に視床といった場合は背側視床を指す。視床は第三脳室の両壁をなす卵円形の構造で、背側の遊離面は薄い髄質から成る帯層におおわれ、肺内側端に視床上部の構造である視床髄条が、前端より後方に走り手網核に付く。また背外側端は分界条によって終脳の尾状核と、外側方は外髄板によっておおわれ腹側視床の視床網様核と境されている。左右の視床は第三脳室内にまたがる視床間橋(中間質)によってつながり、視床下溝で視床下部と境される。視床の内部を構成している視床核は視床脚を介して大脳皮質と相互に結合する。内部には内髄板とよばれる線維板視床を内側部、外側部および前部に分けている。視床は感覚系と統合系との非常に重要な連絡部位である。嗅覚路以外のすべての感覚路がそれぞれ相当する視床の領域に投射する。「最近の研究によれば、嗅覚系も視床を投射する可能性がある」。視床で処理された感覚系情報の流れは視床大脳皮質線維を経て大脳皮質へと送られるが、大脳皮質の側からは多数の大脳皮質視床線維を介して視床における情報処理系に影響が及んでおり、したがって、視床と大脳皮質とは一つの機能単位としてはたらく。「運動」情報は小脳と大脳基底核を経て伝達され、統合系(大脳辺縁系や脳幹網様体など)からのさらに複雑な情報も視床に達する。したがって、視床は一方では大脳辺縁系と脳幹網様体との連結点として機能し、他方では大脳皮質も連絡しているわけである。)

Anterior thalamic tubercle(前結節(視床の);視床前結節)Tuberculum anterius thalami ぜんけっせつ(ししょうの);ししょうぜんけっせつ Feneis: 292 22

[A14_1_08_102] →(視床の前結節は視床前端の小結節。背側視床の前面は狭く、その背側部は前方にやや突出し、視床前結節と呼ばれる。)

Interthalamic adhesion; Massa intermedia(視床間橋;中間質)Adhesio interthalamica ししょうかんきょう;ちゅうかんしつ Feneis: 292 21

[A14_1_08_103] →(視床間橋は背側視床の内側面は第三脳室に面し、上衣層におおわれ、その中央よりやや前方には視床間橋(中間質)がある。橋状に左右の視床を結ぶ。これはヒトでは退化的で、しばしば欠如する(20%)。)

Pulvinar of thalamus(視床枕)Pulvinar thalami ししょうちん Feneis: 292 25

[A14_1_08_104] →(視床枕は視床の後部と背外側を形成する大きな灰白質塊で、これの尾方は、内側膝状体、外側膝状体および中脳の背外側面の上に張り出している。視床枕は視床枕核群ともよばれており細胞学的にはかなり均一であるので、局所的な位置関係を基にして細分される。視床枕を形成するのは、明るく染まった、中等度の大きさの、多極性の細胞で、それらの細胞の分布密度と配列は、視床枕の部位によって異なっている。視床枕の前部の細胞は小さく、明るく染まり、散在性に配列している。下部は、視床枕の主部から、上丘腕の神経線維によって隔てられており、散在性の濃染する細胞で構成される。外側部を、外側髄板から広がる斜めの線維束が横切っている。視床枕の諸核は、長い、上行性の感覚神経路からは入力を受けてはいないが、その下部は、上丘の浅層のいくつかの層からの投射を受けている。局所的には、この投射は、反対側の視野の半分に相当する。視床枕の下部とそれい隣接する外側部とは、線条野を含む後頭葉の皮質と相互に結合する。視床枕の下部とそれに隣接する外側部はそれぞれ、反対側の視覚野の半分が復元され、網膜の部位局在的に、次の各部に投射している。すなわち、①皮質の18野と19野と、②有線野(17野)で、そこでは、線維が、顆粒層の上にある諸層に終止する。これらの結果によって、3つの視覚局在性をもった系統の入力が、視床(外側膝状体、視床枕の下部、およびそれに隣接する視床枕の外側部)から、一次視覚野に達し、しかも、そのいろいろな層に終止することが明らかになった。視床枕の下部から17野、18野および19野への投射は、膝状体外視覚神経路の中の最後の連絡を形成する。(視床枕の下核に隣接している部分以外の)視床枕の外側核は、側頭葉に投射し、同じ領域と相互に連絡している。視床枕の内側部は、上側頭回に投射しているらしい。)

Taenia thalami(視床ヒモ;視床脈絡ヒモ)Taenia thalami; Taenia chorioidea thalami ししょうひも Feneis: 294 09

[A14_1_08_105] →(第三脳室の薄い上皮性の天井は視床の比較的鋭い上縁に付着している(視床ヒモ)。この視床ヒモに沿って視床髄条(中隔部その他と手綱核を連絡する神経線維束)が走る。視床ヒモは背側方では手綱三角に達しており、そこで手綱交連に沿って正中線を越え、第三脳室の上皮性の天井を閉じている。視床ヒモは背側方ではMonro孔を通過して脈絡ヒモに連続している。)

Stria medullaris of thalamus(視床髄条)Stria medullaris thalamica ししょうずいじょう Feneis: 292 24

[A14_1_08_106] →(視床髄条は視床ヒモの下にある細長く稠密な線維束。視床髄条は後方では手綱に移行し、前有孔質や嗅三角などから起こって内側および外側手綱核に終わる線維から成る(嗅手綱路)。)

Subthalamus; Ventral thalamus(腹側視床;視床腹側部)Subthalamus ふくそくししょう;ししょうふくそくぶ Feneis: 292 29

[A14_1_08_201] →(視床腹側部ないし腹側視床とは視床の腹方、内包の内側、視床下部の外側尾方にあたる部位で、そこに存在する神経核としては視床下核、不確帯とForelの視蓋野がある。この領域を通過する線維束としては、レンズ核ワナ、レンズ核束(ForelのH2野)、視床束(ForelのH1野)および腹側視床束がある。)

Metathalamus(視床後部)Metathalamus ししょうこうぶ Feneis: 292 26

[A14_1_08_301] →(内側膝状体と外側膝状体は聴覚と視覚に関係する重要な中継核で視床枕の腹側存在する。この両者を一つにして視床後部と称する。)

Lateral geniculate body(外側膝状体)Corpus geniculatum laterale がいそくしつじょうたい Feneis: 292 28

[A14_1_08_302] →(外側膝状体は、視床の後下面よりわずかに突出している1対の小さな卵形の塊の外側部分。視覚系における視床の中継核であり、内側膝状体の吻側外側方、大脳脚の外側方で、視床枕の副側方にある。この核には、細胞が層状に配列した構造があり、横断切片では、門を腹内側方に向けた馬蹄形をしている。視索の視交叉および非交叉性線維は、この門を通ってはいり、一定の正確な様式に従って分布する。ヒトと霊長類では、外側膝状体を構成するものは、6つの細胞層であり、これらは2つに大別される。同心円状に並んだ6つの細胞層は、介在する線維帯によって区切られ、慣例では、腹内側方の門の領域から始めて、1から6まで番号が付けられている。外側膝状体の背側核を区分すると、大細胞性部(1と2層)および小細胞性部(3~6層)となる。外側膝状核の背側部の2つの領域は網膜の神経節細胞から求心線維を受ける。外側膝状体の小細胞性の層を構成するのは、腹背の方向に順に3,4,5および6層であり、容易に区別される。これらの諸層を外側方にたどると、4層が6層と、また、3層が5層というように対をなす2層が1組になって癒合する。網膜から外側膝状体への投射は正確で、視索の交叉性線維と非交叉性線維とはそれぞれ、別々の層に終わる。すなわち、交叉性線維は1,4および6層に終わり、一方、非交叉性線維は2,3および5層に終わる。交叉性網膜膝状体線維関係のある2つの特殊な性状が構造に反映されている。単眼性の視野は半月形であるが、これは反対側の網膜の内側半の最も内部にある受容要素によって受け取られる。網膜のこの部分にある神経節細胞は、反対側の外側膝状体の二重層の部分に交叉性に線維を送る。この二重層は、4層と6層の部分が外側方で癒合して出来ている。網膜の内側半の中にあって、視神経線維が通っている視神経円板(乳頭)には光受容器がなく、[周辺]視野測定[法]で見つけることができる盲点の原因となる。視神経円板(乳頭)は反対側の外側膝状体の中で、4層と6層の中の細胞層が不連続である部位に対応する。ヒトの外側膝状体を通る切断切片のニッスル標本によって、細胞の直線的配列が明らかにされており、細胞の長軸の方向は、各細胞層の軸に垂直である。小細胞性の諸層にある各周囲部は、“投射の方向線”に平行であり、これらの視野中の各点が同じように復元されていることを示している。外側膝状体の中における網膜表面との局所的対応関係は、高度に組織化され、しかも正確である。両眼視による視野の反対側半は、交叉性線維と非交叉性線維とが異なる層に終わってはいるが、外側膝状体のすべての層に投影される。6つの層における投射の場所は、完全にきまっているので、両眼視における反対側の眼の視野の中のどんなに小さな領域でも、6つの層全体を通して、“投射の方向線”に平行して放射状に延びる背腹方向の細胞柱に一致することを示すことができる。外側膝状体を構成するものは、馬蹄形に曲がった6つの薄い細胞層である。しかし、そこに投射してくる場所は正確にきまっている。それゆえ、“投射の方向線”の中の細胞柱は、両眼視の視野のうち反対側の視野に関係する各眼の網膜の中の対応する点からの入力を受ける。両眼視の像の融合は、外側膝状体の中では起こらない。それは、網膜膝状体線維が外側膝状体の異なった層に終わっているからである。(術後長期間生存させた例の)視神経の切片を追って調べると、順応性の変性、またはニューロン越えの変性は、各側の外側膝状体の3つの層に起こる。神経線維、または細胞の変性が起こる層は、網膜からの交叉性線維(1,4および6層)と非交叉性線維(2,3および5層)の配列に従って異なる。網膜の小さい傷によって、同側、対側の3つの違った層の中に“投射の方向線”に従って、一列に並んで配列した細胞集団に、ニューロン越えの変性が起こる。反対側の単眼視野(単眼性の半月形の視野)は、網膜の内側半のもっとも内側の部分における受容器要素と関係しており、これからは、2層性の部分に終止する交叉性の神経線維のみが出ている。外側膝状体における“投射の方向線”は、有線野に加えた傷害によって外側膝状体の中に現れる逆行性細胞変性の研究からも、明らかにすることができる。視野の半分は、局在性をもってそれぞれの側の半球の有線野に部位局在的に投射しているので、外側膝状体の中に逆行性細胞変性が現れる帯状の部分は、それぞれの側で、投射の方向線によって境される。外側膝状体では視野の中心を通る水平線が背腹方向に入る斜めの面に対応し、この面により内側部と外側部が分けられる。両眼の網膜の上半部からの神経線維は、外側膝状体の内側半部に投射し、下半分は、本核の外側半部に線維を送る。網膜の黄斑からの投射は、外側膝状体尾側部のうち視野の中心を水平子午線に相当する面の両側にある。幅の広いクサビ形の部分として示される。黄斑に相当する部分は、外側膝状体の全容積のおよそ12%を占める。視野の中心を通る垂直の子午線に一致し、本核の尾側縁に沿って、内側の境界からの外側境界に及んでいる。外側膝状体は、視索の主要な終止場所である。ここから膝状体鳥距路、あるいは視放線を経て、鳥距周囲皮質(17野)に投射があり、また外側膝状体は、この皮質野から皮質膝状体線維を受ける。本核は、視床枕と核間結合をしている。)

Medial geniculate body(内側膝状体)Corpus geniculatum mediale ないそくしつじょうたい Feneis: 292 27

[A14_1_08_303] →(内側膝状体は、視床の尾方腹側面で、外側膝状体の内側方、大脳脚の背方に位置する。この核は、視床における聴覚の中継核であって、聴放線を出す。下位脳幹にある聴覚の中継核群とは違って、両側の内側膝状体の間には交連線維による連絡がない。内側膝状体は、明瞭な細胞構築と連絡から更に幾つかの部分にに分けられる。内側膝状体は内側部、背側部および腹側部と呼ばれる三つの主要な部分から構成される。内側膝状体のこれらの細区分域は、普通の組織学的標本では区別するのが容易ではないが、Golgi標本では明らかである。内側膝状体腹側核は、内側膝状体の吻尾方向の全長にわたって広がり、内方が、下丘腕によって境されている。内側膝状体の他の大きな部分とは違って、腹側核には、明確な層板構造がある。腹側部の細胞の大きさと形は、かなり一定しており、房状の樹状突起をもつ。房状細胞の樹状突起と下丘腕の神経線維によってできた層状構造は、らせん形、または、弯曲した垂直の板状を示す。下丘からの求心性線維は特定の層板にはいり、そのまま同じ層と連絡しつづける。内側膝状体の側腹部にある層板構造は、外側膝状体のそれに類似しているが、細胞の層が有髄神経線維帯によって区切られることがない。内側膝状体の腹側部に生理学的な性質によって地図をつくると、この細胞層は音の高低に一致した局在と関係しており、高い周波数の音は内側に、低い周波数の音は外側に復元される。内側膝状体の腹側部のニューロンから聴放線が起こり、一次聴覚野に終わるが、ここでは、音の周波数が空間的に配置されている。一次聴覚野からは内側膝状体の腹側部に終わる両方向性皮質視床線維が起こる。膝状体皮質線維と皮質膝状体線維は、両者とも同側性である。ヒトでは、内側膝状体の主な皮質投射は、膝状体側頭葉放線、あるいは聴放線を経て、側頭葉上面の隆起部(横側頭回)に達する。皮質のこの投射野(41野)は、音の高低に一致した局在をもっている、すなわち、高音は内側方に、また低音は前外側方に復元される。内側膝状体の背側部には、幾つかの核が含まれ、それらの中には、膝状体上核と背側核がある。背側核は、内側膝状体の尾方の高さでは顕著であり、外側被蓋野からの投射を受ける。この外側被蓋野は上丘の深い層から、外側毛帯に隣接する領域へと広がった領域である。内側膝状体の内側部の大細胞性部は、下丘、外側被蓋および脊髄からの入力を受ける。内側膝状体の中の層構造を示さない部分はすべて一次聴覚野を取り囲む皮質の帯状部に同側性の線維を送っている。)

Hypothalamus(視床下部)Hypothalamus ししょうかぶ Feneis: 292 30

[A14_1_08_401] →(視床下部は間脳の中で、内臓機能、自律機能および内分泌機能と最も関係が深い部分である。これらの機能のすべてが、感情的および情動的行動と密接に関係している。第三脳室の側壁の下部および底にあたる。脳底面からみると、吻側から数えて、視交叉、漏斗、灰白隆起、乳頭体とつづき、漏斗の先端は下垂体に連なる。背側は視床下溝により視床と境されており、吻側は終脳の視索前野に、尾側は中脳被蓋と中脳中心灰白質に、尾外側は視床腹側部に移行する。通常、矢状面に平行な三つの帯状領域、すなわち、視床下部脳室周囲層、視床下部内側野、視床下部外側野に区分される。これらの間を多数の細かい神経線維が主として吻尾方向に走っている。視床下部は前後径が約10mmである。視床下部は内部環境を正常に維持する機序に関与し、また心悸亢進、瞳孔散大、“冷汗”の分泌などの情動反応の表出にも一役を演じている。大脳皮質を除去し、背側視床を除去した後でも、怒り反応はあらわれる(「みかけの怒りSham rage」)。さらに、視床下部は成長、性的成熟など身体の成熟過程にも関与している。したがって、視床下部を損傷すると、広汎で顕著な内分泌性、代謝性、行動性(情動性)の異常が一緒に起こってくることになる。視床下部は下垂体ホルモンによって内部環境に影響を及ぼすが、さらに脳幹網様体や自律神経系を介しても同様の働きを示す。視床下部への情報は通常の入力神経系によって伝達されるばかりでなく、視床下部のニューロンは内部環境からの物理的および化学的刺激(血液の温度など)にも反応する。植物性機能の中には、その統御中枢が視床下部自体に存在するものもあるが、呼吸や心臓の活動などの機能に関しては、視床下部はもっと下位の中枢に対する修飾器として働いている。)

Mammillary body(乳頭体)Corpus mammillare にゅうとうたい Feneis: 292 36

[A14_1_08_402] →(乳頭体は有髄線維を豊富に含み、視床下部の乳頭隆起で内側および外側乳頭体核より成る。脚間窩に突出している左右1対の半球状の隆起、脳弓から海馬足の主要線維束を受け、視床前核と脳幹被蓋部とに線維を出す。内側乳頭体核は外側乳頭体核より大きいが、そのニューロンは比較的小さく、有髄線維のカプセルに包まれている。外側乳頭体核はずっと小さくて、「とくにヒトでは、見分けるのがむずかしい。」そのニューロンは内側乳頭体核のものよりも大きく、染色されやすい。乳頭体への入力線維は、海馬支脚(交連後部脳弓を介して)、視床下部腹内側核、中脳(乳頭体脚を介して)、などからくる。脳弓の線維数は非常に多い。脳弓線維は内側乳頭体核に終止するが、中には乳頭体を通り越して中脳被蓋ないし中心灰白質でシナプス結合するものもある。中脳から乳頭体への入力線維は、中脳中心灰白質および中脳網様体にある楔状核から起こり、乳頭体脚を通ってくる。乳頭体からの出力線維は大脳辺縁系の重要な要素である。内側乳頭体核から出る線維は明瞭な上行性線維束である主乳頭体束を作り、これは吻背側方へ向かう乳頭体視床路と、尾側方へ向かうこれよりも小さい乳頭体被蓋束に分かれる。乳頭体視床路線維は主として内側乳頭体核より起こり、視床前核群でシナプス結合する。視床前核は帯状回でシナプス結合する線維を出す。「海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回」の回路は大脳辺縁系の中心的な回路としてしられている(Papezの情動回路)。乳頭体被蓋束の出力線維は内側乳頭体の背側部より起こり、中脳被蓋でシナプス結合する。)

Neurohypophysis(神経下垂体;下垂体後葉)Neurohypophysis; Lobus posterior hypophysis しんけいかすいたい;かすいたいこうよう Feneis: 292 39

[A11_1_00_006] →(神経下垂体は間脳底の特殊化した領域から発生する。胎生4週の胚子では、間脳底のうち視交叉と乳頭体前野の間は非常に薄く活発な領域である。この領域は口咽頭膜のすぐ吻側にある原始口腔蓋の外胚葉の一部と緊密な関係にあることが特徴である。種々の要因(急速に大きくなる視交叉による圧力、頭屈曲の形成など)により、この不活発な領域が他動的に引き延ばされて周囲の間葉組織中に漏斗状に突出する結果、漏斗が形成される。漏斗には細胞分裂像はみられない。したがって、漏斗の発育は隣接領域から細胞が遊走してくることと、いわゆる下垂体核とよばれる神経核から軸索が伸長してくることによって行われる。漏斗に対応する第三脳室の拡張、すなわち漏斗陥凹は漏斗の中間部までしか達していない。したがって、漏斗の近位部には内腔があるが、遠位部には管腔はない。漏斗の近位部を漏斗中空部、遠位部を漏斗緻密部とよぶ。)

Infundibulum of pituitary gland(漏斗(下垂体の))Infundibulum ろうと(かすいたいの) Feneis: 292 38

[A11_1_00_007] →(視床下部の腹側方の突出部とその中にある第三脳室の陥凹によって、漏斗が形成される。漏斗の最も遠位に突出した部分が下垂体後葉(神経下垂体)であり、漏斗の突出部と正中隆起を結合する組織は漏斗柄とよばれる。)

Pars nervosa of pituitary gland(神経部;神経葉(下垂体の))Pars nervosa neurohypophysis しんけいぶ;しんけいよう(かすいたいの) Feneis: 182 21

[A11_1_00_008] →(神経下垂体は間脳底の特殊化した領域から発生する。胎生4週の胚子では、間脳底のうち視交叉と乳頭体前野の間は非常に薄く活発な領域である。この領域は口咽頭膜のすぐ吻側にある原始口腔蓋の外胚葉の一部と緊密な関係にあることが特徴である。種々の要因(急速に大きくなる視交叉による圧力、頭屈曲の形成など)により、この不活発な領域が他動的に引き延ばされて周囲の間葉組織中に漏斗状に突出する結果、漏斗が形成される。漏斗には細胞分裂像はみられない。したがって、漏斗の発育は隣接領域から細胞が遊走してくることと、いわゆる下垂体核とよばれる神経核から軸索が伸長してくることによって行われる。漏斗に対応する第三脳室の拡張、すなわち漏斗陥凹は漏斗の中間部までしか達していない。したがって、漏斗の近位部には内腔があるが、遠位部には管腔はない。漏斗の近位部を漏斗中空部、遠位部を漏斗緻密部とよぶ。)

Optic chiasm; Optic chiasma(視神経交叉;視交叉;視束交叉)Chiasma opticum ししんけいこうさ;しこうさ;しそくこうさ Feneis: 292 32

[A14_1_08_403] →(視神経交叉は視床下部の漏斗の吻側にある扁平な線維板で、視神経線維が交叉しているところ。視交叉の背側から両側に開いて出る線維束は視索である。第三脳室の終板と灰白隆起の間で視交叉は第三脳室の底の一部を成す(視交叉陥凹)。視交叉はその上面で(終板の前方)前交連動脈と接し、下面はトルコ鞍の鞍隔膜の上に乗っている。眼球網膜の鼻側半からの線維は交叉して対側へ行き、側頭半からの線維は同側を交叉せずに後方へすすむ。下垂体前葉から発生する腫瘍が視交叉を圧迫することがある。)

Optic tract(視索)Tractus opticus しさく Feneis: 292 33

[A14_1_08_404] →(視索は視交叉と外側膝状体の間の視覚路で左右の視索は視床下部と大脳脚基底部を回って後外方へ走る。これらの線維の多くは外側膝状体の中に終止するが、小部分は下丘腕となって上丘および視蓋前域にまで続く。外側膝状体からは膝状体鳥距路が起こり、これが視覚路の最後の中継路をなす。視索前域は対光反射と関係し、上丘は眼と頭の反射運動より視覚刺激を追跡することと関係している。網膜視床下部線維は、両側性に視床下部の視神経交叉上核に終止する。この網膜からの直接の投射は、機能的には神経内分泌調節と関連している。)

Lateral root of optic tract(外側根(視索の))Radix lateralis tractus optici がいそくこん(しさくの) Feneis: 292 34

[A14_1_08_405] →(視索の外側根は視索の線維。主として外側膝状体に向かう線維束。)

Medial root of optic tract(内側根(視索の))Radix medialis tractus optici ないそくこん(しさくの) Feneis: 292 35

[A14_1_08_406] →(視索の内側根は内側への線維束。主として上丘に向かう線維束。)

Preoptic area(視索前域;視索前野)Area preoptica しさくぜんいき;しさくぜんや Feneis: 292 31

[A14_1_08_407] →(視索前野は第三脳室の最前部を囲む室周囲灰白質を構成する。視索前脳室周囲核は視索前陥凹の領域において、第三脳室の壁を取り囲んでいる。広く散らばって配列する小形神経細胞を上衣細胞から区別することは困難である。内側視索前核は主として小細胞からなり、視索前脳室周囲核の外側方にあり、腹方は視神経交叉にまで広がる。外側視索前核は視床下部外側野の吻側方にあり、広く散在する中等大の細胞からなり、内側前脳束の介在核と考えられている。)

Tuber cinereum(灰白隆起)Tuber cinereum かいはくりゅうき Feneis: 292 37

[A14_1_08_408] →(尾方は乳頭体、吻方は視神経交叉、両外側は視索で区切られ、腹部は漏斗および脳下垂体柄へとのびる視床下部底の隆起。これは灰白質の高まりで第三脳室底の一部を形成し、円錐状になって漏斗に終わる。)

Median eminence of hypothalamus(正中隆起(視床下部の))Eminentia mediana hypothalami せいちゅうりゅうき(ししょうかぶの)

[A14_1_08_409] →(第三脳室の下壁を形成する。)

Third ventricle(第三脳室)Ventriculus tertius だい3のうしつ Feneis: 294 01

[A14_1_08_410] →(第三脳室は左右の間脳の間にある背腹方向にスリット状を示す腔である。前壁は終板と前交連によってつくられる。前上部には室間孔が開口し、左右の側脳室と交通し、後方は中脳水道と連絡する。後壁は松果体に入り込む松果体陥凹がみられ、下壁は視床下部によってつくられ、視交叉陥凹、漏斗陥凹がみられる。外側壁を形成している視床と視床下部の境には視床下溝が走る。なお、脳室の前上方部に第三脳室終脳部とよばれる部分がある。)

Triangular recess of third ventricle(三角陥凹(第三脳室の))Recessus triangularis (Ventriculus tertius) さんかくかんおう(だい3のうしつの)

[A14_1_08_410_1]→

Interventricular foramen(室間孔)Foramen interventriculare しつかんこうMonro, Foramen of Feneis: 294 03

[A14_1_08_411] →(モンロー孔ともよばれる。左右の側脳室と第三脳室とを結ぶ連絡孔。スコットランドの医学者Alexander Monro II (1733-1817)により、1797年に発見された。彼の名前はモンロー・リヒター線Monro-Richter lineにも残っている。)

Subfornical organ(脳弓下器官)Organum subfornicale のうきゅうかきかん Feneis: 292 18

[A14_1_08_412] →(脳弓下器官は第三脳室壁が半球状に突出したもので、室間孔のレベルで左右の脳弓柱のあいだにある。その脳室面は多くの微絨毛をもった上衣細胞におおわれている。脳弓下器官には数種類の神経細胞、神経膠細胞および有尾細胞と呼ばれる特殊な上衣細胞がみられる。有尾細胞は長い末梢性の突起を出している。脳弓下器官は浸透圧調節機構に関与しているものと考えられている。)

Taenia thalami(視床ヒモ)Taenia thalami ししょうひも Feneis: 294 09

[A14_1_08_105] →(第三脳室の薄い上皮性の天井は視床の比較的鋭い上縁に付着している(視床ヒモ)。この視床ヒモに沿って視床髄条(中隔部その他と手綱核を連絡する神経線維束)が走る。視床ヒモは背側方では手綱三角に達しており、そこで手綱交連に沿って正中線を越え、第三脳室の上皮性の天井を閉じている。視床ヒモは背側方ではMonro孔を通過して脈絡ヒモに連続している。)

Choroid membrane of third ventricle(脈絡組織(第三脳室の);第三脳室脈絡組織)Tela choroidea ventriculi tertii みゃくらくそしき;だい3のうしつみゃくらくそしき(だい3のうしつの) Feneis: 268 07

[A14_1_01_305] →(第三脳室脈絡組織は左右の視床ヒモ間ある上衣組織に被われた脳軟膜の薄い二重ヒダ。)

Choroid plexus(脈絡叢(第三脳室の);第三脳室脈絡叢)Plexus choroideus みゃくらくそいう(だい3のうしつの);だい3のうしつみゃくらくそう Feneis: 268 08

[A14_1_01_306] →(第三脳室脈絡叢は血管に富んだ一対の絨毛隆起。第三脳室の薄い屋根より下がり、室間孔を通り側脳室中の脈絡叢につづく。)

Stria medullaris of thalamus(視床髄条)Stria medullaris thalamica ししょうずいじょう Feneis: 292 24

[A14_1_08_106] →(視床髄条は視床ヒモの下にある細長く稠密な線維束。視床髄条は後方では手綱に移行し、前有孔質や嗅三角などから起こって内側および外側手綱核に終わる線維から成る(嗅手綱路)。)

Suprapineal recess(松果体上陥凹;松果上陥凹)Recessus suprapinealis しょうかたいじょうかんおう;しょうかじょうかんおう Feneis: 294 07

[A14_1_08_413] →(松果上陥凹は第三脳室の後方部からの種々の膨出部と松果体との間の陥凹で、松果陥凹の上後方へのびている。)

Habenular commissure(手綱交連;松果交連)Commissura habenularum; Commissura pinealis たづなこうれん;しょうかこうれん Feneis: 292 07; 292 13

[A14_1_08_414] →(手綱交連は左右の手綱核からの線維の交叉。交叉部は松果陥凹の上方にある。)

Pineal recess(松果体陥凹;松果陥凹)Recessus pinealis しょうかたいかんおう;しょうかかんおう Feneis: 294 06

[A14_1_08_415] →(松果陥凹は部分的には松果体にも達する第三脳室の陥凹。)

Posterior commissure(後交連)Commissura posterior; Commissura epithalamica こうこうれん Feneis: 292 08

[A14_1_08_416] →(後交連は、中脳と間脳の背側における境界をなす。この小さな交連は中脳水道と第三脳室の移行部で上丘の上方の中心灰白質の背側にある。交連線維は外側で扇状にひろがり、その周囲を後交連核と総称される細胞が取り囲む。これまで明らかにされた後交連の構成線維は、①視蓋前核、②後交連核、③間質核からの線維がある。瞳孔の対光反射に関与する線維は後交連で交叉する。後交連の下方の中脳水道上衣は線毛をもつ高い柱状細胞よりなる。このような変形上衣細胞は交連下器官を形成し、分泌機能をもち、脳室周囲器官の一つとされている。交連下器官は中脳において脳血液関門をもたない唯一の部分である。)

Opening of aqueduct of midbrain; Opening of cerebral aqueduct(中脳水道口)Apertura aqueductus cerebri mesencephali ちゅうのうすいどうこう [A14_1_06_502]

Infundibular recess(漏斗陥凹)Recessus infundibuli; Recessus infundibularis ろうとかんおう Feneis: 294 05

[A14_1_08_417] →(漏斗陥凹は漏斗に対応する第三脳室の漏斗状の憩室、すなわち漏斗陥凹は漏斗の中間部までしか達していない。したがって、漏斗の近位部には達していない。漏斗の近位部には内腔があるが、遠位部には管腔はない。漏斗の近位部を漏斗中空部Pars cava infundibuli、遠位部を漏斗緻密部Pars compacta infundibuliと呼ぶ。)

Supra-optic recess; Optic recess(視索上陥凹;視交叉上陥凹;視束陥凹;視交叉陥凹)Recessus supraopticus; Recessus opticus しさくじょうかんおう;しこうさかんおう;しそくかんおう;しこうさかんおう Feneis: 294 04

[A14_1_08_418] →(視交叉上陥凹は視交叉の上での第三脳室から伸びた陥凹。)

Lamina terminalis; Terminal lamina(終板;第三脳室灰白終板)Lamina terminalis; Lamina terminalis cinerea ventriculi tertii しゅうばん;だいさんのうしつかいはくしゅうばん Feneis: 308 19

[A14_1_08_419] →(終板は広義の第三脳室の吻側壁を形成する、三角形をした薄い膜状の組織であり、前交連から視交叉にかけての正中部にみられる。終板の尾側面は上衣細胞に被われており、吻側面は脳軟膜でおおわれ、さらにそのすぐ吻側には前交通動脈が通っている。組織学的にみると終板は外層と内層に分けられ、内層は主として神経膠細胞の突起で出来ている。)

Column of fornix(脳弓柱)Columna fornicis のうきゅうちゅう Feneis: 308 25

[A14_1_08_420] →(脳弓柱は没部と出部からでる。没部は左右の乳頭体から始まり、視床下部内を前上方に走り、前交連の後ろで出部に移行する。出部は大脳半球の正中断面で見える部分で、上行するとともにしだいに左右が互いに近づき、ついで後背側方に走り、前方は透明中隔板と癒着している。出部は脳梁幹の下で脳弓体に移行する。)

Free part of column of fornix(脳弓柱自由部;脳弓柱出部)Pars libera columnae fornicis のうきゅうちゅうじゆうぶ;のうきゅうちゅうしゅつぶ

[A14_1_08_420_1]→

Hidden part of column of fornix(脳弓柱蓋部;脳弓柱没部)Pars tecta columnae fornicis のうきゅうちゅうがいぶ;のうきゅうちゅうぼつぶ

[A14_1_08_420_2]→

Anterior commissure(前交連)Commissura anterior ぜんこうれん Feneis: 308 20

[A14_1_08_421] →(間脳の前交連は第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束である。前部は左右の嗅球を連結する小線維束で、後部は左右両側の側頭葉を連絡する大きな線維束である。)

Hypothalamic sulcus(視床下溝)Sulcus hypothalamicus ししょうかこう Feneis: 294 02

[A14_1_08_422] →(視床下溝は第三脳室両側の外側壁にある溝で視床内側面と視床下部の間にある境界溝に一致する。室間孔から後交連までいたる。)

Internal features(内部の特徴(視床の))Morphologia interna ないぶのとくちょう(ししょうの)  [A14_1_08_500]

 

Epithalamus(視床上部)Epithalamus ししょうじょうぶ Feneis: 292 03

[A14_1_08_501] →(視床上部には、松果体、手綱三角、髄条および第三脳室の上衣性上壁が含まれる。ヒトの手綱は、内側の比較的小さい核(内側手綱核)と外側の比較的大きい核(外側手綱核)からなる。これらの核には髄条が終止し、反屈側が起始する。反屈束は、脚間核および中脳縫線の核に終止する。髄条は、次の諸部分から起こる線維よりなる複雑な線維束である。すなわち、①中隔核、②外側視索前野、③視床前核群である。海馬体および扁桃体複合核からの線維は中隔核に投射する。)

Habenular commissure(手綱交連)Commissura habenularum たづなこうれん Feneis: 292 07; 292 13

[A14_1_08_414] →(手綱交連は左右の手綱核からの線維の交叉。交叉部は松果陥凹の上方にある。)

Habenulo-interpeduncular tract; Fasciculus retroflexus(手綱脚間核路;手綱脚間路;反屈束;マイネルト束)Tractus habenolointerpeduncularis; Fasciculus retroflexus たづなきゃくかんかくろ;たづなきゃくかんろ;はんくつそく;まいねるとそくMeynert's retroflex bundle Feneis: 292 12

[A14_1_08_502] →(手綱三角の内部には内側および外側手綱核がある。内側核は小細胞性で、外側核は大小の細胞を含む。これらの核は手綱の線維を受け、主として脚間核に向かう反屈束または手綱脚間路を出す。)

Lateral habenular nucleus(外側手綱核)Nucleus habenularis lateralis がいそくたづなかく

[A14_1_08_503] →(外側手綱核は、淡蒼球、視床下部外側や、無名質および外側視索前野から、ならびに腹側被蓋野と中脳の縫線核からの求心性線維を受ける。)

Habenular nuclei(手綱核;内側および外側手綱核)Nuclei habenulae たづなかく;ないそくおよびがいそくたづなかく

[A14_1_08_503_0]→手綱核は手綱の灰白質で、小型神経細胞からなる内側手綱核と大型神経細胞からなる外側手綱核からなる。両核は、脳基底部(中隔、基底核、外側視索前核)からの神経線維を受ける。さらに外側手綱核は淡蒼球の内節からの線維も受けている。両核は反屈束を通じて脚間核および中脳被蓋の内側域へ線維を出す。

Medial habenular nucleus(内側手綱核)Nucleus habenularis medialis ないそくたづなかく

[A14_1_08_504] →(手綱の小さい方の内側手綱核は、中隔核の後部と中脳の縫線核からの求心性線維を受ける。縫線核からのセロトニン作働性の投射と上頚神経節からのアドレナリン作働性支配は手綱の手綱内層核に達する。外側手綱核と内側手綱核は、中脳の吻側部へのインパルスを伝える大脳辺縁系の伝導路が集まるところである。)

Posterior commissure(後交連)Commissura posterior; Commissura epithalamica こうこうれん Feneis: 292 08

[A14_1_08_416] →(後交連は、中脳と間脳の背側における境界をなす。この小さな交連は中脳水道と第三脳室の移行部で上丘の上方の中心灰白質の背側にある。交連線維は外側で扇状にひろがり、その周囲を後交連核と総称される細胞が取り囲む。これまで明らかにされた後交連の構成線維は、①視蓋前核、②後交連核、③間質核からの線維がある。瞳孔の対光反射に関与する線維は後交連で交叉する。後交連の下方の中脳水道上衣は線毛をもつ高い柱状細胞よりなる。このような変形上衣細胞は交連下器官を形成し、分泌機能をもち、脳室周囲器官の一つとされている。交連下器官は中脳において脳血液関門をもたない唯一の部分である。)

Pretectal area(視蓋前域;視蓋前野)Area pretectalis しがいぜんいき;しがいぜんや Feneis: 292 14

[A14_1_08_505] →(視蓋前域は後交連の高さで上丘のすぐ吻側で、脳幹と間脳の境界にあり、対光反射や調節反射などに関与している領域である。視蓋前域は、視索核、視索前域オリーブ核、視蓋前域前核、視蓋前域後核などの神経核の複合体である。視蓋前域のほぼ全域に、網膜からの線維が終止している。網膜からの線維は、明るさの変化を伝えている。視索前域には、網膜の他に、外側膝状体腹側核や上丘からの線維が終止している。視蓋前域から遠心性線維は、動眼神経副核、外側膝状体腹側核、外側膝状体背側核、視床の後外側核などにおわっている。動眼神経副核への投射は両側性であり、瞳孔収縮筋や毛様体筋の働きを制御して、瞳孔の大きさや水晶体の厚さを調節している。)

Pretectal nuclei(視蓋前域核群;視蓋前域核)Nuclei pretectales しがいぜんいきかくぐん;しがいぜんいきかく Feneis: 292 15

[A14_1_08_506] →(視蓋前核は後交連の背外側に位置し、上丘まで達す。後頭葉およびその前方からの線維ならびに視索からの線維が入り、瞳孔括約筋を支配する動眼神経副核へ線維を出す。)

Anterior pretectal nucleus(視蓋前域前核;前視蓋前域核)Nucleus pretectalis anteior しがいぜんいきぜんかく;ぜんしがいぜんいきかく  [A14_1_08_507]

Nucleus of optic tract(視索核;視蓋前域視索核)Nucleus tractus optici しさくかく;しがいぜんいきしさくかく

[A14_1_08_508] →(視索核は視蓋前域と視床枕の背外側縁に沿って位置し、大型の細胞からなる板状の核である。)

Olivary pretectal nucleus(視蓋前域オリーブ核;オリーブ視蓋前域核)Nucleus pretectalis olivaris しさくぜんいきおりーぶかく;おりーぶしがいぜんいきかく

[A14_1_08_509] →(視蓋前域オリーブ核は後交連後部の高さに認められる境界の明瞭な核で、視索からの線維を両側性に受け、両側の動眼神経核群の内臓性核に投射線維を送っている。これらの線維連絡は瞳孔の直接および共感性対光反射に関与する系である。)

Posterior pretectal nucleus(視蓋前域後核;後視蓋前域核)Nucleus pretectalis posterior しがいぜんいきこうかく;こうしがいぜんいきかく  [A14_1_08_510]

Subcommissural organ(交連下器官)Organum subcommissurale こうれんかきかん Feneis: 292 19

[A14_1_08_511] →(交連下器官は、後交連の下で、第三脳室と中脳水道との接合部にある上衣細胞からなる器官。この器官の機能は不明である。)

Thalamus(視床)Thalamus ししょう

[A14_1_08_601] →(視床は、間脳の大きいほうの背側部分を形成する灰白質。背側間脳溝と視床下溝の間の領域であるが、発生の間に大きく発育して、間脳背側部の広い範囲を占めるようになる。間脳は個体発生上、背側視床、腹側視床、視床下部および視床上部の四つの部位に分けられるが、その中で最も大きな部位を占めるのが背側視床である。単に視床といった場合は背側視床を指す。視床は第三脳室の両壁をなす卵円形の構造で、背側の遊離面は薄い髄質から成る帯層におおわれ、肺内側端に視床上部の構造である視床髄条が、前端より後方に走り手網核に付く。また背外側端は分界条によって終脳の尾状核と、外側方は外髄板によっておおわれ腹側視床の視床網様核と境されている。左右の視床は第三脳室内にまたがる視床間橋(中間質)によってつながり、視床下溝で視床下部と境される。視床の内部を構成している視床核は視床脚を介して大脳皮質と相互に結合する。内部には内髄板とよばれる線維板視床を内側部、外側部および前部に分けている。視床は感覚系と統合系との非常に重要な連絡部位である。嗅覚路以外のすべての感覚路がそれぞれ相当する視床の領域に投射する。「最近の研究によれば、嗅覚系も視床を投射する可能性がある」。視床で処理された感覚系情報の流れは視床大脳皮質線維を経て大脳皮質へと送られるが、大脳皮質の側からは多数の大脳皮質視床線維を介して視床における情報処理系に影響が及んでおり、したがって、視床と大脳皮質とは一つの機能単位としてはたらく。「運動」情報は小脳と大脳基底核を経て伝達され、統合系(大脳辺縁系や脳幹網様体など)からのさらに複雑な情報も視床に達する。したがって、視床は一方では大脳辺縁系と脳幹網様体との連結点として機能し、他方では大脳皮質も連絡しているわけである。)

Grey substance of thalamus; Grey matter of thalamus; Gray substance of thalamus; Gray matter of thalamus(視床の灰白質)Substantia grisea thalami ししょうのかいはくしつ

[A14_1_08_602] →(間脳の背側視床内に存在する灰白質の集団で視床核ともよばれる。これはいくつかの核に分類される。厳密な核の分類・命名は細胞構築的に境界が不明確な場合が多く、異なった観点、たとべば系統発生学的観点、皮質および下位脳との結合関係、あるいは機能的観点などにより必ずしも一致していない。まず、視床を肉眼的にみるといくつかの隆起が認められる。後方の著明な突出物を視床枕という。これはその腹側の二つの小隆起をつくっている外側膝状体と内側膝状体、さらにそれらの肺内側部にある膝状体上核と一鞘に後核群に分類される。視床最前部の背側にも著明な隆起があり、これを前結節といい、この中に前核群である背側、腹側および内側前核が存在する。次いで視床を横断するとその中央部に線維板からなる内側髄板がみられる。この中に前核群である背側、腹側および内側前核が存在する。次いで視床を横断するとその中央部に線維板から成る内側髄板がみられる。この内側髄板より内側方が内側核群で背側内側核が大部分を占める。内側髄板より外側方は外側核群である。外側核群は視床核群のうち最も大きく、背側部と腹側部に分かれそれぞれ背側核、腹側核といわれる。背側核はさらに前方の背臥位束核と後方の後外側核に分けられる。一方、腹側核は大きく前方より三つの部位部に分かれ、それぞれ前腹側核、外側腹側核および後腹側核に分かれる。さらに後腹束核は後内腹側核と後外腹側核に分けれれう。髄板内にもいくつかの細胞集団があり、これらを髄板内核群とよぶ。また視床の最も内側で左右の視床をつなぐ視床間橋内や第三脳室の周辺を取り囲む核を正中核群という。また視床核は皮質との結合の様態によっても分類され、(1)特定の皮質と相互に結合する特殊核群、(2)広く皮質全体に広がる投射をする非特殊核群、および(3)連合領皮質と結合する連合核大別することもできる。)

Anterior nuclei of thalamus; Anterior thalamic nucleus(視床前核群;視床前核)Nuclei anteriores thalami ししょうぜんかくぐん;ししょうぜんかく Feneis: 294 13

[A14_1_08_603] →(視床の前核群は視床の最も吻側で2分した内髄板によって囲まれた領域で背側表面の下にあり、ここに前結節を形成している。大きな主核である腹側前核(AV)と副核である背側前核(AD)および内側前核(AM)の3つの神経核が含まれる。ヒトでは腹側前核以外は退化的である。これらの諸核を構成している細胞は、中等大で、色素親和性の物質はほとんどなく、中等量の黄色色素が含まれ、有髄神経線維にとり囲まれている。乳頭体から線維を受け、帯状回と相互に線維連絡する。大脳辺縁系と関連しており、情動や新しい記憶と関連するという。)

Anterodorsal nucleus of thalamus; Anterodorsal thalamic nucleus(背側前核;前背側核(視床の))Nucleus anterodorsalis thalami はいそくぜんかく;ぜんはいそくかく(ししょうの) Feneis: 294 14

[A14_1_08_604] →(前核群は乳頭視床束を受ける。乳頭体内側核からの線維は同側の前腹側核および前内側核に投射するが、他方、乳頭体外側核は、両側性に、前背側核に投射する。乳頭体外側核から出る神経線維は、背側前核と中脳被蓋の両者に両側性に投射する。)

Anteromedial nucleus of thalamus; Anteromedial thalamic nucleus(内側前核;前内側核(視床の))Nucleus anteromedialis thalami ないそくぜんかく;ぜんふくそくかく(ししょうの) Feneis: 294 16

[A14_1_08_605] →(前腹側核の内下方にある小さい核で大脳核、大脳皮質運動前野と連絡。錐体外路系と関連する。)

Anteroventral nucleus of thalamus; Anteropricipal thalamic nucleus(腹側前核;前腹側核(視床の))Nucleus anteroventralis thalami; Nucleus thalamicus anteroprincipalis ふくそくぜんかく;ぜんないそくかく(ししょうの) Feneis: 294 15

[A14_1_08_606] →(AV核とも言われる。腹側前核は中等大細胞からなり、乳頭体から乳頭視床束(Vicq d'Azyr)を受け、帯状回に投射するが、また帯状回からも線維を受け、辺縁系に属する核と考えられている。)

Dorsal nuclei of thalamus(視床背側核群;視床背側核)Nuclei dorsales thalami ししょうはいそくかくぐん;ししょうはいそくかく Feneis: 296 01

[A14_1_08_607] →(視床背側核は、視床核の外側核群のうち背側部に存在する背外側核(LD)と後外側核(LP)を狭義には外側核という場合がある。これらは視床連合核に属し、他の視床核や上丘、視蓋前域などから線維を受け大脳皮質の後頭・頭頂葉の連合野の広い領域に投射する。)

Lateral dorsal nucleus of thalamus; LD(背外側核;背側外側核(視床の))Nucleus dorsalis lateralis ししょうのはいがいそくかく;ししょうのはいそくがいそくかく Feneis: 296 03

[A14_1_08_608] →(LD核とも言われる。ラテン語をそのまま直訳すると外側背側核となるが、英語で用いられている背側外側核が一般的である。分類的には視床の外側核群-背側核-背外側核(LD)となる。中等大細胞からなり、特定の著明な上行性求心路をもたず、大脳半球の内側面の帯状回の後部および知覚中枢の後方における楔前部に投射する。このように一定の連合領域にひろく投射する核を連合核と呼び、これらはヒトでは特に発育がよく、外側核のほか後核や内側核がこれに属する。)

Lateral posterior nucleus of thalamus; LP(後外側核(視床の))Nucleus lateralis posterior thalami こうがいそくかく(ししょうの) Feneis: 296 02

[A14_1_08_609] →(LP核とも言われる。視床の後外側核は視床の外側核群に属し、視床枕核と背側外側核の間の分。視床の他の核から線維を受け、上・下頭頂小葉(頭頂連合野)に線維を送っている。これにより、感覚情報は連合野で解析・統合される。)

Pulvinar nuclei(視床枕核;視床枕核群)Nuclei pulvinares ししょうちんかく;ししょうちんかくぐん Feneis: 296 11

[A14_1_08_610] →(視床枕核は霊長類ではよく発達しており、外側視床核群の尾側の大きな部分で細胞構築や連絡の様子から前核、内側核、外側核、および下核を4群に分けられる。視床の後部と背外側部を形成する大きな灰白質塊で、これの尾方は、内側膝状体、外側膝状体および中脳の背外側面の上に張り出している。視床枕核は、細胞学的にはかなり均一であるので、局所的な位置関係を基にして細分される。他の視床核から線維を受け、頭頂葉や後頭葉に投射する。視覚・聴覚・立体の認知にあずかるとされている。)

Anterior pulvinar nucleus(前視床枕核;視床枕前核)Nucleus pulvinaris anterior ぜんししょうちんかく;ししょうちんぜんかく

[A14_1_08_611] →(ラテン語を直訳すると前視床枕核となるが、視床枕を前に出し、視床枕前核も併記する。外側膝状体と視床枕前核は上・下頭頂小葉(5野、7野)と連絡する。外側膝状体からの投射野は、視床枕前核からのそれよりも吻側に位置する。)

Inferior pulvinar nucleus(下視床枕核;視床枕下部)Nucleus pulvinaris inferior かししょうちんかく;ししょうちんかぶ

[A14_1_08_612] →(ラテン語を直訳すると下視床枕核となるが、視床枕を前に出し、視床枕下核も併記した。視床枕下核からは頭頂葉と後頭葉の境界領域、有線野周辺の18野と19野(Circumstriate areas)、および一次聴覚野(17野)とさらに側頭葉下部視覚連合野(inferotemoral visual association cortex)にも投射がある。視床枕下核から、大脳皮質の17野、18野および19野への投射は、膝状体外視覚神経路の中の最後の連絡を形成する。視床枕下核と外側とには視蓋前域と上丘の浅層から起こる投射線維が入る。上丘の深層(非視覚性の領域)から起こる投射線維は視床枕内側核に終止する。網膜から視床枕下核および視床枕内側核への直接投射も記載されている。)

Lateral pulvinar nucleus(外側視床枕核;視床枕外側部)Nucleus pulvinaris lateralis がいそくししょうちんかく;ししょうちんがいそくぶ

[A14_1_08_613] →(ラテン語を直訳すると外側視床枕核となるが、視床枕を前に出し、視床枕外側核も併記した。視床枕外側核および視床枕下核からの投射野には頭頂葉と後頭葉の境界領域、有線野周辺の18野と19野(Circumstriate areas)、および一次聴覚野(17野)が含まれる。視床枕からの投射遠位は17yあではⅠ層に終止し、18野と19野ではⅥ層からおこる。)

Medial pulvinar nucleus(内側視床枕核;視床枕内側部)Nucleus pulvinaris medialis ないそくししょうちんかく;ししょうちんないそくかく

[A14_1_08_614] →(ラテン語を直訳すると内側視床枕核となるが、視床枕を前に出し、視床枕内側核も併記した。視床枕内側核は上側頭回、上側頭溝の背側壁、および側頭極(temporal pole)に投射する。視床遅延核内側核のこれとは別のニューロン群からは前頭眼野と辺縁系皮質への投射が起こる。)

Intralaminar nuclei of thalamus(視床髄板内核;髄板内核)Nuclei intralaminares thalami ししょうずいばんないかく;ずいばんないかく Feneis: 294 24

[A14_1_08_615] →(視床髄板内核の特徴は、大脳皮質の広い範囲と線条体とに投射する点である。内髄板の中に分布している神経核を総称したもので、中心正中核(CM)、束傍核(Pf)、外側中心核(CL)、内側中心核(CeM)、中心傍核(Pc)が含まれる。中心正中核は大きな神経核で、背内側核と後内側腹側核の間にある。束傍核は、中心正中核の内側で、反屈束の近傍にある。髄板内核へは、網様体、青斑核、小脳、黒質、上丘、大脳基底核などの広い領域からの線維が入ってくる。脊髄視床路や三叉神経視床路も髄板内核に側枝をだしている。髄板内核からの線維は大脳皮質の広い範囲に投射しているほか、大脳基底核にも終止している。)

Central lateral nucleus of thalamus(外側中心核(視床の))Nucleus centralis lateralis thalami がいそくちゅうしんかく(ししょうの) Feneis: 294 28

[A14_1_08_616] →(外側中心核は中心傍核よりも幅が広く、これと類似の細胞から構成されている。)

Central medial nucleus of thalamus(内側中心核(視床の))Nucleus centralis medialis thalami ないそくちゅうしんかく(ししょうの) Feneis: 294 29

[A14_1_08_617] →(内側中心核は内髄板の下内側端にあり、中心傍核の内側部に隣接して存在する。)

Centromedian nucleus of thalamus (Centre médian de Luys); CM(正中中心核;中心正中核(視床の))Nucleus centromedianus thalami; Nucleus medialis centralis せいちゅうちゅうしんかく;ちゅうしんせいちゅうかく(ししょうの) Feneis: 294 25

[A14_1_08_618] →(CM核とも言われる。視床の中心正中核は、髄板内核の中で最も大きくかつ、最も容易に認定される核であり、視床の中1/3部の高さにあり、背側内側核と後腹側核の間に位置する。その周囲は、内側の境界に沿って束傍核と融合する部分を除き、ほとんど完全に内側髄板の線維によって取り囲まれる。この核を構成する細胞は卵形ないし円形の細胞で、かなりの量の黄色色素(リポフスチン)を含む。この核の外側部にある細胞は小さいが、より内側方にあって背側内側核と境を接する領域にある細胞は、より大きく、かつ、いっそう密に配列している。網様体から線維を受け、大脳皮質に広く投射する。上行性網様体賦活系(大脳皮質を覚醒して意識を明晰に保つ)に関わる。)

Paracentral nucleus of thalamus(中心傍核(視床の))Nucleus paracentralis thalami ちゅうしんぼうかく(ししょうの) Feneis: 294 26

[A14_1_08_619] →(中心傍核は背側内側核の吻側部に隣接する内側髄板の中にある。細胞は大きく、濃染し、多極性で、有髄線維束の間に幾つかの集団をなしている。中心傍核は尾方では、中心正中核の背方、背側内側核の外側方にある外側中心核と融合するようにみえる。)

Parafascicular nucleus of thalamus(束傍核;傍束核(視床の))Nucleus parafascicularis thalami そくぼうかく(ししょうの) Feneis: 294 27

[A14_1_08_620] →(束傍核は、中心正中核の内側方で、背側内側核の尾側部の腹方にある。束傍核の最も著しい特徴は、この核の細胞群が反屈束の肺内側部を取り囲んでいることである。)

Medial nuclei of thalamus(視床内側核群;視床内側核)Nuclei mediales thalami ししょうないそくかくぐん;ししょうないそくかく Feneis: 294 21

[A14_1_08_621] →(視床内側核は視床内髄板と髄板内核に取り囲まれている。その内方および腹内方には視床正中線核群(midline thalamic nuclei)が分布する。正中線核群は菱形核、結合核、および紐傍核である。視床内側核は内側の巨大細胞部(magnocellular part)と外側の小細胞部(paraveocellular part)に区分される。小細胞部と内髄板の境界部に大型細胞から成る髄板傍部(pars paralemellaris)が記載されることがあるが、これはむしろ視床外側中心核(CL)に属するものと考えられる。視床内側核は腹側線条体からの投射もうける。この経路によって「側坐核(腹側線条体のもっとも主要な部分)-視床内側核-前頭前野皮質」の連絡系が成立する。視床から腹側線条体への投射線維は紐傍核(parataenial nucleus)から起こる。)

Medial dorsal nucleus of thalamus; Dorsomedial nucleus of thalamus; MD(背内側核;背側内側核;内側背側核(視床の))Nucleus mediodorsalis thalami はいないそくかく;はいそくないそくかく;ないそくはいそくかく(ししょうの) Feneis: 294 22

[A14_1_08_622] →(MD核とも言われる。ラテン語を直訳すると内側背側核となるが、英語で記述されているように背内側核(MD)とする方が一般的であるので併記する。背内側核は、内側髄板と室周灰白質の間の領域の大部分を占める。この核には大きく3つの領域が区別される。すなわち①内側大細胞部(内側核)、②外側小細胞部(外側核)、③髄板傍核(多形細胞部)であり、この部分の特徴は、大形細胞が内側髄板に接して帯状に集まっていることである。この核は髄板内核および視床の外側核群と広汎な結合を有する。背内側核の大細胞性の内側部は、扁桃体、側頭葉の新皮質、前頭葉の眼窩面後部の皮質からの線維を受ける。これらの線維の多くは、脚ワナの構成要素をなしている。脚ワナを構成しているものは、扁桃体複合核と視索前野視床下部領域を相互に結合する線維群と下視床脚である。この核の小細胞性の比較的大きな部分は、大量の投射によって、実際には大脳皮質6野および32野より前方の前頭葉の全領域と結合している。前頭前野皮質の広汎な損傷、あるいは、この領域からの線維を中断する損傷(すなわち、前頭前葉切断術)の後ろには、背内側核の小形の細胞はほとんど前部変性する。背内側核には中心前回の運動領皮質に投射している細胞はない。背内側核と前頭葉の顆粒皮質(すなわち、前頭前皮質)との間および髄板傍部と運動前野との間には相互の結合がある。特に豊富な相互の結合が大脳皮質8野(前頭眼野)と背側内側核の髄板傍部との間に存在する。背内側核の髄板傍部は、黒質の網状部からもかなりの量の投射を受けている。背内側核の大細胞部が扁桃体からの投射をうけながら、この結合は両方向性のものではない。背側内側核は体性および内臓性インパルスの統合と関係していると考えられている。前頭前野皮質へと中継されたインパルスは意識にのぼり、かつ、知覚にいろいろな程度の影響を与える。精神外科学的研究(すなわち、前頭葉切断術)は、前頭葉連合皮質の広い領域および背内側核が、情動的講堂の状態と関係があるらしいことを示唆している。)

Lateral nucleus of medial dorsal nucleus of thalamus; Parvocellular nucleus of medial dorsal nucleus of thalamus(小細胞部;外側部;外側核(視床の背内側核の))Pars parvocellularis lateralis nuclei mediodorsalis thalami しょうさいぼうぶ;がいそくぶ;がいそくかく(ししょうのはいないそくかくの)

[A14_1_08_623] →(視床内側核小細胞部は前頭眼野(8野)および前頭前野の皮質と連絡する。視床内側核小細胞部には、上丘、黒質、前庭神経核群、および中脳被蓋からの入力線維が入る。)

Medial nucleus of medial dorsal nucleus of thalamus; Magnocellular nucleus of medial dorsal nucleus of thalamus(大細胞部;内側部;内側核;大細胞核(視床の背内側核の))Pars magnocellularis medialis nuclei mediodorsalis; Pars magnocellularis nuclei mediosorsalis thalami だいさいぼうぶ;ないそくぶ;ないそくかく;だいさいぼうかく(ししょうのはいないそくかくの)

[A14_1_08_624] →(視床内側核大細胞部は前頭前野内側部や前頭葉眼窩面の皮質と相互に連絡し合う。これらの大脳皮質領域はおそらく嗅角系との関係が深い領域である。視床内側核大細胞には、扁桃体、内嗅領皮質(entorhinal cortex)、周嗅領皮質(perirhinal cortex)、および側頭極(temporal pole)皮質から起こる投射線維が終枝する。ラットでみられるような、嗅覚野皮質から視床内側核大細胞部への直接投射は、霊長類ではほとんどみれれない。)

Paralaminar part of medial dorsal nucleus of thalamus; Pars laminaris; Pars paralaminaris of medial dorsal nucleus of thalamus(髄板傍部(視床の背内側核の))Pars paralaminaris nuclei mediodorsalis thalami ずいばんぼうぶ(ししょうのはいないそくかくの)

[A14_1_08_625] →(髄板傍部のみが前運動野に投射する(Kievit, J., and Kuyers, H.G.J.M. 1977. Organization of the thalamo-cortical connexions to the frontal lobe in the rhesus monkey. Exp. Brain Res., 29: 299-322)。髄板傍部と運動皮質間には相反性結合がある。特に多くの相反性結合は、大脳皮質8野(前頭眼野)と背側内側核の髄板傍部にある。背内側核の髄板傍部はまた、黒質の網様部からかなりの投射を受ける。背内側核の大細胞部は扁桃から投射を受けるが、この結合性が相反性でないことは興味深い。)

Medial ventral nucleus of thalamus; MV(内側腹側核;内腹側核(視床の))Nucleus thalami medioventralis ししょうないそくふくそくかく;ししょうのないふくそくかく [A14_1_08_626]

Median nuclei of thalamus(視床正中核群;視床正中核)Nuclei mediani thalami ししょうせいちゅうかくぐん;ししょうせいちゅうかく Feneis: 294 17

[A14_1_08_627] →(正中核は脳室壁背側半分の室周灰白質および視床間橋にあるやや明瞭な細胞群である。ヒトでは小さく境界も不鮮明であるが、下等脊椎動物では髄板内核の一部とともに視床の大部分を形成する。正中核は小型の紡錘形でやや濃く染色され、節前自律神経細胞に似ており、内臓活動に関係すると思われる。正中視床核の遠心性腺には扁桃核複合体に投射することが示された。これらの線維は室傍核、正中核複合体、結合核からおこる。正中視床核は帯状回皮質前部にも投射することが示唆されている。室周灰白質を通る細い有髄、無髄の線維は視床下部とこれらの核を関係づけている。より明確な正中細胞群には、髄条近傍の紐傍核、背側脳室壁の室傍核がある。これらの境界不明瞭な核を下等哺乳動物のよく発達した核と対応させることにより、一部の研究者はこの室周灰白質に数個の細胞群を認める。すなわち、結合核、菱形核、中心正中核である。結合核、菱形核、中心正中核ののいずれも存在する場合には、視床間橋(中間質)と密接な関係を有する。視床間橋は約30%のヒト脳にはみられないと報告されている。)

Paratenial nucleus of thalamus(ヒモ傍核;紐傍核)Nucleus parataenialis ひもぼうかく;ちゅうぼうかく Feneis: 294 20a

[A14_1_08_628] →(学会では紐の字が難しいのでかなを用いてるが、ヒモ傍核とするとあまり格好がよくないので、紐傍核を併記した。)

Paraventricular nuclei of thalamus(視床室傍核群;視床室傍核)Nuclei paraventriculares thalami ししょうしつぼうかくぐん;ししょうしつぼうかく Feneis: 294 18

[A14_1_08_629] →(室傍核は、中心正中核の内側方で、背側内側核の尾側部の腹方にある。室傍核の最も著しい特徴は、この核の細胞群が反屈束の肺内側部を取り囲んでいることである。)

Anterior paraventricular nucleus of thalamus(前室傍核(視床の))Nucleus paraventricularis anterior thalami ぜんしつぼうかく(ししょうの) Feneis: 294 18

[A14_1_08_630] →(視床の前室傍核は視床背側、したがって視床髄条よりも高いところにあり、髄条の前端から手綱まで。後頭方向では、次第に中心灰白質に移行する。)

Posterior paraventricular nucleus of thalamus(後室傍核(視床の))Nucleus paraventricularis posterior thalami こうしつぼうかく(ししょうの) Feneis: 294 18

[A14_1_08_631] →(視床の後室傍核は視床背側、したがって視床髄条よりも高いところにあり、髄条の前端から手綱まで。後頭方向では、次第に中心灰白質に移行する。)

Nucleus reuniens; Reuniens nucleus(結合核;視床結合核)Nucleus reuniens けつごうかく;ししょうけつごうかく Feneis: 294 20

[A14_1_08_632] →(結合核は前結節前縁より視床間橋中部まで達し、間橋の形成に関与する。男性では28%、女性では14%がこの核を欠く。)

Rhomboid nucleus(菱形核)Nucleus commissuralis rhomboidalis りょうけいかく Feneis: 294 19

[A14_1_08_633] →(菱形核はしばしば視床間橋を形成する。)

Posterior nuclear complex of thalamus(視床後核群)Nuclei posteriores thalami ししょうこうかくぐん Feneis: 296 10

[A14_1_08_634] →(ラテン語に従えば視床後核となるが後核と混同するので英語を採用して視床後核群とする。後外側腹側核の尾側には視床後核群とよばれる複雑で変化に富む細胞系帯の陥凹移行部がある。後核群は後外側腹側核の尾側、視床枕吻側部の内側、内側膝状体の背側にある。視床後核群は、膝状体上核、境界核、後核とよばれる吻側で後外側腹側核の尾側に伸びる境界不鮮明の各種の細胞形から成る部分で構成される。)

Nucleus limitans; Nucleus limitans thalami(境界核;視床境界核)Nucleus limitans きょうかいかく;ししょうきょうかいかく

[A14_1_08_635] →(境界核は、視蓋前域と内側視床枕核とを分ける卵円形ないし紡錘形の狭い帯をなし、これらの細胞は外側で膝状体上核の細胞と融合する。)

Posterior nucleus of thalamus(後核(視床の);視床後核)Nucleus posterior thalami; Nucleus thalami posterior こうかく(ししょうの);ししょうこうかく

[A14_1_08_636] →(小型ないし中等大細胞からなり膝状体核の吻側にある後核は、吻側で後外側腹側核の吻側部に達し、下後腹側核と連続する。後核の背側部は視床枕がおおう部および膝状体上核の小細胞部と区別するのは困難である。後核は脊髄視床線維を受け痛覚と侵害進撃に菅家すると考えられる。後核の内側部はまた、一次、二次体性感覚皮質と聴覚皮質から投射を受ける。生理学的研究によると、視床後核の細胞は体性感覚刺激によって興奮するが、機械的刺激受容細胞は部位特異性がなく、この部分の多くの細胞は触覚、振動覚、聴覚刺激に反応し、様式特異性ではない。この視床領域の細胞で、関節のゆるやかな回転により興奮するものはない。)

Suprageniculate nucleus(膝状体上核;膝上核)Nucleus suprageniculatus しつじょうたいじょうかく;しつじょうかく

[A14_1_08_637] →(膝状体上核はピラミッド形の細胞塊で、内側膝状体主部の背側部から背内側にひろがる。)

Reticular nucleus of thalamus(視床網様核;網様核(視床の))Nucleus reticularis thalami ししょうもうようかく;もうようかく(ししょうの) Feneis: 294 12, 296 18

[A14_1_08_638] →(視床網様核は、外髄板と内包の間にある薄い神経核である。多くの神経線維の中に神経細胞が分布しているので網様核という名前が付けられているが、網様体とは関係がない。この核への求心性線維は、視床皮質線維と皮質視床線維の側枝である。網様核の神経細胞は、視床の神経核と相互連絡を持っており、この神経核の細胞の軸索は、自分に側枝をだしている視床の神経核に終止している。大脳皮質へは投射していない。)

Ventral nuclei of thalamus(視床腹側核群)Nuclei ventrales thalami ししょうふくそくかくぐん

[A14_1_08_639] →(視床の腹側核群は次の3亜核に分けられる。すなわち、前腹側核(VA)、外側腹側核(VL)、および後腹側核(VP)とに大別される。前腹側核は、腹側核の一番吻側にある大きい神経核である。求心性線維は淡蒼球と黒質に由来し、遠心性線維は大脳皮質の運動前野に投射している。外側腹側核は前部(VLa)と後部(VLp)とに分けられる。外側腹側核の前部に淡蒼球からの線維が入り、後部には小脳核からの線維がおわっている。外側腹側核の前部からの線維は運動前野に終わり、後部の線維は中心前下に終止している。後腹側核は後内側腹側核(VPM)、後外側腹側核(VPL)、後腹側核および後上腹側核(VPS)などに分けられる。後腹側核の神経核を一緒にして、腹側基底複合体とよぶことがある。後腹側核には、内側毛帯、脊髄視床路、三叉神経視床路などがおわっている。これらの線維の終止には、体部位局在性がみられ、下肢領域と上肢領域からの情報は、それぞれ後外側腹側核の外側部と内側部に終わり、頭部からの情報は後内側腹側核に終止している。後内側腹側核には、味覚の情報も到達している。この両親計画の腹側に後下腹側核がある。前庭神経核群からの線維は、中心後回に投射している。この投射にも、体部位局在性がみられ、頭部からの情報は腹外側部に終わり、下肢部からの情報は背側部から内側部に投射している。)

Ventrobasal complex; Ventrobasal nuclear complex of thalamus; Ventral posterior nucleus of thalamus; VP(腹側基底核群;腹側基底複合体;後腹側核(視床の))Nuclei ventrobasales thalami; Nuclei ventrales posteriores ふくそくきていかくぐん;ふくそくきていふくごうたい;こうふくそくかく(ししょうの) Feneis: 296 07

[A14_1_08_640] →(ラテン語を直訳すると腹側基底核となるが、英語の腹側基底複合体も併記する。視床における最も大きな細胞よりなるこの核群は主要な2つの部分(後外側腹側核(VPL)、後内側腹側核(VPM))および後下腹側核(VPI)、後上腹側核(VPS)などの総称。)

Ventral posterolateral nucleus of thalamus; VPL(後外側腹側核(視床の))Nucleus ventralis posterolateralis thalami こうがいそくふくそくかく(ししょうの) Feneis: 296 08

[A14_1_08_641] →(VPL核とも言われる。視床の後外側腹側核は腹側基底核群の外側部。内側毛帯と脊髄視床路の線維がシナプス結合する。内側毛帯線維の軸索終末の分枝は境界の明瞭な小円錐状を成して視床ニューロンとシナプス結合するが、脊髄視床路線維の軸索終末は散在性に分枝知る。入力情報はニューロンを乗り換えて大脳皮質の3、1、2野の下部へ投射する。)

Ventral posteromedial nucleus of thalamus; VPM(後内側腹側核;半月核(視床の))Nucleus ventralis posteromedialis thalami こうないそくふくそくかく(ししょうの) Feneis: 296 09

[A14_1_08_642] →(VPM核とも言われる。後内側腹側核は比較的淡く染まる神経網からなる三日月形の核で、後外側腹側核の内側で正中中心核の弯曲する境界の外側に位置する。後内側腹側核は次の明確な部分からなる。①小型、大型からなる主部で単に後内側腹側核とよばれる。②弓形の核の内側尖を占める小細胞性で淡染色の部で、小細胞部(VPMpc)とよばれる。後内側腹側核の主部は頭部、顔面、口腔内構造の受容期から体性求心性線維を受け、後外側腹側核の小細胞部は味覚に関係する。後内側腹側核の正確な境界はその線維結合に基づいて規定される。後内側腹側核は上行性二次賛辞神経線維を受けるがこれには、①内側毛帯に伴って上行する三叉神経脊髄路核と主感覚核からの交叉性線維、②三叉神経主感覚核の背側部からおこる背側三叉神経路の非交叉性線維が含まれる。ネコとサルの後内側腹側核からのHRP逆向性輸送により、対側の三叉神経核、特に中間部の尾側半、および三叉神経主核の腹側部の細胞が標識される。同側性に標識される細胞は大部分背側三叉神経路を生ずる主核の背内側部に限局する。顔面筋の伸展受容期からからのインパルスの一部も後内側腹側核の一部に両側性に伝達される。味覚を伝達する中枢経路はまだよくわかっていないが、味覚に関する感覚インパルスが後内側腹側核の内側小細胞部(VPMpc)に表現されることは確実である。鼓索、舌咽神経の電気刺激により、比較的短い潜時でVPMpcに誘発電位が示され体表面の触刺激にVPMpcは反応しないようである。ラットの味覚の表現は両側性といわれるが、ネコとサルではおもに同側性である。BenjaminとAlbert(Benjamin, R.M. 1959. Cortical and thalamic areas involved in taste discrimination in the albino rat. J. Comp. Neurol. 111: 231-260)は、ラットの皮質味覚野の切除によりVPMpcに限局した視床ニューロンの逆行性変性生じることを示した。動物実験の後内側腹側核の内側部の障害により味覚が失われる。ラットの脳神経の一次求心性線維により受容される味覚インパルスは、孤束核の吻側部に達し、そこで二次”橋味覚野”へ同側性に中継される。ラットの橋味覚野は、三叉神経中脳路と上小脳脚あいだの小細胞性の楔上部にある。この領域の細胞は上小脳脚の両側にあり、通常結合腕傍核とよばれる。これらの核の障害による変性は両側性に背内側被蓋を経てVPMpcへ追跡される。腹側前脳部へ達するといわれるこの橋味覚野からの側副路は、小窩講堂に影響する神経領域への直接の結合と考えられる。サルで迷走神経の入る部位より吻側の孤束核に注入されたアイソトープは、同側の中心被蓋路を経てVPMpcに直接達する上行線維束を標識する3H標識アミノ酸は、結合腕傍核とVPMpcに達する同側性線維束へ追跡された。VPMpcへのHRP注入により逆行性に、孤束核吻側部の外側亜分画のみが標識された。これらの所見は味覚が視床へ伝達される経路の理解を助ける。)

Parvocellular part of ventral posteromedial nucleus of thalamus(小細胞部(視床の後内側腹側核の))Pars parvocellularis nuclei ventralis posteromedialis thalami しょうさいぼうぶ(ししょうのこうないそくふくそくかくの)  [A14_1_08_643]

Ventral medial complex of thalamus(内側腹側核群(視床の))Nuclei ventrales mediales thalami ないそくふくそくかく(ししょうの) Feneis: 296 06 [A14_1_08_644]

Basal ventral medial nucleus of thalamus(基底内側腹側核;内側腹側核群基底核(視床の))Nucleus basalis ventralis medialis thalami きていないそくふくそくかく;ないそくふくそくかくぐんきていかく(ししょうの)  [A14_1_08_645]
Principal ventral medial nucleus of thalamus(主内側腹側核;内側腹側群主核(視床の))Nucleus principalis ventralis medialis thalami しゅないそくふくそくかく;ないそくふくそくぐんしゅかく(ししょうの)  [A14_1_08_646]
Submedial nucleus of thalamus(内側下核;正中下核(視床の))Nucleus submedialis thalami ないそくかかく;せいちゅうかかく(ししょうの)  [A14_1_08_647]

Ventral posterior inferior nucleus of thalamus(下後腹側核(視床の))Nucleus ventralis posterior inferior thalami かこうふくそくかく(ししょうの)

[A14_1_08_648] →(後腹側核で最も小さな部分である下後腹側核は腹側の後外側腹側核(VPL)と後内側腹側核(VPM)の間にある。核の腹側境界は網様核と視床束に隣接する。細胞は中等大で淡染性である。下後腹側核(VPI)への上行性求心路は完全には判っていないが、生理学的研究によるとサルの前庭神経の単独刺激によりこの核に潜時の短い反応を誘発することが示された。この誘発反応は小脳全摘術後にも変化せず、前庭神経切断により消失した。頭頂葉皮質の逆行性刺激によると、下後腹側核の神経はBrodmannの領野第2野と第5野の移行部の近傍の中心後回尾部に投射するらしい。その後の研究によると、上行性前庭投射は後腹側核吻側部(VPLo)と同時に下後腹側核にも電位を誘発した。サルの軸索輸送に基づく成績によると、上行性上行性前庭投射はVPLoの散在性の小部分と、さらに少数は下後腹側核に両側性に終わる。前庭線維の大部分は内側縦束の外を上行し、後視床核に終わるものはない。ほかの成績によると、前庭核は正中中心核に直接投射を有する。)

Ventral lateral complex of thalamus; VL(外側腹側核群(視床の))Nuclei ventrales laterales thalami がいそくふくそくかくぐん(ししょうの) Feneis: 296 05

[A14_1_08_649] →(VL核とも呼ばれる。外側腹側核は前腹側核の尾方にあり、大、小のニューロンから成る。これらのニューロンは、この核の中における部位によって著しく異なる。この核は、これまでに更に、主要な次の2部に分けられていた。すなわち、①吻側部(VLo)、②尾側部(VLc)である。この中で最も大きな吻側部(VLo)には多数の濃宣する細胞が集塊をなして配列する。尾側部(VLc)には、細胞は少ないが、大型の細胞が散在する。サルで、前腹側核の大細胞部の尾方で外側腹側核の吻側部の内側方にある三日月形の視床領域は、”X野”と名づけられていて、線維結合に基づいて考えると、外側腹側核群の統合部であるらしい。外側腹側核の尾側部、”X野”および後外側腹側核の前部(VPLo)は、”細胞がまばらな”苔状の部分として呼ばれ、細胞学的に外側腹側核の吻側部、後外側腹側核の尾側部および後内側腹側核とは異なるものである。淡蒼球の内節から起こる神経線維は、視床束を経て、視床の外側腹側核に投射する。淡蒼球からの投射の大部分は、この核の前部、外側腹側核の吻側部に達する。淡蒼球から出る線維はまた吻側方には、前腹側核に投射し、中心正中核(CM)に側副線維をだす。これらの投射は、部位局在的に配列している。小脳核から起こり反対側の赤核を越えて上行する遠心性線維は視床束に入り外側腹側核の”細胞がまばらな”帯状部分(外側腹側核の尾側部、後外側腹側核の前部、X野)を構成している核群に投射している。単一ニューロンの研究では小脳核内のはっきりした体部位的機構を表さなかった。これらの遠心性線維をうける視床核では視床の体性感覚中継核のものと類似の体部位的表現をもっている。体の異なる部分は、内側方に、体の尾側の部分は外側方にと、系統的に表されている、四肢は腹側に表される。歯状核視床線にと中位核視床線維は同じ部位に終止するらしいが、それらの終末は重ならずに、組合わさった形式である。室頂核視床投射路は後交連の部位と視床の髄板内核の部位の両方かあるいはどちらか一方の部位で交叉する線維で、両側性である。視床の外側腹側核は中心前回の皮質からかなり多くの線維を受ける。サルにおける研究によって、大脳皮質の4野は、外側腹側核の吻側部、外側腹側核の尾側部および後外側腹側核の前部、ならびに中心正中核、中心傍核と外側中心核に投射することが証明された。大脳皮質4野から外側腹側核の尾側部への投射は、大脳皮質6野からの投射ほど多くない。6野は”X野”にも投射する。系統的な分析によれば後外側腹側核の前部と外側腹側核の尾側部からなる視床外側腹側核の”細胞がまばらな”帯状の部分は、4野に部位局在的に踏査していることがわかる。この核の内側部分からの線維が皮質の顔面野、外側部分からの線維が下肢野、また、中間部分からの線維が下肢野、また、中間部分からの線維が上肢および体幹腹現領域に至る。かくして、歯状核、栓状核および室頂核から視床への終止域は、ほとんど同じであって、一次運動野へのインパルスを中継する。淡蒼球の内節から入力を受ける外側腹側核の吻側部への皮質投射帯は外側腹側核の吻側部が補足運動野へ投射し、また運動前野に投射するのとは異なっているらしい。視床の外側腹側領域の、細胞構築学的に分けられたそれぞれの部分は、運動機能のいろいろな面に関係した皮質野へ投射している。)

Anterior ventrolateral nucleus of thalamus(外側腹側核の吻側部;外側腹側前核(視床の))Nucleus anterior ventrolateralis thalami がいそくふくそくかくのふんそくぶ;がいそくふくそくぜんかく(ししょうの)

[A14_1_08_650] →(外側腹側核群(VL)に属する。)

Posterior ventrolateral nucleus of thalamus(外側腹側核の尾側部;外側腹側後核(視床の))Nucleus posterior ventrolateralis thalami がいそくふくそくかくのびそくぶ;がいそくふくそくこうかく(ししょうの)

[A14_1_08_651] →(外側腹側核群(VL核)に属する。)

Ventral anterior nucleus of thalamus; VA(前腹側核(視床の))Nucleus ventralis anterior thalami ぜんふくそくかく(ししょうの) Feneis: 296 04

[A14_1_08_652] →(VA核ともよばれる。前腹側核は、腹側核群の最吻側部に、そこでは、前方と腹外側方を網様核に境される。吻側方では、前腹側核が、視床のうち前核群の外側方の領域全体を占めるが、尾方においては、内側の領域の一部を占めるようになる。乳頭視床束は前腹側核を通過するが、尾方においては、内側の領域の一部を占めるようになる。乳頭体視床束は前腹束核を通過するが、その内側の境界をなしてはいない。この核は大形ないし中等大の多極細胞からなり、これらが集団をなして配列している。この核の中を太い有髄神経線維束が縦走する。この核のうち、乳頭視床束に隣接する部分およびこの核の腹方の境界に沿う部分は、大きな、暗調の細胞が密に配列し、大細胞部(VAmc)と呼ばれ、前腹側核の主部(VApc)よりも更に尾方に伸びる。このように、前腹側核には細胞学的に判然と区別される2つの部分があり、それぞれの部分は重複することなくいろいろ由来の異なる線維を受ける。)

Magnocellular division of ventral anterior nucleus of thalamus(大細胞部(視床の前腹側核の))Pars magnocellularis ventralis anterior thalami だいさいぼうぶ(ししょうのぜんふくそくかくの)

[A14_1_08_653] →(前腹側核の大細胞部は、黒質の網様部からの線維を主として受ける。大脳皮質8野に線維を送る。)

Principal division of ventral anterior nucleus of thalamus(主部(視床の前腹側核の))Pars principalis nuclei ventralis anterior thalami しゅぶ(ししょうのぜんふくそくかくの)

[A14_1_08_654] →(前腹側核の主部への求心性線維は淡蒼球の内節から起こる。大脳皮質6野からの線維をうける。)

Ventral intermediate nucleus of thalamus; VI(中間腹側核(視床の))Nucleus ventralis intermedius thalami ちゅうかんふくそくかく(ししょうの) Feneis: 296 05

[A14_1_08_655] →(視床の中間腹側核は腹側前核の後方にある核で、腹側核の中間1/3の複合体で、対側小脳(上小脳脚を通じて)、赤核と運動領皮質とのシナプスの中継核である。)

Ventral posterolateral nucleus of thalamus(後側外側腹側核(視床の))Nucleus ventralis posterolateralis thalami こうがいそくふくそくかく(ししょうの) Feneis: 296 08

[A14_1_08_656] →(VPL核とも言われる。内側毛帯と脊髄視床路の線維がシナプス結合する。内側毛帯線維の軸索終末の分枝は境界の明瞭な小円錐状を成して視床ニューロンとシナプス結合するが、脊髄視床路線維の軸索終末は散在性に分枝知る。入力情報はニューロンを乗り換えて大脳皮質の3、1、2野の下部へ投射する。)

Ventral posterior internal nucleus of thalamus(内後腹側核(視床の))Nucleus ventralis posterior internus thalami ないこうふくそくかく(ししょうの)  [A14_1_08_657]

Ventral posterior parvocellular nucleus of thalamus(小細胞性後腹側核(視床の))Nucleus ventroposterior parvocellularis しょうさいぼうせいこうふくこうかく(ししょうの)  [A14_1_08_658]

 

White substance of thalamus; White matter of thalamus(視床の白質)Substantia alba thalami ししょうのはくしつ [A14_1_08_659]

External medullary lamina of thalamus(外側髄板;外髄板(視床の))Lamina medullaris lateralis thalami がいそくずいばん;がいずいばん(ししょうの) Feneis: 292 23a; 294 23b

[A14_1_08_660] →(視床の外側から腹側にかけて、視床に出入りする線維が集まって(視床の)外髄板を形成しており、これが視床の腹側と外側の境界になっている。)

Internal medullary lamina of thalamus(内側髄板;内髄板(視床の))Lamina medullaris medialis thalami ないそくずいばん;ないずいばん(ししょうの) Feneis: 292 23b; 294 23b

[A14_1_08_661] →(視床は、内髄板により前核、外側核、内側核および腹側核群に区分される。この髄板は、脳の横断面状に肉眼で認めることができる。内側視床髄板内部の神経核はまとめて、視床髄板核という。)

Acoustic radiation(聴放線;膝状体皮質路)Radiatio acustica; Tractus geniculocorticalis ちょうほうせん;しつじょうたいひしつろ Feneis: 296 27

[A14_1_08_662] →(聴胞線の線維は内側膝状体から内方の後脚の下部を横切って走り、側頭葉の中を垂直に上って行き聴覚皮質に達する。これらの線維はその際ある局在的配列を守っており、それに伴って内側膝状体の個々の部分は聴覚領の特定の領域へ投射している。聴放線聴放線の経過中にラセンを描く回旋が起こるために、内側膝状体の吻側部は聴覚領の尾側部へ、内側膝状体の尾側部は聴覚領の吻側部へ投射することになる。この回旋はサルでは実験的に、ヒトでは髄鞘形成の経過を追うことによって証明されている。)

Ansa lenticularis in thalamus(レンズ核ワナ(視床の))Ansa lenticularis in thalamo れんずかくわな(ししょうの) Feneis: 298 09

[A14_1_08_663] →(レンズ核ワナは主に淡蒼球外節におこり、淡蒼球の腹側縁に沿って内方に走り、その内側縁ならびに内方の内側縁に沿って背方に転じてForel野に入り、ここで再び方向を背外方に転じて視床束(H1)として、視床外側腹側核(VL)に終止する線維束をいう。一方、淡蒼球内節におこる線維束は内方を横断してLuys体の背側に出てレンズ核束(H2)を形成し、内方に走ってForel野に入り、ここで反転してレンズ核ワナの線維束とともに視床束(H1)を構成する。視床束の線維は視床外側腹側核(VL)のほか、視床前腹束核(VA)や視床正中中心核(CM)にも終枝知る。また、淡蒼球内節からForel野に達する線維のなかには、さらに下行して橋の吻側被蓋部、特に上小脳脚の周辺部のいわゆる脚橋被蓋核に終止するものがある。)

Lenticular fasciculus [H2](レンズ核束;H2野)Fasciculus lenticularis [H2] れんずかくそく;H2や Feneis: 298 09

[A14_1_08_664] →(レンズ核束の線維は淡蒼球内節の内側部から起こり、淡蒼球の背内側縁から出て、内包の腹側部に向かい、視床下核の直前で内包を横切って不確帯の腹側で明瞭な線維束となる。レンズ核束の大部分の線維は視床下核より吻側にあるが、一部この核の背側縁に沿って走るものも見られる。レンズ核束はForelのH2野ともよばれる。レンズ核束は独特のコースをたどって内包を通り抜け、内側方から尾状核に向かい、ForelのH野(赤核前野)でレンズ核ワナの線維に合流する。ForelのH野で合流したレンズ核束(H2)とレンズ核ワナの線維は最終的には視床束(H1)に入る。)

Ansa peduncularis(脚ワナ)Ansa peduncularis きゃくわな Feneis: 298 10

[A14_1_08_665] →(大脳脚(狭義)と内方の移行部において、大脳脚をその下内包から上内方にかけてとりかこむように走る著明な神経線維群である。視床下部・視索前野・扁桃核・側頭葉皮質などと視床とを相互に連絡する神経線維群が走るものと考えられ、いわゆる下視床脚のの神経線維束も含まれる。脚ワナはその尾側レベルにおいて、レンズ核の腹側を横走するレンズ核ワナに移行するので、両者は一連の構造のようにもみえるが、神経線維連絡の関係からみて、脚ワナを形成する神経線維とレンズ核ワナの神経線維とは別種のものである。視神経交叉付近を通る大脳前額断面をみると、レンズ核の腹側に接して髄鞘のよく染まるレンズ核ワナが走り、その腹側に無名域(無名質)がある。この無名域には髄鞘の素まりがやや淡く、レンズ核ワナと平行して走る多量の線維があり、これを下視床脚とよぶ。下視床脚は視床背内側核と側頭葉皮質、眼窩皮質、扁桃核、無名域とを連絡する。下視床脚と扁桃体とを連絡する線維が走る。脚ワナはレンズ核ワナ+下視床脚を指す場合と、下視床脚+扁桃体視床下部を指す場合とがある。)

Anterior radiation of thalamus(前視床脚;前視床放線)Radiatio anterior thalami ぜんししょうきゃく;ぜんししょうほうせん Feneis: 298 01

[A14_1_08_666] →(前視床放線は視床内側核と前頭葉(主として中および下前頭回)および前核と帯状回の間を結合する線維からなり、内方の前脚を通る。)

Brachium of inferior colliculus(下丘腕)Brachium colliculi inferioris かきゅうわん Feneis: 290 20

[A14_1_06_012] →(下丘腕は下丘の外側にのびる隆起で、下丘と内側膝状体をつなぐ。上行性聴覚路の大部分を形成する。)

Brachium of superior colliculus(上丘腕)Brachium colliculi superioris じょうきゅうわん Feneis: 290 23

[A14_1_06_013] →(上丘腕は上丘と外側膝状体とを連絡する視索線維束。)

Central thalamic radiation(上視床脚;中心視床放線)Radiatio centralis thalami じょうししょうきゃく;ちゅうしんししょうほうせん Feneis: 298 02

[A14_1_08_667] →(外側核(狭義)および後核の一部と頭頂葉(主に上および下頭頂小葉)の間を結ぶ線維のほか、後内側および後外側腹側核から中心後回に(知覚中枢)に至る線維、ならびに前外側腹側下核から運動中枢、すなわち中心前回とその前方部に向かう線維を含む。)

Inferior thalamic radiation(下視床脚;下視床放線)Radiatio inferior thalami かししょうきゃく;かししょうほうせん

[A14_1_08_668] →(下視床脚は視床放線のうちで最も発育が悪く、内側核と前頭葉底部、ならびに後核の一部と側頭葉外側面上面を結合する線維から成り、さらに内側膝状体核からでて横側頭回(聴覚中枢)に至る聴放線を含む。なお下視床放線には扁桃体、淡蒼球などから視床に至る線維も包含される。)

Intrathalamic fibres(視床内線維)Fibrae intrathalamicae ししょうないせんい Feneis: 298 11

[A14_1_08_669] →(視床内線維は視床背側部のある核から別の核につながる線維。)

Lateral lemniscus(外側毛帯)Lemniscus lateralis がいそくもうたい Feneis: 296 22

[A14_1_08_670] →(外側毛帯は中脳まで上行し、大部分の線維が下丘に終わる。背側および腹側蝸牛神経核からの線維は、背側、中間および腹側聴条として対側に向かい、多くは対側の台形体背側核におわるが一部はそのまま上行する。この上行する線維と同側の台形体背側核から出て上行する線維が一緒になって外側毛帯を形成する。外側毛帯は橋の高さで内側毛帯(系)の背外側の位置を占めて上行し、大部分は下丘に終わるが、一部は途中下丘のすぐ腹側に存在する外側毛帯核におわる。)

Mammillothalamic fasciculus(乳頭体視床束;乳頭体視床路;乳頭視床束;乳頭視床路;ヴィック・ダジール束)Fasciculus mammillothalamicus にゅうとうたいししょうそく;にゅうとうししょうそく;にゅうとうししょうろ;う゛ぃっく・だじーるそくVicq d'Azyr's bundle Feneis: 298 07

[A14_1_08_671] →(乳頭視床束は乳頭体と視床前核を結ぶ神経線維束。主乳頭束として、乳頭被蓋束とともに乳頭体の背側よりでる。乳頭体内側核からおこる神経線維は同側の視床前核のうちでも前腹束核と前内側核に分布し、乳頭体外側核からおこる神経線維は両側の視床前背側核に分布するといわれる。また、乳頭視床束には視床前核から乳頭立ちに向かう神経線維も少数含まれるらしい。)

Medial lemniscus(内側毛帯)Lemniscus medialis ないそくもうたい Feneis: 296 23

[A14_1_08_672] →(延髄の後索(薄束および楔状束)を通過する伝導路は圧覚と触覚や固有知覚の興奮を後索核(薄束核および楔状束核)や視床を経て大脳皮質に伝達する神経路である。薄束核および楔状束核から起こる二次ニューロンは延髄視床路(内側毛帯)となり正中縫線近く延髄の中心を通り上行する。橋にはいると外側に広がり、橋核の背側縁を越えて上行する扁平な帯になる。中脳内では、黒質の背側縁を越えて赤核で外側に移る。内側膝状体まで内側を通り視床の後腹側核に入り、そこで終わる。視床を出た第3ニューロンの線維は、上行して大脳皮質におもむく。内側毛帯系は脊髄から上行する識別性感覚路の最初の一環を形成するのは後根を通って入ってくる太い有髄神経の枝であり、後索を上行する。後索を上行するこれらの神経線維は身体部位対応配列を示す。すなわち、仙骨神経根や腰神経塊を通って入ってくる上行枝は後索の内側部を占めて薄束を形成する。一方、頚神経根を通って入ってくる上行枝は後索の外側部を占めて楔状束を形成する。また、胸神経根を通って入ってくる少数の上行枝は、薄束と楔状束との間に位置する。薄束と楔状束は、延髄の尾側端でそれぞれ対応する神経核、すなわち、薄束核と[内側]楔状束核に終止する。ある後根が支配する皮膚領域は、同時にその後根の上下の後根からも支配されている。このように一定の皮膚領域を支配する隣接後根の神経線維群は、後根から後索、さらに後索核へと向かう経過のうちに、一つの神経束にまとまる。このような集束の結果として、隣接する皮節(dermatome)間の重なり合いは解消されるのであるが(一つの皮節からの情報を伝道する神経線維が集合して一つにまとまる)、後索で最初にみられたような層構造は次第に不明瞭になる。薄束核の背側部と[内側]楔状束核の背側部にはニューロンが幾つかの小群をつくって分布する。超す悪を上行する神経線維の中で、四肢の遠位部を支配するものがこれらのニューロン小群に終止して身体部位対応配列を示す。後索核の腹側部と吻側部では身体部位対応配列はあまり精細でない。後索には後核固有核から起こる内在性神経線維も含まれている。これらの内在性神経線維は後索核の腹側部と吻側部に終止する。その他、後側索(側索後部)を上行する神経線維は両側の後索核の腹側部と吻側部、およびZ群(group Z)に終止する。Z群は薄束核の吻側端に位置するニューロン群であり、下肢の筋からの入力を視床に中継する。上枝からの固有感覚性入力を中継するのは外側楔状束核である。この核から起こる投射神経線維は主として下小脳脚を通って小脳へ入る。後索核の腹側部と吻側部から起こる投射神経線維は、後索核背側部(ニューロンの小群の集合から成る)から起こる投射神経線維に比べて、分布範囲が広い。すなわち、前者も後者も反対側の視床へ向かうのであるが、前者はさらに小脳や下オリーブ核に投射し、脊髄の後角へ向かうものもある。薄束核と[内側]楔状束核からは内弓状線維が起こり、正中部で交叉してのち、内側毛帯を形成して上行枝、視床の後外側腹側核、後核群、内側膝状体大細胞部、および不確帯に終止する。後索核から後外側腹側核への投射は”核と殻(core-and-shell)”の様式を示す。すなわち、後索核背側部から起こる皮膚感覚の投射線維は後外側腹側核の中心部(すなわちcoreの部分)に終止し、後索核腹側部と吻側部から起こる固有感覚の投射線維は後外側腹側核の辺縁部(すわなち、shellの部分)に終止する。内側毛帯線維は後外側腹側核において一連の平行な層板をなして終止する。これらの層板は核のcoreの部分とshellの部分を通じて前後方向に伸びており、それぞれの層板が身体の特定の部位に対応している。また、各層板の前後軸に沿って、種々の感覚要素に対応する投射線維の終末が次々と配列分布する。)

Optic radiation(視放線)Radiatio optica しほうせんGratiolet's radiation Feneis: 296 29

[A14_1_08_673] →(外側膝状体鳥距線維は外側膝状体の小細胞性部の細胞から起こり、内包のレンズ後部を通って視放線を形成する。これらの線維は鳥距溝の上、下両側で、有線野の皮質に終枝する。視放線のすべての線維が最短経路を通って皮質に達するわけではない。最も背方にある線維はほとんどまっすぐに後方に進み有線野に達するが、より腹方にある線維はまず前方、かつ下方に向きを変えて側頭葉の中に入って、側脳室の下角の吻側部の上に拡がり次いで後方に曲がり、側脳室の外壁に接して走り(外矢状層)、後頭葉の皮質に達する。最も腹方の線維が最も長い弧状の経路をとる。網膜の各領域は外側膝状体と正確な点対点の対応関係をもち、網膜の各部分は外側膝状体の局所的に限局された特殊な部分に投射する。網膜の上内側および上外側の両1/4の領域(視野の下半分に該当する)からの線維は外側膝状体の内側半に、また下内側および下外側の両1/4の領域からの線維は外側膝状体の外側半に終止する。黄斑からは、水平経線を通る面の両側で、外側膝状体尾尾側部において、クサビ形を領域に投射する。単眼視による三日月形の視野も含めて、周辺視野からの投射は、外側膝状体の吻側方に終わり、水平経緯線を越えて連続している。同様な点対点の関係は外側膝状体と有線野の皮質の間にも存在する。上外束の両1/4の領域(視野の下半分)に対応する外側膝状体の内側半は鳥距溝の上唇に投射し、しかも、これらの線維は視放線の下部を占める。黄斑からの線維は視放線の中間部を構成し、鳥距溝を囲む大脳皮質の尾方1/3の領域に終止する。網膜の中心傍野および周辺部からの線維はそれぞれ、更に吻側方の部位に終わる。網膜の一定のの場所に光点を停止させた実験的研究によって、次のことが明らかにされた。すなわち、網膜における視神経節細胞の受容野は同心円上に配列している。網膜においては、受容野は受容器である杆状体と錐状体ならびに単一神経節細胞の興奮性に影響を与える網膜の他のニューロンと関係している。網膜は、そこに存在する神経節細胞の数と同じほどの多くの受容野はいずれも次の2つの領域に分けられる。すなわち、①円形の小さい中心領域および②それを取り囲む同心性の領域で、周辺部、あるいは包囲部とよばれる部分である。これら2つの領域は機能的には拮抗している。受容野には一般に次の2型が記載されている。すなわち、①“開”を中心に“閉”を周辺に有する受容野および②“閉”領域を照射すると、神経細胞は活発に発火することになろう。もし、光刺激が、互いに抑制作用を示す“開”および“閉”の両領域を照射すると、それらの刺激は互いに無効になる。網膜の連絡は神経節細胞のレベルにおける同心円上受容野によく一致する。中心部からのインパルスは受容細胞、双極細胞および神経節細胞の間の直接結合によって伝達されるといわれ、他方、おれと拮抗的に働く周辺の領域は、無軸索細胞によって仲介される結合(すなわち、双極細胞と神経細胞の間の結合)を有する。外側膝状体のニューロンの受容野は光りの点を網膜の一定の場所に停止させた場所と類似しているように思われる。しかし、外側膝状体のニューロンは周辺の受容野に比較的大きな抑制を示す。外側膝状体の各層にある細胞は、同側、あるいは反対側、いずれかの一眼の受容野からの投射を受ける。外側膝状体の中の細胞で、両眼からの影響を受けるものは、たとえあるとしても、きわめて少ない。外側膝状体と有線野の細胞との間には受容野固有の重要な変形が生じる。有線野の細胞が“裂隙”光、あるいは、特定の方向に働く視覚模様に敏感である。有線野の中で起こる変形は、いろいろな作動様式をもった皮質細胞の柱状配列によるものであり、これらのはたらきによって、垂直形と水平形の中でのいろいろな変化が記号化される。)

Primary optic radiation(一次視放線)Radiatio optica primarius 1じしほうせん

[A14_1_08_673a]→膝状体皮質路+視床枕皮質路

Secondary optic radiation(二次視放線)Radiatio optica secundarius 2じしほうせん

[A14_1_08_673b]→皮質視蓋路

Periventricular fibres(室周線維)Fibrae periventriculares しつしゅうせんい Feneis: 298 12

[A14_1_08_674] →(視床下部の内側核群からでた線維は主として室周線維として中脳中心灰白質に至る。)

Posterior thalamic radiation(後視床脚;後視床放線)Radiatio posterior thalami こうししょうきゃく;こうししょうほうせん Feneis: 298 03

[A14_1_08_675] →(後核および外側膝状体核と後頭葉および頭頂葉後部との間を結ぶ線維からなる。視放線は外側膝状体核から出て聴放線の腹側で屈曲し、後走するにつれて後視床放線に加わる。また後視床放線には後頭葉から上丘に至る皮質視蓋路も含まれる。)

Spinal lemniscus(脊髄毛帯)Lemniscus spinalis せきずいもうたい Feneis: 296 24

[A14_1_08_676] →(脊髄毛帯は後索核におこり視床におわる線維束を内側毛帯(狭義)とよぶが、橋頭側半のレベルから先は、この内側毛帯に脊髄視床路と三叉神経視床路とが合流して上行する。この複合体をも内側毛帯(広義)とよぶところから、脊髄視床路を脊髄毛帯、三叉神経視床路を三叉神経毛帯と呼ぶことがある。)

Subthalamic fasciculus(視床下束;視床下核束)Fasciculus subthalamicus ししょうかそく;ししょうかかくそく Feneis: 298 06

[A14_1_08_677] →(視床下核束は淡蒼球外節から視床下核へ投射する線維と視床下核から淡蒼球の内、外両節に投射する線維から構成されている。この線維はレンズ核束の尾方で内包の脚部を貫いて投射する。)

Superior cerebellar peduncle(上小脳脚;結合腕)Pedunculus cerebellaris superior; Brachium conjunctivum じょうしょうのうきゃく;けつごうわん

[A14_1_08_678] →(上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)は主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はさらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部に来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。)

Thalamic fasciculus; Forel's H1 field(視床束;H1野)Fasciculus thalamicus [H1] ししょうそく;H1や Feneis: 298 05

[A14_1_08_679] →(淡蒼球遠心性線維はForelのH野から不確帯の背側表面に沿って吻側かつ外側方に走り、ここで視床束の一部となる。レンズ核束の一部の線維は不確帯の内側を“C”型ループ状にまわりこみ視床束に入る。視床束は淡蒼球視床線維および、反対側小脳核から来た上行性の線維を含んでいる。この混合線維群は不確帯の上を背外方へ向かい視床腹側核群の腹側部の特定の亜核に終わる。不確帯の背側では視床束の線維はレンズ核束と区別でき、ForelのH1束と称される。)

Trigeminal lemniscus(三叉神経毛帯)Lemniscus trigeminalis さんさしんけいもうたい Feneis: 296 25

[A14_1_08_680] →(解剖学用語としては、三叉神経脊髄路核、三叉神経主知覚核におこり視床におわる伝導路をいうが、三叉神経主知覚核の腹側3分の2におこり交叉して視床の後内側腹側核へ上行する線維束のみを指す場合がある。)

Subthalamus(腹側視床;視床腹側部)Subthalamus ふくそくししょう;ししょうふくそくぶ

[A14_1_08_701] →(腹側視床は背側に視床、腹内側に視床下部、外腹側方を内包、また後方を中脳赤核によって囲まれた間脳の領域を指す。この部には数個の細胞集団が存在するが、最も著明な物として視床下核(Luys体)が内包後脚の内側端と大脳脚の前端の背内側部をおおって存在する。視床下核の背前方にはレンズ核束H2と視床束H1の間に不確帯が存在し、さらにこの千階方に視床がい髄板と内包にはさまれて視床網様核がつづく。また腹側視床の広報部で赤核前方には多くの線維要素と混在して細胞が散在しているが、この部をForel野H(赤核前野) という。腹側視床には錐体外路系に属する著明な線維束がみられる。視床下束は内包を貫いて視床下核と淡蒼球を結ぶ。また主に淡蒼球と視床前外腹核や髄板内核群とを結合するレンズ核束H2が視床下核の背内側を通り、さらに背側にレンズ核ワナの線維の一部と一緒になって視床束H1を形成している。     腹側視床は本来は背側視床と視床下部の間にある領域であるが、ヒトではかなり退化し、特に背側視床の著しい発達のため、これを腹外側ないし外側から取り囲む狭い領域を占めるにすぎない。腹側視床は主として錐体外路性運動に関係し、視床腹側部と同義に解してよいが、後者にはその由来からみて本来視床下部に属すべき視床下核や脚内核を含ませる人が多い。背側視床の後部で赤核前端部を背側および外側から包む線維群は前方に行くにしたがって外側方に放散し、Forel野(Campus Foreli)を作る。これはおもに小脳視床路からなり、それにレンズ核ワナの線維が加わる。レンズ核から出た線維の一部は不確帯と視床下核の間を内側方に走ってレンズ核束(H2)を作り、これはForel野の線維と合流して不確帯の内側から背側外側方に走って視床束(H1)となり、内側毛帯や脊髄視床路などよりやや前方で視床の前外側腹側核に入り、一部は中心内側核にも分布する。)

Subthalamic nucleus(視床下核;ルイ体;ルイス体)Nucleus subthalamicus ししょうかかく;るいたい;すいすたいLuys, Nucleus of (Corpus Luysii) Feneis: 296 17

[A14_1_08_702] →(視床下核はルイ核ともよばれている。脳の断面の肉眼観察の際にも「目立つ」神経核であって、大型ニューロンから成り、間脳の最尾部において内包後脚の背内方に位置している。この神経核の内側部は黒質吻側部の背方に位置する。背側の不確帯とはレンズ核束(H2)によりへだてられている。核の境界は明瞭で、前頭断面では両凸レンズ形を呈し、矢状断面ではほぼ円形を呈する。核の尾側端のレベルでは、核の内側部が黒質の最吻側端の背縁に接している。主な求心出力神経線維を淡蒼球や脚橋被蓋核受け、また、遠心性神経線維を主として淡蒼球内節に送る。大脳皮質とくに前頭葉からの求心性線維や、黒質や淡蒼球への遠心性線維の存在が報告されているが、その他の線維連絡関係については不確実な点が多い。ヒトでこの核が損傷されると、反対側の半身に激しい不随意運動、すなわちヘミバリスムがおこる。視床下核の細胞はグルタミン酸塩を含有しており、淡蒼球と黒質のニューロンに興奮性に作用すると言われている。グルタミン酸塩は細胞の基礎代謝にも存在するもので、視床下核の細胞がグルタミン酸塩免疫反応陽性であっても、かならずしもグルタミン酸塩がこの核の細胞により使用される神経伝達物質とはいえない。視床下核は視床下部外側核の最後の細胞集団から発生してくる。吻側の細胞集団は淡蒼球の内節、外節の原基となる。Luys, Jules Bernard (1828-1898)フランスの神経学者。)

Gray part of subthalamic nucleus(視床下灰白部)Pars grisea hypothalami [A14_1_08_702a]→

Nuclei of perzonal fields of subthalamus; Nuclei of Forel's field(腹側視床の不確帯周囲野核群;H,H1,H2野核[群];フォレル野)Nuclei campi perizonalis subthalamici [H H1 H2]; Campus Foreli ふくそくししょうのふかくたいしゅういやかくぐん;H,H1,H2やかく[ぐん];ふぉれるやForel, fields of; Forel, Nuclei of Fields of Feneis: 296 20

[A14_1_08_703] →(フォレル野(Campus Foreli)ともよばれる。不確帯傍野核は中脳被蓋の吻側への延長部であり、H野とも呼ばれる。Hは被蓋を意味するドイツ語のHaubeの頭文字をとったものである。背側視床の後部の腹側で赤核前端部を背側および外側から包む線維群は前方に行くにしたがって外側方に放散し、Forel野をつくる。これはおもに小脳視床路からなり、それにレンズ核ワナの線維が加わる。レンズ核から出た線維の一部は不確帯と視床下核の間を内側方に走ってレンズ核束(H2)を作り、これはForel野の線維と合流して不確帯の内側から背側方に走って視床束(H1)となり、内側毛帯や脊髄視床路などよりやや前方で視床の前外側腹側核に入り、一部は中心内側核にも分布する。視床束とレンズ核束との間には不確帯という灰白質があり、これは背臥位側方に延び、背側視床を外方からおおう視床網様核に続く。不確帯は淡蒼球からの線維を一部受け、また中の被蓋に線維を送るものと考えられる。視床網様体核は視床の外髄板と内包の間にある視床網様層における大細胞の集団である。 Forel, Auguste Henri (1848-1931)は、スイスの精神神経学者。チュリヒ大学の教授。脳と精神の解剖学業績(フォレル帯の記述、ノイロン説の提唱)で著明であるとともに、あり社会の研究家、性衛生学および犯罪精神医学の権威としても知られる。神経疾患の脳を観察し、神経細胞が神経系の構造単位であること提唱し、「神経細胞説」の確立に貢献した。被蓋野の詳細な検索をして、フォレル野、視床束、不確帯などの記載をしている。)

Nucleus of medial field of subthalamus [H](内側野核;腹側視床のH野核;赤核前野(腹側視床の))Nucleus campi medialis subtahalamici [H] ないそくやかく;ふくそくししょうのHやかく;せきかくぜんや(ふくそくししょうの) Feneis: 296 20a

[A14_1_08_704] →(内側野核つまりH野核は視床の後下方にみられる有髄神経線維の集合であり、赤核の前端に接する部位にあたる。淡蒼球からおこるレンズ核ワナの神経線維がこの神経線維群に加わる。この神経線維の集合は吻側レベルで背外側にのびて視床の腹方部に達するが、これをとくに被蓋放線ないし、「H」とよぶことがある。「H野核」はさらに吻側レベルにおいて背側の視床束(H1野核)および腹側のレンズ核束(H2野核)に連続してみえる。)

Nucleus of dorsal field of subthalamus [H1](背側野核;H1野核;視床束(腹側視床の))Nucleus campi dorsalis subthalamici[H1] はいそくやかく;H1やかく;ししょうそく(ふくそくししょうの) Feneis: 296 20b

[A14_1_08_705] →(背側野核[H1野核]は視床束で占められている領域である。その名は時に視床束と同義にも用いられている。)

Nucleus of ventral field of subthalamus [H2](腹側野核;H2野核;レンズ核束(腹側視床の))Nucleus campi ventralis subthalamici [H2] ふくそくやかく;H2やかく;れんずかくそく(ふくそくししょうの) Feneis: 296 20c

[A14_1_08_706] →(腹側野核[H2野核]は、レンズ核束の経路に沿った領域で、その束の線維は視床下核の背面及び不確帯の腹面と結合している。)

Zona incerta(不確帯)Zona incerta ふかくたい Feneis: 296 19

[A14_1_08_707] →(不確帯は視床束(H1野核)とレンズ核束(H2野核)のあいだに位置する細い神経線維成分に富む灰白質である。びまん性の細胞集団で、外側は視床網様核に連なり、中心前皮質から皮質遠心性線維をうける。一方、その吻外側部はしだいに視床網様核に移行し、内側部は第三脳室周囲の中心灰白質につづき、また尾側方ではフォレル野に移行する。脊髄・下位脳幹・小脳核などからの上行性神経線維連絡や、大脳皮質・視床下部などからの下行性神経線維連絡があるようであるが、その機能的意味は「不確か」である。ラットのHRP逆向性輸送による研究によると、不確帯のニューロンは赤核の一部、上丘、視蓋前域に投射する。レンズ束、レンズワナ、視床束は、腹側視床で最も大きく明確な通過線維である。レンズワナの線維に沿って、あるいはそのなかに散在する細胞は、いわゆるレンズワナ核をつくる。)

Metathalamus(視床後部)Metathalamus ししょうこうぶ Feneis: 292 26

[A14_1_08_801] →(内側膝状体と外側膝状体は聴覚と視覚に関係する重要な中継核で視床枕の腹側存在する。この両者を一つにして視床後部と称する。)

Dorsal lateral geniculate nucleus; Lateral geniculate nucleus(外側膝状体背側核)Nucleus dorsalis corporis geniculati lateralis がいそくしつじょうたいはいそくかく

[A14_1_08_802] →(一般に外側膝状体と呼ばれるのは外側膝状体背側核である(外側膝状体内側核は腹側視床の核である)。外側膝状体背側核は層構造を持つ。ヒトの外側膝状体には、腹側部に大細胞性のⅠ層とⅡ層、背側部に小細胞性のⅢ~Ⅵ層が区分される。Ⅰ層、Ⅳ層、Ⅵ層には反対側の網膜からの入力が入り、Ⅱ層、Ⅳ層、Ⅵ層には反対側の網膜からの入力が入る。二つの大細胞層と四つの小細胞層の合計6層から成るのが霊長類の外側膝状体の層構造の基本的パターンである。これらの各々の層には反対側の視野の全体が再現されている。ヒトやその他の霊長類では、小細胞性が分裂し、互いに入り交じって四つの小細胞層が形成される。その結果、視野の再現は単独の小細胞層だけでは不完全となる。そのため、同じ側の網膜からの入力を受ける二つの小細胞層、すなわちⅣ層とⅥ層、またはⅢ層とⅤ層が一組となってはじめてそれぞれ同側または反対側の視野が完全に再現されることになる。Α型網膜神経節細胞からは伝達速度の速いY系の軸索が起こり、外側膝状体では主として大細胞層に終止する。また、β型網膜神経節細胞からは伝達速度の遅いX系の軸索が起こり、外側膝状体の小細胞層に終止する。外側膝状体背側核(いわゆる外側膝状体)は一次視覚野(17野)と相互に連絡し合っている外側膝状体小細胞層(Ⅲ~Ⅵ)から起こる神経線維は17野Ⅳ層の深部の亜層と浅部の亜層に終止する。一方、外側膝状体大細胞層(Ⅰ層、Ⅱ層)から起こる神経線維は17野Ⅳ層の中間の亜層に終止する。さらに、外側膝状体大細胞層は17野のⅠ層、およびⅤ層とⅥ層の境界部にも終止する。霊長類では外側膝状体背側核の大脳皮質投射域は17野に限局されるが、その他の哺乳類ではさらに18野、19野などの視覚連合野にも外側膝状体背側核からの投射がある。一側の網膜から起こり、外側膝状体の対応する細胞層を介して17野に達する投射系の投射域は、大部分の霊長類で不連続である。すなわち、17野Ⅳ層において、左右それぞれの網膜からの投射域が短冊状に交互に配列される。この短冊状の優位眼球帯(ocular dominance strip)は、視野の水平子午線を再現するラインに対して垂直方向にほぼ平衡に配列される。この優位眼球帯の長軸と垂直な断面で17野を観察すると、優位眼球体は17野の皮質の全層にわたって伸びる円柱としてみえる。これが優位眼球円柱(ocular dominance column)である。視野の中心部に対応する円柱も、末梢部に対応する円柱もその直径は約0.5mmである。外側膝状体から視覚野皮質に向かう投射線維は視放線を形成する。視放線の腹側部には鳥距溝よりも下方の皮質野に向かう投射線維が集まり、この部分は反対側の視野の上半部(視野の1/4)に対応する。この部分の視放線を形成する投射線維は、側脳室下角の外側壁のなかで、一旦吻側に向かってからカーブして後頭葉の方へ向かう。それゆえ、側頭葉の深部が障害されるとこの部分を走る視放線の投射線維が損傷を受け、そのために反対側視野の上半部にある対象が見えなくなる(upper quadrant anopsia)、視放線の中には大脳皮質視床線維も含まれるが、これらは視床大脳皮質線維よりも内方に位置する。)

Koniocellular layer of dorsal nucleus of lateral geniculate body(顆粒細胞層;塵細胞層(外側膝状体背側核の))Stratum koniocellulare nuclei dorsalis corporis geniculati lateralis かりゅうさいぼうそう;じんさいぼうそう(がいそくしつじょうたいはいそくかくの)

[A14_1_08_803] →(外側膝状体背側核は慣例で腹側から数えて第6層に分類されている。顆粒細胞層は各々の層の直ぐ直下にある層。)

Magnocellular part of metathalamus(大細胞部(視床後部の))Pars magnocellularis metathalamus だいさいぼうぶ(ししょうこうぶの) [A14_1_08_803_1]

Magnocellular layers of dorsal nucleus of lateral geniculate body(大細胞層;大細胞部層(外側膝状体背側核の))Strata magnocellularia nuclei dorsalis corporis geniculati lateralis だいさいぼうそう;だいさいぼうぶそう(がいそくしつじょうたいはいそくかくの)

[A14_1_08_804] →(外側膝状体背側核は慣例で腹側から数えて第6層に分類されている。腹側から数えて1層と2層には大型の細胞が多く認められ大細胞層と呼ばれる。)

Parvocellular layers of dorsal nucleus of lateral geniculate body(小細胞層;小細胞部層(外側膝状体背側核の))Strata parvocerellularia parvocellularia nuclei dorsalis corporis geniculati lateralis しょうさいぼうそう;しょうさいぼうぶそう(がいそくしつじょうたいはいそくかくの)

[A14_1_08_805] →(外側膝状体背側核は慣例で腹側から数えて第6層に分類されている。背側の4層は小型の細胞からなることから小細胞層と呼ばれている。)

Ventral lateral geniculate nucleus; Pregeniculate nucleus(外側膝状体腹側核;膝状体前核)Nucleus ventralis corporis genigulati lateralis; Nucleus pregeniculatus がいそくしつじょうたいふくそくかく;しつじょうたいぜんかく

[A14_1_08_806] →(外側膝状体腹側核は外側膝状体背側核のすぐ腹側にある紡錘形をした神経核であり、表層の大細胞部と、深層の小細胞部に分けられる。大細胞部は網膜からの線維を受けており、上丘に投射している。機能的には、明るさの識別に関与しており、対光反射に関係している。)

Intergeniculate leaf(膝状体間葉;膝状体間小葉)Folium intergeniculatum しつじょうたいかんよう;しつじょうたいかんしょうよう

[A14_1_08_807] →(膝状体間葉は外側膝状体の背側核と腹側核の間に介在する。)

Medial geniculate nuclei(内側膝状体核)Nuclei corporis geniculati medialis ないそくしつじょうたいかく

[A14_1_08_808] →(内側膝状体核は聴覚情報の中継をなす細胞体群で、中脳の下丘からの線維も受け聴放線として側頭葉上部の聴覚皮質につながる。細胞群は腹側核、背側核、巨大細胞内側核に区分される。)

Ventral principal nucleus of medial geniculate body(腹側核;内側膝状体腹側核;腹側主核)Nucleus ventralis corporis genigulati medialis ふくそくかく;ないそくしつじょうたいふくそくかく;ふくそくしゅかく

[A14_1_08_809] →(内側膝状体腹側核は聴覚系「核部」の中継核であり、下丘中心核から入力線維を受け、側頭弁蓋にある一次聴覚皮質投射線維を送る。内側膝状体腹側核と一次聴覚皮質には音の周波数対応配列(tonotopic representation)がみられ、形態的には入力線維と中継ニューロンが層的構成をとって配列する。)

Dorsal nucleus of medial geniculate body(背側核;内側膝状体背側核)Nucleus dorsalis corporis geniculati lateralis はいそくかく;ないそくしつじょうたいはいそくかく

[A14_1_08_810] →(内側膝状体背側核は下丘中心周囲核(pericentral nucleus)から起こる投射線維をうける。内側膝状体背側核は側頭平面と上側頭回にある聴覚連合皮質と連絡する。内側膝状体大細胞部は内層毛帯、脊髄視床路などからの側枝を受ける。内側膝状体核大細胞部は聴覚系「殻部」の中継核であるとともに体性感覚性入力などをも受けており、その他の視床非特殊核と同様、大脳皮質Ⅰ層に投射線維を送る。)

Medial magnocellular nucleus of medial geniculate body; Medial geniculate nucleus, dorsoanterior part(大細胞性内側核(内側膝状体の);内側膝状体大細胞性内側核)Nucleus medialis magnocellularis corporis gemicalati medialis だいさいぼうせいないそくかく(ないそくしつじょうたいの);ないそくしつじょうたいだいさいぼうせいないそくかく

[A14_1_08_811] →(内側膝状体核の大細胞部は内側膝状体の内側部を占め、腹側核と内側毛帯の間に位置する。)

Hypothalamus(視床下部)Hypothalamus ししょうかぶ Feneis: 292 30

[A14_1_08_901] →(視床下部は間脳の中で、内臓機能、自律機能および内分泌機能と最も関係が深い部分である。これらの機能のすべてが、感情的および情動的行動と密接に関係している。第三脳室の側壁の下部および底にあたる。脳底面からみると、吻側から数えて、視交叉、漏斗、灰白隆起、乳頭体とつづき、漏斗の先端は下垂体に連なる。背側は視床下溝により視床と境されており、吻側は終脳の視索前野に、尾側は中脳被蓋と中脳中心灰白質に、尾外側は視床腹側部に移行する。通常、矢状面に平行な三つの帯状領域、すなわち、視床下部脳室周囲層、視床下部内側野、視床下部外側野に区分される。これらの間を多数の細かい神経線維が主として吻尾方向に走っている。視床下部は前後径が約10mmである。視床下部は内部環境を正常に維持する機序に関与し、また心悸亢進、瞳孔散大、“冷汗”の分泌などの情動反応の表出にも一役を演じている。大脳皮質を除去し、背側視床を除去した後でも、怒り反応はあらわれる(「みかけの怒りSham rage」)。さらに、視床下部は成長、性的成熟など新地あの成熟過程にも関与している。したがって、視床下部を損傷すると、広汎で顕著な内分泌性、代謝性、行動性(情動性)の以上が一緒に起こってくることになる。視床下部は下垂体ホルモンによって内部環境に影響を及ぼすが、さらに脳幹網様体や自律神経系を介しても同様の働きを示す。視床下部への情報は通常の入力神経系によって伝達されるばかりでなく、視床下部のニューロンは内部環境からの物理的および化学的刺激(血液の温度など)にも反応する。植物性機能の中には、その統御中枢が視床下部自体に存在するものもあるが、呼吸や心臓の活動などの機能に関しては、視床下部はもっと下位の中枢に対する修飾器として働いている。)

Anterior hypothalamic area; Anterior hypothalamic region(視床下部前野;前視床下部域)Area hypothalamica rostralis ししょうかぶぜんや;ぜんししょうかぶいき Feneis: 298 16 [A14_1_08_902]

Anterior hypothalamic nucleus(視床下部前核)Nucleus anterior hypothalami ししょうかぶぜんかく Feneis: 298 20

[A14_1_08_903] →(視床下部前核は視索前核の後方にあり、大脳半球、分界条および視床と連絡する。遠心線維は運動性および植物性核へいたる。体温維持、腺機能および血液循環機能に関与する。)

Anterior periventricular nucleus(腹側脳室周囲核;前脳室周囲核)Nucleus periventricularis ventralis ふくそくのうしつしゅういかく;ぜんのうしつしゅういかく  [A14_1_08_904]

Interstitial nuclei of anterior hypothalamus(前視床下部介在核)Nuclei intersititales hypothalami anteriores ぜんししょうかぶかいざいかく  [A14_1_08_905]

Lateral preoptic nucleus(視索前域外側核;外側視索前核)Nucleus preopticus lateralis しさくぜんいきがいそくかく;がいそくしさくぜんかく Feneis: 298 17

[A14_1_08_906] →(外側視索前核は視床下部外側野の吻側方にあり、広く散在する中等大の細胞からなり、内側前脳束の介在核と考えられている。)

Medial preoptic nucleus(視索前域内側核;内側視索前核)Nucleus preopticus medialis しさくぜんいきないそくかく;ないそくしさくぜんかく Feneis: 298 17

[A14_1_08_907] →(内側視索前野核は主として小細胞からなり、視索前脳室周囲核の外側方にあり、腹側方は視神経交叉にまで拡がる。)

Median preoptic nucleus(視索前域正中核;正中視索前核)Nucleus preopticus medianus しさくぜんいきせいちゅうかく;せいちゅうしさくぜんかく  [A14_1_08_908]

Paraventricular nucleus of hypothalamus(室傍核(視床下部の);視床下部室傍核)Nucleus paraventricularis hypothalami しつぼうかく(ししょうかぶの);ししょうかぶしつぼうかく Feneis: 298 19

[A14_1_08_909] →(内側視床下野の吻側レベルでその背側部にある。視索上核とともに代表的な神経分泌核であり、室傍核下垂体路の起始核である。室傍核の細胞は第三脳室の上衣細胞層の直下にあり、細胞が密に集まって垂直な灰白質板を形成するが、その背側部は脳弓方向へと外側に伸びている。室傍核はいくつかの明瞭な細胞群で構成されていて、その細胞群の間には、内側部の主に小形の細胞群と顕著な外側の大型細胞群が存在する。)

Periventricular preoptic nucleus(脳室周囲視索前域核)Nucleus preopticus periventricularis のうしつしゅういしさくぜんいきかく  [A14_1_08_910]

Suprachiasmatic nucleus(視交叉上核)Nucleus suprachiasmaticus しこうさじょうかく

[A14_1_08_911] →(視交叉上核は視交叉の背側で、第三脳室底直下にある一対の小形神経細胞の小核で、視床下部脳室周囲層の神経核である。この核はいわゆる網膜視床下部路を介して網膜と、分界条を介して扁桃体と、内側前脳束を介して中隔と結合する。視交叉上核からの出力線維は視床下部の腹内側核、背内側核、弓状核(漏斗核)でシナプス結合する。ヒトでは痕跡的で核としてはみとめがたい。両側の視神経(ただし、反対側優勢)のほか、外側膝状体腹側核からの神経線維が分布するという報告がある。この核からおこる遠心性神経線維は視床下部にひろく分布するらしい。この核を破壊すると生体機能の日周リズムが乱されることが知られている。)

Supra-optic nucleus(視索上核)Nucleus supraopticus しさくじょうかく Feneis: 298 18

[A14_1_08_912] →(視索上核は正中線の両側にあり、その吻側部は視交叉の前上方に位置している。しかし、核の大部分は視索に沿って存在し、吻側野と尾側野に区分される。この核の構造は一様な中等大または大形(25~30μm)の神経細胞の集団で、視床下部内側野の神経核である。室傍核とともに代表的な神経分泌核あり、視索上核下垂体路の起始核である。)

Dorsolateral part of supraoptic nucleus(背外側部(視索上核の))Pars dorsolateralis nuclei supraoptici はいがいそくぶ(しさくじょうかくの)  [A14_1_08_913]
Dorsomedial part of supra-optic nucleus(背内側部(視索上核の))Pars dorsomedialis nuclei supraoptici はいないそくぶ(しさくじょうかくの)  [A14_1_08_914]
Ventromedial part of supra-optic nucleus(腹内側部(視索上核の))Pars ventromedialis nuclei supraoptici ふくないそくぶ(しさくじょうかくの)  [A14_1_08_915]

Dorsal hypothalamic area; Dorsal hypothalamic region(視床下部背側野;視床下部背側域;背側視床下部野)Area hypothalamica dorsalis ししょうかぶはいそくや;しそうかぶはいそくいき;はいそくししょうかぶいきや Feneis: 298 14

[A14_1_08_916] →(視床下部背側野は脳室壁のすぐ外側で、視床背内側核の背側方にある。この領野は尾側方では中脳中心灰白質まで達し、外側方は不確帯で境されている。この領野は決して一様な構造ではなく、小形および中型の細胞に加えて、著しく大きいニューロンが散在する。視床下部背側野からは脳室壁に沿って走る多数の微細な線維が出て、これらによって散在性の傾向の強いSchuetzの背側縦束が形成される。この線維束は中脳と菱脳の中心灰白質の中を下行し、脳神経核や脳幹網様体を支配する。背側縦束の性質として、脳神経核に対する支配はむしろ疑問であり、一般にはおそらく食物神経性の機能に関与する物と考えられている。)

Dorsomedial nucleus of dorsal hypothalamus; Dorsomedial hypothalamic nucleus(背内側核(背側視床下部域の);視床下部背内側核)Nucleus dorsomedialis hypothalamicae dorsalis はいないそくかく(はいそくししょうかぶいきの);ししょうかぶはいないそくかく

[A14_1_08_917] →(視床下部背内側核は視床下部腹内側核の背内側方にあり、第三脳室の上衣細胞層と境を接している。この核と上衣細胞のあいだにはグリア線維の層がある。この核は外側方では脳弓周囲核と癒合する。)

Endopeduncular nucleus(脚内核;内脚核)Nucleus endopeduncularis きゃくないかく;ないきゃくかく Feneis: 290 06

[A14_1_08_918] →(See Nucleus ansae peduncularis of Meynert)

Nucleus of ansa lenticularis(レンズ核ワナ核)Nucleus ansae lenticularis れんずかくわなかく Feneis: 298 15 [A14_1_08_919]

Intermediate hypothalamic area; Intermediate hypothalamic region(視床下部中間野;視床下部中間域;中間視床下部野)Area hypothalamica intermedia ししょうかぶちゅうかんや;ししょうかぶちゅうかんいき;ちゅうかんししょうかぶや Feneis: 298 21 [A14_1_08_920]

Dorsal nucleus of hypothalamus(背側核;視床下部背側核)Nucleus dorsalis hypothalami はいそくかく(ししょうかぶの);ししょうかぶはいないそくかく Feneis: 300 03 [A14_1_08_921]

Dorsomedial nucleus of intermediate hypothalamus(背内側核(中間視床下部の);視床下部背内側核)Nucleus dorsomedialis hypothalamicae intermediae はいないそくかく(ちゅうかんししょうかぶの);ししょうかぶはいないそくかく Feneis: 300 02

[A14_1_08_922] →(視床下部背内側核は視床下部腹内側核の背内側方にあり、第三脳室の上衣細胞層と境を接している。この核と上衣細胞のあいだにはグリア線維の層がある。この核は外側方では脳弓周囲核と癒合する。)

Arcuate nucleus; Infundibular nucleus(弓状核;半月核;漏斗核)Nucleus arcuatus; Nucleus semilunaris; Nucleus infundibularis きゅうじょうかく;げつじょうかく;ろうとかく Feneis: 298 22, 300 05

[A14_1_08_923] →(漏斗核(弓状核)は小形紡錘形のGomori陰性細胞を含み、これらの細胞は漏斗の付着部を囲んで環状に並んでいる。漏斗核は第三脳室壁と密接な関係がある。すなわち、この部では、特徴的な丈の高い上衣細胞に置き換わっており、扁平な上衣細胞の間には有尾細胞tanycytesが③愛する。上衣細胞層直下のニューロンの中にはおそらく脳脊髄液と直接に接するものがある。漏斗核ニューロンの軸索の20%ほどが隆起核下垂体路に加わって漏斗表層の細胞に乏しい領域(棚状部palisade zone)に達し、そこの“外套叢mantle plexus”の短毛細血管ループの壁に終止する。)

Periventricular nucleus(脳室周囲核;視床下部脳室周囲核)Nucleus periventricularis のうしつしゅういかく;ししょうかぶのうしつしゅういかく  [A14_1_08_924]

Posterior periventricular nucleus(後脳室周囲核)Nucleus periventricularis posterior こうのうしつしゅういかく Feneis: 300 04

[A14_1_08_925] →(後室周核は上衣の下、第三脳室後方にある細胞群。)

Retrochiasmatic area; Retrochiasmatic region(交叉後野;交叉後部)Area retrochiasmatica こうさこうや;こうさこうぶ  [A14_1_08_926]

Lateral tuberal nuclei(外側隆起核)Nuclei tuberales laterales がいそくりゅうきかく Feneis: 298 23

[A14_1_08_927] →(外側隆起核はヒトで最もよく発達しており、脳表面からもみえる外側隆起の直下において三つの長方形の水平な細胞柱を含む。中形の三角形のニューロンは容易には染色されない。この核の線維連絡はわかっていない。)

Ventromedial nucleus of hypothalamus; Ventromedial hypothalamic nucleus(腹内側核;視床下部腹内側核)Nucleus ventromedialis hypothalami ふくないそくかく;ししょうかぶふくないそくかく Feneis: 300 01

[A14_1_08_928] →(視床下部腹内側核は灰白隆起の中の最大の核で、小形ないし中型の細胞を含み、線維の密な狭い領域によって隣接部位から隔てられている。視床下部腹内側核への入力線維は核のまわりの線維のカプセルの中で分枝し、核周辺部の双極性ニューロンと軸索-樹状突起シナプスをもって結合する。双極性ニューロンの軸索は核の深部へ達し、星状ニューロンとシナプス結合する。これらの星状ニューロンは視床下部腹内側核からの出力線維を出す。双極性細胞はおそらく抑制ニューロンである。視床下部腹内側核への入力は扁桃体(分界条と腹側扁桃体出力線維を介して)、およびレンズ核束からくる。視床下部腹内側核からの出力線維は視床(脳室周囲核)、視索前野、扁桃体、乳頭体のカプセル、中脳中心灰白質などに達する。)

Lateral hypothalamic area(視床下部外側野;外側視床下部野)Area hypothalamica lateralis ししょうかぶがいそくや;がいそくししょうかぶや Feneis: 298 24

[A14_1_08_929] →(視床下部外側野は視床下部のうち脳弓柱と乳頭体視床路束を通る吻尾線の外側にある部分で、内側前頭と以下の核を含む。)

Pre-optic area(視索前野;視索前域)Area preoptica しさくぜんや;しさくぜんいき Feneis: 292 31

[A14_1_08_407] →(視索前野は視索前核・室傍核と終板のあいだにあり、背側は前交連、外側はBrocaの対角帯に境を接している。視索前野の主な核は内側視索前核、正中視索前核(不対)、脳室周囲視索前核である。これらの視索前核はかなり一様な構造をしており、小形ないし非常に小形のニューロンからなる。入力線維は視床下部腹内側核、中隔、扁桃体、嗅脳部(内側前脳束)などからくる。視索前野からの出力線維は、やはり内側前脳束を通って、外側視床下部と中脳網様体に達する。その他の短い出力線維は中隔に達する。)

Lateral tuberal nuclei(外側隆起核(視床下部の))Nuclei tuberales laterales がいそくりゅうきかく Feneis: 298 23

[A14_1_08_930] →(外側隆起核はヒトで最もよく発達しており、脳表面からもみえる外側隆起の直下において三つの長方形の水平な細胞柱を含む。中形の三角形のニューロンは容易には染色されない。この核の線維連絡はわかっていない。)

Perifornical nucleus(脳弓周囲核;脳弓傍核)Nucleus perifornicalis のうきゅうしゅういかく;のうきゅうぼうかく  [A14_1_08_931]

Tuberomammillary nucleus(隆起乳頭体核;隆起乳頭核;乳頭体隆起核)Nucleus tuberomammillaris りゅうきにゅうとうたいかく;にゅうとうたいりゅうきかく  [A14_1_08_932]

Posterior hypothalamic area; Posterior hypothalamic regin(視床下部後野;視床下部後域;後視床下部野)Area hypothalamica posterior ししょうかぶこうや;ししょうかぶこういき;こうししょうかぶや Feneis: 300 06 [A14_1_08_933]  

Dorsal premammillay nucleus(背側乳頭体前核)Nucleus premammillaris dorsalis はいそくにゅうとうたいぜんかく [A14_1_08_934]

Lateral nucleus of mammillary body(乳頭体外側核;外側乳頭体核)Nucleus mammillaris lateralis にゅうとうたいがいそくかく;がいそくにゅうとうたいかく Feneis: 300 07 [A14_1_08_935]

Medial nucleus of mammillary body; Medial mammillary nucleus(乳頭体内側核;内側乳頭体核)Nucleus mammillaris medialis にゅうとうたいないそくかく;ないそくにゅうとうたいかく Feneis: 300 07 [A14_1_08_936]

Supramammillary nucleus(乳頭体上核)Nucleus supramammillaris にゅうとうたいじょうかく  [A14_1_08_937]

Ventral premammillary nucleus(腹側乳頭体前核)Nucleus premammillaris ventralis ふくそくにゅうとうたいぜんかく  [A14_1_08_938]

Posterior nucleus of hypothalamus; Posterior hypothalamic nucleus(視床下部後核)Nucleus posterior hypothalami ししょうかぶこうかく Feneis: 300 08 [A14_1_08_939]

Vascular organ of lamina terminalis(終板血管器官;終板脈管器管)Organum vasculosum laminae terminalis しゅうばんけっかんきかん;しゅうばんみゃくかんきかん

[A14_1_08_940] →(終板の血管器間は多数の血管が叢状になったものであり、この血管叢は表層の毛様血管網と深層の毛様血管網に分けられる。表層の毛細血管網には前交通動脈から血液が流れ込む。この血液は深層の毛細血管網に運ばれ、次いで大脳静脈に移る。血管器肝の毛細血管壁(内皮細胞)には多数の小孔がみられる。)

Zones of hypothalamus(視床下部帯)Zonae hypothalamicae ししょうかぶたい  [A14_1_08_941]

Periventricular zone of hypothalamus(脳室周囲帯;脳室周囲域(視床下部の))Zona periventricularis hypothalamicae のうしつしゅういたい;のうしつしゅういかく(ししょうかぶの)  [A14_1_08_942]

Medial zone of hypothalamus(内側帯;内層(視床下部の))Zona medialis hypothalamicae ないそくたい;ないそう(ししょうかぶの)  [A14_1_08_943]

Lateral zone of hypothalamus(外側帯;外層(視床下部の))Zona lateralis hypothalamicae がいそくたい;がいそう(ししょうかぶの)  [A14_1_08_944]

Neurohypophysis(神経下垂体;下垂体後葉)Neurohypophysis しんけいかすいたい;かすいたいこうよう Feneis: 300 09

[A11_1_00_006] →(下垂体後葉は神経組織から成るが、神経細胞体を含まず、神経膠細胞の一種である後葉細胞(pituicyteまたはpituitocyte)を含むのみである。その大部分は視床下部の視索上核および室傍核からのびてきた神経線維とその軸索終末で、多量の神経分泌物(neurosecretion)をふくむ。血管は豊富である。)

White substance of hypothalamus; White matter of hypothalamus(視床下部の白質)Substantia alba hypothalami ししょうかぶのはくしつ  [A14_1_08_945]

Posterior longitudinal fasciculus; Dorsal longitudinal fasciculus(後縦束;背側縦束)Fasciculus longitudinalis posterior; Fasciculus longitudinalis dorsalis こうじゅうそく;はいそくじゅうそく Feneis: 300 14

[A14_1_08_946] →(中脳から延髄にかけて中心灰白質の腹内側部にみれれる小さい神経線維束で、細い有髄線維を含む。上行性および下行性の比較的短い神経線維の連鎖であり、吻側では視床下部の室周線維に連絡する。自律性または内臓性情報の中枢伝導系の一つとされる。)

Dorsal supra-optic commissure(背側視交叉上交連)Commissura supraoptica dorsalis はいそくしこうさじょうこうれんGanser's commissure; Meynert's commissure Feneis: 300 12

[A14_1_08_947] →(背側視交叉上交連は、さらに背側部(Ganser交連)と腹側部(Meynert交連)に分けられる。腹側視交叉上交連はGudden交連に相当する。これらは交連ではなくて交叉であると思われる。ヒトではその線維の由来及び終止は明瞭でない(昭和60)。)

Fibres of stria terminalis(分界条線維)Fibrae striae terminalis ぶんかいじょうせんい Feneis: 300 18 [A14_1_08_948]

Fornix; Fornix cerebrae(脳弓;弓隆)Fornix のうきゅう;きゅうりゅう Feneis: 300 17

[A14_1_08_949] →(脳弓は白い線維が帯状になった脳弓は海馬体の主要な遠心性線維系を構成する。この中には投射線維と交連線維の両者が含まれる。これは海馬台皮質(海馬台前部、海馬台、前海馬台)と海馬の大錐体細胞の軸索からなり、海馬白質として側脳室表面に広がり、それらがまとまって海馬采を形成する。両側の海馬采は後方へ進むにつれて太くなり、海馬の後端に至って脳梁膨大の下を脳弓脚となって子を描いて上がると同時に両側の物が互いに近付いてくる。このあたりで多数の線維が反対側の脳弓に入る。すなわち交叉線維が薄く板状に広がって脳弓交連(海馬交連、または脳琴psalterium)を形成するがヒトでは発達が悪い。両側の脚は合して脳弓体となり脳梁の直下を前方に視床の吻側端まで行き、ここで再び線維束が左右に分かれ脳弓の前柱として室間孔から前交連の後ろまで腹方に曲がる。神経線維が薄い帯状になった海馬采は脳弓のほぼ全経過にわたって外側に位置しているが、吻側では脳弓の本体である脳弓前柱の中に混ざってしまう。脳弓線維の最大部分は前交連の尾側を交連後脳弓として下行し、残りは前交連の前を交連前脳弓となって走る。海馬台に起始をもつ交連後脳弓線維は視床下部を通過して乳頭体に至るが途中視床にも枝をだす。乳頭体では主として内側核に終止する。視床下部の吻側部で交連後脳弓から分かれた線維は、外側中隔核と、視床の前核群や外側背側核に終わる。その他、海馬台からの遠心線維は、前頭葉内側皮質、尾側帯状回、海馬傍回などに直接投射する。交連後脳弓線維の一部は乳頭体を越えてさらに尾方へ下り中脳被蓋に入る。交連前脳弓は線維束としては交連後脳弓よりも小さく、疎であって肉眼的に認められるようなものではない。これらの線維は海馬のすべてのセクターの錐体細胞に始まり、中隔核群の尾部の一部に終わる。以上にのべた解剖学的な連絡様式から示唆されるように、海馬台からのインパルスは複雑な経路を経て種々の部位に投射される。すなわち、海馬と海馬台は直接あるいは関節の投射路によって中隔核群、視床下部、視床、大脳皮質の広汎な領域および中脳網様体と結合する。)

Hypothalamohypophysial tract; Hypothalamohypophyseal tract(視床下部下垂体路)Tractus hypothalamohypophysialis ししょうかぶかすいたいろ Feneis: 300 20

[A14_1_08_950] →(視床下部から下垂体にいたる無髄神経線維束である。視索上核や室傍核の神経分泌細胞はその細胞体において下垂体後葉ホルモン(バソプレッシンやオキシトシン)を産生する。これらのホルモンは軸索中を輸送されて下垂体後葉に達し、神経終末から分泌されて血中に入る。この神経路の神経線維の大部分は下垂体漏斗の中心部を走る。視索上核下垂体路をと室傍核下垂体路を視床下部神経分泌系という。さらに、視床下部灰白隆起の内側部の神経細胞、とくに漏斗核(弓状核)などは、下垂体前葉ホルモンに対する種々の放出因子ないしホルモンを産生する。これらは隆起核下垂体路を構成する神経細胞の軸索によって、下垂体門脈系の第1次毛細血管中に放出され、下垂体前葉の腺細胞に働いて前葉ホルモンの分泌を促進する。下垂体後葉ホルモン(バソプレッシンとオキシトシン)は、下垂体でつくられるのではなく、視床下部の神経細胞で産生され、その突起(神経線維)の中を流れて、下垂体後葉にまで運ばれて、ここで血中に不出されるのである。この現象を神経分泌とよび、神経分泌物を下垂体後葉に運ぶ経路を視床下部下垂体路とよぶ。爬虫類以上の動物とヒトの神経分泌細胞は、視索上核と室傍核に存在する。バソプレッシンとオキシトシンは別々の細胞で産生されるが、上記両核のいずれもバソプレッシン細胞とオキシトシン細胞の両方を含む。分泌物は約200nmの顆粒となり、神経分泌細胞の突起の中を流れ下る。その途中に数珠の肥大部が多数あって、分泌顆粒がたまっている。これをへリング小体とよぶ。)

Paraventricular fibres(室傍核下垂体線維)Fibrae paraventriculohypophysialis しつぼうかくかすいたいせんい Feneis: 300 22 [A14_1_08_951]

Supra-optic fibres(視索上核下垂体線維;視索上核線維)Fibrae supraopticohypophysialis しさくじょうかくかすいたいせんい;しさくじょうかくせんい Feneis: 300 21 [A14_1_08_952]

Mammillotegmental fasciculus; Mammillotegmental tract(乳頭被蓋束;乳頭体被蓋束;乳頭被蓋路;グッデンの被蓋束)Fasciculus mammillotegmentalis; Tractus mamillotegmentalis にゅうとうひがいそく;にゅうとうたいひがいそく;にゅうとうひがいろ;ぐっでんのひがいそくGudden, von Gudden's tract Feneis: 300 15

[A14_1_08_953] →(乳頭体被蓋束は乳頭体内側核を中脳被蓋と結合して、視床下部が網様体に影響を及ぼすルートを形成している乳頭体被蓋束の線維は背側被蓋核に終止する。)

Mammillothalamic fasciculus(乳頭体視床束;乳頭体視床路;乳頭視床束;乳頭視床路;ヴィック・ダジール束)Fasciculus mammillothalamicus; Tractus mamillothalamicus にゅうとうししょうそく;にゅうとうたいししょうそくVicq d'Azyr's bundle Feneis: 300 16

[A14_1_08_954] →(乳頭視床束は乳頭体と視床前核を結ぶ神経線維束。主乳頭束として、乳頭被蓋束とともに乳頭体の背側よりでる。乳頭体内側核からおこる神経線維は同側の視床前核のうちでも前腹束核と前内側核に分布し、乳頭体外側核からおこる神経線維は両側の視床前背側核に分布するといわれる。また、乳頭視床束には視床前核から乳頭立ちに向かう神経線維も少数含まれるらしい。)

Medial forebrain bundle(内側前脳束;終脳内側束)Fasciculus medialis telencephali ないそくぜんのうそく;しゅうのうないそくそく Feneis: 300 19

[A14_1_08_955] →(嗅脳やそれ以外の大脳半球の部位を視床下部および中脳被蓋に結合している。すなわち、内側前脳束は視床下部外側部(脳弓の外側方)を走り、上行性および下行性線維を含む。下行性線維のうちの主要なものは中隔から起こり、短い線維は視索前野でシナプス結合し、長芋のは中脳被蓋(Tasiの腹側被蓋野、網様体など)に達する。その他の下行性線維は視索前野から起こり、下垂体核、中脳の背側縫線核、中心灰白質などシナプス結合する。上行性線維は中脳網様体を視床下部外側部と結合し、中隔の外側部にまで達している。)

Paraventriculohypophysial tract(室傍核下垂体路)Tractus paraventriculohypophysialis しつぼうかくかすいたいろ Feneis: 300 24

[A14_1_08_956] →(室傍核下垂体路視床下部下垂体路形成前の、室傍核よりでた線維。)

Periventricular fibres(室周線維)Fibrae periventriculares しつしゅうせんい Feneis: 300 11

[A14_1_08_957] →(室周線維は視床下部に起こって中脳被蓋および共、延髄の網様体を通り視床と視床下部をむすび、後方へ伸び背側縦束へつづく。)

Supra-opticohypophysial tract(視索上核下垂体路)Tractus supraopticohypophysialis しさくじょうかくかすいたいろ Feneis: 300 23

[A14_1_08_958] →(視索上核下垂体路は視索上核および室傍核の大型細胞要素で構成されている。これらの大型ニューロンの特異的なペプチド、オキシトシンとバソプレッシンは脳で最初に分離された特徴あるペプチドである。これらのペプチドは常に、ニューロフィジンという大型のペプチドと結合している。ニューロフィジンは分枝前駆体の部分である。ニューロフィジンⅠはオキシトシンに関係し、ニューロフィジンⅡはバソプレッシンと関係がある。2種のニューロフィジンは視索上核と室傍核の中に存在しているが、オキシトシンとバソプレッシンとは異なるニューロンに含まれる。神経分泌物は細胞体内で合成され、軸索内を終末まで輸送される。神経分泌物質は直径120~200nmの果粒が集まってできている。オキシトシンとバソプレッシンとはそれぞれ異なる側面像をもつ軸索内に存在している。視床下部下垂体路のホルモンは終末の軸索の膨隆部の中に、内部の密な有芯小包として蓄積される。密な有芯小包の内容物質は有窓毛細血管が含まれる血管周囲腔の中に放出される。室傍核の大細胞性要素からの第二次遠心性投射線維は正中隆起の外部帯までは説明されいる。そのうえ、高いレベルのバソプレッシンが下垂体門脈系に証明されている。正中隆起の外部帯のバソプレッシンの役割はわかっていないが、多分副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)放出の調節に働くのであろう。視索上核と室傍核の細胞はまた、エンケファリン、コレシストキニン、グルカゴン、ディノルフィンおよびアンギオテンシンのような他の生物学的に活発な物質を含んでいる。視床下部の神経分泌細胞は電気的インパルスを導く能力を保っている。視床下部にある細胞体を刺激することによって活動電位が生じ、これが軸索の中を伝導してホルモン遊離のきっかけとなる。)

Ventral supra-optic commissure(腹側視交叉上交連;上交連;グッデン交連)Commissura supraoptica ventralis ふくそくしこうさじょうこうれん;じょうこうれんGudden, von Gudden's commissure Feneis: 300 13

[A14_1_08_959] →(Gudden交連ともよばれている。腹側視交叉上交連は一部は視交叉中にある。両側の内側膝状体の連絡らしい。グッデン Gudden, Bernhard Aloys von (1824-1886)ドイツの神経学者、精神科学者。ミュンヘン大学教授樹。Gabersee精神病院長であったが、ここでルードィッヒ3世の治療中、王の入数自殺に巻き込まれて死ぬ。グッデン交連(下交連)グッデン神経節(Ggl. Interpedunculare)を記述。)

Retinohypothalamic tract(網膜視床下部路)Tractus retinohypothalamicus もうまくししょうかぶろ  [A14_1_08_960]

Telencephalon; Cerebrum(終脳;大脳)Telencephalon; Cerebrum しゅうのう;だいのう Feneis: 302 01

[A14_1_09_001] →(脳を発生学的立場から終脳、間脳、中脳、橋と小脳、延髄の5区分に分けられる。TAでは終脳と大脳を同義語としているが、大脳は前脳(終脳と間脳)および中脳で終脳と大脳は脳の中で最も大きく、その背側面は頭蓋冠の全域を占め、腹側面は前および中頭蓋窩に入っている。大脳は、中心部を形成している間脳と左右の終脳の2部分に分けられる。終脳の一部で嗅覚に関係する部分を嗅脳Rhinencephalon, olfactory brainという。残念ながら定まった意味でいつも使用されるとは限らない。しばしば、辺縁葉または辺縁系皮質に近い意味で広義に使用される。このように解釈されたときには、もはや嗅覚性の部分のみとはいえない。魚類や両生類などでは嗅覚性インパルスを受ける終脳域が主体であるが、ヒトでは古い皮質部分(古皮質といわれる部分)に相当し、その領野は狭い。ヒトの嗅脳は、嗅葉および梁下野からなる。嗅葉は嗅上皮からの細い嗅神経線維束をうける嗅球(篩骨篩板上)とこれから後方につづく嗅索とその後端が広がった部分、すなわち嗅三角に区別され大脳半球の前頭葉下面にある。嗅索を形成する第1次嗅覚系線維の大部分は嗅三角で内側嗅条と外側嗅条とにわかれる(第二次嗅角形線維束)。前者は梁下野に向かい、後方で前有孔質に接する。一方、梁下野(嗅傍野)は大脳半球の内側面で脳梁膝の下、終板傍回(海馬の最前部に相当すると考えられている)のすぐ前方にある小部分である。)

General terminology(一般用語(終脳の))Nomina generalia いっぱんようご(しゅうのうの)[A14_1_09_001_1]

 

Cerebral hemisphere(大脳半球)Hemispherium cerebri だいのうはんきゅう Feneis: 302 14

[A14_1_09_002] →(大脳半球は表層の外套と深部の大脳核からなる。外套は表面の灰白質である大脳皮質と、より深部の白質である大脳髄質からなる。しかし、TAによると英語では外套という用語がなく外套と大脳皮質を同義語としている。左右の大脳半球は大脳縦裂により分けられているが、その大部分は脳梁により結合されている。さらに大脳半球は大脳横裂により小脳と分けられている。外套の表面には多数の溝と、溝の間の隆起がみられ、それぞれ大脳溝および頭頂骨横行は葉間溝とよばれ、四つの大脳葉(前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉)を区別する上で重要な溝である。外側口の深部には島とよばれる外套の一部がある。前頭葉の下面には嗅脳がある。大脳皮質は部位により構造上の差違があり、系統発生学的に古い古皮質および原皮質と新しい新皮質に大別される。新皮質は発生の途上で少なくとも一度は原則として6層形成を示すのに対して、古皮質および原皮質の発生のいかなる時期にも6層形成を示さず、嗅脳、海馬および歯状回などに限局してみられる。)

Cerebral cortex(大脳皮質;外套;外套部(大脳半球の))Pallium だいのうひしつ;がいとう;がいとうぶ(だいのうはんきゅうの) Feneis: 302 03

[A14_1_09_003] →(多くのうね(脳回gyrus)とみぞ(脳溝sulcus)をもつ大脳半球の表層部。神経細胞体が集まる灰白質からなり、種々の神経活動の中枢として働く。発生学的には下等動物の段階から認められる古い皮質と高等動物になって発達する新しい皮質に区分され、ヒトでは大半が新しい皮質であるが、本能や情動に関わる古い皮質辺縁葉など)もある。なお、大脳皮質は何本かの明瞭な脳溝によって脳葉lobeに区分される。[→大脳皮質の外形 参照](イラスト解剖学))

Cerebral gyri(大脳回)Gyri cerebri だいのうかい Feneis: 302 04

[A14_1_09_004] →(大脳皮質の表面はヒトやサルなど高等な動物では多数の裂(Fissurae)や溝(Sulci)によって脳回(Gyri)にわかれているが(Gyrencephalon)、溝のない脳(Lissencephalon)もある。ヒトでは、胎生の初期では大脳半球に溝はなくその表面は滑らかである。発生が進むにつれて、溝が形成されてくるが、その深さと恒常性により、第1次、第2次、第3次と細分化され、その位置、形および大きさに個体差や左右差が存在する。出生時にはすべて第1次と第2次の溝がみられるが、大人の脳と同じ外見となるのは7歳頃といわれている。)

Cerebral lobes(大脳葉)Lobi cerebri だいのうよう Feneis: 302 06

[A14_1_09_005] →(大脳葉は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉および辺縁葉とからなる。島も輪状溝によって前頭弁蓋、頭頂弁蓋、側頭弁蓋と境されているので島葉も大脳葉と呼んでもよいであろう。)

Cerebral sulci(大脳溝)Sulci cerebri だいのうこう Feneis: 302 05

[A14_1_09_006] →(大脳皮質の表面はヒトやサルなど高等な動物では多数の裂(Fissurae)や溝(Sulci)によって脳回(Gyri)にわかれているが(Gyrencephalon)、溝のない脳(Lissencephalon)もある。ヒトでは、胎生の初期では大脳半球に溝はなくその表面は滑らかである。発生が進むにつれて、溝が形成されてくるが、その深さと恒常性により、第1次、第2次、第3次と細分化され、その位置、形および大きさに個体差や左右差が存在する。出生時にはすべて第1次と第2次の溝がみられるが、大人の脳と同じ外見となるのは7歳頃といわれている。)

Longitudinal cerebral fissure; Longitudinal fissure of hemisphere(大脳縦裂;半球間裂)Fissura longitudinalis cerebri; Fissura interhemisphaerica だいのうじゅうれつ Feneis: 302 07

[A14_1_09_007] →(大脳縦裂は左右大脳半球の深い縦裂である。左右大脳半球は大脳縦裂によって不完全に分けられており、生体ではこの部分に大脳鎌が入り込んでいる。前頭部と後頭部では大脳半球は完全に分かれているが、中央部では大脳縦裂が幅広い半球間の交連線維群である脳梁までしか達していない。)

Transverse cerebral fissure(大脳横裂;終脳間脳裂)Fissura transversa cerebri; Fissura telodiencephalica だいのうおうれつ;しゅうのうかんのうれつ Feneis: 302 08

[A14_1_09_008] →(大脳横裂は上方は脳梁と脳弓、下方は視床背面、側方は側脳室の脈絡列に囲まれた三角形の間隙で、軟膜におおわれ、尾側方でクモ膜下腔の大脳静脈槽に開く。)

Petrous impression(岩様圧痕;錐体圧痕)Impressio petrosa がんようあっこん;すいたいあっこん

[A14_1_09_008_1]→

Lateral cerebral fossa; Lateral fossa(大脳外側窩)Fossa lateralis cerebri; Fossa lateralis だいたいがいそくか Feneis: 302 09

[A14_1_09_009] →(大脳外側窩は外側溝深部にある腔所。外側溝は下面における陥凹である大脳外側窩の外側端ではじまり、しばらく上外側方に走って外側面に現れ、ここで3つの枝に分かれる。)

Superior margin of cerebral hemisphere(上縁;上内側縁(大脳半球の))Margo superior hemispherii cerebri じょうえん;じょうないそくえん(だいのうはんきゅうの) Feneis: 302 10

[A14_1_09_010] →(大脳半球の上外側面と内側面の境をなす縁を上縁という。)

Inferomedial margin of cerebral hemisphere(内側縁;下内側縁(大脳半球の))Margo inferomedialis hemispherii cerebri ないそくえん;かないそくえん(だいのうはんきゅうの) Feneis: 302 12

[A14_1_09_011] →(大脳半球の下面と内側面を境する縁を内側縁と呼ぶ。)

Inferolateral margin of cerebral hemisphere(下縁;下外側縁(大脳半球の))Margo inferolateralis hemispherii cerebri かえん;かがいそくえん(だいのうはんきゅうの) Feneis: 302 11

[A14_1_09_012] →(大脳半球の上外側面と下面を境とする不規則な不連続な縁。)

Pallium(外套;大脳皮質)Pallium がいとう;だいのうひしつ Feneis: 302 03

[A14_1_09_012_1] →(大脳半球のうち脳幹を取り囲む部分。)

Superolateral face of cerebral hemisphere(大脳上外側面;大脳凸面(大脳半球の))Facies superolateralis hemispherii cerebri だいのうじょうがいそくめん;だいのうでこめん(だいのうはんきゅうの) Feneis: 302 15

[A14_1_09_101] →(前頭葉の上外側表面は3つの脳溝によって4つの脳回(中心前回、上前頭回、中前頭回、下前頭回)に分けられる。頭頂葉の外側面は2つの脳溝によって3つの脳回(中心後回、上頭頂小葉、下頭頂小葉[縁上回、角回])にわけられる。側頭葉の外側面は2つの脳溝によって3つの脳回(上側頭回、中側頭回、下側頭回)に分けられる。後頭葉は頭頂後頭溝の後ろにある狭い領域を占めている。)

Interlobar sulci.; Interlobar cerebral sulci(葉間溝)Sulci interlobares cerebri ようかんこう Feneis: 302 21

[A14_1_09_102] →(葉間溝は各葉をへだてる溝。したがって、中心溝、頭頂後頭溝および外側溝とその後枝。)

Central sulcus; Central cerebral sulcus(中心溝)Sulcus centralis cerebri ちゅうしんこうRolando, Fissure of, Sulcus of Feneis: 302 16

[A14_1_09_103] →(ローランド溝ともよばれる。中心溝は大脳半球の上縁から外側溝の方向に向かって下前方に走る明瞭な溝である。通常、この溝は2か所で屈曲し、上方では大脳半球の内側面までは伸びていない。この溝の深部が前頭葉と頭頂葉の境となっている。一般に、中心溝は外側溝(シルビウス裂)に達しないことが多く、内側面に入るとすぐに終わることで確認される。イタリアの解剖学者Luigi Rolando (1773-1831)による。)

Lateral sulcus; Lateral cerebral sulcus(外側溝;外側大脳裂;シルヴィウス溝)Sulcus lateralis cerebri がいそくこう;がいそくだいのうれつ;しるう゛ぃうすこうSylvian fissure, sulcus Feneis: 302 17

[A14_1_09_104] →(シルビウス裂溝ともよばれる。外側溝は大脳半球の底面における陥凹である大脳外側窩に始まり、外包にすすんで半球外側面に現れ、その主部は後枝として後上方にすすみ、一方は前頭葉および頭頂葉と他方は側頭葉との境をなす深い溝である。半球外側面に現れたところで2小枝、すなわち前に向かう前枝と、上行する上行枝を出す。外側溝の奥には島がある。オランダの医学者Francis Sylvius (1614-1672)による。ちなみに中脳水道のシルビウスは別人である。)

Posterior ramus of lateral cerebral sulcus(後枝(外側溝の))Ramus posterior sulci lateralis cerebri こうし(がいそくこうの) Feneis: 302 20

[A14_1_09_105] →(外側溝の後枝は外側溝から後方へ長く続く溝で、下方に側頭葉、上方に頭頂葉の間を伸びて縁上回に囲まれて終わる長い枝。)

Ascending ramus of lateral sulcus (sylvian fissure)(上行枝(外側溝の))Ramus ascendens sulci lateralis cerebri じょうこうし(がいそくこうの) Feneis: 302 19

[A14_1_09_106] →(外側溝の上行枝は前頭葉中にある外側溝の上行する短い枝。下前頭回の三角部と弁蓋部を分ける。)

Anterior ramus of lateral sulcus(前枝(外側溝の))Ramus anterior ぜんし(がいそくこうの) Feneis: 302 18

[A14_1_09_107] →(外側溝の前枝は外側溝の前に向かう外側溝の短い枝。下前頭回の眼窩部と三角部を分ける。)

Parieto-occipital sulcus; Occipitoparietal sulcus(頭頂後頭溝)Sulcus parietooccipitalis とうちょうこうとうこう Feneis: 306 10

[A14_1_09_108] →(頭頂後頭溝は頭頂葉楔前部と後頭葉楔部との境をつくる、大脳皮質内側面上にある、非常に深い、ほぼ垂直に走る裂。その下部は前方に曲がり鳥距溝の前部と合する。この結合した溝はきわめて深いので、側脳室後頭角の内側壁に膨隆、すなわち鳥距ができる。)

Pre-occipital notch(後頭前切痕)Incisura preoccipitalis こうとうぜんせっこん Feneis: 304 14

[A14_1_09_109] →(後頭前切痕は側方稜の下面にある切痕。側頭葉と後頭葉の下面にある切痕。側頭葉と後頭葉の下面の境がある。頭蓋骨ではこの場所に一致して、側頭骨の岩様部が頭蓋骨壁に移行する。)

Frontal lobe(前頭葉)Lobus frontalis ぜんとうよう Feneis: 302 22

[A14_1_09_110] →(前頭葉は中心溝の前、そして外側溝の上にある。前頭葉の上外側表面は3つの脳溝によって4つの脳回に分けられる。前頭葉には、1次運動野はBrodmannの脳区分でいうと領域4(中心前回から中心傍小葉)を中心に錐体外路系の中枢があり、身体の反対側の随意運動を起こす。Betzの巨大細胞が特徴的であるが、この細胞からの線維は皮質脊髄路の3%程である。運動前野(2次運動野)はBrodmannの領域6,8,44など(中心前回の前部から上・中・下前頭回後部)にある錐体外路系の運動中枢。この部は一次運動野の活動プログラム化に働き、障害されると習得した運動が障害される。通常の運動障害はなく、失行と呼ばれる。前頭眼野は中心前回で、顔面支配領域の前方に位置する(主に8野で6,9野の一部)。眼球や眼瞼の共同運動の中枢である。補足運動野は上前頭回内部に位置し、姿勢や運動開始と関係するらしい。運動性言語中枢はBrodmannの領域44,45(三角部)に位置する。Brocaの言語野ともいい、言語発声に必要な口から口頭の筋を統合支配する中枢で、運動野と連絡して発声運動を行うという。この部が障害されると意味のある言語を発声できなくなる運動失語が生じる。運動前野は大脳皮質の前頭葉の前方を広く占有している連合野である(Brodmannの9,10野)。前頭前野は脳の極めて広範囲から上方を集めて行動のプログラミングを行う。靴紐を結んだり、ボタンをかけるなどの学習・経験による複雑な組織化された運動の遂行と関係がある。背側運動前野は運動の企画や準備に対応し、腹側運動前野は物体を認知して動作へ変換する情報に変えるといわれる。)

Frontal pole of cerebrum(前頭極(大脳の))Polus frontalis ぜんとうきょく(だいのうの) Feneis: 302 23

[A14_1_09_111] →(大脳の前頭極は左右大脳半球の最前部の丸く膨隆した部分。)

Frontal operculum(前頭弁蓋)Operculum frontale ぜんとうべんがい Feneis: 302 31

[A14_1_09_112] →(前頭弁蓋は外側溝上行枝の後方にある下前頭回の部分。島を被っている。)

Inferior frontal gyrus(下前頭回)Gyrus frontalis inferior かぜんとうかい Feneis: 302 30

[A14_1_09_113] →(下前頭回は外側溝の前枝と上行枝によって3つの部分に分けられる。すなわち、①眼窩部、②三角部、③弁蓋部である。優位大脳半球(通常は、右利きの人では左側にある)の三角部と弁蓋部は運動性言語中枢motor speech center(ブローカ中枢Broca's area)があり、言語活動に必要な微妙な運動支配を支配すると言われる。前頭葉下面は前頭骨眼窩部の上面にのっておりわずかに凹んでいる。ブローカ中枢は、右利きの人では左半球に、左利きの人では右半球にあるという説がある。)

Orbital part of inferior frontal gyrus; Orbital operculum(眼窩部(下前頭回の);眼窩弁蓋)Pars orbitalis; Operculum orbitalis がんかぶ(かぜんとうかいの);がんかべんがい Feneis: 302 32

[A14_1_09_114] →(眼窩部は下前頭回の一部外側回前枝の下にある。)

Triangular part of inferior frontal gyrus(三角部(下前頭回の))Pars triangularis さんかくぶ(かぜんとうかいの) Feneis: 302 33

[A14_1_09_115] →(下前頭回の三角部は外側溝の前の前枝と上行枝の間にある下前頭回の部分。優位半球(一般に左脳)のこの部分には運動性言語中枢(Broca)がある。)

Opercular part of inferior frontal gyrus; Frontal operculum(弁蓋部(下前頭回の);前頭弁蓋)Pars opercularis べんがいぶ(かぜんとうかいの);ぜんとうべんがい

[A14_1_09_116] →(下前頭回の弁蓋部は島部を被覆する皮質回である。)

Inferior frontal sulcus(下前頭溝)Sulcus frontalis inferior かぜんとうこう Feneis: 302 29

[A14_1_09_117] →(下前頭溝は中および下前頭回の間にある溝で上前頭溝と平行に走る。)

Middle frontal gyrus(中前頭回)Gyrus frontalis medius ちゅうぜんとうかい Feneis: 302 28

[A14_1_09_118] →(中前頭回は上前頭溝と下前頭溝の間にあり、中前頭回および下前頭回は人脳では特に発育が良い。)

Superior part of middle frontal gyrus(上部(中前頭回))Pars superior (Gyrus frontalis medius) じょうぶ(ちゅうぜんとうかい)

[A14_1_09_118a]→

Inferior part of middle frontal gyrus(下部(中前頭回))Pars inferior (Gyrus frontalis medius) かぶ(ちゅうぜんとうかい)

[A14_1_09_118b]→

Precentral gyrus(中心前回)Gyrus precentralis ちゅうしんぜんかい Feneis: 302 25

[A14_1_09_119] →(中心前回は大脳半球の外側面で、中心溝のすぐ前にある高まりで、ここは随意運動に関係する運動領(運動野)motor areaである。)

Precentral sulcus(中心前溝)Sulcus precentralis ちゅうしんぜんこう Feneis: 302 24

[A14_1_09_120] →(中心前溝は大脳半球の上縁に始まり中心溝と平行に下方に延びる。中心溝と中心前溝の間は中心前回であり第一次運動野が存在する。)

Superior frontal gyrus(上前頭回)Gyrus frontalis superior じょうぜんとうかい Feneis: 302 26

[A14_1_09_121] →(上前頭回は上前頭溝の上にある。上前頭回および中前頭回の後部には運動性皮質中枢の続き(運動前野)があるが、これらの回の前部および下前頭回は連合中枢(前頭連合野)と考えられれる。)

Superior frontal sulcus(上前頭溝)Sulcus frontalis superior じょうぜんとうこう Feneis: 302 27

[A14_1_09_122] →(上前頭溝は大脳の前頭葉上面にある矢状溝。中心前溝から始まり、上前頭回の外側の境界をつくる。)

Parietal lobe(頭頂葉)Lobus parietalis とうちょうよう Feneis: 304 01

[A14_1_09_123] →(頭頂葉は中心溝の後方にあり、外側溝の上方、頭頂後頭溝の前方に位置する。上外側面において、中心溝の後方にこれと平行して走る中心後溝があり、これらの二つの溝の間に中心後回を形成する。ここに体制感覚野が位置する。中心後溝の後方を大脳半球上縁にほぼ平行に走る頭頂間溝があり、これによって上および下頭頂小葉が区別される。これら小葉は頭頂連合野とされている。下と強う小はさらに小さな溝により前方の縁上回と後方の角回とに分けられる。内側面では、帯状溝の後方延長部と考えられる頭頂下溝とよばれる短い溝がある。中心傍小葉(後部)の後方には楔前部とよばれる部分がある。これは帯状溝の縁部、頭頂下溝、頭頂後頭溝などで囲まれた部分である。さらにこの後方は、後頭葉に属する楔部に接している。 発生と区分:胎生初期の脳は表面がなめらかで、発達にしたがって大脳溝と大脳回が順次形成されてくる。胎生4ヶ月から8ヶ月の間に出現する脳溝が、いわゆる第1次脳溝で、変異の少ない脳溝である。大脳半球外側面では外側溝 (Sylvius裂)、中心溝 (Rolando溝)、頭頂間溝、上側頭溝などの第1次脳溝が確認できる。外側溝(大脳外側窩)は、胎生4ヶ月頃大脳半球の外側部に陥凹として出現する脳溝であり、後部は縁上回に達している。外側溝の腹側域を側頭葉と呼ぶ。中心溝は胎生6ヶ月頃出現し、この溝により頭頂葉は前頭葉から区別される。頭頂葉の後方部は、半球内側面からのびて一部外側面にも現れている頭頂後頭溝によって後頭葉と境される。このように頭頂葉は、肉眼的には、前方は中心溝、後方は頭頂後頭溝と後頭前切痕を結ぶ仮想の線により境界されるが、腹外側方での側頭葉後部との境界は不明瞭である。このように第1次脳溝を基準にして大脳皮質は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に区分される。Brodmann(1909)はニッスル標本を用いてヒトの皮質を約50の領域に区分した。現在、皮質領野を区分する標準として広く臨床医学の場で用いられている。大脳皮質全体、層ごとの細胞の大きさや形、分布とその数(密集度)、層の幅、垂直方向における細胞の分布状態や特別な形の細胞の存在など、これらの相違を基礎にして分類したものである。これらの境界の多くが必ずしも脳溝と一致していないが、この形態上の区分が皮質の機能局在と密接な関係にある。Brodmannによる大脳皮質の細胞構築学的区分にしたがえば、頭頂葉外側面では領域3,1,2(中心後回)、領域5,7(上頭頂小葉)、領域39(角回)、領域40(縁上回)に相当する。なお、内側面では領域3,1,2,5(中心傍小葉の後部)、領域7(楔前部)に相当し、中古皮質に属する帯状回(領域31の一部)に接している。)

Angular gyrus(角回)Gyrus angularis かくかい Feneis: 304 09

[A14_1_09_124] →(角回は側頭葉の上側頭溝の上行枝の末端部を囲むように位置する皮質領域である。ウェルニッケ領域の後部に位置し、Brodmannの領域39に相当する。角回の背側は上頭頂小葉に接し、後方は後頭葉の視覚前野(第二次視覚野)に接し、これらの領域からの線維をうけている。縁上回と同様に頭頂連合野に属する。視覚性言語を聴覚性言語に変換する情報処理をしているといわれている視覚性言語野がある(Geschwind, 1979)。優位半球の障害で失読、失書、観念失行、Gerstmann症候群などが生じる。また、劣位半球の角回周辺の障害で左半側空間失認が生じる。)

Subangular gyrus(角下回)Gyrus subangularis 

[A14_1_09_124a]→

Inferior parietal lobule(下頭頂小葉)Lobulus parietalis inferior かちょうちょうしょうよう Feneis: 304 06

[A14_1_09_125] →(下頭頂小葉は頭頂間溝の下にある大脳の頭頂葉の一部分で縁上回と角回に分けられる(角回の後方に後下頭頂小葉が認められることがある)。優位半球の下頭頂小葉が障害されると、半盲、失書-失読、失計算、観念運動失行、観念失行および構成失行が生じる。また劣位半球が障害されると、左半側空間無視、錯乱状態、地誌的記憶障害、地誌的観念の喪失、着衣失行、構成失行、病態失認、知覚転位症などが生じる。下頭頂小葉と側頭葉の上側頭回後上部(領域22の後部:狭義のウェルニッケ領域)に位置する領域は広義のウェルニッケ領域と呼ばれ、感覚性言語野に相当する。)

Parietal operculum(頭頂弁蓋;前頭頭頂弁蓋)Operculum parietale; Operculum frontoparietale とうちょうべんがい;ぜんとうとうちょうべんがい Feneis: 304 07

[A14_1_09_126] →(前頭葉、頭頂葉および側頭葉のうち外側溝に隣接した領域は、深部にある島の表面を覆っている。島の表面を覆っている領域を弁蓋と総称している。縁上回の前に位置し、Brodmannの領域43の後部に相当する。2次体性感覚野は外側溝の上縁に沿って位置し、後方は頭頂弁蓋にかけて広がっている。温、痛覚や位置感覚に関連する領野といわれている。)

Intraparietal sulcus(頭頂内溝;頭頂間溝)Sulcus intraparietalis; Sulcus interparietalis とうちょうかんこう;とうちょうないこう Feneis: 304 05

[A14_1_09_127] →(頭頂間溝は中心後溝からある間隔をおいて後方へのび、さらに垂直に2枝に分かれて中心後溝とともにH字形をつくる水平な溝。上および下頭頂小葉間にある不定の溝。)

Postcentral gyrus(中心後回)Gyrus postcentralis ちゅうしんこうかい Feneis: 304 03

[A14_1_09_128] →(中心後回は中心溝とその後方に平行に走る中心後溝があり、この両溝に挟まれた脳回で一次体性感覚野という。領域3は中心溝の後壁に沿って位置する。中心溝の後壁をなす3bと、溝の深部にある3a(通常は運動野に含められる)が領域3を構成する。領域3と領域1,2とは皮質間結合で結ばれている。領域1,2から運動野、頭頂連合野へ投射し、逆に運動野からの投射をうける。2野には主として深在性(非皮膚性)の受容器に対応する部位対応配列がある。一次体性感覚野の背側部には下肢が、腹側部には頭頚部が対応しており、中間部には体幹と上肢が対応する。二次体性感覚野は頭頂弁蓋に位置する。温、痛覚や触覚などの体性感覚の中枢で、内側毛帯、脊髄視床路、三叉神経毛帯を経過して、視床の後外側腹側核、後内側腹側核で中継された上行性投射線維をうける。一次体性感覚野のすべての視床投射は体性感覚局在的に構成されている。)

Postcentral sulcus(中心後溝)Sulcus postcentralis ちゅうしんこうこう Feneis: 304 02

[A14_1_09_129] →(中心後溝は中心後回の後方の境で上・下頭頂小葉間から区切る溝。)

Superior parietal lobule(上頭頂小葉)Lobulus parietalis superior じょうとうちょうしょうよう Feneis: 304 04

[A14_1_09_130] →(上頭頂小葉は頭頂間溝によって上頭頂小葉と下頭頂小葉に分けられる。これらの上および下頭頂小葉は頭頂連合野とみなされる。上頭頂小葉の前方の狭い部分が領域5、後方の広い部分が領域7に相当する。領域5は主として体性感覚連合野で空間位置関係や微細運動の統合、認知に関する機能を有し、皮膚、筋肉、深部組織、とくに関節からの興奮に反応するニューロンが同定されている。領域7は体性感覚と視覚、さらに聴覚、前庭覚の連合野であり、空間知覚にかかわる領域である。この部位の障害は、体性感覚の統合や、他者や環境に対する身体部位の三次元的な方向づけに障害をきたし、感覚情報の認知障害を起こす。)

Supramarginal gyrus(縁上回;回旋回)Gyrus supramarginalis; Gyrus circumflexus えんじょうかい;かいせんかい Feneis: 304 08

[A14_1_09_131] →(縁上回は外側溝の上行枝をとり囲む皮質部位を占め、Brodmannの領域40に相当する。縁上回は背方にある上頭頂小葉から感覚情報をうけていて頭頂連合野に属する。優位半球のこの領域が限局性に障害されると、失書、手指失認、身体部位失認が生じる。また、伝導失語や観念運動失行もしばしば認められる。)

Occipital lobe(後頭葉)Lobus occipitalis こうとうよう Feneis: 304 10

[A14_1_09_132] →(後頭葉は大脳半球の後部に位置し、外側面では頭頂葉および側頭葉の後方に続き、上外側面ではこれらとは明瞭な境界はない。しかし大脳半球内側面では頭頂後頭溝により頭頂葉と明確に区分される。機能的には視覚野がある。頭頂間溝の後端にほぼ横に走る小溝、すなわち横後頭溝がある。上外側面における溝および回は一般に不規則で、これらを上および外側後頭溝ならびに、上および外側後頭回と呼ぶ。外側後頭溝の後部はしばしば前方に凸部を向けた弓状を呈し、前部の溝と叉状に交わる。この弓状の溝は月状溝または猿裂と呼ばれる。しかしサルの月状溝はヒトの月状溝、頭頂後頭溝および横後頭溝の連続したものと考えられる。)

Occipital pole of cerebrum(後頭極(大脳の))Polus occipitalis こうとうきょく(だいのうの) Feneis: 304 11

[A14_1_09_133] →(左右大脳半球の後端。)

Lunate sulcus(月状溝)Sulcus lunatus げつじょうこう Feneis: 304 13

[A14_1_09_134] →(大脳の外側面で視覚領(有線領)の前縁になっている小さな溝は月状溝と呼ばれ、サル著明に発達している猿溝ape-fissureに相当するといわれる。(典型的な月状溝は日本人では男性30%、女性40%に見られる。))

Anterior occipital sulcus(前後頭溝)Sulcus occipitalis anterior ぜんこうとうこう

[A14_1_09_134_1]→前後頭溝は中側頭溝の上行枝に当たるものであるが、ShellshearおよびWernickeはほぼ後頭葉の前境をなすといいう意味で、sulcus occpitalis anteriorと呼ぶ方が妥当であると述べている。

Superior occipital sulcus(上後頭溝)Sulcus occipitalis superior じょうこうとうこう

[A14_1_09_134_2]→上後頭溝は後頭葉の上面にある上後頭回を区切る数個の小さい様々な溝。

Lateral occipital sulcus(外側後頭溝)Sulcus occipitalis laterales がいそくこうとうこう

[A14_1_09_134_4]→月状溝は本来2つの水平溝が前端で合して生ずるものと考え、それらを上後頭溝および中後頭溝とした。そして月状溝は往々この2溝に分離するが、時にはそのうち1溝を失って一つの水平溝のみを残す物であって、それが上後頭溝か中後頭溝かどちらとも決しかねるときは外側後頭溝よぶのがよい。

Pre-occipital notch(後頭前切痕)Incisura preoccipitalis こうとうぜんせっこん Feneis: 304 14

[A14_1_09_109] →(後頭前切痕は側方稜の下面にある切痕。側頭葉と後頭葉の下面にある切痕。側頭葉と後頭葉の下面の境がある。頭蓋骨ではこの場所に一致して、側頭骨の岩様部が頭蓋骨壁に移行する。)

Transverse occipital sulcus(横後頭溝)Sulcus occipitalis transversus おうこうとうこう Feneis: 304 12

[A14_1_09_135] →(横後頭溝は後頭葉での頭頂内溝ののつづき。)

Superior occipital gyrus(上後頭回)Gyrus occipitalis superior じょうこうとうかい

[A14_1_09_135_1]→上後頭回は後頭葉の外側表面上の外側後頭溝上にある脳回。

Lateral occipital gyri(外側後頭回)Gyri occipitales laterales がいそくこうとうかい [A14_1_09_135_4]→

Temporal lobe(側頭葉)Lobus temporalis そくとうよう Feneis: 304 15

[A14_1_09_136] →(側頭葉は外側溝より下方にある部分で、上外側面から下面におよび、後方は後頭葉および頭頂葉に移行する。上外側面では溝としては前後に走る上および下側頭溝があり、これらによって上、中および下側頭回が区画される。上側頭回の背側面で外側溝にかくれた部分には3本の横側頭溝があり、これらにより区別される二つの横側頭回(Heschl)がある。ここに聴覚野がある。これらの大部分は側頭葉下面皮質とともに連合中枢(側頭連合野)と目される。優位半球(主に左脳)の上側頭回の後部から角回にかけて感覚性言語中枢(Wernicke野)があるとされる。側頭葉下面では溝として前後に走る後頭側頭溝およびその内側をほぼこれと平行に走る側副溝がある。また側副溝の前方の延長部には浅い嗅脳溝がある。これは海馬傍回の前部と側頭葉の残部とを境する。回としては外側後頭側頭回は大脳上外側面における下側頭回が下面へ直接移行したもので、これらの両回の間を境する溝はない。内側後頭側頭回は後頭側頭溝と側副溝の間にあり、舌状回は側副溝後部と鳥距溝の間にあり、むしろ大部分は後頭葉に属する。)

Temporal pole(側頭極(大脳の))Polus temporalis そくとうきょく(だいのうの) Feneis: 304 16

[A14_1_09_137] →(大脳の側頭極は各大脳半球の側頭葉の前端で最も隆起している部分。外側溝のやや下方。)

Superior temporal gyrus(上側頭回)Gyrus temporalis superior じょうそくとうかい Feneis: 304 19

[A14_1_09_138] →(上側頭回は側頭葉の外側表面上にある矢状回で外側溝と上側頭溝の間にある。上側頭回の後部付近には感覚性言語中枢sensory speech center(ウェルニッケ中枢Wernicke's area)があり、これは聞いた言葉を理解する中枢であるという。一次聴覚野は聴覚の中枢で、側頭葉の上側頭回の上面(Brodmannの41野)にある。二次聴覚野は一次聴覚野の周囲(42、22野)にある。一次聴覚野で聞く音の意味はこの皮質領域で理解される。)

Temporal operculum(側頭弁蓋)Operculum temporale そくとうべんがい Feneis: 304 20

[A14_1_09_139] →(側頭弁蓋は上側頭回の島を被う部分。)

Transverse temporal gyri(横側頭回;ヘルシュ横回)Gyri temporales transversi おうそくとうかい;へるしゅおうかいHeschl's transverse convolutions Feneis: 304 18

[A14_1_09_140] →(ヘッシェル横回とも呼ばれる。上側頭回の背側面、つまり側頭葉の上部表面上にあって外側溝の底にかくれて横側頭回がある。横側頭回の内側部には皮質聴覚中枢(聴覚野)があり、その外側部から上側頭回の表面にかけて聴覚性連合野が広がる。Heschl, Richard (1854-1881) オーストリアの病理学者。グラーツ、ウェーン大学の教授を歴任。ヘッシュル横回(横側頭回)を記述、グラーツ時代に病理標本館を作る。論書は50篇以上になるが、特異なものにロキタンスキーの行った病理解剖法を著したものがある(「Sectionstechnik」, 1859)。)

Anterior tranverse temporal gyrus(前横側頭回)Gyrus temporalis transversus anterior ぜんおうそくとうかい [A14_1_09_141]

Posterior transverse temporal gyrus(後横側頭回;横側頭回後部)Gyrus temporalis transversus posterior こうおうそくとうかい;おうそくとうかいこうぶ[A14_1_09_142]

Temporal plane(側頭平面)Planum temporale そくとうへいめん

[A14_1_09_143] →(第一横側頭回の後方領域に著明な回転のない場合をいう。)

Transverse temporal sulcus(横側頭溝)Sulcus temporalis transversus おうそくとうこう Feneis: 304 17

[A14_1_09_144] →(横側頭溝は横側頭回の間の溝。側頭葉上面にある島の後極に向かう溝、通常3本。外側溝後枝の底にある。)

Superior temporal sulcus(上側頭溝)Sulcus temporalis superior じょうそくとうこう Feneis: 304 21

[A14_1_09_145] →(上側頭溝は上側頭回と中側頭回の間にある縦溝。)

Middle temporal sulcus(中側頭溝)Sulcus temporalis medius ちゅうそくとうこう

[A14_1_09_145_1]→中側頭溝は中側頭回と下側頭回との間にある溝。 P.N.A.のSulcus temporalis inferiorはJ.N.A.,B.N.A.のそれと全く異なるものを指し(本文参照)、したがってGyrus temporalis inferiorの範囲もP.N.A.のそれはJ.N.A., B.N.A.のそれよりも狭く、J.N.A., B.N.A.におけるGyrus temporalis inferiorの上半分を指すにすぎない。これはB.R.を参照もればあきらかであるが、また大脳半球の内側面と下面の項の語の配列によっても窺われる。しかしこのためにGyrus occipitotemporalis med.とlat.がP.N.A.とJ.N.A.とで異なるものを指すこととなり、簡単に言えばこのGyriの名称が1つずつ外側へずれたようになってしまったのには注意を要する。J.N.A.の使い方ではGyrus occipitotemporalis medialisはGyrus occipitotemporalis lateralisの内側というよりはむしろ後内側上方にあったが、P.N.A.によれば両者が平行して内側と外側に位することになり、却ってそのなにふさわしいものになった。

Middle temporal gyrus(中側頭回)Gyrus temporalis medius ちゅうそくとうかい Feneis: 304 22

[A14_1_09_146] →(中側頭回は側頭葉の外側表面上にある矢状回で上側頭溝と下側頭溝の間にある。側頭葉の外側表面には大脳回が横に3列に並んでいる。つまり中央の大脳回が中側頭回である。)

Inferior temporal sulcus(下側頭溝)Sulcus temporalis inferior かそくとうこう Feneis: 304 23

[A14_1_09_147] →(下側頭溝は中および下側頭回の間にあり側頭葉外側の最も下の溝。)

Inferior temporal gyrus(下側頭回)Gyrus temporalis inferior かそくとうかい Feneis: 304 24

[A14_1_09_148] →(下側頭回は大脳の側頭葉の下外側境界上にあり、下側頭溝により中側頭回から分けられる脳回。側頭葉の下部表面上において、後頭側頭溝により内側後頭側頭回から分離される。外側後頭側頭回を含む。)

Insula; Insular lobe(島;島葉)Insula lobus; Lobus insularis とう;とうようReil, Island of Feneis: 304 25

[A14_1_09_149] →(ライルの島とも呼ばれる。外側溝の深部にある大脳皮質で、その表面は前頭葉、頭頂葉および側頭葉によりおおわれている。島をおおっているこれらの大脳葉の部分を前頭弁蓋、前頭頭頂弁蓋、および側頭弁蓋という。すなわち、弁蓋は島をおおう外套部である。島の周囲は輪状溝により囲まれ、これにより弁蓋と境される。この溝は島の下端部では欠き、この部分を島限とよぶ。ほぼ胎生17週からこの部はその周囲が厚くなるため、陥没してその輪郭が明瞭になり、第19週ごろから前頭葉、側頭葉および頭頂葉の発達につれてしだいにこれらによっておおわれ、生後は全くかくれてしまう。このように島の表面には前頭葉、頭頂葉、および側頭葉の部分が延びて来て、外側溝後枝の上下唇をなし、島を被っている。島は後上方から前下方に走る島中心溝によって後方の1~2個の長回と前方の4~5個の短回に分かたれる。Reil, Johann Christian (1759-1813)オランダ人解剖学者。精神病理学者。大脳のライル島を記述(「Exercitationum anatomicarum fasciculus primus.etc」, 1796)、生体の生理学機能の、化学的表現としての生命力を提唱(「Von der Lebenskraft」, Arch. Physiol, (Halle), 1796, 1,8-162)。最初の生理学雑誌「Arch. Physiol.」と最初の精神病学雑誌「Magazin fur Nerven heilkundle」を刊行。)

Insular gyri(島回)Gyri insulae とうかい Feneis: 304 26

[A14_1_09_150] →(島の表面に5~6個ある。)

Long gyrus of insula; Postcentral insular gyrus(島長回;島中心後回)Gyrus longus insulae; Gyrus postcentralis insulae とうちょうかい;とうちゅうしんこうかい Feneis: 304 28

[A14_1_09_151] →(島長回は島回の島中心溝の後方にある1~2個をいう。)

Short gyri of insula; Precentral insular gyrus(島短回;島中心前回)Gyri breves insulae; Gyri precentralis insulae とうたんかい;とうちゅうしんぜんかい Feneis: 304 27

[A14_1_09_152] →(島短回は島回の島中心溝より前部の4~5個をいう。島の底部に向かって収斂している。)

Central sulcus of insula(島中心溝;中心溝(島の))Sulcus centralis insulae とうちゅうしんこう;ちゅうしんこう(とうの) Feneis: 304 30

[A14_1_09_153] →(島中心溝は島の中央を横断している短回と長回の間のやや深い脳溝。)

Circular sulcus of insula; Circular insular sulcus(島輪状溝;輪状溝)Sulcus circularis insulae とうりんじょうこう;りんじょうこう Feneis: 304 31

[A14_1_09_154] →(島輪状溝は島と上下および後ろで弁蓋の境界となる溝。島限で中断する。)

Limen insulae; Insular threshold(島限)Limen insulae とうげん Feneis: 304 29

[A14_1_09_155] →(島領域に到達する表面開口部を島限とよぶ。前有孔質へと集まる島表面の部分。この下に中大動脈がある。)

Medial and inferior surface of cerebral hemisphere(大脳半球の内側面と下面)Facies medialis et inferior hemispherii cerebri だいのうはんきゅうのないそくめんとかめん Feneis: 306 01

[A14_1_09_201] →(大脳半球の内側面と下面では、大脳葉の境界は明瞭ではないが、重要な構造が多数ある。大脳半球内側面では、脳の最大の交連線維である脳梁が特徴的である。)

Inferior surface of cerebral hemisphere(大脳半球の下面)Facies inferior hemispherii cerebri だいのうはんきゅうのかめん Feneis: 306 01

[A14_1_09_201_2] →(大脳半球の内側面と下面では、大脳葉の境界は明瞭ではないが、重要な構造が多数ある。大脳半球内側面では、脳の最大の交連線維である脳梁が特徴的である。)

Interlobar sulci.; Interlobar cerebral sulci(葉間溝)Sulci interlobares cerebri ようかんこう Feneis: 302 21

[A14_1_09_102] →(葉間溝は各葉をへだてる溝。したがって、中心溝、頭頂後頭溝および外側溝とその後枝。)

Sulcus of corpus callosum; Callosal sulcus(脳梁溝)Sulcus corporis callosi のうりょうこう Feneis: 306 02

[A14_1_09_202] →(脳梁溝は脳梁と帯状回の間にある溝で、脳梁に沿って走るから前頭葉からはじまり、頭頂葉にわたっている。)

Cingulate sulcus(帯状溝)Sulcus cinguli たいじょうこう Feneis: 306 05

[A14_1_09_203] →(帯状溝は大脳半球の内側面にある。脳梁溝と平行に走る溝で、前部は前頭下部で後方は縁部となり、この部はほぼ垂直に走って半球上縁をこえ、半球外側面にでる。)

Subfrontal part of cingulate sulcus(前頭下部(帯状溝の))Pars subfrontalis (Sulcus cinguli) ぜんとうかぶ(たいじょうこうの)

[A14_1_09_203_1]→

Marginal branch of cingulate sulcus; Marginal sulcus(縁枝;縁溝;辺縁部;縁部(帯状溝の))Ramus marginalis; Sulcus marginalis; Pars marginalis えんし;えんこう;へんえんぶ;えんぶ(たいじょうこうの)

[A14_1_09_204] →(帯状溝の辺縁枝は辺縁溝ともよばれる。辺縁溝は帯状溝が上方へ伸びて頭頂葉の上内側縁で終わるまでの後端部。)

Subparietal sulcus(頭頂下溝;前頭下部(帯状溝の))Sulcus subparietalis; Pars subfrontalis とうちょうかこう;ぜんとうかぶ Feneis: 306 06

[A14_1_09_205] →(頭頂下溝は帯状回の後部を上方および後方から境する溝。)

Parieto-occipital sulcus; *Occipitoparietal sulcus(頭頂後頭溝)Sulcus parietooccipitalis とうちょうこうとうこう Feneis: 306 10

[A14_1_09_108] →(頭頂後頭溝は頭頂葉楔前部と後頭葉楔部との境をつくる非常に深い垂直に走る溝。頭頂葉と後頭葉を分ける。)

Collateral sulcus(側副溝)Sulcus collateralis そくふくこう Feneis: 306 18

[A14_1_09_206] →(側副溝は側頭葉と後頭葉の底面にわたって縦走し、内側の海馬傍回と内側後頭側頭回と外側の外側後頭側頭回とを境する深い溝。側脳室の内面に側副隆起をつくる。側頭葉の側頭極からはじまり、海馬傍回と内側後頭側頭回の間にある溝。後頭葉まで達する。)

Central sulcus; Central cerebral sulcus(中心溝)Sulcus centralis cerebri ちゅうしんこうRolando, Fissure of, Sulcus of Feneis: 302 16

[A14_1_09_103] →(ローランド溝ともよばれる。中心溝は大脳半球の上縁から外側溝の方向に向かって下前方に走る明瞭な溝である。通常、この溝は2か所で屈曲し、上方では大脳半球の内側面までは伸びていない。この溝の深部が前頭葉と頭頂葉の境となっている。一般に、中心溝は外側溝(シルビウス裂)に達しないことが多く、内側面に入るとすぐに終わることで確認される。イタリアの解剖学者Luigi Rolando (1773-1831)による。)

Frontal lobe(前頭葉)Lobus frontalis ぜんとうよう Feneis: 302 22

[A14_1_09_110] →(前頭葉は中心溝の前、そして外側溝の上にある。前頭葉の上外側表面は3つの脳溝によって4つの脳回に分けられる。前頭葉には、1次運動野はBrodmannの脳区分でいうと領域4(中心前回から中心傍小葉)を中心に錐体外路系の中枢があり、身体の反対側の随意運動を起こす。Betzの巨大細胞が特徴的であるが、この細胞からの線維は皮質脊髄路の3%程である。運動前野(2次運動野)はBrodmannの領域6,8,44など(中心前回の前部から上・中・下前頭回後部)にある錐体外路系の運動中枢。この部は一次運動野の活動プログラム化に働き、障害されると習得した運動が障害される。通常の運動障害はなく、失行と呼ばれる。前頭眼野は中心前回で、顔面支配領域の前方に位置する(主に8野で6,9野の一部)。眼球や眼瞼の共同運動の中枢である。補足運動野は上前頭回内部に位置し、姿勢や運動開始と関係するらしい。運動性言語中枢はBrodmannの領域44,45(三角部)に位置する。Brocaの言語野ともいい、言語発声に必要な口・咽頭・喉頭の筋を統合支配する中枢で、運動野と連絡して発声運動を行うという。この部が障害されると意味のある言語を発声できなくなる運動失語が生じる。運動前野は大脳皮質の前頭葉の前方を広く占有している連合野である(Brodmannの9,10野)。前頭前野は脳の極めて広範囲から上方を集めて行動のプログラミングを行う。靴紐を結んだり、ボタンをかけるなどの学習・経験による複雑な組織化された運動の遂行と関係がある。背側運動前野は運動の企画や準備に対応し、腹側運動前野は物体を認知して動作へ変換する情報に変えるといわれる。)

Medial frontal gyrus(内側前頭回)Gyrus frontalis medialis ないそくぜんとうかい Feneis: 306 07

[A14_1_09_207] →(内側前頭回は上前頭回のうち前頭葉内側面にかぶさるようになっている部分があるとき、それをこのようによぶ。下方は帯状回で境される。)

Paracentral sulcus(中心傍溝)Sulcus paracentralis ちゅうしんぼうこう

[A14_1_09_208] →(中心傍溝は大脳半球内側面にある脳溝で、帯状溝の分枝とみなされており、前中心傍回と上前頭回の内側部の間にある。)

Paracentral lobule(中心傍小葉)Lobulus paracentralis ちゅうしんぼうしょうよう Feneis: 306 08

[A14_1_09_209] →(中心傍小葉は中心前回と中心後回との大脳半球の内側面への延長部で形成され、中心溝による切れ込みがある。前は前中心溝により、後ろは帯状溝縁部によって境される。前中心傍回と後中心傍回とからなる。)

Anterior paracentrall gyrus(前中心傍回;前傍中心回)Gyrus paracentralis anterior ぜんちゅうしんぼうかく;ちゅうしんぼうちゅうしんぼうかい

[A14_1_09_210] →(前中心傍回は中心傍回の前部で運動中枢である中心前回の内側への続きで、大腿、下腿、足の支配域にあたる。)

Central sulcus; Central cerebral sulcus(中心溝)Sulcus centralis cerebri ちゅうしんこうRoland, Fissure of, Sulcus of Feneis: 302 16

[A14_1_09_103] →(ローランド溝ともよばれる。中心溝は大脳半球の上縁から外側溝の方向に向かって下前方に走る明瞭な溝である。通常、この溝は2か所で屈曲し、上方では大脳半球の内側面までは伸びていない。この溝の深部が前頭葉と頭頂葉の境となっている。一般に、中心溝は外側溝(シルビウス裂)に達しないことが多く、内側面に入るとすぐに終わることで確認される。イタリアの解剖学者Luigi Rolando (1773-1831)による。)

Subcallosal area; Subcallosal gyrus(梁下野)Area subcallosa りょうかや Feneis: 308 04

[A14_1_09_211] →(梁下野は終板と大脳前交連のすぐ前にある垂直の白色帯。名前とは対称的に、皮質回でなく、透明中隔の下面の連続である。終板のすぐ吻側に組織の細い稜がみられるが、ときに梁下野の一部と見なされて終板傍回と呼ばれることがある。)

Paraterminal gyrus(終板傍回;梁下回)Gyrus paraterminalis; Gyrus subcallosus しゅうばんぼうかい;りょうかかい Feneis: 308 05

[A14_1_09_212] →(終板傍回は前頭葉の内側面では梁下野のすぐ後方にあり、後方は終板で限界されるが、下面では前有孔質の後方に接するようになる。この部は特に対角回として区別される。)

Paraolfactory area(嗅傍野)Area paraolfactoria; Area adolfactoria きゅうぼうや

[A14_1_09_213] →(嗅傍野と梁下野は多くの成書で同義として扱われていたが、梁下野は正式には皮質回ではなく、透明中隔の下面の連続である。TAにおいて梁下野(梁下回)と皮質回に相当する嗅傍野(嗅傍回)を区別している。大脳半球の内側面で脳梁膝の下、終板傍回(海馬の最前部に相当すると考えられている)のすぐ前方にある小部分である。解剖学の成書などではParolfactoryの単語をもちいている。)

Paraolfactory gyri(嗅傍回)Gyri paraolfactorii きゅうぼうかい

[A14_1_09_214] →(嗅傍回は嗅傍野における皮質回である。解剖学の成書などではparolfactoryの単語を用いている。)

Paraolfactory sulci(嗅傍溝)Sulci paraolfactorii きゅうぼうこう

[A14_1_09_215] →(嗅傍溝は嗅傍野にみられる小溝群で終板のすぐ吻側にある。しばしば前群(前嗅傍溝anterior par(a)olfactory sulcus)と後群(後嗅傍溝Posterior par(a)olfactory sulcus)に分かれる。解剖学の成書などではParolfactoryの単語を用いている。)

Anterior paraolfactory sulcus(前嗅傍溝)Sulcus paraolfactorius anterior; Sulcus adolfactorius anterior ぜんきゅうぼうこう

[A14_1_09_215_1]→前嗅傍溝は梁下野(嗅傍回)の前縁をつくる溝。

Posterior paraolfactory sulcus(後嗅傍溝)Sulcus paraolfactorius posterior; Sulcus adolfactorius posterior こうきゅうぼうこう

[A14_1_09_215_2]→後嗅傍溝は終板傍回と梁下野(嗅傍回)とを区切る半球内側面にある浅い溝。

Orbital gyri(眼窩回)Gyrus orbitales がんかかい Feneis: 306 25

[A14_1_09_216] →(眼窩回は嗅溝と眼窩溝の間、および不規則な眼窩溝にできる多数の不規則な小回をいう。眼窩回は横眼窩回(Gyrus orbitalis transversus)、内側眼窩回(Gyrus orbitalis medialis)、中間眼窩回(Gyrus orbitalis intermedius)、外側眼窩回(Gyrus orbitalis lateralis)に細分される。)

Orbital sulci(眼窩溝)Sulci orbitales がんかこう Feneis: 306 26

[A14_1_09_217] →(眼窩溝は眼窩面みられる不規則な溝である。これらの脳溝によってはさまれる脳回に直回、眼窩回がある。)

Straight gyrus(直回)Gyrus rectus ちょくかい Feneis: 306 23

[A14_1_09_218] →(直回は大脳縦裂と嗅溝との間に成立する長い脳回。外側部は嗅溝と隣接する。)

Olfactory sulcus(嗅溝)Sulcus olfactorius きゅうこう Feneis: 306 24

[A14_1_09_219] →(嗅溝は大脳縦裂に最も近く、これと並行して走る溝。直回と眼窩回とを区分しており、嗅球と嗅索が収まる。)

Lateral olfactory gyrus(外側嗅回)Gyrus olfactorius lateralis がいそくきゅうかい Feneis: 306 31

[A14_1_09_220] →(外側嗅回は外側嗅条に隣接する細胞の表層部で、嗅覚の鈍い動物では発達が悪くヒトでは内側嗅回と外側嗅回を区別することができない。嗅覚の鋭い動物では発達がよい。)

Medial olfactory gyrus(内側嗅回)Gyrus olfactorius medialis ないそくきゅうかい Feneis: 306 31

[A14_1_09_221] →(内側嗅回は嗅条の続きとしてつくられる。内側及び外側嗅回はヒトでは発育が悪く、2嗅回を区別することはできない。外側嗅条の周囲にみられる)

Parietal lobe(頭頂葉)Lobus parietalis とうちょうよう Feneis: 304 01

[A14_1_09_123] →(発生と区分:胎生初期の脳は表面がなめらかで、発達にしたがって大脳溝と大脳回が順次形成されてくる。胎生4ヶ月から8ヶ月の間に出現する脳溝が、いわゆる第1次脳溝で、変異の少ない脳溝である。大脳半球外側面では外側溝 (Sylvius裂)、中心溝 (Rolando溝)、頭頂間溝、上側頭溝などの第1次脳溝が確認できる。外側溝(大脳外側窩)は、胎生4ヶ月頃大脳半球の外側部に陥凹として出現する脳溝であり、後部は縁上回に達している。外側溝の腹側域を側頭葉と呼ぶ。中心溝は胎生6ヶ月頃出現し、この溝により頭頂葉は前頭葉から区別される。頭頂葉の後方部は、半球内側面からのびて一部外側面にも現れている頭頂後頭溝によって後頭葉と境される。このように頭頂葉は、肉眼的には、前方は中心溝、後方は頭頂後頭溝と後頭前切痕を結ぶ仮想の線により境界されるが、腹外側方での側頭葉後部との境界は不明瞭である。このように第1次脳溝を基準にして大脳皮質は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に区分される。Brodmann(1909)はニッスル標本を用いてヒトの皮質を約50の領域に区分した。現在、皮質領野を区分する標準として広く臨床医学の場で用いられている。大脳皮質全体、層ごとの細胞の大きさや形、分布とその数(密集度)、層の幅、垂直方向における細胞の分布状態や特別な形の細胞の存在など、これらの相違を基礎にして分類したものである。これらの境界の多くが必ずしも脳溝と一致していないが、この形態上の区分が皮質の機能局在と密接な関係にある。Brodmannによる大脳皮質の細胞構築学的区分にしたがえば、頭頂葉外側面では領域3,1,2(中心後回)、領域5,7(上頭頂小葉)、領域39(角回)、領域40(縁上回)に相当する。なお、内側面では領域3,1,2,5(中心傍小葉の後部)、領域7(楔前部)に相当し、中古皮質に属する帯状回(領域31の一部)に接している。)

Paracentral lobule; *Paracentral gyrus(中心傍小葉;中心傍回)Lobulus paracentralis ちゅうしんぼうしょうよう;ちゅうしんぼうかい Feneis: 306 08

[A14_1_09_209] →(特別な小葉で、中心前回と中心後回を結が鈎状に結ぶ。)

Posterior paracentral gyrus(後中心傍回)Gyrus paracentralis posterior こうちゅうしんぼうかい

[A14_1_09_222] →(後中心傍回は中心傍小葉の後部で一次感覚中枢である中心後回の内側への続きで、大腿、下腿、足からの感覚を受ける。)

Precuneus(楔前部)Precuneus けつぜんぶ Feneis: 306 09

[A14_1_09_223] →(楔前部はその形から四角葉などとも呼ばれる。楔前部の前部は、上方に屈曲した帯状回の後部によって境され、後部は頭頂後頭溝によって境されている。)

Subparietal sulcus(頭頂下溝)Sulcus subparietalis とうちょうかこう Feneis: 306 06

[A14_1_09_205] →(頭頂下溝は帯状回後部の上縁をつくる溝で、帯状回の後部を上方および後方から境する。)

Parieto-occipital sulcus; *Occipitoparietal sulcus(頭頂後頭溝)Sulcus parietooccipitalis とうちょうこうとうこう Feneis: 306 10

[A14_1_09_108] →(頭頂後頭溝は楔前部の前部と後頭葉基部部との境をつくる溝。上方は屈曲した帯状回の後部によって境される。)

Marginal branch of parieto-occipital sulcus; Marginal sulcus(縁枝;縁溝(帯状溝の);辺縁枝(頭頂後頭溝の))Ramus marginalis; Sulcus marginalis えんし;えんこう(たいじょうこうの);へんえんし(とうちょうこうとうこうの)

[A14_1_09_204] →(頭頂後頭溝の辺縁枝は頭頂後頭溝が大脳の後内側縁を越えるところから分岐する細い溝。)

Occipital lobe(後頭葉)Lobus occipitalis こうとうよう Feneis: 304 10

[A14_1_09_132] →(大脳半球の後方に存在し頭頂葉および側頭葉の後方に続き、上外側面ではこれらとは明瞭な境界はない。しかし大脳半球内側面では頭頂後頭溝により頭頂葉と明確に区分される。頭頂間溝の後端にほぼ横に走る小溝、すなわち横後頭溝がある。上外側面における溝および回は一般に不規則で、これらを上および外側後頭溝ならびに、上および外側後頭回と呼ぶ。外側後頭溝の後部はしばしば前方に凸部を向けた弓状を呈し、前部の溝と叉状に交わる。この弓状の溝は月状溝または猿裂と呼ばれる。しかしサルの月状溝はヒトの月状溝、頭頂後頭溝および横後頭溝の連続したものと考えられる。)

Cuneus(楔部)Cuneus けつぶ Feneis: 306 11

[A14_1_09_224] →(楔部は左右の大脳半球の後頭葉の内側面にある。三角形をしていて、前方は頭頂後頭溝によって、下方は鳥距溝によって、そして後方は大脳半球内側面の上縁によって境されている。)

Calcarine sulcus; Calcarine fissure(鳥距溝)Sulcus calcarinus ちょうきょこう Feneis: 306 12

[A14_1_09_225] →(鳥距溝は大脳半球の内側面で、後頭極の近くから前方に向かってほぼ水平に走る深い溝である。前端で頭頂後頭溝に合する。一次視覚野は視覚中枢で、後頭葉の内側面において、鳥距溝の両側(Brodmannの17野)にある。視床の外側膝状体からの線維が視放線をつくってここに達する。視覚野の皮質は他の皮質部に比べて薄く(約1.5mm)、皮質内に表面に平行に走る有髄線維束(ジェンナリ線Gennari's strai or line)が発達し、これが肉眼的に認められるので有線野area striataといわれる。一側の視覚野には、同側の網膜耳側半部と反対側の網膜尾側半部とからの入力が復元される。また、網膜の上半分は鳥距溝の上方に、網膜の下半分は鳥距溝の下方に復元される。黄斑(網膜の後端で、視覚が最も鋭い部)は視覚野(17野)の後約3分の1部を占める広い領域に復元される。)

Lingual gyrus(舌状回)Gyrus lingualis ぜつじょうかい Feneis: 306 17

[A14_1_09_226] →(紡錘状回と舌状回をそれぞれ外側後頭側頭回、内側後頭側頭回としている成書もあるが、ここでは紡錘状回を内側後頭側頭回とし、舌状回を海馬傍回の後頭方向へのつづきと定義する。つまり、外側後頭側頭回は側頭葉下縁で切れ目なく下側頭回へ移行することになる。舌状回は大脳の内側で側頭葉と後頭葉の境界領域で、水平に走る比較的短い回。深い側副溝により紡錘状回 fusiform gyrusから区切られ、また鳥距溝により楔部から分けられている。その前端は海馬傍回の峡に隣接する。鳥距溝の下縁を形成する回の虫部と上部の帯は、有線領(一次視覚領)の下半分に対応し、両眼視の際、視覚野の反対側の上部4分の1を占める。)

Lateral occipitotemporal gyrus(外側後頭側頭回(後頭葉の))Gyrus occipitotemporalis lateralis がいそくこうとうそくとうかい(こうとうようの) Feneis: 306 22

[A14_1_09_227] →(紡錘状回fusiform gyrusとも呼ばれる。外側後頭側頭回は下縁(下外側縁)を縦に伸びる非常に長い脳回である。内側は側副溝により舌状回と海馬傍回の前部から、また外側は下側頭溝により下側頭下から区切られている。)

Medial occipitotemporal gyrus(内側後頭側頭回)Gyrus occipitotemporalis medialis ないそくこうとうそくとうかい Feneis: 306 20

[A14_1_09_228] →(内側後頭側頭回は後頭極から側頭極まで延びている。この脳回の内側縁は側副溝と嗅溝によって境され、外側縁は後頭側頭溝によって境されている。)

Occipitotemporal sulcus(後頭側頭溝)Sulcus occipitotemporalis こうとうそくとうこう Feneis: 306 21

[A14_1_09_229] →(後頭側頭溝は内側および外側後頭側回の間の溝で、長くて側副溝とほぼ平行に走る。)

Parieto-occipital sulcus; *Occipitoparietal sulcus(頭頂後頭溝)Sulcus parietooccipitalis とうちょうこうとうこう Feneis: 306 10

[A14_1_09_108] →(頭頂後頭溝は頭頂葉の楔前部と後頭葉の楔部との境界で、大脳皮質内側面にある。非常に深い、ほぼ垂直に走る裂。その下部は前方に曲がり鳥距溝の前部と合する。この結合した溝はきわめて深いので、側脳室後頭角の内側壁に膨隆、すなわち鳥距ができる。)

Temporal lobe(側頭葉)Lobus temporalis そくとうよう Feneis: 304 15

[A14_1_09_136] →(側頭葉は外側溝より下方にある部分で、上外側面から下面におよび、後方は後頭葉および頭頂葉に移行する。上外側面では溝としては前後に走る上および下側頭溝があり、これらによって上、中および下側頭回が区画される。上側頭回の背側面で外側溝にかくれた部分には3本の横側頭溝があり、これらにより区別される二つの横側頭回(Heschl)がある。ここに聴覚野がある。これらの大部分は側頭葉下面皮質とともに連合中枢(側頭連合野)と目される。優位半球(主に左脳)の上側頭回の後部から角回にかけて感覚性言語中枢(Wernicke野)があるとされる。側頭葉下面では溝として前後に走る後頭側頭溝およびその内側をほぼこれと平行に走る側副溝がある。また側副溝の前方の延長部には浅い嗅脳溝がある。これは海馬傍回の前部と側頭葉の残部とを境する。回としては外側後頭側頭回は大脳上外側面における下側頭回が下面へ直接移行したもので、これらの両回の間を境する溝はない。内側後頭側頭回は後頭側頭溝と側副溝の間にあり、舌状回は側副溝後部と鳥距溝の間にあり、むしろ大部分は後頭葉に属する。)

Collateral sulcus(側副溝)Sulcus collateralis そくふくこう Feneis: 306 18

[A14_1_09_206] →(側副溝は側頭葉の下面にある長く深い矢状溝で側頭極からはじまり、海馬傍回と内側後頭側頭回の間にある溝。後頭葉まで達する。)

Medial occipitotemporal gyrus(内側後頭側頭回)Gyrus occipitotemporalis medialis ないそくこうとうそくとうかい Feneis: 306 20

[A14_1_09_228] →(内側後頭側頭回は後頭極から側頭極まで延びている。この脳回の内側縁は側副溝と嗅溝によって境され、外側縁は後頭側頭溝によって境されている。)

Occipitotemporal sulcus(後頭側頭溝)Sulcus occipitotemporalis こうとうそくとうこう Feneis: 306 21

[A14_1_09_229] →(内側および外側後頭側回の間の溝で、長くて側副溝とほぼ平行に走る。)

Lateral occipitotemporal gyrus(外側後頭側頭回(側頭葉の))Gyrus occipitotemporalis lateralis がいそくこうとうそくとうかい(そくとうようの) Feneis: 306 22

[A14_1_09_227] →(外側後頭側頭回は成書では紡錘状回(fusiform gyrus)と呼んでいるものもある。ここでは後頭側頭溝の外側にある回で、側頭葉下縁では切れ目無く下側頭回へ移行する。側頭葉から後頭葉にかけて、その下縁を縦にのびる非常に長い脳回。内側は側副溝により舌状回と海馬傍回の前部から、また外側面では下側頭溝により下側頭回から区切られている。)

Inferior temporal sulcus(下側頭溝)Sulcus temporalis inferior かそくとうこう Feneis: 304 23

[A14_1_09_147] →(下側頭溝は中および下側頭回の間にあり側頭葉外側の最も下の溝。)

Inferior temporal gyrus(下側頭回)Gyrus temporalis inferior かそくとうかい Feneis: 304 24

[A14_1_09_148] →(下側頭回は大脳の側頭葉の下外側境界上にあり、下側頭溝により中側頭回から分けられる脳回。側頭葉の下部表面上において、後頭側頭溝により内側後頭側頭回から分離される。外側後頭側頭回を含む。)

Limbic lobe(辺縁葉)Lobus limbicus へんえんよう

[A14_1_09_230] →(辺縁葉は原始皮質archicortex(海馬体)、古皮質paleocortex(海馬傍回の前部の梨状葉皮質)と、異種(不等)皮質隣接部juxtallocortexまたは中間皮質mesocortex(帯状回)からなる。辺縁葉の著しい特徴は系統発生上古く、肉眼的にも顕微鏡的にもある種の定常性をもつことである。これらいろいろの皮質部位がどのような範囲で機能単位を構成するかはわかっていない。この領域は以前は嗅覚と関係があるので、以前は嗅脳と呼ばれていたが、実際には嗅覚と関係しているのはこの領域のほんの一部に過ぎない。Papezの回路:交連後脳弓は辺縁葉の内側輪および外側輪とともに一つの系を形成している。Papezの回路である。Papezはこの回路を管状の構造的要件の一つと推測した。Papezの考えた回路は次のようである。「海馬-交連後脳弓-乳頭体-乳頭体視床路-視床前核-視床帯状回投射-帯状回-帯状束-海馬」。1.帯状束の中を海馬に向かって走る神経線維は前海馬台に終止する。前海馬台からは多数の投射線維が起こり、内嗅領へ入る内嗅領からは貫通路が起こり海馬体に入るから、前海馬台から内嗅領への投射線維によってPapezの回路が閉じることになるのであるが、海馬体群自体からも交連後脳弓にはいる神経線維が起こる。2.海馬から視床への投射系路には、乳頭体を介する間接的な経路のほかに、直接投射も存在する。3.Papezの回路の構成要素のうち、帯状回の位置づけに関しては問題がある。視床前核からの投射線維は帯状回の全域に分布するが、量的には多いものではないという報告がある。帯状回の最吻側部(32野)と尾側部(23野)は内嗅領皮質と海馬体群に投射するが、これらの投射線維もそれほど多いものではない。さらに帯状回は、本来、広く新皮質の緒野との間に相互的な連絡系を持つ領域であると考えられる。一方、視床前核は多数の投射線維を帯状束に送るが、これらの神経線維の多くは海馬体群に直接投射する。以上のような所見からみて、帯状回は大脳辺縁系というより、本来はむしろ新皮質の一部と考えるべきであり、Papezの回路の中軸は海馬体群、乳頭体、視床前核、、およびこれらの領域間を連絡する神経線維系から成るとする見解がある。さらに、Papezの回路の構成要素から乳頭体を除く見解もある。)

Cingulate sulcus(帯状溝)Sulcus cinguli たいじょうこう Feneis: 306 05

[A14_1_09_203] →(帯状溝は脳梁溝と平行に走る溝で、前部は前頭下部で後方は縁部となり、この部はほぼ垂直に走って半球上縁をこえ、半球外側面にでる。)

Cingulate gyrus(帯状回)Gyrus cinguli たいじょうかい Feneis: 306 03

[A14_1_09_231] →(帯状回は脳梁の前端から始まり、脳梁の上を回って、その後端まで達する。帯状回と脳梁の間には脳梁溝があり、帯状回と上前頭回との間には帯状溝がある。脳梁後部で海馬傍回と連続し、弓状回(fornicate gyrus)を形成する。)

Isthmus of cingulate gyrus(帯状回峡;脳弓回峡)Isthmus gyri cinguli; Isthmus gyri fornicati たいじょうかいきょう;のうきゅうかいきょう Feneis: 306 04

[A14_1_09_232] →(帯状回峡は頭頂後頭溝と鳥距溝の前方への伸展により、脳梁膨大の後下方で帯状回が狭くなり海馬傍回に移行する狭くて細い部分である。)

Fasciolar gyrus(小帯回)Gyrus fasciolaris しょうたいかい Feneis: 308 18

[A14_1_09_233] →(小帯回は脳梁膨大を取り囲む、灰白質層も含んだ縦条と歯状回との間の結合。)

Parahippocampal gyrus; Hippocampal gyrus(海馬傍回;海馬回)Gyrus parahippocampalis; Gyrus hippocampi かいばぼうかい;かいばかい Feneis: 306 15

[A14_1_09_234] →(海馬傍回は海馬溝の下方、側副溝との間に大きな回である。海馬傍回の皮質の細胞構築は海馬台前部から順次海馬台、前海馬台を経て海馬体、歯状回にいたる間に次第に6層から3層構造に移り変わる。嗅内領(28野)は6層構造の皮質であるが、より内側ではある層が脱落して再構成が行われる。海馬体皮質には基本的な多形細胞層、錐体細胞層、分子層よりなる3層構造がある。これらの細胞の軸索、樹状突起の配列によりいくつかの層が二次的にできる。錐体細胞の軸索は海馬白板に投射し脳弓の海馬采となる。)

Uncus(鈎)Uncus こう Feneis: 306 16

[A14_1_09_235] →(鈎は海馬傍回の前端で、側頭葉底内側面に鈎でかかったようになっているところ。その前面は嗅皮質に、腹側面は内嗅野(entorhinal area)にそれぞれ相当する。深部には扁桃体がある。)

Hippocampal sulcus; *Hippocampal fissure(海馬溝)Sulcus hippocampalis かいばこう Feneis: 306 14

[A14_1_09_236] →(海馬溝は浅い脳溝で、アンモン角と歯状回の間で海馬内へ深く入り込んだ裂隙が、胎児育成期に閉塞されて出来た遺残。海馬傍回および歯状回の間にある。前方は鈎に接する。)

Dentate gyrus; Fascia dentata(歯状回)Gyrus dentatus; Fascia dentata しじょうかい Feneis: 306 13

[A14_1_09_237] →(歯状回は海馬を構成する2つの脳回のうちの1つで、もう一つはAmmon角である。多数の刻み目により歯のようにみえる灰白質からなる弓状の回。小帯回の下方のつづきであり、鈎の内側面に達し、海馬と海馬傍回の間にある。 海馬と同様に歯状回も3層からなる。すなわち分子層、顆粒層、多形細胞層である。これらの層は“U”字あるいは“V”字形となって、開いている部分が海馬采の方を向く。歯状回の分子層は海馬溝の深部で海馬の分子層と連続する。顆粒層は球状や卵形の細胞がぎっしりと並び、そこからでる軸索は多形細胞層を通り抜けて海馬の錐体細胞の樹状突起は主として分子層に入り込んでいる。多形細胞層には錐体細胞の変形や、いわゆる籠細胞など数種類の型が見られる。歯状回から海馬体を越えて出ていく線維はない。海馬体の働きに関係して、組織化学的研究が手掛かりをもたらした。中隔-海馬投射はアセチルコリン分解酵素(AChE)と、コリンアセチル転移酵素(ChAT)陽性の線維を含んでいる。海馬体へのノルアドレナリン性支配は青斑核から起始し、中隔領域を経由して投射する。エンケファリン様免疫反応陽性の軸索は歯状回門から出て、苔状線維として海馬錐体細胞の尖頭樹状突起の近位部に終止する。同じくエンケファリン含有軸索線維の第2グループは、嗅内野皮質の外側部から海馬に「貫通線維」として入ってくる。海馬体の線維連絡を解剖学的に調べてみると、嗅覚性入力をうけていて、その大部分が効果器であることを示唆している。主な求心性線維はそれ自身直接嗅覚線維を受けていない梨状葉の一部である嗅内野から起こっている。嗅内野(28野)からの線維は歯状回と海馬の後部全般に分布する。このうち内側部分から起こる線維はいわゆる海馬白板線維線維を通り、海馬の側脳室に面している側から入る。一方、嗅内野皮質外側部分からの線維は、いわゆる貫通線維を形成して海馬台を通る。これら両者は海馬、歯状回の境界部以外のすべての海馬の区域に分布している。その他、海馬台への入力には海馬采を経由する内側中隔核からの投射線維がある。帯状回から前海馬台と嗅内野皮質への投射は帯状束を経由するが、これは海馬台には入らない。嗅内野皮質は海馬へ投射するので、帯状回皮質からのインパルスは結局海馬に中継されることになる。)

Fimbrodentate sulcus(海馬采歯状回溝;采歯状回溝)Sulcus fimbriodentatus かいばさいしじょうかいこう;さいしじょうかいこう

[A14_1_09_238] →(海馬采歯状回溝は海馬采と歯状回との間にある浅い溝。)

Fimbria of hippocampus(海馬采)Fimbria hippocampi かいばさい Feneis: 310 19

[A14_1_09_239] →(海馬采は白線維質の狭く鋭い縁をした釆状構造で、海馬白板と連続して、海馬の内側縁にある。脳弓脚に続いて前下方に海馬の内側部と癒着しつつ走って海馬傍回の鈎に至る。脳弓は主として海馬、海馬台などから出て海馬白板を通って脳弓に入り、乳頭体などに至る海馬乳頭路からなる。成書によっては脳弓脚よりの海馬采を脳弓采として区別しているものもある。)

Collateral sulcus(側副溝)Sulcus collateralis そくふくこう Feneis: 306 18

[A14_1_09_206] →(側副溝は側頭葉の側頭極からはじまり、海馬傍回と内側後頭側頭回の間にある長く深い矢状溝。後頭葉まで達する。側副溝の最深部は側脳室の後頭角および下角の床に膨隆、すなわち側副隆起をつくる。)

Rhinal sulcus(嗅脳溝)Sulcus rhinalis きゅうのうこう Feneis: 306 19

[A14_1_09_240] →(嗅脳溝は側副溝の続きで、前方は鈎の内側に当たり、後方は脳梁溝に続く。側副溝が不連続の場合、前端の溝をいう。外套の古い溝の1つで新皮質と不等皮質(嗅野)との境界をなしている。)

Corpus callosum(脳梁)Corpus callosum のうりょう Feneis: 308 06

[A14_1_09_241] →(脳梁は左右の大脳皮質、ことに新皮質を結合する線維の集合したもので、系統発生的には最も新しく、ヒトでは非常に発育がよい。その前後経はほぼ7.7cmである。脳梁は正中断では全体としては釣針状で、4つの部分が区別される。後端部は膨大し、脳梁膨大といい、その前方に続いて水平に走る部分を脳梁幹とよぶ脳梁はその前端では強く屈曲し、脳梁膝をつくる。これはさらに後下方にくちばしのように尖って脳梁吻となり、しだいに薄くなって終板に続く。)

Rostrum of corpus callosum; Beak of corpus callosum(脳梁吻)Rostrum corporis callosi のうりょうふん Feneis: 308 10

[A14_1_09_242] →(脳梁吻は脳梁膝から後方屈曲して終板へ移行する脳梁の前端。)

Transversal striae(横条(脳梁の))Striae transversae おうじょう(のうりょうの)

[A14_1_09_242_1]→

Rostral lamina(吻側板)Lamina rostralis ふんそくばん

[A14_1_09_242_2]→

Genu of corpus callosum(脳梁膝)Genu corporis callosi のうりょうしつ Feneis: 308 09

[A14_1_09_243] →(脳梁膝は脳梁の前端部で下方と後方にひだを形成し脳梁吻で終わる。線維は前方に向かって走り、前頭葉に放散している(小鉗子)。)

Trunk of corpus callosum; Body of corpus callosum(脳梁幹;脳梁体)Truncus corporis callosi のうりょうかん;のうりょうたい Feneis: 308 08

[A14_1_09_244] →(脳梁幹は脳梁膨大と脳梁膝の間の主に脳梁の弓状部分。)

Splenium of corpus callosum(脳梁膨大)Splenium corporis callosi のうりょうぼうだい Feneis: 308 07

[A14_1_09_245] →(脳梁膨大は脳梁幹の後端は著しく膨大化し、松果体と蓋板とを上方から被っている。膨大部と中脳との間の大脳横裂からは脳軟膜が進入し、脈絡組織を形成する。)

Indusium griseum(灰白層(脳梁の))Indusium griseum かいはくそう(のうりょうの) Feneis: 308 15

[A14_1_09_246] →(脳梁灰白層は脳梁上面にある薄い灰白質層で、その中を内側および外側縦条が走っている。灰白層は海馬が退化したものであって、後方には、脳梁膨大を回って小帯回または灰白小束へ続く。この細い脳回は、ここから海馬の歯状回または歯状膜へつながる。)

Lateral longitudinal stria(外側縦条)Stria longitudinalis lateralis がいそくじゅうじょう Feneis: 308 17

[A14_1_09_247] →(外側縦条は帯状回の両外側縁の近くで、灰白質を伴って前後に走る細い縦条。嗅脳の一部。)

Medial longitudinal stria(内側縦条)Stria longitudinalis medialis ないそくじゅうじょうLancisi, Stria of Feneis: 308 16

[A14_1_09_248] →(内側縦条は脳梁幹の表面で正中線の両端を、灰白質を伴って前後に走る細長い縦条。外側縦条とともに脳梁幹背面の灰白質を一部すなわち灰白質層、海馬の痕跡を形成する。嗅脳の一部。)

Radiation of corpus callosum(脳梁放線)Radiatio corporis callosi のうりょうほうせん Feneis: 308 11, 312 19

[A14_1_09_249] →(脳梁放線は左右の大脳半球の半卵円中心に放射する脳梁の線維群。脳梁の線維群は大脳縦裂の床に当たる部位を横断し、側脳室の天井の大部分を形成しており、種々の皮質領域に分布する時、豊富な脳梁放線として扇状に広がる。)

Minor forceps; Frontal forceps; Anterior forceps(小鉗子;前頭鉗子)Forceps minor; Forceps frontalis しょうかんし;ぜんとうかんし Feneis: 308 12

[A14_1_09_250] →(小鉗子は脳梁放線線維の前方部分でU字形をして脳梁膝を通り、左右の後部前頭葉の連絡をおこなう。)

Major forceps; Occipital forceps(大鉗子;後頭鉗子)Forceps major; Forceps occipitalis だいかんし;こうとうかんし Feneis: 308 13

[A14_1_09_251] →(大鉗子は脳梁放線線維の後方部分で、脳梁膨大の中をU字形に走る線維。後部後頭葉の連絡をおこなう。)

Tapetum(壁板;壁紙)Tapetum へきばん;へきし Feneis: 308 14

[A14_1_09_252] →(壁板は脳梁膨大より後下方に走る線維で、側脳室下角の背外側壁及び後角の背側壁、外側壁を作る脳梁線維をいう。)

 

Lamina terminalis(終板)Lamina terminalis しゅうばん Feneis: 308 19

[A14_1_08_419] →(終板は広義の第三脳室の吻側壁を形成する、三角形をした薄い膜状の組織であり、前交連から視交叉にかけての正中部にみられる。終板の尾側面は上衣細胞に被われており、吻側面は脳軟膜でおおわれ、さらにそのすぐ吻側には前交通動脈が通っている。組織学的にみると終板は外層と内層に分けられ、内層は主として神経膠細胞の突起で出来ている。)

Vascular organ of lamina terminalis(終板血管器官;終板脈管器官)Organum vasculosum laminae terminalis しゅうばんけっかんきかん;しゅうばんみゃくかんきかん

[A14_1_08_940] →(終板の血管器間は多数の血管が叢状になったものであり、この血管叢は表層の毛様血管網と深層の毛様血管網に分けられる。表層の毛細血管網には前交通動脈から血液が流れ込む。この血液は深層の毛細血管網に運ばれ、次いで大脳静脈に移る。血管器肝の毛細血管壁(内皮細胞)には多数の小孔がみられる。)

Anterior commissure (of diencephalon)(前交連(間脳の))Commissura anterior ぜんこうれん(かんのうの) Feneis: 308 20

[A14_1_08_421] →(間脳の前交連は第三脳室の前壁をつくる終板の後ろにある横走線維束である。小さくて左右の嗅球を連結する前部と、左右の側頭葉を連結する大きな後部からなる。)

Anterior part of anterior commissure(前部(前交連の))Pars anterior commissurae anterioris ぜんぶ(ぜんこうれんの)

[A14_1_09_253] →(前交連の前部は小線維束で、左右の両側の嗅脳系を結ぶ。)

Posterior part of anterior commissure(後部(前交連の))Pars posterior commissurae anterioris こうぶ(ぜんこうれんの)

[A14_1_09_254] →(前交連の後部は大きな線維束で、左右両側の側頭葉に連絡する。)

Fornix cerebrae(脳弓)Fornix のうきゅう Feneis: 308 21

[A14_1_09_255] →(脳弓は白い線維が帯状になった海馬体の主要な遠心性線維系を構成する。この中には投射線維と交連線維の両者が含まれる。これは海馬台皮質(海馬台前部、海馬台、前海馬台)と海馬の大錐体細胞の軸索からなり、海馬白質として側脳室表面に広がり、それらがまとまって海馬采を形成する。両側の海馬采は後方へ進むにつれて太くなり、海馬の後端に至って脳梁膨大の下を脳弓脚となって子を描いて上がると同時に両側の物が互いに近付いてくる。このあたりで多数の線維が反対側の脳弓に入る。すなわち交叉線維が薄く板状に広がって脳弓交連(海馬交連、または脳琴psalterium)を形成するがヒトでは発達が悪い。両側の脚は合して脳弓体となり脳梁の直下を前方に視床の吻側端まで行き、ここで再び線維束が左右に分かれ脳弓の前柱として室間孔から前交連の後ろまで腹方に曲がる。神経線維が薄い帯状になった海馬采は脳弓のほぼ全経過にわたって外側に位置しているが、吻側では脳弓の本体である脳弓前柱の中に混ざってしまう。脳弓線維の最大部分は前交連の尾側を交連後脳弓として下行し、残りは前交連の前を交連前脳弓となって走る。乳頭体では主として内側核に終止する。視床下部の吻側部で交連後脳弓から分かれた線維は、外側中隔核と、視床の前核群や外側背側核に終わる。その他、海馬台からの遠心線維は、前頭葉内側皮質、尾側帯状回、海馬傍回などに直接投射する。交連後脳弓線維の一部は乳頭体を越えてさらに尾方へ下り中脳被蓋に入る。)

Column of fornix(脳弓柱)Columna fornicis のうきゅうちゅう Feneis: 308 25

[A14_1_08_420] →(脳弓柱は没部と出部からでる。没部は左右の乳頭体から始まり、視床下部内を前上方に走り、前交連の後ろで出部に移行する。出部は大脳半球の正中断面で見える部分で、上行するとともにしだいに左右が互いに近づき、ついで後背側方に走り、前方は透明中隔板と癒着している。出部は脳梁幹の下で脳弓体に移行する。)

Precommissural fibres of column of fornix(交連前線維;交連前脳弓線維(脳弓の))Fibrae precommissurales columnae fornicis こうれんぜんせんい:こうれんぜんのうきゅうせんい(のうきゅうの)

[A14_1_09_256] →(交連前線維は線維束としては交連後脳弓よりも小さく、疎であって肉眼的に認められるようなものではない。これらの線維は海馬のすべてのセクターの錐体細胞に始まり、中隔核群の尾部の一部に終わる。以上にのべた解剖学的な連絡様式から示唆されるように、海馬台からのインパルスは複雑な経路を経て種々の部位に投射される。すなわち、海馬と海馬台は直接あるいは関節の投射路によって中隔核群、視床下部、視床、大脳皮質の広汎な領域および中脳網様体と結合する。)

Postcommissural fibres of column of fornix(交連後線維;交連後脳弓線維(脳弓の))Fibrae postcommissurales columnae fornicis こうれんこうせんい;こうれんこうのうきゅうせんい(のうきゅうの)

[A14_1_09_257] →(脳弓の交連後線維は脳弓柱の線維で、前交連の尾側(後側)を通って視床下部の諸核(腹内側核や乳頭体内側核)に至るが、途中視床にも枝をだす。脳弓柱の大部分を占める。)

Body of fornix(脳弓体)Corpus fornicis のうきゅうたい Feneis: 308 23

[A14_1_09_258] →(脳弓体は脳梁の下にある脳梁の中央部で脳弓柱に続いて後走し、脳梁幹の下面と癒着しており、また左右が正中部で癒着している。脳梁幹の後部では再びこれと離れ、脳弓脚となる。)

Crus of fornix(脳弓脚)Crus fornicis のうきゅうきゃく Feneis: 308 22

[A14_1_09_259] →(脳弓脚は左右がしだいに離れつつ下外側方に走り、ついで側脳室の下角に向かう。脳梁の下方で左右の脳弓脚の間には脳弓交連がある。)

Commissure of fornix(脳弓交連;海馬交連)Commissura fornicis のうきゅうおうれん;かいばこうれん Feneis: 308 26

[A14_1_09_260] →(脳弓交連は海馬交連ともよばれる。脳梁後部の下で脳弓脚間にできる三角形の結合野。多数の線維が反対側の脳弓脚へ行き海馬に終わっている。人では発達がわるい。)

Taenia of fornix(脳弓ヒモ)Taenia fornicis のうきゅうひも Feneis: 308 24

[A14_1_09_261] →(脳弓ヒモは脳弓の側方の薄い縁。側脳室の脈絡叢がつく。)